今週はトピックの多い、濃いHot 100ですね!BLACKPINKが初のHot 100入りを果たし、これでK-PopによるHot 100エントリーは通算10曲に!また、XXXTENTACIONの訃報を受けて彼の楽曲が合わせて9曲今週のHot 100にエントリーしました。
ほか白熱のアルバム首位争い・DJ達の夏アンセムなど!
今週のHot 100ハイライト
・XXXTENTACIONに対する追悼で“SAD!”が1位へ浮上。計9曲が今週Hot 100に。彼のアルバム”?”と”17”が共にアルバムチャートでトップ10入り
・The Cartersの“Apes**t”は13位で登場。アルバムは2位
・アルバム首位は5SOS
・Blackpink in US AREA!”DDU-DU DDU-DU”が55位で登場!K-Pop史上10曲目のHot 100入り
チャートで今週伸びを見せた曲たち
今週最もラジオで伸びた曲 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You
今週最もダウンロードが上昇した曲 XXXTENTACION – SAD!
今週最もストリーミングが伸びた曲 XXXTENTACION – SAD!
最も高い順位で新登場した曲 The Carters – Apes**t
曲の個別解説
☆=新登場 ◇=再登場 △=上昇 ▽=下降
☆96 Nas feat. Kanye West – Cop Shot The Kid
Nasの“Cop Shot The Kid”が96位で登場。アルバムのプロデューサーを務めるKanye Westがこの曲では客演として登場します。
過去に6回アルバム1位を獲得していたNASでしたが、今週はアルバムの激戦区の週ということもあり、アルバムチャートでは5位に。「総合」セールスは77000ユニット、うち純売上は49000枚でした。
このアルバムからの曲はいくつかBubbling Under (101位~125位相当のチャート)にも登場。Puff Daddyと070 Shakeを迎えた”Not For Radio”が104位相当、The-Dreamとの“Adam & Eve”は118位相当にエントリーしています。
☆85 Jason Aldean feat. Miranda Lambert – Drowns The Whiskey
Jason Aldeanのシングル、“Drowns the Whiskey”が85位で登場。今週チャートから外れた“You Make It Easy”と入れ替わる形での登場に。客演はMiranda Lambert。ともにアルバム1位を取った経験のある大物カントリーアクト同士のタッグです。
Jason Aldeanは今週チケット付きCDをリリースし、アルバムチャートで23位→10位と浮上しました。
☆80 XXXTENTACION – Hope
XXXTENTACIONの訃報を受け、彼の曲のストリーミングやDLが浮上。多くの曲が以前のピークを更新する形で、Hot 100に再登場しています。(“Numb”だけは前のピークと同じ順位での再登場に)
この“Hope”は今週Hot 100にエントリーしているXXXTENTACIONの曲9つの中で、唯一のHot 100新登場曲です。
このような「追悼」でDLやストリーミングが浮上した場合、1週間ぐらい経つとDLやストリーミングが落ち着いてくるケースが多いのですが、彼の場合は訃報から1週間が経過した現時点でも高いストリーミングをキープしています。(DLはやや落ちていますが)
来週以降もHot 100で高い順位をキープするかもしれません。
今年アルバム1位を記録したばかりということもあり、この1件の前からそれなりのストリーミングを記録していた、ということが大きいのでしょうか。(参考:Spotifyの公式プレイリストからの除外はXXXTENTACIONにどのような影響が?+復帰後は? - チャート・マニア・ラボ (CML) )
☆78 Martin Garrix feat. Khalid – Ocean
Martin GarrixとKhalidの“Ocean”が78位で登場。DLが16位のほか、Spotifyで好調(今週32位)
Martin Garrixがリードアクトですが、曲調はKhalidのボーカルセンスを活かしたMartin Garrixプロデュースの1曲のような感じです。従来のEDM感はほとんど無く、R&B系統のポップの1曲です。
昨年のMarshmello & Khalidの“Silence”のような成功を収めることはできるか!
☆74 Kygo & Imagine Dragons – Born To Be Yours
KygoとImagine Dragonsの“Born To Be Yours”が74位で登場。DLが今週3位と好調でした。
Imagine Dragonsの演奏でスタートするロック・フォークがベースとなっている曲。サビではKygoらしいトロピカル風味のドロップが登場します。(Imagine Dragonsの曲をKygoがリミックスしているような感覚でしょうか)
上記のMartin Garrixの“Ocean”と合わせて、各国のDJが夏に向けて「サマーアンセム」を続々とリリースしていますが、どの曲がヒットするでしょうか!
Hot 100に登場していない曲では、Jonas Blueの“Rise”やTiëstoとPost Maloneなどの”Jackie Chan”などが人気。
ちなみに“Jackie Chan”は今週102位相当とHot 100に接近中。
☆55 BLACKPINK – DDU-DU DDU-DU
BLACKPINKの“DDU-DU DDU-DU”が55位で登場!BLACKPINKにとっては初、またK-Pop史上10曲目のHot 100エントリーに。(参考:List of K-pop songs on the Billboard charts - Wikipedia)
今まで何回か女性K-PopミュージシャンのHot 100エントリーはありましたが、「韓国語で歌われた」(女性によるK-Pop)曲としては初のHot 100入りです。(Wonder Gilrsが1回、CLが2回Hot 100入りしたことがあるが、いずれも英語で歌っている*1)
今週Hot 100にエントリーできたのはYouTubeでの再生数のおかげです。
この”DDU"は今週世界で最もYouTubeで再生された曲となっています!(今週だけで約1億3100万再生を記録。2位*2にも大差をつけている)
USのYouTubeランキングでは今週14位の再生数を記録しています。
ほかSpotify等でもそれなりの再生数を記録しています。(BLACKPINKがUSのSpotifyランキングに入るのは、この曲が初)
この曲と同時にリリースされたEP、“Square Up”はアルバムチャートの40位に登場しています。(BLACKPINKがアルバムチャート200位圏内に登場するのはこれが初)
ほか海外でも好調で、イギリスでも初のシングルチャート入り(78位)を果たしています。(ちなみにイギリスのチャートではまだ*3YouTubeは集計の対象外です)
カナダのシングルチャートでは22位で登場!BLACKPINKは既に2回カナダのシングルチャートに入った経歴があります。(”Playing with Fire”が92位、“As If It’s Your Las”が45位)
カナダのチャートではアジア圏以外では最もK-Popが人気かもしれません。過去にK-Pop15曲がカナダのシングルチャートに登場しているほか、アメリカでは2位止まりだった“Gangnam Style”もカナダでは1位を獲得しています。
☆53 2 Chainz, Drake & Quavo – Bigger > You
2 Chainz・Drake・Quavoという豪華トリオの“Bigger > You”が53位で登場しています。SpotifyやApple Musicなどでは”Bigger Than You”と表記されていますが、なぜかビルボードは“Bigger > You”と表記しています。(ジャケはそうなっている)*4
DLとストリーミングでバランスよくポイントを稼いでのHot 100登場です。
△49 5 Seconds of Summer – Youngblood
今週Beyoncé & Jay-Z夫妻のThe Cartersを交わしてアルバム1位を獲得した5 Seconds of Summer。これでデビューアルバム以来3作連続でのアルバム1位に!
オーストラリア人ミュージシャンが3回USでアルバム1位を獲得するのはこれが初めてだそう!(Bee Geesは2回アルバム1位を獲得)
チケット付きCDでセールスを伸ばしたことがアルバム1位獲得の大きな要因だと思われます。ほかストリーミングでもそれなりの数字を稼いでいます。
それに伴い、表題シングル“Youngblood”がHot 100で79位→49位と浮上しています。この曲が最も調子が良いのはSpotify(今週17位)です。またこの曲は、母国オーストラリアのシングルチャートで5週連続1位を記録中です。
☆43 Nicki Minaj feat. Ariana Grande – Bed
Nicki MinajとAriana Grandeの“Bed”が43位で登場。この2人のタッグ曲がHot 100に入るのは4回目(”Bang Bang”、“Side to Side”、”Get On Your Knees”に次いで)です。 来週にはAriana Grande feat. Nicki Minajの“the light is coming”がHot 100入りする見込みです!
この“Bed”はNicki Minajの次アルバム”Queen”に収録予定。アルバムは8/10にリリース予定です。
ちなみに同じくAriana Grandeが客演を務めたTroye Sivanとの“Dance to This”は今週115位相当で惜しくもHot 100入りならず。
☆13 The Carters – Apes**t
BeyoncéとJay-Z夫妻で構成されるThe Cartersがサプライズアルバムをリリース。惜しくもアルバム1位には届かず2位に。Beyoncéは以前にサプライズリリースでアルバム1位を成し遂げたことがありましたが、今回は1位ならず。
ストリーミングでの人気によってアルバムからは5曲がHot 100に登場。そのうちDLも高かった“Apes**t”が13位で登場。この曲はMigosのQuavoとOffsetが合いの手要員として曲に参加しています。
ほか“Boss”(77位)、”Summer”(84位)、”Nice”(95位)、”Friends”(99位)がHot 100に登場しています。またBubbling Under (101位~125位相当)には4曲が登場しています。
ビルボードは“The Carters”と”Beyoncé“や”Jay-Z”を別人として扱っている?ようで、The Carters関連の動向はBeyoncéのChart Historyには表記されていませんでした。(先週のKIDS SEE GHOSTSも同じだった) つまり、ビルボードの公式記録的な観点からはBeyoncé・Jay-Z両者の「連続アルバム1位記録」は途切れていないことになるかも……?
この“Apesh**t”のビデオは美術館が舞台です。Jay-Zが2013年に”Picasso Baby”でビヨンセをモナリザになぞらえた(Sleeping every night next to Mona Lisa)ことから、モナリザがビデオに出てきます。
美術館風のビデオ関連の画像では絵画が多く登場することから、コラ画像ミーム?の対象にもなっているみたいです。そこまで規模の大きなミームでは無いですが!
beyonce and jay z really be up in the museum looking at modern art @5SOS #5SOSWILLMAKEHISTORY pic.twitter.com/JE2TLmmM1z
— jaz ☼ (@fullmccns) June 23, 2018
△1 XXXTENTACION – SAD!
XXXTENTACIONの突然の訃報を受け、DLやストリーミングが浮上。先週52位だった“SAD!”がHot 100の首位へと上り詰めました。YouTube・Spotify・Apple Musicなど複数のストリーミングで今週1位の再生数を記録しています。
(リードアクトで)死後にHot 100の首位を獲得するのは1997年のThe Notorious B.I.G.以来です。(客演ならば2008年と2003年にもあった)
死後にHot 100の首位を獲得する事例は今回で9回目です(客演を含む)*5
アルバムチャートでも彼の作品が浮上。最新作“?”は24位→3位、デビュー作”17”は60位→7位、ミックステープの”Revenge”は圏外から30位へ、それぞれ浮上しています。
▽× Ozuna & Romeo Santos – El Farsante
OzunaとRomeo Santosの“El Farsante”が今週チャートから外れました。ピークは49位で、チャート滞在は20週でした。(いわゆる”完走“)
ラテン系の楽曲はYouTubeなどで人気を得るものの惜しくもトップ40には届かず、チャート中位以下を漂って20週目を迎えるケースが多いです。
Nicky JamとJ Balvinの“X”や、Daddy Yankeeの”Dura”もこのような道を辿りそうです。どちらもトップ40に手が届きそうだったのですが……
▽× KIDS SEE GHOSTS feat. Louis Prima – 4th Dimension
先週アルバム全7曲がHot 100に登場したKIDS SEE GHOSTSでしたが、今週はうち6曲がチャートから外れました。(“Reborn”のみ91位でHot 100に残っている)
この“4th Dimension”客演のジャズ奏者、Louis Primaは57年ぶりのHot 100入りを果たし、史上最も長い期間を置いてのHot 100再登場をしたアーティストとなりました。
今週チャートから外れた曲 (21曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
99 Chris Lane feat. Tori Kelly – Take Back Home Girl (🗻92位 /⏰3週)
98 Jordan Davis – Singles You Up (🗻50位 /⏰19週)
97 YG feat. 2 Chainz, Big Sean & Nicki Minaj – Big Bank (🗻66位 /⏰3週)
96 Cardi B feat. Migos – Drip (🗻21位 /⏰10週)
95 Sugarland feat. Taylor Swift – Babe (🗻72位 /⏰2週)
94 Becky G & Natti Natasha – Sin Pijama (🗻94位 /⏰2週)
93 Luke Combs – Beautiful Crazy (🗻58位 /⏰4週)
92 Kanye West feat. PARTYNEXTDOOR – Wouldn’t Leave (🗻24位 /⏰2週)
91 Ozuna & Romeo Santos – El Farsante (🗻49位 /⏰20週)
88 Nicki Minaj feat. Lil Wayne – Rich Sex (🗻88位 /⏰1週)
85 Kanye West – Violent Crimes (🗻27位 /⏰2週)
84 Kane Brown – Lose It (🗻84位 /⏰1週)
83 Reik feat. Ozuna & Wisin – Me Niego (🗻77位 /⏰2週)
73 KIDS SEE GHOSTS – KIDS SEE GHOSTS (🗻73位 /⏰1週)
69 KIDS SEE GHOSTS – Cudi Montage (🗻69位 /⏰1週)
67 KIDS SEE GHOSTS- Fire (🗻67位 /⏰1週)
62 KIDS SEE GHOSTS – Freeee (Ghost Town, Pt.2) (🗻62位 /⏰1週)
61 Jason Aldean – You Make It Easy (🗻28位 /⏰20週)
60 Kanye West feat. PARTYNEXTDOOR – Ghost Town (🗻16位 /⏰2週)
47 KIDS SEE GHOSTS – Feel The Love (🗻47位 /⏰1週)
42 KIDS SEE GHOSTS feat. Louis Prima – 4th Dimension (🗻42位 /⏰1週)
・アルバムチャートの上位に新登場した作品
※アルバムチャート(Billboard 200)で50位以上に新登場した作品です
1 5 Seconds of Summer - Youngblood
2 The Carters – EVERYTHING IS LOVE
5 NAS - Nasir
6 Christina Aguilera – Libertation
13 Jay Rock – Redemption
16 Mike Shinoda – Post Traumatic
28 State Champs – Living Proof
35 Jacquees – 4275
40 BLACKPINK – Square Up (EP)
41 Rebelution – Free Rein
来週以降の動向・プレイリスト
・宇多田ヒカル – 初恋 (アルバム)
今週注目の動向です!前作“Fantôme”と同じくアメリカのiTunesアルバム上位(現在4位)に入り、日本のお茶の間を騒がせています!
ただし、ストリーミングではまだ開放されていない、週の途中*6にiTunesで上位に入った、など結局は「週間」アルバムチャートの200位圏内に入れなかった前作と状況はそこまであまり変わらないので、アルバムチャートでの躍進の可能性は薄いのでは?と考えています。
2004年のアルバム“Exodus”で記録した160位あたりを目指すのが現実的な目標といったところでしょうか。
ちなみに前作“Fantôme”も同じく水曜リリースでしたが、その時はリリース直後2日分が集計された1週目よりも、リリース3日目~9日目が集計されていた2週目のほうがセールスは伸びていたようです。(2週目にWorld Albumsチャートの1位を獲得している)
※World Albumsとは、英語圏やラテンなど以外のアルバムを扱うチャートです。K-PopやJ-Pop、アフリカ系音楽などが登場します。
(1位を取った時のWorld Albumsチャート)
このアルバムがBillboard 200(アルバムチャート)に登場するとしたら来週か再来週ですね!動向に注目しましょう。
・Clean Bandit feat. Demi Lovato – Solo
Clean Banditの本拠・イギリスではシングル1位を獲得したものの、USではまだHot 100に登場していない1曲。再来週のチャートではDrakeのアルバムが反映され、大量リリースが予想されるので、早めにHot 100入りを果たしたいですが、果たして……
・その他の新曲情報はこちらを参照してください!
・プレイリスト
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)
*1:PSYとCLの”Daddy”は韓国語も用いられるが、CLのヴァースは英語のみ
*2:Te Boteで約7000万再生
*3:7/6から集計開始
*4:また他の場所では2 Chainz “feat.” Drake & Quavoと表記されていますがビルボードは連名リリースということにしています
*5:
Otis Redding (d. December 10, 1967) – "(Sittin' On) The Dock of the Bay" (March 16, 1968)
Janis Joplin (d. October 4, 1970) – "Me and Bobby McGee" (March 20, 1971)
Jim Croce (d. September 20, 1973) – "Time in a Bottle" (December 29, 1973)
John Lennon (d. December 8, 1980) – "(Just Like) Starting Over" (December 27, 1980)
The Notorious B.I.G. (d. March 9, 1997) – "Hypnotize" (May 3, 1997) and "Mo Money Mo Problems" (August 30, 1997)
Soulja Slim (d. November 26, 2003) – "Slow Motion" (Juvenile featuring Soulja Slim) (August 7, 2004)
Static Major (d. February 25, 2008) – "Lollipop" (Lil Wayne featuring Static Major) (May 3, 2008)
XXXTentacion (d. June 18, 2018) – "Sad!" (June 30, 2018)
*6:世界的なリリース日に合わせて、ビルボードは金曜日~木曜日のサイクルでチャートを集計している。しかし、日本では水曜リリース日が一般的で、日本基準でアルバムをリリースすると、この金曜~木曜日サイクルの「途中」でリリースされたこととなってしまう。セールスが伸びやすいリリース直後の週で、集計が短くなってしまうためチャートで不利に働く