チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 10/14 見どころ 【Post Malone、rockstarを媒介してさらなるヒット!】

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rockstarの影響を受け、Post Maloneの二曲がかなり面白い形でHot 100 に登場しました! 

その現象にフォーカス記事はこちらです。↓

 

 

 

 

100 Post Malone – Go Flex (re)

Post MaloneのGo Flexが100位に再登場。リリース時の昨年4月*1以来の再登場に。現在シングルでもないこのGo Flexがいま再登場したのかというと、rockstarのヒットによって彼のアルバムStoneyが再び大きく注目されたからです。Stoneyは今週売上が伸びて、アルバムチャートでリリース時のピークと並ぶ6位まで浮上。そのStoneyは全体的にストリーミングも上昇しCongratulationsに次いで2番人気だった*2Go FlexがHot 100 圏内相当まで浮上したというわけです。

このHot 100 再登場は「音楽を媒介して他の音楽のヒットを呼び込む」という珍しいヒットの形を取っていること、また時間を置いてからストリーミングでの熱が再燃しているという点でかなり珍しいチャートアクションだと思います。興味深いです。

 

98 A$AP Ferg – Plain Jane (New)

SpotifyApple Musicの両ストリーミングでの好調によって浮上。A$AP FergのPlain Janeが98位で登場。FergにとってWork、New Levelに次ぐ3曲めのHot 100。このPlaine Janeは彼の今年のミックステープのシングル。

豪華さで言えばBusta RhymesA$AP Rocky、Dave East、French Montana、Rick Ross、Snoop Doggを揃えたEast Coast (Remix)がミックステープ内で一番。ほかゲストにはMeek Mill、Lil Yachty、Playboi Carti、Migosなど多種多様。

 

97 Eric Church – Round Here Buzz (New)

カントリーラジオで上昇中の曲のうち3曲がHot 100に。Eric Churchの2015年のアルバムからのシングルRound Here Buzz(97位)と、Brett YoungのLike I Loved You(95位)、Chris YoungのLoosing Sleep(94位)。次のHot 100入り候補はGarth BrooksのAsk Me How I Know、Florida Georgia LineのSmooth*3あたり。

 

70 Macklemore feat. Kesha – Good Old Days (New)

アルバムチャートで2位だったMacklemoreの新アルバムGemini。アルバムからは先行シングルのGlorious(今週49位と上昇!)と、Keshaを迎えたGood Old Daysがおおくのダウンロードを集めて70位で登場しました。KeshaをMacklemoreに紹介したのは今までの盟友Ryan Lewis。Ryan LewisはKeshaの今年のシングル、Prayingのプロデューサーでした。 (この記事でもその件について触れています)

Gloriousと共に先行リリースされていたLil YachtyとのMarmaladeは今週もHot 100に入らず。同じfeat. Lil YachtyのDRAMのBroccoliとの類似性を指摘する声もありましたが、DRAM本人は「別に構わんぞ」との反応

 

※ちなみにアルバムチャート1位はThe KillersのWonderful Wonderful。UKでは5作連続1位も、母国アメリカでは初の1位アルバム。このアルバムからはHot 100入りナシですが、先行シングルのThe Manは現在オルタナティブ系ラジオで2位と好調。

The Killersのイギリスでの人気ぶりは この記事 や この記事でも語っています)

 

67 BTS – DNA (↑)

先週の約4日集計から今週は7日集計になったBTSのDNA。その影響でHot 100の順位を85位 → 67位と上げました。リリース当初に集中したダウンロードのポイントは先週と比べて大きく落ちましたが、代わりに7日集計になったぶんストリーミングが上昇。今週もっともストリーミングの伸び幅が大きい曲となっています。従来から得意としていたYouTube以外にもSpotifyApple Musicでもそこそこの再生数を稼いだことが、今週の順位上昇のカギだったと思います。

今まで、韓国のアーティストのシングルというと1週間でHot 100から外れてしまう「出落ち」が多かった(トップ10まで到達したPSYのGangnam StyleとGentlemen以外全部)のですが、このDNAは2週目も健在で以前のK-Popシングルよりも定着度が高いといえそうです。今後も定着度が高いヒットをK-Popアーティストは飛ばせるのか?に注目です。

 

65 Post Malone – I Fall Apart (New)

Post MaloneのI Fall Apartが65位で登場。rockstar以降に突如現れたヒットシングル。ライブでのパフォーマンスが話題を呼び注目を集め、さらにはアルバムStoneyが全体的に浮上していることもあってこのI Fall Apartは急上昇。ダウンロード、ストリーミング共に数字を伸ばしてHot 100に入りました。特にストリーミングは出色の出来で、ここ2週間程度でApple Music、Spotifyの両方、圏外からトップ10に入っています。

レーベル側が目をつけていなかった曲がストリーミングで人気に火がつきシングルヒットになる。今年のMask Offはまさにそんな感じでした。そのMask Offはリリースからすぐに人気が出ましたが、今回のI Fall Apartは他の曲を媒介して再浮上する形で人気に。

音楽が音楽を呼び、その熱狂が可視化されている…………前述のGo Flexと合わせてかなり注目の出来事だと思っています。

↓GeniusによるI Fall Apartのヒットの理由

 

 

53 Calvin Harris feat. Pharrell Williams, Katy Perry & Big Sean – Feels (↓)

ポップ系をはじめとしたラジオでの再生数減により調子を落としているFeels。Hot 100では23位 → 37位 → 43位 → 53位と急激に順位を落としています。

自身のアルバムからの曲は14曲もトップ10に入っているKaty Perryですが、客演では今まで一回もトップ10に入れず。(そもそも客演する回数が少ないですが)今回もトップ10に入れなさそうですが、3Oh!3とのStarstrukk、John MayerとのWho You Love、*4を越して客演のなかでは一番のヒットとなっています。

ちなみにCalvin HarrisのアルバムFunk Wav Bounces Vol.1の中で一番高い順位を記録したシングルでもあります。(Feels 20位、Slide25位)

 

44 Camila Cabello feat. Young Thug – Havana (↑)

ジミーファロンのThe Tonight Showでのパフォーマンスの効果で注目を集め、ダウンロードが少し上昇。Hot 100で64位 → 44位とジャンプアップ。今週と比べるとダウンロードが減る分、来週はHot 100で順位を落とすかもしれませんがラジオもストリーミングでも順調なので、いずれトップ40に届きそうです。

元はアルバム宣伝用のシングルでしたが、ストリーミングで人気になりシングル化しました。Hot 100よりもストリーミングの占める割合の大きいイギリスのシングルチャートでは、今週4位まで到達しています。

 

40 Luke Combs – When It Rains It Pours (↑)

今年Hurricaneで初のトップ40入りを果たしたLuke Combsが、それに続くシングルWhen It Rains It Poursでもトップ40入りを達成。今週40位。いずれもデビューアルバムからのシングル。カントリー界の期待株ですかね。

 

36 Justin Bieber & BloodPop – Friends (↓)

Justin BieberのFriendsの調子が上がらず。今週35位 → 36位とジリ貧です。有力なポイント源のひとつ、ポップ系ラジオも先週までの上昇から一転、今週はポイントが落ちてしまいました。不調シングルの巻き返しの常套手段としてiTunes値下げがありますが、実は密かに実行済み。値下げ後のダウンロード最高順位は28位でリリース時の5位には遠く及ばず、値下げ作戦も空振りに終わっています。

こうなると打開策はビデオかパフォーマンスが話題になり、「第二の波」を呼び込むくらいしかなくて、ここからの大きな上昇はかなり苦しいと言わざるをえません。このままだと不完全燃焼だったDavid Guettaとの2Uを下回る成績になりそうで……

※Justin Bieber、今年働きすぎだったのでは……

 

10 Demi Lovato – Sorry Not Sorry (↑)

値下げによるここ数週のダウンロードでの好調に加え、ラジオが急上昇したことでDemi LovatoのSorry Not Sorryがついにトップ10入り。Joe JonasとのThis Is Meに次ぐキャリア2番めのチャート順位となる10位を記録しています。

そのThis Is Me、また今年のMiley CyrusのMalibu、Selena GomezのBad LiarやFetishのように序盤元気型ではなく、じわじわとポイントを上げているのがこの曲の特徴。ラジオでのポイント。Demi LovatoはかつてGive You Heart a Breakで当時最長タイとなる25週をかけてのポップ系ラジオチャート一位獲得という実績があり、以前にもロングヒットの経験があります。*5

来週にはアルバムのリリースも反映されるので、その効果でまた順位が上がるかもしれません。

 

3 Taylor Swift – Look What You Made Me Do (→)

Cardi Bから1位の座を奪還すべく、値下げ作戦を断行したテイラー。値下げした当初は狙い通りiTunesで1位に到達しましたが、徐々に失速。週の途中にCM効果で注目のImagine DragonsのThunderに抜かれ、結局週の合計でもThunderを下回り結局今週のダウンロード2位に。そしてストリーミングが下がったこともあり、ビルボードはこの”Look”を総合的なポイントで下がっていると判定しています。*6その結果、rockstarも抜けずに結局3位に留まり値下げ作戦は空振りに終わりました。ラジオはまだ今週上昇中(10位 → 7位)のため、上昇の見込みが無いわけではないですが、ストリーミングが落ちていること、ラジオの伸びスピードが落ちてきたこと、そして値下げという必殺技をもう使ってしまったことから今後の1位再浮上の可能性は低くなったといえそうです。アルバムリリースのタイミングまでラジオを維持していれば一応可能性はありますが

 

× Future – Mask Off (↓)

ストリーミングでの熱狂的な支持を受けて一時期5位まで浮上。客演以外では自身初のトップ10となり、「2週連続で異なるアルバムでの1位」という記録も残した今年のFutureの充実ぶりを物語る一曲だと思います。チャート滞在も31週と長めで*7、大成功のシングルだったと思います。唯一の公開はKendrick Lamar入りリミックスがそこまでヒットしなかったことか。

※今年増えてきた、ストリーミングの熱狂によってシングル化した曲の一例です。

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Post Malone feat. 21 Savage - rockstar

今週最もダウンロードが上昇した曲 Imagine Dragons – Thunder

今週最もストリーミングが伸びた曲 BTS - DNA

最も高い順位で新登場した曲          Post Malone – I Fall Apart

 

 

 

今週チャートから外れた曲 (7曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Metro Boomin feat. Offset & Drake - No Complaints (🗻71位 /⏰5週)

98 Bhad Bhabie – These Heaux (🗻77位 /⏰3週)

96 XXXTENTACION – Everybody Dies In Their Nightmares (🗻54位 /⏰4週)

93 Midland – Drinkin’ Problem (🗻45位 /20週)

92 Lorde feat. Khalid, Post Malone & SZA – Homemade Dynamite (🗻92位 /⏰1週)

67 Niall Horan – Too Much To Ask (🗻67位 /⏰1週)

48 Future – Mask Off (🗻5位 /31週)

 

 

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲をピックアップしました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora、Apple Music、各種ラジオなど)

 

Tom Petty – Free Fallin’

Tom Petty – I Won’t Back Down

Tom Petty & The Heartbreakers – Mary Jane’s Last Dance

Tom Petty – You Don’t Know How It Feels

Tom Petty & The Heartbreakers – American Girl

 

訃報を受けてダウンロードが上昇。特に上昇が見られたのは上記の曲。これらのうち、Free Fallin’はHot 100にも入りそうです。Spotifyでも一時的に浮上

 

A Boogie wit da Hoodie – Say A’ (Apple Music 3位)

A Boogie wit da Hoodie – No Promises (Apple Music 4位)

A Boogie wit da Hoodie feat. 21 Savage – Undefeated (Apple Music 7位)

A Boogie wit da Hoodie – No Comparison (Apple Music 10位)

 

この週リリースのアルバムの中でストリーミング一番人気だったA Boogie wit da Hoodie。現在Apple Musicでは4曲がトップ10に。Spotifyでもそこそこの順位のSay’ AはHot 100に入りそうですね。他はどうか

 

 


 

*1:チャート上の日付は5月

*2:最近急浮上した後述のI Fall Apartに抜かれる

*3:現在101位相当

*4:TimbalandとのIf We Ever Meet Againを考慮しても

*5:現在は26週かけて一位になったAlessia CaraのHereが最長。もう一つの25週はCee Lo GreenのForget You

*6:上昇中の曲には順位の左に◎マークがつくが、“Look”にはついていない

*7:同じくストリーミングで飛躍し、Hot 100で一時期6位まで到達したKodak BlackのTunnel Visionは20週きっかりでチャートを後に