お正月の冬眠から目覚めました。皆様あけましておめでとうございます。
いつもよりかなり遅めのHot 100記事更新ですが、今後更新の方針を改めようと考えて今す。いろいろ考えることがあって(理由7つぐらい)、Hot 100記事を毎週更新から毎月+α更新にしようかと思っています。詳しいことはまた別記事でお伝えする予定です。急な変更ですが、ご理解よろしくお願いします。
基本的には1ヶ月ごとにその月のHot 100を振り返る記事を作成。そして何か面白い週や出来事があれば、そのことにフォーカスした記事を出す方針でいます。(そうでなくても、Twitterで多少の情報発信は毎週すると思います)
今週はクリスマス週で見どころが多いので、記事を作成しました。来週もクリスマス後の大規模入れ替えが面白いので記事を作ると思います。
◇今週のHot 100 ハイライト◇
・クリスマス曲が1位~4位を独占。全体で25曲がランクイン。(うち24曲がトップ50)
・”All I Want for Christmas Is You”が1位キープ。再生数は7270万
・集計対象は昨年12月ながらも、チャート日付は新年1月のため、Mariah Careyは4Decade連続での1位獲得を達成。史上初の快挙
・アルバム1位は2週連続でHarry Styles
今週のHot 100順位表↓
テーマ1:クリスマス曲の量
今週の集計は12/20~12/26。クリスマスのピークに当たる24日・25日が含まれているため自然と再生数も伸びました。クリスマス曲は先週から9増加して、今週のHot 100には計25ものクリスマス曲がエントリーしました。
2018 | 2019 |
3 All I Want for Christmas Is You | 1 All I Want for Christmas Is You |
8 Jingle Bell Rock | 2 Rockin' Around The Christmas Tree |
9 Rockin' Around the Christmas Tree | 3 A Holly Jolly Christmas |
10 A Holly Jolly Christmas | 4 Jingle Bell Rock |
11 The Christmas Song (Merry Christmas To You) | 7 It's the Most Wonderful Time of the Year |
13 It's the Most Wonderful Time Of The Year | 11 Last Christmas |
16 Rudolph The Red-Nosed Reindeer | 12 Feliz Navidad |
20 Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow | 15 Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow |
25 Last Christmas | 16 The Christmas Song (Merry Christmas To You) |
26 Sleigh Ride | 22 Rudolph The Red-Nosed Reindeer |
28 Here Comes Santa Clause (Right Down Santa Clause Lane) | 21 Sleigh Ride |
29 Feliz Navidad | 24 Happy Holiday / The Holiday Season |
32 (There's No Place Like) Home For The Holidays | 28 It's Beginning To Look A Lot Like Christmas |
34 White Christmas | 29 Christmas (Baby Please Come Home) |
35 It's Beginning To Look A Lot Like Christmas | 31 Underneath The Tree |
40 Blue Christmas | 32 Here Comes Santa Claus (Right Down Santa Claus Lane) |
42 Happy Xmas (War Is Over) | 36 Run Rudolph Run |
43 Christmas (Baby Please Come Home) | 37 (There's No Place Like) Home For The Holidays |
44 Underneath The Tree | 40 Blue Christmas |
45 Run Rudolph Run | 42 White Christmas |
49 Jingle Bells | 43 Jingle Bells |
53 Cozy Little Christmas | 44 Like It's Christmas |
55 The Christmas Song / Lauren Daigle | 45 baby It's Cold Outside |
49 You're A Mean One, Mr. Grinch | |
67 Happy Xmas (War Is Over) / John Legend |
※赤字はその週にエントリーした曲
昨年もピーク週は23曲がHot 100入りしましたが、今年はその数字をさらに上回りました。
今年が登場「曲数」のピークになる可能性もあります。2020年は閏年で日が2つ進み、クリスマスのチャート日程で24日と25日が別の週に分離します。USでは25日が再生数のピークになる傾向があるので、25日を失ってしまうのは非常に大きいです。
今年のような24日・25日が両立して、かつクリスマス「外」の期間が短い週が巡ってくるのはかなり先なので、その時には人気の傾向・またチャートの制度がどうなっているかが読めません。
ビルボードは古い曲が再登場・再浮上することに厳しい印象があります。今年1位を獲得して「一定のクライマックス」を迎えたので、来年以降クリスマスに関して制度を今後改める可能性も少しあるかもしれないです。単なる私の推測ですが。
テーマ2:“All I Want for Christmas Is You”について
引き続き首位を獲得したこの曲が今週打ち立てた記録がいくつかあります。
・4Decadeでの首位獲得
3週前に1位浮上した時から期待されていた記録です。チャートの日付が2020年になっている(集計は昨年の12月だが)今週も見事1位を確保し、史上初の4つのDecadeにわたる首位獲得に成功しました!
2010年代にギリギリで滑り込み、その座をキープして4Decadeで覇権。2020年代の制覇は「チャート表記上」での話ですが、来年も1位を獲得すれば真の意味でも2020年代を制することができます。今年の様子を見る限り、再び1位になるのはさほど難しくはなさそうですが、果たして……?
ちなみに現在チャート入りしているMaroon 5の“Memories”はわずかに1位の可能性を残しており、この曲が仮に首位になれば’00s, ‘10s, ‘20sの3Decade制覇を達成します。可能性は低そうですが。
・16の年で1位を獲得
4つのDecadeで1位を獲得すれば、つまり多くの「年」でも1位を獲得したということになります。”All I Want for Christmas Is You”が19-20年で1位を獲得したことにより、彼女は合計16の年で1位を獲得したことに。(1990-2000, 2005, 2006, 2008, 2019, 2020) これは次点を大きく離しての最多記録です。
次点はPaul McCartney、Michael Jackson、Madoonaが記録した10年。
・3週以上の1位滞在が10曲目(史上最多)
今週で3週目の1位。これで3週以上1位を記録した曲が10まで到達し、この記録の単独トップに立ちました!次点はThe BeatlesとRihannaの9曲。それだけ彼女の「特大ヒット」が多いということなのでしょう。
・再生数は7220万 (先週比+33%)
再生数のピークを更新。昨年の同時期は5190万再生だったので、規模の拡大を感じます。日程の関係が大きいのかもしれませんが。(昨年は12/21~12/27、今年は12/20~12/26の集計。クリスマスムードが消える期間が少ない) 音楽に興味のない層まで巻き込めるクリスマス曲の巨大なポテンシャルを感じます。
一方先週との比較では+33%の増加にとどまりました。昨年は同時期におよそ+50%増加だったので、先週からの伸び率という観点から見ると意外と伸びていないという印象もあります。
・年間チャート入り?
今年はこの曲の25周年ということで、追加のプロモーションも多く行われました。これが無くともピーク週には1位に到達した気はしますが、プロモ自体は有効に働きセールス増加などのプラス効果をもたらしました。
このプラス分により早いタイミングでの1位浮上を実現。そしてもう一つ個人的に期待しているのは2020年間チャート入りです。クリスマス曲はチャート入り期間が短く(この曲は7週)、年間チャートに入るとすれば1週間ごとにかなりの成績が必要になります。7週だと全ての週で常時の3位程度の成績が必要になります。
かなり高いハードルですが、追加プロモーション分がちょうど有効に働き“All I Want for~”が年間チャートに入るのでは?と少し期待しています。
この章で参考にした記事↓
テーマ3:上位のクリスマス曲とストリーミング
昨年から続く大躍進の中心はストリーミングです。ラジオの数値もあり、さらにそのラジオとストリーミングのピークが同じタイミングで来る、という他には無い強みもあるクリスマス曲ですが、やはり基調となっているのはストリーミングです。その点に少し突っ込んでみようと思います。
昨年もクリスマス曲が大躍進を果たしていましたが、どの媒体で人気かは謎でした。というのも、普段Hot 100で存在感を示すApple Music・YouTubeでそこまでクリスマス曲が人気ではないからです。Spotifyでは一定の人気がありますが、“All I Want for~”が週の1位までは到達しないなど、圧倒的に制圧しているわけでもありません。そして曲のラインナップが微妙にHot 100と異なります。(”Santa Tell Me”がSpotifyでは上位に入りやすいが、Hot 100には入らないなど)
つまり何が言いたいのかというと、ストリーミングとHot 100の整合性がイマイチ取れていないような印象を持っていました。Hot 100予想でおなじみのSimon Falk氏も「これほど予想が難しい期間は無い」のようなコメントを昨年も今年もしています。
これに対してビルボードは「Amazon MusicとAlexaがクリスマス曲をサポートしている」という記事(現在は有料に)を出し、Amazon Musicの再生数がポイントであることを示しました。
実際今年Amazon Musicのランキングを確認したところ、ピーク時にはトップ50のうち「それ以外」の曲が1つのみになるなど、凄まじいクリスマス曲の制圧ぶりでした。普段はあまりHot 100で存在感がありませんが、クリスマス時には再生数の規模自体も伸ばしてHot 100に影響を与えるようになる、ということなのでしょう。
ただ、それでも実は疑問点はまだあります。それはAmazon以外のプラスはどこか?という疑問です。 “All I Want for~”は4週間連続でビルボードのStreaming Songsの首位に立っているのですが、On-Demand Streamingチャートではこの期間に、2回首位を明け渡しているのです。(“Heartless”と”Futsal Shuffle 2020”に)
Amazon MusicはOn-Demand Streamingに分類されるストリーミングです。Amazon Music以外の場所でのプラスが無いとこの逆転現象は発生しないのです。
主にOn-Demandを対象としているRolling Stone Chartsでも、しっかりとクリスマス曲が上位につけており、Amazon Musicが集計の対象になっていることが伺えるのですが、ここで表記される再生数とビルボードで表記される再生数にはかなりのギャップがあり、この点でも「どこかにプラス分がある」ということが伺えます。
その他もろもろのストリーミングのランキングを探ってみましたが、(ランキングが見える物では)クリスマス曲が上位を独占している媒体はありませんでした。例えばTidalではクリスマス曲への興味は皆無でした。
一応考えられるのはPandoraでしょうか。ランキングには今年のクリスマス曲がいくつかランクイン。一番上の“Like It’s Christmas”で20位と順位はそこまで高くはありませんが。
新しい曲のみランクインしているのはPandoraのランキングではHot 100のようなリカレント制度があるためです。そのため、これによって外されている古いクリスマス曲がかなりの規模になっている可能性も少し考えられます。
Pandora自体の規模もある程度あるため、仮にPandoraで古いクリスマス曲も大人気だとすれば「謎のプラス分」の再生数をそれなりに賄うと思います。
かなり気になるテーマなので、ビルボードにはぜひ内訳を発表してほしいですね。
テーマ4:クリスマス25曲が抜ければ自然と他の曲は上昇?来週のトップ10/40
クリスマスが終われば、一気にクリスマス曲は再生数を落とします。そして来週クリスマス曲が一斉にHot 100から姿を消します。その分Hot 100の「枠」が大きく空くので、既存の曲は大きなジャンプアップが期待できます。
来週はTravis Scott率いるJACKBOYSの曲が多く入りそうなので、それも加味して来週のジャンプアップを大まかに予想していきましょう(リミックス追加の“HIGHEST IN THE ROOM”はトップ10と思われる)
まずトップ10から。現在トップ10には5つクリスマス曲が入っているので、単純に計算すると13位の”The Box”、14位の”Dance Monkey”、17位の”10,000 Hours”、18位の”Lose You to Love Me”までがトップ10に復帰。(“HIGHEST~”のトップ10を考慮) また、19位の”Ballin’”、20位の”BOP”にも可能性はあるでしょう。
注目はRoddy Ricch。初のトップ10をダブル(”The Box”と客演の”Ballin’”)で達成する可能性もあります。
続いてトップ40。単純計算で64位以上の曲は来週トップ40まで到達します。”My Oh My”や”hot girl bummer”などに初のトップ40入りのチャンス。
ほか現在Hot 100圏外の曲で注目なのはDoja Catの“Say So”とBROCKHAMPTON の”SUGAR”です。前者はTikTokに牽引され主にSpotifyで人気浮上中。後者はポップ系ラジオでの少しのオンエア、そしてSpotifyでの急浮上が目を引きます。来週はまだ登場しなさそうですが。ラジオ以外に浮上の要因があるのかは不明。
テーマ5:その他の上昇 / In
上位はクリスマス曲が枠を多く占めているので上昇曲はレアですが、51位以下ならば新登場/再登場した曲を含めて順位を上げている曲がいくつかあります。
△56 YNW Melly – Suicidal (+2)
激しい争いの中で浮上。ラジオのサポートが皆無ながらも来週3曲目のトップ40を達成するか。”223’s”も同様に浮上(91位→84位)
☆85 H.E.R. feat. YG – Slide
アーバン&リズミックの2系統のラジオで浮上。さらにYouTubeで40位と上位に。AppleやSpotifyでも一定の成績。
◇98 Karol G & Nicki Minaj – Tusa
ラテン圏でかなりの人気を誇る1曲。メキシコのSpotifyで初めて100万再生/日を越えた曲に。 (※メキシコのSpotifyは規模が大きいものの、USのように新曲に飛びつく習性が無いため、曲の再生数が特定の日に集中せずに「ピーク再生数」という観点ではあまり規模が大きくなかった)
◇100 Ed Sheeran feat. Camila Cabello & Cardi B – South of the Border
ラジオのオンエアを活かして再登場。ただしSpotifyでのピークは過ぎた印象。(①アルバム直後 ②Today’s Top Hits再登場~ で②が終わりつつある印象。ただリストにはまだ残っている)
~その他の今週のHot 100情報~
・今週のトップ10
―1◎ Mariah Carey – All I Want For Christmas Is You 🚩
―2◎ Brenda Lee – Rockin’ Around The Christmas Tree
△3◎ Bobby Helms – Jingle Bell Rock
△4◎ Burl Ives – A Holly Jolly Christmas
▽5 Post Malone – Circles
▽6◎ Arizona Zervas – Roxanne
△7◎ Andy Williams – It’s The Most Wonderful Time Of The Year
―8 Lewis Capaldi – Someone You Loved
▽9 Maroon 5 – Memories
―10 Lizzo – Good As Hell
🍎=Apple Musicで1位、✅=Spotifyで1位、🚩=YouTubeで1位
🍎✅=”The Box” = 13位
今週Hot 100に登場した曲 (☆新登場 / ◇再登場)
◇29 Darlene Love – Christmas (Baby Please Come Home)
◇31 Kelly Clarkson – Underneath the Tree
◇36 Chuck Berry – Run Rudolph Run
◇37 Perry Como – (There’s No Place Like) Home For The Holidays
◇40 Elvis Presley – Blue Christmas
◇42 Bing Crosby – White Christmas
◇43 Frank Sinatra – Jingle Bells
☆45 Dean Martin – Baby It’s Cold Outside
☆49 Thurl Ravenscroft – You’re A Mean One, Mr. Grinch
☆69 John Legend – Happy Xmas (War Is Over)
☆85 H.E.R. feat. YG – Slide
◇98 Karol G & Nicki Minaj – Tusa
◇100 Ed Sheeran feat. Camila Cabello & Cardi B – South Of The Border
今週チャートから外れた曲 (13曲)
【先週の順位、アーティスト名、曲名、🗻ピーク順位、⏰チャート滞在週数】
100 Trippie Redd feat. Juice WRLD & YNW Melly – 6 Kiss (🗻60位 /⏰4週)
99 Harry Styles – She (🗻99位 /⏰1週)
90 Roddy Ricch feat. Meek Mill – Peta (🗻72位 /⏰2週)
87 Matt Stell – Prayed For You (🗻36位 /⏰20週)
86 Harry Styles – Golden (🗻86位 /⏰1週)
84 Harry Styles – Cherry (🗻84位 /⏰1週)
83 NLE Choppa – Famous Hoes (🗻83位 /⏰1週)
79 Blake Shelton & Gwen Stefani – Nobody But You (🗻79位 /⏰1週)
67 YoungBoy Never Broke Again – Dirty Iyanna (🗻67位 /⏰1週)
64 Harry Styles – Lights Up (🗻17位 /⏰5週)
62 Harry Styles – Falling (🗻62位 /⏰1週)
45 Jonas Brothers – Only Human (🗻18位 /⏰27週)
22 Juice WRLD – Lucid Dreams (🗻2位 /⏰48週)
・Hot 100圏外の曲のうち各サービスで最も人気のあった曲
🍎 Roddy Ricch feat. Mustard – High Fashion (今週10位程度)
✅ Harry Styles - Falling (今週52位)
🚩 YoungBoy Never Broke Again - (今週29位)
※Apple Musicは週の最終日の順位を週間の“参考順位”としています(Apple Musicには週間チャートが無い)