今週はFeel It Stillがトップ40入り、Wish I Knew YouがHot 100入りとロック曲の上昇がありました。そんな今週は異ジャンル+ロックなどについて語っていきます。
97 Kesha – Learn To Let Go (New)
いよいよ今週にリリースされるKeshaのアルバムRainbowからの1曲。Learn To Let Goが97位で登場。Praying、Womanに次ぐ3曲めのHot 100入り。Woman、このLearn To Let Goを聴く感じでは、ロックを下敷きにしたサウンドを感じます。その点でLady Gagaを思わせるのですが、どのようなアルバムになるでしょうか。Prayingがどこまで伸びるかにも注目です。(Hot 100で今週38位 → 32位)
94 Carly Pearce – Every Little Thing (New)
カントリーのラジオで好調な曲が複数Hot 100に登場。初のHot 100入りを記録したこのCarly PearceのEvery Little Thing(94位)や、Chris LaneのFor Her(99位)、Kenny ChesneyのAll The Pretty Girls(98位)、Jason AldeanのThey Don’t Know(87位)、Luke CombsのWhen It Rains It Pours(85位)が該当。ちなみに先週カントリー系ラジオでの好調を根拠に、特例が適用されてHot 100に再登場したKeith UrbanのThe Fighterですが、今週はカントリー系ラジオで大幅に順位を落として(2位 → 10位)再びHot 100から外れました。
※このHot 100から外す / 戻すの判断は難しく、過去にも何回か判断がブレているケースが見られます。
93 The Revivalists – Wish I Knew You (New)
チャート的観点から”苦労人”ともいえるThe RevivalistsのWish I Knew YouがついにHot 100に登場。オルタナティブ系ラジオ(ロック系ラジオの一種)で観測史上最高の再生数を記録し、またストリーミングでも好調だった5月頃にはHot 100に登場しそうで登場しなかったのですが、今月に入ってAdult Pop、Contemporary系ラジオで上昇したこともあってHot 100に登場しました。ロック系のラジオのみで好調で、仮にロック系ラジオで1位になってもそれだけではHot 100の当落線上程度のヒットでしかないので、ロック系がヒットするには他の系統のラジオでの支持、もしくはロックがあまりヒットしづらいストリーミングでの躍進がHot 100で順位を上げるには必要です。
ロック系ラジオでは既に59週目のチャート滞在とロングヒットになっています。
90 Dua Lipa – New Rules (New)
Spotifyでの好調もあって、ラジオにかかり始める前からHot 100入りを果たしたDua LipaのNew Rules。かなり順調なスタートといえます。Martin GarrixとのScared To Be Lonley(ピーク76位)、Blow Your Mind(ピーク 72位)に次ぐ3曲めのHot 100入りですが、それらを超えるヒットになる予感がします。ちなみにBlow Your Mindはダウンロード中心のHot 100入りで単発的ヒットですが、こちらはストリーミングの数字が出ていてラジオの伸びも期待できて複合的ヒットとなり長持ちしそうです。
89 SZA – The Weekend (New)
今週Love Galoreが37位とトップ40入りを果たして(自身初)勢いにのるSZA。アルバム1番人気はそのLove Galoreですが、2番めに人気のThe Weekendも今週89位でHot 100に登場。2曲ともストリーミングでの好調に支えられていて、アメリカではアーバン系リスナーが多く利用するApple Musicでは両方とも現在トップ10に入っています。
Love GaloreはHip-Hop/R&B系ラジオでも好調(8位)
88 The Chainsmokers – Honest (New)
ポップ系ラジオの好調(20位)を受けてついにHot 100に登場したThe ChainsmokersのHonest。88位。ラジオでヒットし、さらにストリーミングでも支持を得て大ヒットかつロングヒットになるという傾向のあるThe Chainsmokersですが、このHonestもそれに当てはまるような活躍をできるでしょうか。まだストリーミングでは数字を稼いでいないよう(Spotify、Apple Music両方で200位圏外)ですが、そこの数字が上がってくればトップ40やトップ10も見えてくるでしょうか
75 blackbear – do re mi (re)
数週間ぶりにHot 100に舞い戻ったdo re mi。Gucci Maneのリミックスをリリースしたことが要因。リミックス版は多くの曲でリリースされていますが、実際にヒットにつながることは少なめなのでヒットになったのはGucci Maneの人気ぶりを示しているといえるでしょうか。
68 Thomas Rhett – Unforgettable (New)
上でも述べたようにカントリーはラジオで上昇したタイミングでHot 100入りすることが大多数なのですが、このThomas RhettのUnforgettableは珍しくリリースのタイミングでのHot 100入り。高いダウンロードに加え、カントリーが上位に入りづらいSpotifyでも一時期高い順位でした。カントリーの枠を超え、昨年あたりから人気上昇中の彼にかかる期待は大きいです。9/8に新アルバムをリリース予定。
※サビでのthat Coldplay song that you were singin’というフレーズが印象的で、情景描写にバンド名+Songという歌詞を導入している点でCloserを彷彿(CloserはStay and play that Blink-182 song)とさせる気がします。そんな描写的な歌詞や、さらに幅広い層から受け入れられそうなサウンドで、ヒットになるかもしれません。
39 Julia Michaels – Issues (↓)
自身初のEPのNervous Systemをリリースし、アルバムチャートで48位だったJulia Michaelsですが、シングルチャートへの影響は無く、先週から引き続き順位を落として39位へ。今週は全体的にアルバムをリリースしたアーティストのシングルチャートへの影響がとても少なく、今週アルバムチャート1位*1のArcade Fireは当作からHot 100へのエントリーが0曲*2で、ほか今週リリースが反映されたアルバムチャート27位のVic Mensa、同31位のAminéも今週はHot 100入りの曲はなし。
※先週、もしかしたら1位を取るかも?そしてアルバムチャートで順位を上げると申したDescendants 2のサウンドトラックは6位→9位と順位を落としていました。訂正致します。
38 Future feat. Nicki Minaj – You Da Baddest (New)
Futureが今年リリースしたアルバムにさらに曲を追加。HNDRXXの19曲目、You Da Baddestが38位で登場。RihannaとのSelfish(37位)と似たような順位。ラップ曲にしては珍しく、主にダウンロードの高さでのHot 100入り。(ダウンロードは12位、ストリーミングは13位)新曲としでリリースせず、アルバムの追加トラックといてリリースを続ける意図はよく分かりませんが、このリリースの影響でHNDRXXはアルバムチャートで115位→52位と上昇しました。
※ちなみにFuture(黄色いジャケのほうのアルバム)は今週アルバムチャート37位で、こちらのほうが上位にいる期間が長いです。
34 Portugal. The Man – Feel It Still (↑)
ここ数週勢いよくチャートを駆け上がっているPortugal. The ManのFeel It Stillが34位と今週トップ40入り。現在ロック系のラジオで1位というだけではなく、ポップ系ラジオ35位、そしてストリーミングでも好調(Spotify 27位)と幅広く支持されていて、さらなる上昇も見込まれます。将来的なトップ10入りも見えてきました。ロックが売れないと言われることもある最近ですが、シングルチャートをロック曲が売れるためにはポップ系ラジオやストリーミング辺りでもヒットして、ロック以外のリスナーに聞かれることがカギとなっています。
※先日リリースされたCharli XCXのBoysに出演したPortugal. The ManのボーカルJohn Gourleyですが、なんと肩あたりに”Charli”というタトゥーを本当に刻み込み、Charli XCXから「マジのロックスターだよ本当に!」と絶賛されていました。
YES!!!! ITS A REAL TATTOO!!! WHAT A ROCKSTAR!!! https://t.co/5aqsriBeDj
— CHARLI XCX (@charli_xcx) 2017年7月29日
https://twitter.com/charli_xcx/status/891387896804114432https://twitter.com/charli_xcx/status/89138789680411443
31 Kendrick Lamar feat. Rihanna – LOYALTY. (↑)
ビデオがリリースされて急上昇中。LOYALTY.が64位 → 31位と大きく順位を上げました。ダウンロードは50位圏外ながらも、ストリーミングが21位を記録しています。現在アーバン系ラジオ(=Hip-Hop/R&B系ラジオ)では13位と好調ですが、それだけでなくRihannaの力も借りてポップ系ラジオでもかかり始めたらさらなる本格的ヒットにもなるかもしれません。
※アルバムリリース週で14位になった以外は中下位にいる期間が長いですが、これからの粘り次第では年間チャート入りもあり得るかもです。
× The Chainsmokers feat. Halsey – Closer (↓)
1年超え(=53週以上)した曲は、26位以下に落ちたときチャートから外すというルールが適用され、1年のチャート入りの末ついに外れたのはこのCloser。いきなり9位で登場し、3週目で1位に。そこから12週連続1位、さらには歴代最長タイの32週のトップ10滞在を記録。そこからも落ちるスピードはゆるやかで、チャートの歴史を見渡しても屈指の特大ヒットだったといえると思います。Closerの後に1位となったBlack Beatles、Starboy、Bad and Boujeeが既にチャートから姿を消していることからも、この曲のロングヒットぶりがわかると思います。今年の年間チャート(個人的にトップ10入りと見ています)やはたまたオールタイムチャートでの成績が楽しみです。
※この「新・リカレントルール」が適用された10例目(Thinking Out Loud、 Shut Up and Dance、Uptown Funk、Trap Queen、See You Again、Stitches、Stressed Out、Don't Let Me Down、Cheap Thrillsに次ぐ)
※ちなみにこの曲でBlink-182の名前が挙がりますが、実はBlink-182はDrakeがアルバムチャートで無双している週の間を割ってアルバム1位を取っています。その1位を取ったのはCloserのリリース”前”ですが。個人的にはThe Chainsmokersはかなりのロックファンと思っていて、今年のアルバムでもかなりロックに系統しているサウンドを感じました。(特にSmallpoolsというバンドが関わっているBreak Up Every Night辺り) ロック曲のシングルヒットのカギは異ジャンルのリスナーに支持されることと述べましたが、その考え方だと異ジャンルのアーティストから支持されるということも重要な要素だとも思っています。このロックと他ジャンルの関わり合いは、今後チャートを見ていく上で個人的に注目している分野です。
※この「新リカレントルール」、詳しくはこの記事で……(チャートマニア向け)
チャートで今週伸びを見せた曲たち
今週最もラジオで伸びた曲 Charlie Puth - Attention
今週最もダウンロードが上昇した曲 French Montana feat. Swae Lee - Unforgettable
今週最もストリーミングが伸びた曲 Cardi B – Bodak Yellow
最も高い順位で新登場した曲 Future feat. Nicki Minaj – You Da Baddest
今週チャートから外れた曲 (14曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
99 Meek Mill – Heavy Heart (🗻99位 /⏰1週)
97 Meek Mill feat. Lil Uzi Vert – F**k That Check Up (🗻97位 /⏰1週)
96 Meek Mill feat. Young Thug – We Ball (🗻96位 /⏰1週)
95 Jay-Z – The Story Of O.J. (🗻23位 /⏰3週)
91 Romeo Santos – Imitadora (🗻91位 /⏰1週)
87 Rascal Flatts – Yours If You Want It (🗻71位 /⏰10週)
83 Meek Mill – 1942 Flows (🗻83位 /⏰1週)
79 Meek Mill – Wins & Losses (🗻79位 /⏰1週)
77 Meek Mill – Issues (🗻77位 /⏰1週)
47 Keith Urban feat. Carrie Underwood – The Fighter (🗻38位 /⏰23週)
39 The Chainsmokers feat. Halsey – Closer (🗻1位 /⏰52週)
37 Linkin Park – In The End (🗻2位 /⏰39週)
34 Linkin Park – Numb (🗻11位 /⏰33週)
Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲をピックアップしました。
(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora、Apple Music、各種ラジオなど)
Bebe Rexha feat. Lil Wayne – The Way I Are (Dance With Somebody)
(Panodra 39位、ポップ系ラジオ)
ポップ系ラジオではどの曲も支持を得ているBebe Rexhaですが客演や他人の曲*4でのHot 100入りが多いわりに当人の曲のヒットは少なめ(Hot 100入りはI Got You)のみ。2例目になれるでしょうか?
Jacquees – B.E.D. (Shazam 40位、Pandora 57位、アーバン系ラジオ)
Young Thugの最新アルバムBeautiful Thugger Girlsにも登場したJacqueesのB.E.D.がアーバン系ラジオ(=Hip-Hop/R&B系ラジオ)で好評。そのうちメインストリームにも顔を出すでしょうか。
その他Dej LoafとのYou Belong To Somebody ElseもPandora 68位とそこそこ。
Charli XCX – Boys (Shazam 10位)
Shazamでは主にラジオでかかっている曲が上位にヒットする傾向があるのですが、このBoysはラジオでまだかかっている雰囲気は無いですがShazamで10位まで登りつめています。理由はよく分からないですが、それだけ一部から高い期待を受けているということなのでしょうか。前にビルボードが「なぜ女性のヒットが今年は少ないのか」という記事で「ファンベースがしっかりしている女性アーティストを、なぜラジオ局はかけないか」と指摘し、その“ファンベースがしっかりしている女性アーティスト”の一人としてCharli XCXを挙げていたので、ラジオ局がこの曲に対してどうするかは気になるテーマではありますね!
ちなみに今週110位相当です(Bubbling Underというチャートで10位)
そのなぜ女性のヒット、の記事↓
*1:3作連続
*2:2013年になら、一回だけHot 100入りの実績あり
*3:かつてこの2人は音楽的な絡みもあったようで、2014年初頭、つまりFancyのヒット前にModern Jesus [Charli XCX Remix]という曲をリリース。リミックスといっても声は出しておらず、DJリミックスのような形です。雰囲気はファーストアルバムのTrue Romanceを彷彿とさせる雰囲気です。Portugal. The Man - Modern Jesus [Charli XCX Remix] - YouTube
*4:&でくくられるが他人のアルバム用の曲という意味