チャート・マニア・ラボ

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Hot 100 9/1 見どころ 【Ariana Grande、Hot 100に10曲を送り込む】

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 今週際立ったのはAriana Grande。アルバム1位を獲得し、多くの曲がHot 100に入りました。↑の画像はVMAMTV Video Music Awards)で姿を現したArianna Grandeと婚約者Pete Davidson。アルバムには”pete davidson”というタイトルの曲も収録されていて、この曲はHot 100の99位に登場しています。

 

 

☆今週のHot 100 ショートハイライト

・Ariana Grandeのアルバムが1位!うち9曲がHot 100に登場し、“no tears~”と”God is a woman”はトップ10に浮上

・Marshmello & Bastilleの“Happier”が好調。Calvin Harrisの新曲(65位)を上回る63位でHot 100デビュー

Janet JacksonがDaddy Yankeeを迎えた“Made For Now”が88位で登場

・Cardi Bの新シングル“Ring”が85位に再登場

 

・今週のトップ10

―1 Drake – In My Feelings

―2 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You 

―3 Cardi B, J Balvin & Bad Bunny – I Like It

―4 6ix9ine feat. Nicki Minaj & Murda Beatz – FEFE 

―5 Post Malone – Better Now 

―6 Juice WRLD – Lucid Dreams 

△7 Ariana Grande – no tears left to cry 

△8 Ariana Grande – God is a woman 

▽9 Travis Scott – SICKO MODE

▽10 Tyga feat. Offset – Taste

 

 は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す

1~100位までの順位表は↓

  

 

曲の個別解説

☆=新登場 ◇=再登場 △=上昇 ▽=下降 

 

◇90 Panic! At the Disco – High Hopes

 Panic! At the Discoの“High Hopes”が90位で再登場。オルタナティブ系・ポップ系などのラジオで少しずつ人気を得始めたことや、SpotifyiTunesでの好調が再浮上の要因。

 イギリスでは既に34位、オーストラリアでは7位まで達していて、Panic! At the Discoの本拠アメリカよりも一足先にヒット中です。

 今週はこれ以外にも再登場した曲が多かったです。(以下参照)

94位 Eric Church - Desperate Man (4週目)

90位 Panic! At the Disco - High Hopes (3週目)

89位 Ariana Grande feat. Nicki Minaj - the light is coming (2週目)

85位 Cardi B feat. Kehlani - Ring (5週目)

83位 Mitchell Tenpenny (2週目)

81位 The Chainsmokers feat. Emily Warren - Side Effects (2週目)

 

☆88 Janet Jackson & Daddy Yankee – Made For Now

 Janet JacksonがDaddy Yankeeとタッグを組んだ“Made For Now”が88位に登場!この曲は主にDLで人気のようです。

 大御所シンガーJanet JacksonとラテンのキングDaddy Yankeeとは意外な組み合わせでした。この曲は今年リリースされる可能性のあるEPの収録曲とも考えられているようです。

 

◇85 Cardi B feat. Kehlani – Ring

 Cardi Bの新シングル、Kehlaniとの“Ring”が月曜日に公開されたビデオの効果で85位に再登場しています!今週YouTubeで14位。

 まだシングル化して間もないため、ラジオ等ではあまり動きがありませんが、今後ラジオが伸びてくればHot 100の順位も伸びてきそうです。それに呼応する形でストリーミングも伸びればヒットになるでしょう。

 アルバムリリース時に記録した元々のピーク(28位)を越えることができるか!

 

☆78 Young Thug feat. Lil Baby & Gunna – Chanel (Go Get It)

 Young Thug + Young Stoner Life Records(彼のレーベル)の連名によるミックステープ “Slime Language”がアルバムチャート8位に登場。

 そのミックステープの一番人気、Lil BabyとGunnaを迎えた“Chanel”が78位に登場しています。

 GunnaはそのYoung Stoner Life Recordsにサインしたラッパーで、“Life Goes On”に次いで2回目のHot 100入り。その時もLil Babyと共演していました。 あとfeat.の表記はされていませんでしたが、GunnaはTravis Scottの”YOSEMITE”でも登場します。

 ほかLil Uzi Vertとの”It’s A Slime”もBubbling Under (=101位~125位相当)に入っています。

 

☆77 Russell Dickerson – Blue Tacoma

 昨年“Yours”で頭角を現したカントリーシンガー・Russell Dickersonのシングル”Blue Tacoma”が77位で登場しています。カントリー系ラジオで好調です。

 

☆65 Calvin Harris & Sam Smith – Promises

 Calvin HarrisとSam Smithの“Promises”が65位で登場。”One Kiss”=62位と似たようなスタートを切っています。

 その“One Kiss”はラジオで下り調子になってきたので、そろそろチャートから外れてしまうかも。(今週39位 / 20週目)

 

☆63 Marshmello & Bastille – Happier

 MarshmelloとBastilleによる“Happier”が63位で登場。同じDJ & イギリス人の組み合わせである”Promises”を上回る順位でのスタートに!特にSpotifyでは絶好調で、今後の浮上に期待が持てそうです。

 Bastilleにとっては2014年の”Pompeii"や”Bad Blood"以来4年ぶりのHot 100に!この曲はBastille効果でポップ系だけではなくオルタナティブロック系ラジオでもかかっているようです。

 この曲にはプロデューサーのSteve Macがソングライターとして参加しています。 

 

△40 Luke Bryan – Sunrise, Sunburn, Sunset

 Luke Bryanの“Sunrise, Sunburn, Sunset”が40位へ浮上。昨年のアルバム”What Makes You Country”からは初のトップ40シングルに。キャリアでは通算17曲目のトップ40です。

 彼はForbesが発表した「最も稼いだカントリー歌手ランキング」で今年、首位に浮上しました。収益源はツアーのほか、アメリカン・アイドル審査員の出演料などが挙げられています。

 

△31 benny blanco, Halsey & Khalid – Eastside

 名裏方・benny blancoがHalseyとKhalidを迎えた“Eastside”が浮上中。今週48位→31位と大きく順位を上げています。特にSpotifyで好調。

 この曲は既にグローバルヒットになっていて、イギリスで3位、オーストラリアで2位などを記録しています。

 

☆22 Ariana Grande – breathin

 Ariana Grandeの4枚目“Sweetener”がアルバムチャート1位を記録!キャリア通算3枚目のアルバム1位です。(前作の”Dangerous Woman”だけ唯一1位を取れなかった)

 DL、ストリーミングなどを含む「総合セールス」は23.1万枚で、これは女性としてはCardi B(25.5万枚)に次いで今年2番目に高い数字です。ポイントの約半分(12.7万枚)をセールスで記録しています。

 また、このアルバムはストリーミングも高く、ポップスのアルバムとしてはEd Sheeranの“÷”(1億3460万再生)に次いで、史上2番目に多い1億2500万再生を1週間で記録しました。「女性のポップスアルバム」では史上最多のストリーミングです。

※女性全体だとCardi Bの“Invasion of Privacy”、Nicki Minajの”Queen”に次ぐ3番目のストリーミング数です。

 

 そのストリーミング人気を受けて、アルバムからは9曲がHot 100に登場。うち6曲が新登場で、3曲が既発曲でした。

7 no tears left to cry

8 God is a woman

22 breathin (New)

55 sweetener (New)

62 everytime (New)

72 R.E.M. (New)

87 Goodnight N Go (New)

89 the light is coming /ft. Nicki Minaj (Re)

99 pete davidson (New)

 

 Ariana Grandeはこれらの曲のほかに、Nicki Minajの客演を務めた“Bed”でもHot 100に入っており、今週合わせて10のAriana Grandeの曲がHot 100に。

 同時に10曲以上がHot 100に入るのは、女性アーティストとしては史上4人目の偉業です。(2010年のTaylor Swift、2016年のBeyoncé、2018年のCardi Bに次ぐ)

 

 ほかにもこのアルバムから6曲がBubbling Under(=101位~125位相当)に入っています。つまり、アルバムの曲全てが少なくとも125位(相当)以上には入っているということになります。

 

△8 Ariana Grande – God is a woman

 Ariana Grandeのアルバムリリースの効果で、既発シングルも再浮上!“no tears left to cry”が7位でトップ10に復帰したほか、”God is a woman”はピークを更新し、トップ10入りを果たしています!(元のピークは11位) (”God is a woman"はiTunes割引も行われました)

 この“God is a woman”はAriana Grandeにとって記念すべき10曲目のトップ10シングルに。女性としては、2010年代で6人目の記録です。

 

参考:2010年代でトップ10ヒットが多い女性アーティスト

1 Nicki Minaj / Taylor Swift:17曲

3 Katy Perry:11曲

4 Ariana Grande / Kesha / Lady Gaga:10曲

 

 

―5 Post Malone – Better Now

 今週も“In My Feelings”がHot 100首位をキープ。Drakeは今年26週もの間Hot 100の首位に立っており、Usherの歴代記録(2004年、計28週の間Hot 100首位に立ったという記録)に迫っています!

 その記録を止めるかもしれない候補の一つがPost Maloneの“Better Now”。この曲は現在ラジオが好調で、今週ラジオ3位まで浮上。”In My Feelings”(ラジオでは4位)を、ラジオの指標では抜きました。同じくラップに分類される曲ですが、”In My Feelings”よりもポップ系ラジオとの親和性が高いです。(来週のチャートでポップ系ラジオの1位になりそう)

 この曲はビデオ、リミックス、iTunes値引きなど、セールスを伸ばすための「切り札」を多く残しているため、伸びしろがまだ大きそうです。この切り札をうまく生かせれば1位まで到達できるかも。

 

▽× Cardi B – Be Careful

 Cardi Bの“Be Careful”が今週チャートから外れました。ピークは11位、チャート滞在20週という成績でした。

 この曲がピークを迎えたのはアルバムリリース時。その後リズミック系ラジオでは1位を獲得するなど、一部では人気でしたが、次第に少しずつ順位を落としていきました。近い時期にシングルカットされた“I Like It”の影に隠れていた印象があります。

 

今週チャートから外れた曲 (17曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Juice WRLD – Lucid Dreams (🗻67位 /⏰5週)

99 Drake – Mob Ties (🗻13位 /⏰7週)

98 Nicki Minaj feat. The Weeknd – Thought I Knew You (🗻98位 /⏰1週)

97 Dennis Lloyd – Nevermind (🗻86位 /⏰4週)

90 Jason Mraz – Have It All (🗻90位 /⏰1週)

89 Travis Scott – 5% Tint (🗻36位 /⏰2週)

87 J. Cole – Album of the Year (Freestyle) (🗻87位 /⏰1週)

81 Travis Scott – Carousel (🗻24位 /⏰2週)

79 Travis Scott – No Bystanders (🗻31位 /⏰2週)

75 Travis Scott – R.I.P Screw (🗻26位 /⏰2週)

71 Travis Scott – Wake Up (🗻30位 /⏰2週)

69 Travis Scott – Can’t Say (🗻38位 /⏰2週)

66 Travis Scott – Stop Trying To Be God (🗻27位 /⏰2週)

64 Cardi B – Be Careful (🗻11位 /20週)

60 Nicki Minaj – Ganja Burns (🗻60位 /⏰1週)

58 Nicki Minaj feat. Eminem & Labrinth – Majesty (🗻58位 /⏰1週)

56 Nicki Minaj feat. Lil Wayne – Rich Sex (🗻56位 /⏰2週)

 

 

・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品

1 Ariana Grande – Sweetener

7 Cole Swindell -  All Of It

8 Young Thug & Young Stoner Records – Slime Language

13 Death Cab For Cutie – Thank You For Today

21 Ninja Sex Party – Cool Patrol

28 Blue October – I Hope You’re Happy

52 Mitski – Be the Cowboy

53 Aminé – ONEPOINTFIVE

144 Neil Diamond – Hot August Night 3

145 Aretha Franklin – Aretha’s Best

 

Ninja Sex Partyって何者!? → アメリカのコメディデュオらしい

Mitskiは前作のアルバム200位圏外から躍進

 

来週以降の動向・プレイリストなど

・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲

 

BTS (feat. Nicki Minaj) – IDOL

 来週のHot 100に入ることは確実で、気になるのは何位で登場するか。iTunesの1位と2位を独占し、さらにはYouTubeではリリース後24時間の再生数の記録を更新 ↓

 DLとYouTubeでは爆発的な記録を残しているものの、他のストリーミング、ラジオでの数字は低め。そして今年の下半期からHot 100がYouTubeの再生数を2/3で集計するようになったことも向かい風です。

 未知数な部分もありますが、DLとYouTubeの数字が高いことから前シングル同様トップ10入りするかなと考えています。

 

・Sheck Wes – Mo Bamba

 Travis Scottの“No Bystanders”で ”Fuck the Club Up Bithc!”のフレーズを担当しているSheck Wes。彼の“Mo Bamba”がストリーミングで急浮上中です。今週109位相当

とHot 100に接近中です!

 この曲が浮上したきっかけはSpotifyのプレイリストRapCaviar。このプレイリストによって「発見」されたこの曲は次第にSpotifyのランキングを浮上。後にApple Musicも自身のHip-Hop A Listにこの曲を追加しました。

 曲のタイトルはバスケットボール選手からとっています。

 

・プレイリスト

 

 

ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)