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チャートのチャート研究ラボ

音楽チャート・ポップス等の動向・文化について。変なところに熱意を傾けるオタク。

“Dirty Work” Japan Hot 100 9位の海外の反応 + ヒットの理由を考察

 

約2万3千人のフォロワーを持つ@chartdataというアカウントがあります。

その名の通りチャート情報を多く配信していて、世界のチャートマニアからフォローされ有益な情報源となっています。


日頃主に配信するのは、アメリカ、イギリス、オーストラリア辺りのチャート。しかし今回珍しく日本のチャート(Billboard Japan)についてツイートしていました。日本のチャート動向が約2万3千人の世界中のチャートマニアに知れ渡ったのです。

これは面白いデータかもしれない、と思って今回はそのツイートに対する反応をまとめてみました。そして、そのチャート動向についてちょっとしたコメントをつけてみました。

 

まず、どんなチャート動向をツイートしたのか。

 

 ※執筆時は17位

Japan Hot 100: #9 (-1) Dirty Work @AustinMahone [6 weeks]. *peak:#5*

 

例のアレです。皆さんはこの曲のヒットの理由はご存知かなと思いますが、まさかここまでヒットするとは。最高位は5位!先週まで5週に渡ってトップ10に滞在して*1おり、ほとんどの週で現在全米/全英1位のShape of Youを上回る成績を叩き出しています。ポイント源はYouTubeらしいです。ダウンロード、ラジオなどの指標ではShape of Youと同じくらいですが、YouTubeで差が開いているようです。そんな日本のチャート動向に対して海外のチャートマニアたちは……

 

・少なくとも、どこかではチャート入りしているんだな。

・悲しいよ。彼の曲は良い感じで、もっと多くの国のチャートに入って良いと思うけど…

・ビーバーよりは良いよ

・唯一Austin Mahoneを忘れていないチャート

・どこかでは生きているんだな

・なんという…!

・誰?

・まだ生きていたのか!

・マジかよJustin最悪だな

サムスン終了のお知らせ

・叫んだよ。この曲は文字通り8歳。このマイケル・ジャクソンの後継者さん野郎。

・日本の王

・Iggyは死んだ ワロタ。

 

※4/9 追記 またこのアカウントがDirty Workについて触れたのでそれも。

 

・6位とはすごいね。

・Baby I も6位だったよ。

・Baby I売れすぎだろ

・王

・いつになったらJustin Bieberになるの?

・日本のビーバー

・私達の世代のリアルマイケル・ジャクソン

・What Do You Meanのブームはもう過ぎたの?

 

以下関係のないリプライ

・Shake It Offはもうピークを過ぎた。

Katy Perryは死にたい思いをしているだろうなぁ……

・日本趣味悪いあ

けっこう意訳して遊んでいるので、詳細が気になる方はツイートのリンクからリプライ欄を見てみてください。(時間が経つとあまり見れないかも……)

たかがTwitterのリプライで、サムスン終了のお知らせ、だとかIggy死んだ、など関係の無いリプライがあることから真に受けるコメントでは無いのは明らかですが、いくつか気になるトピックがあったので、その点に着目してみようと思います。

 

・どこかでは生きているんだな / まだ生きていたのかよ!

 

勝手に殺すな!笑 まあネットのノリなのでそういう意味では無いですが、残念ながらAustin Mahoneの現状について的を射ている意見なのです。ここでAustin Mahoneのチャート履歴について振り返っていきます。

 

あ、折角なので、過去のチャート成績の見方をここで伝授いたします。方法は2つあります。

 

Billboard公式のChart History

 

○○(アーティスト名)+ Chart Historyと検索すると出てきます。公式が出しているチャート歴なので明快で信頼できます。ただ、欠点が2つあって客演のチャート成績まで見られないこと、そしてWeeks On(滞在週数)がわりとガバガバなこと。Weeks Onはピークまでの滞在週が書いてあることや、最終的な滞在週数が書いてあること、またどちらでも無い時があって何に基準を置いてあるかは不明です。最近の曲では改善傾向にあるようですが……

 

wikipediaのdiscography

 

○○(アーティスト名) + discographyと検索すると出てきます。リリースした曲を時系列に表で並べていて、チャートに入らなかった曲まで書いてあり、そして客演について書いてあるのでかなり分かりやすいです。関連情報のチェックもしやすいですし、欠点はwikipediaであること。ただこのdiscographyで明らかに間違っている点を見たことは今のところほとんど無いなので、わりかし信頼しても良いかと思います。

 

というわけで上記の方法でAustin Mahoneのチャート成績を振り返っていきましょう。

Chart Historyはこんな感じ。客演でのエントリーは無く、Hot 100入りはこの2曲です。

 

f:id:djk2:20170330235055j:plain

 

What About Love ピーク66位 2013年

Mmm Yeah ピーク49位 2014年

 

チャート業界では一般的にトップ40以上が本格ヒット扱いされます。Austin Mahoneは意外に母国アメリカでヒットを飛ばしていないことになります。ただ、Hot 100に入れない曲もたくさんあることを考えると、49位、66位は十分な成績と捉えることもできます。感覚的には[3年前に中規模ヒットを飛ばした人]のような認識でしょう。3年前なので上記の「まだ生きていたのかよ!」のような反応が来るのです……

 

そして肝心のDirty WorkはHot 100に入っていません。たまにDirty Workが「ヒット曲」と説明されることもありますが、それは”日本で”ヒット中ということだということなのです。つまり、Austin MahoneとDirty Workは日本限定ヒットということが言えます。洋楽が日本でヒットしているんだったら、海外ではもっとヒットしているんだろうなぁと感覚的に思うかもしれませんが、このケースだとそうでも無いのでそこは注意が必要です。

 

 

・ここまでヒットした理由を考察

 

Billboardのチャートは様々な指標を導入し、複数の基準から世の中の浸透度を測ることを目指しています。なので、このDirty Workのチャート成績はそれだけ世の中で浸透している、ということを示していると思います。実際、洋楽に全く興味が無さそうな自分の母親が鼻歌で歌ったりしていましたし!

ここまで浸透したのは、曲が良いから?ブルゾンさんが面白いから / よくテレビに出るから?という考察もできるかと思います。しかし、私は理由がそれ以外にあると考察しました。

それは、一般的な市民(=音楽好き以外の層)に対する”洋楽”情報の不足だと思います。

 

例えばブルゾンさんの活躍の場、テレビ。以前テレビを見ていて洋楽の浸透度の低さを伺えるシーンがありました。

それはしゃべくり007のワンシーン。誰がゲストの回かは覚えていませんが、イントロクイズをしていた回でした。

流れるイントロに対してメンバーやゲストが各々回答し、無難に番組が進んでいました。途中まで流れるイントロは全部日本の曲でしたが、3問目?あたりにUptown Funkが流れました。Billboard Japanの年間ランキングでは18位(2015年)。洋楽とはいえ、それまでの問題と同じように回答されるのだろう、と私は思っていました。

そして有田さんが答えました。「Uptown Funk!」そして正解のコールがされるのですが、しかし会場の反応が「え、なんでそんなの分かるの?」という反応でした。そんな反応に対して有田さんはさらに「Mark Ronson フューチャリング Bruno Mars!」と繰り返しました。しかし会場や他のメンバーは依然として「なんだそれ?」のような反応で、Uptown Funkが誰もが知らない未知の曲のように扱われていたのをよく覚えています。

 

しゃべくり007は若者に人気の番組、という認識らしいです(別の回でそう紹介されていました)、その若者に人気の番組でもUptown Funkは未知の存在扱いとは……洋楽でも高い知名度を誇る(実際今もCMで使われている)Uptown Funkがそんな扱いだとは……私は衝撃を受けました。

 

しかし洋楽に対する認識がそんな感じなのに、なぜDirty Workはヒットしたのでしょうか。それは多くの人が洋楽に限らず音楽に潜在的な興味があるのではないでしょうか。音楽に特別興味は無いけど、ハマる曲があったら知りたい、という層が。

その層の中の洋楽何か良いの無いかなー、けど良い曲無いし最近の曲知らんなー、と思っていた層にDirty Workが当たったのでは無いでしょうか。潜在的に情報を求めていた層がDirty Workという電波を受信してハマった、という訳です。

 

この考察の理論で行くと、もしかしたらDirty Workの枠は洋楽だったら他のどの曲でも同じようにヒットしていた可能性もあるかもしれないですね……!なぜならDrakeの曲が聴きたい!またはFuture Bassのエモい調の曲が聴きたい、という具体的な願望ではなく”洋楽”を聴きたい!という考えにヒットしたという、のが考察の理論なので………

さすがにそれは言い過ぎかもしれませんね!!!ごめんなさいAustin Mahoneさんとブルゾンさん!

 

つまるところ何が言いたいのか……

 

・普段音楽に特段興味が無くても、洋楽に潜在的に興味を持つ層は多い……

・しかし洋楽情報にあまり触れる機会が無いので、結局知らないまま……

・そこにブルゾンさんが登場!久々に洋楽聴けた!Dirty Workにハマった!

 

こういう流れではないか、と考察しました。情報の少なさ故か、一人の音楽の趣味がここまで浸透する事象はなかなか興味深い現象だと思います。

 

・そして何が言いたいか

 

このDirty Workのヒットで、案外人々は洋楽に興味があるのではないか、ということが炙り出されたように思います。しかし、それに対して洋楽の情報にあまり触れる機会が無い。Dirty Workを期に洋楽 / 音楽に興味を持ったけど、結局情報をあまり得られずに興味が失せてしまうかもしれない。そんな興味の火を消さないようにするにはどうしたら良いのか……

それは情報の量を増やす、情報発信に務めることが私たち音楽マニアに出来ることではないか、と考えました。

このような層は意外と多いような気がします。それはBillboard Japanのチャートが証明していて、Dirty Workが多くの週でShape of Youを上回っていたことです。規模が音楽好きの特大ヒット影響力 < 無関心層のヒットの影響力ということを示唆しているのだと思います。

 

私はこれから情報発信に務めていきたいと思っています。このブログを読んでいる音楽マニアの皆さんも、よかったらご一緒しませんか!

 

※4/4 追記

このテーマの問題を突き詰めて考えると、”洋楽”という言葉にも少し原因があるような気がしてきました。”洋楽”という言葉が、日本の音楽・海外の音楽という明確な境界線 を引いていて、それが海外の音楽への距離感にも繋がっているような……

*1:日本の曲と比較すると、ネットだと最強の「ようこそジャパリパーク」やCMでも使われたSHISHAMOの「明日も」よりもヒットしている感じです