チャート・マニア・ラボ (CML)

音楽チャート・ポップス等の動向・文化について頑張って研究しています!議論のネタになるような変わった視点からの記事を目指しています。

Hot 100 7/29 見どころ 【Jay-Z健在の影で、複数曲がチャートから……】

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Jay-Zがアルバムチャート1位、そしてHot 100でも9曲登場と健在ぶりをアピールする一方で、実はその影響で多くの曲がチャートから外れたり、順位を落としたりしました。それらの曲とは……

 

・プレイリスト

 

 

92 Selena Gomez feat. Gucci Mane – Fetish (New)

Selena Gomezの新曲Fetishが92位で登場。他の曲とは違い木曜日リリースで、ダウンロード/ストリーミングの集計が1日分ながらも今週のチャートに登場。来週は1週間分集計されるので、ポイントの大幅増の予定です。Selena Gomezは前シングルBad Liarに引き続きの木曜日リリースなのですが、何かしら意図はあるのでしょうか。

※木曜日リリースのメリットは、同日にほかの曲がリリースされないので埋もれずに目立つこと、デメリットは最初の週のポイントが割れてチャートでロケットスタートできないことですかね……

 

91 Zedd & Liam Payne – Get Low (New)

ZeddとLiam PayneのGet Lowが91位で登場。Zeddの前シングルStayのスタート順位は28位、Liam Payneの前シングルStrip That Downのスタート順位は42位で、今回のGet Lowは91位スタートで物足りなく思えますが、ラジオでは順調に数字を伸ばしています。(今週既にPop系ラジオ36位)それに合わせてHot 100でも順位を伸ばせるでしょうか。

 

89 Macklemore feat. Skylar Grey – Glorious (New)

Macklemoreの新曲Gloriousが89位で登場。昨年まではMacklemore “and Ryan Lewis”という名義でしたが彼とは音楽的に決別し、今回の曲はMacklemore単独になってから最初の曲。今回のプロデューサーはJoshua Karp。ちなみに彼らの曲がよくかかるのはHip Hop系ラジオではなくPop系ラジオのようで、現在Pop系ラジオ35位。彼らの最大のヒットThrift ShopでもR&B,Hip-Hop系ラジオでは34位がピークです。

客演のSkylar Greyはチャートでは今まで”名脇役”のような成績を残しています。4位まで到達したEminemDr. DreとのI Need A Doctoreをはじめとして、今まで客演としては6曲Hot 100にのっていますが、自身メインの曲では今のところ0曲です。

 

(以下マニアックなHot 100知識)

※ソングライターとしてもEminemRihannaのLove the Way You Lieなどの実績があります。Eminem+RihannaといえばMonsterもありますが、このEminem + Rihannaの曲に参加したソングライターは客演ではHot 100に入るものの、自身の曲は入らないというジンクスがありました。MonsterではソングライターにJon Bellion、Bebe Rexhaが参加していたのですが前者はZeddのBeautiful Now、後者はDavid GuettaのHey MamaでHot 100に入るものの自身の曲は入らず、Skylar Greyのようなチャートの入り方をしていました。しかし2016年後半にJon Bellionが自身のAll Time LowでHot 100に入ると、それに続いて今年Bebe RexhaもI Got Youで自身の曲*1では初のHot 100入り。Skylar Greyもそれに続けるでしょうか。

 

84 Lady GagaThe Cure (↓)

今週はJay-Zがアルバムから9曲を送り込んだこともあって、入れ替わりの多めでした。またトップ40圏内で登場した曲が4曲と上位の曲も増えたため、先週まで横ばいだった曲は順位を少し落とす傾向にあります。ですが、その中で密かに大幅に順位を落としている曲もあって、Camila CabelloのCrying in the Clubが53位 → 71位、DrakeのPassionfruitが51位 → 67位など。なかでもLady GagaThe Cureはかなり順位を落としていて50位 → 84位に。来週これらの曲は盛り返す可能性がありますが、ここまで大幅に順位を落としている曲は、あまり期待を持てないかもしれません。

 

52 Demi Lovato – Sorry Not Sorry (New)

Demi LovatoのSorry Not Sorryが52位で登場。この曲も週途中の登場ですが、こちらは火曜日リリースで3日分が集計に乗っています。Selena GomezのFetishほどではないものの、現在ダウンロードとストリーミング両方で上々の数字を残していてHeart Attack以来4年ぶりのトップ10に期待が持てるかも。

 

51 Jay-Z feat. Beyoncé – Family Feud (New)

Jay-Zが紆余曲折を経てiTunesSpotify以外のストリーミングサービスでアルバムを公開した結果、見事にアルバムチャートBillboard 200で1位を獲得。Hot 100には9曲が登場。その中にはBeyoncéとの夫婦共演の曲も。今週のJay-ZとBeyoncéの直近のアルバムLemonadeのリリース週のすこし比較をしてみたいと思います。

BeyoncéのLemonadeはストリーミングではTidal限定だったものの、アルバム全12曲がHot 100に登場。その平均順位も32位とかなり高め*2であり、またアメリカ人のアルバムがHot 100に10曲以上を送り込んだ初の事例でもあります。*3 Tidal限定でこの数字を叩き出すBeyoncéの影響力や注目度の高さがわかるデータです。

一方Jay-ZはTidal限定ではなくSpotify以外のストリーミングサービスで公開して9曲エントリー。ちなみにTidalでは前の週から公開されていますが、Tidal側が数字を非公開にしたためチャートには反映されていませんでした。9曲とふたケタにわずかに及びませんでしたが、アルバムが10曲しかないのでこの数字はかなり良い数字だと思います。例えばMigosのCultureでは13曲中7曲がエントリーだったので、対比するとJay-Zの健在ぶりがよく分かると思います。

ちなみにこのアルバムリリースでJay-ZはHot 100エントリー曲数が計96曲になり、James Brownを抜いて歴代5位の多さに。(それより上位はGlee Cast、Drake、Lil Wayne、Elvis Presley

参考↓

 

33 21 Savage – Bank Account (New)

21 SavageのアルバムIssa Albumが今週チャートに反映され、Hot 100には2曲が登場。Famousが94位、Bank Accountが33位で登場。Metro Boomin、Futureとのシングル“X”をのピーク(36位)を超えることに成功しました。ちなみにこのIssa AlbumでもMetro Boominが14曲中8曲で登場します。このBank Accountは違いますが。

アルバムチャートでも2位と健闘。純セールスは3位でした。純セールス1位はJay-Zで、2位はHAIM。HAIMは総合アルバムチャート(=Billboard 200、ストリーミングやシングルも考慮)では7位でHot 100への登場は0曲。

 

25 Kesha – Praying (New)

Keshaの復活シングル、Prayingが25位で登場。この曲のプロデューサーはRyan Lewis。Macklemoreと決別したからは初のプロデュースで、両者にとって再スタートを期す一曲に。Keshaの従来の軽快なエレクトロ系ダンスポップとは一線を画するバラード調の1曲。8月リリース予定のアルバムがどのような作風になるかが興味深いです。来週のチャートで先週リリースのWomanが登場見込みです。

ちなみにかつてはKe”$”ha名義でしたが 2014年1月にKe”s”haに名義変更しています。

 

23 Jay-Z – The Story Of O.J. (New)

Jay-Zのアルバムから登場した9曲のうち、一番高い順位で登場したのはビデオも公開されたThe Story Of O.J.で23位。今週はこの曲など、計4曲がトップ40で登場し上位をかきまわしました。ちなみにJay-ZYouTubeにビデオを上げるのは珍しいことで、約6年ぶりのことになります。Holy Grail.. Magna Carta期はYouTubeではない媒体にビデオを上げていました。最近ではDrakeやFrank Oceanなどの、YouTubeに一曲も音源を上げない事例が増えてきましたが、Holy Grail~のJay-Zはその事例の先駆けだと私は考えています。

↓参考

 

8 Shawn Mendes – There’s Nothing Holdin’ Me Back (↑)

Shawn MendesのThere’s Nothing Holdin’ Me Backが8位に浮上!Stitches、Treat You Betterに次いで自身3曲めのトップ10。値下げに加え、アコースティックバージョンのリリースがダウンロード上昇につながりました。今週ポップ系ラジオで一番オーディエンスが増えた曲でもあるので、まだ伸びしろはありそうです。

 

× Harry Styles – Sign Of the Times (↓)

Jay-Zの9曲エントリーなどがあり、今週は16曲がチャートから外れました。その中には「途中」でチャートから外れてしまった曲も。

「途中」とはどういうことかというと、Hot 100では21週目以降の曲が51位以下に”落ちると”チャートから外す制度があり、いわゆるヒット曲はその制度でチャートから消えていきます。その制度で消さないと過去のヒット曲が新しい曲のエントリーを阻んでしまうからです。21週目で消えるためにはその前の週、つまり20週はチャートに入っていなければならないので、20週チャートに滞在するのはある種ヒットの目安の一つでもあります。この20週チャート滞在することを「完走」といったりもします。

つまるところ「途中」とは20週に満たないうちにチャートから外れてしまうことを指します。今週はヒットが期待された曲がいくつか「途中」でチャートから外れてしまいました。Katy PerrySwish Swish (ピーク46位 / 7週滞在)、Fifth HarmonyのDown (ピーク42位 / 5週滞在)、DrakeのPortland (ピーク9位 / 16週滞在)、Harry StylesのSign of the Times (ピーク4位 / 13週) などがそうです。特に後ろふたつは、デビュー週からいきなりトップ10で登場しましたが、尻すぼみになってしまいました。Portlandは特段にプロモーションもせず、ラジオでもかからず、ほとんどストリーミングでポイントをキープしてHot 100に滞在していたのでいずれ落ちるのは自然(むしろ16週もキープしたのがすごい)ですが、つい最近までは上位にいたSign of the Timesがここ数週で一気に落ちたのは意外でした。

流行に目もくれないスタイルの曲でいきなり4位デビューしたことはHarry Stylesのカリスマ性を考慮しても正直快挙だと思っていたので、この急落下は個人的に少し残念でした。

Jay-Z関連の曲が減るであろう来週は、いくつかの曲はチャートに戻るかもしれません。特にFifth HarmonyのDownはラジオで伸びているので復活の線が強いと思います。

 

× Travis Scott (feat. Kendrick Lamar) – Goosebumps (↓)

Travis ScottのGoosebumpsがチャートから陥落。一回は50位手前に来たあたりで21週目になってチャートから外れたこの曲ですがビデオのリリースで息を吹き返してすぐにチャート復活。ピークを32位まで伸ばし、チャート滞在も合計34週に。ピーク32位とはそこまで高い数字ではないですが、ピークが複数あって復活する“不死鳥タイプ”で粘った曲は総合的なヒット度がピークのわりに高くなるので、年間チャートに入る可能性が高いと思います。

 

× Migos – T-Shirt (↓)

Bad and Boujeeの後の1月にリリースされたMigosのアルバムCultureの代表曲「その2」のT-Shirtが今週チャートから外れました。Bad and Boujeeは43位(35週目)でまだチャートにいます。43位で登場して以降、すべての週を50位以上で過ごすというMigosの今年の注目度の高さが伺えるチャートアクションでした。

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          DJ Khaled feat. Rihanna & Bryson Tiller – Wlid Thoughts

今週最もダウンロードが上昇した曲 Hailee Steinfeld – Most Girls

今週最もストリーミングが伸びた曲 J Balvin & Willy Williams – Mi Gente

最も高い順位で新登場した曲          Jay-Z – Story of O.J.

 

 

今週チャートから外れた曲 (16曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位/チャート滞在週数)】

100 Dan + Shay – How Not To (57位 / 14週)

99 Future feat. YG – Extra Luv (99位 / 1週)

97 Brothers Osborne – It Ain’t My Fault (97位 / 4週)

95 Russ – Losin Control (62位 / 19週)

94 Nicky Jam – El Amante (93位 / 10週)

90 Drake feat. Quavo & Travis Scott – Portland (9位 / 16週)

88 Katy Perry feat. Nicki Minaj – Swish Swish (46位 / 7週)

87 Tyler, The Creator (feat. A$AP Rocky) – Who Dat Boy (87位 / 1週)

86 Fifth Harmony feat. Gucci Mane – Down (42位 / 5週)

77 Metro Boomin feat. Offset & Drake – No Complaints (71位 / 2週)

76 Calvin Harris feat. Future & Khalid (62位 / 3週)

73 Harry Styles – Sign Of The Times (4位 / 13週)

55 Kodak Black – Tunnel Vision (6位 / 20週)

48 Migos – T-Shirt (19位 / 25週)

47 Travis Scott (feat. Kendrick Lamar) – Goosebumps (32位 / 34週)

45 Keith Urban feat. Carrie Underwood – The Fighter (38位 /22週)

 

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲を集めました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora、Apple Musicで50位以上)

French Montana feat. The Weeknd & Max B (Apple 18位)

SZA – The Weekend (Apple 26位)

21 Savage – Close My Eyes (Apple 29位)

The Revivalists – Wish I Knew You (Shazam 38位)

Lauv – I Like Me Better (Spotify 39位)

Khalid – Young Dumb & Broke (Spotify 42位)

21 Savage – Bad Business (Apple 43位)

Maren Morris – I Could Use A Love Song (Pandora 49位)

 

Apple MusicのUSでのランキングのデータを発見したので、調査対象にしました。また好調の範囲を50位以上に狭めました。来週のチャートではFrench Montanaのアルバムリリースが反映されるのでHot 100での注目はそこですかね。そして密かに注目なのはアルバムチャートでのEXO(韓国のグループ)です。もしかしたらアルバムチャートトップ10圏内に入るかもしれないです。

*1:自分のアルバムやEPに入れる曲、その意味でG-Eazy “&” Bebe RexhaのMe, Myself & Iはこのケースでは除外

*2:J.Coleの4 Your Eyez Onlyの平均21.4位に次ぐ成績

*3:カナダ人Drakeと組んだアメリカ人Futureのアルバムもといミックステープから10曲以上入った事例もありますが、Drakeの影響力のほうが強い