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Billboard Hot 100 7/15 見どころ 【Believer がトップ10入りで今年初の……?】

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こんばんは。Imagine DragonsのBelieverがアルバムリリースの効果もあって、6位まで上昇したのが今週の最大のポイントではないでしょうか。ちなみに今年初のロックのトップ10入りです。ちなみに昨年の現時点では4曲*1、2年前の現時点では3曲のロック曲がトップ10に入っていました。

 

 

 

94 Goldlink feat. Brent Faiyaz & Shy Glizzy – Crew (New)

ヒップホップ系ラジオで注目を集めていたGoldlinkのCrewが94位で登場。アルバムではKaytranadaがプロデューサーの1人に。MeditationというシングルではKaytranadaのシングルTrack Unoを大幅にサンプリングしています。

 

89 Kendrick Lamar – ELEMENT. (Re)

週の途中にビデオがリリースされた効果で4週間ぶりにチャートに再登場。Kendrick LamarのELEMENT. アルバムのなかではHUMBLE. DNA. LOVE. LOYALTY. に次ぐ5番人気の曲でしたが、ビデオは3番目にリリースされました。ちなみにELEMENT.とLOVE.はシングル化されていない=ラジオでかかっていないため、主にストリーミングでHot 100に残っています。

 

79 Drake feat. Quavo & Travis Scott – Portland (↓)

DrakeのPortlandが15週目で79位。最初の週に9位で登場して移行は少しずつ順位を落としていって現在の位置へ。この曲はHip-Hop / R&B系 ラジオチャートで2週、48位、49位とチャートインしたのみでほとんどラジオでかからず。ストリーミングでは人気があるものの、ポイントの取り方が偏っているためHot 100では順位が下がってしまっています。これからラジオでかかり始めての再浮上を期待したいところですが、Drakeは新曲Signsをリリース。これからラジオでかかるのはSignsのほうでしょう。リリースタイミングの妙で、ストリーミングでの人気のわりにHot 100での順位が奮わないままチャートから外れてしまうかも、ということです。この調子だと、トップ10デビューしたにも関わらず年間100位以内に入れるか怪しいです。

ある意味曲のポテンシャルの割には「飼い殺し」状態であるのかもしれません。ラジオと比べて、元々の知名度がそこまでパワーを持たず、ストリーミングでなかなか奮わない大物アーティストもいるなか、これはかなりの「贅沢」な悩みでしょう。Drakeほどのリリース量だとこのような曲が出てくるのも仕方がないのでしょうか。

※似たようなケースにThe ChainsmokersのAll We Knowがあります。(スタートHot 100で18位 / リリース週にSpotifyで7位 などストリーミングで人気も、巨大シングルに挟まれてラジオでそこまでかからず、だんだん順位を落として不完全燃焼に)

※ちなみに世界的にヒットしたといえるPassionfruitと比べると、Portlandはややアメリカのローカルヒット気味です。

 

78 Bruno Mars – Versace On The Floor (Re)

Bruno MarsのVersace On The Floorが78位で再登場。アルバムリリース期に2週入って以来の再登場。元はバラード調の一曲でしたが。David Guettaと組んでディスコ風にリメイク。既に各種ラジオチャートで上昇中、3シングル連続のトップ10は現実的な目標といえそうです。

 

71 Metro Boomin feat. Offst & Drake – No Complaints (New)

Metro BoominがOffsetとDrakeを迎えたNo Complaintsが71位で登場。Migosのメンバー、OffsetはMet Galaに続いて2曲めのソロ名義でのHot 100。Metro Boominは21 Savageと連名の2曲(X,No Heart)に続いて3曲めの自身の名義の曲でのHot 100です。

プロデューサーとしても著名なMetro Boominですが、現時点で今年最も多くのトップ10を輩出したプロデューサーになっています。(次点はMike Will Made-ItとThe Chainsmokersの3曲)個人的に来年のグラミーの「最優秀プロデューサー(クラシック以外)」の最有力候補だと思っているのですが、如何でしょうか。

 

68 DJ Khaled & Calvin Harris feat. Travis Scott & Jeremih – Don’t Quit (New)

アルバムのセールスでは2位で、1位のImagine Dragonsにダブルスコアの差をつけられているものの、ストリーミング等で逆転してアルバムチャート1位の座を獲得したDJ Khaled。アルバムからは2位3位のI’m the One、Wild Thoughtsという2枚看板以外にも、BeyoncéとJay-Z夫妻コンビのShining (再登場 98位)、アルバムリリースと同時にビデオがリリースされたOn Everything (新登場 88位)、DrakeとのTo the Max (73位に上昇)とCalvin Harrisのアルバムの「予告編」のようなシングル、Don’t Quitの7曲がHot 100に。

 

39 A Boogie Wit da Hoodie feat. Kodak Black – Drowning (↑)

トップ40手前で足踏み状態だったAboogie Wit Da HoodieのDrowningがついにトップ40入り。彼にとっては初の、客演のKodak Blackにとっては2曲めのトップ40に。両者とも今後の飛躍が期待される若手です。

 

36 Drake – Signs (New)

DrakeのSignsが36位で登場。ちなみにMore Lifeに当てはめると、2 ChainzとYoung Thugを迎えたSacrificesと同じ順位。(More Lifeのなかで7番人気)シングルのジャケットのデザインがルイヴィトンとのコラボシングルとだけあってか、おしゃれ。

 

25 Miley Cyrus – Malibu (↓)

リリース時にはトップ10に入ったMiley CyrusのMalibuでしたが、ここ最近は20位前後に留まっています。先週はiTunes値下げを行うもそこまで順位を伸ばせず。ラジオでの伸びしろはまだまだありますが、どこまで順位を上げられるか。今週24位のSelena GomezのBad Liarも似たようなシチュエーションにあります。(値下げ済み、ラジオでは伸びしろあり、もう少し順位を伸ばしたい)

 

11 Zedd & Alessia Cara – Stay (↓)

18週目のZeddとAlessia CaraのStayが11位とトップ10圏外へ。トップ10滞在は8週間でした。この曲、Zeddのかつてのトップ10ヒットClarityと比較すると曲のピークが訪れるのが早めで、Stayが18週目でトップ10から落ちる一方、Clarityは18週目の時点でトップ10に入っていませんでした。当時より知名度が上がって、曲のリリース時から注目を集めていることが理由だと思います。(作風変化も理由の一つだと思いますが)、Clarityはロングヒットでピーク8位ながらも年間24位に食い込みましたが、Stayも同じくここから粘りを見せてロングヒットになるでしょうか。

ちなみに先週まで粘っていたAlessia CaraのScars to Your Beautifulは今週チャートから外れました。

 

6 Imagine Dragons – Believer (↑)

今週アルバムセールス1位のImagine Dragons。値引き、元からのラジオの好調、さらにアルバムリリースに伴うストリーミングでの浮上の効果で一気にBelieverが6位まで浮上。彼らにとってRadioactiveに次ぐ2番目に高いピーク順位です。(Demonsも同じくピーク6位)。Thunderも54位まで浮上しています。アルバムでは彼ららしい重厚なサウンドのBelieverに加え、新スタイルを見せたThunderが世界的に受けて、ロックの受けが悪いとされるストリーミングで上位につけるなど(例Spotify グローバルで最高7位)、まさにアルバムタイトル”Evolve”に相応しい活躍を見せていたと思うのですが、惜しくもアルバム1位は取れず。前述したようにストリーミングでもロック系アクトとしては大健闘だったのですが、キャレドのアルバムの曲数が多いこともあって、ストリーミングで逆転されアルバムチャート1位の座は取れませんでした。曲数の多さがアルバムチャート勝負の分かれ目になるのは少し考えものですかね……

 

5 Ed Sheeran – Shape of You (→)

今週チャート滞在25週目ながらもまだトップ5圏内をキープ。昨年の年間1位はEd Sheeranが関わったLove Youreselfでしたが、Hot 100での成績は1位に2週、トップ10に24週でした。一方Shape of Youは1位に12週、トップ「5」に25週と、昨年の年間1位すらも圧倒する驚異的な強さを見せています。

 

× XXXTENTACION – Look At Me! (↓)

2016年1月頃のリリースながらも、最近発見され一時期34位まで登りつめたXXXTENTACIONのLook At Me!がチャートから外れました。ブレイクのきっかけになったこの曲はチャートから外れましたが、独自のスタイルは大きく注目を集めていて今後の活躍に期待ができそうです。

 

今週チャートから外れた曲

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位/チャート滞在週数)】

100 Plies feat. Kodak Black – Real Hitta (100位/1週)

98 Enrique Iglesias feat. Descemer Burno, Zion & Lennox – Subeme La Radio (81位/6週)

97 Trey Songz – Nobody Else But You (92位/3週)

88 Zac Brown Band – My Old Man (68位/4週)

83 Young Thug feat. Future – Relationship (83位/1週)

61 Kodak Black – First Day Out (61位/1週)

60 XXXTENTACION – Look At Me! (34位/20週)

45 Alessia Cara – Scars To Your Beautiful (8位/43週)

 

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲を集めました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora)

Yo Gotti & Mike Will Made-It feat. Nicki Minaj – Rake It Up (Shazam 24位)

※Miley Cyrus – Party In The U.S.A. (Spotify 40位)

The Revivalists – Wish I Knew You (Shazam 42位)

Lauv – I Like Me Better (Spotify 44位)

JAY-Z feat. Damian Marley – Bam (Shazam 46位)

Jon Pardi – Heartache On The Dance Floor (Pandora 48位)

Chris Lane – For Her (Pandora 49位)

LoCash – Ring On Every Finger (Pandora 54位)

Jonas Blue feat. William Singe – Mama (Spotify 54位)

Carly Pearce – Every Little Thing (Pandora 58位)

Axwell ∧ Ingrosso – More Than You Know (Spotify 58位)

Khalid – Young Dumb & Broke (Spotify 60位)

Maren Morris – I Could Use A Love Song (Pandora 60位)

 

 

注目点は主に3つ。まずは「アメリカ建国記念日特需」アメリカを称えるような曲が一部、建国日限定で再浮上。具体的には

Miley Cyrus – Party In The U.S.A. (Spotify 40位)

Lynyrd Skynyrd – Sweet Home Alabama (Spotify 75位)

Bruce Springsteen – Born In The U.S.A. (Spotify 78位)

Snoop Dogg & Wiz Khalifa feat. Bruno Mars – Young, Wild & Free (Spotify 90位)

Marvin Gaye – Ain’t No Mountain High Enough (Spotify 92位)

Zac Brown Band – Chicken Fried (Spotify 98位)

 

iTunesでも上昇している曲もありますが、効果は限定的でHot 100エントリーとまではいかないと思います。

 

2つめはJay-Zのアルバムのシングル。Tidal限定配信のアルバムの曲が一部Shazamのチャートに登場。なぜShazamの数が増えるのかは個人的に疑問。Shazamは主にラジオに向けて使われるものだと思っていたのですが、それ以外にも主要な使い方はあるのでしょうか……?そこまで一気にいくつものシングルがラジオにかかり始めるとは思えませんし……

 

最後にJonas Blue。MamaがSpotifyで上昇中。世界的にストリーミングでヒットしているものの、アメリカではHot 100の100位にすら入らないというケースは多々あり、Jonas Blueの曲も過去にそのケースに当てはまったことがあって、例えば昨年のSpotify グローバルランキング(年間)100位以上のうち

89 Cheat Codes & Dante Klein - Let Me Hold You (Turn Me On)

76 Snakehips feat. Chance the Rapper & Tinashe - All My Love

71 Timeflies - Once in a While

69 Joel Adams - Please Don't Go

67 MØ - Final Song

57 David Guetta feat. Zara Larsson - This One's For You

55 Jonas Blue feat, JP Cooper - Perfect Stragers

45 Mike Perry feat. Shy Martin - The Ocean

39 Kygo feat. Maty Noyes - Stay

35 Cheat Codes & Kriss Kross Amsterdam – Sex

 

↑の10曲がHot 100の100位にすら入りませんでした。Jonas Blueのような「ダンスポップ」が当てはまる場合が多いです。世界的にヒットしていてもこのようなダンスポップ系の曲でも、アメリカでも壁にぶち当たることは多いです。一回Hot 100に入ったことのあるJonas Blueですが(Fast Carで)、再び壁を打ち破ってHot 100に入れるでしょうか!

 

 

*1:そのうち2曲がPrinceですが……