チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 8/26 見どころ 【Bodak Yellowの大躍進 / Drakeがついに消える】

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今週の最大のトピックはDrakeの曲が0になったこと!約8年3カ月続いた「何かしらの曲がHot 100に入り続ける」という記録が途絶えました。ほかCardi B大躍進 など。

 

 

 

95 Sofia Carson, Cameron Boyce, Booboo Stewart & Mitchell Hope – Chillin’ Like A Villian (New)

Descendants 2のサントラから3曲めの登場。Chillin’ Like A Villian。ディズニー系映画サントラの曲はやや不規則なチャートアクションを取ることがあり、他の同サントラの曲は少し前にHot 100に登場して今週は順位を落としていますが、このVillianは今週に登場。Descendants 2サントラは今週のアルバムチャートで20位。

またアルバムチャート1位はDMAN.、2位はカントリーシンガーのBrett Eldredgeが。

 

94 Jacquees – B.E.D. (New)

R&B系ラジオで好評を博していたJacqueesのB.E.D.がHot 100にエントリー。94位で登場。Apple Music、Spotifyでいずれも200位圏外なので、ストリーミングでの数字を伸ばせるかが今後の躍進のテーマだと思います。

 

84 Rae Sremmurd – Perplexing Pegasus (New)

Rae Sremmurdの片割れSwae Leeが今週3位の大ヒットUnforgettableの客演として大活躍し、さらには彼のソロアルバムの噂もあるのですが、今回リリースされたのはRae Sremmurd名義のシングル。Perplexing Pegasusが84位で登場。このアルバムはSremmLife、SremmLife2に続くSremmLife3のシングルと考えられているようです。

※ソロ客演~ソロアルバムの噂の流れで、Rae Sremmurd名義の曲が減る流れ(活動休止?)かと思っていたので、Rae Sremmurdが好きなので個人的に安心しました。

 

82 P!nk – What About Us (New)

P!nkのWhat About Usが82位で登場。今年何回かあった木曜日リリースです。ダウンロードは1日のみ集計ですがその間に圧倒的な数字を記録し、またラジオでも好調(既に今週ポップ系ラジオ34位)なので少ない期間の集計ながらもHot 100にエントリー。他の以前の木曜日リリースの曲と同様、次週は大きく順位を上げるでしょう。Shape of YouやClean Banditのプロデュースで名を挙げたSteve Macがプロデュースのこの1曲、P!nkの元からの知名度の高さとトレンドに合ったサウンドでヒットの線が強そうです。ストリーミングの数字がまだそこまで高くないので、その数字さえ上がってくればトップ10には入りそうです。

※イギリスでも圧倒的ダウンロードを記録していて、今週のシングル1位候補の一つになっています。ライバルはイギリスSpotify現1位、かつ値下げでダウンロードの数字もそれなりのDua LipaのNew Rulesです。

 

81 Camila Cabello feat. Quavo – OMG (New)

Camila Cabelloがリリースした2曲がいずれもHot 100入り。Havanaは99位、OMGは81位。2曲ともストリーミングで上昇中ですが、「プロモーショナル・シングル」という扱いなのでラジオでの数字が当面は望めず、本格的ヒットは望みづらい状況だとは思います。

※「プロモーショナル・シングル」とはシングルのような形でリリースするものの、あくまでアルバム宣伝用のシングルで、シングル単体のヒットを狙ったり、ラジオでかかったりはしないシングルのことです。

※今のところアルバムにはBenny Blanco、Pharrell、Cashmere Cat、Charli XCXとNoonie Bao、Siaなど幅広い制作陣を迎えていて、現代ポップスの縮図のようなアルバムができるかも?

 

76 Kodak Black – Patty Cake (New)

ビデオがリリースされたKodak BlackのPatty Cakeが76位で登場。アルバムPainting Picturesからは一時期6位まで到達したTunnel Visionに次ぐ2曲めのHot 100。ビデオではそのPainting Picturesのジャケにいるイラストの人?が出てきます。

 

70 Tay-K – The Race (New)

次世代YouTubeハッシュタグ系ラップのヒットシングル。Tay-KのThe Raceが70位で登場。毎度おなじみ曲に合わせたダンス動画に加えて、この曲のフリースタイルリミックス制作も話題に。Lil Yachtyがこの曲に合わせたフリースタイルをしていました。

 

40 Kane Brown feat. Lauren Alaina – What Ifs (↑)

若手カントリーシンガー二人によるWhat Ifsが40位に上昇!Kane Brownにとっては初、Lauren Alainaはアメリカンアイドルに出場した2011年以来のトップ40。サビのダブルコーラスが印象的なポップ寄りアプローチをした一曲です。カントリー系ラジオでの上昇のほか、ダウンロードが今週21位と好調がトップ40入りの要因です。カントリー界からはDustin LynchのSmall Town Boyも38位とトップ40入りを果たしています。

 

8 Cardi B – Bodak Yellow (↑)

話題のシングル。Cardi BのBodak Yellowが4週目で8位まで浮上。かなりのスピードで躍進していて、ビルボードは複数のデータでそのすごさを説明しています。女性ラッパーのトップ10エントリーは2014年のNicki MinajのAnaconda以来(客演は除く)であること、また同じくデビューシングルだったMeghan TrainorのAll About That Bassも同じく4週目でトップ10に到達したことを挙げています。

私はこのBodak YellowはAll About That Bassと似たようなチャートアクションを取るのではないかと予想しています。All About That Bassは上で述べたように4週目に8位でトップ10した後、4位、2位と順調にジャンプアップして、「いよいよ1位か?」という週にTaylor SwiftのShake It Off、そしてNicki MinajのAnacondaの衝撃的なビデオがその週にリリースされ、ポイント自体は大きく上昇しているにも関わらず、まさかの3位にランクダウン。ですが2週間後には見事1位に上昇しています。

Bodak Yellowも来週はトップ5に到達すると予測されていて、さらなる飛躍が見込まれますが、こちらにも強力なライバルが出現します。それは今週の木曜日に新曲FriendsをリリースするJustin Bieber。複数アーティストを客演の立場から1位に送り込んでいる勢いを考えると、自分自身の曲で特大ヒットになるのは間違いなく、すぐに1位となる可能性は大きいでしょう。Bodak Yellow自体の勢いは間違いがありませんが、1位を取るにはJustin Bieberの勢いが止まる瞬間を待つ必要があるかもしれません。

※この曲の勢いの良さの一番大きな要因はストリーミング(今週2位、Apple Music現1位など)ですが、他二つもダウンロード(今週15位)、ラジオ(今週36位)とそれなりの数字を記録しています。

 

6 Shawn Mendes – There’s Nothing Holdin’ Me Back (↑)

Stitchesに次いで2曲めのポップ系ラジオ1位を記録したShawn MendesのThere’s Nothing Holdin’ Me Back。Hot 100でも6位まで浮上しています。ただ、同じく男性ポップ系シンガーソングライターの*1 Charlie PuthのAttentionは今週Hot 100で5位に浮上し、抜けませんでした。ラジオではリードしているものの、ダウンロードとストリーミングの数値が少し下回っています。この2人の順位争いは密かに注目ですかね……?

 

2 DJ Khaled feat. Rihanna & Bryson Tiller – Wild Thoughts (→)

ポップ、アーバン系と幅広い系統のラジオ局でかかっていることから今週ラジオで最も支持を得る曲となったWild Thoughts。1位に接近しているのか?とも思えますが、今週はDespacitoがWild Thoughtsと比べて1.46倍のポイントを稼いでおり、大差をつけています。ビルボードはこのように大差をつけていることに加え、Wild Thoughtsはラジオ以外の数値は伸びていないことを考慮して「現状」*2では、Despacitoが有利としています。

ですが、Wild Thoughtsは今週iTunes値下げを敢行し、Despacitoのリミックスと原曲*3を合算したダウンロード並の数字まで到達しており、1位争いが熱くなってきています。ストリーミングはYouTubeでの好調があるのでDespacitoがまだリード中ではありますが、ラジオではWild Thoughtsが上回っているので勝負は分からないです。個人的には、そろそろチャートに動きが欲しいという願望も込めてWild Thoughtsが1位になると予想します。Wild Thoughtsはここで1位をとらないと、今週木曜日リリースのJustin BieberのFriendsという強力なライバルが出現するので……

 

× Drake – Passionfruit (↓)

先週Hot 100にエントリーしていたSigns、Passionfruitの2曲がHot 100から姿を消し、「2009年5月のHot 100初登場以来何らかのDrakeの曲が入り続ける」という記録が約8年3ヶ月で途切れました。Signsが予想外の不調なことが途切れた最大の原因でしょうか。仮に自身の曲がHot 100に入らずとも、以前までは客演の曲がエントリーしたことによって記録が続いていたのですが(例:2015年の半ば、Meek Mill feat. DrakeのR.I.C.O.のみで繋いでいた期間がある)、大物になりすぎたせいか、やや客演が減ったことも記録が止まった理由の一つだと思います。

今年の客演は”美しすぎるチャート滞在”を記録したGucci ManeとのBoth(ピーク41位)、Wizkidと再タッグを組んだCome Closer(ピーク100位圏外)、ストリーミングから音源が「消えた?」DJ KhaledとのTo the Max(ピーク51位)、Metro BoominとのNo Complaints(ピーク71位)の4曲、そして去年の客演数は8曲です

他にも理由を挙げると、今年に入ってからラジオではやや不調だったということ。ストリーミングでは大人気で、デビューじにはHot 100で8位だったにも関わらず息切れして最後は81位になってチャートから姿を消したかというとラジオでヒットしなかったから。客演で入ったGucci ManeとのBoth、昨年リリースされていたFake Loveはアーバン系ラジオで1位を獲得していたのですが、More Lifeで発表されたシングル群はPassionfruitの19位が最高位で、微妙。Signsに至ってはまだ50位以内にエントリーしていません。

個人的に理由の推測として浮かんだのは、曲のリリースペースが速すぎてラジオの曲が入れ替わるペースでは対応しづらいこと、またストリーミングに意識を傾けて曲をリリースしていることだと思います。ラジオはゆっくり支持を拡大し、ピーク後もゆっくりと数字を落としていくのですが、そのペースだとMore Lifeの大量の曲をカバーしきれなかったのかもしれません。またCDのリリースも難を極めて、さらにYouTubeに曲を上げないなどプロモーションの手段に偏りがある(ストリーミングでヒットするからOKということでしょうか?)ため、世間一般の曲認知度が低いことがラジオでのヒットが無い理由になるのかもしれません。

昨今「ストリーミングの人気でチャートを上昇中!」のようなケースがHot 100で多くありますが、Hot 100の集計ではストリーミングのレートが一番低いとされていて、またチャート滞在の後半はラジオの指数が重要になるので、結局総合的なヒット具合を決める指数の決めてはラジオだったりもします。*4 

 

× Jason Derulo feat. Nicki Minaj & Ty Dolla $ign – Swalla (↓)

Jason DeruloのSwallaが今週チャートから外れました。ピーク29位で滞在20週、最後の週の順位は82位と年間チャートが厳しそうな指数です。全員アメリカ人で、R&Bをベースとした曲ながらも、むしろアメリカではヒットして「いない」ような曲でした。(イギリスではピーク6位、ドイツではピーク4位など)、理由はR&B曲ながらも、アーバン系ラジオでは50位圏外とR&B系統のファンからの支持が無いことですかね……

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Portugal. The Man – Feel It Still

今週最もダウンロードが上昇した曲 Kesha - Praying

今週最もストリーミングが伸びた曲 Cardi B – Bodak Yellow

最も高い順位で新登場した曲          Tay-K – The Race

 

 

今週チャートから外れた曲 (8曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Drake – Signs (🗻36位 /⏰6週)

97 Kesha – Learn To Let Go  (🗻97位 /⏰1週)

96 Linkin Park feat. Kiiara – Heavy  (🗻45位 /⏰19週)

95 Florida Georgia Line feat. Backstreet Boys – God, Your Mama, And Me  (🗻46位 /⏰19週)

91 Enrique Iglesias feat. Sean Paul – Subeme La Radio  (🗻81位 /⏰9週)

82 Jason Derulo feat. Nicki Minaj & Ty Dolla $ign  (🗻29 /⏰20)

81 Drake – Passionfruit  (🗻8 /⏰20)

49 Ayo & Teo – Rolex  (🗻20 /⏰25)

 

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲をピックアップしました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora、Apple Music、各種ラジオなど)

 

Marshmello feat. Khalid – Silence (Spotify 19位、Apple Music 24)

昨年DJ Magのランキングで初登場28位と躍進した仮面DJはメインストリームでも絶好調。こちらも今年躍進中のKhalidとタッグを組み、ダウンロードとストリーミングで上々な数字を叩き出しています。Aloneで記録した60位を1週目から抜くかもしれません!

 

Samir Mezrahi - A a a a a Very Good Song (ダウンロード)

自動再生した時に不意に曲が流れないようにする無音の1曲。「曲」というよりは「ツール」です。Hot 100に入るほどのダウンロードは得ていませんが、Hot Digital Song(=ダウンロードのチャート)の圏内の50位に入る可能性ならあり得るでしょうか?(この1週間ダウンロード50位前後を推移しています)、そもそもビルボードがこれを「曲」としてみなすかは不明ですが。

 

 

 

*1:ライバル???

*2:その文章の投稿は月曜日

*3:原曲のほうも今週値下げ

*4:年間チャートではラジオヒットが上位に来る傾向があります