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チャート・マニア・ラボ (CML)

音楽チャート/ポップス研究家 (自称) 未来のチャートマニア・音楽マニアがニヤッとする記事を作ることが目標! 引用、コメントなどお待ちしております。

アメリカのSpotifyのみで「1日100万円」を稼いだ?曲たち ~アルバムの時代?~

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☆最近チャートを見ていると、アルバムの曲が強いと感じるケースが増えたので、それに関するデータをまとめてみました。

 

 各ストリーミングサービスでは、アーティスト側に支払われる金額が少しずつ違います。Digital Music Newsというサイトは各サイトの1再生あたりの支払額などを表にまとめ、記事にしています。*1

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(↑はリンク内に載っている表です)

 表によるとSpotifyは再生数の規模が一番大きいだけではなく、実際に昨年支払った額が一番大きいということが分かります。

 「再生数」の規模が2番目に大きいのはPandoraですが、1再生あたりの支払額が低いので、「支払額」が2番めに大きいのはApple Musicのようです。

 Spotifyは1再生=0.397セントのロイヤルティ(支払額)があると表記されています。執筆時の円・ドルレートは 109円=1ドルなので、これを考えるとSpotifyでは1再生=0.433…円を得ることができます。*2

 ちなみに最も1再生あたりの支払額が多いのは、Akazooというラジオ系のストリーミングサービス。なんと1再生あたり約53セントもの支払いがあるそうです。メジャーサービスの中で支払額が一番大きいのはXbox Music。1再生あたり約2.7セント支払われるようです。ほかのメジャーサービスでは、RhapsodyとTidalで1再生あたり1セント以上が支払われています。

 

 話をSpotifyに戻します。Spotifyでは1再生あたり0.433…円が支払われることが分かりました。つまり、1日に(おおよそ)230万以上の再生を記録すれば、Spotifyのみで約100万円を1日でゲットできる、ということになります。他にもストリーミングサービスは多くあるので、メジャーなアーティストは、場合によっては1日それ以上にお金を獲得できるのです!

 今回はUSのSpotifyのみで、(ピーク時に)1日100万円を手に入れた曲、つまり1日で230万再生以上を記録した曲を表にまとめました。調べたところ、今までそのような曲は55曲あるようです。(ちなみに「再生数」がUSのみで100万回/日を超えた曲は、今までで246曲あるそう)

 

曲名 ピーク再生 シングル ビデオ
Drake - God's Plan 4,739,798    
Xxxtentacion - SAD! 4,437,612   ×
J. Cole - KOD 4,233,070    
Kendrick Lamar - HUMBLE. 4,060,034    
Taylor Swift - Look What You Made Me Do 3,828,478    
Post Malone - Paranoid 3,694,438 × ×
Kendrick Lamar - DNA. 3,633,524 ×  
J. Cole - Photograph 3,561,388 × ×
The Weeknd - Call Out My Name 3,490,888    
Post Malone - Better Now 3,467,168   ×
J. Cole - ATM 3,408,026 ×  
J. Cole - Motiv8 3,357,778 × ×
Post Malone feat. Swae Lee - Spoil My Night 3,318,588 × ×
Post Malone feat. Ty Dolla $ign - Psycho 3,261,937    
J. Cole - Kevin’s Heart 3,200,312 ×  
Drake - Nice For What 3,183,067    
Xxxtentacion - Jocelyn Flores 3,175,206   ×
Xxxtentacion - Moonlight 3,167,290 × ×
Post Malone - Rich & Sad 3,071,762 × ×
J. Cole - The Cut Off 3,059,136 × ×
Post Malone feat. 21 Savage - rockstar 2,905,678    
J. Cole - 1985 - Intro to “The Fall Off” 2,886,877 × ×
Post Malone - Over Now 2,880,829 × ×
Post Malone - Zack And Codeine 2,835,989 × ×
Drake - Passionfruit 2,811,262   ×
Kendrick Lamar - ELEMENT. 2,793,051 ×  
Post Malone - Ball For Me 2,786,889   ×
J. Cole - BRACKETS 2,775,277 × ×
Drake feat. Wizkid & Kyla - One Dance 2,767,175   ×
Adele - Hello 2,758,752    
Kanye West - All Mine 2,757,615 × ×
Childish Gambino - This Is America 2,753,489    
Post Malone - Takin' Shots 2,741,318 × ×
Kendrick Lamar - LOYALTY. FEAT. RIHANNA. 2,725,761    
Post Malone - Stay 2,703,178 × ×
Kendrick Lamar - YAH. 2,572,839 × ×
The Weeknd - Try Me 2,556,378 × ×
Post Malone feat. G-Eazy & YG - Same Bitches 2,534,111 × ×
J. Cole - Intro 2,519,357 × ×
J. Cole - Deja Vu 2,518,901   ×
The Chainsmokers feat. Halsey - Closer 2,504,045    
Xxxtentacion - changes 2,449,891   ×
Xxxtentacion feat. Trippie Redd - F**k Love 2,438,715   ×
DJ Khaled - I'm the One 2,427,536    
Kendrick Lamar - BLOOD. 2,420,038 × ×
Kanye West feat. Partynextdoor - Ghost Town 2,412,091 × ×
Drake - Free Smoke 2,411,546   ×
Kanye West - Yikes 2,386,030   ×
Drake feat. Quavo & Travis Scott - Portland 2,385,233   ×
J. Cole - FRIENDS 2,383,551 × ×
J. Cole - Immortal 2,361,543 × ×
J. Cole - Once an Addict - Interlude 2,351,956 × ×
Kendrick Lamar - FEEL. 2,349,101 × ×
Rae Sremmurd feat. Gucci Mane - Black Beatles 2,318,636    
The Weeknd - Wasted Times 2,305,758 × ×

シングル=シングル化されているかどうか。 ×ならばシングル化されて「いない」

ビデオ=ビデオがあるかどうか ×ならばビデオが作られて「いない」

※執筆時(6/24)のデータ (その時点~10/13の間に、DrakeやTravis Scottのアルバム曲などが新たに35曲が230万再生を超えた)

 

 

 これだけ多くの曲が1日で100万を稼いでいました。そのストリーミングの隆盛、というポイントだけでも面白いのですが、さらに興味深いのは「非シングル」の多さです。上の表にある55曲のうち、なんと過半数の29曲が、「非シングル」なのです!ちなみに記事のサムネイルにしているJ. Coleの“KOD”は12曲中11曲がリリース初日、230万再生/日を突破しています。

 そもそも「シングル」とは、主に「アルバムの中で主役になる人気曲」を指す言葉ですが、USでの「シングル」の定義は「ラジオでかかっている曲」とされています。つまり、ラジオではかかっていないものの、ストリーミングでは人気!という曲がたくさんあるということです。

 「シングル」といえば、かつてラジオでガンガンかけて、ビデオも作って……のようにアルバム以上に宣伝が熱を帯びているようなケースも ですがこの55曲のうち、37曲はビデオが発表されていません。(シングルでもストリーミングサービスで十分うまく行っているならば、ビデオが公開されないケースが増えてきたような印象がある)

 

 ……とは言うものの、「非アルバム曲」は継続的に宣伝・ラジオなどのサポートを受けないため、(全部の曲を聴き続けるのは厳しく、アルバムリリースから時間が経てば何かの曲に的を絞って宣伝する必要がある) 「非シングル」は次第に脱落し、最終的にはシングルよりはストリーミング数が劣るケースが多いです。

 ただし一部、最後までシングルを超える猛者もいて、昨年はKendrick Lamarの“DNA.”と”ELEMENT.”、Drakeの“Gyalchester”の3曲の「非シングル」がSpotify年間再生トップ100入りを果たした。またJ. Coleの”No Role Modelz”もリリースがかなり前(2014年)のため、ある意味これも「非シングル」と言えるかもしれないです。

(参考・2017のUS Spotify再生数ランキング)

 

 ちなみにDrakeはレーベルから指定された曲(Free Smoke)とストリーミングでの人気曲(PassionfruitやPortland)に違いがあり、各ラジオ局は何をかけるか?に迷った末、注目が分散してどの曲もあまりラジオのポイントを稼ぐことができず、“More Life”からはシングルらしいシングルがあまりなかったようです。(逆に全ての曲がHot 100入りを果たしており、「全てが人気曲」のような考え方もできる)

(参考)

  

 この230万再生以上を記録した、「1日100万円」の曲たちの特徴は、人気アーティストのアルバムに組み込まれており、ほとんどがアルバムリリース日での記録だということです。 (XXXTENTACIONは追悼時の記録)

 各種ストリーミングのランキングを眺めていると、アルバムリリース時にピークが来ている曲が非常に多い気がします。(先行シングルもこのタイミングで上昇することが多い)

 人気のアーティストの場合は、アルバムリリース時にはシングル・非シングル共に他を圧倒するパワーを発揮し、チャートでもかなりの存在感を示します。

 今年Post Maloneがストリーミングでの大人気によって、Hot 100(USシングルチャート)の20位以内に9曲もの曲を送り込んだのが、その象徴ではないでしょうか。

  

 ストリーミングの台頭によって、このように「非シングル」の曲にも高い値打ちが付くようになったことは面白い変化だと思います。

 中には「しゃべり」やインストが中心のイントロ・アウトロ・インタールードなどの曲でもシングル並のストリーミングを記録し、Hot 100に入るケースが増えている、というのはなかなか革新的ではないでしょうか。(J. Coleはイントロとアウトロ、Post MaloneはインタールードがHot 100に入った)

 このような「イントロ」などは単体で機能しづらい曲なので、このような曲でもシングルチャートであるHot 100に入る、ということは「アルバムの流れ」で聴かれている、ということだと思います。

 

 ストリーミングはいつでも音楽を止めて好きな音楽に飛び移ることができるため、「アルバム」という単位とシナジーが悪い、という考え方もできますが、逆にその壁を乗り越えて「アルバム」という単位で曲を聞いてもらえれば、とてつもない大きなパワーを持つことも可能なのです。

 その壁を乗り越えて、実際にアルバム全体で人気を得ている作品がいくつもあることが今回の調査からわかります。

 

 昨年の年間アルバムチャートでは、ストリーミングでの長期間の人気によって、上位に入ったアルバムがいくつか存在します。

 

 昨年アルバム「年間」1位のKendrick Lamarの“DAMN.”をはじめ、3位の”Starboy”、5位の“More Life”などストリーミング人気が際立つアルバムが目立ちます。

 また、年間7位Post Maloneの“Stoney”や8位Migosの”Culture”などは特にストリーミングの比重が高いと思われます。(Migosは「セールス」では1位になれず、ストリーミングのポイントで逆転して週間のアルバム1位を取っている)

 

 意外にも思えるかもしれませんが、ストリーミングは「アルバム」の時代を呼び戻すかもしれない、ということを最近のストリーミングのチャートを観察して感じました。

 

 

おまけ 今年US・UKのSpotifyで人気だったアルバム

(人気の基準=アルバム収録曲の半分以上がSpotifyのランキング200位圏内に入っていること *3

()の中の数字は、収録曲が?曲中?曲ランキングに入った、ということを表します。

 

 

  US UK
1月5日 The Greatest Showman (11/11) ※  
1月12日 Camila Cabello (10/10) Camila Cabello (10/10)
1月19日   Fall Out Boy (5/10)
The Greatest Showman (11/11) ※
1月26日 Migos (24/24) Migos (20/24)
2月2日 Justin Timberlake (16/16)
Rich Brian (7/14)
 
2月9日 Black Panther (14/14) Black Panther (14/14)
MIST (9/9)
Fredo (10/13)
The Wombats (6/11)
2月16日    
2月23日 6ix9ine (11/11)  
3月2日    
3月9日 Logic (13/13)
Lil Yachty (17/17)
Logic (13/13)
3月16日 XXXTENTACION (18/18) XXXTENTACION (18/18)
3月23日   George Ezra (11/11)
3月30日 The Weeknd (6/6)
Rich the Kid (12/14)
The Weeknd (6/6)
4月6日 Cardi B (13/13) Cardi B (12/13)
4月13日    
4月20日 J. Cole (12/12) J. Cole (12/12)
Nines (14/16)
Avicii / True (5/10) ※
4月27日 Post Malone (18/18) Post Malone (18/18)
5月4日 Rae Sremmurd (9/9)  
5月11日 Playboi Carti (18/19)
Arctic Monkeys (7/11)
Arctic Monkeys (11/11)
5月18日 BTS (11/11)
NAV (12/12)
 
5月25日 A$AP Rocky (15/15)
Shawn Mendes (14/14)
Pusha T (7/7)
A$AP Rocky (13/15)
Shawn Mendes (14/14)
Pusha T (7/7)
6月1日 Kanye West (7/7) Kanye West (7/7)
6月8日 KIDS SEE GHOSTS (7/7) Jorja Smith (12/12)
KIDS SEE GHOSTS (5/7)
6月15日 NAS (7/7) [土]

The Carters (6/11) [水]
5 Seconds of Summer (12/13)
NAS (7/7)
6月22日 Panic! At the Disco (11/11) Panic! At the Disco (11/11)

※リリース日とは少し離れた日時で人気になったアルバム

☆この週、XXXTENTACIONの追悼で、再び関連アルバムが人気となった。

 

 

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*1:他のソースでもだいたいこのような支払額になっているので、これであっていると思います 他のソースの例

*2:プレミアム会員・非プレミアムでロイヤルティが違う、という説もありますが、現在見当たるソースでは非プレミアム?の具体的な金額が明記されているものは無いので、今回は一旦考慮しないでおきます

*3:ただしランキングに入っている曲が5曲未満の場合は除く 例:収録6曲EPで4曲がランキング圏内に入る場合など