チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 1/20 見どころ【イギリスポップ勢からの挑戦状 / リカレントを避けた2曲】

 

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 今週はイギリスポップ勢のHot 100登場、ビッグリリース×2のトップ10浮上が目立ったトピックだと思います。その他、リカレントルールを避けた2曲がチャート好き目線では注目でした。

↑の写真は久々のHot 100入りを成し遂げたRita Oraと、3位にジャンプアップしたBruno Mars。ちなみに……

 

※微妙にレイアウトを変えました。

 

92 Clean Bandit feat. Julia Michaels – I Miss You

 Clean Bandit のI Miss Youが92位で登場。Clean Banditにとっては3曲目*1、客演のJulia Michaelsにとっては2曲目のHot 100です。主にポップ系ラジオで人気です。Spotifyでもそこそこ人気です。(Spotify 69位、Apple Musicは200位圏外)

 Clean Banditの前シングル、Zara LarssonとのSymphonyはイギリスで1位を記録しただけでなく、イギリス年間7位と大ヒット。しかしアメリカでは週の100位にも入らないなどかなりヒット度合いにギャップがありました。今回のシングルでは客演のアメリカ人シンガー・Julia Michaelsの人気も借りてどこまで上がれるでしょうか。彼女はグラミーの新人賞候補にもノミネートされているので、その効果を多少は受けることができるか?

 

85 Lil Skies feat. Landon Cure – Nowadays

 1/10にリリースのLil Skiesのアルバムがストリーミングで好調。アルバムチャートでは初登場の中で最高位の23位を記録しています。そのアルバムから98位にRed Roses、85位にNowadaysが登場しています。いずれも客演はLandon Cureです。両者とも初のHot 100です。

まだウィキペディアのページが無いくらい知名度は低い新人ですがApple Musicでトップ10に入るなどのストリーミングでの好調でHot 100のエントリーを成し遂げました。リリースが少ない時期、かつ不規則なアルバム水曜日リリースだったことにより競合相手がほとんどいなかったことがプラスに働いたのでしょうか。

 

82 Liam Payne & Rita Ora – For You

 Fifty Shadesシリーズの3作目、Freedのサントラからの1曲、For Youが82位で登場。担当はLiam PayneとRita Ora。2作目のDarkerと同様に元One Directionのシンガーを起用しています。

 Rita Oraにとっては2014年のIggy AzaleaとのBlack Widow*2以来の久々のHot 100に。イギリスでは2017年、3曲トップ10が出る(Your Song、AviciiとのLonely Together、Anywhere)など絶好調でしたが、アメリカのポップ系ラジオであまりかからなかったことなどでHot 100入りが出来ませんでした。今回は組んだLiam Payneの効果もあってその3曲よりもラジオではかかりそうなので、そこそこ上昇が期待できそうです。2012年のHow We Do (62位)越えをまずは期待したいです。

 Rita OraはCharli XCX、Bebe Rexha、Cardi Bを迎えたGirls Girlsが噂されていますが、最近Charli XCXがInstagramのストーリーにこのような画像を上げており、この曲は実在しそうです。Bebe Rexha、Cardi Bがいるかはまだ不明ですが(Lonely Together、Anywhere、For YouとRita Oraと組むことが多いAndrew WattとCharli XCXが一緒にいるため、Charli XCXとAndrew Wattは今まで組んだことが無いので、Charli XCXの曲の可能性は低め)

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ちなみにFifty Shades シリーズのメイン曲は、「シンガー / ソングライター分離性」が多いことが特徴に挙げられます。詳しくは……↓

 

 

 

78 Zac Efron & Zendaya – Rewrite The Stars

 先週に引き続き、アルバムチャート1位を記録したThe Greatest Showmanのサントラ。ストリーミングでの好調により、数曲がHot 100で上昇。The Greatest Showが95位→88位、Rewrite the Starsが85位→78位、This Is Meが83位→64位に。唯一Never Enoughは88位→99位と下降しました。

 セールス、ストリーミングの両方で安定した成績を記録しているため今後しばらくアルバムチャートの上位に居座りそうです。来週はCamila Cabelloを打ち破ってのアルバム1位の可能性も。

 

56 Maren Morris – I Could Use A Love Song

 今週カントリーラジオの1位に浮上したMaren MorrisのI Could Use A Love Song。Hot 100でも62位→56位と順位を上げています。今週21週目のチャート滞在で、「21週目以降の曲は51位以下に落ちるとチャートから除外」というリカレントルールが今週適用される可能性がありましたが、「上昇している曲はこのルールを適用しない」という例外に該当し、見事リカレントを回避しました。ロングヒットを成し遂げたということです。

ただし、ラジオの伸びシロがあまり無いため、来週以降はリカレントを回避できず、チャートから外れてしまうかも。

 

43 Kendrick Lamar & SZA – All The Stars

 Kendrick Lamarがプロデュースした、ブラックパンサーのサントラからの1曲。Kendrick LamarとSZAのAll The Starsが43位で登場しています。ダウンロード・ストリーミングの両方で高めの成績を記録しています。このブラックパンサーのサントラは全曲Kendrick Lamarのプロデュースと報じられており、SZA、Jay Rock、Future、James Blake、Vince Staplesなど多様なゲストが参加することもあって、Kendrick Lamar版 “More Life”のようなアルバムが完成する予感がします。誰を起用するのか?どこまでの売上/ストリーミングを記録するのか、など注目の作品です。

 

39 Thomas Rhett – Marry Me

 カントリー系ラジオでの急上昇や、ダウンロードでの高い数字を記録しているThomas RhettのMarry Me。今週44位→39位とトップ40入りを成し遂げました。昨年のアルバム、Life ChangesからはCraving You・Unforgettableなどポップなシングルカットが多かったですが、今回のMarry Meは彼のヒットDie A Happy Manのようなバラード系カントリーです。

 

22 Ed Sheeran – Shape of You

 今週53週目のチャート滞在を迎えたShape of You。つまり1年越えを達成しています。1年を越えた曲には「53週目以降の曲は26位以下に落ちたらチャートから外れる」という厳しいリカレントルールがあるのですが、Shape of Youは今週22位でこれを回避しました。1年越えのリカレントルールが適用されて(2015年末~)から、これを回避したのはUptown FunkとShape of Youの2曲のみです。途中Hip-Hop / R&B系ラジオでもかかるなど、幅広く根強いラジオでの支持がロングヒットに繋がったのだと思います。

 ただし、今週13位→22位と落ちているので来週もこのルールを回避するのは厳しそうです。また、今週52週目のチャート滞在を迎えた34位のDespacito、38位のThat’s What I Likeもこのルールが来週適用され、Hot 100から外れそうです。

 ちなみに「1位デビューをした曲の中で最長チャート滞在」というマイナーな記録を更新しています。(今まではCan’t Stop The Feeling!の52週が最長、それまではShake It Offの50週)

 

12 Lil Pump – Gucci Gang

 今週トップ10から外れたLil Pump のGucci Gang。ピーク3位の曲としてはやや早いトップ10からの陥落な気もします。ストリーミングでの数字は抜群ですが、リズミックやHip-Hop/R&B系ラジオのいずれでもトップ10に入らないなどラジオのサポートが少なめだったことが、今週トップ10から外れた要因かと思われます。

 意外にもこのGucci Gang以外Hot 100に入った経験の無いLil Pumpですが、今後またヒットに恵まれるでしょうか。まだ客演への参加が少ないので、客演でのヒットにも今後期待したいです。ちなみに彼の新曲Designerが今週のチャートに反映されましたが、Bubbling Under (125位以上相当)にも入らず。

 

9 Justin Timberlake – Filthy

 Justin TimberlakeのFilthyが9位で登場。n’sync時代を入れて24曲目のトップ10。ダウンロード、ストリーミングで高次元の成績を記録しただけでなく、ラジオも早々に35位まで伸ばすなど、3つの指標全てで好調でした。ラジオは今後も順調に伸びていきそうですが、ストリーミングが既に落ちてきている点が気がかりです。(Spotify 60位、Apple Musicは200位圏外) ダウンロードはそこそこです。

 Can’t Stop the Feelingが1位で登場し、長く2位をキープしたものの1位に再浮上できなかったように、このFilthyも次週以降の大幅な浮上は期待できないかもしれません。ラジオの数字は優秀なので、そこまで悪いチャート成績にはならないと思いますが、ストリーミングの低さが足を引っ張って、Hot 100では5位ぐらいが現実的な目標でしょうか。

 

3 Bruno Mars & Cardi B – Finesse

 先週の1日集計から今週は7日分フル集計となり、大幅に順位を伸ばしたBruno MarsとCardi BのFinesse。24K Magicで記録した4位を上回る、3位まで到達しました。ダウンロード2位、ストリーミング1位、ラジオ14位と全てで高い数字を記録しています。ポップ系・リズミック系・Hip-Hop / R&B系など幅広いラジオでかかっており、今後かなりのラジオのポイントが期待できそうです。ダウンロード、ストリーミングがそこまで調子を落とさなければ、長く上位に留まりそうです。時期が良いので2018年間1位の候補の一つと考えて良い気もします。

ラジオでの好調、複数バージョンでのダウンロードを稼いでいるなどによって、現在Hot 100の1位はPerfectですが、いずれその1位の座を奪うのが当面の目標です。ただし、来週はアルバムリリースの効果でダウンロードをかなり伸ばしたHavanaが1位を獲得する可能性も!

ちなみにCardi Bは今週4曲が同時にトップ10に入る可能性がありましたが、Bodak Yellowが今週17位に落ちたため、今週も引き続き3曲同時トップ10入りに。Bartier Cardiが今週14位に上昇したため、引き続き4曲同時トップ10の可能性は残っています。

 

× Taylor Swift – Look What You Made Me Do

 Taylor SwiftのLook What You Made Me Doが今週チャート圏外へ。一時期76位まで沈んだものの終盤巻き返して、最後の週は55位に。ただし尻すぼみの印象がかなり強いです。1位を記録した曲としては近年屈指の急落下で、ストリーミング導入以降1位を記録した曲では最短のトップ10滞在(8週)で、その同じトップ10に8週だったHarlem Shakeの一番低い順位が70位だったことを考えると、いかに後半不調だったかが分かると思います。

 ちなみに次シングルReady For Itも今週80位/19週目とボロボロ。ビデオがリリースされたEnd Gameに期待がかかりますが、果たして……

 

× P!nk – What About Us

 What About Usがオーストラリア1位、イギリス3位、ドイツ3位などを記録し、世界各国で健在ぶりをアピールしたP!nk。母国アメリカでもテイラーに次いで2番目に高いアルバム「セールス」を記録するなど好調でした。しかし、ダウンロード・ラジオの好調に対して、ストリーミングでは人気が低く、Hot 100ではトップ10に入れませんでした(ピーク13位)。セールスやラジオでは健在ぶりをアピールしましたが、ストリーミングでの不調が今後どう響くかに注目です。今週95位で再登場した次シングルBeautiful Traumaは今後どうなるか。

 

P!nkの健在ぶりを表すツイート?

 

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Bruno Mars & Cardi B – Finesse

今週最もダウンロードが上昇した曲 Bruno Mars & Cardi B – Finesse

今週最もストリーミングが伸びた曲 Kendrick Lamar feat. ZACARI – LOVE.

最も高い順位で新登場した曲          Justin Timberlake – Filthy

 

 

今週チャートから外れた曲 (7曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

98 XXXTentacion feat. Trippie Redd – F**k Love (🗻41位 /⏰19週)

97 NAV feat. Lil Uzi Vert – Wanted You (🗻64位 /⏰7週)

96 Tank – When We (🗻86位 /⏰6週)

94 Zayn feat. Sia – Dusk Till Dawn (🗻44位 /⏰17週)

69 Luke Bryan – Light It Up (🗻57位 /⏰19週)

55 Taylor Swift – Look What You Made Me Do (🗻1位 /20週)

43 P!nk – What About Us (🗻13位 /22週)

 

 

来週以降にHot 100に入るポテンシャルを持った曲をピックアップしました

 

6ix9ine, Fetty Wap & A Boogie Wit da Hoodie – KEKE

日曜日にリリースされた一曲。ストリーミングでは既に急浮上しており、来週のチャートにはもう登場しそうです。Fetty Wapは久々のHot 100入りなるか。

 

The Chainsmokers – Sick Boy

 水曜日にリリースされたThe Chainsmokersの新曲。ただしまだダウンロードやストリーミングが伸び切っていないため、来週のHot 100には登場しなさそう。(再来週に持ち越し)、ちなみにこの曲はCloserに携わったShaun Frank、Don’t Let Me Downなど複数曲に携わったEmily Warrenの両者がソングライトを担当しており、The Chainsmokersオールスター集合といったところでしょうか。

 

The Cranberries – Linger

The Cranberries – Dreams

The Cranberries - Zombie

 ボーカルが亡くなったことに対して追悼の意を込めてダウンロード増。ただし過去のヒット曲で、50位以上に入る必要がありハードルが高いのでHot 100エントリーは厳しいかも。ただしHot 100エントリー歴が無いZombieは51位以下でもHot 100に入ることができるかもしれません。Zombieがこの中ではHot 100入りの可能性があるでしょうか。

 ちなみにEminemの直近のアルバムに収録されたIn Your HeadはZombieをサンプリングしています。

 

今週のプレイリスト

 

 

✫半年前のHot 100


✫1年前のHot 100


*1:メンバーが参加したDo They Know It’s Christmas? 2014は除く

*2:自身が参加したDo They Know It’s Christmas? 2014は除く