一つのアルバムからHot 100へ大量エントリーする現象の考察です
(写真は全曲をHot 100に送り込んだアルバムの一部です)
みなさんはシングルチャートのHot 100を見ていてこういう思いをすることはありませんか?
「今週、やたらと○○の曲が多くない…?」
それは、アルバムがリリースされた週に起こることが多いです。アルバムがリリースされるということはつまり、曲が多くリリースされるということなのでそのぶんエントリーも多くなるというわけです。
ただ、星の数ほどあるアルバムの中で、Hot 100への大量エントリーをできるアルバムも限られています。知名度(質)、そして時代が大切になります。
知名度(質)は言わずもがなだとは思います。知名度、もしくは質が高ければアルバムとして売れる。その結果アルバムのなかのシングル化されていない曲でもある程度注目を浴びることができる。アルバムの調子と曲の売れ行きはある程度比例するという、当たり前といえば当たり前のことです。
しかし、時代とは何を言っているのか分からない方が多いと思います。ここでは時代とは、曲の売り方の時代を指しています。
みなさんは現在音楽を何で聞いているでしょうか。ストリーミングサービス、YouTube、ダウンロードしたもの、レンタルCDをインポート(ルックアップ)したもの、などいろいろ考えられると思います。
そこで考えてみてください。それはいつから存在しますか?ものによってはここ数年で登場したものもあるかと思います。
その、聞き方こそHot 100へのエントリーを左右しているのです。もっと踏み込んで言えば、音楽の入手方法によって非シングルまで手が届くかを左右しているのです。
なんだか小難しい話になっている気がしますが、先程の「時代」で説明すると分かりやすくなると思います。
・(シングル)CD時代
CD化されるのはシングルのみ。いわゆる「アルバム曲」はアルバムで聞くか、ラジオ等で出会うほかない(ラジオではシングル中心でかかるのでその可能性は低い、またシングルCD化していない曲をHot 100には入れない、というルールもかつて存在したようにアルバム曲の価値は低く思われていたことが伺える)
・ダウンロード時代
CDとは違って、シングル化されていないアルバム曲も単体で購入可能、さらには在庫切れを起こさないため、長持ち。ただしフルでは聴く機会がシングルよりは少なく、そのフルで聞くことの出来ないものにお金を多少は払う必要があるので、まだシングルとの壁が存在する。
とはいってもそのシングルとの壁を取っ払って10曲以上アルバムにエントリーした例が二つある。
※表の見方
・線より下はHot 100にその週入っていない曲。
・()内の数字は、その週はHot 100に入っていないものの、別の週に入っている曲で、数字はピークを指します。
・101位以下の順位はHot 100に入らなかった曲を扱うチャート、Bubbling Underの順位を参考にしています。
・「シングル」はシングル化されたかどうか。※は別アルバムでシングル化されているということ。
✫ 2010/11/13 Taylor Swift / Speak Now
位 | 曲名 | シングル |
17 | Sparks Fly | ○ |
21 | Mine | ○ |
27 | Innocent | |
41 | The Story Of Us | ○ |
54 | Dear John | |
56 | Better Than Revenge | |
63 | Haunted | |
71 | Last Kiss | |
75 | Enchanted | |
84 | Never Grow Up | |
85 | Long Live |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
(6) | Back to December | ○ |
(8) | Speak Now | ○ |
(11) | Mean | ○ |
✫ 2011/9/17 Lil Wayne / The Carter Ⅳ
14 | How To Love | ○ |
16 | Mirror / ft. Bruno Mars | ○ |
33 | Blunt Blowin | |
40 | She Will / ft. Drake | ○ |
52 | Megaman | |
79 | It's Good / ft. Drake & Jadakiss | ○ |
84 | How To Hate / ft. T-Pain | |
90 | Nightmares Of The Bottom | |
94 | President Carter | |
95 | So Special / ft. John Legend |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
(9) | 6 Foot 7 Foot / ft. Cory Gunz | ○ |
(22) | John / ft. Rick Ross | ○ |
103 | Outro / ft. Bun B, Nas, Shyne & Busta Rhymes | |
109 | Two Shots | |
111 | I Like the View | |
117 | Intro | |
124 | Interlude / ft. Tech N9ne |
この時代はシングルをガッツリ売り出してから → アルバムリリースという流れがしっかりしていますね。
・ストリーミング時代
ストリーミングをしている人にとっては、どちらも同じ手段で聴くことが出来るので、シングルとの区別が無い。露出度には差があるが。
このようにして、シングル以外の曲に手が届きやすくなってきているのです。その結果、1つのアルバムから大量の曲がHot 100にエントリーすることが増えてきたのです。
説明が長くなりましたが、今回の記事ではストリーミング時代(2013-)の、そのような1つのアルバムから大量エントリー、具体的には10曲以上がHot 100に入ったアルバムたちを紹介しようと思います。
ちなみにストリーミング時代が2013-なのは、ビルボードがStreaming Songsというチャートを作成したのが2013年だからです。実は2012年からストリーミングの集計自体はしているのですが…!
事例1 2013/10/12 Drake / Nothing Was The Same
位 | 曲名 | シングル |
4 | Hold On, We're Going Home ft. Majid Jordan |
○ |
20 | All Me ft. 2 Chainz & Big Sean |
○ |
51 | The Language | ○ |
56 | Furthest Thing | |
61 | Wu-Tang Forever | |
64 | Too Much | ○ |
65 | Pound Cake / Paris Morton Music2 ft. Jay-Z |
○ |
67 | From Time | |
78 | Own It | |
81 | Tuscan Leather | |
87 | Come Thru | |
89 | Worst Behavior | ○ |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
(6) | Started from the Bottom | ○ |
102 | Connect | |
111 | 305 to My City ft. Detail |
まず先陣を切ったのはDrake。その前のアルバム、Take Careでも7曲をエントリーするなど、彼は前からなかなかのやり手でした。ヒップホップ好きのシングルを好む傾向(Hot 100での傾向)が追い風になったと思います。ダウンロードとストリーミングで同じくらいのポイントを稼いでいます。
事例2 2015/3/7 Drake / If You're Reading This, It's Too Late(アルバムリリースはその前の週)
位 | 曲名 | シングル |
26 | Energy | ○ |
52 | Legend | |
58 | 10 Bands | |
70 | Know Yourself | |
81 | No Tellin' | |
82 | Preach ft. PARTYNEXTDOOR |
○ |
83 | 6 God | |
84 | Used To ft. Lil Wayne |
|
95 | Now & Forever | |
97 | 6 Man |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
102 | Jungle | |
103 | Star67 | |
104 | Madonna | |
106 | Company ft. Travis Scott |
|
109 | Wednesday Night Interlude ft. PARTYNEXTDOOR |
|
112 | 6PM in New York | |
116 | You & the 6 |
※ほか2曲はBubbling Underに入らず (=126位以下に相当)
まさかの2連続Drake。このアルバムはミックステープ扱いを受けており、シングルもアルバムも特段プロモーションは無かったですが、それでもアルバム1位、かつ曲もHot 100へ多くエントリーと結果を残していますね。この時客演も含めて14曲をDrakeはHot 100にエントリーしていて、その当時のThe Beatlesの同時最多エントリー記録に並んでいました。
事例3 2015/9/19 The Weeknd / Beauty Behind The Madness
2 | Can't Feel My Face | ○ |
3 | The Hills | ○ |
37 | Earned It | ※ |
47 | Prisoner ft. Lana Del Rey |
|
54 | Tell Your Friends | |
60 | Acquainted | ○ |
62 | Real Life | |
79 | Shameless | |
85 | Losers ft. Labrinth |
|
93 | Dark Times ft. Ed Sheeran |
|
100 | In The Night | ○ |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
(59) | Often | ○ |
102 | Angel | |
106 | As You Are |
2014年終盤に頭角を現したThe Weeknd。Can't Feel My Face, The Hillsと複数の1位を獲得し一気にStarboyに!このアルバム以前は自身の曲は1曲しかHot 100に入っていなかったので、一気に世間に浸透した、ということになります。
事例4 2015/10/17 Drake & Future / What a Time to Be Alive (アルバムリリースは前の週)
位 | 曲名 | シングル |
21 | Jumpman | ○ |
52 | Big Rings | |
53 | Diamonds Dancing | |
62 | Digital Dash | |
69 | Scholarships | |
74 | Live From The Gutter | |
76 | I'm The Plug | |
78 | Plastic Bag | |
82 | Change Locations | |
87 | Jersey | |
92 | 30 For 30 Freestyle |
※全曲エントリー
帰ってきたDrake。DrakeもThe Weekndもカナダ人だったため、Futureはアメリカ人では初の事例に。これもIf You're~同様ミックステープ扱いですがバッチリ結果を出しましたね。Futureの知名度向上にもかなり効果があったと思います。ストリーミングの比率が高いようです。全曲エントリーははじめてですね
事例5 2015/12/5 Justin Bieber / Purpose
位 | 曲名 | シングル |
2 | Sorry | ○ |
4 | Love Yourself | ○ |
5 | What Do You Mean | ○ |
19 | I' ll Show You | |
31 | The Feeling ft. Halsey |
|
34 | Where Are Ü Now with Skrillexx & Diplo |
※ |
42 | Mark My Words | |
43 | Purpose | |
49 | No Pressure ft. Big Sean |
|
53 | Company | ○ |
54 | No Sense ft. Travis Scott |
|
67 | Life Is Worth Living | |
74 | Children | |
81 | Been You | |
88 | We Are ft. Nas |
|
90 | Get Used To Me | |
98 | Trust |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
- | All In It |
これまではヒップホップ、R&Bのジャンルのみがこの事例に当てはまっていたが、ポップアルバムでは初の事例となったのがJustin BieberのPurpose。Taylor Swiftの1989ですら6曲エントリーだったので、ポップでこの事例を達成したというのは際立つ。
ストリーミングが主なポイント源ですが、ポップ系アーティストの強みであるラジオ、ダウンロードもある程度稼いでおり、それらが組み合わさっての無双です。
ボーナストラックのAll In It以外アルバム曲が全てHot 100に入るという充実っぷり。当時の同時最多エントリー記録を更新していました。(17曲)
事例6 2016/5/14 Beyoncé / Lemonade
位 | 曲名 | シングル |
10 | Formation | ○ |
11 | Sorry | ○ |
13 | Hold Up | ○ |
18 | 6 Inch ft. The Weeknd |
|
28 | Don't Hurt Yourself ft. Jack White |
|
35 | Freedom ft. Kendrick Lamar |
○ |
37 | Pray You Catch Me | |
38 | All Night | ○ |
41 | Daddy Lessons | ○ |
43 | Sandcastles | |
47 | Love Drought | |
63 | Forward ft. James Blake |
※全曲エントリー
実は初のアメリカ人単独でのこの事例。2013年以降のカナダ人優秀すぎますね!?このアルバムでの特筆すべき点は、ストリーミング手段が限られていたこと。Jay-ZのTidalのみでの配信(今も)なので、Tidalユーザー以外は買うしか聞く手段が無かったのです。ですがこのアルバムがTidalユーザー増加に寄与したとの情報もあり、ストリーミングでも十分ポイントを稼いでいますに。(全ての曲がストリーミング・ソング50位以上)
事例7 2016/5/21 Drake / Views
位 | 曲名 | シングル |
1 | One Dance ft. Wizkid & Kyla |
○ |
21 | Pop Style ft. The Throne |
○ |
33 | Hype | |
34 | Controlla | ○ |
38 | Grammys ft. Future |
|
40 | Still Here | |
44 | U With Me? | |
45 | 9 | |
47 | With You ft. PARTYNEXTDOOR |
|
49 | Childs Play | |
52 | Too Good ft. Rihanna |
○ |
53 | Feel No Ways | |
54 | Weston Road Flows | |
61 | Redemption | |
68 | Keep The Family Close | |
72 | Faithful ft. Pimp C & dvsn |
|
75 | Fire & Desire | |
86 | Viees |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
(2) | Hotline Bling | ○ |
なんと4アルバム目のDrake。既にチャートから落ちたHotline Blingを除いてアルバムから18曲がHot 100へ。さらにはアルバムに入らなかったSummer Sixteen、客演のWorkも合わせてこの週のHot 100にはDrakeの曲が20曲も!!!
同時エントリー記録を更新し、今も最多記録となっています。(当時)
シングルのOne Dance, Controlla, Too GoodはすべてビデオがYouTube等に公開されず、ストリーミング以外では音源が聴けませんでした。しかし、ラジオとストリーミングでのポイントをしっかりと稼いで(ダウンロードは低め)、新たなヒットの形を示したかもしれません。
事例8 2016/12/17 The Weeknd / Starboy
位 | 曲名 | シングル |
2 | Starboy ft. Daft Punk |
○ |
16 | Party Monster | ○ |
22 | I Feel It Coming ft. Daft Punk |
○ |
27 | Sidewalks ft. Kendrick Lamar |
|
31 | Reminder | |
34 | Six Feet Under | |
43 | Die For You | |
44 | Rockin | |
46 | All I Know ft. Future |
|
47 | Secrets | |
48 | True Colors | |
61 | Stargirl Interlude ft. Lana Del Rey |
|
67 | Attention | |
68 | Nothing Without You | |
69 | A Lonely Night | |
72 | Ordinary Life |
※全曲エントリー
The Weekndも複数アルバムでこの偉業を達成。シングルStarboyの1位達成が長らく期待されていますが果たして…?(後に達成)DrakeもThe Weekndも、リリースペースが早いのに連続でこの事例を達成できるのは驚きです。
事例9 2016/12/31 J.Cole / 4 Your Eyez Only
位 | 曲名 | シングル |
7 | Déjà Vu | |
11 | Immortal | |
13 | Neighbors | |
21 | Change | |
22 | She's Mine Pt.1 | |
23 | For Whom The Bell Tolls | |
24 | Ville Mentality | |
29 | 4 Your Eyez Only | |
30 | Foldin Clothes | |
34 | She's Mine Pt.2 |
※全曲エントリー
これは本当に驚きました。J.Coleは過去の最高記録がWork Outでの13位で、トップ10デビューなどここまでHot 100を席巻するとは思いもしませんでした。しかもシングル化された曲もなく、プロモーションもそこまで無いように思いました。
さらに特筆すべき点は、全体的な順位の高さ。Hot 100圏外の曲を101位と仮定し、アルバム曲のHot 100での順位を平均すると、事例のなかで一番高いです。
これはつまり、アルバム曲のHot 100での平均順位が歴代で最も高いアルバム、といえるのではないでしょうか。
ストリーミング以前に非シングル曲にスポットが当たるとも考えづらいですので、おそらくこれよりも平均順位が高いアルバムは無いと思います。
(あったら申し訳ないです)
※The Beatlesが過去にHot 100のトップ5を占拠したこともありましたが、彼らはリリースペースが早く、それぞれ違うアルバムからのシングルだったようです。
事例10 2017/3/26 Ed Sheeran / ÷
位 | 曲名 | シングル |
1 | Shape of You | ○ |
37 | Perfect | ○ |
39 | Castle on the Hill | ○ |
49 | Dive | |
53 | Galway Girl | |
59 | Happier | |
72 | New Man | |
75 | Supermarket Flowers | |
83 | What Do I Know? | |
84 | How Would You Feel (Paean) | |
90 | Eraser | |
93 | Hearts Don't Break Around Here | |
96 | Barcelona |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
101 | Nancy Mulligan | |
103 | Bibia Be Ye Ye | |
105 | Save Myself |
イギリス人では初の事例。ポップスではJustin Bieberに次ぐ2例目。ボートラ以外は全部Hot 100に。母国イギリスのシングルチャートではトップ10に9曲がEd Sheeranの曲になるなど、前代未聞の無双ぶりを見せました。
事例11 2017/4/8 Drake / More Life
位 | 曲名 | シングル |
8 | Passionfruit | ○ |
9 | Portland ft. Travis Scott & Quavo |
|
15 | Fake Love | ○ |
18 | Free Smoke | |
29 | Gyalchester | |
35 | Teenage Forever | |
36 | Sacrifices ft. 2 Chainz & Young Thug |
|
38 | Blem | |
40 | No Long Talk ft. Giggs |
|
45 | Get It Together ft. Jorja Smith & Black Coffee |
|
48 | KMT ft. Giggs |
|
49 | Jorja Interlude | |
50 | 4422 ft. Sampha |
|
51 | Madiba Riddim | |
54 | Glow ft. Kanye West |
|
60 | Do Not Disturb | |
61 | Nothing Into Somethings | |
62 | Ice Melts ft. Young Thug |
|
64 | Lose You | |
70 | Since Way Back ft. PARTYNEXTDOOR |
|
76 | Skepta Interlude | |
82 | Can't Have Everything |
※全曲エントリー
Viewsの時に成し遂げた同一アーティストによるHot 100最多エントリー記録を更新。客演の2曲と合わせて計24曲。Drakeはこの事例を達成するのがなんとこれで5例目。ストリーミング時代の寵児。Viewsの時と同様、ダウンロードは少なめです。(一番ダウンロードの多いPortlandでもダウンロード数は20位)
事例12 2017/5/6 Kendrick Lamar / DAMN.
位 | 曲名 | シングル |
1 | HUMBLE. | ○ |
4 | DNA. | ○ |
14 | LOYALTY ft. Rihanna |
○ |
16 | ELEMENT. | |
18 | LOVE ft. Zacari |
○ |
32 | YAH. | |
33 | XXX. | |
35 | FEEL. | |
37 | PRIDE. | |
42 | LUST. | |
50 | FEAR. | |
54 | BLOOD. | |
58 | GOD. | |
63 | DUCKWORTH. |
※全曲エントリー
もはや見慣れた光景にもなってきたアルバムの全曲Hot 100入り。セールスがDrakeのMore Lifeに勝ったことが話題となりましたが、平均順位でも圧勝していてDAMN.が平均32.6位、More Lifeが平均45.5位です。DAMN.のシングル平均32.6位はLemonade、4 Your Eyez Onlyに次ぐ3番目の高さです。
事例13 2017/9/16 Lil Uzi Vert / Luv Is Rage 2
位 | 曲名 | シングル |
16 | XO TOUR Llif3 | ○ |
39 | The Way Life Goes | ○ |
49 | Sauce It Up | |
60 | 444 + 222 | |
79 | Neon Guts ft. Pharrell Williams |
|
80 | Two | |
81 | X | |
82 | For Real | |
84 | UnFazed ft. The Weeknd |
|
90 | No Sleep Leak | |
92 | Dark Queen |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
102 | Pretty Mami | |
108 | Feelings Mutual | |
111 | How To Talk | |
115 | Early 20 Rager | |
124 | Malfunction |
今年4つめの事例。デビューアルバムで10曲以上をHot 100に送り込む事例はこれが初です。それまでのミックステープやXO TOUR Llif3のヒットなどで元から高かった期待感がここで開花したということでしょうか。
事例14 2018/2/10 Migos / Culture Ⅱ
位 | 曲名 | シングル |
8 | MotorSport / Cardi B & Nicki Minaj | ○ |
12 | Stiry Fry | ○ |
18 | Walk It Talk It / ft. Drake | |
36 | Narcos | |
48 | BBO (Bad Bitches Only) / ft. 21 Savage | |
52 | Notice Me / ft. Post Malone | |
53 | Supastars | |
64 | White Sand / ft. Travis Scott, Ty Dolla $ign & Big Sean | |
73 | Gang Gang | |
83 | Higher We Go | |
85 | Auto Pilot | |
87 | Emoji A Chain | |
96 | CC / ft. Gucci Mane |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
101 | Too Much Jewery | |
109 | Too Playa / ft. 2 Chainz | |
112 | Beast | |
113 | Crown the Kings | |
118 | Open It Up | |
120 | Flooded |
※ほか5曲はBubbling Underに入らず (=126位以下に相当)
2018初の事例。2017年もアルバムから7曲がHot 100にエントリーしていたMigosがパワーアップして2018年に再びアルバムをリリース。アルバムの約半数にあたる13曲がHot 100にエントリーしました。客演のI Get the Bagと合わせて計14曲がHot 100にこの週エントリーしており、グループとしてはビートルズと並んで最多のHot 100エントリーを記録しています。
アルバムの曲数が多く、人気が割れる故なのか割合で考えると2017年のアルバムよりも下がっています。
事例15 2018/3/24 Logic / Bobby Tarantino Ⅱ
位 | 曲名 | シングル |
29 | Everyday / Marshmello | ○ |
46 | 44 More | ○ |
56 | Indica Badu / ft. Wiz Khalifa | |
60 | Contra | |
68 | Overnight | |
74 | Midnight | |
83 | Wassup / ft Big Sean | |
87 | Yuck | |
97 | BoomTrap Protocol | |
98 | Warm It Up / ft. Young Sinatra |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
103 | Wizard Of Oz | |
104 | State of Emergency / ft. 2 Chainz | |
122 | Grandpa's Space Ship |
「ミックステープ」という扱いながらも、10曲エントリーを達成。「スタジオアルバム」以外でこの記録を成し遂げたのは他にDrakeくらい。最高位は"Everyday"の29位と高くはないですが、順位が極端に低い曲も少ないので、特定の曲に人気が集中したというよりは、ミックステープが全体的に人気だったということが推測できます。
事例16 2018/4/21 Cardi B / Invasion of Privacy
位 | 曲名 | シングル |
8 | I Like It /Bad Bunny & J Balvin | |
11 | Be Careful | ○ |
21 | Drip /ft. Migos | ○ |
23 | I Do /ft. SZA | |
28 | Ring /ft. Kehlani | |
32 | Bartier Cardi /ft. 21 Savage | ○ |
38 | Get Up 10 | |
39 | Best Life /ft. Chance the Rapper | |
43 | Bickenhead | |
50 | Thru Your Phone | |
57 | She Bad /YG | |
58 | Money Bag |
(該当日にHot 100に入らなかった曲)
(1) | Bodak Yellow |
Cardi Bのアルバムが全曲Hot 100にエントリー!(”Bodak Yellow"は既にチャートから外れていたため、アルバムリリース日のHot 100には入らず)
順位も全体的に高め。ストリーミングの数字に加え、ダウンロードもそれなりに良かったことが理由だと思います。
Bruno Marsの”Finesse"と合わせてこの週はCardi Bの曲が計13曲Hot 100にエントリー。これはBeyoncéが”Lemonade"の時に達成した12曲を上回り、女性としては最多の曲数をHot 100に送り込んだアーティストとなりました。
※このアルバムについては個別で書いた記事もあります
事例17 2018/5/5 J. Cole / KOD
位 | 曲名 | シングル |
6 | ATM | |
8 | Kevin's Heart | |
10 | KOD | |
14 | Photograph | |
15 | Motiv8 | |
20 | 1985 (Intro to the Fall Off) | |
28 | The Cut Off /ft. KiLL edward | |
30 | Brackets | |
41 | Window Pain (Outro) | |
46 | Friends / ft. KiLL edward | |
47 | Once An Addict (Interlude) | |
53 | Intro |
J. Coleが再びこの記録を!この記録を複数回成し遂げたのはDrake、The Weekndに次いで3人目。つまりアメリカ人としては初。Interludeなどがある影響からか、前回のように全曲トップ40入りとは行きませんでしたが、全体的な順位は高いです!
また同一アーティストが同時に3曲をいきなりHot 100のトップ10に登場させるのは史上初とのこと。ストリーミングにおける人気アーティストの「アルバム」への注目度の高さを物語るデータだと思います。(今までは同時2曲が最多だった。DrakeとEd Sheeranが達成。)
事例18 2018/5/12 Post Malone / Beerbongs & Bentleys
位 | 曲名 | シングル |
2 | Psycho /ft. Ty Dolla $ign | ○ |
7 | Better Now | |
8 | rockstar /ft. 21 Savage | ○ |
11 | Paranoid | |
14 | Rich & Sad | |
15 | Spoil My Night /ft. Swae Lee | |
16 | Ball For Me /ft. Nicki Minaj | |
17 | Stay | |
20 | Same Bitches /ft. G-Eazy & YG | |
23 | Zack And Codeine | |
24 | Over Now | |
29 | Takin' Shots | |
34 | Candy Paint | |
40 | 92 Explorer | |
46 | Otherside | |
47 | Blame It On Me | |
57 | Sugar Wraith | |
73 | Jonestown (Interlude) |
Post Maloneが史上最多のストリーミング(約4億3100万:1週間)を達成し、アルバム全曲がHot 100エントリーに。史上18人目の「トリプルトップ10」の達成者になっただけではなく、史上最多のトップ20・トップ40を送り込みました。
前アルバム”Stoney"がロングヒットとなり、ジリジリと高まった期待感がrockstarで大爆発。そして存在感を高めて、アルバムで大成功という流れだと思います。
彼のように、アルバムや曲がストリーミング内でロングヒットになっているアーティストは、新曲や新アルバムリリースで、その期待感が爆発するかもしれません!例えばTravis ScottやChildish Gambinoあたりですかね!(後者は既に”This Is America"が大ヒットですが)
事例19 2018/7/14 Drake / Scorpion
位 | 曲名 | シングル |
1 | Nice For What | ○ |
2 | Nonstop | |
4 | God's Plan | ○ |
6 | In My Feelings | ○ |
7 | I'm Upset | |
8 | Emotionless | |
9 | Don't Matter To Me /ft. Michael Jackson | ○ |
13 | Mob Ties | |
14 | Elevate | |
17 | Survival | |
18 | Can't Take A Joke | |
20 | Talk Up /ft. Jay-Z | |
21 | 8 Out Of 10 | |
27 | Sandra's Rose | |
28 | Summer Games | |
30 | Blue Tint | |
32 | Jaded | |
36 | Is There More | |
37 | That' How you Feel | |
38 | Peak | |
41 | After Dark /ft. Static Major & Ty Dolla $ign | |
42 | Finesse | |
51 | Ratchet Happy Birthday | |
56 | Final Fantasy | |
57 | March 14 |
ストリーミングの帝王・Drakeが莫大な再生数を記録。この週トップ10に7曲も同時にエントリーし、The Beatlesが50年以上キープしていた記録=「トップ10に同時に5曲」を塗り替えました。
アルバム全曲がHot 100に登場するのは予想通りですが、ストリーミング「だけ」でここまで高い順位を記録した、ということはやはり時代の変化というものを感じます。
ちなみにこの週から「無料会員」によるストリーミングは2/3で換算される (つまり少しストリーミングが減算されると考えられる) というルール変更が適用されています。
(このアルバムについて個別記事を作りました)
事例20 2018/8/18 Travis Scott / Astroworld
位 | 曲名 | シングル |
4 | Sicko Mode (ft. Drake & Swae Lee) | ○ |
8 | Stargazing | |
24 | Carousel (ft. Frank Ocean) | |
25 | Yosemite (ft. Gunna & NAV) | |
26 | R.I.P. Screw (ft. Swae Lee) | |
27 | Stop Trying To Be God (ft. Philip Bailey, Kid Cudi, James Blake & Stevie Wonder) | |
30 | Wake Up (ft. The Weeknd) | |
31 | No Bystanders (ft. Sheck Was & Juice WRLD) | |
36 | 5% Tint | |
38 | Can't Say (ft. Don Toliver) | |
41 | NC-17 (ft. 21 Savage) | |
43 | Who? What! (ft. Quavo & Takeoff) | |
47 | Skeletons (ft. The Weeknd & Pharrell) | |
48 | Astrothunder | |
50 | Butterfly Effect | ○ |
53 | Houstonfornication | |
68 | Coffee Bean |
Post Maloneの項目で述べたTravis Scottが満を持してアルバムリリース!期待以上の大ヒットとなりました。様々な戦略を実行(チケット付きCD、グッズ展開……)などをした効果もあり、実セールスも高い数字を記録!Drakeに次いで2018年2番目に高い数字を記録しました!
事例21 2018/9/15 Eminem / Kamikaze
位 | 曲名 | シングル |
6 | Lucky You /ft. Joyner Lucas | |
8 | The Ringer | |
12 | Fall | |
16 | Kamikaze | |
23 | Greatest | |
24 | Not Alike /ft. Royce Da 5'9 | |
39 | Normal | |
42 | Stepping Stone | |
49 | Venom | |
65 | Nice Guy / Jessie Reyez | |
67 | Good Guy /ft. Jessie Reyez |
サプライズでリリースされた”Kamikaze"は、昨年末にリリースの”Revival"を上回るインパクトを残しました。Skit2曲を除く全ての曲がHot 100入りを果たしました。ゲストの豪華さは”Revival"には及びませんが、Eminemらしい強いラップが味わえることがヒットの要因でしょうか? ちなみに気になるのはSkitの扱い。Skit2曲は”Guy"シリーズの2曲よりも高いストリーミングを記録していたのですが、なぜかチャートには入りませんでした。これはSkitは除外というルールがビルボードにある、ということなのでしょうか??
事例22 2018/10/13 Lil Wayne / The Carter V
位 | 曲名 | シングル |
2 | Mona Lisa /ft. Kendrick Lamar | |
5 | Don't Cry /ft. XXXTENTACION | |
7 | Uproar /ft. Sweizz Beatz | ○ |
10 | Let It Fly /ft. Travis Scott | |
14 | Dedicate | |
17 | Can't Be Broken | |
24 | What About Me /ft. Sosamann | |
26 | Dark Side of the Moon /ft. Nicki Minaj | |
36 | Famous /ft. Reginae Carter | |
39 | Dope N****z feat. Snoop Dogg | |
47 | Open Letter | |
57 | Problems | |
59 | Hittas | |
62 | Open Safe | |
65 | Took His Time | |
74 | Mess | |
75 | Let It All Work Out | |
76 | Start This S**t Off Right /ft. Ashanti & Mack Maine | |
78 | Used 2 | |
81 | Demon | |
86 | Perfect Strangers | |
90 | Dope New Gospel feat. Nivea | |
- | I Love You Dwayne |
長らくリリースがお預けとなっていた”The Carter V"。その待望のリリースとだけあって、ストリーミングで大人気に。特に初週は人気を集めて、トップ10に4曲を送り込むなどシングルチャートでも圧倒的な成績を記録しています。ボイスメッセージのみの”I Love You Dwayne"が唯一の圏外。36位のReginae CarterはLil Wayneの娘。
事例23 2018/12/15 Meek Mill / Championships
位 | 曲名 | シングル |
6 | Going Bad /ft. Drake | ○ |
20 | What's Free /ft. Jay-Z & Rick Ross | |
30 | On Me /ft. Cardi B | |
31 | Dangerous /ft. Jeremih & PnB Rock | ○ |
39 | Uptown Vibes /ft. Fabolous & Anuel AA | |
54 | 24/7 /ft. Ella Mai | |
55 | Intro | |
57 | Respect The Game | |
61 | Trauma | |
70 | Championships | |
72 | Tic Tac Toe /ft. Kodak Black | |
73 | Almost Slipped | |
77 | Splash Warning /ft. Future, Roddy Ricch & Young Thug | |
78 | Pay You Back /ft. 21 Savage | |
85 | Oodles O' Noodles Babies |
(Bubbling Under)
101 | 100 Summers | |
102 | Cold Hearted ⅱ | |
110 | Wit The Shits (W.T.S.) /ft. Jeremih & PnB Rock | |
113 | Stuck In My Ways |
出所後初のアルバム、そしてDrakeとの和解……などさまざまなトピックで注目されたMeek Millのアルバム。今まで以上にストリーミングで人気を誇り15曲がHot 100入り。残りの4曲もBubbling Under(101-125位相当)にはランクイン。このアルバムは特にApple Musicで人気でした。
事例24 Ariana Grande - thank u, next (2019-02-23)
位 | 曲名 | シングル |
1 | 7 rings | ○ |
2 | break up with your girlfriend, i'm bored | ○ |
3 | thank u, next | ○ |
14 | needy | |
17 | NASA | |
21 | imagine | |
22 | bloodline | |
25 | ghostin | |
26 | fake smile | |
27 | bad idea | |
38 | in my head | |
48 | make up |
2019年初めて10曲以上をHot 100に送り込んだアルバム。そして久々のポップアルバム。過去にJustin Bieber、Ed Sheeranがこの記録を達成したことがありますが、女性ポップシンガーがこの記録を達成するのは初です。
Justin Bieber、Ed Sheeranはいずれもボーナストラックで一部Hot 100に入っていない曲もありましたが、Ariana Grandeは全曲がかなり高順位で登場しています!
ほかこの週Ariana Grandeはこの週Hot 100のトップ3を独占するという、The Beatles以来歴代2回目の偉業を達成しています。
これはリスナーの変化を読み取りリリースペースを早めたことと、ポップシンガーが従来から得意とするラジオでの有利が融合したことによる記録達成でもあると私は考えています。(そしてもちろんAriana Grandeへの注目度が高かったことも大きいです)
・事例25 Billie Eilish - WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? (2019-04-13)
位 | 曲名 | シングル |
7 | bad guy | |
25 | bury a friend | ○ |
29 | when the party's over | ○ |
31 | wish you were gay | |
35 | xanny | |
41 | you should see me in a crown | ○ |
43 | my strange addiction | |
46 | all the good girls go to hell | |
53 | i love you | |
62 | ilomilo | |
63 | listen before i go | |
79 | 8 |
(Hot 100に入らなかった曲)
104 | goodbye | |
- | !!! |
Ariana Grandeに引き続き、今まではあまり見られなかったパターンです。非ラッパーの女性アーティスト、Billie Eilishのアルバム曲がHot 100に大量登場。さらに彼女が他のアーティストと違うのは、「シングルヒットが*1あまり無い」という点です。
今後はストリーミングで圧倒的な成績を記録するアルバムの多様化が進んでいくでしょうか?
・事例26 Young Thug - So Much Fun (2019-08-31)
位 | 曲名 | シングル |
21 | The London /w J. Cole & Travis Scott | ○ |
26 | Hot /ft. Gunna | |
32 | Bad Bad Bad / ft. Lil Baby | |
55 | What's the Move /ft. Lil Uzi Vert | |
60 | Just How It Is | |
61 | Surf /ft. Gunna | |
70 | Sup Mate /ft. Future | |
82 | Light It Up | |
84 | Lil Baby | |
92 | Ecstasy |
(Hot 100に入らなかった曲)
109 | Mannequin Challenge /ft. Juice WRLD |
121 | I'm Scared /ft. 21 Savage & Doe Boy |
- | I Bought Her /ft. Lil Duke |
- | Jumped Out the Window |
- | Cartier Gucci Scarf /ft. Lil Duke |
- | Big Tipper /ft. Lil Keed |
- | Pussy |
- | Circle of Bosses /ft. Quavo |
- | Boy Back /ft. NAV |
久々の10曲以上のHot 100入り。昨年までは目立っていた男性ラッパーによる記録。今年では久しぶり。このアルバムで珍しいのは既存シングルの”The London"を除いては、アルバム前半の曲がHot 100入りしている、つまり曲順がそのままHot 100順位に反映されているということです。
・事例27 Taylor Swift - Lover (2019-09-07)
位 | 曲名 | シングル |
4 | You Need To Calm Down | ○ |
10 | Lover | |
11 | ME! /ft. Brendon Urie | ○ |
23 | The Man | |
28 | I Forgot That You Existed | |
29 | Cruel Summer | |
38 | The Archer | |
45 | Paper Rings | |
49 | Miss Americana & The Heartbreak Prince | |
51 | I Think He Knows | |
57 | Cornelia Street | |
62 | London Boy | |
63 | Soon You'll Get Better /ft. Dixie Chicks | |
67 | Death By A Thousand Cuts | |
75 | Afterglow | |
77 | False God | |
89 | Daylight | |
92 | It's Nice To Have A Friend |
Young Thugに続いて2週連続での達成。こちらは全曲がHot 100入りを果たしました。ストリーミングの数字だけ見ると、全曲Hot 100入りに少し届かなさそうな水準でしたが、DLでそれを補いました。
Taylor Swiftはこれまでストリーミングでアルバムのリリースをズラしており、どこまで数字を得られるのかが未知数でしたが、ストリーミングでも力を発揮できることを証明しました。
・事例28 Post Malone - Hollywood's Bleeding (2019-09-21)
位 | 曲名 | シングル |
3 | Goodbyes /ft. Young Thug | ○ |
4 | Circles | ○ |
8 |
Take What You Want /ft. Ozzy Osbourne & Travis Scott |
|
10 | Sunflower /w Swae Lee | ○ |
15 | Hollywood's Bleeding | |
16 | Enemies /ft. DaBaby | |
17 | Wow. | ○ |
18 | Saint-Tropez | |
20 | Die For Me /ft. Future & Halsey | |
22 | On The Road /ft. Meek Mill & Lil Baby | |
29 | A Thousand Bad Times | |
33 | I'm Gonna Be | |
34 | Staring At the Sun /ft. SZA | |
37 | Allergic | |
52 | Myself | |
53 | I Know | |
58 | Internet |
昨年のアルバムに引き続き全曲Hot 100入り。一番低い曲でも58位とかなり余裕を持っての全曲入りです。2週目以降も収録曲のHot 100残留数が 14曲 → 11曲 → 10曲と推移しており、安定感もあります。
もう一つ特徴的だったのが、シングル運用法。リリース時のシングルは主に"Circles"と"Goodbyes"でしたが、その後「用途別」にシングルカット。"Enemies"はリズミック & アーバンのラップ系ラジオへ。"Take What You Want"はハードロック系ラジオ、"Allergic"はオルタナティブ系へ、と曲ごとに系統を分けて複数ラジオ運用をしています。
ストリーミングで莫大な人気を得るアルバムは、仮に非シングルであってもその他の曲を凌駕するような再生数を得ることがあります。しかしシングル運用をできるのは数曲なので、ヒットのポテンシャルがあってもシングルにならないケースも多いです。その点を複数系統に流すことで解決しようとする試みは面白いですね。
・事例29 DaBaby - Kirk (2019-10-12)
位 | 曲名 | シングル |
13 | INTRO | |
19 | BOP | |
21 | VIBEZ | |
28 | TOES /ft. Lil Baby & Moneybagg Yo | |
43 | iPHONE /w Nicki Minaj | |
47 | Off The Rip | |
49 | Pop Star /ft. Kevin Gates | |
51 | Raw Shit /ft. Migos | |
55 |
GOSPEL /ft. Chance the Rapper, Gucci Mane & YK Osiris |
|
63 | REALLY /ft. Stunna 4 Vegas | |
69 | XXL | |
73 | Prolly Heard | |
89 | There He Go |
年の前半にブレイクしたDaBabyの、今年2回目の「スタジオアルバム」が大人気。全曲がHot 100入りを果たしました。Apple Musicで熱烈な支持を受けています。Ariana Grandeのように、機を逃さない矢継ぎ早のアルバムリリースが功を奏しました。
・事例30 Kanye West - Jesus Is King (2019-11-09)
7 | Follow God | |
17 | Closed On Sunday | |
19 | Selah | |
23 | On God | |
33 |
Everything We Need /ft. Ty Dolla $ign & Ant Clemons |
|
36 | God Is | |
37 | Use This Gospel /ft. Clipse & Kenny G | |
45 | Every Hour /ft. Sunday Service Choir | |
51 | Water /ft. Ant Clemons | |
60 | Hands On /ft. Fred Hammond | |
63 | Jesus Is Lord |
昨年の作品に引き続き、アルバム全曲が登場。(※昨年のアルバムは7曲構成だったのでこのリストには載っていません) 「人物」としての注目度が高い彼は、アルバムリリース時の注目度も常に高いですね。ただシングル向きの曲はいつも少ないので、あまりチャートに長くは残りませんが……
・事例31 Eminem - Music To Be Murdered By (2020-02-01)
位 | 曲名 | シングル |
3 | Godzilla /ft. Juice WRLD | |
28 | Darkness | |
31 | Those Kinda Nights /ft. Ed Sheeran | |
36 | Unaccommodating /ft. Young M.A | |
52 |
You Gon' Learn /ft. Royce da 5'9" & White Gold |
|
61 | Leaving Heaven /ft. Skylar Grey | |
67 | Premonition (Intro) | |
71 | In Too Deep | |
83 | Marsh | |
84 | No Regrets /ft. Don Toliver | |
89 | Lock It Up /ft. Anderson .Paak | |
93 | Stepdad |
(Hot 100に入らなかった曲)
101 | Never Love Again | |
102 | Farewell | |
103 | Yah Yah | |
105 | Little Engine | |
115 | I Will | |
116 | Alfred (Interlude) | |
- | Alfred (Outro) |
2018年の"Kamikaze"と同様に、サプライズリリースながらもストリーミングで爆発的な人気を得て、Hot 100もジャック。"Darkness"はビデオを作ったものの、ラジオでかけられるシングルは未だに決まっていません。
・事例32 Mac Miller - Circles (2020-02-01)
位 | 曲名 | シングル |
18 | Good News | |
38 | Blue World | |
48 | Circles | |
63 | Complicated | |
64 | Hand Me Downs | |
68 | I Can See | |
75 | Woods | |
80 | Everybody | |
91 | Surf | |
100 | That's On Me |
(Hot 100に入らなかった曲)
104 | Once a Day | |
108 | Hands |
彼が亡くなってからリリースされた作品。Apple・Spotifyの両方で高い人気に。上のEminemとリリース週が被ったこともあり、このリストの中で、初めてアルバム1位を獲得できなかった作品に。(さらにアルバム2位はHalseyで、このアルバムは3位)
関連:Hot 100・Billboard 200まとめ 2月号 【アルバム激戦区・不動のシングル上位など】 - チャート・マニア・ラボ
・事例33 Lil Baby - My Turn (2020-03-14)
位 | 曲名 | シングル |
15 | Woah | ○ |
18 | Heatin Up /w Gunna | |
23 | Commercial /ft. Lil Uzi Vert | |
26 | Sum 2 Prove | ○ |
28 | Live Off My Closet /ft. Future | |
31 | Emotionally Scarred | |
48 | Grace /w 42 Dugg | |
54 | Get Ugly | |
58 | No Sucker /w Moneybagg Yo | |
59 | How | |
64 | Forever /ft. Lil Wayne | |
78 | Same Thing | |
91 | We Should /w Young Thug | |
99 | Can't Explain |
(Hot 100に入らなかった曲)
102 | Catch The Sun | |
103 | Consistent | |
111 | Forget That /w Rylo Rodriguez | |
113 | Gang Sings | |
114 | Solid | |
115 | Hurtin |
以前から人気を集めていたLil Babyが2020年の"My Turn"で初のアルバム1位を獲得!Apple Musicを中心としたストリーミングで絶大な人気を得ています。
14曲がHot 100に登場し、残りの6曲もBubbling Under圏内に登場しています。シングルの"Woah"や名相方Gunnaとの"Heatin Up"など、6曲はトップ40圏内に入っています。
事例34 Bad Bunny - YHLQMDLG (2020-03-14)
位 | 曲名 | シングル |
32 | Si Veo A Tu Mamá | |
33 | La Difícil | |
36 | Vete | ○ |
49 | Ignorantes /w Sech | |
53 | La Santa /w Daddy Yankee | |
63 | Pero Ya No | |
69 | Yo Perreo Sola | |
81 |
Safaera /w Jowell & Randy & Ñengo Flow |
|
89 | Bichiyal /w Yaviah | |
94 | Solia | |
97 | Está Cabrón Ser Yo /w Anuel AA |
(Hot 100に入らなかった曲)
104 | Que Malo /w Nengo Flow | |
107 | La Zola | |
108 | 25/8 | |
110 | A Tu Merced | |
112 | Una Vez /w Mora | |
118 | P FKN R /w Kendo Kaponi & Arcangel | |
124 | <3 | |
- | Puesto Pa' Guerrial /ft. Myke Towers | |
- |
Hablamos Mañana /ft. Duki & Pablo Chill-E |
Bad Bunnyのアルバムが11曲をHot 100に送り込みました!英語以外の言語のアルバムで11曲をもHot 100に送り込むのは史上初です!上記のLil Babyと被り、アルバム1位を獲得できませんでしたが、歴史的な快挙を成し遂げたと言ってよいでしょう。総合売上の17.9万という数字もスペイン語のアルバムとしては史上最大です。
ちなみにこのアルバムは土曜日リリースで、6日分の再生数しか集計されませんでした。仮に金曜日リリースで、ストリーミング分の売上を7/6として計算するとLil Babyを上回ります。
・Lil Baby:総合売上19.7万
・Bad Bunny:総合売上17.9万、うちストリーミング14.2万(これを7/6にすると、約2.3万分増加し、総合売上でLil Babyを上回る)
このアルバムはApple、Spotify、YouTube全てで人気がありました。特に躍進が際立ったのはSpotifyで、USのランキングでもLil Babyを大きく上回りました。さらに、グローバル単位では、1日の再生数が今年最も多いアルバムになりました。
ラテン・アーバンの主役から、メインストリーム全体の主役へ……そんな期待が大いに膨らむ素晴らしい成績を残したと思います。
・事例35 Lil Uzi Vert - Eternal Atake (2020-03-21)
位 | 曲名 | シングル |
6 | Baby Pluto | |
8 | Lo Mein | |
9 | Silly Watch | |
11 | P2 | |
20 | That Way | |
22 | Homecoming | |
25 | Prices | |
28 | POP | |
33 | Bigger Than Life | |
34 | Celebration Station | |
36 | You Better Move | |
37 | I'm Sorry | |
39 | Venetia | |
45 | Chrome Heart Tags | |
48 | Futsal Shuffle 2020 | |
51 | Bust Me | |
72 | Secure The Bag | |
76 | Urgency /ft. Syd |
リリースが長いこと保留になっていた"Eternal Atake"がついにリリース!その期待感が一気に爆発する形で、ストリーミングで大人気に。全曲がHot 100入り!歴代で4番目の4億再生を記録しました。3曲がトップ10に、13曲がトップ40圏内に入るなど圧巻の成績です。
客演ほぼ無しでここまで人気を得ており、さらに唯一ゲストを迎えた曲が一番順位が低いという点は興味深いです。
この作品は次の週に「デラックス版」として11曲が追加されたので、そちらもどこまでの成績を収めるかに注目です。
※ちなみにラジオでのオンエアはほとんどされず、シングルの欄に一つも○が付きませんでした
・事例36 Lil Uzi Vert - Luv vs. The World 2 (2020-03-28)
位 | 曲名 | シングル |
13 | Myron | |
19 | Bean (Kobe) /ft. Chief Keef | |
26 | Yessirskiii /w 21 Savage | |
45 | Lotus | |
54 | Wassup /ft. Future | |
60 |
Strawberry Peels /ft. Young Thug & Gunna |
|
62 | Moon Relate | |
66 | I Can Show You | |
68 | Trap This Way (This Way) | |
72 | Leaders /ft. NAV | |
76 | No Auto /ft. Lil Durk | |
83 | Come This Way | |
87 | Got The Guap /ft. Young Thug | |
89 | Money Spread /ft. Young Nudy |
上記の"Eternal Atake"のデラックス版としてリリースされたバージョン。アルバムチャートでは2つも同じアルバムとしてカウントされていますが、違う題名やジャケが用意されている……などのことから別のアルバムとしても捉えられます。この記事では別作品としてカウントすることにしました。
このデラックス版も同様に全曲がHot 100入りを達成しています。この週にLil Uzi Vertは合計22曲がHot 100入りしました。
関連:Hot 100・Billboard 200まとめ 3月号 【Lil Uzi Vert・Bad Buny・Lil Baby・BTSなど…アルバム大盛況】 - チャート・マニア・ラボ
・事例37 The Weeknd - After Hours (2020-04-04)
位 | 曲名 | シングル |
1 | Blinding Lights | ○ |
4 | Heartless | ○ |
16 | In Your Eyes | ○ |
21 | Alone Again | |
22 | After Hours | |
24 | Scared To Live | |
25 | Hardest To Love | |
28 | Too Late | |
32 | Snowchild | |
39 | Escape From LA | |
41 | Save Your Tears | |
45 | Faith | |
69 | Repeat After Me (Interlude) | |
80 | Until I Bleed Out |
4週連続で10曲超えアルバムが誕生。大賑わいです。The Weekndの新譜が全曲入りを達成。2016年の前作"Starboy"に続いて2アルバム連続での記録です。
トップ10に入った2曲はラジオの恩恵もかなり受けています。The Weekndはこの週Hot 100、Billboard 200、Artist 100、Hot 100 Producer Charts と4種のチャートを制しています。Producer Chartsローンチ以降(2019年6月~)では初のことのようです。
ちなみに年度別にこの「10以上の曲をHot 100に送り込んだアルバム」の数をカウントすると……2018年の多さが際立ちますが、2020年はこれを上回るハイペースです!
2013:1
2014:0
2015:4
2016:4
2017:4
2018:10
2019:7
2020:7
関連記事
*1:この時点で