こんばんは!Mariah Careyで盛り上がる今週の裏テーマは「イチローとピカチュウ」です。
◇今週のHot 100 ハイライト◇
・”All I Want for Christmas Is You”が1位に!Mariah Careyにとって11年ぶりのHot 100首位(累計19曲目)
・Juice WRLDへの追悼で関連曲が7つHot 100入り。“Lucid Dreams”は8位
・Roddy Ricchがアルバム1位。5曲がHot 100入り
・先週1位の“Heartless”は17位へ。1位からの下落幅は歴代で最大
・“Dance Monkey”がトップ10入り
・Harry Stylesの“Adore You”が35位に登場
・今週のトップ10
△1◎ Mariah Carey – All I Want for Christmas Is You
―2 Post Malone – Circles
△3◎ Brenda Lee – Rockin’ Around the Christmas Tree
―4 Lewis Capaldi – Someone You Loved
△5◎ Lizzo – Good As Hell
△6◎ Arizona Zervas – Roxanne ✅
▽7◎ Maroon 5 – Memories
◇8◎ Juice WRLD – Lucid Dreams
△9◎ Tones And I – Dance Monkey
△10◎ Burl Ives – A Holly Jolly Christmas
🍎=Apple Musicで1位、✅=Spotifyで1位、🚩=YouTubeで1位
🍎=”The Box” (47位) 🚩=”BOP” (11位)
◎ は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す
1~100位までの順位表は↓
曲の個別解説
☆100 Russ & BIA – BEST ON EARTH
“BEST ON EARTH”が100位に登場。Russは3回目、女性ラッパーのBIAは初のHot 100入り。彼女は以前J Balvinの”Safari”の客演でBubbling Underまで到達したこともありました。
主にアーバンやリズミック系のラジオで人気。Apple Musicでもトップ100圏内に入っています。
この曲は歌詞でイチローが登場します。 (” Or maybe to Japan so I can hit her like I'm Ichiro”)
☆97 Fat Joe & Dre feat. Eminem & Mary J. Blige – Lord Above
Fat JoeがプロデューサーのDreとタッグを組みアルバムをリリース。その中の注目曲、“Lord Above”が97位に登場しました。DreはDr. Dreのことではなく、Cool & Dreというユニットでも活動している別のプロデューサーです。
この曲はDLとストリーミングで一定の人気を得てHot 100入り。ビデオは無いですが、YouTubeでの人気が一番高かったです。(55位) AppleやSpotifyでは圏外。
☆85 XXXTENTACION feat. PnB Rock & Trippie Redd – Bad Vibes Forever
XXXTENTACION「最後のアルバム」と称された”Bad Vibes Forever”がアルバムチャート5位に登場。その表題曲がHot 100の85位に登場しました。Apple、Spotify、YouTubeでまんべんなく人気(どれも50位前後)
アルバムの総合売上6.5万のうち純セールスは1.6万で、ストリーミングから多くのポイントを得ています。
☆82 Camila Cabello feat. DaBaby – My Oh My
Camila Cabelloの新アルバムは3位。総合売上は8.6万。チケットやグッズ戦略を用いて純セールスは5.4万、ストリーミングが3.0万、残りシングルDLです。
これらはいずれもアルバム1位を獲得した前作の数字を下回っています。(前作:総合11.9万、純セールス6.5万、ストリーミング3.8万 仮に新作もこれと同じ数字だったら今週アルバム1位です)
新作は前作よりも曲数が多く、さらにストリーミングのルール変更が途中にあった*1 ため、前作よりも有利な条件が揃っていましたが、ストリーミングの枚数で下回りました。
アルバム全体で見ると再生数は奮いませんでしたが、シングル単位ではそれほど悪くなかったです。SpotifyとAppleで人気を集めた“My Oh My”はHot 100に登場。82位。その後も順調に数字を伸ばしているため、来週以降の飛躍に期待が持てます。客演のチョイスが正解でしたね。DaBabyは今年22曲目のHot 100エントリー。
☆59 Taylor Swift – Christmas Tree Farm
Taylor Swiftのクリスマス曲が59位に登場。今週DL2位を記録。ストリーミングもある程度記録しています。Appleで200位圏内、Spotifyで100位、YouTubeで53位。
リリース1年目はクリスマス曲でも普通の曲として扱われ、51位以下でもランクインすることができます。今週登場したクリスマス曲はこれのみ。先週48位に登場した“Here Comes~”が今週外れたため、クリスマス曲の総数は先週と変わらず。
☆47 Roddy Ricch – The Box
Roddy Ricchが初のアルバム1位を獲得!総合売上10.1万、うちストリーミングから9.8万を記録しています。このストリーミングでの強さによって、チケット戦略などを活用し、セールス中心のThe Who(2位:8.9万売上)とCamila Cabelloを上回りました。
収録曲は5つがHot 100に登場。”The Box”の47位が最高位。以下”Start Wit Me”が58位、“Peta”72位、”Tip Toe”73位、”Big Stepper”98位と続きます。
あとアルバムには入っていませんが、Roddy Ricchが客演を務めるMustardの”Ballin’”も18位と上位に入っています。
Meek Millとの“Peta”ではピカチュウという単語が登場します。(Meek Millのヴァース) これで3年連続、歌詞にピカチュウが入る曲がHot 100入りを成し遂げました。
2017年:Lil Yachty feat. Migos – Peek A Boo (Takeoffのヴァース)
2018年:Lil Baby & Drake – Yes Indeed (Lil Babyのヴァース)
:Lil Skies – Lust
2019年:Roddy Ricch feat. Meek Mill – Peta (Meek Millのヴァース)
“Yes Indeed”と”Peta”は用法も似ていて、どちらも黄色い車をピカチュウになぞらえています。
このアルバムはApple MusicとSpotifyでかなり人気の差が。前者ではリリース直後に1位~7位を独占していましたが、後者の週間チャートでは200位圏内に4曲しかチャート入りしていません。
ただし、“The Box”に限っては次の週の最初から総合ヒットプレイリストToday’s Top Hitsに入ったことで次週からSpotifyでも大きな上昇を見せています。
△36 Trevor Daniel – Falling
TikTokでブレイクし、SpotifyやApple Musicなどの媒体でも人気が出た“Falling”がトップ40まで到達。クリスマス曲などの影響で上位争いが激しいこのタイミングで順位を伸ばしているのは、調子の良さを感じます。
基本的にはストリーミングで人気の曲ですが、次第にラジオでもオンエアが開始しています。来週にはポップ系ラジオのチャートに入るかも
☆35 Harry Styles – Adore You
アルバムに先駆けてリリースされたHarry Stylesの“Adore You”が35位と好調なスタート。Spotifyでは5位と高順位。Appleでは30位程度。DLも6位と一定の数字を記録しています。これらに加え、ラジオでかなりオンエアされていたため、1週目から高順位に登場しました。
その彼の新作は来週のアルバムチャートでの1位獲得が決定的。チケット戦略なども活用し圧倒的な数字(総合40万超え)を記録する見込み。ストリーミングも優秀な成績を収めているため、Hot 100でも多くの曲が登場しそうです。(Spotifyでの人気がすごい)
▽17 The Weeknd – Heartless
先週1位だった“Heartless”が17位まで下降。1位からの下落幅が歴代最大、という不名誉な記録を打ち立ててしまいました。それまでは1位→15位の下げ幅が最大でした。(1974年に2回あった)
なぜこんなに順位が落ちたのか?の理由として有力なのは「バンドル的な戦略をシングルチャートに持ち込んだから」です。先週5.8万だったセールスは今週0.6万まで落ちています。ストリーミングも同様に数字を落としていますが、セールスほどの落ち幅ではないです。(一方、ラジオはかなり数字を伸ばした)
先週のセールスにはオフィシャルサイトで販売されたCDやヴァイナルが含まれていると報告されていました。このCDやヴァイナルの割合が高く、その分の数字が落ちた今週は一気にセールスが落ちてポイントも大きく減少した、ということだと思われます。
Kworbは先週のiTunes分のセールスは1.4万と試算しています。これから逆算すると、先週のセールスは多くCDやヴァイナルから来ているということが伺えます。現代CDやヴァイナルを購入する動機はグッズ購入と似ているものがあると思うので、アルバムチャートでのグッズバンドル消費のような動きを見せたのだと考えられます。
歴代最大の下げ幅はこの先週の「戦略的な動き」の反動として現れたものなのでしょう。ちなみにCDやヴァイナルのセールス分(5.8万 – 1.4万 = 4.4万程度*2)が先週無かったとしたらHot 100順位は5位程度だと思われます。
△9 Tones And I – Dance Monkey
今年各地で旋風を巻き起こしている“Dance Monkey”がUSでもトップ10入り!クリスマス曲などで競争は激しい中でのトップ10入りは見事です。
この曲は3つの指標全てで好調。ラジオで20位、DLで3位にランクイン。ストリーミングでも悪くない成績で、SpotifyとYouTubeではトップ20、Appleでも40位程度には入っています。
この調子を今後も保つことができれば、クリスマス曲が去る年明け以降に1位も狙えるかもしれません。既にイギリスやドイツなど複数カ国で1位を獲得しているこの曲ですが、そのリストにアメリカを加えることはできるでしょうか。
◇8 Juice WRLD – Lucid Dreams
先週の月曜日頃のJuice WRLDの訃報を受け、関連曲のストリーミングやDLが増加。7つの関連曲がHot 100に入りました。
8 Lucid Dremas (再)
12 Bandit (+28)
29 Legends (再)
49 Robbery (再)
60 Hate Me (+29)
78 6 Kiss (+2)
87 Empty (再)
一番のヒット曲“Lucid Dreams”はAppleで2位、Spotifyで3位、YouTubeで2位と各媒体で多く再生されました。DLでも14位にランクインしています。
“Legends”はこの中で唯一以前のピークを更新しました。もともとはXXXTENTACIONとLil Peepに捧げた曲で、2人の亡くなった年齢を受けて ”What's the 27 Club? We ain't making it past 21” という歌詞がありました。*3 その歌詞が自らにも当てはまるという悲劇が起き、彼の死を悼むリスナーによって多く再生されました。
またアルバムチャートでは、彼の作品2つがいずれもトップ10に復帰しています。Futureとのコラボ作は75位に再登場。
△1 Mariah Carey – All I Want for Christmas Is You
“All I Want for Christmas Is You”がクリスマス前に1位に到達!!Mariah Careyにとって11年ぶり、19曲目、そして累計80週目のHot 100首位です。(19曲はThe Beatlesに次ぐ歴代2位、80週は歴代1位)
これで1990年代→2000年代→2010年代と3つのディケイドで連続しての1位獲得に成功。Usher、Britney Spears、Christina Aguilera*4、に次ぐ快挙です。(あとグループ時代を考慮するとBeyoncéも)
クリスマスのピーク週の「チャートの日付」が2020年の1/4になっている都合上、順当にいけばこの週も1位を獲得するので、彼女は4ディケイド連続での1位獲得にも成功します。4ディケイドで1位を獲得した人は今までいないようです。
この歴史的な1位浮上は他にも様々な記録を生み出しました。
・最初の首位獲得~直近の首位獲得までが最長(29年) それまでは27年のCher
・首位に到達するまでのHot 100滞在週数が最も長い(35週) それまでは“Macarena”の33週
この曲はストリーミングでの好調が続くだけでなく、25周年記念のCDなどでセールスも伸ばしました。(今週セールス1位)
ちなみにこの曲に関しての情報が多かったため、トップ10記事とは別に個別記事が作成されています。
・今週のクリスマス曲順位を昨年の同週と比較*5
※赤文字はその週に登場 / 50位以上の曲のみ
上位の順位は今年のほうが高いですが、それ以外は昨年と同程度です。今週1曲減少したため、昨年の曲数と並びました。昨年は次の週に+6曲、その次の週に+4曲かつ1曲減少と推移しました。
×× Khalid – Talk
Khalidの“Talk”がHot 100から外れました。ピーク3位、滞在43週でした。ラジオでの活躍もあり、ロングヒットになりました。ポップ系、リズミック系、アーバン系で1位を獲得するなど幅広いジャンルのラジオでかかっていました。ポップ系とアーバン系はリスナー層が少し離れているので、この2系統を両方とも抑えたのは特筆に値しますね。(年に1回あるか無いかぐらいの頻度)
これに加え、ラジオで人気の曲が苦手なこともある(ポップスなど)ストリーミングでも好成績だったため、年間8位に入る大ヒットになりました。
クリスマス曲やJuice WRLDの影響で今週多くの曲がチャートから外れました。目立つものを紹介します。
・Kanye West – Follow God
特に10年代のカニエの作品は、アルバムという単位を重んじるようなものが多い印象で、そのことからシングルチャートでは目立った実績は少なめという印象です。しかし「彼」に対する人気は強いため、高い順位でデビューした後に短い期間でチャートを外れるというアクションが多いです。この曲はピーク7位、滞在6週です。
・Billie Eilish – all the good girls go to hell
ラジオのポイントでHot 100再登場を果たしたものの、次シングルがリリースされたためシングル運用が終了。ストリーミング時代では、アルバムから間を置いてのシングルカットは何か新要素(リミックスなど)が無いとアルバムリリース時の順位を下回ることが多いです。(ラジオでかかっても、アルバム時の再生数に遠く及ばない傾向が強いため)
・NF – Time
ポップ系とリズミック系ラジオで人気を得ていた曲。ピーク41位、滞在20週。他の先行シングルなどは彼の高速ラップを生かす、まくし立てるような曲が目立ちましたが、このシングルは穏やかな曲で、最初からラジオヒットを狙ったものなのでしょうか。
・Sam Smith – How Do You Sleep?
ピーク24位、滞在20週。ストリーミングでも人気を得てトップ40圏内で登場した後、徐々にラジオへポイントが移行。そしてラジオの減少とともに下降……という流れです。“Dancing With A Stranger”より規模が劣るものの、ストリーミングもラジオも一定の人気を確保し続けているのは優秀だと思います。
・Lil Baby & DaBaby – Baby
ピーク21位、滞在20週。ストリーミングで人気を確保し、次第にラジオでもオンエア。現在もまだラジオが伸びていますが(来週アーバン系で1位になるかも)、特例は適用されずに外されました。もしかしたらクリスマス後に再登場するかも。
・Ed Sheeran & Justin Bieber – I Don’t Care
ピーク2位で滞在30週。上位にいた期間も長いので、大ヒットに間違いはないのですが、1位&滞在50週超えのモンスターヒットを前作では2曲も生み出しているので、それと比べるとかなり見劣りしますね。ストリーミングの数字が若干物足りなかったでしょうか。
他にも多くの曲がチャートから外れる危機に陥っていますが、ポップ系の曲は年末にラジオで再浮上を果たすので、来週もチャートに残ることができればその恩恵を受けることで持ちこたえられる可能性が上がります。(この恩恵が発生するのは再来週のチャート)
今週チャートから外れた曲 (15曲)
【先週の順位、アーティスト名、曲名、🗻ピーク順位、⏰チャート滞在週数】
100 J Balvin & Bad Bunny – LA CANCIÓN (🗻84位 /⏰8週)
99 Panic! At the Disco – Into the Unknown (🗻98位 /⏰2週)
97 Tory Lanez & T-Pain – Jerry Sprunger (🗻44位 /⏰4週)
96 YoungBoy Never Broke Again – Make No Sence (🗻57位 /⏰8週)
95 Karol G & Nicki Minaj – Tusa (🗻78位 /⏰3週)
93 Lil Tjay – F.N (🗻56位 /⏰14週)
91 Kanye West – Follow God (🗻7位 /⏰6週)
82 Trippie Redd – Who Needs Love (🗻58位 /⏰2週)
79 Billie Eilish – all the good girls go to hell (🗻46位 /⏰7週)
58 NF – Time (🗻41位 /⏰20週)
54 Sam Smith – How Do You Sleep? (🗻24位 /⏰20週)
51 Lil Baby & DaBaby – Baby (🗻21位 /⏰20週)
50 Ed Sheeran & Justin Bieber – I Don’t Care (🗻2位 /⏰30週)
49 Khalid – Talk (🗻3位 /⏰43週)
48 Gene Autry – Here Comes Santa Claus (Right Down Santa Claus Lane) (🗻28位 /⏰4週)
・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品
1 Roddy Ricch – Please Excuse Me For Being Antisocial
2 The Who – WHO 🎫
3 Camila Cabello – Romance 🎫👕
5 XXXTENTACION – Bad Vibes Forever
25 French Montana – MONTANA
58 Bobby Helms – The Best Of Bobby Helms
65 The Chainsmokers – World War Joy
81 Fat Joe & Dre – Family Ties
111 Liam Payne – LP1
173 Chuck Berry – Berry Christmas (EP)
・今週ラジオで伸びた曲
☆The Weeknd – Heartless
・Arizona Zervas – Roxanne
・Selena Gomez – Lose You to Love Me
・Tones And I – Dance Monkey
・Dan + Shay & Justin Bieber – 10,000 Hours
・Hot 100圏外の曲のうち各サービスで最も人気のあった曲
🍎 Roddy Ricch feat. Mustard – High Fashion (今週9位程度)
✅ Juice WRLD – Lean Wit Me (今週34位)
🚩 YoungBoy Never Broke Again – Bring ‘Em Out (今週7位)
※Apple Musicは週の最終日の順位を週間の“参考順位”としています(Apple Musicには週間チャートが無い)
関連 / 参考記事
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)
・各指標の順位
・Spotify:https://spotifycharts.com/regional/us/weekly/2019-12-06--2019-12-13
・Apple Music:【魚拓】Top 100: USA on Apple Music
・YouTube:https://charts.youtube.com/charts/TopSongs/us/20191206-20191212
・ラジオなど:https://kworb.net/