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チャートのチャート研究ラボ

音楽チャート・ポップス等の動向・文化について。変なところに熱意を傾けるオタク。

10以上の曲をHot 100に送り込んだアルバムの記録 【+J. Cole が新記録!?】

一つのアルバムからHot 100へ大量エントリーする現象の考察です。

 

みなさんはシングルチャートのHot 100を見ていてこういう思いをすることはありませんか?

「今週、やたらと○○の曲が多くない…?」

 

それは、アルバムがリリースされた週に起こることが多いです。アルバムがリリースされるということはつまり、曲が多くリリースされるということなのでそのぶんエントリーも多くなるというわけです。

ただ、星の数ほどあるアルバムの中で、Hot 100への大量エントリーをできるアルバムも限られています。知名度(質)、そして時代が大切になります。

知名度(質)は言わずもがなだとは思います。知名度、もしくは質が高ければアルバムとして売れる。その結果アルバムのなかのシングル化されていない曲でもある程度注目を浴びることができる。アルバムの調子と曲の売れ行きはある程度比例するという、当たり前といえば当たり前のことです。

しかし、時代とは何を言っているのか分からない方が多いと思います。ここでは時代とは、曲の売り方の時代を指しています。

 

みなさんは現在音楽を何で聞いているでしょうか。ストリーミングサービス、YouTube、ダウンロードしたもの、レンタルCDをインポート(ルックアップ)したもの、などいろいろ考えられると思います。

そこで考えてみてください。それはいつから存在しますか?ものによってはここ数年で登場したものもあるかと思います。

その、聞き方こそHot 100へのエントリーを左右しているのです。もっと踏み込んで言えば、音楽の入手方法によって非シングルまで手が届くかを左右しているのです。

 

なんだか小難しい話になっている気がしますが、先程の「時代」で説明すると分かりやすくなると思います。

・(シングル)CD時代

=CD化されるのはシングルのみ。いわゆる「アルバム曲」はアルバムで聞くか、ラジオ等で出会うほかない(ラジオではシングル中心でかかるのでその可能性は低い、またシングルCD化していない曲をHot 100には入れない、というルールもかつて存在したようにアルバム曲の価値は低く思われていたことが伺える)

 

・ダウンロード時代

=CDとは違って、シングル化されていないアルバム曲も単体で購入可能、さらには在庫切れを起こさないため、長持ち。ただしフルでは聴く機会がシングルよりは少なく、そのフルで聞くことの出来ないものにお金を多少は払う必要があるので、まだシングルとの壁が存在する。

 

・ストリーミング時代

=ストリーミングをしている人にとっては、どちらも同じ手段で聴くことが出来るので、シングルとの区別が無い。露出度には差があるが。

 

このようにして、シングル以外の曲に手が届きやすくなってきているのです。

その結果、1つのアルバムから大量の曲がHot 100にエントリーすることが増えてきたのです。

 

説明が長くなりましたが、今回の記事ではストリーミング時代(2013-)の、そのような1つのアルバムから大量エントリー、具体的には10曲以上がHot 100に入ったアルバムたちを紹介しようと思います。

※ちなみにストリーミング時代が2013-なのは、ビルボードがStreaming Songsというチャートを作成したのが2013年だからです。実は2012年からストリーミングの集計自体はしているのですが…!

 

表の見方

・線より下はHot 100にその週入っていない曲。

・()内の数字は、その週はHot 100に入っていないものの、別の週に入っている曲で、数字はピークを指します。

・「シングル」はシングル化されたかどうか。※は別アルバムでシングル化されているということ。

 

事例1 2013/10/12 Drake - Nothing Was The Same

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まず先陣を切ったのはDrake。その前のアルバム、Take Careでも7曲をエントリーするなど、彼は前からなかなかのやり手でした。ヒップホップ好きのシングルを好む傾向(Hot 100での傾向)が追い風になったと思います。ダウンロードとストリーミングで同じくらいのポイントを稼いでいます。

 

事例2 2015/3/7 Drake - If You're Reading This, It's Too Late(アルバムリリースはその前の週)

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まさかの2連続Drake。このアルバムはミックステープ扱いを受けており、シングルもアルバムも特段プロモーションは無かったですが、それでもアルバム1位、かつ曲もHot 100へ多くエントリーと結果を残していますね。この時客演も含めて14曲をDrakeはHot 100にエントリーしていて、その当時のThe Beatlesの同時最多エントリー記録に並んでいました。

 

事例3 2015/9/19 The Weeknd - Beauty Behind The Madness

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2014年終盤に頭角を現したThe Weeknd。Can't Feel My Face, The Hillsと複数の1位を獲得し一気にStarboyに(この曲はまだ1位を取っていませんが…)このアルバム以前は自身の曲は1曲しかHot 100に入っていなかったので、一気に世間に浸透した、ということになります。このアルバムはApple Musicローンチ以降では初の事例です。

(=Apple Music開始以降初のHot 100にアルバムを10曲以上送り込んだアルバム)

 

事例42015/10/17 Drake & Future - What a Time to Be Alive (アルバムリリースは前の週)

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帰ってきたDrake。DrakeもThe Weekndもカナダ人だったため、Futureはアメリカ人では初の事例に。これもIf You're~同様ミックステープ扱いですがバッチリ結果を出しましたね。Futureの知名度向上にもかなり効果があったと思います。ストリーミングの比率が高いようです。

 

事例5 2015/12/5 Justin Bieber - Purpose

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これまではヒップホップ、R&Bのジャンルのみがこの事例に当てはまっていたが、ポップアルバムでは初の事例となったのがJustin BieberのPurpose。Taylor Swiftの1989ですら6曲エントリーだったので、ポップでこの事例を達成したというのは際立つ。

ストリーミングが主なポイント源ですが、ポップ系アーティストの強みであるラジオ、ダウンロードもある程度稼いでおり、それらが組み合わさっての無双です。

ボーナストラックのAll In It以外アルバム曲が全てHot 100に入るという充実っぷり。当時の同時最多エントリー記録を更新していました。(17曲

 

事例6 2016/5/14 Beyoncé - Lemonade

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実は初のアメリカ人単独でのこの事例。2013年以降のカナダ人優秀すぎますね!?このアルバムでの特筆すべき点は、ストリーミング手段が限られていたこと。Jay-ZのTidalのみでの配信(今も)なので、Tidalユーザー以外は買うしか聞く手段が無かったのです。ですがこのアルバムがTidalユーザー増加に寄与したとの情報もあり、ストリーミングでも十分ポイントを稼いでいますに。(全ての曲がストリーミング・ソング50位以上)

 

事例7 2016/5/21 Drake - Views

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なんと4アルバム目のDrake。既にチャートから落ちたHotline Blingを除いてアルバムから18曲がHot 100へ。さらにはアルバムに入らなかったSummer Sixteen、客演のWorkも合わせてこの週のHot 100にはDrakeの曲が20曲も!!!

同時エントリー記録を更新し、今も最多記録となっています。(当時)

シングルのOne Dance, Controlla, Too GoodはすべてビデオがYouTube等に公開されず、ストリーミング以外では音源が聴けませんでした。しかし、ラジオとストリーミングでのポイントをしっかりと稼いで(ダウンロードは低め)、新たなヒットの形を示したかもしれません。

 

事例8 2016/12/17 The Weeknd - Starboy

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The Weekndも複数アルバムでこの偉業を達成。シングルStarboyの1位達成が長らく期待されていますが果たして…?DrakeもThe Weekndも、リリースペースが早いのに連続でこの事例を達成できるのは驚きです。

 

事例9 2016/12/31 J.Cole - 4 Your Eyez Only

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これは本当に驚きました。J.Coleは過去の最高記録がWork Outでの13位で、トップ10デビューなどここまでHot 100を席巻するとは思いもしませんでした。しかもシングル化された曲もなく、プロモーションもそこまで無いように思いました。

さらに特筆すべき点は、全体的な順位の高さ。Hot 100圏外の曲を101位と仮定し、アルバム曲のHot 100での順位を平均すると、事例のなかで一番高いです。

これはつまり、アルバム曲のHot 100での平均順位が歴代で最も高いアルバム、といえるのではないでしょうか。

ストリーミング以前に非シングル曲にスポットが当たるとも考えづらいですので、おそらくこれよりも平均順位が高いアルバムは無いと思います。

(あったら申し訳ないです)

The Beatlesが過去にHot 100のトップ5を占拠したこともありましたが、彼らはリリースペースが早く、それぞれ違うアルバムからのシングルだったようです。

 

※追記 事例10 2017/3/26 Ed Sheeran - ÷

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イギリス人では初の事例。ポップスではJustin Bieberに次ぐ2例目。ボートラ以外は全部Hot 100に。

 

※追記 事例11 2017/4/8 Drake - More Life

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Viewsの時に成し遂げた同一アーティストによるHot 100最多エントリー記録を更新。客演の2曲と合わせて計24曲。Drakeはこの事例を達成するのがなんとこれで5例目。ストリーミング時代の寵児。Viewsの時と同様、ダウンロードは少なめです。(一番ダウンロードの多いPortlandでもダウンロード数は20位)

 

 今後もどんどんこのような事例は生まれると思いますが、誰のアルバムが該当するのですかね。個人的には、ポップ系アクトのアルバム曲にもっとスポットライトを当てて、さらにそのソングライターたちも脚光を浴びたらなぁ、と考えています。

楽しみにチャートを追っていきましょう。では!!!

 

※緻密な作業の連続だったので、ミスがあるかもしれません。もし発見した方がいらっしゃったら、教えてください。