チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 8/12 見どころ 【Meek Millの夢、Drakeの悪夢?】

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こんばんは。今週はMeek Millがアルバムをリリースし、7曲がHot 100にエントリーしました。それにより、Drakeにとっては悪夢?Meek Millにとっては夢のようなこと?が起こる可能性がありました。(結局は起こっていませんが)その”夢”とは何なのか、などを今週は読み解いていきます。その他初のトップ40ながらも、「トップ40は通過点」の曲 など。

 

 

91 Romeo Santos – Imitadora (New)

今週アルバムが10位で登場したラテン系のシンガーRomeo Santos。(出身はアメリカ)そのアルバムからはImitadoraがHot 100に91位で登場。

個人的に面白いと思ったのは音楽批評メディア最大手のPitchforkが7.6点と高めの点数をこのアルバムにつけたこと。ラテン系音楽が今後地位をさらに向上していくためには単なるシングルヒットだけではなく、アルバムセールス・批評家からの評価向上など複合的な“ヒット”が必要だと私は考えているのですが、批評家からの評価を得たこのアルバムは今後ラテン界隈のさらなる発展へのヒントになるかもしれません。

 

80 Drake – Passionfruit (↓)

ダウンロード22位という平凡な数字*1ながらも、爆発的なストリーミングを記録して最初の週は8位登場したPassionfruit。一時期はラジオでかかるなどある程度の数字をキープしていたのですが、ここ最近は下位に落ちてきています。Drakeは2009年のBest I Ever Had以降、現在に至るまで何かしらの曲を常にHot 100にエントリーさせているという記録を継続中ですが、もしPassionfruitの順位がもう少し低いか、また後述のMeek Millのアルバムからの曲がより多くエントリーしていたとしたら……「8年間継続してきた記録を仲違いしているMeek Millに途絶えさせられる」というDrakeにとって悪夢のようなシナリオもありえたかもしれません。

今週はとりあえず記録のストップを回避したDrakeですが、Passionfruitは今週19週目なので次の週がラストになるのが確実。さらに新曲Signsも今週98位と調子が上がらないため、8年間継続してきた記録が途切れる日も近いのかもしれません。

 

61 China Anne McClain – What’s My Name (New)

今週ディズニー映画Desecndants 2のサントラがアルバム6位で登場。そのサントラからは2曲がHot 100に登場。81位にIt’s Goin’ Down、そして61位にこのWhat’s My Name。来週はアルバムチャートでもう少し順位を上げると思います。来週のアルバム1位有力候補のArcade FireやJay-Zの新譜の調子次第ではアルバム1位もあるかもしれません。

 

51 Meek Mill feat. Chris Brown & Ty Dolla $ign – Whatever You Nedd (↑)

Lana Del Rey、Tyler, The Creatorとの激しいアルバム1位争いの末、アルバムチャートでは3位だったMeek Millでしたが、Hot 100で今週主役だったのは彼。既にHot 100入りしていたWhatever You Needが89位→51位と大きく上昇したほか、6曲が新たにHot 100入りして、計7曲がアルバムからHot 100に。Spotifyでは*24番人気だったこのアルバムでしたが、Apple Musicではトップ10に複数曲が入るなど絶大な人気を誇ったためそのストリーミングによってHot 100大量エントリーを成し遂げました。

ちなみにアルバムチャート1位Lana Del Rey、2位Tyler, The Creatorの曲は今週Hot 100にエントリーせず。

※ちなみにMeek Millのアルバムから、Lil Uzi Vertを迎えたF**k That Check Upが97位で登場しましたが、Lil Uzi Vertは今週リリースされたアルバムのうち3つに登場しています。(Meek Mill、Nav & Metro Boomin、Steve Aoki)。

 

47 Keith Urban feat. Carrie Underwood – The Fighter (re)

一回は「調子を落としている」と判断され、古い曲を整備して新しい曲が上昇するための枠を空けるルール、リカレントルールが適用されてチャートから落っこちたKeith UrbanCarrie UnderwoodのThe Fighterですが、「再上昇中」と判断され2週ぶりにHot 100に舞い戻りました。以前はグラミーやカントリーアウォードなどでのパフォーマンスによるダウンロード等でポイントを稼いでいましたが、最近のポイント源はラジオ。現在カントリー系ラジオ2位まで上昇しています。現在幅広い層に大ヒット中のBody Like a Back Roadと同じく、またはそれ以上にこのThe Fighterもかなりポップなので、カントリーのリスナー以外にも人気が飛び火するかもしれません。

 

40 Louis Tomlinson feat. Bebe Rexha & Digital Farm Animals – Back To You (New)

Louis TomlinsonのBebe Rexha、Digital Farm Animalsと組んだBack To Youが40位で登場。Louis Tomlinsonにとっては初のアメリカでのトップ40で、これで元One Directionのメンバー全員がトップ40を記録したことに。客演のDigital Farm Animalsは初のHot 100ですが、昨年Hot 100にエントリーしたGalantisのNo Moneyではソングライターとして名を連ねていました。もう一人の客演、Bebe RexhaはG-EazyとMe, Myself & Iで組んで彼を初のトップ10に導きましたが、それの再現なるでしょうか!

 

EminemRihannaのThe Monsterをはじめとして他のアーティストへのソングライトも盛んに行うBebe Rexhaですが、このBack To Youでは曲を作ってから客演を探したのか、ソングライトのクレジットにBebe Rexhaがいないようです。The ChainsmokersとPhoebe RyanのAll We Knowでも起こっていたケースです。

 

※次は全員でのトップ10を達成できるかに注目したいです。ZaynとHarry Stylesは既にトップ10を記録していますが、残りの3人はまだ。しかし、Niall Horan(Slow Handsが今週18位)もLiam Payne(Strip That Downが今週16位)と上昇中で近いうちにトップ10に到達するかもしれません。特にiTunes割引などの戦略でダウンロードを伸ばしている後者は期待できるかもしれません。

 

 

34 Linkin Park – Numb (re)

7/20に亡くなったLinkin ParkのボーカリストChester Benningtonを追悼し、多くの関連曲がダウンロードやストリーミングで注目を集めました。代表曲のNumbが34位、In the Endが37位で再登場したほか、今年唯一アルバムチャートで1位を取ったロックアルバムである最新作、One More LightからはHeavyが45位で再登場しました。その他What I’ve Done、Crawling、One More Light、Somewhere I Belongがダウンロードを集めました。

 

32 Yo Gotti (& Mike Will Made-It) feat. Nicki Minaj – Rake It Up (↑)

R&B / Hip-Hop系ラジオやストリーミングで上昇中のYo GottiのRake It Upが32位とトップ40に突入しました。Yo Gottiにとっては2曲めのトップ40で、前回トップ40を記録したDown in the DMでもNicki Minajと組んでいました。ちなみにこの曲でNicki Minajは5回“チャイナ”と言うのですが、そのうち4回はChinaで、残り1回はモデルのBlac Chynaの”Chyna”です。

 

30 J Balvin & Willy William – Mi Gente (↑)

J BalvinがWilly Williamsと組んだMi Genteが30位でトップ40に突入。両者にとって初のトップ40なのですが、現在SpotifyとShazamで世界1位になっているこの曲(アメリカだけだとSpotifyは9位、Shazamha1位)にとってトップ40はあくまで通過点に過ぎないような気もします。

 

28 Cardi B – Bodak Yellow (↑)

Cardi Bの名目上のデビュー曲、Bodak Yellowが勢いよくチャートを駆け上がっています。4週目で28位まで到達。トップ40に。ヒップホップリスナー利用者の多い*3アメリカのApple Musicでは現在21 SavageのBank Accountに次ぐ2位まで浮上しています。さらに順位を伸ばしてトップ10、またはNicki Minajのようなヒップホップ界隈の新しい女性アイコンまで上り詰める可能性もあるかもしれません。

 

× Camila Cabello – Crying in the Club (↓)

スタートから数週間は悪くなかったものの、ここ最近はラジオが急激に落ちはじめ、またJay-Z曲の大量エントリーもあってHot 100での順位も急落。そして今週ついに圏外へ落ちてしまいました。Fifth Harmonyを抜け出したタイミングでヒットしていたBad ThingsはFifth時代と同じピークの4位まで到達し成功を掴んでいましたが、ソロ曲はピーク47位、9週滞在と苦渋のスタートに。今週リリースされるダブルシングルでは、客演にQuavoやYoung Thugを迎え、またソングライターにはCharli XCXやPharrellを起用するなど豪華な布陣ですが、こちらでリベンジなるでしょうか。またJay-Z週に大きく順位を落としていたLady GagaThe Cureも今週似たような形でチャート圏外へ落ちました。

※Fifth Harmonyのほうも好調かというと、そうでもなくDownが90位とピンチです。

 

× Kyle feat. Lil Yachty – iSpy (↓)

KyleとLil Yachtyが組んだiSpyはポップ系リスナーにも人気が飛び火したこともあって、一時期4位まで到達するなど大躍進。30週のチャート滞在を終えてチャートから今週外れました。客演のLil YachtyはDRAM*4と組んだBroccoliに続いて今回のiSpyでもKyleを成功に導き、“客演ヒット請負人”のような活躍を見せています。彼はMacklemoreと組んだMarmaladeを今週リリースしていて、この2曲と同じくヒットするか、要注目だと思います。

 

× Migos feat. Lil Uzi Vert – Bad and Boujee (↓)

昨年のBlack Beatlesに引き続き、ストリーミングの圧倒的なパワーで1位を獲得した曲として、今年序盤に絶大なインパクトを残したBad and Boujeeが36週の滞在を終えてチャートから外れました。この曲を契機に客演Migos、またQuavo、Offsetなどピンの起用も爆発的に増え、毎週どこかでMigos関連曲がリリースされているのでは?というほどに存在感が増しました。年間チャートでは何曲Migosの関連曲が入るのか、楽しみです。おそらくQuavoは年間チャートに最多の曲を送り込むのではないでしょうか。

(Bad and Boujee、T-Shirt、Slippery、I’m the One、Congratulations、Strip That Down、そしてSlideとPortalandは当落線上で7曲前後が年間トップ100に?)

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Charlie Puth - Attention

今週最もダウンロードが上昇した曲 Liam Payne feat. Quavo – Strip That Down

今週最もストリーミングが伸びた曲 21 Savage – Bank Account

最も高い順位で新登場した曲          Louis Tomlinson feat. Bebe Rexha & Digital Farm Animals – Back To You

 

 

今週チャートから外れた曲 (14曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Metro Boomin feat. Offset & Drake – No Complaints (🗻71位 /⏰3週)

98 Kendrick Lamar – ELEMENT. (🗻16位 /⏰11週)

97 Calvin Harris feat. Future & Khalid – Rollin  (🗻62位 /⏰4週)

96 Kesha feat. The Dap-Kings Horns – Woman  (🗻96位 /⏰1週)

93 AJR – Weak  (🗻73位 /⏰11週)

87 Lady GagaThe Cure  (🗻39位 /⏰14週)

86 Jake Paul & Erika Costell feat. Uncle Kade – Jerika  (🗻86位 /⏰1週)

85 Blake Shelton – Every Time I Hear That Song  (🗻56位 /⏰11週)

75 French Montana feat. The Weeknd & Max B – A Lie  (🗻75位 /⏰1週)

73 Camila Cabello – Crying In The Club  (🗻47位 /⏰9週)

61 Jay-Z – 4:44  (🗻35位 /⏰2週)

50 Bruno Mars – 24K Magic  (🗻4 /41)

46 Kyle feat. Lil Yachty – iSpy  (🗻4 /30)

45 Migos feat. Lil Uzi Vert – Bad And Boujee  (🗻1 /36)

 

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲をピックアップしました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora、Apple Music、各種ラジオなど)

 

Clean Bandit feat. Zara Larsson – Symphony (Pandora 38位+ポップ系ラジオ)

Rita Ora – Your Song (Spotify 79位+ポップ系ラジオ)

Dua Lipa – New Rules (Spotify 41位)

Lauv – I Like Me Better (Spotify 35位)

(Charli XCX – Boys (Spotify 144位) )

(Portugal. The Man (Spotify 34位+各種ラジオ) )

 

上記は先日Boysをビデオとともにリリースし、また”Girls”をやるとしたら誰を入れる?という質問に回答したCharli XCX関連アーティストの曲を並べています。

”Gilrs”リストに名を連ねたZara Larssonが客演のSymphony、Rita OraのYour Songはいずれもポップ系ラジオで上昇中、そしてDua LipaのNew Rules、このBoysのソングライターのLauvのI Like Me BetterがSpotifyで好調で、近いうちのHot 100入りの可能性があるかもしれません。自身のBoys自体はHot 100入りの可能性は低そうですが、関連アーティストが躍進しそうです。また、Boysのビデオに登場し“Charli”のタトゥーをボーカリストが入れたPortugal. The ManのFeel It Stillはラジオ、ストリーミングの両方で好調でHot 100で現在55位の順位をさらに上げていきそうです。

 

Williy Williams – Voodoo Song (Shazam 26位)

大躍進中のMi Genteでコンビを組んでいるWilly WilliamsのVoodoo Songが多くShazamされているようです。まだラジオ等では目立った動きはないですが将来的にヒットする可能性も……?

*1:この週ダウンロード21位のG-EazyとKehlaniのGood LifeはHot 100に入っていないです

*2:Tyler, The Creator、Lana Del Rey、Nav & Metro Boominに次ぐ

*3:DrakeやFrank Oceanの独占配信を昨年行ったため。ただここまでApple Music内リスナーがヒップホップ系統に偏っているのはアメリカのみのようです。

*4:最近D.R.A.M.からDRAMに改名した