こんばんは!今週の大きなテーマは2つ!まずはAriana Grande悲願のシングル1位獲得!ここ数年シングルチャートで好成績を安定して叩き出してきたAriana Grandeでしたが、意外とHot 100首位は今まで無かったのです。
そしてQueenのHot 100再登場。映画の効果によってQueenがストリーミング等で「再発見」され、映画のタイトルにもなった“Bohemian Rhapsody”が33位に再登場しました!
☆今週のHot 100 ショートハイライト
・Ariana Grandeの"thank u, next"が1位に登場!悲願のキャリア初シングル1位を達成
・映画効果で”Bohemian Rhapsody"が26年ぶりにHot 100再登場(33位)
・Metro Boominが史上最も低いセールス(5000)でのアルバム1位を達成(ストリーミングで多くのポイントを稼ぐ)
・今週のトップ10
☆1 Ariana Grande – thank u, next
▽2 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You
▽4 Marshmello & Bastille – Happier ◎
▽5 Juice WRLD – Lucid Dreams
△6 Halsey – Without Me ◎
▽7 Post Malone – Better Now
▽8 Kodak Black feat. Travis Scott & Offset – ZEZE
△9 Sheck Wes – Mo Bamba ◎
▽10 Lil Baby & Gunna – Drip Too Hard ◎
◎ は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す
☆=新登場 ◇=再登場 △=上昇 ▽=下降
1~100位までの順位表は↓
曲の個別解説
☆99 Takeoff – Casper
Migosの“末っ子”*1、Takeoffがソロアルバムをリリース。ストリーミングで高い人気を誇り、アルバムチャート4位にランクイン。(9割程度のポイントをストリーミングで稼いでいる)
うち、“Casper”が99位に、先週からチャートに入った”Last Memory”が68位*2にランクインしています。ゲストが少なく目立つシングルがあまり無い一方、アルバム全体が平均的に再生されていた印象があります。
☆97 Camila Cabello – Consequences
Camila Cabelloのアルバム3曲目*3のシングル“Consequences”が97位に登場。ラジオで少しずつポイントを伸ばしています。
この曲のシングル化にあたり「オーケストラ・バージョン」もリリース。曲全体の構成はあまり変わりませんが、終盤のメロディーがオーケストラ調にアレンジされています。
☆86 Anuel AA & Romeo Santos – Ella Quiere Beber
Anuel AAとRomeo Santosによる“Ella Quiere Beber”が86位に登場。"She Want to Drink"という意味。Anuel AAは6ix9ineとの”BEBE”に次いで2回目のHot 100入り、Romeo Santosは10回目のHot 100。
元々ラテン系ラジオで人気だったこの曲ですが、Romeo Santosがリミックスで新たに加わったことで人気が加速し、Hot 100入りを成し遂げました。
▽60 Kanye West & Lil Pump – I Love It
毎週チャートでは「○○が△位に登場した」「◇◇が絶好調!☆☆位に到達!」など「上昇系」が注目されますが、その裏で順位を予想外のスピードで落とす「下降中」の曲もいくつか存在します。今週はそのような曲にいくつか目をつけてみようと思います。
まずはKanye West・Lil Pumpの”I Love It”。今週9週目で47位→60位と下降。リリース時はYouTube・各ストリーミングでかなり調子が良かったのでHot 100の6位に登場しましたが、その後失速。特にラジオでポイントをあまり稼げておらず、ここ数週すごい勢いで順位を落としてしまっています。
そしてDJ Khaledの“No Brainer”。今週15週目で78位→93位と下降。この曲のチャートアクションは昨年の”I’m the One”そっくりです。この曲は1位で登場したものの、滞在22週と短命に終わっていました。今回の“No Brainer”はそのチャートアクションをそのまま小規模にしたような印象があります。
さらにEminemの“Lucky You”(10週目で93位)、Lil Wayneの”Mona Lisa”(6週目で82位)なども急落中。ただしこの2曲はラジオではかからない「非シングル」という扱いの曲なので、順位が落ちるのは仕方がないという見方もできます。
☆38 Metro Boomin feat. 21 Savage – Don’t Come Out The House
今年の4月頃には引退も仄めかしていたラップ系プロデューサー、Metro Boominが自身名義のアルバムでカムバック。多くの客演を迎えたアルバムはストリーミングを中心に高い人気を集め、見事アルバムチャート1位を獲得!
純セールスは0.5万枚ながらも、ストリーミングで9.2万枚相当のポイントを稼ぎ、シングルDLの0.2万枚と合わせて計9.9万枚を売り上げています。
アルバムからは7曲がHot 100にランクイン。2017年の主役プロデューサーであるMetro Boomin、2018年の主役Tay Keithが手を組んだ21 Savageとの“Don’t Come Out the House”が最高の38位にランクインしています。Bubbling Under(101位 – 125位相当のチャート)にも4曲 が入っており、ボートラの”No Complaints”と“Only You”以外の全ての曲が125位(相当)以上に入っているということになります。
ボートラはともかく、Swae Lee、J Balvin、Wizkidを迎えた“Only You”の人気があまり無かったのは意外でした。この曲アルバムを代表してはSpotifyの有力プレイリスト、New Music Fridayに入っていた、つまり再生数のデータが届くまでは「シングル有力候補」だった曲ですが、実際蓋を開けてみるとあまり人気が無かったということです。
ストリーミング時代では、どの曲の人気が出るのかが読みづらい、ということを象徴しているように思いました。
ちなみにアルバムチャートの1位としては歴代で「純セールス」が最も少ないと思われます。(現在のアルバムチャートは純セールス+シングルDL+ストリーミングで計算される)
Forbesは「純セールス」が1.7万枚だったその週のアルバム1位、Rihannaの“Anti”を「歴代で最も売り上げが少ない」としています。(※ストリーミングなどを合わせると計5.4万枚の売り上げ、この指標では歴代最低ではない)
その後の動向を追うと、2016年の10/8にDrakeの“Views”が記録した0.8万枚セールスが今までのアルバム1位の中のセールス最低記録(ストリーミングも合わせると5.3万枚)でしたが、今週Metro Boominがこの記録を更新しました。
Metro Boominは「純セールス」がアルバム1位として史上最も少ないだけで、ストリーミング等を合わせた指数は史上最少ではないです。 (ただし今年の中では最少。今年はグッズ戦略・チケット戦略などによってアルバム1位争いのレースが激しくなっています)
△37 Lauv – I Like Me Better
来週のチャートで2018年間チャートの集計が終了。そろそろ年の瀬、ということで年間チャートに関する情報を今週のチャートから取り上げてみようと思います。
まずは年間トップ10争い。ここを争う候補として考えられているのが“Girls Like You”(今週2位)、”Lucid Dreams”(今週5位)、そして既にチャートから外れた“Nice For What”辺り。焦点は既にポイントを稼いでいるものの、予想以上に短命に終わってしまった”Nice For What”をほか2曲が追い越せるか?です。
そして年間チャートに「入れるか」の争い。終盤ラストスパートをかけて年間チャートに滑り込みそうなのは“Happier”(今週4位)、”Eastside”(今週18位)あたり。年間チャートに届くか微妙なのは“Broken”(今週29位)、”I Love It”(今週60位)あたりでしょうか。
最後に、ユニークな記録を残すかもしれないのは“I Like Me Better”。ピークは27位とそこまで高くないものの、チャート滞在は39週とかなりのロングヒット。この毎週じわじわ稼いだポイントを生かして、年間チャートの順位が週間のピーク順位を上回る可能性も少しありそうです!年間チャートの密かな見どころです。
※「年間チャートの順位>週間チャートのピーク順位」が実現すれば、Carrie Underwoodの”Before He Cheats”(年間6位、週間8位)以来11年ぶりの快挙です。
◇33 Queen – Bohemian Rhapsody
先月公開された、QueenのボーカルFreddie Mercuryの半生を描いた映画“Bohemian Rhapsody”が各地で好評。その人気を受けてQueenの音源に熱い視線が注がれています!
iTunes、Apple Music、Spotify、YouTubeなど各指標で注目を集めた映画タイトルと同名のシングル”Bohemian Rhapsody”がなんと今週33位に再登場しました!
この曲はリリース当初(1976年)にHot 100で9位まで上昇したほか、「2回目のピーク」がありました。1992年“Wayne’s World”というコメディ映画に使われた影響で再注目され、Hot 100に再登場。最終的には2位まで順位を伸ばし、ピークを更新することに成功しました!
そして2018年、映画の効果によって「3回目のピーク」が到来しました。さすがにピークを更新することは難しい気がしますが、どこまでチャートに残るか、見ものです。現在も各媒体での数字をキープしているので、とりあえず来週はまだHot 100に残ると思います。
この曲は元のリリース時期(1970年代)、第一回リバイバル(1990年代)、そして今回のリバイバル(2010年代)と3つのDecade(10年ごとの区切り)でHot 100に登場したことに。このような曲はレアで、似たようなケースにPrinceの”1999”などがある、とChartDataは指摘しています。
.@QueenWillRock's "Bohemian Rhapsody" earns its best Hot 100 rank this century as it re-enters at #33.
— chart data (@chartdata) November 14, 2018
It becomes one of few tracks in history to chart in at least three decades (joining the likes of Prince's "1999"). https://t.co/pfRStMQlZy
Queenはシングルだけではなくアルバムチャートでも存在感を発揮。映画サントラの“Bohemian Rhapsody”が3位、”Greatest Hits ⅠⅡ&Ⅲ”が9位にランクイン。“Greatest Hits”も48位に入っています。
あと余談ですが、Nicki Minajのアルバム“Queen”は今週32位、Queen NaijaのセルフタイトルEP ”Queen Naija”は176位です。
△21 Ariana Grande – breathin
Ariana Grandeの現行シングル“breathin”も好調。”thank u, next”人気による効果なのか、ラジオやストリーミングでの再生数が今週伸びたことによりHot 100で大きく順位を上げています(32位→21位)
ラジオでの好調は来週以降も続きそうで、しばらく快調に順位を伸ばしていきそうです。
△14 Gucci Mane, Bruno Mars & Kodak Black – Wake Up In the Sky
Gucci Mane、Bruno Mars、Kodak Blackの3人によるシングル“Wake Up In the Sky”が好調。ビデオ公開(10/31)あたりから調子を上げていて、ラジオやストリーミングで伸びを見せています。今週28位→14位と大きく順位を上げました。近いうちにトップ10に手が届きそうです。
ラジオはリズミック、R&B / Hip-Hop系などGucci Maneが得意とする系統で多くかかっており、Bruno Marsが元々得意としていたポップ系ラジオではほぼかかっていません。Bruno Marsは”24K Magic”以降、「R&B界隈の人」の印象を強めています。
ほか近いうちにトップ10に手が届きそうなのはPanic! At the Discoの“High Hopes”です。今週11位→12位と順位を落としましたが、ラジオの再生数がかなり伸びています。
Travis Scottの“SICKO MODE”が今週3位。先週までは1位取りの可能性もありそうでしたが、”thank u, next”の出現によって厳しくなったと言えます。
今週iTunes値引きを行ったため、来週のチャートに効果が表れることを期待されますが、あまり明確な伸びを見せていないので、Hot 100首位獲りは難しいと思われます。“Girls Like You”だけなら抜かせるかもしれませんが。
次のHot 100首位争いは“thank u, next” 対 ”Happier”だと思っています。
☆1 Ariana Grande – thank u, next
Ariana Grandeの”thank u, next”が1位デビュー!Ariana Grandeは今までキャリア通算で10曲のトップ10を記録しながらも1位シングルが無かったのですが、今週、念願のHot 100首位を獲得しました。 日曜日頃リリースで、集計期間がやや短かったのですがDLとストリーミングで今週1番高い成績を記録しています。
1位デビューの鍵になったのはストリーミング。現在USのストリーミングではアーバン系(ヒップホップやR&B)の天下ですが、そのストリーミングで大きなポイントを得たことが大きかったです。
Spotify(アメリカ)ではデイリー、週間の両方でポップス史上最高の再生数を叩き出しています(と同時に、女性としての史上最高の再生数でもある)
現在もDL、ストリーミングの両方で圧倒的な人気をキープしていて、来週以降も1位に留まりそうです。
▽× Lil Uzi Vert – New Patek
Lil Uzi Vertの“New Patek”が今週チャートから外れました。ピークは24位、チャート滞在は7週という成績。ストリーミングでの高い人気によってHot 100でも好成績を収めましたが、それ以外からあまりポイントを得られなかったことによって徐々に失速。7週と24位ピークの曲としてはかなり早期にチャートを外れました。
5:43とかなりの長尺で、ラジオにあまり向いていなかったのかもしれません。実際リズミック系、R&B / Hip-Hop系などのラジオチャートには登場していません。あとは、現在のストリーミングリスナーが「アルバム単位」で曲を聞く傾向があるので、この曲がアルバム内の曲ではなく、シングルリリースだった、ということもある程度要因なのかもしれません。
▽× Zedd, Maren Morris & Grey – The Middle
ロングヒット、Zeddの“The Middle”が今週チャートから外れました。ピークは5位、チャート滞在は40週でした。以前からポップ系ラジオを得意としているZeddは、この曲でもポップ系ラジオ1位を獲得。その後自身初のアダルトポップ系ラジオ1位など、各ラジオで高ポイントを記録し、曲を長持ちさせました。(Zeddの曲の中でチャート滞在が最も長い)
2013年以降、「ポップ系ラジオマスター」として活躍してきたZeddが、ついに年間チャートでもトップ10入りなるか?約1ヶ月後に発表されるであろう年間チャートでの上位入りに期待がかかります。
今週チャートから外れた曲 (12曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
100 Jason Aldean feat. Miranda Lambert – Drowns The Whiskey (🗻32位 /⏰19週)
99 Diplo, Mark Ronson & Dua Lipa – Electricity (🗻96位 /⏰4週)
97 Lil Mosey – Kamikaze (🗻97位 /⏰1週)
96 Eric Church – Desperate Man (🗻68位 /⏰13週)
95 Cole Swindell – Break Up in the End (🗻49位 /⏰17週)
93 Lil Uzi Vert – New Patek (🗻24位 /⏰7週)
92 Eminem – Venom (🗻43位 /⏰5週)
90 P!nk – A Million Dreams (🗻90位 /⏰1週)
89 Steve Aoki feat. BTS – Waste It On Me (🗻89位 /⏰1週)
79 Chris Janson – Drunk Girl (🗻79位 /⏰10週)
46 Zedd, Maren Morris & Grey – The Middle (🗻5位 /⏰40週)
31 Michael Jackson - Thriller (🗻4位 /⏰18週)
・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品
1 Metro Boomin – Not All Heroes Wear Capes
4 Takeoff – The Last Rocket
12 Barbra Streisand – Walls
13 Moneybagg Yo – RESET
15 Pistol Annies – Interstate Gospel
23 EXO – EXO 5: Don’t Mess Up My Tempo
25 Bob Dylan – More Blood, More Tracks: The Bootleg Series, Vol. 14
37 Vince Staples – FM!
68 Roddy Ricch – Feed The Streets Ⅱ
73 Swizz Beatz – Poison
86 Jay Critch – Hood Favorite
87 H.E.R. – I Used To Know Her: Part 2 (EP)
93 Tenacious D – Post-Apocalypto (Soundtrack)
97 Silent Planet – When The End Began
100 Kris Wu – Antares
172 Rosanne Cash – She Remembers Everything
191 David Archuleta – Winter In The Air
・EXO:SM事務所のK-PopグループがUSでのキャリア最高位を記録。3回目のBillboard 200入りです。
・Kris Wu:一時期iTunesアルバム・シングル上位を独占していた元EXOの中国人メンバーKris Wu。しかしこれがIPアドレス偽装による中国からの購入?などの説が浮上し、調査され、結局アルバムチャート100位という結果に。週の途中までiTunes1位だったにも関わらず100位ということは、iTunes1位のうち何割かはやはり「イカサマ」だったということが伺えます。 このように言うとなんだかネガティブな結果のようにも思えますが、中国人がUSのアルバムチャートで100位に入るのは十分偉業だと思います。
・Roddy Rich:Apple Musicなどで人気を得た新人ラッパー。Marshmelloは次のシングルで彼を起用するらしいです
来週以降の動向など
・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲
・Trippie Redd feat. Juice WRLD – 1400 / 999 Freestyle
ストリーミングで最も注目を集めたTrippie Reddのアルバムから、何曲かHot 100に登場するかも。
・JENNIE (from BLACKPINK) – SOLO
BLACKPINKのメンバーJENNIEが“SOLO”というタイトルの曲でソロデビュー。この曲はUSのiTunes上位につけています。Hot 100に入るためにはYouTubeでの高いポイントが必要と思われます。
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)