今週は謎の日本ブーム。Famous Dexの”Japan”、Shawn Mendesの”Lost in Japan”と日本関連の曲が2曲も登場。Famous Dexはリリックビデオで独自の日本?を作り上げています。(↑の写真はそのリリックビデオより)ほか今週際立ったのはShawn Mendesの”In My Blood”やAlice Mertonの”No Roots”ですかね。
今週のハイライト
~今週のHot 100ハイライト~
・Shawn Mendes新曲”In My Blood"は事実上デビュー週で22位スタート
・リリックビデオも日本?なFamous Dexの”Japan"が70位で登場
・Rae Sremmurd・Juicy Jの”Powerglide"が38位へ浮上。最近脚光を浴びるJuicy Jは3年ぶりのヒット(トップ40)
・”God's Planが10週目の1位
・ロングヒット”Young Dumb & Broke”などがチャートから外れる
チャートで今週伸びを見せた曲たち
今週最もラジオで伸びた曲 Zedd, Maren Morris & Grey – The Middle
今週最もダウンロードが上昇した曲 Bruno Mars & Cardi B – Finesse
今週最もストリーミングが伸びた曲 Shawn Mendes – In My Blood
最も高い順位で新登場した曲 Panic! At the Disco – Say Amen
曲の個別解説
[New] 100 Alice Merton – No Roots
ドイツ発女性シンガー、Alice Mertonの”No Roots”が100位で登場。自身初のHot 100に。海外産オルタナ系シンガーという点で少しRag’n’Bone Manと似ていますかね。
今年の2月にAlternative系ラジオで1位を獲得。現在はとAlternative系ラジオでのピークは過ぎていますが、その後ポップ系ラジオやアダルトポップ系ラジオで伸びたことにより、今週遂にHot 100エントリー。
ドイツでCDが人気と言いますが、この”No Roots”はCDがあります。しかし直近のデータではついにストリーミング > CDになったようです。ストリーミング人気によって同一ラッパーの曲が複数シングルチャートにエントリーするという事例も増えてきています。
ちなみに、昨年ドイツで年間トップ10のうち、7曲がCDシングルをリリース。(無いのは“Something Just Like This”、”Tunesday”、“Galway Girl”)新進ラッパーBausaによる大ヒット”Was Du Liebe Nennst”のCDがあるのは意外。この曲より前はヒットがほぼない新人ラッパーのCDが出せるのは少し珍しい気がします。
Offizielle Deutsche Charts - Offizielle Deutsche Charts (ドイツの年間トップ10)
さらに日本の年間トップ10だとうち9曲がCDシングルをリリース。唯一CDシングルが無いのはTwiceの“TT”。
アメリカの年間トップ10でCDがあるのは、グローバルヒットの2曲のみでした。("Shape Of You"と”Despacito")
[New] 95 Darius Rucker – For The First Time
Darius Ruckerの”For The First Time”が95位で登場。カントリーラジオで今週11位。
彼はファーストアルバムが2002年のベテラン。2013年“Wagon Wheel”のカバーでHot 100の15位を記録。珍しい黒人のカントリー歌手です。
[Re] 87 Keala Settle – This Is Me
”The Greatest Showman”サントラからの”This Is Me”が87位で再登場。Alan Walkerによる”Relift”バージョンの追加やiTunesでの割引がプラスに働いたのでしょうか。
一応アダルトポップ系などラジオでもそこそこかかっているようですが、他の”The Greatest Showman”の曲が既にHot 100から姿を消しているということもあり、そろそろブームは終わりつつあるかも。
”The Greatest Showman”はアメリカ映画なのですがアメリカよりも”This Is Me”のチャート成績が良い国も。アメリカの58位に対して、イギリスでは3位、オーストラリアでは10位。日本でも17位まで到達しています*1。
イギリスでは11週連続でアルバムチャート1位になったことも少し話題になっていました。(Adeleと並んで歴代最長のよう) これは、純粋にフィジカルなどセールスが強いだけではなく、ストリーミング人気が安定していたことも要因でしょうか?ほかに強力なライバルがいなかったことも原因でしょうか。
ただし他の主要国(ドイツ、カナダ等)でアメリカ並みの成績の国もあります。またアメリカと他国ではチャートにおけるストリーミングの比率が違うこともアメリカと他国で“This Is Me”のチャート成績に差が出た要因の一つです。(ストリーミングで人気を博していた”This Is Me”ですが、ストリーミングの比率が相対的に低いアメリカ(Hot 100)ではあまり順位が上がらなかったということです。)
[New] 86 Morgan Wallen feat. Florida Georgia Line – Up Down
Florida Georgia Lineがカントリーの後輩をサポート。Morgan Wallenの”Up Down”が86位でHot 100に登場。初のHot 100エントリーに。Morgan WallenはEPを2枚出しただけでアルバムはまだの新人のようです。
今週、この曲はカントリー系ラジオ16位に入っています。Florida Georgia LineとBebe Rexhaの“Meant To Be”は今週カントリー系ラジオ3位。
[New] 70 Famous Dex – Japan
Famous Dexの”Japan”が70位で登場。Famous Dexにとって2曲目のHot 100に。不思議な?リリックビデオもそこそこヒットに寄与したようです。(この週のアメリカYouTube76位に)
彼は今週アルバムをリリース予定のようです!そのアルバムに収録されるA$AP Rockyとの”Pick It Up”今週71位ですが、チャート滞在20週目を迎えているので、リカレントルールによって今週がおそらくラストです。
彼は日本のファッション雑誌、Themマガジンの最新号の表紙を飾っています。この雑誌では過去にPlayboi Cartiが表紙を飾ったことも。
[New] 64 Shawn Mendes – Lost In Japan
Shawn Mendesの”Lost In Japan”が64位で登場。今週のダウンロード9位。こちらはラジオ等ではまだかからない非シングル曲です。
曲の歌詞では「日本の何か」への恋しさを歌っており、それは恋人?という解釈もできるようですね。
珍しい”Japan”被りが発生しています。(おそらくHot 100史上初) さすがに”America”とつく曲が被ったことは過去にあったようですが、「国名がタイトルに入っている曲」に関する記録も調べてみると奥が深そうですかね。
(↓”America”が被った週のHot 100)
昨年にリリースされた曲で今後Hot 100に入る可能性は低そうですが、Young Thugのレーベルに所属するGunnaというラッパーも”Japan”という曲をリリースしています。
※ビルボードが後に発表した 、歴代でHot 100に入った"Japan"がつく曲のリスト↓
[New] 60 Panic! At The Disco – Say Amen (Saturday Night)
Panic! At The Discoの”Say Amen”が60位で登場。6枚目のアルバム”Pray for the Weekend”に向けたシングルです。
彼*2はコンスタントに活躍を見せていて、全てのアルバムで1曲以上はHot 100に入っています。
ロックバンドのHot 100エントリーはやや厳しくなってきていて、例えば今年新作をリリースし、アルバム1位も獲得したFall Out Boyはそのアルバム”MANIA”からの曲が1曲もHot 100に入っていませんでした。そのようなことを考慮すると、”Say Amen”の60位デビューは上々の成績かと思います。
[↑] 38 Rae Sremmurd feat. Juicy J – Powerglide
Rae Sremmurdの”Powerglide”が51位→38位と上昇。Rae Sremmurd名義では6曲目のトップ40に。2014年のブレイク以降、コンスタントに活躍している印象があります。
ストリーミングで調子を上げているほか、Hip-Hop / R&B系ラジオでも好調です。
この曲は客演のJuicy Jにとって3年ぶりのHot 100で、そして久々のトップ40(ヒット)になっています。”No Limit”、”Plain Jane”、”King’s Dead”とSlob On My Knobシリーズの連続ヒットで脚光を浴びるJuicy Jですが、自身が関与したこの曲も好調です!
この”Powerglide”ではJuicy Jら(Three 6 Mafia)の過去曲”Side 2 Side”を参照しています。
[↑] 22 Shawn Mendes – In My Blood
Shawn Mendesの”In My Blood”が22位へと浮上。先週は1日のみの集計だったため、今週が事実上のデビュー週です。
今週ダウンロード3位、ストリーミング33位で、ラジオでも既に38位。ダウンロードは先週と今週でポイントが割れたことによって、1位にはならず。iTunesで1位の期間は長かったですが。
私は先週の時点で、今週トップ10入りするのでは?と考えていたがそこまでは行かず。*3ただラジオがかなり順調に伸びているので、いずれトップ10に届くとは思います。
現状この曲が一番人気のラジオ系統はアダルトポップ系です。この系統ではギター系のサウンドをベースにした曲が人気です。
[↑] 3 Bruno Mars & Cardi B – Finesse
Bruno Mars・Cardi Bの”Finesse”が4位→3位と少し浮上。値引き+リミックスリリースでダウンロードが少し上向いたことが要因です。リミックスは昨年イギリスで”More Than Friends”がヒットしたJames Hypeなどが担当しています。
ラジオで今週総合1位、ポップ系ラジオ1位などまさに今がピーク、逆に言うと今後の大きな伸びは望めなさそうです。(ちなみに”That’s What I Like”は値引き+リミックスリリースのタイミングで1位を取った)
リリース時のインパクトが大きく、1位を取る雰囲気もありましたが、結局ピークは3位止まりに。とはいえ、アルバムからの4曲目のシングルとしては上々の成績だと思います。
今後の首位争いは”Meant to Be”と”God’s Plan”の一騎打ちでしょうか。まだ”God’s Plan”が大差をつけていますが、”Meant to Be”はラジオを大きく伸ばし、”God’s Plan”はストリーミングの数字を落としているため、その差が縮まってきているようです。
音楽スレッドPulse Musicの民によると、このペースで行くと5週間後に入れ替わるのでは?との予想。その前にThe Weekndなり他のアーティストが来るかもしれませんが。
ちなみに今週もHot 100首位をキープした”God’s Plan”は今週10週目の1位に。これでDrakeは男性ソロ歌手としては初めて複数の曲で10週以上の大規模の1位を記録したことに。(もう1曲は“One Dance“)
この10週以上で1位を記録する大規模の1位は最近増えてきています。理由はラジオ・ダウンロード・ストリーミングと多角化し、ポイントに偏りがある曲が増え、幅広くポイントを取れる曲が独走するようになったからだと思います。
[↓] × Miguel feat. Travis Scott – Sky Walker
Miguelの”Sky Walker”が今週チャートから外れました。ピーク29位/チャート滞在26週と、上々の成績。2018の年間チャートにも入りそう。
最初のほうは注目度が低かった印象がありましたが、アルバムリリース以降調子を上げたました。リズミック系ラジオで1位、Hip-Hop / R&B系ラジオで3位に達するなど、R&B寄りのラジオ系統での活躍が光りました。ストリーミングも良い感じの数字を記録していました。
[↓] × Charlie Puth – How Long
Charlie Puthの”How Long”が今週チャートから外れました。ピーク21位 / チャート滞在24週とそこそこの成績でした。
ラジオでは一時期5位とかなり好調でしたが、ストリーミングが足を引っ張る(ストリーミングは常に51位以下)形でHot 100では21位止まりに。
次のシングルは”Done For Me”。また彼が客演を務めるG-Eazyの”Sober”も最近シングル化。彼はポップ系ラジオでは大人気ですね。今後はこの2曲のヒットに期待ですかね。
世界的に見て、ヒット具合は”Attention”≧”How Long”ですが、日本ではHow Long (59位) > Attention (101位以下)と逆。(参考 2017年・日本で流行した「洋楽」の日本 / アメリカのチャート順位を比較 - チャート・マニア・ラボ (CML) )
[↓] × Khalid – Young Dumb & Broke
Khalidの”Young Dumb & Broke”が今週チャートから外れました。ピーク18位/36週というかなり優秀な成績でした。
アメリカでは”Location”のほうがヒットしましたが、アメリカ以外ではLocation < Young Dumb & Brokeの国が多かったです。(イギリス、オーストラリア、ドイツなど。オーストラリアでは”Young Dumb & Brokeがトップ10入り)
アメリカで”Location”がヒットした理由の一つはアダルトR&B系ラジオですが、このようなラジオ系統はあまり他国では見られないため、他国では”Young Dumb & Broke”がヒットしたのだと思われます。純粋に”Young Dumb & Broke”のほうがポップでノリやすいからだとも思いますが!
☆この週のHot 100すべてのフルリストはこちら↓
今週チャートから外れた曲 (9曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
100 The Chainsmokers – Everybody Hates Me (🗻100位 /⏰1週)
96 Jacquees & Dej Loaf – At the Club (🗻86位 /⏰7週)
95 XXXTentacion – Going Down! (🗻95位 /⏰1週)
83 XXXTentacion feat. Joey Bada$$ - Infinity (🗻83位 /⏰1週)
82 XXXTentacion – Numb (🗻82位 /⏰1週)
50 Miguel feat. Travis Scott – Sky Walker (🗻29位 /⏰26週)
49 Lin-Manuel Miranda & Ben Platt – Found / Tonight (🗻49位 /⏰1週)
48 Charlie Puth – How Long (🗻21位 /⏰24週)
46 Khalid – Young Dumb & Broke (🗻18位 /⏰36週)
来週以降の動向 / 過去チャートの振り返り・プレイリスト
・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集
・The Weeknd – Call Out My Name
週の後半に差し掛かってもEPが全体的に高いストリーミング数を維持しているので、EP6曲全てが高めの順位で登場しそうです。中でも”Call Out My Name”は5位以上と予想されています。
・Rich the Kid feat. Quavo & Offset – Lost It
・Rich the Kid feat. Lil Wayne – End of Discussion
Rich the Kidのアルバムの中の有力候補。”Lost It”はApple Musicで人気、”End of Discussion”はSpotifyで人気。先行リリースの”Plug Walk”、”New Freezer”以外はApple Music / Spotifyでそれぞれの人気曲がかなり違うので、どちらもHot 100に登場しないという展開になる可能性が高い気がします。
ちなみにこのそれぞれの人気の違いは、それぞれのプレイリストに入った曲の違いと一致、(Apple Musicのプレイリストには”Lost It”が、Spotifyのプレイリストには”End of Discussion”が入っているということ)
・Stefflon Don & French Montana – Hurtin’ Me
イギリスの女性ラッパーStefflon Donの”Hurtin’ Me”が今週119位相当にランクイン。昨年Stefflon Donの母国イギリスで7位まで到達した曲で、ブレイクを受けてアメリカのラジオでも一部かかっています。(あとMigosらが所属しているQuality Controlのメンバーという点もラジオでかかっている理由だと思います)
ただし、Hip-Hop / R&B系ラジオなどでの伸びは止まってきており、この曲がHot 100に入る可能性は微妙そう。
Stefflon Don初のHot 100は、現在ポップ系ラジオで伸びているHalsey、Big Seanとの”Alone”になりそうです。
・その他の新曲情報はこちらも参照してみてください
✫半年前のHot 100
”Bodak Yellow"がテイラーを蹴落とす。”rockstar"が2位スタート
✫1年前のHot 100
”More Life"がチャートを支配・”Black Beatles"チャートから外れる💦
・プレイリスト