チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

10以上の曲をHot 100に送り込んだアルバムの記録! 【アルバム曲Hot 100ジャック集】

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一つのアルバムからHot 100へ大量エントリーする現象の考察です

(写真は全曲をHot 100に送り込んだアルバムの一部です)

 

 みなさんはシングルチャートのHot 100を見ていてこういう思いをすることはありませんか?

「今週、やたらと○○の曲が多くない…?」

 

 それは、アルバムがリリースされた週に起こることが多いです。アルバムがリリースされるということはつまり、曲が多くリリースされるということなのでそのぶんエントリーも多くなるというわけです。

 ただ、星の数ほどあるアルバムの中で、Hot 100への大量エントリーをできるアルバムも限られています。知名度(質)、そして時代が大切になります。

 知名度(質)は言わずもがなだとは思います。知名度、もしくは質が高ければアルバムとして売れる。その結果アルバムのなかのシングル化されていない曲でもある程度注目を浴びることができる。アルバムの調子と曲の売れ行きはある程度比例するという、当たり前といえば当たり前のことです。

 しかし、時代とは何を言っているのか分からない方が多いと思います。ここでは時代とは、曲の売り方の時代を指しています。

 

 みなさんは現在音楽を何で聞いているでしょうか。ストリーミングサービス、YouTube、ダウンロードしたもの、レンタルCDをインポート(ルックアップ)したもの、などいろいろ考えられると思います。

 そこで考えてみてください。それはいつから存在しますか?ものによってはここ数年で登場したものもあるかと思います。

 その、聞き方こそHot 100へのエントリーを左右しているのです。もっと踏み込んで言えば、音楽の入手方法によって非シングルまで手が届くかを左右しているのです。

 

 なんだか小難しい話になっている気がしますが、先程の「時代」で説明すると分かりやすくなると思います。

 

・(シングル)CD時代

 CD化されるのはシングルのみ。いわゆる「アルバム曲」はアルバムで聞くか、ラジオ等で出会うほかない(ラジオではシングル中心でかかるのでその可能性は低い、またシングルCD化していない曲をHot 100には入れない、というルールもかつて存在したようにアルバム曲の価値は低く思われていたことが伺える)

 

・ダウンロード時代

 CDとは違って、シングル化されていないアルバム曲も単体で購入可能、さらには在庫切れを起こさないため、長持ち。ただしフルでは聴く機会がシングルよりは少なく、そのフルで聞くことの出来ないものにお金を多少は払う必要があるので、まだシングルとの壁が存在する。

 とはいってもそのシングルとの壁を取っ払って10曲以上アルバムにエントリーした例が二つある。

※表の見方

・線より下はHot 100にその週入っていない曲。

・()内の数字は、その週はHot 100に入っていないものの、別の週に入っている曲で、数字はピークを指します。

・101位以下の順位はHot 100に入らなかった曲を扱うチャート、Bubbling Underの順位を参考にしています。

・「シングル」はシングル化されたかどうか。※は別アルバムでシングル化されているということ。

 

 ✫ 2010/11/13 Taylor Swift / Speak Now

曲名 シングル
17 Sparks Fly
21 Mine
27 Innocent  
41 The Story Of Us
54 Dear John  
56 Better Than Revenge  
63 Haunted  
71 Last Kiss  
75 Enchanted  
84 Never Grow Up  
85 Long Live  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

(6) Back to December
(8) Speak Now
(11) Mean

 

✫ 2011/9/17 Lil Wayne / The Carter Ⅳ 

14 How To Love
16 Mirror / ft. Bruno Mars
33 Blunt Blowin  
40 She Will / ft. Drake
52 Megaman  
79 It's Good / ft. Drake & Jadakiss
84 How To Hate / ft. T-Pain  
90 Nightmares Of The Bottom  
94 President Carter  
95 So Special / ft. John Legend  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

(9) 6 Foot 7 Foot / ft. Cory Gunz
(22) John / ft. Rick Ross
103 Outro / ft. Bun B, Nas, Shyne & Busta Rhymes  
109 Two Shots  
111 I Like the View  
117 Intro  
124 Interlude / ft. Tech N9ne  

 

 この時代はシングルをガッツリ売り出してから → アルバムリリースという流れがしっかりしていますね。

 

・ストリーミング時代

 ストリーミングをしている人にとっては、どちらも同じ手段で聴くことが出来るので、シングルとの区別が無い。露出度には差があるが。

 

 このようにして、シングル以外の曲に手が届きやすくなってきているのです。その結果、1つのアルバムから大量の曲がHot 100にエントリーすることが増えてきたのです。

 

 説明が長くなりましたが、今回の記事ではストリーミング時代(2013-)の、そのような1つのアルバムから大量エントリー、具体的には10曲以上がHot 100に入ったアルバムたちを紹介しようと思います。

 ちなみにストリーミング時代が2013-なのは、ビルボードがStreaming Songsというチャートを作成したのが2013年だからです。実は2012年からストリーミングの集計自体はしているのですが…!

 

 

 

事例1 2013/10/12 Drake / Nothing Was The Same

曲名 シングル
4 Hold On, We're Going Home
ft. Majid Jordan
20 All Me
ft. 2 Chainz & Big Sean
51 The Language
56 Furthest Thing  
61 Wu-Tang Forever  
64 Too Much
65 Pound Cake / Paris Morton Music2
ft. Jay-Z
67 From Time  
78 Own It  
81 Tuscan Leather  
87 Come Thru  
89 Worst Behavior

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

(6) Started from the Bottom
102 Connect  
111 305 to My City
ft. Detail
 

 

 まず先陣を切ったのはDrake。その前のアルバム、Take Careでも7曲をエントリーするなど、彼は前からなかなかのやり手でした。ヒップホップ好きのシングルを好む傾向(Hot 100での傾向)が追い風になったと思います。ダウンロードとストリーミングで同じくらいのポイントを稼いでいます。

 

事例2 2015/3/7 Drake / If You're Reading This, It's Too Late(アルバムリリースはその前の週)

曲名 シングル
26 Energy
52 Legend  
58 10 Bands  
70 Know Yourself  
81 No Tellin'  
82 Preach
ft. PARTYNEXTDOOR
83 6 God  
84 Used To
ft. Lil Wayne
 
95 Now & Forever  
97 6 Man  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

102 Jungle  
103 Star67  
104 Madonna  
106 Company
ft. Travis Scott
 
109 Wednesday Night Interlude
ft. PARTYNEXTDOOR
 
112 6PM in New York  
116 You & the 6  

※ほか2曲はBubbling Underに入らず (=126位以下に相当)

 

 まさかの2連続Drake。このアルバムはミックステープ扱いを受けており、シングルもアルバムも特段プロモーションは無かったですが、それでもアルバム1位、かつ曲もHot 100へ多くエントリーと結果を残していますね。この時客演も含めて14曲をDrakeはHot 100にエントリーしていて、その当時のThe Beatlesの同時最多エントリー記録に並んでいました。

 

事例3 2015/9/19 The Weeknd / Beauty Behind The Madness

2 Can't Feel My Face
3 The Hills
37 Earned It
47 Prisoner
ft. Lana Del Rey
 
54 Tell Your Friends  
60 Acquainted
62 Real Life  
79 Shameless  
85 Losers
ft. Labrinth
 
93 Dark Times
ft. Ed Sheeran
 
100 In The Night

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

(59) Often
102 Angel  
106 As You Are  

 

 2014年終盤に頭角を現したThe Weeknd。Can't Feel My Face, The Hillsと複数の1位を獲得し一気にStarboyに!このアルバム以前は自身の曲は1曲しかHot 100に入っていなかったので、一気に世間に浸透した、ということになります。

 

事例4 2015/10/17 Drake & Future / What a Time to Be Alive (アルバムリリースは前の週)

曲名 シングル
21 Jumpman
52 Big Rings  
53 Diamonds Dancing  
62 Digital Dash  
69 Scholarships  
74 Live From The Gutter  
76 I'm The Plug  
78 Plastic Bag  
82 Change Locations  
87 Jersey  
92 30 For 30 Freestyle  

※全曲エントリー

 

 帰ってきたDrake。DrakeもThe Weekndもカナダ人だったため、Futureはアメリカ人では初の事例に。これもIf You're~同様ミックステープ扱いですがバッチリ結果を出しましたね。Futureの知名度向上にもかなり効果があったと思います。ストリーミングの比率が高いようです。全曲エントリーははじめてですね

 

事例5 2015/12/5 Justin Bieber / Purpose

曲名 シングル
2 Sorry
4 Love Yourself
5 What Do You Mean
19 I' ll Show You  
31 The Feeling
ft. Halsey
 
34 Where Are Ü Now
with Skrillexx & Diplo
42 Mark My Words  
43 Purpose  
49 No Pressure
ft. Big Sean
 
53 Company
54 No Sense
ft. Travis Scott
 
67 Life Is Worth Living  
74 Children  
81 Been You  
88 We Are
ft. Nas
 
90 Get Used To Me  
98 Trust  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

- All In It  

 

 これまではヒップホップ、R&Bのジャンルのみがこの事例に当てはまっていたが、ポップアルバムでは初の事例となったのがJustin BieberのPurpose。Taylor Swiftの1989ですら6曲エントリーだったので、ポップでこの事例を達成したというのは際立つ。

 ストリーミングが主なポイント源ですが、ポップ系アーティストの強みであるラジオ、ダウンロードもある程度稼いでおり、それらが組み合わさっての無双です。

 ボーナストラックのAll In It以外アルバム曲が全てHot 100に入るという充実っぷり。当時の同時最多エントリー記録を更新していました。(17曲

 

事例6 2016/5/14 Beyoncé / Lemonade

曲名 シングル
10 Formation
11 Sorry
13 Hold Up
18 6 Inch
ft. The Weeknd
 
28 Don't Hurt Yourself
ft. Jack White
 
35 Freedom
ft. Kendrick Lamar
37 Pray You Catch Me  
38 All Night
41 Daddy Lessons
43 Sandcastles  
47 Love Drought  
63 Forward
ft. James Blake
 

※全曲エントリー

 

 実は初のアメリカ人単独でのこの事例。2013年以降のカナダ人優秀すぎますね!?このアルバムでの特筆すべき点は、ストリーミング手段が限られていたこと。Jay-ZのTidalのみでの配信(今も)なので、Tidalユーザー以外は買うしか聞く手段が無かったのです。ですがこのアルバムがTidalユーザー増加に寄与したとの情報もあり、ストリーミングでも十分ポイントを稼いでいますに。(全ての曲がストリーミング・ソング50位以上)

 

事例7 2016/5/21 Drake / Views

曲名 シングル
1 One Dance
ft. Wizkid & Kyla
21 Pop Style
ft. The Throne
33 Hype  
34 Controlla
38 Grammys
ft. Future
 
40 Still Here  
44 U With Me?  
45 9  
47 With You
ft. PARTYNEXTDOOR
 
49 Childs Play  
52 Too Good
ft. Rihanna
53 Feel No Ways  
54 Weston Road Flows  
61 Redemption  
68 Keep The Family Close  
72 Faithful
ft. Pimp C & dvsn
 
75 Fire & Desire  
86 Viees  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

(2) Hotline Bling

 

 なんと4アルバム目のDrake。既にチャートから落ちたHotline Blingを除いてアルバムから18曲がHot 100へ。さらにはアルバムに入らなかったSummer Sixteen、客演のWorkも合わせてこの週のHot 100にはDrakeの曲が20曲も!!!

 同時エントリー記録を更新し、今も最多記録となっています。(当時)

 シングルのOne Dance, Controlla, Too GoodはすべてビデオがYouTube等に公開されず、ストリーミング以外では音源が聴けませんでした。しかし、ラジオとストリーミングでのポイントをしっかりと稼いで(ダウンロードは低め)、新たなヒットの形を示したかもしれません。

 

事例8 2016/12/17 The Weeknd / Starboy

曲名 シングル
2 Starboy
ft. Daft Punk
16 Party Monster
22 I Feel It Coming
ft. Daft Punk
27 Sidewalks
ft. Kendrick Lamar
 
31 Reminder  
34 Six Feet Under  
43 Die For You  
44 Rockin  
46 All I Know
ft. Future
 
47 Secrets  
48 True Colors  
61 Stargirl Interlude
ft. Lana Del Rey
 
67 Attention  
68 Nothing Without You  
69 A Lonely Night  
72 Ordinary Life  

※全曲エントリー

 

 The Weekndも複数アルバムでこの偉業を達成。シングルStarboyの1位達成が長らく期待されていますが果たして…?(後に達成)DrakeもThe Weekndも、リリースペースが早いのに連続でこの事例を達成できるのは驚きです。

 

事例9 2016/12/31 J.Cole / 4 Your Eyez Only

曲名 シングル
7 Déjà Vu  
11 Immortal  
13 Neighbors  
21 Change  
22 She's Mine Pt.1  
23 For Whom The Bell Tolls  
24 Ville Mentality  
29 4 Your Eyez Only  
30 Foldin Clothes  
34 She's Mine Pt.2  

※全曲エントリー

 

 これは本当に驚きました。J.Coleは過去の最高記録がWork Outでの13位で、トップ10デビューなどここまでHot 100を席巻するとは思いもしませんでした。しかもシングル化された曲もなく、プロモーションもそこまで無いように思いました。

 さらに特筆すべき点は、全体的な順位の高さ。Hot 100圏外の曲を101位と仮定し、アルバム曲のHot 100での順位を平均すると、事例のなかで一番高いです。

 これはつまり、アルバム曲のHot 100での平均順位が歴代で最も高いアルバム、といえるのではないでしょうか。

 ストリーミング以前に非シングル曲にスポットが当たるとも考えづらいですので、おそらくこれよりも平均順位が高いアルバムは無いと思います。

(あったら申し訳ないです)

 ※The Beatlesが過去にHot 100のトップ5を占拠したこともありましたが、彼らはリリースペースが早く、それぞれ違うアルバムからのシングルだったようです。

 

事例10 2017/3/26 Ed Sheeran / ÷

曲名 シングル
1 Shape of You
37 Perfect
39 Castle on the Hill
49 Dive  
53 Galway Girl  
59 Happier  
72 New Man  
75 Supermarket Flowers  
83 What Do I Know?  
84 How Would You Feel (Paean)  
90 Eraser  
93 Hearts Don't Break Around Here  
96 Barcelona  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

101 Nancy Mulligan  
103 Bibia Be Ye Ye  
105 Save Myself  

 

 イギリス人では初の事例。ポップスではJustin Bieberに次ぐ2例目。ボートラ以外は全部Hot 100に。母国イギリスのシングルチャートではトップ10に9曲がEd Sheeranの曲になるなど、前代未聞の無双ぶりを見せました。

 

事例11 2017/4/8 Drake / More Life

曲名 シングル
8 Passionfruit
9 Portland
ft. Travis Scott & Quavo
 
15 Fake Love
18 Free Smoke  
29 Gyalchester  
35 Teenage Forever  
36 Sacrifices
ft. 2 Chainz & Young Thug
 
38 Blem  
40 No Long Talk
ft. Giggs
 
45 Get It Together
ft. Jorja Smith & Black Coffee
 
48 KMT
ft. Giggs
 
49 Jorja Interlude  
50 4422
ft. Sampha
 
51 Madiba Riddim  
54 Glow
ft. Kanye West
 
60 Do Not Disturb  
61 Nothing Into Somethings  
62 Ice Melts
ft. Young Thug
 
64 Lose You  
70 Since Way Back
ft. PARTYNEXTDOOR
 
76 Skepta Interlude  
82 Can't Have Everything  

※全曲エントリー

 

 Viewsの時に成し遂げた同一アーティストによるHot 100最多エントリー記録を更新。客演の2曲と合わせて計24曲。Drakeはこの事例を達成するのがなんとこれで5例目。ストリーミング時代の寵児。Viewsの時と同様、ダウンロードは少なめです。(一番ダウンロードの多いPortlandでもダウンロード数は20位)

 

事例12 2017/5/6 Kendrick Lamar / DAMN.

曲名 シングル
1 HUMBLE.
4 DNA.
14 LOYALTY
ft. Rihanna
16 ELEMENT.  
18 LOVE
ft. Zacari
32 YAH.  
33 XXX.  
35 FEEL.  
37 PRIDE.  
42 LUST.  
50 FEAR.  
54 BLOOD.  
58 GOD.  
63 DUCKWORTH.  

※全曲エントリー

 

 もはや見慣れた光景にもなってきたアルバムの全曲Hot 100入り。セールスがDrakeのMore Lifeに勝ったことが話題となりましたが、平均順位でも圧勝していてDAMN.が平均32.6位、More Lifeが平均45.5位です。DAMN.のシングル平均32.6位はLemonade、4 Your Eyez Onlyに次ぐ3番目の高さです。

 

事例13 2017/9/16 Lil Uzi Vert / Luv Is Rage 2

曲名 シングル
16 XO TOUR Llif3
39 The Way Life Goes
49 Sauce It Up  
60 444 + 222  
79 Neon Guts
ft. Pharrell Williams
 
80 Two  
81 X  
82 For Real  
84 UnFazed
ft. The Weeknd
 
90 No Sleep Leak  
92 Dark Queen  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

102 Pretty Mami  
108 Feelings Mutual  
111 How To Talk  
115 Early 20 Rager  
124 Malfunction  

 

 今年4つめの事例。デビューアルバムで10曲以上をHot 100に送り込む事例はこれが初です。それまでのミックステープやXO TOUR Llif3のヒットなどで元から高かった期待感がここで開花したということでしょうか。

 

事例14 2018/2/10 Migos / Culture Ⅱ

曲名 シングル
8 MotorSport / Cardi B & Nicki Minaj
12 Stiry Fry
18 Walk It Talk It / ft. Drake  
36 Narcos  
48 BBO (Bad Bitches Only) / ft. 21 Savage  
52 Notice Me / ft. Post Malone  
53 Supastars  
64 White Sand / ft. Travis Scott, Ty Dolla $ign & Big Sean  
73 Gang Gang  
83 Higher We Go  
85 Auto Pilot  
87 Emoji A Chain  
96 CC / ft. Gucci Mane  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

101 Too Much Jewery  
109 Too Playa / ft. 2 Chainz  
112 Beast  
113 Crown the Kings  
118 Open It Up  
120 Flooded  

※ほか5曲はBubbling Underに入らず (=126位以下に相当)

 

 2018初の事例。2017年もアルバムから7曲がHot 100にエントリーしていたMigosがパワーアップして2018年に再びアルバムをリリース。アルバムの約半数にあたる13曲がHot 100にエントリーしました。客演のI Get the Bagと合わせて計14曲がHot 100にこの週エントリーしており、グループとしてはビートルズと並んで最多のHot 100エントリーを記録しています。

 アルバムの曲数が多く、人気が割れる故なのか割合で考えると2017年のアルバムよりも下がっています。

 

 

事例15 2018/3/24 Logic / Bobby Tarantino Ⅱ

曲名 シングル
29 Everyday / Marshmello
46 44 More
56 Indica Badu / ft. Wiz Khalifa  
60 Contra  
68 Overnight  
74 Midnight  
83 Wassup / ft Big Sean  
87 Yuck  
97 BoomTrap Protocol  
98 Warm It Up / ft. Young Sinatra  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

103 Wizard Of Oz  
104 State of Emergency / ft. 2 Chainz  
122 Grandpa's Space Ship  

 

 「ミックステープ」という扱いながらも、10曲エントリーを達成。「スタジオアルバム」以外でこの記録を成し遂げたのは他にDrakeくらい。最高位は"Everyday"の29位と高くはないですが、順位が極端に低い曲も少ないので、特定の曲に人気が集中したというよりは、ミックステープが全体的に人気だったということが推測できます。

 

事例16 2018/4/21 Cardi B / Invasion of Privacy

曲名 シングル
8 I Like It /Bad Bunny & J Balvin  
11 Be Careful
21 Drip /ft. Migos
23 I Do /ft. SZA  
28 Ring /ft. Kehlani  
32 Bartier Cardi /ft. 21 Savage
38 Get Up 10  
39 Best Life /ft. Chance the Rapper  
43 Bickenhead  
50 Thru Your Phone  
57 She Bad /YG  
58 Money Bag  

 

(該当日にHot 100に入らなかった曲)

(1) Bodak Yellow  

 Cardi Bのアルバムが全曲Hot 100にエントリー!(”Bodak Yellow"は既にチャートから外れていたため、アルバムリリース日のHot 100には入らず)

 順位も全体的に高め。ストリーミングの数字に加え、ダウンロードもそれなりに良かったことが理由だと思います。

 Bruno Marsの”Finesse"と合わせてこの週はCardi Bの曲が計13曲Hot 100にエントリー。これはBeyoncéが”Lemonade"の時に達成した12曲を上回り、女性としては最多の曲数をHot 100に送り込んだアーティストとなりました。

 

※このアルバムについては個別で書いた記事もあります

 

  

事例17  2018/5/5 J. Cole / KOD

曲名 シングル
6 ATM  
8 Kevin's Heart  
10 KOD  
14 Photograph  
15 Motiv8  
20 1985 (Intro to the Fall Off)  
28 The Cut Off /ft. KiLL edward  
30 Brackets  
41 Window Pain (Outro)  
46 Friends / ft. KiLL edward  
47 Once An Addict (Interlude)  
53 Intro  

  J. Coleが再びこの記録を!この記録を複数回成し遂げたのはDrake、The Weekndに次いで3人目。つまりアメリカ人としては初。Interludeなどがある影響からか、前回のように全曲トップ40入りとは行きませんでしたが、全体的な順位は高いです!

 また同一アーティストが同時に3曲をいきなりHot 100のトップ10に登場させるのは史上初とのこと。ストリーミングにおける人気アーティストの「アルバム」への注目度の高さを物語るデータだと思います。(今までは同時2曲が最多だった。DrakeとEd Sheeranが達成。)

 

事例18  2018/5/12 Post Malone / Beerbongs & Bentleys

曲名 シングル
2 Psycho /ft. Ty Dolla $ign
7 Better Now  
8 rockstar /ft. 21 Savage
11 Paranoid  
14 Rich & Sad  
15 Spoil My Night /ft. Swae Lee  
16 Ball For Me /ft. Nicki Minaj  
17 Stay  
20 Same Bitches /ft. G-Eazy & YG  
23 Zack And Codeine  
24 Over Now  
29 Takin' Shots  
34 Candy Paint  
40 92 Explorer  
46 Otherside  
47 Blame It On Me  
57 Sugar Wraith  
73 Jonestown (Interlude)  

 Post Maloneが史上最多のストリーミング(約4億3100万:1週間)を達成し、アルバム全曲がHot 100エントリーに。史上18人目の「トリプルトップ10」の達成者になっただけではなく、史上最多のトップ20・トップ40を送り込みました。

 前アルバム”Stoney"がロングヒットとなり、ジリジリと高まった期待感がrockstarで大爆発。そして存在感を高めて、アルバムで大成功という流れだと思います。

 彼のように、アルバムや曲がストリーミング内でロングヒットになっているアーティストは、新曲や新アルバムリリースで、その期待感が爆発するかもしれません!例えばTravis ScottやChildish Gambinoあたりですかね!(後者は既に”This Is America"が大ヒットですが)

 

事例19 2018/7/14 Drake / Scorpion

曲名 シングル
1 Nice For What
2 Nonstop  
4 God's Plan
6 In My Feelings
7 I'm Upset  
8 Emotionless  
9 Don't Matter To Me /ft. Michael Jackson
13 Mob Ties  
14 Elevate  
17 Survival  
18 Can't Take A Joke  
20 Talk Up /ft. Jay-Z  
21 8 Out Of 10  
27 Sandra's Rose  
28 Summer Games  
30 Blue Tint  
32 Jaded  
36 Is There More  
37 That' How you Feel  
38 Peak  
41 After Dark /ft. Static Major & Ty Dolla $ign  
42 Finesse  
51 Ratchet Happy Birthday  
56 Final Fantasy  
57 March 14  

 ストリーミングの帝王・Drakeが莫大な再生数を記録。この週トップ10に7曲も同時にエントリーし、The Beatlesが50年以上キープしていた記録=「トップ10に同時に5曲」を塗り替えました。

 アルバム全曲がHot 100に登場するのは予想通りですが、ストリーミング「だけ」でここまで高い順位を記録した、ということはやはり時代の変化というものを感じます。

 ちなみにこの週から「無料会員」によるストリーミングは2/3で換算される (つまり少しストリーミングが減算されると考えられる) というルール変更が適用されています。

(このアルバムについて個別記事を作りました)

 

 

事例20 2018/8/18 Travis Scott / Astroworld

曲名 シングル
4 Sicko Mode (ft. Drake & Swae Lee)
8 Stargazing  
24 Carousel (ft. Frank Ocean)  
25 Yosemite (ft. Gunna & NAV)  
26 R.I.P. Screw (ft. Swae Lee)  
27 Stop Trying To Be God (ft. Philip Bailey, Kid Cudi, James Blake & Stevie Wonder)  
30 Wake Up (ft. The Weeknd)  
31 No Bystanders (ft. Sheck Was & Juice WRLD)  
36 5% Tint  
38 Can't Say (ft. Don Toliver)  
41 NC-17 (ft. 21 Savage)  
43 Who? What! (ft. Quavo & Takeoff)  
47 Skeletons (ft. The Weeknd & Pharrell)  
48 Astrothunder  
50 Butterfly Effect
53 Houstonfornication  
68 Coffee Bean  

 

  Post Maloneの項目で述べたTravis Scottが満を持してアルバムリリース!期待以上の大ヒットとなりました。様々な戦略を実行(チケット付きCD、グッズ展開……)などをした効果もあり、実セールスも高い数字を記録!Drakeに次いで2018年2番目に高い数字を記録しました!

 

事例21 2018/9/15 Eminem / Kamikaze

曲名 シングル
6 Lucky You /ft. Joyner Lucas  
8 The Ringer  
12 Fall  
16 Kamikaze  
23 Greatest  
24 Not Alike /ft. Royce Da 5'9  
39 Normal  
42 Stepping Stone  
49 Venom  
65 Nice Guy / Jessie Reyez  
67 Good Guy /ft. Jessie Reyez  

 

  サプライズでリリースされた”Kamikaze"は、昨年末にリリースの”Revival"を上回るインパクトを残しました。Skit2曲を除く全ての曲がHot 100入りを果たしました。ゲストの豪華さは”Revival"には及びませんが、Eminemらしい強いラップが味わえることがヒットの要因でしょうか? ちなみに気になるのはSkitの扱い。Skit2曲は”Guy"シリーズの2曲よりも高いストリーミングを記録していたのですが、なぜかチャートには入りませんでした。これはSkitは除外というルールがビルボードにある、ということなのでしょうか??

 

事例22 2018/10/13 Lil Wayne / The Carter V

曲名 シングル
2 Mona Lisa /ft. Kendrick Lamar  
5 Don't Cry /ft. XXXTENTACION  
7 Uproar /ft. Sweizz Beatz
10 Let It Fly /ft. Travis Scott  
14 Dedicate  
17 Can't Be Broken  
24 What About Me /ft. Sosamann  
26 Dark Side of the Moon /ft. Nicki Minaj  
36 Famous /ft. Reginae Carter  
39 Dope N****z feat. Snoop Dogg  
47 Open Letter  
57 Problems  
59 Hittas  
62 Open Safe  
65 Took His Time  
74 Mess  
75 Let It All Work Out  
76 Start This S**t Off Right /ft. Ashanti & Mack Maine  
78 Used 2  
81 Demon  
86 Perfect Strangers  
90 Dope New Gospel feat. Nivea  
- I Love You Dwayne  

 長らくリリースがお預けとなっていた”The Carter V"。その待望のリリースとだけあって、ストリーミングで大人気に。特に初週は人気を集めて、トップ10に4曲を送り込むなどシングルチャートでも圧倒的な成績を記録しています。ボイスメッセージのみの”I Love You Dwayne"が唯一の圏外。36位のReginae CarterはLil Wayneの娘。

 

事例23 2018/12/15 Meek Mill / Championships

曲名 シングル
6 Going Bad /ft. Drake
20 What's Free /ft. Jay-Z & Rick Ross  
30 On Me /ft. Cardi B  
31 Dangerous /ft. Jeremih & PnB Rock
39 Uptown Vibes /ft. Fabolous & Anuel AA  
54 24/7 /ft. Ella Mai  
55 Intro  
57 Respect The Game  
61 Trauma  
70 Championships  
72 Tic Tac Toe /ft. Kodak Black  
73 Almost Slipped  
77 Splash Warning /ft. Future, Roddy Ricch & Young Thug  
78 Pay You Back /ft. 21 Savage  
85 Oodles O' Noodles Babies  

 

(Bubbling Under)

101 100 Summers  
102 Cold Hearted ⅱ  
110 Wit The Shits (W.T.S.) /ft. Jeremih & PnB Rock  
113 Stuck In My Ways  

 出所後初のアルバム、そしてDrakeとの和解……などさまざまなトピックで注目されたMeek Millのアルバム。今まで以上にストリーミングで人気を誇り15曲がHot 100入り。残りの4曲もBubbling Under(101-125位相当)にはランクイン。このアルバムは特にApple Musicで人気でした。

 

事例24 Ariana Grande - thank u, next (2019-02-23)

曲名 シングル
1 7 rings
2 break up with your girlfriend, i'm bored
3 thank u, next
14 needy  
17 NASA  
21 imagine  
22 bloodline  
25 ghostin  
26 fake smile  
27 bad idea  
38 in my head  
48 make up  

 2019年初めて10曲以上をHot 100に送り込んだアルバム。そして久々のポップアルバム。過去にJustin Bieber、Ed Sheeranがこの記録を達成したことがありますが、女性ポップシンガーがこの記録を達成するのは初です。

 Justin Bieber、Ed Sheeranはいずれもボーナストラックで一部Hot 100に入っていない曲もありましたが、Ariana Grandeは全曲がかなり高順位で登場しています!

 ほかこの週Ariana Grandeはこの週Hot 100のトップ3を独占するという、The Beatles以来歴代2回目の偉業を達成しています。

 これはリスナーの変化を読み取りリリースペースを早めたことと、ポップシンガーが従来から得意とするラジオでの有利が融合したことによる記録達成でもあると私は考えています。(そしてもちろんAriana Grandeへの注目度が高かったことも大きいです)

 

 

・事例25 Billie Eilish - WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? (2019-04-13)

曲名 シングル
7 bad guy  
25 bury a friend
29 when the party's over
31 wish you were gay  
35 xanny  
41 you should see me in a crown
43 my strange addiction  
46 all the good girls go to hell  
53 i love you  
62 ilomilo  
63 listen before i go  
79 8  

 

(Hot 100に入らなかった曲)

104 goodbye  
- !!!  

 

 Ariana Grandeに引き続き、今まではあまり見られなかったパターンです。非ラッパーの女性アーティスト、Billie Eilishのアルバム曲がHot 100に大量登場。さらに彼女が他のアーティストと違うのは、「シングルヒットが*1あまり無い」という点です。

 今後はストリーミングで圧倒的な成績を記録するアルバムの多様化が進んでいくでしょうか?

 

・事例26 Young Thug - So Much Fun (2019-08-31)

曲名 シングル
    21 The London /w J. Cole & Travis Scott
26 Hot /ft. Gunna  
32 Bad Bad Bad / ft. Lil Baby  
55 What's the Move /ft. Lil Uzi Vert  
60 Just How It Is  
61 Surf /ft. Gunna  
70 Sup Mate /ft. Future  
82 Light It Up  
84 Lil Baby  
92 Ecstasy  

 

(Hot 100に入らなかった曲)

  109 Mannequin Challenge /ft. Juice WRLD
121 I'm Scared /ft. 21 Savage & Doe Boy
      - I Bought Her /ft. Lil Duke
      - Jumped Out the Window
      - Cartier Gucci Scarf /ft. Lil Duke
      - Big Tipper /ft. Lil Keed
      - Pussy
      - Circle of Bosses /ft. Quavo
      - Boy Back /ft. NAV

 久々の10曲以上のHot 100入り。昨年までは目立っていた男性ラッパーによる記録。今年では久しぶり。このアルバムで珍しいのは既存シングルの”The London"を除いては、アルバム前半の曲がHot 100入りしている、つまり曲順がそのままHot 100順位に反映されているということです。

 

 

・事例27 Taylor Swift - Lover (2019-09-07)

曲名 シングル
4 You Need To Calm Down
10 Lover  
11 ME! /ft. Brendon Urie
23 The Man  
28 I Forgot That You Existed  
29 Cruel Summer  
38 The Archer  
45 Paper Rings  
49 Miss Americana & The Heartbreak Prince  
51 I Think He Knows  
57 Cornelia Street  
62 London Boy  
63 Soon You'll Get Better /ft. Dixie Chicks  
67 Death By A Thousand Cuts  
75 Afterglow  
77 False God  
89 Daylight  
92 It's Nice To Have A Friend  

 Young Thugに続いて2週連続での達成。こちらは全曲がHot 100入りを果たしました。ストリーミングの数字だけ見ると、全曲Hot 100入りに少し届かなさそうな水準でしたが、DLでそれを補いました。

 Taylor Swiftはこれまでストリーミングでアルバムのリリースをズラしており、どこまで数字を得られるのかが未知数でしたが、ストリーミングでも力を発揮できることを証明しました。

 

・事例28 Post Malone - Hollywood's Bleeding (2019-09-21)

曲名 シングル
3 Goodbyes /ft. Young Thug
4 Circles
8

Take What You Want /ft. Ozzy

Osbourne & Travis Scott

 
10 Sunflower /w Swae Lee
15 Hollywood's Bleeding  
16 Enemies /ft. DaBaby  
17 Wow.
18 Saint-Tropez  
20 Die For Me /ft. Future & Halsey  
22 On The Road /ft. Meek Mill & Lil Baby  
29 A Thousand Bad Times  
33 I'm Gonna Be  
34 Staring At the Sun /ft. SZA  
37 Allergic  
52 Myself  
53 I Know  
58 Internet  

 昨年のアルバムに引き続き全曲Hot 100入り。一番低い曲でも58位とかなり余裕を持っての全曲入りです。2週目以降も収録曲のHot 100残留数が 14曲 → 11曲 → 10曲と推移しており、安定感もあります。

 もう一つ特徴的だったのが、シングル運用法。リリース時のシングルは主に"Circles"と"Goodbyes"でしたが、その後「用途別」にシングルカット。"Enemies"はリズミック & アーバンのラップ系ラジオへ。"Take What You Want"はハードロック系ラジオ、"Allergic"はオルタナティブ系へ、と曲ごとに系統を分けて複数ラジオ運用をしています。

 ストリーミングで莫大な人気を得るアルバムは、仮に非シングルであってもその他の曲を凌駕するような再生数を得ることがあります。しかしシングル運用をできるのは数曲なので、ヒットのポテンシャルがあってもシングルにならないケースも多いです。その点を複数系統に流すことで解決しようとする試みは面白いですね。

 

・事例29 DaBaby - Kirk (2019-10-12)

曲名 シングル
13 INTRO  
19 BOP  
21 VIBEZ  
28 TOES /ft. Lil Baby & Moneybagg Yo  
43 iPHONE /w Nicki Minaj  
47 Off The Rip  
49 Pop Star /ft. Kevin Gates  
51 Raw Shit /ft. Migos  
55

GOSPEL /ft. Chance the Rapper,

Gucci Mane & YK Osiris

 
63 REALLY /ft. Stunna 4 Vegas  
69 XXL  
73 Prolly Heard  
89 There He Go  

 年の前半にブレイクしたDaBabyの、今年2回目の「スタジオアルバム」が大人気。全曲がHot 100入りを果たしました。Apple Musicで熱烈な支持を受けています。Ariana Grandeのように、機を逃さない矢継ぎ早のアルバムリリースが功を奏しました。

 

・事例30 Kanye West - Jesus Is King (2019-11-09)

7 Follow God  
17 Closed On Sunday  
19 Selah  
23 On God  
33

Everything We Need /ft. Ty Dolla

$ign & Ant Clemons

 
36 God Is  
37 Use This Gospel /ft. Clipse & Kenny G  
45 Every Hour /ft. Sunday Service Choir  
51 Water /ft. Ant Clemons  
60 Hands On /ft. Fred Hammond  
63 Jesus Is Lord  

 昨年の作品に引き続き、アルバム全曲が登場。(※昨年のアルバムは7曲構成だったのでこのリストには載っていません) 「人物」としての注目度が高い彼は、アルバムリリース時の注目度も常に高いですね。ただシングル向きの曲はいつも少ないので、あまりチャートに長くは残りませんが……

 

・事例31 Eminem - Music To Be Murdered By (2020-02-01)

曲名 シングル
3 Godzilla /ft. Juice WRLD  
28 Darkness  
31 Those Kinda Nights /ft. Ed Sheeran  
36 Unaccommodating /ft. Young M.A  
52

You Gon' Learn /ft. Royce da 5'9" &

White Gold

 
61 Leaving Heaven /ft. Skylar Grey  
67 Premonition (Intro)  
71 In Too Deep  
83 Marsh  
84 No Regrets /ft. Don Toliver  
89 Lock It Up /ft. Anderson .Paak  
93 Stepdad  

 

(Hot 100に入らなかった曲)

101 Never Love Again           
102 Farewell  
103 Yah Yah  
105 Little Engine  
115 I Will  
116 Alfred (Interlude)  
- Alfred (Outro)  

2018年の"Kamikaze"と同様に、サプライズリリースながらもストリーミングで爆発的な人気を得て、Hot 100もジャック。"Darkness"はビデオを作ったものの、ラジオでかけられるシングルは未だに決まっていません。

 

・事例32 Mac Miller - Circles (2020-02-01)

曲名 シングル
18 Good News                                     
38 Blue World  
48 Circles  
63 Complicated  
64 Hand Me Downs  
68 I Can See  
75 Woods  
80 Everybody  
91 Surf  
100 That's On Me  

 

(Hot 100に入らなかった曲)

104 Once a Day                                     
108 Hands  

 

彼が亡くなってからリリースされた作品。AppleSpotifyの両方で高い人気に。上のEminemとリリース週が被ったこともあり、このリストの中で、初めてアルバム1位を獲得できなかった作品に。(さらにアルバム2位はHalseyで、このアルバムは3位)

関連:Hot 100・Billboard 200まとめ 2月号 【アルバム激戦区・不動のシングル上位など】 - チャート・マニア・ラボ

 

 

・事例33 Lil Baby - My Turn (2020-03-14)

曲名 シングル
15 Woah
18 Heatin Up /w Gunna  
23 Commercial /ft. Lil Uzi Vert  
26 Sum 2 Prove
28 Live Off My Closet /ft. Future     
31 Emotionally Scarred  
48 Grace /w 42 Dugg  
54 Get Ugly  
58 No Sucker /w Moneybagg Yo  
59 How  
64 Forever /ft. Lil Wayne  
78 Same Thing  
91 We Should /w Young Thug  
99 Can't Explain  

 

(Hot 100に入らなかった曲)

102 Catch The Sun  
103 Consistent  
111 Forget That /w Rylo Rodriguez         
113 Gang Sings  
114 Solid  
115 Hurtin  

 

 以前から人気を集めていたLil Babyが2020年の"My Turn"で初のアルバム1位を獲得!Apple Musicを中心としたストリーミングで絶大な人気を得ています。

 14曲がHot 100に登場し、残りの6曲もBubbling Under圏内に登場しています。シングルの"Woah"や名相方Gunnaとの"Heatin Up"など、6曲はトップ40圏内に入っています。

 

 

事例34 Bad Bunny - YHLQMDLG (2020-03-14)

曲名 シングル
32 Si Veo A Tu Mamá  
33 La Difícil  
36 Vete
49 Ignorantes /w Sech  
53 La Santa /w Daddy Yankee  
63 Pero Ya No  
69 Yo Perreo Sola  
81

Safaera /w Jowell & Randy &

Ñengo Flow

 
89 Bichiyal /w Yaviah  
94 Solia  
97 Está Cabrón Ser Yo /w Anuel AA    

 

(Hot 100に入らなかった曲)

104 Que Malo /w Nengo Flow  
107 La Zola  
108 25/8  
110 A Tu Merced  
112 Una Vez /w Mora  
118 P FKN R /w Kendo Kaponi & Arcangel  
124 <3  
- Puesto Pa' Guerrial /ft. Myke Towers  
-

Hablamos Mañana /ft. Duki &

Pablo Chill-E

 

 

 Bad Bunnyのアルバムが11曲をHot 100に送り込みました!英語以外の言語のアルバムで11曲をもHot 100に送り込むのは史上初です!上記のLil Babyと被り、アルバム1位を獲得できませんでしたが、歴史的な快挙を成し遂げたと言ってよいでしょう。総合売上の17.9万という数字もスペイン語のアルバムとしては史上最大です。

 ちなみにこのアルバムは土曜日リリースで、6日分の再生数しか集計されませんでした。仮に金曜日リリースで、ストリーミング分の売上を7/6として計算するとLil Babyを上回ります。

・Lil Baby:総合売上19.7万

・Bad Bunny:総合売上17.9万、うちストリーミング14.2万(これを7/6にすると、約2.3万分増加し、総合売上でLil Babyを上回る)

 

 このアルバムはAppleSpotifyYouTube全てで人気がありました。特に躍進が際立ったのはSpotifyで、USのランキングでもLil Babyを大きく上回りました。さらに、グローバル単位では、1日の再生数が今年最も多いアルバムになりました。

 ラテン・アーバンの主役から、メインストリーム全体の主役へ……そんな期待が大いに膨らむ素晴らしい成績を残したと思います。

 

 

・事例35 Lil Uzi Vert - Eternal Atake (2020-03-21)

曲名 シングル
6 Baby Pluto  
8 Lo Mein  
9 Silly Watch  
11 P2  
20 That Way  
22 Homecoming  
25 Prices  
28 POP  
33 Bigger Than Life  
34 Celebration Station                           
36 You Better Move  
37 I'm Sorry  
39 Venetia  
45 Chrome Heart Tags  
48 Futsal Shuffle 2020  
51 Bust Me  
72 Secure The Bag  
76 Urgency /ft. Syd  

 

 リリースが長いこと保留になっていた"Eternal Atake"がついにリリース!その期待感が一気に爆発する形で、ストリーミングで大人気に。全曲がHot 100入り!歴代で4番目の4億再生を記録しました。3曲がトップ10に、13曲がトップ40圏内に入るなど圧巻の成績です。

 客演ほぼ無しでここまで人気を得ており、さらに唯一ゲストを迎えた曲が一番順位が低いという点は興味深いです。

 この作品は次の週に「デラックス版」として11曲が追加されたので、そちらもどこまでの成績を収めるかに注目です。

※ちなみにラジオでのオンエアはほとんどされず、シングルの欄に一つも○が付きませんでした

 

 

・事例36 Lil Uzi Vert - Luv vs. The World 2 (2020-03-28) 

曲名 シングル
13 Myron  
19 Bean (Kobe) /ft. Chief Keef  
26 Yessirskiii /w 21 Savage  
45 Lotus  
54 Wassup /ft. Future  
60

Strawberry Peels /ft. Young Thug &

Gunna

 
62 Moon Relate  
66 I Can Show You  
68 Trap This Way (This Way)  
72 Leaders /ft. NAV  
76 No Auto /ft. Lil Durk  
83 Come This Way  
87 Got The Guap /ft. Young Thug  
89 Money Spread /ft. Young Nudy  

 

 上記の"Eternal Atake"のデラックス版としてリリースされたバージョン。アルバムチャートでは2つも同じアルバムとしてカウントされていますが、違う題名やジャケが用意されている……などのことから別のアルバムとしても捉えられます。この記事では別作品としてカウントすることにしました。

 このデラックス版も同様に全曲がHot 100入りを達成しています。この週にLil Uzi Vertは合計22曲がHot 100入りしました。

関連:Hot 100・Billboard 200まとめ 3月号 【Lil Uzi Vert・Bad Buny・Lil Baby・BTSなど…アルバム大盛況】 - チャート・マニア・ラボ

 

 

・事例37 The Weeknd - After Hours (2020-04-04)

曲名 シングル
1 Blinding Lights
4 Heartless
16 In Your Eyes
21 Alone Again  
22 After Hours  
24 Scared To Live  
25 Hardest To Love  
28 Too Late  
32 Snowchild  
39 Escape From LA  
41 Save Your Tears  
45 Faith  
69 Repeat After Me (Interlude)            
80 Until I Bleed Out  

 

 4週連続で10曲超えアルバムが誕生。大賑わいです。The Weekndの新譜が全曲入りを達成。2016年の前作"Starboy"に続いて2アルバム連続での記録です。

 トップ10に入った2曲はラジオの恩恵もかなり受けています。The Weekndはこの週Hot 100、Billboard 200、Artist 100、Hot 100 Producer Charts と4種のチャートを制しています。Producer Chartsローンチ以降(2019年6月~)では初のことのようです。

 

 

ちなみに年度別にこの「10以上の曲をHot 100に送り込んだアルバム」の数をカウントすると……2018年の多さが際立ちますが、2020年はこれを上回るハイペースです!

 

2013:1
2014:0
2015:4
2016:4
2017:4
2018:10
2019:7
2020:7

 

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*1:この時点で