今週は再登場が多めで新エントリーが少なめです。つまり、新しい見どころが少ないということでもあります。しかし、そんな週にも掘るべきポイントはたくさんあります!
そんなディープなテーマを掘る週となりますが、今週もよろしくお願いします。
100 Dej Loaf – No Fear (New)
ポップやアーバンなど複数系統のラジオ局で支持を得ているDej LoafのNo Fearが100位で登場。これで客演を入れて4曲めのHot 100入り。今までHot 100に入った3曲(Try Me、Back Up、Kid InkとのBe Real)はいずれもピークが40位台半ばで、わずかにトップ40に届かず。今回はトップ40の壁を超えられるでしょうか?ポップ系のラジオでさらに伸びてくれば勝算あり。
97 Miguel feat. Travis Scott – Sky Walker (New)
リリースが反映される最初のチャートは先週でしたが、Lil Uzi VertとXXXTENTACIONのアルバム曲大量登場によりHot 100入りならず。リリース2週目は初動の注目度が落ちる*1から1週目よりも低い数字が出る傾向にありますが、このSky Walkerは2週目にあたる今週も堅調に数字をキープし、Hot 100入り。97位。
91 Lil Uzi Vert – Dark Queen (↑)
Hot 100に大量エントリーするようなアルバムのリリース後、シングル化された曲以外はだんだん落ちてHot 100から少しずつ脱落していきます。Lil Uzi Vert・XXXTENTACIONのアルバムから登場した計18曲から、Lil Uzi VertとThe WeekndのUnFazedなど7曲が「脱落」、しかしこのDark Queenだけは唯一順位を上げています。Hot 100に大量エントリーした曲のうち長く生き残った曲が順当にシングル化されることも、意外な曲がシングル化されることも両方ありますが、この2アルバムからは何が今後シングルとして残っていくのでしょうか?個人的な感覚だとシングル以外で5週以上Hot 100に残れば、爪痕を残したといえると思います。
アルバムの純セールスはLil Uzi Vertが34位、XXXTENTACIONが38位ながらもストリーミングの好調によって今週のアルバムチャートでもそれぞれ2位、3位と高めの順位をキープしています。
ちなみにアルバムチャート今週の1位はLCD SoundsystemのAmerican Dreamに。セールスが好調で初のアルバムチャート1位を成し遂げました。セカンドはアルバムチャート46位、サードは同10位、そして今回の4枚めは1位と枚を追うごとにアルバムチャートでぐんぐん順位を上げています。
※先週「アルバムチャートで注目かもしれない」と言ったEXOのEPですが、200位圏内にも入らず。来週200位圏内に入る可能性もありますが、結局入らない可能性が高い気がします。iTunes「瞬間」2位のこのEPでも(多分)200位圏内に入れなかったので、同じく週途中リリースなど条件の似ている宇多田ヒカルのFantômeは「瞬間」6位ではより厳しいということが分かります…………
90 Young Thug feat. Future – Relationship (Re)
先述したように先週は大量エントリーによってHot 100のボーダーラインが上がりましたが、今週は少し落ち着いてきたので5曲が再登場。このYoung ThugとFutureの先々週に続いて2回めの再登場です。Complexの「20代ベストラッパー」という企画でChance the Rapperに次いで2位*2に選ばれた彼ですが、意外にも自身の曲でのトップ40が無いです。客演でのトップ40はあるのですが、トップ10は無いです。アルバムも最高位7位とチャート成績的にはもう一歩欲しいところですかね。評論家、ファン等からの評価がメインストリームに響くと良いですね。
86 LANCO – Greatest Love Story (New)
昨年初のEPをリリースしたカントリーグループ、LANCOが初のHot 100入り。Greates Love Storyが86位で登場。表記がLANcoとなっている場合もあります。
81 Halsey – Bad At Love (New)
ポップ系ラジオで上昇中のBad At LoveがHot 100に登場。Halseyは表紙を飾った直後にHot 100から落ちた先週の無念をすぐに晴らしました。ビデオが公開されたこともプラスに働いています。Now or Neverくらいヒットするかは分かりませんが、ラジオが順調なのでしばらくは伸びそうです。
77 Bhad Bhabie – These Heaux (New)
ここ最近増えてきたYouTuberによるラップ。Bhad bhabieのThese Heauxが77位で登場。YouTuber曲はラジオ・ストリーミングサービス等ではあまり聴かれず、ダウンロード・YouTubeでの局地的な熱狂によってHot 100入りしているのですぐに落ちてしまう傾向があるのですが、いつかその壁を破って人口に膾炙する日は訪れるのでしょうか。
※ちなみにこのBhad Bhabie、通称Danielle Bregoliさんの関連チャンネルにはJake Paulの名前が。Jake Paulは最近のYouTuberラップで真っ先にHot 100に登場した人で、知名度が高いようです。特にIt’s Everyday Broが人気のようで、今年リリースされたYouTubeの音楽ビデオの中で(現在)77番目にあたる約1億2000万再生というそこそこの数字を記録しています。しかし、それ以上にすごいのが低評価の数。なんと今年リリースの曲ながらもビデオに押された低評価の数が「歴代」3番目という圧倒的な多さです。(1位はJustin BieberのBaby、これは圧倒的な数字の低評価を記録していてこれを抜かすのは至難の技と思います。)
27 Maroon 5 feat. SZA – What Lovers Do (↑)
Maroon 5とSZAのWhat Lovers Doが27位にジャンプアップ。はじめて7日分フルにされたのが今週で事実上のデビュー週です。他のMaroon 5の曲と同様に主にポップ系のラジオで好調で、今の勢いを維持できればトップ10にいずれ辿り着きそうです。SZAにとっては自身のLove Galoreを上回る順位を記録しています。
15 Niall Horan – Slow Hands (→)
現在、ポップ系ラジオでは元One Direction勢が急上昇中。特にNiall HoranのSlow Handsは同ラジオ3位、かつ今週ラジオの伸び幅が最大と勢いの良さが伺えます。ラジオでの順調ぶりを見る限り、Liam Payneに続くグループ4人目のソロトップ10を達成する日は近いか。
そのLiam PayneのStrip That Downもラジオでまだまだ上昇中で、他の曲の動向にもよりますがトップ10再登場の可能性は十分にありそうです。ただし、ZeddとのGet Lowは最近下り坂になっていて、Hot 100再登場の可能性は低いです。
一方Louis TomlinsonのBack to Youはここ最近停滞気味で、他のメンバーのようにポップ系ラジオの上位に入れず。Hot 100でのトップ10入りはまだお預けでしょうか……
4 Taylor Swift - ...Ready For It? (New)
日曜日に緊急リリースされた...Ready For It? がいきなり4位で登場。ダウンロードが自身のメガヒットLook What You Made Me Doとのレースを制して今週1番多かったことが今週4位デビューの理由だと思います。ストリーミングでもそれなりの調子で、週の半ばには一時期Spotifyで1位でした。(ストリーミング全体では今週11位)プロモーションシングル、つまりアルバム宣伝用の曲なのですがラジオでも少しかかっているみたいです。
これでテイラーは14曲めのトップ10デビューに。これは最も多い曲数で、テイラーが曲をリリースすれば常に最大級の注目を浴びている、ということが分かるデータだと思います。純粋なトップ10としてはこれで22曲めで、Madonna、Rihanna、Mariah Carey、Janet Jackson、Whitney Houstonに次ぐ歴代6位の多さです。
Taylor Swiftの2曲、Cardi Bの躍進によってトップ4に女性が3人以上入るのは2014年以来、とビルボードは紹介しています。当時トップ4に名を連ねていたのは。(Taylor Swift、Meghan Trainor、Nicki Minaj、Iggy Azalea、Jessie J、Ariana Grande、Rita Ora、Tove Loによる)
なぜトップ「4」という中途半端な基準を採用しているかは分かりませんが、いずれにせよ女性シンガーのヒット不足が嘆かれていた今年でしたが、少し盛り返してきたということが分かります。5位には1-800-273-8255で客演を務めるAlessia Caraが入ってきています。*3
※ちなみに2014年のその時期にトップ5が女性によって独占された週もあります。↓参考
あとはこの時期にIggy AzaleaとAriana Grandeが「同一アーティストがトップ10に同時3曲エントリー」という歴代で14回しか出ていない珍しい記録を同じ週に達成するなんてこともありました。2014年は女性のヒットがとても多かったです。
女性 / 男性によるチャート支配についてはこの記事で書いています↓
2 Cardi B – Bodak Yellow (↑)
Despacitoを抜かして2位に浮上したBodak Yellow。「Nicki MinajのAnaconda以来のトップ10」ということがよく報じられていますが、今週そのAnacondaのピークに追いつきました。そのAnacondaを超えていずれか1位に上がることはできるか?現状ではポップ系ラジオで苦戦していて、まだまだ厳しそうですが……
ちなみに女性ラッパーによるHot 100の1位獲りは至難の技でNicki Minajですらまだ1位は無いです。歴代のソロ女性ラッパーで1位を獲得したのはわずか4人で、Lauryn HillのDoo Wop、Lil Kimほか3名のLady Marmalade、Ludachrisの客演だったShawnnaのStand Up、そしてIggy Azalea*4のFancy。
参考↓
× Kendrick Lamar feat. Zacari – LOVE. (↓)
ほぼストリーミングのみでHot 100に残り続けていたKendrick LamarのLOVE.でしたが、チャート滞在が20週めとなりルールにより無念のHot 100退散。今週ようやくアーバン系ラジオでかかり始めたようですが、少し遅かったでしょうか。ビルボードが上昇の見込みがある曲と認定すればHot 100入り復帰はできますが、その「上昇の見込み」の基準が「ピークを更新できるか?」にある気がするので、ピークが18位と高いLOVE.が再登場する可能性は低そうです。50位以上になれば文句なしで復帰はできますが……
今週似たような理由でDNA.もチャートから姿を消し、残るDAMN.からのシングルはHUMBLE.(21位)、LOYALTY.(36位)に。
※ストリーミングでは同一アーティストの複数曲がリリース時から同時に注目されますが、ラジオでは同一アーティストの曲は時期をずらして流れるため、ストリーミングとラジオのサイクルがずれる場合があるのは仕方がないのかもしれません……
× Kygo & Selena Gomez – It Ain’t Me (↓)
Kygoにとって初のトップ10を記録したSelena GomezとのIt Ain’t Meがチャートから姿を消しました。Kygoの代表曲FirestoneですらHot 100で92位だったので、このIt Ain’t Meでの10位は大躍進といえます。この勢いに続いて自身のシングルのヒットに繋げたかったSelena Gomezでしたが、評論家期待のBad Liarは不完全燃焼のままチャートを後に……そして続くFetishも9週目で65位とかなり下降中で…………このままこの路線を押し通すか、ヒットを狙いに行くか見ものです……
チャートで今週伸びを見せた曲たち
今週最もラジオで伸びた曲 Niall Horan – Slow Hands
今週最もダウンロードが上昇した曲 Maroon 5 feat. SZA – What Lovers Do
今週最もストリーミングが伸びた曲 Logic feat. Alessia Cara & Khalid – 1-800-273-8255
最も高い順位で新登場した曲 Taylor Swift - ...Ready For It?
今週チャートから外れた曲 (12曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
99 Fifth Harmony feat. Gucci Mane – Down (🗻42位 /⏰10週)
97 Demi Lovato – Tell Me You Love Me (🗻97位 /⏰1週)
95 XXXTENTACION – Carry On (🗻95位 /⏰1週)
94 XXXTENTACION – Save Me (🗻94位 /⏰1週)
91 XXXTENTACION – Depression & Obsession (🗻91位 /⏰1週)
90 Lil Uzi Vert – No Sleep Talk (🗻90位 /⏰1週)
85 Kendrick Lamar feat. Zacari – LOVE. (🗻18位 /⏰20週)
84 Lil Uzi Vert feat. The Weeknd – Unfazed (🗻84位 /⏰1週)
82 Lil Uzi Vert – For Real (🗻82位 /⏰1週)
80 Lil Uzi Vert – Two (🗻80位 /⏰1週)
63 Kendrick Lamar – DNA. (🗻4位 /⏰20週)
45 kygo & Selena Gomez – It Ain’t Me (🗻10位 /⏰29週)
Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲をピックアップしました。
(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora、Apple Music、各種ラジオなど)
Sam Smith – Too Good At Goodbyes (Spotify2位 Shazam 13位 など)
来週のHot 100で最注目の1曲。ダウンロードでこの週1位が濃厚なほか、Spotify2位+Apple Music6位。そしてラジオも急上昇で、3つの指数すべて順調。1位は”Look”のままだとは思いますが、かなり高い順位での登場が見込まれます。
Thirty Seconds To Mars – Walk On Water (Shazam 2位)
週半ばのリリースだったことから、ポイントが割れてリリース時にはHot 100に登場しjませんでしたが、ロック系ラジオで現在急上昇中。ラジオの好調が続けばいずれHot 100に登場するかもしれません。
G-Eazy feat. A$AP Rocky & Cardi B – No Limit (Shazam 32位、Spotify96位)
現在脚光を浴びているCardi Bが客演にいるG-EazyのNo Limit。ストリーミングで意外と調子が上がりませんが、アーバン系ラジオではバンバンかかっているみたいです。
MAX feat. gnash – Lights Down Low (Shazam 58位)
Jonas Blue feat. William Singe - Mama (Shazam 98位)
Hot 100に入りそうで入れない、ポップ系ラジオでの人気曲たち。特にこの2曲は勢いがストップしてきていて、来週あたりでHot 100に入らないと将来的なHot 100入りは厳しそうです。
Naughty Boy feat. Beyoncé & Arrow Benjamin – Runnin’ (Shazam 92位)
日本でも放映されているシャネルのCMに採用された曲。アメリカと同じ曲を日本でも採用しているのですね。Hot 100に入る程の成績を記録しているわけではないですが。
*1:特にダウンロード
*2:今年に入ってDrake、Kendrick Lamarが30代になって上位の席が2つ空いた
*3:ビルボードはチャートで載せる1-800-273-8255の写真になぜか客演のAlessia Caraを採用しています
*4:今年Switchという曲をリリースしたIggy Azaleaでしたが、Hot 100には入らず。客演はブラジル人シンガーAnittaという人で、おそらく彼女を英語圏でブレイクさせようという狙いがあったのかもしれませんが、うまくいかず。逆にAnittaが大人気の母国ブラジルではSpotifyで一時期2位になるなどこのSwitchが人気に。Iggy AzaleaがAnittaのおかげで再注目される構図に。