ソース Live iTunes US Popularity Bars *1
iTunesのランキングを眺めていたら火曜日にひとつ、目立った動きがありました。それは、韓国のグループ、BTSの躍進。一時期はiTunes 4位と高い順位につけていました。
今回のEPではThe Chainsmokersが制作に携わるなど、世界的ヒットも視野に入れた作品なのだと思います。
シングルのiTunesでここまで躍進すれば、Hot 100にもしかして入るのでは?と感じたので、この曲の要素を分析しながら、他の曲との比較で実際にHot 100に入りそうかを検証しました。
要素1 週途中のリリース 比較 DJ Khaled & Drake - To The Max
まず、このDNAのチャート動向を考えるうえで大切なことはあります。それは「週の途中」リリースという点です。「週の途中」とはどういうことか?
現在、世界的に音楽のリリースは金曜日に行われています。それに合うように、ビルボードはじめ多くの国のチャートはダウンロード、ストリーミングの集計を金曜日~木曜日のサイクルで行っています。つまりチャート的な一週間は金曜スタート~木曜終わり、なのです。この場合「週の途中」とは金曜日以外の曜日のことを指します。
ただし、一部の曲が金曜日以外にリリースされます。すると、多少チャートで不利になってしまいます。一般的に曲のダウンロードがまず多く集まるのはリリース初日ではないでしょうか。ファンならば情報を聞きつけ、早めにダウンロードするであろうからです。その後は、1日目、2日目、3日目…とゆるやかにダウンロードを落としていくのが定番です。ただし、3日目、4日目……の数字も無視できるほど小さくなるわけではないです。
つまり、「週の途中」リリースだと初日のインパクトが生きる週と、7日分フルにカウントされる週が2つに別れてしまうのです。この理由で、「週の途中」リリースの曲はチャートでやや不利なのです。ただし、他の新曲リリースが少ないなかで曲がリリースされるので「目立つことができる」という効果もあるといえばあります。現状では「金曜リリース」という週間が定着していて、金曜以外に新曲をチェックが集中している気もしますが…………
話をDNAに戻します。DNAは月曜リリース、「週の途中」リリースなのです。つまり、金曜日~日曜日の分が集計されないということです。月曜日リリースの曲は週単位で、ダウンロードがどのくらいの順位になるのか? 同じく月曜日リリースの曲と比較して検証しましょう。
今回引き合いに出すのは、DJ KhaledのTo the Max。直近の月曜リリースの曲です。
参考にするデータは iTunesシングルの過去アーカイブです。最近よく登場する kworb.net 様です Index of /pop/archive
To the MaxのiTunesシングルの順位推移は以下のようでした。
月曜日 6/5 (リリース) 9位
火曜日 6/6 9位
水曜日 6/7 19位
木曜日 6/8 26位 (集計終了)
この成績で週単位でのダウンロード成績は 30位、でした! 参考
週の途中のわりには巻き返した、ともいえるかもしれません。
ではDNAのiTunesシングルの順位推移を見てみましょう。
月曜日 9/18 (リリース) 5位
火曜日 9/19 10位
水曜日 9/20 32位
木曜日 9/21 ??? (集計終了)
ピークの順位はTo the Maxを上回っていますが、水曜日から順位落としています。この推移から見るあたり、週単位のダウンロードはTo the Maxよりは低くなるかもしれません。ただ、ピークが高いのでビルボードのダウンロードチャートで表示される50位圏内に入るのでは、と考えています。
つまり 「週の途中」のリリースでチャートでやや不利だが、iTunesでしっかりと数字を出している。週のダウンロード順位は40位程度?といったところです。
要素2 ダウンロードだけでどこまでいける? 比較 Lauren Duski – Ghost in This House
アメリカのシングルチャート、Hot 100はダウンロードだけで計算されているわけではないです。ダウンロードに加え、ラジオ・ストリーミングも集計の対象です。つまり、何か一つ「だけ」が良くてもHot 100に入ることはハードルが高いというわけです。ちなみに比率はダウンロード35-45%、ラジオ30%-40%、ストリーミング20%-30%とされていますが、それ以上の情報は公開されていません。*2
では、ダウンロード「のみ」でHot 100入りを当確させるにはどれくらいの順位に入ればよいのでしょうか?ここではLauren Duski のGhost in This Houseという曲です。
この曲はThe Voiceというオーディションで披露された「カバー」で、ラジオでもかからず、Apple MusicやSpotifyにも音源が上がっていないのでほぼストリーミングも無し、つまり純粋なダウンロード「のみ」でHot 100の順位がどこまで上がるか?という点を検証できる曲なのです。
さらに、この曲はHot 100で98位だったので、この曲のダウンロード順位が「Hot 100に入るかどうか」の参考基準になる、ということもいえるのです。
では、この曲のダウンロード順位はというと……12位! 参考
つまり、ダウンロード「のみ」でHot 100に入るには週12位程度のダウンロードが必要なのです……
DNAはTo the Maxの30位を下回る程度のダウンロードなので、ダウンロード「のみ」でHot 100当確、にはならないということが分かります……
しかし、BTSには強力な「援護射撃」があるのです。
要素3 K - Popのファンベース? 比較:CL - Lifted
次に、今までの他のK-PopのHot 100エントリーとの比較を行います。
直近のエントリーはCL のLifted。そのHot 100エントリーをビルボードは単独で記事にしています。 *3
この記事内でこのような記述があります。
The song debuts on the Hot 100 with nearly all its chart points from 5.2 million U.S. streams in the week ending Oct. 6, according to Nielsen Music.
ポイントのほとんどをストリーミングで稼いでHot 100に入ったと書いてあります。ストリーミングといえば代表的なものはSpotify。しかしこのLiftedはSpotifyで200位圏内に入ったことはない模様で、Apple Music*4かYouTubeで再生されていることが有力*5です。
また傾向として、Apple MusicはHip-Hop / R&B系統がかなり強め、Spotifyは相対的にポップ強め(こっちでも強いのはHip-Hop / R&B系統)というものがあります。Liftedはどちらかというとポップ系なので、Spotify < Apple Musicになるとは考えづらく、残るYouTubeでポイントを稼いだと思われます。*6
PSYもYouTubeで飛躍したことがよく知られており、K-Popが伝統的にYouTubeで強いことが伺えます。
実際今回もBTSのDNAもリリース後24時間の再生回数が歴代11位になるなど、YouTubeで絶好調。さらにLifetedが約1年で稼いだ再生回数を、DNAはリリースからわずか3日で抜かしており期待はかなり高まります。
ほぼYouTubeのみでHot 100に入った曲をYouTubeの再生回数で抜いたのならば、かなりHot 100入りの可能性が高いといえそうです!一応、国別の比率が不明なことや、相対的な比率が不明なので「確定!」とも言い切れませんが……
要素4 BTSが115位に入った時は? 比較:BTS - Spring Day
実はBTS、以前にもHot 100に迫ったことがありました。その時入ったBubbling Underは100位以下を扱うチャートで、そのチャートで15位というのは115位相当を意味します。
このチャートアクションをビルボードは記事にしています。
この時約14000ダウンロードを記録した、と健闘しましたが、ダウンロードの週間順位では50位以下でした。またSpotifyなどのストリーミングサービスでも200位圏内に入れず、惜しくもSpring DayはHot 100に入らず115位止まりでした。
しかし、今回のDNAはSpring Dayのときよりも強力です。ダウンロードは50位以上に入る可能性があり、YouTubeでも歴代記録にも入るような強さを発揮。さらにSpring Dayでは入っていなかったSpotifyでもDNAはエントリー。現在55位まで浮上!さまざまな要素でSpring Dayの時よりもチャート的プラスアルファが見られます。
115位のときよりも一歩進んでいる……これは100位圏内に入りそうです!
まとめ
以上の検証、特に3と4の部分から、BTSのDNAは次回のHot 100に入る可能性が高いと思われます。
ファンの間でもBTSのHot 100入りは悲願なようで、ファンの間で #BTSHOT100 というタグが使われているようですね
この悲願を何位で成し遂げることが出来るのか?来週のHot 100の注目ポイントになりそうです!
そして!!!
見事85位でHot 100入りしました!
その週の私のHot 100解説はこちら↓
*1:非公式サイトですが、ビルボードのダウンロードチャートと数字があっているので正確。むしろ、公式のiTunes Songs Chart のほうがビルボードのダウンロードと違う点が多くて不正確。
*2:私はコレを「継ぎ足しの秘伝ダレ」と呼んでいます……
*3:よろしければ、その週の私のHot 100解説記事も……
*4:過去のランキングを参照する手段なし
*5:規模が大きいのはその2つ、Pandoraも規模が大きいと思いますが当時はPandoraはHot 100に計上されていない
*6:ですが、YouTube自体も週のYouTubeトップ25に入っていないので、これもそこまで多くのポイントを稼いでいないと思われます。YouTubeのポイントがそれなりの割合にはなっているとは思うのですが、このLifted、イマイチ何でチャートポイントを稼いだかはよくわからないです