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チャートのチャート研究ラボ

音楽チャート・ポップス等の動向・文化について頑張って研究しています!議論のネタになるような変わった視点からの記事を目指しています。

「33年ぶり」アメリカのシングルトップ10に女性が不在! そのポイントをピックアップ 【女性がいないのは一時的?】

www.billboard.com

Billboardにこのような記事が昨日アップロードされました。

今週のHot 100のトップ10には女性がおらず、これは33年ぶりというニュース。

毎週Hot 100を観測している私ですが、これには全く気づくことができず、もっと精進しなくてはいけないと思った次第でございます。

今回はその元記事を参照しながら、この現象の意味する所は何か。ポイントを拾って説明します。

 

今週のHot 100のトップ10を振り返りましょう。

1, "Shape of You," Ed Sheeran
2, "That's What I Like," Bruno Mars
3, "Humble.," Kendrick Lamar
4, "Sign of the Times," Harry Styles
5, "Something Just Like This," The Chainsmokers & Coldplay
6, "iSpy," KYLE feat. Lil Yachty
7, "Mask Off," Future
8, "XO TOUR Llif3," Lil Uzi Vert
9, "Body Like a Back Road," Sam Hunt
10, "Paris," The Chainsmokers

The ChainsmokersのParisではボーカルをEmily Warrenが担当しているのですが、客演表記されていないので対象外です。ちなみに最近リリースされたアルバムではEmily WarrenはDon't SayとMy Typeで客演表記されています。この違いは何でしょうか笑

 

このように女性がいないのは33年ぶり、1984年2月11日付けのHot 100以来ということで、かなり珍しい記録だということが分かります。

*1

 

ちなみに女性がトップ10を全て独占したという事例はどうやら無いようです。以下の記事でトップ5を女性が独占した事例を紹介しているのですが、いずれの週でも6位が男性で、トップ10を独占したことが無いということが分かります。

 

これはつまり男性の隆盛、または女性の不人気を物語るデータなのか?という疑問が湧くかもしれませんが、そんなことはないようです。それを裏付けるデータをビルボードは3つ提示しています。

 

1 大物のリリースが少ない

Adele、Sia、Ariana Grande、Rihannaなどの昨年または一昨年の末あたりにアルバムをリリースした大物女性シンガーがアルバムからのシングルをほぼ出し終えたこと。

いくら大物といえどアルバムからのシングルも4曲目くらいになると勢いが衰えていくことは避けられず、Adeleの4曲目のシングルWater Under the Bridgeはラジオ以外の指標が伸びずにピーク26位。Ariana Grandeは近年ますます存在感を高めるFutureと組んだEverydayをアルバム4曲目のシングルとしてリリースするも、57位止まりに。Siaのアルバム4曲目シングルMove Your BodyはHot 100に入ることができませんでした。RihannaのLove on the Brainはアルバム4曲目のシングルながらもトップ10に入ることができたのですが、ビデオをリリースしなかったせいかトップ10滞在が5週と短めでした。*2

これは女性に限ったことではなく、Justin BieberのPurposeでもWhat Do You Mean、Sorry、Love Yourselfと3連続1位の後のCompanyはわずか53位止まりでした。

記事ではKaty PerryのChained to the Rhythmの不調も一因と指摘しています。ピークは4位ですが、2週しかトップ10にいません。最近iTunesで値下げもしたのですが、それでも13位と奮わず*3………↓参考

 

 

2 11位~14位は全員女性

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今週の11位~14位です!これら全曲に女性の名前があるのです。11位のIt Ain't MeではSelena Gomez、12位にはJulia Michaels、13位のRockabyeではAnne-Marie、またはClean Banditの一員Grace Chatto、14位のStayではAlessia Caraと並んでいます。Rockabyeは既にトップ10に入っていますし、残り3曲も上り調子で、今後トップ10に入る可能性が十分といえそうです。

 

3 2010年代全体ではかなり女性が増えている

2つのデータで2010年代に女性のHot 100上位進出が増えていることが分かります。まず、トップ10内での女性比率。2010年代の1位曲の女性の割合は46%。1960年代や1970年代の22%と比べるとずいぶん上昇しています。実は1990年代の49%よりは下がっているのですが、46%が半分に近い割合と考えると特に男女比に違和感を感じるレベルではないでしょう。

もう一つは、女性が連続でHot 100の1位をキープし続けた記録が2010年代に生まれていること。2011年のBorn This Way、E.T.、S&M、Rolling in the Deepと、2015年のShake It Off、All About That Bass、Blank Spaceでいずれも19週連続で女性がHot 100を支配しました。2011年のほうは客演もカウントするとなんと45週もHot 100の首位に立っていたということになるようです。

つまり、近年は女性の支配力がむしろ上がっていることが分かります。

 

1-3のデータから今週女性がトップ10から消えたのは、女性の勢いが衰退しているというよりもタイミングの妙が主な要因ということが分かります。  Katy PerryのChained to the Rhythmを除いては……

 

しかしビルボードはもしかしたら今後は男性が支配的なチャートになるかも?という可能性も指摘しています。それはヒップホップの躍進。今年Black BeatlesやBad and Boujeeがストリーミングでの爆発的な人気により1位を獲得したことが記憶に新しいですが、ヒップホップは伝統的に男性がかなり支配的ということ。その傾向は近年強まっているという分析もあり、Pithcforkは今のラップクイーンがNick Minajしかいないと指摘しています。

今後女性のトップ10はどうなる?今後の見どころは?

この状況は続くのでしょうか?

私はあまり続かないと思います。まず上で述べたように11位~14位の曲のトップ10入りの可能性が高いこと、そしてKendrick LamarのアルバムのLOYALTY.(客演がRihanna)にもトップ10入りの可能性があるので、この状況が長く続くことはないでしょう。

33年前のトップ10に女性が0人になった時も、次の週にすぐ他の女性アーティストの曲がトップ10入りしました。

 

しかしヒップホップの隆盛、そして女性MCの躍進が無い状況が続くと、もしかしたらまた似たような状況が生まれ、長続きするかもしれません。

新しい着眼点が増えて、これからもますますHot 100から目が離せませんね!!!

あとChained to the Rhythmが今後どうなるかも気になります、今週は29位とかなり順位を落としていますが……ちなみにNMEはこのChained to the Rhythmを2017年のベストソングの一つに選んでいます。ヒット度のわりに意外と評論家受けは良いのですかね……?

djk2.hatenablog.com

4/25追記 この次の週、ZeddとAlessia CaraのStayがトップ10入りし、トップ10に女性が再び戻ってきました!

 

*1:記事では1990年に女性の「ソロ」がいないという点でニアミスの事例も取り上げていますが、ソロかどうかはあまり論点でない気がするので重要度は低いと思います

*2:昨年のWorkはトップ10滞在18週、Needed Meはトップ10滞在16週でした。Needed Meはトップ5に入らなかった曲の中で最長のトップ10滞在を記録しています

*3:値下げをした「わりに」13位というのが気になります