チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 1/4 特集 [チャート上では2020]  【クリスマス2019特集】

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 お正月の冬眠から目覚めました。皆様あけましておめでとうございます。

 

 いつもよりかなり遅めのHot 100記事更新ですが、今後更新の方針を改めようと考えて今す。いろいろ考えることがあって(理由7つぐらい)、Hot 100記事を毎週更新から毎月+α更新にしようかと思っています。詳しいことはまた別記事でお伝えする予定です。急な変更ですが、ご理解よろしくお願いします。

 基本的には1ヶ月ごとにその月のHot 100を振り返る記事を作成。そして何か面白い週や出来事があれば、そのことにフォーカスした記事を出す方針でいます。(そうでなくても、Twitterで多少の情報発信は毎週すると思います)

 今週はクリスマス週で見どころが多いので、記事を作成しました。来週もクリスマス後の大規模入れ替えが面白いので記事を作ると思います。

 

 

◇今週のHot 100 ハイライト◇

・クリスマス曲が1位~4位を独占。全体で25曲がランクイン。(うち24曲がトップ50)

・”All I Want for Christmas Is You”が1位キープ。再生数は7270万

・集計対象は昨年12月ながらも、チャート日付は新年1月のため、Mariah Careyは4Decade連続での1位獲得を達成。史上初の快挙

・アルバム1位は2週連続でHarry Styles

 

今週のHot 100順位表↓

 

 

テーマ1:クリスマス曲の量 

 今週の集計は12/20~12/26。クリスマスのピークに当たる24日・25日が含まれているため自然と再生数も伸びました。クリスマス曲は先週から9増加して、今週のHot 100には計25ものクリスマス曲がエントリーしました。

2018 2019
3 All I Want for Christmas Is You 1 All I Want for Christmas Is You
8 Jingle Bell Rock 2 Rockin' Around The Christmas Tree
9 Rockin' Around the Christmas Tree 3 A Holly Jolly Christmas
10 A Holly Jolly Christmas 4 Jingle Bell Rock
11 The Christmas Song (Merry Christmas To You) 7 It's the Most Wonderful Time of the Year
13 It's the Most Wonderful Time Of The Year 11 Last Christmas
16 Rudolph The Red-Nosed Reindeer 12 Feliz Navidad
20 Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow 15 Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow
25 Last Christmas 16 The Christmas Song (Merry Christmas To You)
26 Sleigh Ride 22 Rudolph The Red-Nosed Reindeer
28 Here Comes Santa Clause (Right Down Santa Clause Lane) 21 Sleigh Ride
29 Feliz Navidad 24 Happy Holiday / The Holiday Season
32 (There's No Place Like) Home For The Holidays 28 It's Beginning To Look A Lot Like Christmas
34 White Christmas 29 Christmas (Baby Please Come Home)
35 It's Beginning To Look A Lot Like Christmas 31 Underneath The Tree
40 Blue Christmas 32 Here Comes Santa Claus (Right Down Santa Claus Lane)
42 Happy Xmas (War Is Over) 36 Run Rudolph Run
43 Christmas (Baby Please Come Home) 37 (There's No Place Like) Home For The Holidays
44 Underneath The Tree 40 Blue Christmas
45 Run Rudolph Run 42 White Christmas
49 Jingle Bells 43 Jingle Bells
53 Cozy Little Christmas 44 Like It's Christmas
55 The Christmas Song / Lauren Daigle 45 baby It's Cold Outside
  49 You're A Mean One, Mr. Grinch
  67 Happy Xmas (War Is Over) / John Legend

 ※赤字はその週にエントリーした曲

 昨年もピーク週は23曲がHot 100入りしましたが、今年はその数字をさらに上回りました。

 

 今年が登場「曲数」のピークになる可能性もあります。2020年は閏年で日が2つ進み、クリスマスのチャート日程で24日と25日が別の週に分離します。USでは25日が再生数のピークになる傾向があるので、25日を失ってしまうのは非常に大きいです。

 今年のような24日・25日が両立して、かつクリスマス「外」の期間が短い週が巡ってくるのはかなり先なので、その時には人気の傾向・またチャートの制度がどうなっているかが読めません。

 ビルボードは古い曲が再登場・再浮上することに厳しい印象があります。今年1位を獲得して「一定のクライマックス」を迎えたので、来年以降クリスマスに関して制度を今後改める可能性も少しあるかもしれないです。単なる私の推測ですが。

 

 

テーマ2:“All I Want for Christmas Is You”について

 引き続き首位を獲得したこの曲が今週打ち立てた記録がいくつかあります。

 

・4Decadeでの首位獲得

 3週前に1位浮上した時から期待されていた記録です。チャートの日付が2020年になっている(集計は昨年の12月だが)今週も見事1位を確保し、史上初の4つのDecadeにわたる首位獲得に成功しました!

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 2010年代にギリギリで滑り込み、その座をキープして4Decadeで覇権。2020年代の制覇は「チャート表記上」での話ですが、来年も1位を獲得すれば真の意味でも2020年代を制することができます。今年の様子を見る限り、再び1位になるのはさほど難しくはなさそうですが、果たして……?

 ちなみに現在チャート入りしているMaroon 5の“Memories”はわずかに1位の可能性を残しており、この曲が仮に首位になれば’00s, ‘10s, ‘20sの3Decade制覇を達成します。可能性は低そうですが。

 

・16の年で1位を獲得

 4つのDecadeで1位を獲得すれば、つまり多くの「年」でも1位を獲得したということになります。”All I Want for Christmas Is You”が19-20年で1位を獲得したことにより、彼女は合計16の年で1位を獲得したことに。(1990-2000, 2005, 2006, 2008, 2019, 2020) これは次点を大きく離しての最多記録です。

 次点はPaul McCartneyMichael Jackson、Madoonaが記録した10年。

 

・3週以上の1位滞在が10曲目(史上最多)

 今週で3週目の1位。これで3週以上1位を記録した曲が10まで到達し、この記録の単独トップに立ちました!次点はThe BeatlesRihannaの9曲。それだけ彼女の「特大ヒット」が多いということなのでしょう。

 

・再生数は7220万 (先週比+33%)

 再生数のピークを更新。昨年の同時期は5190万再生だったので、規模の拡大を感じます。日程の関係が大きいのかもしれませんが。(昨年は12/21~12/27、今年は12/20~12/26の集計。クリスマスムードが消える期間が少ない) 音楽に興味のない層まで巻き込めるクリスマス曲の巨大なポテンシャルを感じます。

  一方先週との比較では+33%の増加にとどまりました。昨年は同時期におよそ+50%増加だったので、先週からの伸び率という観点から見ると意外と伸びていないという印象もあります。

 

・年間チャート入り?

 今年はこの曲の25周年ということで、追加のプロモーションも多く行われました。これが無くともピーク週には1位に到達した気はしますが、プロモ自体は有効に働きセールス増加などのプラス効果をもたらしました。

 このプラス分により早いタイミングでの1位浮上を実現。そしてもう一つ個人的に期待しているのは2020年間チャート入りです。クリスマス曲はチャート入り期間が短く(この曲は7週)、年間チャートに入るとすれば1週間ごとにかなりの成績が必要になります。7週だと全ての週で常時の3位程度の成績が必要になります。

 かなり高いハードルですが、追加プロモーション分がちょうど有効に働き“All I Want for~”が年間チャートに入るのでは?と少し期待しています。

 

この章で参考にした記事↓

 

 

 

テーマ3:上位のクリスマス曲とストリーミング

 昨年から続く大躍進の中心はストリーミングです。ラジオの数値もあり、さらにそのラジオとストリーミングのピークが同じタイミングで来る、という他には無い強みもあるクリスマス曲ですが、やはり基調となっているのはストリーミングです。その点に少し突っ込んでみようと思います。

 昨年もクリスマス曲が大躍進を果たしていましたが、どの媒体で人気かは謎でした。というのも、普段Hot 100で存在感を示すApple Music・YouTubeでそこまでクリスマス曲が人気ではないからです。Spotifyでは一定の人気がありますが、“All I Want for~”が週の1位までは到達しないなど、圧倒的に制圧しているわけでもありません。そして曲のラインナップが微妙にHot 100と異なります。(”Santa Tell Me”がSpotifyでは上位に入りやすいが、Hot 100には入らないなど)

 つまり何が言いたいのかというと、ストリーミングとHot 100の整合性がイマイチ取れていないような印象を持っていました。Hot 100予想でおなじみのSimon Falk氏も「これほど予想が難しい期間は無い」のようなコメントを昨年今年もしています。

 

 これに対してビルボードは「Amazon MusicとAlexaがクリスマス曲をサポートしている」という記事(現在は有料に)を出し、Amazon Musicの再生数がポイントであることを示しました。

 実際今年Amazon Musicのランキングを確認したところ、ピーク時にはトップ50のうち「それ以外」の曲が1つのみになるなど、凄まじいクリスマス曲の制圧ぶりでした。普段はあまりHot 100で存在感がありませんが、クリスマス時には再生数の規模自体も伸ばしてHot 100に影響を与えるようになる、ということなのでしょう。

 

 ただ、それでも実は疑問点はまだあります。それはAmazon以外のプラスはどこか?という疑問です。 “All I Want for~”は4週間連続でビルボードのStreaming Songsの首位に立っているのですが、On-Demand Streamingチャートではこの期間に、2回首位を明け渡しているのです。(“Heartless”と”Futsal Shuffle 2020”に)

 Amazon MusicはOn-Demand Streamingに分類されるストリーミングです。Amazon Music以外の場所でのプラスが無いとこの逆転現象は発生しないのです。

 主にOn-Demandを対象としているRolling Stone Chartsでも、しっかりとクリスマス曲が上位につけており、Amazon Musicが集計の対象になっていることが伺えるのですが、ここで表記される再生数とビルボードで表記される再生数にはかなりのギャップがあり、この点でも「どこかにプラス分がある」ということが伺えます。

 

 その他もろもろのストリーミングのランキングを探ってみましたが、(ランキングが見える物では)クリスマス曲が上位を独占している媒体はありませんでした。例えばTidalではクリスマス曲への興味は皆無でした。

 一応考えられるのはPandoraでしょうか。ランキングには今年のクリスマス曲がいくつかランクイン。一番上の“Like It’s Christmas”で20位と順位はそこまで高くはありませんが。

 新しい曲のみランクインしているのはPandoraのランキングではHot 100のようなリカレント制度があるためです。そのため、これによって外されている古いクリスマス曲がかなりの規模になっている可能性も少し考えられます。

 Pandora自体の規模もある程度あるため、仮にPandoraで古いクリスマス曲も大人気だとすれば「謎のプラス分」の再生数をそれなりに賄うと思います。

 

 かなり気になるテーマなので、ビルボードにはぜひ内訳を発表してほしいですね。

 

 

テーマ4:クリスマス25曲が抜ければ自然と他の曲は上昇?来週のトップ10/40

 クリスマスが終われば、一気にクリスマス曲は再生数を落とします。そして来週クリスマス曲が一斉にHot 100から姿を消します。その分Hot 100の「枠」が大きく空くので、既存の曲は大きなジャンプアップが期待できます。

 来週はTravis Scott率いるJACKBOYSの曲が多く入りそうなので、それも加味して来週のジャンプアップを大まかに予想していきましょう(リミックス追加の“HIGHEST IN THE ROOM”はトップ10と思われる)

 まずトップ10から。現在トップ10には5つクリスマス曲が入っているので、単純に計算すると13位の”The Box”、14位の”Dance Monkey”、17位の”10,000 Hours”、18位の”Lose You to Love Me”までがトップ10に復帰。(“HIGHEST~”のトップ10を考慮) また、19位の”Ballin’”、20位の”BOP”にも可能性はあるでしょう。

 注目はRoddy Ricch。初のトップ10をダブル(”The Box”と客演の”Ballin’”)で達成する可能性もあります。

 

 続いてトップ40。単純計算で64位以上の曲は来週トップ40まで到達します。”My Oh My”や”hot girl bummer”などに初のトップ40入りのチャンス。

 

 ほか現在Hot 100圏外の曲で注目なのはDoja Catの“Say So”とBROCKHAMPTON の”SUGAR”です。前者はTikTokに牽引され主にSpotifyで人気浮上中。後者はポップ系ラジオでの少しのオンエア、そしてSpotifyでの急浮上が目を引きます。来週はまだ登場しなさそうですが。ラジオ以外に浮上の要因があるのかは不明。

 

 

テーマ5:その他の上昇 / In

 上位はクリスマス曲が枠を多く占めているので上昇曲はレアですが、51位以下ならば新登場/再登場した曲を含めて順位を上げている曲がいくつかあります。

 

△56 YNW Melly – Suicidal (+2)

 激しい争いの中で浮上。ラジオのサポートが皆無ながらも来週3曲目のトップ40を達成するか。”223’s”も同様に浮上(91位→84位)

 

☆85 H.E.R. feat. YG – Slide

 アーバン&リズミックの2系統のラジオで浮上。さらにYouTubeで40位と上位に。AppleSpotifyでも一定の成績。

 

◇98 Karol G & Nicki Minaj – Tusa

 ラテン圏でかなりの人気を誇る1曲。メキシコのSpotifyで初めて100万再生/日を越えた曲に。 (※メキシコのSpotifyは規模が大きいものの、USのように新曲に飛びつく習性が無いため、曲の再生数が特定の日に集中せずに「ピーク再生数」という観点ではあまり規模が大きくなかった)

 

◇100 Ed Sheeran feat. Camila Cabello & Cardi B – South of the Border

 ラジオのオンエアを活かして再登場。ただしSpotifyでのピークは過ぎた印象。(①アルバム直後 ②Today’s Top Hits再登場~ で②が終わりつつある印象。ただリストにはまだ残っている)

 

 

~その他の今週のHot 100情報~

 

・今週のトップ10

―1◎ Mariah Carey – All I Want For Christmas Is You 🚩

―2◎ Brenda Lee – Rockin’ Around The Christmas Tree

△3◎ Bobby Helms – Jingle Bell Rock

△4◎ Burl Ives – A Holly Jolly Christmas

▽5  Post Malone – Circles

▽6◎ Arizona Zervas – Roxanne

△7◎ Andy Williams – It’s The Most Wonderful Time Of The Year

―8  Lewis Capaldi – Someone You Loved

▽9  Maroon 5 – Memories

―10  Lizzo – Good As Hell

🍎=Apple Musicで1位、✅=Spotifyで1位、🚩=YouTubeで1位

🍎✅=”The Box” = 13位

 

 

今週Hot 100に登場した曲 (☆新登場 / ◇再登場)

◇29 Darlene Love – Christmas (Baby Please Come Home)

◇31 Kelly Clarkson – Underneath the Tree

◇36 Chuck Berry – Run Rudolph Run

◇37 Perry Como – (There’s No Place Like) Home For The Holidays

◇40 Elvis Presley – Blue Christmas

◇42 Bing Crosby – White Christmas

◇43 Frank Sinatra – Jingle Bells

☆45 Dean Martin – Baby It’s Cold Outside

☆49 Thurl Ravenscroft – You’re A Mean One, Mr. Grinch

☆69 John Legend – Happy Xmas (War Is Over)

☆85 H.E.R. feat. YG – Slide

◇98 Karol G & Nicki Minaj – Tusa

◇100 Ed Sheeran feat. Camila Cabello & Cardi B – South Of The Border

 

 

今週チャートから外れた曲 (13曲)

【先週の順位、アーティスト名、曲名、🗻ピーク順位、⏰チャート滞在週数】

100 Trippie Redd feat. Juice WRLD & YNW Melly – 6 Kiss (🗻60位 /⏰4週)

99 Harry Styles – She (🗻99位 /⏰1週)

90 Roddy Ricch feat. Meek Mill – Peta (🗻72位 /⏰2週)

87 Matt Stell – Prayed For You (🗻36位 /⏰20週)

86 Harry Styles – Golden (🗻86位 /⏰1週)

84 Harry Styles – Cherry (🗻84位 /⏰1週)

83 NLE Choppa – Famous Hoes (🗻83位 /⏰1週)

79 Blake Shelton & Gwen Stefani – Nobody But You (🗻79位 /⏰1週)

67 YoungBoy Never Broke Again – Dirty Iyanna (🗻67位 /⏰1週)

64 Harry Styles – Lights Up (🗻17位 /⏰5週)

62 Harry Styles – Falling (🗻62位 /⏰1週)

45 Jonas Brothers – Only Human (🗻18位 /27週)

22 Juice WRLD – Lucid Dreams (🗻2位 /48週)

 

 

・Hot 100圏外の曲のうち各サービスで最も人気のあった曲

🍎 Roddy Ricch feat. Mustard – High Fashion (今週10位程度)

✅ Harry Styles - Falling (今週52位)

🚩 YoungBoy Never Broke Again - (今週29位) 

Apple Musicは週の最終日の順位を週間の“参考順位”としています(Apple Musicには週間チャートが無い)

 

 

 

 

 

2019年・年間まとめ系記事リンク集

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 年末に作成した、2019年をまとめるような「年間記事」をいくつか作成したので、それのリンク集を作成しました!お正月の暇つぶしなどに役立ててください。

 

 

・ Hot 100(USシングル) 2019年間チャートを10のポイントで振り返る

Hot 100年間チャートを振り返りました。

 

 

・Hot 100に登場した日本関連の曲 2019

今年は日本人のHot 100エントリーが多かったです!

 

 

・ヒット曲の最終的なHot 100成績 【リカレント2019】

ヒット曲の最終成績を羅列しました

 

 

・【2019・毎週のHot 100ハイライト+トップ10推移表】

後々追加した、毎週のハイライトをまとめた記事です

 

 

・イギリス 2019年間シングルチャートを6のポイントで振り返る

 年間チャート・イギリス編

 

 

・2019 ドイツの年間チャートを5つのポイントで

年間チャート・ドイツ編

 

 

・批評コミュニティサイト AOTY毎週の注目作品のリスト 2019

批評コミュニティ内での人気作品をリストにしました

 

 

・私のベストトラック100+・2019年

シングル編 Spotifyプレイリストも追加しました

 

 

・私のベストアルバム 40+ 2019

アルバムのほう +4EP

 

 

・2019年 マイ・ベスト読書

読書です。少し音楽の話もしています。

 

 

☆記事ではないけど

 

・USの各媒体での1位推移の表

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※日付はHot 100準拠

Apple Musicは週間チャートが無いため、その週に1位滞在が最も長かった曲を1位に

 

Spotifyでの主要国の1位推移

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 ちなみに白抜きの曲はいわゆる「ローカルヒット」です。主要国のセレクトはこの記事に基づきます。

 

 ・USのSpotifyでの人気作品

 

 

☆この記事の昨年版

 

 

私のベストアルバム 40+ 2019

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 今年のベストトラックを発表します! ※記事の最後に順位だけを貼った表があるので、順位だけが気になる人は最後まで飛んでください。

ベストトラック編は↓

 

 まずはどのような基準でアルバムを選んでいるかを説明します。

 

・対象期間は「およそ」2019年。ただ昨年末ギリギリにリリースされ、昨年の選考に間に合わなかったアルバムも一つ今年のリストに入れています。

 

・自分の好み7:3世間的な流れ くらいのバランスです。 音楽のベストはこの2つの軸があると思っています。私は自分の好みをベースに選曲をしつつ、チャート研究者として一年間見てきたものも一部ランキングに落とし込みました。

 

・うまく説明できないけど、聞いて良かったです!というアルバムもあるので、コメントが短い作品もあります💦

 

 

40 Megan Thee Stallion – Fever

 前アルバムの“Big Ole Freak”のラジオヒットを経て注目を集めた新鋭女性ラッパー。その曲でも見せていた高いラップスキルを披露する1枚です。DaBabyとのシングル”Cash S**t”は特に注目を集め、さらなる飛躍に繋がりました。ちなみに夏頃リリースされた”Hot Girl Summer”はこのアルバムには入っていません。

 このアルバムは何曲かがJuicy Jプロデュースで、feat.の無い曲でもちょいちょい登場します。“Dance”ではslob on my knobスタイルも。

 

39 Little Simz – GREY EREA

 UKの女性ラッパー。個人的にはR&B的な印象もあります。ジリジリと滋味のあるサウンドプロダクションが特徴的。

 

38 Kehlani – While We Wait

 ポップさが弾ける前作よりは、落ち着いた作品という感想を持ちました。際立つ曲はUS国外でもそれなりにヒットした“Nights Like This”ですが、次に配置される”RPG”にも魅力を感じました。

 

37 Kanye West – Jesus Is King

 キリスト教に寄せたコンセプティブな内容。前作に続く短尺の傾向。私はキリスト教に通じてはいないのでうまく共感出来なくて、そしてカニエの音楽はもっと長尺で浸りたい!という希望があって、多少「?」と感じる部分もあります。

 ただそういった「?」を押し返せるほどのカニエならではの音楽的クオリティは実感できました。

 

36 Dave - Psychodrama

 昨年”Funky Friday”でUKシングル1位を獲得したUKのラッパー。アップテンポだった“Funky Friday”とは違い。物憂げな曲が並ぶアルバムです。

 これがUKで大ヒットになり、「アルバム単位」でヒット。USとは違い、UKのストリーミングではあまりアルバム単位で曲が再生されないのですが、この作品はシングル以外も長く人気を保ち「アルバム単位」での人気が際立ちました。

 

35 Denzel Curry – ZUU

 ラップの中にも3種類の分類があると私は考えています。ポップラップ、アーバンラップ、インディーラップの3つです。

 ポップラップは主にポップ系ラジオでかかるラップのことでシングル志向が強いことも多いです。例はMacklemoreやPitbullです。

 アーバンラップとは一般的なラップと同義と考えて良いです。ラジオ区分で言うとポップ系ラジオではあまりかからないものの、アーバン系でよくかかります。(逆に上記のポップラップはアーバン系ラジオでかからない)

 最後にインディーラップとは、アルバム単位での作品志向があり、ラップ以外のジャンルからも影響を受けているものです。

 ただこれらのジャンル分けは曖昧な線引きで、複数ジャンルを兼ねる場合も多いです。Post Maloneは上記3つ全てに当てはまるのではないでしょうか。

 

 彼の前作はインディーラップ寄りのアプローチだったと思っているのですが、今回はTay KeithやRick Rossなどアーバン系のビッグな面子も呼び寄せて新規要素を追加。よりスケールアップした印象です。

 

34 DaBaby – Baby on Baby

 DaBaby大ブレイクの先駆けとなった”Suge”が収録されているのはこのアルバム。彼は年の後半にもう一つアルバムをリリースしましたが(”Kirk”)、彼のラップスタイルの魅力がより伝わるのは先にリリースされた“Baby on Baby”の方だと思います。

 “Suge”などが並ぶアルバム最初3曲の破壊力は特に際立っています。

 

33  Rico Nasty & Kenny Beats – Anger Management

 19分という短い構成の中にRico Nastyの破壊力のあるラップの魅力が詰まっています。曲単位でも尺は短いのですが、それぞれがインパクトを持っています。彼女のラップをKenny Beats、また客演で参加するBaauerなどが迫力のあるサウンドで「迎え撃って」います。 

 あと昨年のアルバムもKenny Beatsが中心のプロデュースだったのに、昨年のベストアルバム記事だとTay Keithの話ばっかしていてKenny Beatsさんすいません

 

32 JPEGMAFIA – All My Heroes Are Cornballs

 主に批評サイドで注目を集めているラッパー。そのサウンドプロダクションが魅力的だと思います。所々ある歌っているシーンも好きです。

 

31 J Balvin & Bad Bunny – Oasis

 ラテンアーバン界の巨星2人のコラボアルバム。Apple Musicの説明欄がすごく詳しく書いてあるので、それを読むのがこの作品を理解するのには一番良いと思います!

 それまでラテンアーバンの正統派として活躍してきたJ Balvinと大胆不敵なスタイルを持つBad Bunnyによるコラボ。アルゼンチンのベテランバンドLos Enanitos Verdesや、ナイジェリア出身のMr. Eaziなど幅広い要素も取り入れ、収録曲数は少ないながらもバラエティ豊かです。

 あと説明欄に載っている昼夜逆転のエピソードも好き。J Balvinは普通の早起き型のリズムですが、Bad Bunnyは超絶夜型で、J Balvinが起きる時間=Bad Bunnyの寝る時間らしい。

 

30 MACHETE – MACHETE MIXTAPE 4

 ミラノに拠点を置くラップレーベル・MACHETEによる作品。イタリアのストリーミングランキングでは、USと同じようにラッパーが上位を独占し、アルバムリリース時には大きく再生数が跳ね上がります。Spotifyのピーク時の再生数はかなりのもので、イタリアだけで複数曲が100万 / 日を突破。ほぼイタリアの人気のみながらも、グローバルランキングでトップ100にも入ったことも。

 

 ラッパーがアルバム単位で人気、というUSと同じ需要の構造を持ちながらも、サウンドはUSとはかなり違うものを感じます。全体的にダンサブルで、かつ激しく衝動的なサウンドが特徴的です。USでは「アートラップ」と称されてもおかしくはないサウンドに思いますが、イタリアではこの特殊(に感じる)サウンドが大きな人気を獲得したのです。”Yoshi”のGeniusには”Going Bad”から影響を受けたと記されていますが、私は聞いていてそう感じたことは無かったです💦

 USとは似て異なる、そんな多様なラップの広がり方に感銘を受けました。

 

 またこの作品は日本からの影響を感じます。イタリアでシングル1位も獲得した“YOSHI”は任天堂のキャラ・ヨッシーのことを指していて、他にも”GOKU”や“KEN SHIRO”と曲名が日本関連のものが3曲もあります。

 複数の流れが絡まった先にあるカオスな世界観を楽しむ1枚です。PCのフォルダの背景に炎がメラメラ燃えるカバーアートはアルバムの内容を表しているようにも感じます。(PCのフォルダはインターネットを通じて遠い世界の要素を取り入れていること、炎は衝動的さを感じるサウンドプロダクションを感じました)

 

29 Caroline Polachek – Pang

 Chairliftの女性シンガー。雰囲気のあるエレクトロな曲が並び、“So Hot You’re Hurting My Feelings”と”Door“と目玉シングルが続く終盤にクライマックスを迎えます。

 PC MusicのA.G. CookやDanny L Harleが参加しています。

 

28 King Princess – Cheap Queen

 昨年”1950”がSpotifyでヒットしたシンガーのデビュー作。序盤にインタールード的に配置されている“Useless Phases”、そして後半の”Trust Nobody”がお気に入りです。

 彼女の声質が好みで、それがうまく映えるメロディーラインがある展開が良かったです。

 

27 Carly Rae Jepsen – Dedicated

 “Call Me Maybe”が大ヒットした2012年も遠く昔に感じます。完全に「玄人も認める実力派」ポップシンガーになったCarly Rae Jepsenの新作。

 魅力的なポップソングが多く並んでおり、個人的なお気に入りは1曲目に配置されるしっとり系ポップソングの“Julien”。ほかにパーティーダンスポップの”Now That I Found You”、サウンドが楽しい”Want You In My Room”などバラエティ豊か。

 

26 Rich Brian – The Sailor

 88risingのインドネシア人ラッパーの新作。前作ほどストリーミングの注目は集めなかったものの、スケールアップを感じる作品でした。

 荘厳な“Yellow”など曲の幅があって、アルバム単位での迫力を感じます。リズムが切り替わる”Slow Down Turbo”もなかなか興味深いです。

 

25 Lizzo – Cuz I Love You

 軽やかな過去シングル、”Truth Hurts”や”Good As Hell”が突如ヒットして一躍スターダムに躍り出たLizzo。同時に今年リリースされたアルバムも注目を集めましたが、その収録曲は逆に濃厚でパワフルな曲が集まっています。Hot 100首位を獲得するだけの実力を証明する曲が並んでいます。

 元々このアルバムに入っている曲がそこまでヒットしなかったのは少し残念です。“Juice”は少しヒットしていた時期もありましたが、”Truth Hurts”にシングルが切り替わって存在感を落としてしまいました……

 

24 Sigrid – Sucker Punch

 2017年に”Don’t Kill My Vibe”でブレイクを遂げたノルウェー人シンガーのデビュー作。過去シングルの“Don’t Kill My Vibe”や”Strangers”も収録されています。

 これらのパワーあるシングルに加え、今年加わった強力なシングルが“Don’t Feel Like Crying”。メロディーラインが印象的なポップさが弾ける1曲で、”Strangers”に次ぐUKでのヒットにもなりました。アルバム全体にみずみずしいポップセンスが広がります。

 

23 Hannah Diamond – Reflections

 PC Musicの歌姫、Hannah Diamondによる待望のデビュー作。ただかなり古い曲も含めた既存曲中心の構成だったため、「ついにベールを脱いだ」感は無く、元々ある彼女の魅力を感じる1枚でした。PC Music流のプロダクションと美しいメロディーのコーラスを感じる作品。

 ちなみにベストトラック編で”Concrete Angel”はアルバムで珍しい今年の曲だ!と言っていましたが、YouTubeSoundCloudには2017年にアップされていたようだったので、その部分訂正しておきました💦 (変えたのは記述だけで、ランキングは変えていません)

 

22 Dorian Electra - Flamboyant

 Charli XCXの“Pop2”にも参加したシンガー。代名詞はTheyのことが多いです。バブルガムベースを基調としたポップアルバムです。表題曲の”Flamboyant”が印象的です。出だしのピアノがちょっとゲームBGMっぽくて心をくすぐられました。全体的にドラマチックな構成の曲が多いです。

 

21 Vampire Weekend – Father of Bride

 過去作のほとんどが大絶賛をされているバンドの6年ぶりの作品。否が応でも期待感は高まりまくります。その高すぎる期待感に応えられるか?がこの作品の焦点になっていたと思います。

 批評メディアの点数、また年間リストの順位を見る辺り、その期待感に真っ向から応えられたわけではなかったようですが、悪くはない評価を得ておりリスナーを失望させることは無かったようです。難しい状況を、無難に切り抜けられたとも表現できます。(Pitchforkがそんな感じのこと言っていた

 

 ヒット面でも一定以上の成果を挙げています。USでは3連続でアルバム1位を獲得。Hot 100登場歴が無いアーティストとしては最多タイの数字です。(Slipknotと並んで) ポイントはチケット戦略でのセールスを中心でしたが、Spotifyでは8曲がUSのランキング圏内に登場するなど、ストリーミングでも健闘しています。

 タイトルどおりハーモニーを感じるシングル、“Harmony Hall”は彼らにとって最大級のラジオヒットにもなっています。

 

20 Flume – Hi, This Is Flume (Mixtape)

 ミックステープと称された作品で再出発をしたFlume。メインストリームでも大きく活躍したポップな前作から一転、歪なサウンドを披露しています。

 名タッグになっているKučkaやSophieや、UKのラッパーSlowthaiなどが参加。Slowthaiが参加する“High Beams”はアルバム随一のユニークな楽曲。

 

 

19 FKA twigs - MAGDALENE

 終始強い「情」を感じる1枚。最後の”cellophane”はシンプルなプロダクションながらも強いインパクトを残します。Futureとのコラボは意外でしたが、彼女の作風にもよくマッチしていて、同時にFutureの持ち味も出ていると感じました。

 

 

18 Billie Eilish – WHEN WE ARE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?

 期待値マックスの状態から、すごくうまく「着地」した印象があります。結果的に批評的評価もセールスも成功を収め、一躍ビッグスターとしての地位を確立しました。

 特にすごかったのはセールス面の方で、USでは年間アルバムチャート1位を獲得!ストリーミングもセールスも素晴らしい数字を残しました。

 彼女の雰囲気を保ちつつ、セールス面で躍進を引っ張った”bad guy”がやはりMVPでしょうか。アルバムは全体的な再生数も優れていて、現在Spotifyでは最後の”goodbye”(と短すぎて測定不能の”!!!!!!””)以外は全ての曲が1億再生に到達しています。

 

 

 “bad guy”以外では”xanny”、または“wish you were gay”のラストの拍手→”when the party’s over”の繋がり方が好きです。

 

 

17 Tove Lo – Sunshine Kitty

 安心と信頼のポップ曲を提供するシンガー。ヒットを飛ばす → 玄人も納得のポップシンガーという流れは少しCarly Rae Jepsenとも似ています。

 最初の2曲、“Glad He’s Gone”→”Bad as the Boys”で一気に心を掴まれます。後半にあるKylie Minogueが客演した“Really Don’t Like U”も見どころの一つです。

 

 

16 Young Thug – So Much Fun

 自身の影響が明確に現れるスタイルを持つ後輩のGunnaやLil Babyなどを客演に迎え、異質と捉えられて来たYoung Thugラップスタイルの定着や進化を感じさせます。

 この作品はストリーミングで高い支持を得て、アルバム1位を獲得。Young Thugにとっては初のこと。形式上は「デビューアルバム」ながらも、「Young Thug帝国の完成」を高らかに宣言するようなアルバムだった気がします。

 

 

15 Harry Styles – Fine Line

 ソロ活動以降、実は目立ったシングルヒットはありませんでした。“Sign of the Times”や”Lights Up”などは最初高い注目度を集めはするものの、すぐに再生数は落ちてしまいます。それはこれらの曲が、シングルよりもアルバム曲として設計されたからで、シングル単体での再生数が伸びづらいのも納得はいきます。

 愚直に続けたアルバム路線が大きく花開いたのがこの作品です。USで47.8万という総合売上でアルバム1位を獲得。これはTaylor Swift、Post Maloneに次ぐ今年3番目の成績。多くはチケットやグッズに基づくセールスの数字ですが、ストリーミングでも1億再生越えと優秀な数字を収めています。

 

 

14 Tyler, the Creator – IGOR

 再生数的な面でも大きく飛躍したTyler, the Creator。Denzel Curryの項で説明したラップの分類では「インディーラップ」に属する彼 / またこの作品は、シングル単位に分解するのは難しく、あまりメインストリーム向きとは言えません。しかし“EARFQUAKE”を中心にかなりの再生数を得て、DJ Khaledとのアルバム争いを制しました。

 この作品は自身がプロデューサーやアレンジを担当。ソロのラッパーでプロデュース&アレンジをしてアルバム1位になるのは初のことだそうです。それだけ他のラップアルバムとは一線を画する特殊なアルバムだったということです。

 

 

13 Hatchie – Keepsake

 とにかく聞き心地が良いドリームポップシンガーHatchieのデビュー作です。曲が個別で力強かった昨年のEPとは違い、アルバムという尺を意識した構成になっています。

 アルバム全体を聞いて雰囲気に浸るのに適している作品のように思います。どちらかというとインディーリスナーの間で話題になっている気がしますが、ポップ系のリスナーにもハマる作品かなーとも思います。

 

 

12 100 gecs – 1000 gecs

 アメリカ発・バブルガムベース界に新風を吹き込んだデュオ。その奇抜で実験的なサウンドでリスナーを虜にして、批評家からも高く評価されました。特に始まりの2曲はパンチが効いていて、はじめて聞くと驚くと思います。1番目の”745 Sticky”は衝動性が抜群、そして2番目の“Money Machine”は批評家の間で最も評価が高いです。

 ”xXXi_wud_nvrstøp_ÜXXx"ではSoulja Boy Tell’emの”Kiss Me Thru the Phone”を引用するという意外な一面も。

 今後は他のアーティストのプロダクション担当の仕事にも期待したいです。

 

 

11 Slayyyter – Slayyyter

 バブルガムなポップをスタイルとするシンガー / ラッパー初の作品。デビューアルバムではなく、ミックステープという形式でのリリース。

 現行のメインストリームではなかなか見られない、ギラついたプロダクションが全体的に広がっています。一番ギラギラしていて激しい曲は”Alone”。先行曲だった“BFF”や”Daddy AF”も際立つ存在です。

 

 

10 Clairo – Immunity

 少しピントがボケたようなボーカル(ローファイ)とRosatmが監修するプロダクションが魅惑の1枚。

 お気に入りは”Sofia”。アルバムの中で一番アンセム感を覚えた曲で、サビのローファイ音かきならしがたまらないです。個人的には2015年のCourtney Barnettの”Pedestrian At Best”や2018年のKero Kero Bonitoの”Only Acting”系統に入る、お気に入りタイプの曲です。

 もう一つ面白いと思ったのは”Closer To You”。ラップなどで見られるジリジリとしたプロダクションをポップにも導入した1曲で、このサウンド&ローファイボイスの融合は新しい発見でした。アルバムの中で何かメインストリームでヒットする曲があるとすれば、これな気がします。メインストリームのアーティストもぜひやってほしい「融合」です。

 

 

9 Juju – Bling Bling

 イギリスと音楽市場規模3位の座を争っているドイツからの1枚。Spotifyの再生数を見る限り、ドイツのラップの規模はイギリスのラップを凌駕しています。

 Jujuの”Vermissen”はSpotifyで100万再生 / 日越えを達成。ドイツのシングルチャートで年間4位に入る大ヒットになっています。

 彼女はかなり高いスキルを持ち、早口なラップをこなすことが可能です。そのとても高いスキルをまず1番目の曲、”Intro”で証明します。しかしそれだけではなく、アルバム全体で緩急をつけ、アルバムでアルバム全体の流れも良好です。(個人的に、早口ラップがあまりにも連続するアルバムは息苦しく感じる)

 「急」側の代表が”Intro”ならば、「緩」側で印象的だったのは”Hi Babe”です。”Intro”で見せる力強いラップに対して、キュートさも感じる1曲です。ほか大ヒットの”Vermissen”、ポップな魅力あふれる”Sommer in Berlin”など粒ぞろいです。

 

 

8 Solange – When I Get Home

 ゆったりとしてアンビエントな雰囲気を持つアルバム。複数登場するInterludeなどが、曲と曲の間をなめらかに繋げて全体の聞き心地を高めている印象です。いかにムードに入るか、がよく練られているアルバムだと感じました。

 メインストリームはほとんど意識していないであろう作品ですが、彼女への期待感からなのか、リリース時には各ストリーミングでも一定の人気を獲得しました。

 

 あと評価がもっと高かった2016年の前作は当時のベスト記事に全く登場させていない(シングルすら)ので、Kenny BeatsやシングルのROSALÍAと同様に「あの時はすいません」の一つですね💦

 

 

7 おとぼけビ~バ~ - いてこまヒッツ

 京都のガールズバンド。昨年はコーチェラ出演。そして今年アルバムリリース。有名音楽批評YouTuber・The Needle Dropの紹介を挟んで海外リスナーにも注目を集め始め、一部で高い評価を得ています。

 関西弁を巧みに操る強烈な歌詞を、ハードなサウンドにのせる1枚で、日頃の怒りを表現しています。(週6労働はキツいなど)

 サウンドこそハードですが、歌詞のリズムの良さなどから、かなり聞きやすいと思います。1回聞き始めると、どんどん進んで気づいたら最後まで行きます。聞けば聞くほど魅了されました。

 実は数年前にライブをチラッと見たことをあるのが密かな自慢です。

 

 

6 Liz – Planet Y2K

 待望のデビュー作で幅の広さを見せつけました!元から得意にしていたバブルガム、そして以前から自称していた「セーラームーンR&B」、また1990年代風のポップなど、多様なラインナップが並んでいます。

 全体的に好ポップスが並んでいますが、まず目を引いたのは”Intuition”でしょうか。5曲目の”Intuition”は元々Kylie Minogueのデモだったものが不思議とLizの元へ渡った曲。ソングライトにLizの名前が無いので、デモをそのままカバーして出したものと思われます。どのような経緯で渡ったのかは不思議ですが。

 実質カバー曲とも捉えられますが、この曲を世に送り出したのは立派なLizの功績だと考えています

 アルバムで次に配置される”Mickey”は本人が志していた「セーラームーンR&B」の完成形だと思っています。ポップ性あふれるプロダクションとリズミカルな歌唱が融合しています。最後に「あなたは超バカ さよなら」と言うのもポイントです。

 

 

5 Lana Del Rey – Norman f*****g rockwell

 批評家から高く評価された1枚。デビュー時から注目は集めていたものの、批評メディアの評価は五分五分だった印象。それが今作はそれまでを上回る「大絶賛」な評価を得た印象です。

 複数客演を迎えるなど、ポップアルバムのようなアプローチだった前作と比べると、元の作風に戻った印象で、あらためて彼女が築き上げた魅力が再確認されたような印象です。曲単位で際立っていたのは”the greatest”です。絶頂します。

 

 

4 Ariana Grande – thank u, next 

 ポップスはシングル戦略中心。それはポップスのラジオの規模が大きく、ラジオでのオンエアさえ始まればヒットにつながることが多いからです。ポップスのシンガーはラジオで有効に再生されるように丁寧にシングルカット。そのカットの多さから、ポップシンガーはアルバムのリリース間隔がだいぶ空くケースもあります。

 しかし近年はラジオの影響力が低下。ストリーミングとラジオの人気曲が分離しだしたのです。ポップスはこのままシングルカットを基調とした戦略で良いのか?

 

 そこで画期的な試みを行ったのはAriana Grandeです。2018年後半~2019年初頭にかけて矢継ぎ早にシングルをリリース。ラジオでのシングルカットを粘るのではなく、新曲や新アルバムのリリースを優先。そしてストリーミングでかつて見ないクラスの人気を獲得し、Hot 100では1~3位独占+全曲が50位以上にランクインと特大の成功を収めました。

 この試み自体ももちろん素晴らしいですし、それを実現させるだけのアルバムの内容も素晴らしかったです。(シングル以外も聞いてもられるだけの内容、つまりアルバム曲の内容も良かったです)

 

 個人的に面白いと思ったのは、シングルを全て最後に配置しているところです。 ストリーミングは終盤の曲の再生数が少なめになる傾向があり、それを解消するための配置なのでしょうが、そもそも聞き始めてもらえなければ意味はないです。そのために一般的に序盤にキャッチーな曲を配置する場合が多いですが、このアルバムは「静」から始まります。

 それでも聴いてもらえる自信があったからこその配置なのでしょうが、このセオリーに反する「実験的配置」は評価に値します。そしてアルバムの流れで実際によく機能していると思います。

 

 

3 Bad Bunny – X 100PRE

 昨年の12月末にリリースされたアルバムです。J Balvin & Bad Bunnyのコラボアルバムをベストアルバムに入れようかな~となった時、それならこちらのBad Bunnyのデビュー作も取り上げたいと思い、リストに入れました。時期が特殊ということもあり、もう少し控えめな順位にもしようかな、とも思ったのですが聞く度にこのアルバムの重要性を理解したので、かなり高い順位に配置しました。

 

 このアルバムはUSでもヒット。ストリーミングでの人気が長く続き、週間のアルバムチャートでのピークは11位ながらも、年間チャートでは43位にランクインすることに成功します。

 Drakeとの”MIA“ありきの成績では?と考えられるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。Spotifyでは”MIA”以外にも6曲が1億再生越え。アルバム全体のアベレージも約1.43億と高いです。

 アルバムではそれを納得させるだけの充実のトラックが並んでいます。後半の変則的な展開で人気の“Caro”、後半の「広がり方」に魅力のある”Otra Noche en Miami”、静→動へのダイナミックな展開が光る”Solo De Mi”などアルバムのどこを取っても魅力的です。(紹介したい曲は正直もっとある)

 ちなみに”MIA”はアルバムの最後に配置され、流れから考えると「ボートラ感」があります。つまりDrakeはあくまでアルバムの宣伝的な存在で、アルバムは主に自分で勝負したい、そのような意思が伺える配置です。

 アルバム全体を見渡してもラテンのアルバムとしてはかなり客演が少なく、つまり人の名前ではなく楽曲の魅力で人気を得る自信があったということでしょう。それを裏付けるだけのカリスマ性が彼にはある気がします。(ちなみに彼はキャラ立ちも面白いので、気になる方は英語版ウィキペディアのImageの項目を読んでみてください)

 

 このアルバムの個々の楽曲のクオリティの高さ、そして本人が持つカリスマ性から2020年代、Bad Bunnyは「ラテンの王」ではなく「メインストリーム全体の王」になるのでは!そんな希望を抱くアルバムでした。

 

 

2 Kim Petras - Clarity

 

 このアルバムを語る上で欠かせないのは、いわゆるEra 1、つまり”Heart to Break”や”Hillside Boys”などを擁するジャケがネオンのシングル群のことです。このシングル群はかなり高い評価を受け、彼女が注目されるきっかけとなりました。しかし、今年これらのシングルが「終わった」と宣言されたのです。これらをアルバムにすることなく……

 それからあまり時間を置かずに”Broken”をリリース。シングルジャケはネオンじゃないし、作風もやや「軽やか」になり変化していることが伺えました。これに対して反応は様々でした。ネオンのシングルは単体でファンを作り出すほどの魅力的なシングルも多く、これをアルバムにしなかったせいなのか、この変化に抵抗を示す人もいました。実際に私は「かなり手のひらを返していた(悪い方へ)」も見ました。

 私もと正直少し困惑はしていました。良い曲だけど、ネオンへの思い入れもなかなか捨てがたくて……。

 

 収録曲12のうち9曲を先行でカットするという形式でリリースされたこのアルバムは以前よりもヒップホップに寄った作風でした。これはDrakeやPost Maloneこそ現代のポップスだとする彼女の考えが反映されたものでしょうか。

 最初聴いたときの感想は「まあ、良い感じかな」でした。好きな曲もあって、良い感じなんだけど、年間のベストアルバムだったら去年のミックステープ(6位)よりは順位が下かな、くらいの感想でした。

 しかしこれが2周目以降だんだん馴染んできました。次第にアルバムの済から済まで魅了されるようになりました。アルバムで初めて聞いて驚きたい!という思いから実は先行で出されても聞いていない曲もあったので、2~3周目以降に化けたのかもしれません。(むしろ先に単体で聞いていたら、あんまり2周目以降で期待感を持って聞けなかったかも)

  曲単位で特に魅力的だったのは”Got My Number”、”All I Do Is Cry”、”Do Me”の3つ。あと最後に配置される”Shinin’”のアルバムの〆方もかなり好きです。

 

 最初はEra 1からの転換も含めて微妙に感じた時期もあったけど、結局はアルバムの音楽的な質によって納得してやっぱり好きになってしまう……アルバムやアーティストでこんな感情の変化ははじめてです。感動しました。

 

 

1 Charli XCX - Charli

 

 「実験的ポップアルバム」とも評価されるこの作品は、鋭いプロダクションが全体的に広がっています。多くのゲストを迎えつつ、刺激的なサウンドが広がるアルバムはまさしくポップスの未来と言える内容になっています。

 そういう新奇性も取り入れながら、ファンの間であまり評判が良くない(気がする)シングル系の曲(”Blame It On Me”など)も私は悪くはないと考えています。

 ベストトラックで取り上げた3曲(”Click”、”Gone”、”White Mercedes”)以外のお気に入りは”Cross You Out”と”February 2017”です。

 ”Cross You Out”ではメタリックなサウンドSky Ferreiraが客演。その曲の雰囲気も好きなのですが、近年リリースが少ない(今年もう1曲リリースしたけど)Sky Ferreiraが登場したのも感慨深いです。

 “February 2017”はきらびやかなサウンドで、アルバムの終盤を象るきれいな曲です。客演のClairoとYaejiを面白い(というか贅沢な)使い方をしています。

 そしてこの次に配置されたラストの”2099”も興味深い曲でした。きれいな前曲とは違い、かなり不気味な雰囲気を出しています。すんなりとは終わらせないぞ、という挑発的な終わり方は個人的に新鮮な体験でした。

 

 これを聴いた時に味わったのは、「好きなアーティストが良いアルバムを出した時の安堵感の大きさ」です。純粋に「良い」だけではなく、刺激もかなりあった所がポイントです。

 実を言うと、正直”Pop 2”とこっちのどっちが好きか?と聞かれたら”Pop 2”に軍配が上がると思います。正直”Pop 2"は「生涯ベストクラス」なので……!

 しかし、好きなものが常に良いというのは案外難しいと思ってもいます。その中でクオリティを保ちつつ、新しい側面を見せてくれたこのアルバムはその難しいミッションを成し遂げていて、今年の1位に相応しいと最終的に考えました。

(1位のセレクトはかなり迷っていて、Charli XCXとKim Petras最後までどっちにしようか考えていました)

 

 

 

最後にベストEPも4つを記しておきます!

 

・Aly & AJ – Sanctuary

Uffie – Tokyo Love Hotel

・Poppy – Choke

・Lil Nas X - 7

 

Aly & AJは昨年のシングルから引き続きエレポップの作風を継続。「インディーみ」が増している印象です。

 

Uffieはその味のあるメロディーラインが好き。

 

Poppyは前のアルバムのような激しい曲 ↔ ソフトな曲の切り替わりが良かったです。フルアルバムを来年の1月にリリース予定。

 

Lil Nas Xは“Old Town Road”以外にもヒットを飛ばせることを”Panini”で証明。シングル2つ以外にも見どころが多かったです。

 

 

 

順位表

1 Charli XCX Charli
2 Kim Petras Clarity
3 Bad Bunny X 100PRE
4 Ariana Grande thank u, next
5 Lana Del Rey Norman F*****g Rockwell
6 Liz Planet Y2K
7 おとぼけビ~バ~ いてこまヒッツ
8 Solange When I Get Home
9 Juju Bling Bling
10 Clairo Immunity
11 Slayyyter Slayyyter
12 100 gecs 100 gecs
13 Hatchie Keepsake
14 Tyler, the Creator IGOR
15 Harry Styles Fine Line
16 Young Thug So Much Fun
17 Tove Lo Sunshine Kitty
18 Billie Eilish WHEN WE ARE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO
19 FKA Twigs MAGDALENE
20 Flume Hi, This Is Flume
21 Vampire Weekend Father of Bride
22 Dorian Electra Flamboyant
23 Hannah Diamond Reflections
24 Sigrid Sucker Punch
25 Lizzo Cuz I Love You
26 Rich Brian The Sailor
27 Carly Rae Jepsen Dedicated
28 King Princess Cheap Queen
29 Caroline Polachek Pang
30 Machete MACHETE MIXTAPE 4
31 J Balvin & Bad Bunny OASIS
32 JPEGMAFIA All My Heroes Are Cornballs
33 Rico Nasty & Kenny Beats Anger Management
34 DaBaby Baby on Baby
35 Denzel Curry ZUU
36 Dave Psychodrama
37 Kanye West Jesus Is King
38 Kehlani While We Wait
39 Little Simz GREY AREA
40 Megan Thee Stallion Fever

 

 

昨年版

 

 

個人的・アーティストのお気に入りツイート集 2019

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 こんばんは。今回の記事は、私が今年RTしたアーティストのツイートを振り返り、それを「お気に入りのツイート」として羅列する、というだけの単純な記事でございます。ある種の息抜き系記事ですかね。

 

 

不定期更新のプレイリスト。もちろん当人がどういう音楽を好んでいるか、も分かるのですが同時にCharli XCXファンコミュニティー内で支持されている音楽のようなものも伺えます。(プレイリスト更新前に入れてほしい曲を尋ねるので)

 

 ペトラス氏のネオン時代最後のシングルについて

 

アルバムのジャケット!?

 

 

 最強のタッグと最強のショット📷

 

 

 

 新シングルのお知らせと風情ある写真

 

 

 元ツイートが消えていますが、私が長い間探していたCharli XCXがLordeと間違えられるインタビューについてでした

 

 

ビデオも良かった🔮

 

 

す、すごい!

 

 

 4枚目が主に話題に。あと ( ◠‿◠ )の顔文字がすき

 

 

 おいでよ!古い市街の道!

 

 

 最近の世代のポップシンガーからの支持が厚い印象のあるブリトニー🙏

 

 

ネオン・エラとの決別・決意表明

 

 

 久々のシングルリリース💓💗✨

 

 

このワンシーン、なかなか破壊力あり

 

 

 帽子の内側の赤いのは💋??

 

 

内定のLizzo、Troye Sivan、Christine and the Queensの他に、M.I.A.、Lorde、Jorja Smith、Ava Max、J Hus、ROSALÍA、Bad Bunny、Pabllo Vittar、Lisa(BLACKPINK)、Rina Sawayama、NENE(ゆるふわギャング) って予想を私はしていました。

願望の成分が強めですが!あと再登板は少なめと考えていました。

 

 

 ぎょーーーーー!!!見ましたよ!!!

 

 

 ついにアルバムのお知らせ❤ Woo Ah❤

 

 

アルバム出しました!個人的に6月末は豊作でした!

 

 

 🌟この目の輝き🌟 あと手を頬に当てるポーズ、自分も一時期よくやっていました(?)

 

 

 前もプリンのツイートしていた気がする、プリンはKim Petrasのイメージキャラクター?

 

 

鳥居の柱ってそうやって出来ているんですか!?

 

 

 コラボでラップを披露したCharli XCX

 

 

 

 ムードありまくるJoji 背景と服の組み合わせが良い

 

 

 Kim Petrasとコラボするよー

 

 

今は更新が止まっちゃったけど、去年いたjigglypuff  singing toというアカウントを思い出しますね~~ そのアカウントでは結構Kim Petrasの曲採用されていましたー

 

 

 Miley Cyrusの曲をいくつかソングライトしたALMA

 

 

 場所によってはシングルと表記されていたりする笑 3曲入りの作品

 

 

来年アルバム出すよ!

 

 

 昨年のハロウィンシリーズの続編! USのApple Musicでトップ20まで行くなど、メインストリーム侵攻にも少し成功!

 

 

 待望のアルバム🌙

 

 

 サイズ感にびっくり!? 海外で活躍する2人の日本人女性の邂逅

 

 

トランスジェンダー当時者が、アンチトランスジェンダーのデモの前で写真を撮るという画期的な試み! 音楽サイトにも取り上げられるなど、話題になっていましたね

 

 

Swae Leeの悲しきツイート。残念なことですが、事実だと思います

 

 

 一周年🎂🎂🎂🐰🐰🐰

 

 

 自らの誕生日への祝福を感謝するとともに、ソロ作を示唆……??

 

 

 

昨年版:

Hot 100に登場した日本関連の曲 2019

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 今年Hot 100(USシングルチャート)に登場した曲のうち、日本に関連する曲を紹介します。日本に「関連する」ものとして以下のような曲を取り上げています。

 

1 日本人、または日系人が参加した曲

2 日本関連のワードが歌詞に入っている曲

3 その他 (ビデオ、カバーアートなど)

 

昨年版:

 

1 日本人のHot 100エントリー

 日本「関連」というよりは、日本人自身がHot 100にエントリーするケースが今年は際立ちました。昨年は2曲(植野有砂+年末にオノ・ヨーコ)でしたが、今年は4曲がエントリーしました(Jojiの2曲、宇多田ヒカル、昨年から継続エントリーのオノ・ヨーコ

 ここまで多くの日本人がHot 100に入った年は初めてです。

 

(歴代の日本人Hot 100エントリー)

1963年 坂本九Sukiyaki (🗻1位・⏰14週)

1963年 坂本九 – China Nights (🗻58位・⏰3週)

1979年 ピンクレディー – Kiss in the Dark (🗻37位・⏰11週)

1980年 YMO – Computer Game Theme from The Circus (🗻60位・⏰9週)

1981年 横倉裕 feat. Patti Austin – Love Light (🗻81位・⏰3週)

1981年 オノ・ヨーコ – Walking On Thin Ice  (🗻58位・⏰10週)

1990年 松田聖子 feat. Donnie Wahlberg – The Right Combination (🗻54位・⏰13週)

2016年 ピコ太郎 – PPAP (🗻77位・⏰4週)

2018年 Sofi Tukker feat. Nervo, The Knocks & 植野有砂 – Best Friend (🗻81位・⏰5週)

2018年 John & Yoko/The Plastic Ono Band With The Harlem Community Choir - Happy Xmas (War Is Over) (🗻42位・⏰2週) 

2019年 宇多田ヒカル & Skrillex - Face My Fears (🗻98位・⏰1週)

2019年 Joji – SLOW DANCING IN THE DARK (🗻69位・⏰11週) ※継続中

2019年 Joji – Sanctuary (🗻80位・⏰1週) 

 

(🗻ピーク順位・⏰チャート滞在週数)

 

☆Joji(2曲)

 活躍具合が凄まじかったのはJoji。昨年もかなり躍進していましたが、今年はさらに存在感が増したように思います。

 大きかったのは“SLOW DANCING IN THE DARK”のロングヒット。ストリーミングの各ランキングでは年明け以降再浮上。さらにはミームの力(電子レンジチャレンジ)も借りて、リリースから半年程度が経過した3月にHot 100に登場しました!これが悲願の初登場です。

 リリース時もヒットしていましたが、わずかにHot 100に届かず。その後勢いが落ちてもうHot 100入りは無理かと思っていたのでこのタイミングでの再登場は意外でした。

 この時は1週で外れてしまったのですが、さらにその約半年後、つまりリリースから約1年が経過したタイミングで2回目の再登場を果たしました!その後は断続的にチャートに入り続け、ピーク69位で現在Hot 100滞在11週目。このままいけば2020年のHot 100入りも記録しそうです!

 

 この“SLOW~”で彼への注目度も高まったのか、4月にリリースされた新曲“Sanctuary”もHot 100入り。80位に登場。”SLOW~“と違いリリースの週にHot 100入りを達成しましたが、1週しかチャートに残りませんでした。

 

 また彼はアルバムの人気も高く、アルバムチャートでは累計56週の滞在。先週までランクインしていましたが、直近の週ではクリスマス関係に押し出される形でランク外に。

 昨今のアルバムチャートで2週目以降の数字はストリーミングが大きく握っているので、これはいかに彼のアルバムが長く聞かれているかを表しています。

 “SLOW~”のロングヒットを筆頭に、アーティストとして完全に地位を確立した印象があり、来年以降のHot 100入りも大いに期待できます。

 

 

オノ・ヨーコ

 昨年のクリスマス期にランクイン。Amazon Musicなどによるクリスマス曲全体のストリーミング人気によるHot 100入り。

 昨年のクリスマス集計分のチャート日付は2019の1/5になるので、今年のチャートにも入ったということに形式上なります。今年のクリスマス期にもHot 100入りを成し遂げれば、やはり形式上2020年のチャートにも入ったということになります。

 

宇多田ヒカル

 これもなかなか驚きだったのではないでしょうか。これまでUS向けのプロモーションを行ってきたもののHot 100に入れなかった宇多田ヒカルがついに壁を破ったのです!興味深いのは元来行ってきたラジオでのオンエア等などのプロモーションは無い、ゲーム関連曲でHot 100入りしたことです。

 今まではなかったプラス要素、Skrillexやゲーム自体の影響力が有効に働いたのでしょう。DLの数字が良かったです。

 

 

~その他~

 

・Babymetal

 Hot 100には登場していないものの、アルバチャートでは自己最高位を更新する13位。日本人の中でもJojiの3位に次ぐ歴代2番目の成績です。しかし翌週はすぐに圏外。最近アルバムチャートでよく用いられる、チケットやグッズと音源を抱き合わせる手法で1週目にセールスを稼ぎ、2週目以降はその数字が無くなるために一気に落ちたのだと思われます。2週目以降の順位キープに重要なストリーミングがほとんど無かったのも理由でしょう。

 

・Jhené Aiko

 祖父が日本人。今年かなり好調だった印象で3曲がHot 100にエントリー。特にApple Musicでの人気が高く、次回作はストリーミング人気でアルバム1位を獲得する可能性も?

 

・MadeinTYO

 10代を日本で過ごす。アーティスト名からして日本の影響を色濃く感じます。Chance the Rapperの“Hot Shower”の客演でHot 100に登場。58位

 

 

2 日本関連のワードが歌詞に入っている曲

 

 実際に聞いて気づいたもの、または関連ワードなどをGenius歌詞検索で探してリストアップしています。客演等で複数名義の曲は、日本語歌詞部分を担当しているアーティストを太字にしています

 私はHot 100にエントリーした曲はほとんど聞いていると思うのですが、昨年版の記事では、後々に気づいて追加したワードがかなりありました。何か見落としている曲があれば、コメント等で教えていただけると嬉しいです。その都度追加致します。

 

 

昨年の頻出ワードは以下の通りでした。()内は登場回数です (登場1回のワードは()なし)

Japan (7)、Chun-Li (4)、Kamikaze (4)、Mario (3)、Tokyo (3)、Sumo (3)、Kawasaki (2)、Pikachu (2)、Karate (2)、Sushi (2)、Teriyaki (2)、Ninja (2)、Toyota、Honda、Anpanman、Goku、Playstation、Judo、Kimono、Murakami、Benihana、Saké、Pokémon、Tsunami

 

 

今年登場したワードは以下の通りです!()内はHot 100ピーク順位です。

 

☆Japan

昨年は7曲と頻出した“JAPAN”ですが、今年はそこまでは多くなかったです。

 

・NAV feat. The Weeknd – Price on My Head (72位)

“I'm too busy, faded in Japan with the crew”

 

・Lil Tecca – Did It Again (64位)

“Flyin' my mom to Japan, flyin' my dad to Japan, we in a Benz”

 

・Russ & BIA – BEST ON EARTH (92位)

“Or maybe to Japan so I can hit her like I'm Ichiro”

 

☆Ichiro

・Russ & BIA – BEST ON EARTH (92位)

上記のJapanとセットで登場

 

☆Tokyo

・Ed Sheeran feat. Eminem & 50 Cent – Remember the Name (57位)

“I like my shows open-air, Tokyo to Delaware”

 

☆Kawasaki

地名ではなくバイク。バイクはヒップホップとの親和性が◎。昨年に引き続きの登場。

 

・Young Thug feat. Lil Baby – Bad Bad Bad (32位)

“Ridin' Kawasaki, and I could cop you a new 'Rari”

 

☆Honda

今度は車 

 

・DJ Khaled feat. J Balvin, Meek Mill... – You Stay (44位)

“And um, I can tell you've been crying in Honda Civics”

 

・Blueface feat. Rich the Kid – Daddy (78位)

“How the fuck I got the Bentley? I ain't had a Honda (Ooh)”

 

Mazda

・Juice WRLD – Flaws and Sins (91位)

“Ride it like a Mazda, zoom zoom zoom”

 

 ほかJuice WRLDのアルバムにある”Feeling”は、Dragon Ball、Goku、Krillin、Honda Accordなど複数の日本関連ワードが。102位相当と惜しくもHot 100に入りませんでしたが、SpotifyのプレイリストRapCaviarに長く入っていたため、最終的にはアルバムの中で有数のヒット曲となりました。

 

☆Goku

昨年も登場。ドラゴンボール&ヒップホップの絡み。

 

・Dreamville feat. Ski Mask the Slump God & ... – Costa Rica (75位)

“I'm feelin' like Goku, bitch, I need your energy, uh”

 

☆Super Saiyan / Manga

 

・Chance the Rapper feat. MadeinTYO & DaBaby – Hot Shower (58位)

“Real real rare like Super Saiyan manga”

 

 ほか昨年ポケモンライチュウ)を歌詞に登場させたラッパー、Denzel Curryが今年“ZUU”の歌詞に魔人ブウを登場させています。(Hot 100には入らず)

 

 私は先日TikTokの記事を書いたのですが、そこで任天堂系コンテンツが人気と分かりました。その中でもスマブラ人気が特に高いようなので、スマブラ登場キャラは全員調べました。

 

☆Ryu & Ken

・Young Thug – Just How It Is (60位)

“Ask me how they do it, kickin' shit, Ryu, Ken”

 

☆Luigi 

・Yella Beezy, Quavo & Gucci Mane – Bacc At It Again (94位)

“Iced out in this freezer, just copped a Luigi”

 

昨年はマリオがHot 100に登場しましたが、今年はルイージ

 

ほか、101位相当まで到達したAshnikkoの”Stupid”ではBowser=クッパが登場します。ピッチフォークはこの女性ラッパーAshnikkoを初音ミクになぞらえています。

 

☆Pokemon / Ash

・Ski Mask The Slum God – Faucet Failure (87位)

“Ashin' on your bitch, this that Pokémon trainer shit, uh”

 これはなかなか面白い言い回しでした。Ashとは海外でのサトシの名称です。

 

☆Pikachu

・Roddy Ricch feat. Meek Mill – Peta (72位)

“Yellow Lamb', look like Pikachu”

 

これでピカチュウが歌詞に入る曲は3年連続でHot 100入りです。(2017:”Peek A Boo”、2018:”Yes Indeed”、”Lust”) “Peta”での使用法は黄色い車をピカチュウに例えるというもので、”Yes Indeed”での使用法と似ています。

 

 

☆Sensei

・Mustard feat. Roddy Ricch – Ballin’ (14位)

“Tryna get the dojo like a sensei, yeah”

 

・Gunna feat. Young Thug – 3 Headed Snake (74位)

“Bitch, you ain't my sensei”

 

Dojo

・Mustard feat. Roddy Ricch – Ballin’ (14位)

上記の先生と合わせて登場。何の影響なのか気になります

 

 

☆Sushi

・Dreamville feat. EARTHGANG, Young Nudy, ... – Down Bad (64位)

“We gon’ chop your ass up just like some sushi (Yeah)”

  

☆Ramen

・Frank Ocean – DHL (98位)

“Brushing his waves shit look like Ramen noodles”

 

☆Nobu

シェフ松久信幸による和食レストラン。イギリスやドイツのラッパーにも採用されています。

 

・Arizona Zervas – ROXANNE (4位)

“Straight to Nobu on the coast, ooh”

 

・Drake – Behind Barz (75位)

“Just like that one time at Nobu”

 

☆Benihana

こちら和食チェーンです。本部はフロリダ

 

・Drake – Omertà (35位)

“To me, Benihana is pigeon food”

(DrakeはBenihana好きじゃないらしい……)

 

・YNW Melly feat. Kanye West – Mixed Personalities (42位)

“Take the bitch out to Bahamas, let the ho eat at Benihana (Benihana)”

 

 

Karaoke

・Morgan Wallen – Whiskey Glasses (17)

“Don't wanna hit the karaoke bar”

 

 Tsunami

・Gunna - One Call (56)

"My tsunami a storm (Tsunami a storm)"

 

・Mustard feat. NAV, Playboi Carti & A Boogie Wit da Hoodie

"Just ride my wave like a tsunami"

 

 

3 その他

 

☆ビデオ

・Ed Sheeran & Justin Bieber - I Don’t Care (2位)

日本でも撮影されました。

 

 

☆カバーアート

・Lil Uzi Vert - Futsal Shuffle 2020 (5位)

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 「カラオケ」等書いてあり、カバーアートが日本の町並み。全体的にアニメ調

 

・Tainy, Anuel AA & Ozuna – Adicto (86位)

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 カバーアートには「常習者」の文字が。Adictoは一般的に訳すと「中毒者」な気がして、これは一体何語?とも思ったのですが、Google先生に尋ねるとどうやらこれは日本語のようです。(中国語で「常習者」を打ってもスペイン語でAdictoにはならないが、日本語でやるとAdictoになる)

 

山下達郎の歌詞を参照したTyler, the Creatorの“GONE / GONE, THANK YOU”は惜しくもHot 100に入りませんでした。 (113位相当)