チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

はじめてのフジロック 2017 【観戦記・ライブ内容編】

 

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実は今年、はじめてフジロックに参戦して参りました。非常に濃くて楽しい、3日間を過ごすことが出来たので、その経験を文章にして伝えたいと思った次第でございます。

 

フジロックの主役はもちろん音楽なのですが、それ以外にもさまざまな特徴があるフェスで、個人的に音楽以外の経験も多くしたので 【ライブ内容編】と【苗場ライフ編】に分けて観戦記を書いていこうと考えています。

今回は【ライブ内容編】からいきます。

 

3日間で私は以下のようなアーティストを「主に」見ました。ただ、フジロックに限らずフェスとなると、移動の途中に他のアーティストが演奏しているのを横目で見るという「チラ見」も可能なので、その「チラ見」で見た人たちについても書いていこうと思います。

 

ちなみに、公式からも丁寧なレポートが上がっています! ↓こちらもぜひ!

オザケン地蔵って公式にも認知されていたんですね……)

fujirockexpress.net

 

1日目

 

グループ魂】 (グリーンステージ)

新幹線とシャトルバスを乗り継ぎ、やや寝不足ながらも高いテンションで初の苗場の会場に乗り込んだ私。そんな私の目に真っ先に飛び込んできたのはこのグループ魂でした。正直申すと、当日まで知らなくて、阿部サダヲって音楽活動していたというのは初耳でした。曲の途中のMCが印象的で、「今回のフジロックのトリは誰だ?」というテーマで大喜利を始め、客に「今どんな飲みたい?」と阿部サダヲが聞いたところ、「のどごし生!」(阿部サダヲがCMやっているやつ)という回答に阿部サダヲが大喜び……!など。

まあノリが良くて初日の盛り上げとしてはすごくうってつけなのかなと思って一部を見ていました。

 

【Train】 (ホワイトステージ)

会場を一回りしてステージごとの距離感を把握した後に、次の目当てのRag’n’Bone Manへ向かう途中にTrainを見ていました。Trainを「移動中」に見られるだなんて贅沢だな(ちょっと申し訳ないですが……)と思いました。これがフェスの醍醐味でもあるのでしょうか……!パワフルなパフォーマンスで盛り上がりを感じました。2曲ぐらいしか見られませんでしたが、そのタイミングで個人的に好きな50 Ways To Say Goodbyeを見られたのが嬉しかったです。

 

【Rag’n’Bone Man】 (グリーンステージ)

イギリスで今年大ブレイクし、アルバムの総合セールスはEd Sheeranの÷に次いでイギリスで2位というRag’n’Bone Man。もしかしたら今後ビッグになって日本になかなか呼べなくなるかも?と思いながら彼のパフォーマンスを見ていました。音源と違わぬパワフルな歌声を苗場の大自然に響かせていました。Skin、Humanというふたつのヒット曲はバラード調にアレンジしていて、彼の声の力強さを感じました。宣材写真やHumanのビデオではけっこう怖い?印象もある彼ですが、笑顔があふれていて和みました。あと、ライブにいた女性ボーカリストと肩を組んでいたときのサイズ差が面白かったです。

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【Father John Misty】 (フィールドオブヘブン)

今年アルバムが好評だったFather John Misty。初来日です。実はこの時間帯、長時間の移動もあってかなり疲れ気味だったのですが、その疲れを吹っ飛ばす圧倒的なパフォーマンスでした。どのような点が圧倒的だったかというと、その細かい動き一つ一つから醸し出される圧倒的な雰囲気です。手の動かし方、舞っているかのような動き、さらには最前列にいた熱狂的なファンも合わせてすごく良い雰囲気でした。The xxに向かうために泣く泣く途中で移動しましたが、少しでも見られてよかったです。

 

【The xx】 (グリーンステージ)                                  

グリーンステージはフジロックのなかで一番大きなステージなのですが、そのステージを2段に分かれていたので(上でJamieがDJ、下段でロミーとオリバーが演奏と歌唱)、スケールが大きく感じました。ロミーのソロなど、序盤から中盤にかけては下段のふたりにスポットを当てた曲が多く主役はその二人でした。最新アルバムの曲、Dangerous → I Dare Youをつなげて演奏したところが盛り上がりを見せました。そして終盤のほうではJamieが輝きます。今回のライブのクライマックスは、このJamieゾーンで現れました。後ろのVJがJamie XXのColorsのアルバム風になるとともに、Loud Places(歌はロミー)が演奏されたのです。DJの繋ぎの流れの中だったので、一瞬なんの曲かピンと来ませんでしたが分かった瞬間その美しさにとても魅了されました。そして最後はOn Holdでシメ。途中ロミーとオリバーが互いを称え合いキスをするなど、終始美しいライブで感動的でした。

 

Gorillaz】 (グリーンステージ)

初日のトリです。「美しい」「荘厳」のような雰囲気がどちらかというThe xxと比べると、こちらはそれこそ「フェス」のような大きな盛り上がりを感じました。ヒップホップ界隈の客演を最新アルバムでは多く取り揃えていましたが、その面々を後ろのデカいスクリーンに映し出し、そこにいるかのような演出がされていました。また、Strobeliteの客演のPeven Everett、Sex Murder Partyの客演Jamie PrincipleとZebra Katzが実際に登場し、グリーンステージはパーティのような雰囲気になりました。多くの曲を演奏したのち、アンコール後も5曲程度を演じるパワフルなライブでした。1回デーモンがステージに倒れ込んで「オレに力をくれ~~」のような演出をしたことが、その全力ライブの象徴だった気もします。まさに「果てるまで踊れ」といった感じのライブでした。

※ちなみにアルバムで客演を務めていたRag’n’Bone Manは登場せず

 

 

2日目

 

Punpee】 (ホワイトステージ)

来月のアルバムリリースが予告され、また先日は加山雄三とともに地上波にも登場するなど盛り上がりを見せるPunpeeを見てきました。最近P様と呼ばれることもあると知って、自分もマネしてそう呼んでみようかと思いました、

印象的なイベントが多いライブでした。自身の曲を歌う途中にLinkin ParkのNumbをDJがかけるというサプライズの後、「チェスターは自分みたいなオルタナティブ世代のヒーローでした。そんなヒーローたちが今日はたくさん登場します」とMC。どうやって登場させるの?かと思ったら DJが名ロックアンセムをかけてそれに乗せてP様がラップを乗せるという力業を披露!本人曰く「怒られないかなあ」と心配していましたが、これで聴衆の心を掴んだように思います。その後はPSGのメンバーを呼んでグループの曲を披露、そしてフリースタイル対決など様々な形で盛り上がりました。 

そしてMCがかなり印象的でした。予想以上に多い聴衆に驚きつつ、「日本のヒップホップでここまで人が集まるのはすごいことですよ」や「僕はメガネかけて髪型も普通な人ですが、ヒップホップにはもっとカッコイイ人もいるし、こいつとこいつは今ケンカしているだとか、こいつとこいつは昔ヤッた(?)とか色んなエピソードがあって面白いので、今後もヒップホップをよろしくお願いします」と今後語り継がれるかもしれないような言葉も飛び出していました。 あと、「カニエ・ウェストをちゃんと呼んで欲しい」とも

 

【The Avalaches】 (グリーンステージ)

演奏+2名のシンガーによる歌唱というスタイルをとっていました。サンプリングを多く挟む音源と同様、このライブでも一部カバーなども挟んでいたようです。(最初の曲で、これはガンズ?と思ったのですが、当たっていたらしいです) The Avalanchesはキレイなメロディラインが特徴的だと思うのですが(例えばFrankie Sinatraのラストの部分など)。それが大音量で演奏され、また苗場の雰囲気とも合わさってかなり心地の良い空間が演出されていました。個人的なこのライブのMVPはライブに登場した女性シンガーです。パワフルな歌声を会場に響かせるとともに、一部の曲ではラップも担当していて芸の幅が広くて良いなと思いました。

ちなみにこの女性は、2016年以降The AvalanchesのツアーメンバーとなっているEliza Wolfgramm という人みたいです。

 

【Temples】 (レッドマーキー

個人的には初のレッドマーキー。イギリスのサイケロック系バンドのTemples。時間帯が夜でもう暗かったこと、そして光の演出、そして彼らの魔術的な雰囲気もある曲によってかなり飲み込まれるような雰囲気(酔っているとも言うのでしょうか……?)が個人的には印象的でした。聴衆の曲をがっちり掴んでいるようで、どの曲でも盛り上がりを感じました。今年の来日公演も決まっていているようです!なんだか一部のサイケ信者の心を掴んでいる、のような話を聞きました。曲と会場が一体化しているような雰囲気があって時と場所によって音楽の聞こえ方は変わるということを感じたライブでした。

 

LCD Soundsystem】 (ホワイトステージ)

上のTemplesの項目で、「音楽の聞こえ方が変わる」と言いましたが、このLCD Soundsystemのライブでもそれを感じました。このライブを語るうえで当時の状況を説明せねばならないと思います。実はホワイトステージへの入場が難を極めていたのです。ホワイトステージでLCDのひとつ前にライブをしたアクトは小沢健二。特に日本のファンからは「フジロックの目玉」ともいわれる小沢健二には大きな注目があつまりました。その人気ぶりは当日も見られ、入場規制の措置がとられたようです。その大混雑の会場に入っていくこともあって、ホワイトステージの入り口部分は人であふれてなかなか列が進みませんでした。そこに激しい雨が降り注ぎ、機嫌が悪そうな客も多少いたことから、会場に入った時にはなんだか多少「ヤケクソ」のような気持がありました。

この「ヤケクソ」と、LCD Soundsystemのダンサブルな楽曲と合わさると「踊るしか無い」心理状態になり、この「ヤケクソ」のおかげで逆に最高なライブを体験することができました。特に『Yeah』の時には曲のノリもあってもう全員ヤケクソみたいな感じになっていて、3日通しても一番「フェス」を体感できた時だったかもしれません。周りの客にも恵まれていて、ひたすら人と絡むノリノリ外国人がいて、たまに自分も絡まれました(楽しかったです)なんとその方、ライブのラストのほうは女子大生と思わしきひとを肩車するなど、もうノリノリで楽しそうでした。そのような思わぬ出来事、また開始前の「ヤケクソ」そしてもちろんライブの素晴らしさも合わさって、忘れられないライブを見られたと思いました。

 

 

3日目

 

【Lukas Graham】 (グリーンステージ)

3日目のトップバッターはLukas Graham。ボーカリストLukas Grahamの特徴のある歌声を生で聞く事ができました。演出を積極的に行っていて、客との距離感を大切にしているように思いました。「もっと盛り上がれー」「音楽はカネのためじゃなくて、家族のためにやりたい」「だから、最近子どもが欲しいと思っている」「ピアノのやつがシャイなんだ、みんな名前を呼んでくれー」など覚えているだけでも印象的なMCが多かったです。

一番のファンサービス?は上裸を披露していたことです。ライブ中盤くらいからずっと脱いでいました。

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【Maggie Rogers】 (レッドマーキー

昼食をとっていたので途中から見ました。ファレルに見出されて有名になってからまだ1年程度ですが、既に日本で人気を得ていることが伝わってきました。On+OffやAlaskaあたりでの盛り上がりはすごかったです。日本、アメリカなどでの今後の動向に注目です。ちなみにチャート分類ではロックに該当するらしいです。

 

Slowdive】 (レッドマーキー

雨を避けつつレッドマーキーSlowdiveを鑑賞。正直申すと、あまり知らないバンドでしたが、Templesのときと同様、紫ベースの光と荘厳な曲の雰囲気から、かなり独特な雰囲気が出ていました。

 

【Lorde】 (グリーンステージ)

個人的3日間のなかの大本命。フジロック行きを決めた時点ではまだアルバムが出ていなくかったですが(それでもかなりの目玉でしたが)、6月末のアルバムリリースで一気に期待値が上昇しました。(ちなみにアルバム・シングルともにLordeが2017前期で1位だったと思っています。 参考) 

私はその期待をも上回る感動的なライブを目にすることができました。

Tennis Court、Disclosureの客演をLordeが務めたMagnetsなどの有名曲を披露したのち、いくつかのMCを披露。その時思ったのはカッコイイ ⇔ かわいいのような切り替えがすごく鮮明だということです。歌う時は目付きが鋭く、動きもなんだか魔術的で「アーティスト」のような気高さを感じる一方(私は髪をかき分けて鋭い目付きを見せる動作が好きでした)、MC中は素の状態で“かわいく”振る舞う。そんなギャップに魅了されました。そんな“かわいさ”(素)を見せるからこそ、同世代の心に寄り添って日々の支えになるような力になる。そんな若い世代のリーダーのような風格を感じました。それを最も感じたのはLiabilityの前MCのときです。長めのMCで「孤独なときもあると思う(私の意訳)」などの思いを語ったのち、アルバム屈指のバラードを静かに歌い上げたときはライブの最も美しかった瞬間ではないでしょうか。そしてTeam、Royals、Perfect Placesなどの代表曲などで盛り上げた後、さらに「エネルギーを爆発させてね」と最後はGreen Lightでシメ。Lordeの音楽家としての力量を感じるとともに、それ以上にLordeという人間のカリスマ性、パワーを感じた思い出深いライブとなりました!

 

【トリプルファイヤー】 (苗場食堂)

苗場食堂の冷奴と沢庵を食べながら、横目に少し見ていました。吉田―!イケメンー! *1

 

【Thundercat】 (フィールドオブヘブン)

フィールドオブヘブンは何回か回っている時に入ったのですが、この時間帯のフィールドオブヘブンは特別な雰囲気が出ていました。色とりどりの明かり、突き抜けるような夜空、そして溶けるようなThundercatの演奏。それらが合わさった格別な雰囲気に圧倒されると言うか、なんだか泣きそうになりました。3日目で、なんだか気分的にお酒を飲んでみたのですが、お酒を飲んだところ本当にこの雰囲気に融合した気分になり、今までにないような気分になりました。そして、ついにはここが天国だと思い始めて、なんか死ぬとしたらこういう所なのかな、というワケの分からない思考に陥っていました。Thundercatの演奏を楽しみながら、ここの雰囲気にとにかく浸っていました。

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【Major Lazer】 (ホワイトステージ)

“天国”から心機一転、今度は最終日の宴ともいえるMajor Lazerの会場へ。個人的に最後はMajor Lazerで盛り上がって、そして何かを大合唱してシメたいと思っていました。予想に違わず盛り上がる仕掛け盛りだくさんでした。いきなりバブルボールに乗って客席に入り、ジャンプしろ!左右に走れ!旗を振れ!といった全員を踊り狂わせるための司令を連発していました。そして、元目黒区民・Diploによる流暢な日本語も堪能できました(個人的に楽しみにしていたトピックです) しかし、合唱みたいなパートはあまり無かったです。おそらく、他のアーティストの兼ね合いと客層から見て、知らない人でも楽しめるセットにしていたのだと思います。

 

【Goldroom】 (レッドマーキー

トリはMajor Lazerでフジロックは終わり!と思いきやレッドマーキーではまだもう少し続きがあります。Major lazerから一段落してレッドマーキーに向かうとGoldroomがDJプレイをしていました。Jax JonesのHouse Workが流れて個人的に喜んでいました。

 

【Troyboi】 (レッドマーキー

引き続きDJが登場。トラップスタイルDJのTroyboi。自分であんまり意識していなかったのですが、フジロック後に調べてみたら彼の曲を実はけっこう知っていました。トラップスタイルを志すだけあって、ヒップホップとの融合が魅力的でした。Major Lazer以上にカラオケできたのが嬉しかったです。特にMask OffとGoosebumpsは思いっきり歌いました。まあ、カラオケを目的にDJを見るのも変な話ですが。ちなみにKendrick Lamarをのべ4曲かけていて(HUMBLE. DNA.(一部) m.A.A.d city Goosebumps(リミックスなのでケンドリックの部分は無いですが……笑))かなり眠い時間帯なはずですが、自分はすごく盛り上がっていました。最後には裸体モッシュのような行動も見れて面白かったです。

 

Your Song Is Good】 (レッドマーキー

真のラスト。「フジロック4日目はじまるぞー!」というMCにさまざまな感情をいだきながら、私のはじめてのフジロックは幕を下ろしました。

 

 

個人的ベストアクト

LCD Soundsystem

★Lorde

The xx

PUNPEE

The Avalanches

 

★をつけた二つは特に好きでした。

ベストアクトにはこの5つを選びましたが、どのアクトも楽しかったです(露骨な外れは無かったです)

 

ちなみ投票によるベストアクトはこんな感じです↓(ページの最後のほう)

 

 

次回は【苗場ライフ編】です。そちらも機会があればぜひお願いします。

 

  

 

*1:ライブでそういう黄色い声援がいつも飛んでいるらしいです