チャート・マニア・ラボ (CML)

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最近トップ10に2曲!R&B~ポップをつなぐソングライターStarrahとは?

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現在ヒット中のHavana・What Lovers Do。前者は近いうちのシングル1位が期待され、後者は先週シングルトップ10に入っていました。この2曲でソングライターを務めるStarrahについて、自分なりの見解を交えつつ今回は紹介していきたいと思います。

 

 

1 プロフィールの紹介

2 自分が分析する、Starrahの特徴

3 今後への期待!

4   まとめ

 

1 プロフィールの紹介

 

8人兄弟の末っ子として生まれたStarrahは1990年代 ~ 2000年代初期のR&Bに魅せられ、ティーンエージャーの時期に音楽制作を始めます。大学時代も変わらず音楽制作を続けましたが、その時の主眼を置いていたのはソングライト。ジャンルは変わらずR&Bでした。

そんな彼女ですが、ソングライトをした曲のデモを送るために自ら歌う必要性が出てきました。そこでオートチューンを使ってデモを送っていたのですが、後に実はオートチューンを上手く扱えておらず、実は地声で送っていたことが発覚。しかしそのアクシデントにより彼女の歌唱力は知らない間に向上していたのです。

 

そして2014年、Nick Jarjourというマネージャーにサウンドクラウド経由で発掘され、シンガーとしてデビューします。その時のシングルは”Low”など。

2015年からはソングライターとしても活動を拡大し、JeremihやKid Inkのアルバムでは客演ボーカル・ソングライターとして二つの役割を果たしました。そしてソングライターとして、Kid Ink feat. Dej LoafのBe Real (Hot 100で43位) や Kevin Gates の2 Phones (Hot 100で17位)をヒットに導き、さらにR.Kelly・Lil Wayneという大物二人の曲でソングライトを受け持つなど、キャリアアップしました。

 

2016年はさらに重要な仕事を果たします。RihannaのAntiのNeeded Meでソングライトを担当し、これがトップ10(Hot 100で7位)に入り。彼女がソングライトした曲では初のトップ10です。Hot 100で歴代4番目に多い14曲の1位シングルを獲得してきたRihannaにとってHot 100の7位というと大したことの無い数字に感じるかもしれませんが、実はこの曲Rihannaの曲史上最も長くHot 100に滞在した曲(45週)で*1、チャート上でも新たな一面を見せる成績を残していたのです。週間ピーク7位ながらも、年間では13位に食い込んでいます。

この時期から各方面で引っ張りだこになり、Travis Scott + Young ThugのPick Up the Phone (Hot 100で43位・Travis Scottのアルバムではほか2曲を担当)、DJ SnakeのThe Half (Hot 100には入っていない、客演にJeremih・Young ThugとSwizz Beatz)、Cashmere Cat のTrsut Nobody (Hot 100には入っていない、客演Selena Gomez・Tory Lanez) などエレクトロ方面にも少しずつ進出。幅を広げていきます。

さらには年の後半にはDrakeともタッグ。Fake Loveのソングライトを担当し、Starrah自身2曲目のトップ10に!Fake LoveはHot 100で8位まで到達。“プレイリスト“More Lifeの中ではPassionfruitと並んで最高位です(総合的なヒット度はFake Loveが上)

ほかDrakeと双璧を成す、R&Bの巨星The Weekndのアルバムでも一曲受け持っています。(True Colors)

また2016年には自身の曲RushとDirty Dilenmaをリリース。RushはKehlani入りのリミックスもあります。

 

2017年に入ると、さらに活躍しています。

Big Seanのアルバムでは一部の曲でバックコーラスを務めつつ、EminemとのNo Favorsなどをソングライト。今年批評家からも注目されたCalvin Harrisのアルバムでは収録曲の半分(5曲 / 10曲)のソングライト。複数ジャンルを横断するCalvin Harrisの試みを強力にサポートしました。ちなみにHeatstrokeではバックコーラスを担当しています。

ほかMaroon 5、Cashmere Catのアルバム、Drakeのプレイリストでもそれぞれ2曲を担当しています。

シングルでも大活躍で、Drake・Lil Wayneの素敵な笑顔写真と共にリリースされたNicki Minajの3曲のうち2曲(No Frauds、Regret in Your Tears)をソングライト。また、昨年のNeeded Meのセンスを受け継いだHalseyのNow or Neverや、Duke DumontがプロデュースしたKaty Perryのダンストラック、Swish Swish、昨年のPick Up the Phoneの2人と再会したMajor Lazer (feat. Camila Cabello, Travis Scott & Quavo)のKnow No Better、Camila CabelloのHavana、DJ Khaled + Calvin HarrisのDon’t Quitなど幅広くに参加。2017年だけでトップ10に3曲、トップ40に7曲を送り込んでいます。

 

トップ10 = Havana (2位)、Fake Love(8位)、What Lovers Do(9位)

トップ40 = 上記の3曲、No Frauds(14位)、Now or Never (17位)、Feels (20位)、No Favors (20位)

 

2017年はソングライターとしてだけではなく、シンガーとしても活躍の幅を広げています。年初にはCharli XCXのミックステープNumber 1 Angelの最初のトラックDreamerのヴァースを一つ担当。そしてDiploと組んで自身初のEPもリリースしました!

 

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↑Nicki Minajと再会し、素敵な笑顔を見せるDrakeとLil Wayne。

 

 

2 自分が分析する、Starrahの特徴

 

もう一回Starrahが受け持った曲のうち、トップ10入りした曲を並べてみます。

 

Rihanna – Needed Me / Drake – Fake Love / Camila Cabello feat. Young Thug – Havna / Maroon 5 feat. SZA – What Lovers Do

 

これらの曲の共通点は R&Bを基軸・または参考としながらポップ系ラジオでも人気」ということだと考えます。つまり、Starrahの功績はR&B ~ ポップスを巧みにつなぐことではないか?と考えたのです。

今回は、それを私の考えた3つの曲の「流れ」と共に分析していきます。

 

4つの流れとは、こうです。

① Jamie xx feat. Young Thug & Popcaan – I Know There’s Gonna Be

Travis Scott & Young Thug feat. Quavo – Pick Up the Phone

③ Camila Cabello feat. Young Thug – Havana

 

Young Thug と共に遠いシーンとシーンを繋げたのでは?というのが私の考察です。

まず① → ②。①はStarrahが関与していない曲ですが、③の原点ではないか?という考えが私の中にあるので言及しています。

 

①は、The xxのメンバーJamie xxによるソロアルバムに収録されていた、不思議な雰囲気のダンスホール ~ ファンキー風の1曲。この曲はすこぶる評価が高く、Pitchforkの2015年ベスト曲3位に選ばれるなどしています。またこの曲で客演を務めるPopcaanはダンスホール系の客演として確実に地歩を固め、2016年以降客演で見かける機会が増えました。Drakeの Controllaに客演で当初はいたものの、結局消えるという騒ぎ(?)もありました。

このようにPopcaanを発掘し、ブレイクに導いた曲としての意味合いもあるこの曲ですが、Young Thug側にも影響を与えていると考えています。その影響が最も現れているのがこのPick Up the Phoneだと思います。

 

なぜI Know ~と Pick Up the Phone を私は並べているかというと、2つ共通点を見出しているからです。

まずは全体的な浮遊するようなサウンド感覚です。事象がねじれた異空間に入っていけるような、そういうサウンド感覚は少し似ているように思います。そしてひとしきり複数人で歌った後に最後にサウンドのみの箇所がある、という点で曲全体の構築も少し似ているように思いました。

 

2016年にリリースされたアルバム、Travis ScottのBirds in the Trap Sings McKnight・Young ThugのJeffery両方に収録されているこの曲ですが、元来はYoung ThugとStarrahの2名による曲だったと言われています。*2 この曲をスタジオで聴いたTravis Scottが気に入り、StarrahのパートがTravisに代わり、そしてQuavoが追加されたようです。feat.などの表記からは漏れましたが、Starrahもバックコーラスとして参加しています(序盤の「ヤー」という箇所。他の曲で「ヤー」や「ウー」でバックコーラスをしていることも多いです。What Lovers DoでのSZAの「ウー」はおそらくStarrahリスペクト)

こういう経緯もあって、このPick Up the PhoneはI Know There’s Gonna BeをR&Bテイストに改めた曲、と私は思っているのです。Young Thugが持ち込んだI Know ~のセンスをStarrahのセンスによってR&Bテイストに仕立て上げたような……

この曲はHot 100で43位まで到達。またロングヒットとなっておりリリースから1年以上経った現在でもSpotifyのデイリー200位圏内に名を連ねています(200位圏内に425日目)Young ThugとStarrahの手によってインディーのアイデアをある程度メインストリームに持ち込んだといえます。

Drake のTake Careでは同じJamie xxの曲を「サンプリング」でしたが、今回のYoung Thug・Starrahは「仕立て直し」という形で、再び「ジャンル転換」に成功しました。

ちなみに、Jamie xxは「Travis Scott や Young Thugの曲を気に入っている」ようで、もしかしたらPick Up the Phoneは「本人公認」?とも言えるのかもしれません。

 

さらに局面は進み③(Havana)へ。

この曲にもYoung Thug(客演)とStarrah(ソングライト)がいます。さらにプロデューサーのFrank Dukesも同じです。

この曲はSelena GomezのSame Old Loveのピアノのメロディラインを参考(サンプリング?)にし、StarrahだけでなくPharrellもバックコーラスを担当。Ali Tamposi、Andrew watt、Brian Leeなどのポップ系ソングライター*3が曲に携わるなど、複数のジャンルの才能が一挙に集合しているのですが、軸になっているはPick Up the Phoneではないか、と思います。

I Know ~、やPick Up the Phoneのような歪んだ世界観のサウンドは無く、ポップで聞きやすく仕立て上げられているものの、ミニマルなサウンドの連続やトランペット音、後半のラップはPick Up the Phoneを彷彿とさせるものがあり、さらに終盤のトランペットソロのパートは(やや強引な気もしますが) I Know There’s Gonna Beとの共通点を見いだせなくもないです。

 

 ① → ②では「R&B化」、② → ③では「ポップス化」させ、それぞれをYoung Thugと共に成功へ導いたStarrah。この経緯を見ると、Starrahは様々な素材を R&B ~ ポップスへと自在に「仕上げる」ことを得意にしているのではないか、と考えました。

上で述べたWhat Lovers Doも、 イギリスでヒットしたNEIKEDというプロデューサーのSexualというファンキー調の曲をサンプリングしています。Starrahはこの曲を「ファンキー → R&B/ポップ」と変化させSZAと上手く合わせて仕上げていると思います。

 

3 今後への期待!

さらなるソングライトでの関与・Starrah自身のEPやアルバムも、もちろん期待なのですが、少し変化球的な期待を2つ寄せてみようと思います。

 

① 女性ポップ系シンガーとのコラボEP (Zara Larsson?)

Starrahは述べてきたようにR&Bとポップをつなぐセンスがあるので、ポップス系シンガーと組んで、Starrahのセンスで統一したEPをラッパーのミックステープ的感覚で出したら面白いのでは!と考えました。Starrahはアルバムの半分くらいは受け持つことはありましたが、EP(アルバム)全体を裏方として操ってみたら、今までに無いものが出来るのではということです。イメージしているのはStarrah自身もボーカルで参加した、Charli XCXのNumber 1 Angelです。これはポップスにしては珍しいミックステープ的なノリのEPで、プロデュース陣もPC Music(レーベル)関連者で固められています。

 

そんな全Starrahミックステープのコラボ相手として私が考えたのはZara Larssonです。2016年に複数ヒットを飛ばし、その勢いのまま今年序盤にアルバムをリリース。客演ながらもアルバムに収録されたClean Bandit とのSymphonyがイギリス1位に到達し、アルバムでは貪欲に様々なジャンルに挑戦 。さらなる飛躍をしたとも言えますが、その後のシングル、Don’t Let Me Be Yoursは今年メインストリームを席巻したSteve Mac + Ed Sheeranのコンビがソングライトしているもののほぼ芽が出ずと、最後は微妙な着地になりました。

本人はUKチャートを管理するOffcial Charts Companyに対するインタビューで「私はジャンルに拘りは無いわ」と語るものの、”My best friends” と称し自身のiPhoneケースにRihanna、Beyoncé、Nicki Minajを貼り付けるなどR&B方面への憧れを感じます。

今後さらならる飛躍を目指し、自身のアルバムでは「売れる」ことが必至命題となるはずなので、自身の音楽の嗜好はあまり重視されないと思います。ですが、このようなEPスタイルを取れば“My best friends”に少しでも近づけるのでは?と考えました。

 

StarrahとZara Larssonにそんな政治力は無さそうなので、実現する可能性はほぼ無く、あくまで私の妄想に過ぎません!ただ、アイデアの一つとして提案したいと思います。

 

 客演ボーカリスト / ラッパーとしての飛躍

 

今年に入ってからバックコーラスを担当することが増加し、Starrahの「ウー」や「ヤー」を聞く機会が増えました。一部ではしっかり客演・feat.表記されていますが、多くのシングルでは(特にヒットシングルでは)表向きには feat.されない裏方が多いです。

今年に入って、以前まではソングライター色が強かったJulia Michaelsが独特のボーカルセンスを武器に、次のグラミー新人賞の話題が上がるまで飛躍しました。Starrahも ソングライターから幅を広げ、feat.で表記されるくらいボーカルが前面に出て活躍するビジョンも面白いと思います。

Starrahもなかなか特徴的な声をしていますが、ラップ ~ R&B で良いアクセントになるかと思います。

最後にリンクで貼る記事にあるようにStarrah自身、最初はソングライター志望が強かったようなので、現在どこまでソロ願望?があるかは不明ですがね……

 

 

4 まとめ

 

私の個人的な見解を交えつつのStarrahの解説でしたが、いかがでしょうか。

現在Twitterで”Starrah” と検索すると”Sarrah”とサジェストされてしまうくらい?知名度はまだ低いと思われるStarrahですが、今後さらなる注目を浴びることを期待しています。*4

ちなみに彼女の本名はBrittany Talia Hazzard。ソングライトのクレジットではよく”Brittany Hazzard” と表記されています。今後ソングライトのクレジット等を見る時は注目してみてください!

 

 

※Starrah 関連の記事 (この記事を書くうえで参考にしています)



 

 


 

*1:それまではWe Found Love の41週が最長

*2:最後の項目の参考記事より

*3:最近ではAviciiとRita OraのLonely Together、Hailee SteinfeldとAlessoなどのLet Me Go、Selena GomezとMarshmelloのWolvesにこの3名全員が参加。エレポップ系統を得意にしているといえます

*4:ちなみにこのSarrahが何を指すかは不明。「サラー」界で有名なのはエジプト代表サッカー選手、モハメド・サラーな気がしますが、彼の綴は”Salah” です。あと、最近話題の匿名メッセージSNSは"sarahah” です。