チャート・マニア・ラボ

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Hot 100 4/13 見どころ 【Billie Eilishの圧倒的アルバム1位 + "Old Town Road"がシングル1位に】

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こんばんは。自分は低気圧に弱い人間ということに気づいた今日この頃。今週はBillie Eilish、Lil Nas Xなどについて扱っていきます。今週は濃いチャートなので若干分量多めです。

 

 

◇今週のHot 100 ハイライト◇

・Old Town Roadが1位へ浮上!リミックスの分は基本的にまだ集計には入っていない、ほぼオリジナルのみの人気で首位になったことに(DL・ストリーミングは未集計、ラジオは若干リミックスの数字が集計に入っている)

・Billie Eilishがアルバム1位。収録曲は12曲がHot 100入り。さらにその他の2曲を合わせて彼女はHot 100に14曲ランクイン。女性としては最多のHot 100エントリーに

・急逝したNipsey Hussleの楽曲が4つHot 100に登場

 

・今週のトップ10

      4月13日   R D S
1 Lil Nas X Old Town Road 🍎🚩 - 3 1
  2 Post Malone & Swae Lee Sunflower  13 4 3
  3 Ariana Grande 7 rings 1 9 5
  4 Post Malone Wow. 7 5 4
  5 Halsey Without Me 2 16 9
  6 Cardi B & Bruno Mars Please Me  5 21 11
7 Billie Eilish bad guy ✅ - 7 2
8 Jonas Brothers Sucker  8 6 20
  9 Marshmello & Bastille Happier 10 23 13
  10 J. Cole MIDDLE CHILD  29 35 6

 R=Radio、D=Download、S=Streaming

🍎=Apple Musicで1位、✅=Spotifyで1位、🚩=YouTubeで1位

(🍎✅🚩が全てトップ10圏内に)

 

 は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す

緑背景はその指標がトップ10内で最高、赤背景は最低

 

1~100位までの順位表は↓

 

曲の個別解説

 

☆87 DaBaby – Suge

 DaBabyの“Suge”が87位に登場。DaBabyにとって初のHot 100入り。彼は5週前にリリースしたアルバムがアルバムチャート25位にエントリー。それ以降Apple Musicを中心に人気を保ち、現在はリリース時よりも高いストリーミングを記録しています。それに伴い、今週のアルバムチャートではリリース時よりも高い19位につけています。

 現在Apple Musicでは”Suge”以外にも“Baby Sitter”や”Goin Baby”も上位にエントリーしており、今後これらの曲もHot 100に入ってくるかもしれません。

 “Suge”はApple Music以外ではYouTubeでも人気。Spotifyではまだ100位以下です。

 

△85 Billie Eilish & Khalid – lovely

 先週に引き続き「伸びる見込み」が認められ、特例でチャートに残っている”lovely”。これ以外に今週再登場の”Ocean Eyes”、そして今週アルバム1位に輝いた”WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?”に収録された12曲がHot 100にエントリー。Billie Eilishは合わせて今週14曲がHot 100に入ったことになり、昨年のCardi Bを上回り女性としては最多の「Hot 100同時エントリー」を記録しました。

 

(女性で同時に10曲以上がHot 100入りしたアーティスト)

2019 Billie Eilish 14曲 (アルバム曲12 + その他2)

2018 Cardi B 13曲 (アルバム曲12 + その他1)

2019 Ariana Grande 12曲 (すべてアルバム曲)

2016 Beyoncé 12曲 (すべてアルバム曲)

2010 Taylor Swift 11曲 (すべてアルバム曲)

(これらの記録はすべてそれぞれのアルバムリリース週に記録されたもの)

 

☆70 Ariana Grande & Victoria Monét – MONOPOLY

 Ariana GrandeとVictoria Monétの“MONOPOLY”が70位に登場。Victoria Monétにとって初のHot 100登場に。この曲は月曜日にリリースされたので、今週のチャートではまだ3.5日分しか集計されていません。

 Victoria MonétはファーストからAriana Grandeのアルバムでソングライトを多く担当してきたR&Bシンガーです。

 

☆59 Blake Shelton – God’s Country

 Blake Sheltonの“God’s Country”が59位に登場。今週DLが1位で、カントリー系ラジオでも初週から多くの再生数を記録したので、カントリー曲としては珍しく最初の週から高めの順位に登場しました。

 カントリー曲はラジオとともにじわじわ順位を上げ、リリース後からかなり時間が経ったタイミングでHot 100に登場することが多いです。カントリー曲で初週からHot 100の好位置に登場するのは大御所ならではの特徴と言えます。

 

☆44 Nipsey Hussle feat. Roddy Ricch & Hit-Boy – Racks in the Middle

 3/31の訃報を受けてNipsey Hussleの関連曲のストリーミング数やDLが増加。今週、彼の楽曲がHot 100に4つ登場しました。特に今年にリリースされていたシングル”Racks in the Middle”は多くの再生数を記録しました。(Apple MusicのThe A-List:Hip-Hopは訃報の前からこの曲をリストに追加しており、まさに「現役」の1曲でした)

 

44位:Racks in the Middle /ft. Roddy Ricch & Hit-Boy

65位:Double Up /ft. Belly & DOM KENNEDY

82位:Last Time That I Checc’d /ft. YG

93位:Dedication /ft. Kendrick Lamar

 

 Nipsey Hussleが今までHot 100に入ったのは?の客演を務めた のみだったので、自身の曲でHot 100に入るのは今回が初ということになります。

 上記の曲で客演を務めているプロデューサーのHit-BoyとラッパーDOM KENNEDYはHot 100初登場です。

 Hit-Boyは以前から多くのヒットを生み出しており、“SICKO MODE”、”N***s in Paris”などのラップクラシック、そして時には”Scream & Shout”などのポップもプロデュースしてきました。自身の名義でHot 100に載るのは今回が初です。

 

 彼はアルバムチャートでも注目を集めて直近のアルバム”Victory Lap”は2位にランクイン。リリース時の順位よりも高い順位を記録しています。

 ほか”Crenshaw”が63位など彼の作品が合わせて5つ今週のアルバムチャートに登場しました。“Victory Lap”以外はリリース時にアルバムチャートに入っていなかったので今週初登場です。

 

◇29 Billie Eilish – when the party’s over

 2週間前にチャート滞在20週を迎えて満期でチャートから外れた”when the party’s over”が、アルバム効果で再浮上し再登場を果たしました。「21週目以降は51位以下に落ちると外れる」というルールが適用されない上位への返り咲きに成功しました。

 この曲はポップ系ラジオでも(ようやく)かかり始めたということもあり、今後もシングルとしてある程度の順位はキープしそうです。

 アルバムリリース効果でこれ以外の既存の曲も軒並み順位を上げています。

bury a friend 41位→25位

wish you were gay 84位→31位 (ピーク更新)

you should see me in a crown 再登場41位 (ピーク更新)

 

△27 Ellie Goulding & Diplo feat. Swae Lee – Close To Me

 Ellie GouldingとDiplo、Swae Leeによる“Close To Me”が28位→27位と少し浮上。じわじわ順位を伸ばして少しずつピークを更新しています。

 かなり地味なチャートアクションですが、実はラジオではかなりのヒットになっており、今週ラジオ5位まで到達しています。ラジオ5位は2014年にHot 100で13位まで到達した“Burn”と同じ成績です。

 ただ昨今はストリーミングの台頭によってラジオが二重の意味で影響力を失っています。(ラジオのポイントの相対的な低下、そしてラジオの人気曲のストリーミングでの選曲への影響力の低下)

 その影響で同じラジオ順位でも5年前よりもHot 100順位が低くなっています。ラジオの好調によってもう少しHot 100順位が伸びそうですが、ストリーミングではピークが終わっている以上、大きな伸びは難しそうです。

 

☆7 Billie Eilish – bad guy

 Billie Eilishがデビュー作でアルバムチャート1位を獲得!21世紀生まれのアーティストでは初の出来事です。総合セールスは31.3万と高い数字を記録しており、セールスが17万、ストリーミングが13.7万とバランス良く書く媒体で高いポイントを得ています。(残りはシングルDL) セールス、ストリーミングはいずれも今年2番目の数字です。

 

 セールスで際立ったのは1.5万枚というヴァイナルの数字。これは調査体制が現在のものになった1991年以降ではAdeleの”25”に次ぐ女性アーティストでは2番目に高い数字です。ほかこのアルバムはチケット&音源戦略でもセールスの数字を稼いでいます。

 ストリーミングの数字もかなり優秀で、女性のアルバムでは史上3番目に高い数字を記録。またこのアルバムを「ポップス」と捉えたとすればポップスのアルバムの中では歴代で2番目に高い数字です。

 

1 Ariana Grande – thank u, next (3.07億再生)

2 Cardi B – Invasion of Privacy (2.03億)

3 Billie Eilish – WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? (1.94億)

4 Nicki Minaj – Queen (1.28億)

5 Ariana Grande – Sweetener (1.26億)

 

 そのアルバムからは収録曲14のうち12曲がHot 100に登場。逆にHot 100に入らなかったのはアルバム最後の”goodbye”とアルバム最初に配置された長さ0:13の”!!!!!!!”でした。

 ストリーミングの時代ではいくつかのアルバムが大量登場してきましたが、そのアーティストたちの中でもBillie Eilishは「ラジオシングル」がかなり少なかったです。

 Billie Eilishは現在に至るまでの「ラジオシングル」*1は3曲です。“you should see me in a crown”と”bury a friend”がオルタナティブ系で、”when the party’s over”がポップ系でかかっています。

 

 アルバム曲をチャートに大量登場させた(=10曲以上がHot 100入り)アーティストの中で、「ラジオシングル」が少なかったアーティスト

Billie Eilish:3曲

Lil Uzi Vert:4曲(自身の曲では2曲)

Logic:4曲*2

 

↑この中でもBillie Eilishは目立ったヒットシングルが無かったので、特に「ラジオのサポートを受けずにストリーミングでの人気が拡大した」という印象が強いです。

(関連:10以上の曲をHot 100に送り込んだアルバムの記録 【+J. Cole が新記録!?】 - チャート・マニア・ラボ

 

 「ビルボードスタッフによるチャート議論」シリーズの今週のテーマはBillie Eilishについてでした。質問項目は……

① 初週の売上について何を思うか?

② Billie Eilishが「ポップスター」と言い表されることについてどう思うか?

③ 10代を魅了するBillie Eilishを、年上のあなたたちはどう考える?

④ シングルヒットはまだ少ない彼女ですが、10年後も残るこのアルバムの代表曲は?

⑤ ネクスト・Billie Eilishは誰?

 

 ほかビルボードは「18歳未満でアルバム1位を獲得したソロアーティスト」というまとめを作成しています。(Billie Eilishは11人目)

 

▽3 Ariana Grande – 7 rings

 Ariana Grandeの”7 rings”が1位→3位と下降。ストリーミングが少しずつ落ちてきたことが理由でしょうか。

 しかしラジオでは好調をキープしていて、今週ラジオで1位に。意外にもAriana Grandeにとっては初のことで、今までの最高位は“Problem”でのラジオ2位でした。

 Ariana Grandeは以前からポップ系のラジオでは高い人気がありましたが、ゆったりとした曲を好むアダルトポップ系統で伸びないことや、競合が強かったことなどによりラジオ全体での再生数の1位にはなれませんでした。

 今回のシングルもポップ系で人気(1位)、そしてアダルトポップ系ではそこそこという以前からの傾向が見られますが、複数ジャンルにまたがるラジオの大ヒットが無い=つまり競合が強くないことから1位を取ることができました。

 

△1 Lil Nas X – Old Town Road

 Lil Nas Xの“Old Town Road”が1位に浮上!初のHot 100エントリーで1位まで到達しました。 

 ジャンル分け騒動が起きてから注目度が上がり、結果Hot 100で首位まで獲得しました。このことで歪な形ですが、ビルボードが現在も大きな影響力を持っているということが証明されました。

 私はチャートの機能の一つに「ヒット曲の“広報”となり、さらなるヒットに寄与する」というものがあると思っているのですが、皮肉な形でその機能が観察されました。

 

 Billy Ray Cyrusのリミックスがチャートに大きく反映されるのは来週からで、Hot 100首位を奪うのは来週だと考えていたので今週に1位になったのは少し意外でした。来週はもっと圧倒的な成績で首位をキープするでしょう。オリジナルもリミックスも両方人気、という点で“Despacito”を彷彿とさせる部分があります。その”Despacito”のようにHot 100の首位を長きに渡って支配する可能性も?

 ちなみにこの曲はLilのつくラッパーの中では5人目のHot 100首位です。

Lil Kim - Lady Marmalade

Lil Jon - Yeah!

Lil Wayne - Lollipop、Down、I'm the One

Lil Uzi Vert - Bad and Boujee

Lil Nas X - Old Town Road

 

 Apple Music、YouTubeで1位。そしてSpotifyで2位というストリーミングの絶好調に加えてDLも今週3位とかなり高いことが首位取りの要因。ほかラジオでも一定の再生数を得ています。

 先週までかかっていたラジオ系統はポップとリズミックでしたが、Billy Ray Cyrusリミックスの影響でついにカントリー系ラジオでもかかり始めたようです。この流れで行けば、来週のHot Country Songsでは復活しそうです。*3

 ビルボードはこの騒動に関する記事を作成。この問題の焦点は「ラジオとストリーミングにおけるジャンルの考え方の違い」としています。ほかHot Country Songsから除かれた理由も説明されています。(トラップのビート、カントリー系ラジオの不足、レーベル、プレイリストなど。ただリミックスの動き次第では変化があることを示唆している)

 記事内ではFlorida Georgia Lineなどの意見も掲載され、彼らは「それがカントリーかどうかに拘ると、良いものを逃してしまう」という意見を述べています。

 

 

 この曲に関してもう一つの注目ポイントは「曲が短い」ということです。オリジナル版の長さは1:53で、これは今世紀の1位シングルの中では最も再生時間が短いそうです。

 歴代で最も短いHot 100首位曲は1:38のMaurice Williams & the Zodiacs'による“Stay”でした。Hot 100エントリー全ての中で最も短かったのは皆さんご存知”PPAP”です。

 実はその“PPAP”、今週「歴代で最短のHot 100エントリー」という称号を奪われる可能性がありました。

 その称号を奪う可能性があったのはBillie Eilishのアルバムに収録されていた”!!!!!!!”という曲です。この曲はわずか0:13だったのですが、人気アルバムの一部に組み込まれているということもあり0:13の「Interlude」のような曲でもかなりの再生数を記録していました。Apple Musicのランキングでは少なくともアルバム内で最も人気が無かった最終トラック”goodbye”よりは高い再生数を記録していました。

 ただ、Spotifyが1再生を「30秒再生された」という基準で判定していることから、Spotifyでの再生が0になってしまい結局はHot 100に入らず。

 この曲以外のアルバム曲で最も人気がなかったのはアルバム最後の”goodbye”でこの曲は今週104位相当だったので、もし仮にSpotifyの再生数がカウントされていれば余裕でHot 100に入り、“PPAP”の最短記録を更新していたと思います。

 

ちなみに”!!!!!!!”はカナダではランキング入りを果たしています。(79位)

 

×× DJ Snake feat. Selena Gomez, Ozuna & Cardi B – Taki Taki

 Billie Eilishのアルバム曲が多く登場した影響で、いくつかの曲がチャート外へ押し出されました。(アルバム大量登場は意外とチャートをリフレッシュする機能がある)

  DJ Snakeが豪華ゲストを迎えた“Taki Taki”が今週チャートから外れました。ピーク11位で滞在は26週でした。

 このゲストでUS11位は若干物足りない成績にも思えますが、世界的に見ると抜群の成績を残しました。

 YouTubeでは10億再生に到達するまでの日数が歴代で6番目に早く(115日)、現在は12億再生まで到達。Spotifyでも4週にわたり世界1位になっています。

 この曲に参加しているOzunaはYouTubeでの10億再生超え曲数が最も多いです。(DJ Snake、Selena Gomez、Cardi Bは他に1曲ずつ10億再生超えの曲がある)

 

YouTubeで10億再生超えの曲が多いアーティスト

 
1 7 Ozuna Criminal, Te Bote, El Farsante, Ahora Dice, Escápate Conmigo, Se Preparó, Taki Taki
2 6 Justin Bieber Sorry, Baby, What Do You Mean, Love Yourself, I'm the One, Where Are Ü Now
3 5 J Balvin Mi Gente, Ay Vamos, X, Ahora Dice, 6AM
3 5 Bruno Mars Uptown Funk, The Lazy Song, That's What I Like, Just the Way You Are, 24K Magic
3 5 Nicky Jam Te Bote, X, Hasta el Amanecer, El Perdón, El Amante
3 5 Maluma Chantaje, Vente Pa' Ca, Felices los 4, Corazón, El Perdedor
3 5 Sia Chandelier, Cheap Thrills, Dusk Till Dawn, Titanium, Elastic Heart

 

 ちなみにこの曲はリリース時に問題のある歌詞が日本の一部で話題になり、最終的に歌詞が訂正されましたが、世界的にはあまり注目されずヒットに影響が出るようなことはありませんでした。

  

×× Juice WRLD – Lucid Dreams

 Juice WRLDの“Lucid Dreams”がチャートから外れました。ピーク2位、チャート滞在46週という大ロングヒットでした。

 ヒットの要因の多くはストリーミングにありますが、ある程度ラジオでもヒット。ポップ系などでもかかりラジオでは最高6位まで到達しました。

 この曲でブレイクしたJuice WRLDはシングルだけでなくアルバムも大きな注目を受け、この“Lucid Dreams”以外の曲もいくつかHot 100入り。アルバムチャートでも上位に長く留まり、週間のピークは4位ながらもストリーミングでの長い人気によってアルバムチャートの年間18位に入りました。

 

 思い返せば去年の今頃はJuice WRLDも「ストリーミングから突如表れた異質なラップをするアーティスト」で、現在のLil Nas Xのような立場だった気がします。彼は今年、2週にわたってアルバム1位を獲得するほどのビッグスターに成長。Lil Nas XもJuice WRLDと同じ道を辿り、アルバムでも大成功を収めるスターになるのでしょうか?

 

 この曲のポップパンク版がなかなかナイスでした。Paramore好きに刺さるアレンジです。

 

×× Cardi B, Bad Bunny & J Balvin – I Like It

 Cardi B、Bad Bunny、J Balvinによる“I Like It”がチャートから外れました。ピークは1位、チャート滞在は51週と特大ロングヒットでした。

 1位に滞在した週数は“Bodak Yellow”の3週よりも短い1週でしたが、チャートに滞在した週数は”I Like It”の方が長く、「キャリア最大級のヒット」にあたるのはこちらだと思います。

 ポップやラテンのリスナーまで人気が波及したことは大きく、Cardi B自身の曲のうちSpotifyYouTubeでの再生数が最も高いのはこの曲です。

 彼女のアルバム“Invasion of Privacy”は今週アルバムチャートで1周年を迎えています。1年が経過してもなお27位と高めの順位をキープしています。

 

 この曲で印象に残っているのはJ Balvinの“Pa-Pa-Paparazzi like I'm Lady Gaga ”というヴァース。Lady Gaga、しかも"Paparazzi"を選ぶとは意外なチョイスだな~と最初に聞いた時は感じたのですが、その約半年後にLady Gagaは“Shallow”が大ヒット。見事に復活を遂げたのです。

 この「ヒット曲の歌詞に出てきたアーティストの再浮上」というパターンは昨年もう一つ見られました。Post Maloneの“Better Now”では”With my brothers like it's Jonas, Jonas”という歌詞が登場するのですが、その曲からおよそ1年後にJonas Brothersは"Sucker"でキャリア最大のヒットを記録しました。

 ちなみにJonas Brothersは新曲“Cool”の歌詞にPost Maloneを登場させるという「恩返し」をしています。

 今後ヒット曲に意外なアーティストの名前が登場した時は、再ブレイクの兆し?かもしれないので、そのアーティストの新曲などの動向に注目してみると面白いかもしれません。

 

 

今週チャートから外れた曲 (18曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Carrie Underwood – Cry Pretty (🗻83位 /⏰10週)

99 Juice WRLD – Empty (🗻41位 /⏰3週)

98 Bebe Rexha – Last Hurrah (🗻98位 /⏰1週)

94 Kodak Black – Calling My Spirit (🗻46位 /⏰17週)

93 Anuel AA & Karol G – Secreto (🗻68位 /⏰8週)

92 Cody Johnson – On My Way To You (🗻91位 /⏰7週)

91 Chris Brown – Undecided (🗻35位 /⏰12週)

89 NAV feat. Meek Mill – Tap (🗻89位 /⏰1週)

86 Juice WRLD – Hear Me Calling (🗻38位 /⏰4週)

82 Lil Skies – I (🗻39位 /⏰4週)

80 Rich The Kid – Splashin (🗻80位 /⏰5週)

79 Jordan Davis – Take It From Me (🗻46位 /⏰13週)

78 Logic – Confessions Of A Dangerous Mind (🗻78位 /⏰1週)

72 NAV feat. The Weeknd – Price On My Head (🗻72位 /⏰1週)

65 Jake Owen – Down To The Honkytonk (🗻65位 /⏰13週)

48 DJ Snake feat. Selena Gomez, Ozuna & Cardi B – Taki Taki (🗻11位 /26週)

47 Juice WRLD – Lucid Dreams (🗻2位 /46週)

45 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin – I Like It (🗻1位 /51週)

 

 

・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品

1 Billie Eilish – WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? 🎫

2 Nipsey Hussle – Victory Lap (再)

4 George Strait – Honky Tonk Time Machine

14 I Prevail – Trauma

18 Ben Platt – Sing To Me Instead

28 Yelawolf – Trunk Muzik 3

52 The Maine – You Are OK

63 Nipsey Hussle – Crenshaw

65 Jake Owen – Greetings From… Jake Owen

107 Steve Earle And The Dukes – Guy

109 Nipsey Hussle – Slauson Boy 2

142 O.A.R. – The Mighty

143 Whitechapel – The Valley

168 Marvin Gaye – You’re The Man

169 Devin Townsend – Empath

179 Nipsey Hussle – The Marathon

192 Nipsey Hussle – Mailbox Money

 

長期滞在に関する記録

1周年:Cardi B – Invasion Of Privacy (今週27位)

1週年:Bazzi – Cosmic (今週67位)

 

その他

 

・今週ラジオで伸びた曲

☆Jonas Brothers – Sucker

・Cardi B & Bruno Mars – Please Me

・Marshmello & CHVRCHES – Here With Me

・Lil Nas X – Old Town Road

・Ava Max – Sweet but Psycho

 

・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲

 

・Khalid & John Mayer – Outta My Head

 来週アルバム単位で注目を集めそうなのはKhalid。ストリーミングの人気により複数局がHot 100に登場見込み。新曲の中で一番人気が高いのはJohn Mayerとの“Outta My Head”と思われます。

 John Mayerは今週来日公演やっていましたね。

 

・BLACKPINK – Kill This Love

 グループが初めてHot 100に入った“DDU-DU DDU-DU”の時よりもYouTubeやDL等の数字が向上。Hot 100順位もその時よりも高くなるか?

 

・G-Eazy & Blueface feat. ALLBLACK & YG – West Coast

 ビデオ公開でHot 100に接近中。G-EazyとBluefaceのシングルに二人がリミックスで加わったバージョンです。

 

 

ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)

 

 

(@Chartdata氏と@Alexanderao氏によるHot 100解説)

 

*1:ビルボードのラジオ系チャートに登場した曲のことを指す

*2:現行のシステムに合わせて50位以上の曲を集計しています

*3:Country Airplayチャートで50位以内まで順位を伸ばせるとより確実性が増しそうです。なぜ50位以内に入る必要があるのか? →“Meant To Be”がHot Country Songsに入ったのもAirplayで50位以上に入ったタイミングでした。これは他のジャンルのラジオチャートで表示されるのは50位以上のため?