チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

謎に包まれたチャートDance / Club Songs とは? 【Katy Perryが強い?】

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今週、Katy PerryのChained to the RhythmがDance / Club Songsチャートで1位を獲得しました。17曲目の快挙。かつ17曲連続での1位。

 え?17曲?

よく考えると多すぎると思いませんか?Katy Perryの曲で客演を含めてシングル化されたのは23曲。つまり7割以上のシングルが1位を取っているか、または非シングルも1位を取っている、ということになります。しかもDanceと銘打ったチャートでなぜそんなDJでもないKaty Perryの曲が1位を連発しているのか。謎はますます深まるばかりです。

今回はそんな謎に包まれたチャート、Dance / Club Songsについて書いていきます。

 

・Dance / Club チャートとは?

www.billboard.com

ビルボードの説明にはこうあります。

 

“This week's most popular songs played in dance clubs, compiled from reports from a national sample of club DJs.”

今週最もクラブでかけられた曲を、クラブDJのレポートからサンプルして集めている。

 

その名の通り、クラブでどういう曲がかかっているかを集計しているチャートなのです。名前を変えつつ、1974年から存在しているチャートのようで、現存するDance系チャートでは最古のチャートです。

チャートとしてはややマイナーで、今年に入ってからBillboard公式Twitterが言及した回数は12回で、週あたり1回を下回っています。チャートマニアでもあまりチェックしないチャートなのでは、と個人的に思っています。

 

・”Katy Perry” “17”曲 1位の謎に迫る

ではこのチャートの謎に迫っていきます。なぜKaty Perryがこのチャートで強いのか。そしてなぜ17曲も1位を取っているのか。

近年のチャートの傾向を見てみましょう。以下が2016年以降にこのチャートで1位を取った曲です。

太字は注目ポイントです。

 

2016年

   

1月2日

Lucas Nord featuring Tove Lo

"Run On Love"

1月9日

Justin Bieber

"Sorry"

1月16日

Dimitri Vegas & Like Mike featuring Ne-Yo

"Higher Place"

1月23日

Lady Gaga

"Til It Happens to You"

1月30日

Robin S. and DJ Escape

"Shout It Out Loud"

2月6日

Disclosure featuring Lorde

"Magnets"

2月13日

Freischwimmer

"California Dreamin'"

2月20日

Mylène Farmer and Sting

"Stolen Car"

2月27日

Nathan Sykes featuring Ariana Grande

"Over and Over Again"

3月5日

99 Souls featuring Destiny's Child and Brandy

"The Girl Is Mine"

3月12日

Dave Audé featuring Andy Bell

"True Original"

3月19日

Coldplay

"Adventure of a Lifetime"

3月26日

Adele

"When We Were Young"

4月2日

Shawn Hook

"Sound of Your Heart"

4月9日

Jonas Blue featuring Dakota

"Fast Car"

4月16日

Troye Sivan

"Youth"

4月23日

Rihanna featuring Drake

"Work"

4月30日

Pet Shop Boys

"The Pop Kids"

5月7日

StoneBridge featuring Elsa Li Jones

"If You Like It"

5月14日

Empire of the Sun

"Walking on a Dream"

5月21日

WTS featuring Gia

"One Night"

5月28日

Sheila Gordhan

"Smile"

6月4日

Tony Moran featuring Jason Walker

"So Happy"

6月11日

Dillon Francis and Kygo featuring James Hersey

"Coming Over"

6月18日

Xenia Ghali

"Under These Lights"

6月25日

Sia featuring Sean Paul

"Cheap Thrills"

7月2日

Alex Newell, Jess Glynne and DJ Cassidy with Nile Rodgers

"Kill the Lights"

7月9日

Calvin Harris featuring Rihanna

"This Is What You Came For

7月16日

7月23日

Justin Timberlake

"Can't Stop the Feeling!"

7月30日

Rosabel featuring Jeanie Tracy

"Livin' for Your Love (Your Love)"

8月6日

Rihanna

"Kiss It Better"

8月13日

Erika Jayne

"How Many Fucks"

8月20日

Rihanna

"Needed Me"

8月27日

Joe Bermudez featuring Louise Carver

"Sunrise"

9月3日

Zayn

"Like I Would"

9月10日

JX Riders featuring Skylar Stecker

"Sweet Dreams"

9月17日

Enrique Iglesias featuring Wisin

"Duele el Corazón"

9月24日

Major Lazer featuring Justin Bieber and MØ

"Cold Water"

10月1日

Disclosure

"Boss"

10月8日

Britney Spears featuring G-Eazy

"Make Me..."

10月15日

Alicia Keys

"In Common"

10月22日

Katy Perry

"Rise"

10月29日

StoneBridge featuring Therese

"Put 'Em High (2016)"

11月5日

Betty Who

"I Love You Always Forever"

11月12日

Christina Aguilera featuring Nile Rodgers

"Telepathy"

11月19日

Jonas Blue featuring JP Cooper

"Perfect Strangers"

11月26日

Crystal Waters featuring Sted-E and Hybrid Heights

"Believe"

12月3日

Nervo featuring The Child of Lov

"People Grinnin'"

12月10日

Martin Garrix and Bebe Rexha

"In the Name of Love"

12月17日

Tony Moran featuring Jason Walker

"Say Yes"

12月24日

R3hab

"Icarus"

12月31日

Ralphi Rosario featuring Aneeta Beat

"Button Pusha"

     
     

2017年

   

1月7日

Lodato featuring Joseph Duveen

"Older"

1月14日

Dua Lipa

"Blow Your Mind (Mwah)"

1月21日

Rihanna

"Love on the Brain"

1月28日

Ono

"Hell in Paradise 2016"

2月4日

Vassy

"Nothing to Lose"

2月11日

Sia

"Move Your Body"

2月18日

J Sutta

"Distortion"

2月25日

Luciana and Dave Audé

"Yeah Yeah 2017"

3月4日

LeAnn Rimes

"Long Live Love"

3月11日

Britney Spears featuring Tinashe

"Slumber Party"

3月18日

Ed Sheeran

"Shape of You"

3月25日

4月1日

Bebe Rexha

"I Got You"

4月8日

Rihanna

"Sex with Me"

4月15日

Tony Moran and Dani Toro featuring Zhana Roiya

"Lick Me Up"

4月22日

Katy Perry featuring Skip Marley

"Chained to the Rhythm"

 

 

まず、この表をパッと見て曲数が多すぎる!と思いませんか?

そうです、このチャートはなぜかほとんど毎週1位が入れ替わるのです。2週以上連続で1位をキープする曲は年に1回出るか出ないか程度です。上の表ではThis Is What You Came For、Shape of You以外は全て1週で1位から陥落しています。この1位がほぼ毎週入れ替わる=1位になれる曲が多いチャートアクションKaty Perry17曲1位を生み出す要因なのです。他のチャートと比較すると、2016年にHot 100で1位になったのは11曲。そしてこのDance / Clubチャートでは51曲。年に約5倍の1位曲が誕生しているのです。

 

たしかに、このペースで1位が出るなら17曲もありえるかもしれないです。しかし、なぜDance / ClubチャートにKaty Perry?明るいポップ系が多く踊りやすいかも、とはいえDance系のチャートにKaty Perryは違和感がある気が……。表の曲をもう一回見てみましょう。

 

Katy PerryだけではなくSia、RihannaBritney Spearsなどの女性シンガーが複数エントリー。このチャートはDanceとは銘打っていますが、女性シンガーが強めなチャートといえそうです。実際、このチャートで多くの1位を記録したアーティストの上位5名は全員女性シンガーなのです。(1位Madonna、2位Rihanna、3位Beyoncé、4位Janet Jackson、5位Mariah CareyKaty Perry

また女性シンガーだけでなく、このチャートで結果を残していているDJたちもいて、昨年唯一の2週連続1位を記録していたCalvin HarrisのThis Is What You Came Forは年間1位を記録しています。他にも表にはDisclosure、Jonas BlueなどのDJ/プロデューサーもあります。しかし案外DJが全員強いわけではなく、The Chainsmokers、DJ Snakeはまだ1回も1位を取っていません。

じゃあ、女性シンガー最強チャート?とも言い切れず、Taylor Swift、Meghan Trainor辺りはまだ1位を取っていません。

このチャートでは○○のジャンルが強い!というは無く、様々なジャンルが入れ混ざった多種多様なラインナップになっています。共通点をあえて言うならば、少しメロディアスな曲が多いでしょうか。

 

・どうしてこんなチャートになっている?

しかし、なぜこのような掴みどころのないチャートになっているのでしょうか。クラブで1番かかる曲がキレイに1週ごとに交代するのはなんだか少し不気味さも感じます。DJたちはトレンドに敏感で流行は逃さないということでしょうか。別の似た系統のチャートと比較してみましょう。

今回比較するのは1001 TracklistというDJセットリストを掲載するサイトのランキングです。

www.1001tracklists.com

このチャートを見ると、キレイに1週ごとに交代するということもなく、またランクインしている曲もほとんどDJ/プロデューサーたちの曲で、こちらの方が「DJのかける曲」を表すチャートと言われてしっくり来る気もします。このデータからは別に多くのDJは1週間ごとに曲を変えるという行動をするわけではないことがわかります。

 

1週間で1位がキレイに交代していくとはこのDance / Clubチャート特有のものだと分かります。では、なぜこのように1位が毎週交代していくのかを推測してみます。

もう1回このチャートの説明を振り返ります。

 

“This week's most popular songs played in dance clubs, compiled from reports from a national sample of club DJs.”

今週最もクラブでかけられた曲を、クラブDJのレポートからサンプルして集めている。

 

この文面のDance Clubs、Reportsという点に注目します。

 

① Dance Clubsとは……?

Dance / Clubsがどういう場所が案外変な場所なのかも……?DJがノれる曲をかけて客を躍らせるというイメージが私の中にありますが、UltraなどのDJとはかなり違った環境なのかもしれません。私自身アメリカに行ったことがないので、アメリカの多くのクラブでは本当にこのチャートを意識してDJが曲をかけている可能性がある……?

まあ、①は妄想みたいなもんです………

 

② Reports……?

個人的な本題はこちらです。Reportsというに注目です。レポートとは文字通りレポートでしょう。DJが自分のかけた曲を報告する、というスタイルを取っているのでしょう。ただ実はこの点、他のチャートと比べると異質なのです。

現存するチャートの多くはニールセンという調査会社が収集したデータをもとに作成されています。ストリーミングは各サービスからデータを収集している、と説明されています。他のチャートができるだけ科学的にデータを集めるアプローチをするなか、このDance / Clubは人のレポートという地道で素朴な作戦に出ているのです。その点で異質なのです。

 

実はこのレポートでチャートを作るという文化、昔はHot 100でも行われていたようで、昔はCDショップからのレポートを元にチャートを作っていたようです。しかしCDショッピが売り上げをそのまま正確に報告しない可能性もあり、人気を正確に反映していない、とされて1990年代初頭に調査方法を変えたようです。調査方法を変更してからNWAのアルバムが2位と躍進しましたが、NWAの関係者によると「前からそんぐらい売れてたわ!」ということらしく*1、どうなのでしょうかね。

 

つまり何が言いたいかというと、このチャートの調査法によって毎週1位が交代するという現象が発生している可能性があるということです。他にも、一部からサンプルして全体を推測する?という方法もこれの一因かもしれませんね。

自分が感じた違和感に対して、自分はこう考えました。

 

・まとめ

このチャートを深く見ると、これが何のシーンを表しているかは正直によく分からないと思いました。ほかのチャートと比べてローカルなチャートだと思われます。ゆえにチャートの中で重要度は高くないということは言えると思います。

 

しかしこのチャートには魅力がない?ということではないです。去年のこのチャートの年間トップ10を確認します。

1 Calvin Harris ft. Rihanna – This Is What You Came For

2 Justin Bieber – Sorry

3 Alicia Keys – In Common

4 Sia ft. Sean Paul – Cheap Thrills

5 Dillon Francis & Kygo ft. James Hersey – Coming Over

6 WTS ft. Gia – One Night

7 Dave Aude ft. Andy Bell – True Original

8 Lady Gaga – Til It Happens to You

9 Justin Timberlake – Can’t Stop the Feeling!

10 Coldplay – Adventure of a Lifetime

 

これらの曲を全て知っている方はいらっしゃいますか?おそらく6位と7位が分からない方が多いと思います(このチャートを毎週チェックしている人以外は……)、上で述べたようにTaylor SwiftやThe Chainsmokersがなぜか上位に入りづらい一方で、このDance / Clubのチャートで実績を重ねているアーティストが多くいるのです。

7位のDave Audeはこのチャートで実績を重ねている人の代表例で、ほかのチャートにはあまり登場しない一方でここでは14曲もの1位を獲得するなどこのチャートでは無双しています。他にもオノ・ヨーコがリミックスを中心に多数の1位を獲得していて(13曲)、全米を対象としているチャートでは珍しく日本人も登場しています(他の日本人も登場したことがあると聞いたことがありますが、データは見つかりませんでした)

個性的な面子が多く登場するので、もしかしたら思いがけない面子を発見できるかも!という可能性もあるのです!

 

まとめると……

・良くも悪くも他のチャートとは一線を画している

・それ故に個性的な面子や並びが見られるチャートになっている

・珍しいアーティストを発掘できるかも…?

 

 

もし興味を持ったらぜひDance / Club チャートをチェックしてみてください!

 

*1:詳しくは S.クレイグ ワトキンス (著), 菊池 淳子 (翻訳) 『ヒップホップはアメリカを変えたのか』の48ページに書いてあります

Billboard Hot 100 4/22 【遅れてきたイギリスのロック男+Kendrickの新曲】

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こんばんは。Kendrick LamarのHUMBLE.の2位での登場が最大のトピック。ただそれ以外にも見どころがあり、遅れてきたイギリスのロック男、カントリーのアウォーズなど。今週もよろしくお願いします!

 

 

(N) 100 Rag’n’Bone Man – Human

母国イギリスでは次のシングルSkinが流行しはじめるなか、ようやくRag’n’Bone ManのHumanがアメリカ上陸。100位。ロックリスナーには既に大人気のようですが、ポップ系ラジオでも人気が出始めた(ポップ系ラジオ40位)のがエントリーの要因か。現在のチャートでは珍しくなったロックに分類される曲です。

現在Hot 100にエントリーしている曲でビルボードにロック曲とされているのはこのHuman、Imagine DragonsのBeliever、そしてLinkin ParkのHeavyのみです。Linkin ParkのHeavyも随分ロックと離れていますが……

 

(N) 96 Calvin Harris ft. Young Thug, Pharrell Williams & Ariana Grande – Heatstroke

Calvin Harrisが豪華客演陣を率いる新曲Heatstrokeが96位で登場。この豪華さの割に96位という順位は低く感じる気もしますが、勝負曲はあくまでSlideで、Heatstrokeはプロモーションシングル(出るかもしれないアルバムの?)のような立場なのでしょうか…?この曲の主役はYoung Thug。

 

(N) 94 A Boogie Wit da Hoodie ft. Kodak Black – Drowning

A Boogie Wit da Hoodie、Kodak Black、という昨年末あたりから頭角を表す期待の若手2人によるDrowningが94位で登場。メロディアスでポップさもある曲で、ヒップホップリスナー以外に響く可能性も!

 

(N) 93 Kodak Black ft. Future – Conscience

Kodak BlackのデビューアルバムPainting Picturesが今週アルバム3位を獲得。現在8位と上位につけるTunnel Visionのほか、FutureとのConscienceが93位でエントリーしました。

本人は獄中?ながらもリリースされたアルバム、純セールスは11位ながらも、ストリーミングやシングル単体も考慮するアルバムチャートでは3位と、ストリーミングでの強さが伺えます。

 

(N) 91 The Chainsmokers – The One

The Chainsmokersがアルバムに先駆けてリリースしたThe Oneが91位で登場。アルバムMemories...Do Not Openのリリースが反映されるのは来週のチャートです。アルバムチャート1位見込みのほか、シングルも新規で2~3曲登場するのではないでしょうか。

 

(N) 88 Tee Greezly – First Day Out

Tee GreezlyのFirst Day Outが88位で登場。“First Day Out”という曲のタイトルから、出所したベテランラッパーの曲では、と個人的に推測しましたが、そうではなくデトロイトの新人ラッパーのようです。彼とLil YachtyによるFrom the D to the Aも既にヒップホップリスナーからある程度人気なようで、そちらも近いうちのHot 100入りがあるかも。

 

(N) 81 Enrique Iglesias ft. Descemer Bueno, Zion & Lennox - Subeme La Radio

現在YouTubeの再生回数が20億回を越えるなど、爆発的ヒットだったBailando以降は母国語のスペイン語曲のリリースが続くEnrique Igelsiasの新曲Súbeme La Radioが81位で登場。

※今年リリースされたYouTube上のビデオのうち、再生回数が最も多いのは実はShape of YouではなくLuis FonciのDespacitoで、最近スペイン語曲の規模が拡大しているように感じます。有名人のEnrique Iglesiasの新曲がどこまで伸びるかは注目ポイントかもしれません。

 

(N) 59 Logic – Everybody

LogicのEverybodyが59位で登場。新リリースの曲ですがダウンロードよりもストリーミングでポイントを稼いだようです。今年5月にはアルバムもリリースされるようです。タイトルは同じくEverybody。Everybodyの名の通り?Chuck D、Killer Mike、Alessia Cara、Khalidなど新旧の客演陣が登場するようです。

 

(N) 53 Thomas Rhett ft. Maren Morris – Craving You

アカデミー・オブ・カントリーミュージック賞(ACMアウォーズ)でパフォーマンスされた複数カントリー曲がダウンロードを獲得し、Hot 100に登場。Thomas Rhettが今年のグラミー新人賞にノミネートされたMaren Morrisを客演に迎えたCraving Youが53位で登場したほか、Miranda Lambertが75位、Florida Georgia LineのGod, Your Mamaが71位、 And Me Lady AntebellumのYou Look Goodが60位で登場しました。(再登場も含む。)

 

(↑) 37 Keith Urban ft. Carrie Underwood – The Fighter

上に挙げた曲と同じくACMでのパフォーマンス効果でダウンロードが伸びKeith UrbanCarrie UnderwoodのThe Fighterが37位に上昇。ACMでパフォーマンスされた曲の中では後述のSam HuntのBody Like a Back Roadに次いで二番人気なのですが、2曲ともカントリー要素が薄い気がします。

 

(↓) 12 Migos ft. Lil Uzi Vert – Bad and Boujee

今年序盤に旋風を巻き起こし、1位も獲得したMigosのBad and Boujee。そろそろブームも落ち着いてきたのか、今週12位とトップ10圏外へ。少し気になったのはトップ10圏外へ落ちるのがやや早いということ。

トップ10滞在週は14週でヒットの仕方が似ているBlack Beatlesと同じ数字なのですが、これは2016年に1位を獲得した曲の平均トップ10滞在週=19.4週を大きく下回るうえ、どの曲よりも短く(Black Beatlesの次に短いのはCan’t Stop the Feelingの15週)、このタイプのヒット曲は瞬間最大風速のわりに落ちるのがやや早めと考えられるかもしれません。

※共通していえるのはラジオでそこまでポイントを稼いでいないという点。2016年に総合1位を獲得した曲は同じくストリーミング発のPanda以外はラジオで2位か1位にはなっているのですが、この“BBコンビ”はいずれもピーク7位、12位と相対的に低め。ストリーミング発の曲は、いかにラジオでヒットできるかがヒットの規模を拡大させる鍵になっているのでしょうか。いくらストリーミングでヒットしても、ストリーミングを使わないでラジオでしか音楽を聞かない層(若者以外…?)には響ききらないわけですし……

 

(↑) 6 Sam Hunt – Body Like A Back Road

Sam HuntのBody Like A Back Roadが6位まで浮上し、カントリー曲としてはFlorida Georgia LineのCruise以来4年ぶりのトップ10に。先に述べたように浮上の要因はACMのパフォーマンスによるダウンロードの上昇ですが、ビルボードによるとポップ系ラジオでも浮上の兆しがあるようでロングヒットとなるかもしれません。

 

(N) 2 Kendrick Lamar – HUMBLE.

Kendrick LamarのHUMBLE.が2位で登場!ダウンロードとストリーミングでは1位を獲得しています!今週末にはアルバムリリースも予定されており、どこまでチャートを掻き回すかに注目が集まります!ただ、先週22位で登場したThe Heart Part 4は今週85位まで落ちてしまいました。

 

(N)=new (↑)=順位上昇 (↓)=順位下降またはチャート外へ (R)=再登場

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲           Bruno Mars – That’s What I Like

今週最もダウンロードが上昇した曲  Keith Urban ft. Carrie Underwood – The Fighter

今週最もストリーミングが伸びた曲 Lil Uzi Vert – XO TOUR Llif3

最も高い順位で新登場した曲          Kendrick Lamar – HUMBLE.

 

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲を集めました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora)

 

Lord Huron - The Night We Met (Shazam 15位)

Harry Styles – Sign of the Times (Spotify 17位、Shazam 17位)

Ituana - You Can't Always Get What You Want (Shazam 19位)

Michael Kiwanuka – Cold Little Heart (Shazam 25位)

Halsey – Now or Never (Spotify 29位)

The Chainsmokers – Break Up Every Night (Spotify 38位)

Flo Rida, 99 Percent – Cake (Pandora 41位)

Sabrina Carpenter – Thumbs (Pandora 45位)

Clean Bandit ft. Zara Larsson – Symphony (Spotify 46位)

Play-N-Skillz ft. Frankie J, Becky G & Kap G - Si Una Vez (Shazam 47位)

AJR – Weak (Pandora 48位)

The Revivalists - Wish I Knew You (Shazam 49位)

Dylan Scott – My Girl (Pandora 50位)

 

最大の注目はHarry StylesのSign of the Times。今週2位で登場したKendrick LamarのHUMBLE.の1.5倍程度のダウンロードを記録しているようで、トップ10圏内での登場が濃厚でしょう。(ラジオもHUMBLE.より高め、しかしストリーミングはHUMBLE.に完敗、HUMBLE.がストリーミングで強すぎる故)そしてThe Chainsmokersのアルバムリリースが反映され、ロックに寄ったサウンドが特徴のBreak Up Every Night等が登場しそう。そして彼らのCloserの時の相方、HalseyのNow or Neverも好調です。

Shazam上位につけている一部の曲はドラマで使用された曲との情報が。

 

今週チャートから姿を消した曲

(左の数字は先週の順位 ※はリカレントルールが適用された曲)

 

99 Drake – Nothing Into Somethings

98 The Weeknd – Party Monster

97 Drake – Can’t Have Everything

94 Ariana Grande ft. Future - Everyday

93 Ed Sheeran – Galway Girl

89 Drake ft. Kanye West – Glow

86 Drake – Do Not Disturb

85 Drake ft. Young Thug – Ice Melts

84 Drake – Madiba Riddim

83 Drake – Jorja Interlude

82 Drake ft. Sampha – 4422

79 Drake ft. Giggs – KMT

76 Drake ft. Giggs – No Long Talk

68 Drake ft. Jorja Smith & Black Coffee – Get It Together

66 Zayn ft. PARTYNEXTDOOR – Still Got Time

 

2016年後半分 Hot 100 記事 まとめ

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2016年後期の毎週のHot 100記事をまとめただけの記事です。

過去のチャートを懐かしんだり、復習したりするのに是非。

途中からその週の顔ということで誰かを選んでサムネになるようにしています。なんかすこし雑誌っぽくないですか?そんなことはない?

 

過去のまとめリンクも貼っておきます

2015年まで

2016年前半 

 7/2 :Lil Uzi Vert がHot 100に初登場した週

7/9 :Hot Rock Songs の3位~1位をTwenty One Pilotsが独占した週

7/16 :KanyeのFamousのビデオリリースが反映された週

7/23 :スタート順位がピークだったM.I.L.F. $がデビューした週

7/30 :Lush LifeがHot 100に登場した週

8/6 :Chaep Thrills一位。40代女性の1位は珍しい記録な週

8/13 :Cold Waterが2位で登場した週

8/20 :Closerが登場した週

8/27 :Suicide Squadのサントラがアルバム1位な週

9/3 :Closerが1位に登りつめた週

9/10 :Frank OceanのBlondeがアルバム1位を獲得した週

9/17 :Britney SpearsのMake Me...が17位に戻った週

9/24 :Travis Scottがアルバム1位を獲得した週

10/1 :後に一位をとるBlack Beatlesが初登場した週

10/8 :Broccoliがトップ10に浮上した週

10/15 :The WeekndのStarboyが3位と上位に入った週

10/22 :韓国人のCLのLiftedがHot 100に入った週

10/29 :26年ぶりの日本人。PPAPがHot 100に登場した週

11/05 :Dua LipaがHot 100にはじめて入った週

11/12 :The ChainsmokersとLady Gagaが軽いビーフをしていた週

11/19 :Meek Millのミックステープから7曲がHot 100に入った週

11/26 :Black Beatlesが1位+PPAPが再登場した週

12/3 :Bad and Boujeeが登場した週

12/10 :No Problemがチャート圏外に落ちた週

12/17 :アルバムStarboyがリリースの週

12/24 :Childish Gambinoのアルバムが5位の週

12/31 :J.Coleのアルバムの曲が全てトップ40に入った週

 いつもありがとうございます!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Zara Larsson “So Good” レビュー/感想 【将来のポップ・クイーン?】

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ポップス系のアルバムのレビューが日本語、英語問わず数が少なめと感じたので今年は少しずつアルバムレビューにも挑戦します。今回は昨年からアルバムリリースが楽しみだったZara Larssonです。

パワフルな声。「世界で最も美しい顔」ランキングにも入選するような端麗な容姿。そして物怖じせずに自らの意志を表す度胸。そんな印象深いキャラクターを持つ彼女は、国際的デビューアルバム(※)を持ってその存在感をさらに発揮することができたのでしょうか。

 

※2014年にもアルバムをリリースしていますが、ヒットしたのが北欧圏のみだったためか今回のアルバムは複数メディアで「国際的デビューアルバム」とされていて、当記事でもそう扱います。

 ではレビューいきます。

 

★ 既発曲を中心にシングル単体は良い感じ。外れが少ない。

Never Forget You、Lush Life、Ain’t My Fault、I Would Like、So Good……既発曲は多めの5曲です。アメリカではNever Forget Youしかヒットしませんでしたが、ヨーロッパ等では他も外れずヒットし既に成功を収めた曲たちです。客演も含めて、昨年は多くのヒットを記録していて例えばオーストラリアでは2番目に多くの曲を年間チャートに送り込んだアーティスト、となりました。

(参考:各国で2016年間チャートに多くの曲を送り込んだアーティストランキング↓)

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↑の表の詳しいデータはこちら

 

これらの曲はシングルとだけあって、どれも個性を持った綺羅びやかなポップ曲だと思います。特筆すべきはLush Life、Ain’t My Faultでしょうか。

Lush Lifeは実はトロピカルハウスをポップスに取り入れた例の元祖とも言える曲で(What Do You Mean、Shape of Youなどより前にリリース)、イギリスでは週間のチャートピークが3位ながらも年間6位に食い込むなどロングヒットとなっていて、そのロングヒットっぷりを含めて近年のポップスのお手本とも言えるような曲。

そしてAin’t My Faultはそれまでとは少し作風の違うアップテンポなR&B風の曲。この曲を期に彼女をリアーナになぞらえる声が多く上がり、そしてこの曲のリリースと共に「ネクスト・ポップクイーン」に推す機運が高まったように思います。

 

注目トラックは既発曲だけではありません。他にはSymphony、Only Youに注目しました。

Symphonyは、2014年のRather Be以降世界的ヒットを続けるグループClean Banditと組んだ一曲。アルバムリリースと共にシングル化され、イギリスでは現在3位(4/9時点)など早速ヒットとなっている。昨年に引き続きZaraのメインストリームでの成功を予感させる一曲です。

そしてOnly You。アルバム全体で見ると明るい曲が多めですが、やや暗めな曲調。しかし、その哀愁的なメロディラインとパワフルな歌声の融合が良い感じです。彼女の母国スウェーデンでは既発曲以外では1番人気のようです。ちなみに曲のテーマは”これ”とも言われています(Love Myself~Touch Myselfあたりの歌詞が)

その他の曲も「ただでは終わらない感」があってどれも個性豊かな曲で露骨に外れ曲のように思う曲はありませんでした。

 

★ アルバム全体としては……?

しかし、アルバム単位でどう?と言われると微妙なのがこのアルバム……

何が微妙なのかと言うと、シングル志向が強くてアルバムの曲順、アルバム単位で聞かなくてもOKということ。DrakeのMore Lifeではありませんが、アルバムよりもプレイリスト、のような感覚でしょうか。上でも述べたように、5曲の毛色の違う既発曲*1をアルバムに収録しています。アルバム全体の統一感を出すために先行リリースシングルと見られていた曲をアルバムから切る(またはボートラにする)ということはよく見られますが、このアルバムでは先行シングルを全てアルバムに採用しました。この5曲を一つのアルバムにまとめ上げるのも既に難しそうですが、さらにこれに加えWizkidを迎えた流行のダンスホール風ポップ、今年も÷が大ヒットとなったEd Sheeranをソングライターに迎えたDon’t Let Me Be Yoursなども収録したため、どれも悪い曲ではないですが、もうなんか「お腹いっぱい」な感じがします。そうすると、どうしてもアルバムとしての統一感はイマイチのように感じてしまいました。トレンドを貪欲に吸い上げよう!という意図は読み取れるのですが、流行に乗っかりすぎかなぁ、とも思いました。Gurdianのレビューにも

It just about works in 2017, but at a time when pop continually looks to the future, So Good is in danger of dating quickly.

とありました。

他にも、シングル志向の強さが読み取れるファクターがあって、それはアルバムリリースとともにシングル化されたのがSymphonyということ。このSymphonyの表記はClean Bandit ft. Zara Larsson。曲の内容もZaraの曲というよりは本当にClean Bandit中のClean Banditの曲。このSymphony、アルバムのラストの曲なのですが、その1個前のI Can’t Fall in Love Without Youで終わりでも良いような雰囲気が出ていて、アルバムの全体構成を考えると立ち位置はボートラみたいな感じです。しかし客演での曲がいきなりシングル化され、アルバムの勝負曲のような役目になっているところをみると、やはりアルバムではなくシングル志向の強さが感じられました。

 

別に、どの時代でも統一感に欠けていてシングル勝負をしているポップス系アルバムはあると思うのです。ストリーミングサービスと共に盛んになっているプレイリストの隆盛によって、アルバムにおけるシングルの立ち位置なんて気にしない人も増えているかもしれない現代なら尚更な気もします。Zaraのリスナー層を考えると、悪くない判断だと思います。元からZara Larssonを聴いていた人はこれからも彼女に期待が持てる(自分もそうです)と思いますが、それ以上にはならない「現状維持」といったところですかね……

私は今回のアルバムでは「Zara Larssonはこういう人間だ!」「私のスタイルはこう!」「ネクスト○○を狙っているよ!」というメッセージ性にも期待をしていたので、そのようなメッセージは伝わってきづらかったです。

 

★ チャート成績は……?

トレンドを貪欲に吸い上げたアルバムなので、売れてこそのアルバムとも考えられるアルバムですが、各国アルバムチャートでイギリス7位、アメリカ26位など。母国スウェーデンでは1位。

単純な比較にはなりませんが、同じくスウェーデン出身、かつシングルでブレイク後に初アルバムをリリースしたAviciiはイギリス2位、アメリカ5位だったので、少しチャート成績

的には不足感があるかもしれません。

 

ただ、上で述べたようにシングルのSymphonyがヒットの兆しを見せており今年も彼女はメインストリームで存在感を発揮してくれそうです!

後半ではネガティブめな評価をしてしまいましたが、それでも彼女がポップス界で有望な存在であるという事実は変わりませんし、今後も要注目な存在ではあると思います!

 

★ まとめ

既発曲を中心にシングル単体は良い感じ。外れが少ない。

アルバム全体のメッセージ性にはやや欠ける

“現状維持”アルバムですが、Zara Larssonがポップス界期待の存在であることには変わらない

 

※5/19 追記

最近Zara Larsoonのインタビューを見て、一部引用して、このレビューの補足としたいと思います。

http://www.tvgroove.com/special/article/ctg/385/tid/1334.html

 

――5月3日に「ソー・グッド(国内盤)」をリリースされましたが、こちらはどんな作品になっていますか?

私がとても誇りに思っているアルバムだから、みんなが聴いてくれるのを楽しみにしているわ。アルバム収録曲の1曲1曲すべてが大好きなの。そしてアルバム制作というのは私にとってとてもすばらしい経験となったわ。収録されている半分の曲を作ったから。アメイジングな人たちと一緒に仕事ができたわ。あとこのアルバムは色んなもののミックスになっているの。「ソー・グッド」みたいなR&Bっぽさもあれば、EDM、ハウス、アフリカンなサウンド、バラードなどすばらしいミックスになっているの。色んなサウンドがつまっているから、みんなに1つでも気に入ってもらえる曲があると思う。

・「半分の曲を作った」

ポップシンガーには大まかに2種類あると私は考えていて、それはソングライトを多く行う人と、主に他に委託する人。彼女は曲の半分を作った=書いたと言っているので、どちらかというと委託メインだったのですね。今後もこのスタイルで行くか、自分でソングライトする比率が高くなるのか注目です。個人的には彼女のキャラ立ちが好きなので、彼女主導のアルバムを見てみたい気もしますがね…!

 

「このアルバムは色んなもののミックスになっているの(中略)みんなに1つでも気に入ってもらえる曲があると思う」

ここが自分のレビューと重なった部分。自分のレビューでもアルバム単位よりもシングルひとつひとつで勝負している印象がある、と言いましたが、それは本人も考えていたことだったのですね。色んなタイプの曲を作って、まずは手探りということなのでしょうかね。

 


――今後コラボしたいアーティストはいますか?

ニッキー・ミナージュ。彼女のこと大好きなの。ブライソン・ティラー、アリソン・パックとコラボしたらとってもクールね。チャーリーXCXも。男性アーティストたちとはたくさんコラボしてきたから、セカンドアルバムではもっと女性アーティストとコラボしたいと思う!

 

――iPhoneケースにもビヨンセ、リアーナ、ニッキー・ミナージュのシールが貼られていますが、これはオリジナルで作ったのでしょうか?

イエース(笑)!あれはステッカーでただ張りつけたの!あれはホログラムで、動くと瞬くようになっているの。どこで見つけたか忘れちゃったけど、雑誌社かどこかで、ステッカーがたくさんあったの。それを見つけた時はもう…(笑)。大興奮でたくさんもらっていったわ(笑)。それで色んなところに貼ったの!

www.instagram.com

 次に、コラボしたいアーティストについて。

まず、Nicki Minaj。彼女のキャラ立ちからは「強い女性」への憧れが見られます。iPhoneケースに貼った3人は彼女にとってその象徴なのでしょう。この中で客演仕事が多いNicki Minajがコラボできるかも!?と思って名前を挙げたのでしょうか。

Bryson Tillerとは意外なところを挙げたなと思いました。アメリカではDon't、とExchangeがトップ40ヒットを飛ばし知名度を挙げた彼ですが、客演歴はそこまで多くなく、客演でHot 100入りした曲は今までなしなので、「コラボ相手」として名前を挙げるのは意外だな、と。相当お気に入りなのですかね!北欧の歌手Zara Larssonが、アメリカ人のラッパーの新たな一面を開くという展開もなかなか面白そうです。

最後にCharli XCXZara Larssonがこの界隈と絡むようになったら本当に面白そう!↓にリンクのあるCharliのレビューでも言いましたが、Charliは幅広い面子と絡んで様々な試みを行っていて、仮に当人同士がコラボせずとも、関わりを持てばZaraの次のアルバムに面白い影響がもたらされると思います。ちなみに、両思いみたいですね、↓

 

・あと申し訳ないのですが、「アリソン・パック」さんの情報に辿り着くことができなかったので、詳しい方がいらっしゃたら教えて下さいませ……

(知識不足申し訳ない……) もしかして「アンダーソン・パーク」の聞き間違い…!?

 

関連しそうな記事


 

 

 

 

*1:Never Forget YouとAin’t My Faultは同じMNEKプロデュースなのでその2曲は雰囲気が近いですが

Billboard Hot 100 4/15 【iTunes割引で勝負!Katy Perry】

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 こんばんは!先週のKendrick LamarのHUMBLE.、そして今週末にはThe Chainsmokersのアルバムとチャートを揺り動かしそうなリリースが続きます。そんな新アーティストの台頭が目立つ現在のチャートですが、2010年前半の女王と言っても過言ではないKaty Perryの新曲の調子はどうなのでしょうか……!

 

 ↑このプレイリストは今週取り扱った曲を入れています。これ聞いとけばある程度チャートに入った音楽が分かると。YouTube版、Spotify版もほしい人がいたら気軽に言ってください!

 

(↓) 83 Drake – Jorja Interlude

先週のHot 100にDrakeのMore Lifeの全22曲 100に登場しましたが、今週もそのうち19曲がHot 100に残りました。このようにInterlude(間奏)に過ぎない2分未満のトラックが2週チャートに残っていることが、Drakeの人気ぶりを物語ります。(もう一つのInterludeのSkepta Interludeはチャート圏外に落ちてしまいましたが……)

 

(N) 67 Zayn ft. PARTYNEXTDOOR – Still Got Time

ZaynのStill Got Timeが67位で登場。いきなり1位で登場したPillowtalkの時と比べると登場時のインパクトは無いですが、トレンドに合ったサウンドでこれから少しずつヒットしていくかも。PitchforkがDrakeのPassionfruitになぞらえていました。

 

(N) 61 Tim McGraw & Faith Hill – Speak To A Girl

Tim McGrawとFaith HillによるSpeak To A Girlが61位で登場。カントリー界のベテラン同士の1曲。ダウンロードが今週8位。Faith Hillは2000年にBreatheで週間のピークが2位ながらも年間1位を獲得した経験がありますが、久しぶりにチャートで存在感を発揮できるでしょうか。

 

(N) 49 Lil Uzi Vert – XO TOUR Llif 3

Lil Uzi VertのXO TOUR Llif 3が49位で登場。ストリーミングが爆発的を伸ばしてのHot 100登場。現在Spotify5位などさらにストリーミングを伸ばしていて来週以降のさらなる順位上昇が有望そう。

※#Liluzivertchallenge でヒットしたとも言われるこの曲ですが、例えばInstagramの#Liluzivertchallengeタグは約1200件。今年#challenge系で流行した #cashmeoutsidehowboutdatのタグは約196700件。チャレンジ経由というよりは、この曲自体に注目が集まっている、という感じでしょうか。

 

(↑) 45 Calvin Harris ft. Frank Ocean & Migos – Slide

Calvin HarrisのSlideが中位。今週45位。悪くはない順位ですが、同時期にリリースされた他DJ/プロデューサーのZeddのStay(今週17位)、KygoのIt Ain’t Me(今週15位)、The ChainsmokersのSomething Just Like This(今週3位)と比べると少し出遅れ感が。ここから巻き返すか、このまま中位を彷徨うか……注目です。現在この曲のピークは34位ですが、この数字はFrank OceanのThinkin Bout Youのピーク32位より下。

 

(↓) 40 Drake – Free Smoke

先週に引き続き、More Lifeで(22曲中)4番人気なのはこのFree Smoke。今週は40位。この曲はMore Lifeの最初の曲で、最初だから優先的に再生されるから有利なのでは?という疑問が個人的に生まれました。

ストリーミング時代に同一アルバムから10曲以上が登場した10の事例*1を調べたところ、アルバム最初の曲のチャート成績が全体の上位50%に入っている確率は40%で、アルバム最初の曲の有利性は特に見られなかったです。ゆえに、この曲はプレイリスト最初の曲という有利性を生かしているのではなく、単に人気があるということがわかります。この曲でサンプリングされているHiatus Kaiyoteに注目が集まったりするのでしょうか。

※参考

djk2.hatenablog.com

(N) 22 Kendrick Lamar – The Heart Part 4

Kendrick LamarのThe Heart Part 4が22位で登場。来週はHUMBLE.がこれよりも高い順位で登場する見込みです!今年の5月にはアルバムリリースも予定されているようで、次のアルバムではどのように世界を変えるかに注目です。

 

(↑) 13 Katy Perry ft. Skip Marley – Chained to the Rhythm

Katy PerryのChainde to the Rhythmが13位に上昇。iTunesの割引、Hot ChipやOliver Heldensによるリミックスのリリースでダウンロードが上昇しました。しかし、割引という奥の手を使って13位はやや不足感が。去年リリースのRiseほどではないですが、やや苦戦しているという印象があります。

 

(↑) 5 Kyle ft. Lil Yachty – iSpy

KyleとLil YachtyのiSpyが5位まで上昇。ピークを更新してトップ10に返り咲きました!Lil Yachtyにとっては昨年のBroccoli(D.R.A.M.)のピークと並びました。ラジオなど、まだまだ伸びしろがありそうで、さらなる上昇も望めるか!

 

(↑) 3 The Chainsmokers & Coldplay – Something Just Like This

The ChainsmokersとColdplayのSomething Just Like Thisが3位まで上昇で、1位の座を虎視眈々と狙っています。仮に1位になれば両者にとって2曲目(それぞれCloser、Viva La Vidaに次ぐ)。上位2曲(Shape of You、That’s What I Like)と比べるとロックリスナーにも支持を少し得ている(ロック系ラジオで今週27位)のがささやかな強み。

 

(↓) × Noah Cyrus ft. Labrinth – Make Me (Cry)

Miley Cyrusの妹のNoah CyrusのMake Me (Cry)がチャート圏外へ。一時期46位まで達したものの、本格ヒットまでは行かず。ここまでLabrinth、Marshmelloと凝った面子と絡んでいる彼女がどういうキャリアを歩んでいくかに注目です。

 

(↓) × Travis Scott ft. Kendrick Lamar – Goosebumps

先日ビデオがリリースされたTravis ScottのGoosebumpsですがチャートでは姿を消してしまいました。これはチャート滞在21週目以降の曲に課されるルール、51位以下だとチャートから除外によるもの。とはいえ、50位以上相当の成績を叩き出せばチャートに再登場できるので、来週以降の再登場もありえるかも。

 

(↓) × DJ Snake ft. Justin Bieber – Let Me Love You

DJ SnakeのLet Me Love Youがチャート圏外へ。同じくJustin Bieberが客演のMajor LazerのCold Waterと同時期のリリースでしたが、その影に隠れることなく世界的にヒットしました。Ultra Miamiではトリを務めたDJ Snakeですが、この曲のヒットで地位を確固たるものにしたのだと思います。Hot 100での成績はTurn Down For What、Lean Onと同じ4位ピークでした。多芸なDJ Snakeの今後の活動に期待です。

 

(N)=new (↑)=順位上昇 (↓)=順位下降またはチャート外へ (R)=再登場

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲           Bruno Mars – That’s What I Like

今週最もダウンロードが上昇した曲 Katy Perry ft. Skip Marley – Chained to the Rhythm

今週最もストリーミングが伸びた曲 XXXTENTACION – Look At Me!

最も高い順位で新登場した曲          Kendrick Lamar – The Heart Part 4

 

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲を集めました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora)

 

Kendrick Lamar – HUMBLE. (Spotify 1位 / Shazam 17位)

Logic – Everybody (Spotify 28位)

Michael Kiwanuka – Cold Little Heart (Shazam 32位)

Rag’n’Bone Man – Human (Shazam 35位)

The Chainsmokers – The One (Spotify 35位)

Flo Rida, 99 Percent – Cake (Pandora 43位)

Sabrina Carpenter – Thumbs (Pandora 45位)

Chance the Rapper ft. Knox Fortune – All Night (Spotify 47位)

※ Ed Sheeran, Stormzy – Shape of You (Stormzy Remix) (Pandora 48位)

 

注目はKendrick LamarのHUMBLE.ダウンロード1位濃厚、そしてストリーミングもかなり高水準の成績(こっちも1位かも?)なので、来週はトップ10圏内で登場するのでは?と思っています。実現すればKendrick Lamar自身の曲では初。1位デビューまではさすがに行かないか。(客演ではBad Blood=1位、Don’t Wanna Know=6位、F**kin’ Problems=8位でトップ10入り経験あり)

そしてもう一つの注目ポイントはChance the RapperのAll Night!グラミーでの最注目などを経て、現在All Nightがヒップホップ系ラジオやストリーミングで支持を集めているようです。ダウンロードが解禁されていないぶん不利ではありますが、それを乗り越えてのHot 100登場なるか注目です!

BillboardはRemixを基本的に同一の曲として扱うので、Shape of Youの一部として扱われる予定です。ですが、イギリス発のグライムがこのような形でアメリカに上陸しているのは現象として面白いのでお伝え致します。

 

今週チャートから姿を消した曲

(左の数字は先週の順位 ※はリカレントルールが適用された曲)

 

97 Rick Ross ft. Young Thug & Wale – Trap Trap Trap

96 Eric Church Featuring Rhiannon Giddens - Kill A Word

94 Ed Sheeran - Perfect

88 Machine Gun Kelly ft. Hailee Steinfeld – At My Best

76 Drake – Skepta Interlude

73 Noah Cyrus ft. Labrinth – Make Me (Cry)

70 Drake ft. PARTYNEXTDOOR – Since Way Back

64 Drake – Lose You

※59 Travis Scott ft. Kendrick Lamar - Goosebumps

※47 DJ Snake ft. Justin Bieber – Let Me Love You

 

*1:Nothing Was the Same、If You’re Reading This, It’s Too Late、Beauty Behind the Madness、What A Time to Be Alive、Purpose、Lemonade、Views、Starboy、4 Your Eyez Only、Divide÷