チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 12/9 見どころ 【Go Lani!Go Lani! +AMAで複数曲がダウンロード増】

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R&B界で期待を受ける歌姫Kehlaniが客演でHot 100に登場しています。まだトップ40が無いのでこの曲でトップ40に入れると良いですね。タイトルのGo Lani!Go Lani!というフレーズは曲の最後にLil Yachtyが言うフレーズです。LaniはKehlaniのことです。彼はKehlaniとコラボするのが夢だったみたいです。


グラミーの主要部門(Alubm of the Year、Song of the Year、Record of the Year、New Artist)にはノミネートされていないKehlaniですが、なぜかグラミーのノミニーのページのトップ画像に採用されています。Kehlaniがエントリーしているのは、DistractionのR&Bパフォーマンス、Undercover (Adventure Club Remix)のリミックス部門。後者はリミキサーに与えられる賞な気がしますが!

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ボブ・ディランケリー・クラークソンも主要部門にノミネートされてはいませんがね)

 

100 Calvin Harris feat. Kehlani & Lil Yachty – Faking It (New)

Calvin Harrisの今年のアルバム、Funk Wav Bounces Vol.1 から5曲目のシングルFaking Itが100位で登場。ポップ系・リズミック系などラジオが好調です。ストリーミングの数字が着いてくれば上位も見えてきますかね。

トップ40に入るようなヒットになり、(この中でトップ40入りの経験がない)Kehlani*1のさらなる飛躍のきっかけになれば嬉しいです。客演の立場から二人をトップ10に導いた(BroccoliでDRAMを、iSpyでKyleを)トップ10請負人Lil Yachtyは再びパワーを発揮できるか!

※Radio Editバージョンがストリーミングで多く流布しているようですが、元バージョンとRadio Editの違いは、Fワードが消されていることと、上記したLil Yachtyの最後の”Go Lani!Go Lani!”という掛け声が消されているところです。

 

 

98 Tim McGraw & Faith Hill – The Rest Of Our Life (New)

今週アルバム2位のTim McGrawとFaith Hillのタッグ作からの1曲。The Rest Of Our Lifeが98位で登場。

今週のアルバムチャートは先週に引き続きTaylor Swiftが1位。デビュー曲のタイトルがTim McGrawだったテイラーですが、2週目ながらもそのTim McGrawにダブルスコアを付けて1位をキープしています。

ほかアルバムチャートの4位にはGarth BrooksのCDボックスセット(CDのみ販売)など。クリスマスアルバムもじわじわ上昇中で、PentatonixのA Pentatonix Christmasが5位、SiaのEveryday Is Christmasが27位(新リリース)など。

 

96 YoungBoy Never Broke Again – No Smoke (New)

YoungBoy Never Broke AgainがUntouchableに引き続き2曲目のHot 100入り。No Smokeが96位で登場。今年のワイルドスピードのサントラにも登場し、21 Savageと共演しました。ルイジアナ出身。

 

92 Tank – When We (New)

TankのWhen Weが92位で登場。アダルトR&B系ラジオで1位など、ラジオのポイントが効いてHot 100に登場しました。16年前にトップ40入りをしたベテランR&Bシンガー。Hot 100への登場は2011年以来(客演で)、自身の曲では約10年ぶりの登場です。複数Chris Brownと組んだ曲があります。

 

90 Machine Gun Kelly, X Ambassadors & Bebe Rexha – Home (New)

映画Brightのサントラからの1曲。同サントラから現在3曲がリリース済みですが、これが初のHot 100登場。近年ポップ系アクトとの共演が続く*2Machine Gun Kelly、昨年Suicide SquadのサントラでSucker For Painのヒットに寄与したX Ambassadors、そしてBebe Rexhaの3人によるコラボ曲です。

同サントラからのその他の曲もそれなりに好調で、Future, Ty Doll $ignとKiiaraのDark Sideが先週の122位相当、そしてBastilleのWorld Gone Madがオルタナティブ系ラジオで急上昇中です(この系統での伸び幅今週最大です)まだリリースされていない曲の中ではMarshmelloとMigosの曲が大きな注目を集めそうでしょうか。ほかPortugal. The Man、Lil Uzi Vert、Logicなど今年ヒットを飛ばした面々、Rag’n’Bone Man、Alt-Jなどイギリス勢などがアルバムに登場します。

※David GuettaなどのDJ、G-Eazyなどのラッパー、そして最近はカントリーのFloriga Georgia Lineと幅広いジャンルとタッグを組んできたBebe Rexhaですが、このHomeではロックバンドのX Ambassadorsと組み、さらに幅を広げています。

 

86 Taylor Swift feat. Ed Sheeran & Future – End Game (New)

Taylor Swiftのアルバム内注目シングル、End Gameが86位で登場。客演はFutureとEd Sheeran。アルバムリリース時はアルバム内の曲をシングル単位で買えなかった(アルバムごとしか買えない!)のですが、それが後にシングル単位で変えるようになったこと、そしてポップ系ラジオでの上昇でポイントが増えHot 100に登場しました。相変わらずストリーミングには解禁されていません。

現状の勝負シングルは..Ready For It?で、こちらはまだ「プロモーションシングル」扱いのようです。ですがアルバムReputationの全曲をポップ系ラジオがかけている、という情報もあるので、その中の人気曲が正式シングルではないものの、そこそこラジオでかかっているという状態でしょうか。

ストリーミングサービスにもまだ流れておらず、またシングル化のタイミングでリリースされる傾向のあるビデオも無いので、しばらくはHot 100集計の3大要素を欠きながらチャートで勝負することに。シングル化すれば何かしらのプロモがあるでしょうが。

※Chance the Rapperは昨年同じくHot 100集計の3大要素を欠きながら(ダウンロード抜き)チャートで戦い、見事Hot 100の43位まで到達。大健闘でした。3大集計要素のうち、比率は(ダウンロード>ラジオ>ストリーミング)なので、ここまで到達するとは意外でした。逆にEnd Gameが欠いているのは一番比率の低いストリーミングなので、案外問題なくチャートを駆け上がるかも。

 

※2012年のアルバムRed収録のEverything Has Changedでもタッグを組んだTaylor SwiftとEd Sheeranですが、当時は両者ともカントリー要素、アコースティック要素が強く、現在のスタイルとの違いから少し隔世の感があります。

 

79 Lil Peep (feat. Lil Tracy) – Awful Things (New)

Lil Peepの急逝を受けて関連曲がストリーミングを中心に最注目されました。Awful Thingsが79位で登場しています。これがLil Peepにとって初のHot 100に。ビルボードは表記していませんでしたが、Lil Tracyという客演が表記されている場合もあります。

またこの曲が収録されたアルバムCome Over When You’re Soberが38位に上昇しています。(ピーク更新しています)

 

47 Luis Fonsi & Demi Lovato – Échame La Culpa (New)

Despacitoで世界的ブレイクを遂げたLuis Fonsiの次なる挑戦、Demi LovatoとのÉchame La Culpaが47位で登場。順調な出だしといえます。リリース初週の今週はダウンロードが主なポイント源ですが、YouTube今週1位、Spotifyでも中位につけるなどストリーミングでも好調なので今後も期待が持てそう。まずは目指せトップ40ですかね。

Spotifyグローバルでは既にトップ10入り

 

29 6ix9ine – Gummo (↑)

先週58位でHot 100に登場した6ix9ineのGummoですが、さらに今週順位を伸ばして29位まで到達。トップ40入り。勢いが凄まじいです。

先週Hot 100で6位まで到達したBobby ShmurdaのHot N***aと比較しましたが、そのHot N***aを上回る破竹の勢いでチャートを駆け上がっていて、どこまで上昇するか楽しみです。

※Hot N***aは3週目で53位、4週目で45位、5週目で25位でした。2週目で29位のGummoはこのペースを維持できるでしょうか

 

20 Selena Gomez & Marshmello – Wolves (↑)

11/19に行われたAmerican Music Awardでパフォーマンスされた複数曲がダウンロードで上昇。95位にP!nkのBeautiful Traumaが登場(次のシングル)、93位にMacklemoreのGloriousが再登場。また、Hailee SteinfeldなどのLet Me Goが66位→53位、KhalidのYoung Dumb & Brokeが29位→22位、Demi LovatoのSorry Not Sorryが12位→9位と順位を上げる曲も多く見られました。

その中でも一際大きく順位を上げたのはSelena GomezとMarshmelloのWolves。パフォーマンスによるダウンロード上昇だけでなく、iTunes値引き、ビデオのリリースと複数の宣伝が効きました。ちなみに今週の20位はBad Liarのピークと同じ順位。今後もHot 100で順位を上げてBad Liarを超えられるでしょうか。

※同じくAMAでパフォーマンスされ、少し順位を上げたFeel It Still(9位→8位)は今週Alternative系ラジオチャート(Alternative Songs)で20週目の1位を記録。同チャートで歴代最長の1位曲となりました。*3

 

1 Post Malone feat. 21 Savage – rockstar (→)

ラジオを大きく伸ばし、ダウンロードも1位をキープして猛追してくるHavana。それをかわしたPost Maloneのrockstarが7週目の1位。ビデオのリリースが1位をキープできた要因の一つと思われます。Havanaほどでは無いですが、rockstarもなかなかラジオで好調で、今週ラジオ4位に浮上。これは今年Hot 100で1位になった5曲のうちで最も高いラジオ順位です。アーバン系などヒップホップ関連の局だけではなく、規模の大きいポップ系でもある程度人気な点がラジオでの好調につながっています。

 

※rockstarのつくラップ曲といえば 10年前にShop BoyzのParty Like A Rockstarという曲がヒットしていました。週のピーク2位で年間14位でした。こちらはトラックもロックを意識したサウンドになっています。個人的には今リリースしてもそこそこヒットになる気がするのですが、どうでしょうか。ノリやすいサウンドでストリーミングとの相性が良いように思います。

 

× The Chainsmokers & Coldplay – Something Just Like This (↓)

ピーク3位、チャート39週滞在と好成績でチャートを後にしたSomething Just Like This。

Closerに引き続き、【リリース時から大きく注目を集めてダウンロードとストリーミングが爆発的に上昇 → その後ラジオでポイントを稼ぎつつ緩やかに降下】というヒットの必勝法パターンを受け継いでいました。Closerほどの爆発力はなく、週間で1位は取れませんでしたが、ラジオで長持ちだったこともありロングヒットに。Coldplayの影響もあってロック系のラジオでもそこそこ人気でした(ロック系ラジオ最高8位)

ラジオの影響でロングヒットになった曲は総合的に見るとヒット度が高く、年間チャートでは高く出る傾向にあります。年間トップ10入りが見込まれます。

 

× Lil Uzi Vert – XO TOUR Llif3 (↓)

Lil Uzi VertのXO TOUR Llif3がピーク7位、チャート滞在34週という結果を残してチャートを後に。それまでの自身の曲での最高位がYou Was Rightのピーク40位なので、このシングルで一気に飛躍したことが分かります。

このXO TOUR Llif3のヒットを機に注目度がさらに高まり、今年8月にリリースされた初のスタジオアルバム、Luv Is Rage 2は収録曲のうち10曲がHot 100に入りました!デビュー作でここまで多くの曲が入ったのは偉業です。

 

 

このような活躍もあって、今年のグラミー新人賞にノミネートされました。ほか、ベストラップパフォーマンス部門には客演を務めたBad And Boujeeがノミネートされています。

 

※Rap/Sung パフォーマンス部門にノミネートされたGoldlinkのCrewも今週Hot 100から外れました。

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Camila Cabello feat. Young Thug - Havana

今週最もダウンロードが上昇した曲 Selena Gomez & Marshmello - Wolves

今週最もストリーミングが伸びた曲 6ix9ine - Gummo

最も高い順位で新登場した曲          Luis Fonsi & Demi Lovato – Échame La Culpa

 

※先週表示されていなかったジャンル別「最も伸びた」が今週復活していました。先週は単なる編集ミスでしょうか

 

今週チャートから外れた曲 (11曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

 

100 Future & Young Thug feat. Offset – Patek Water (🗻50位 /⏰4週)

96 G-Eazy – The Plan (🗻96位 /⏰1週)

92 Florida Georgia Line – Smooth (🗻89位 /⏰7週)

89 Taylor Swift – Gorgeous (🗻13位 /⏰4週)

88 21 Savage, Offset & Metro Boomin feat. Quavo – Rap Saved Me(🗻64位 /⏰3週)

73 Taylor Swift – Call It What You Want (🗻27位 /⏰2週)

69 Keith Urban – Female (🗻69位 /⏰1週)

50 Goldlink feat. Brent Faiyaz & Shy Glizzy – Crew (🗻45位 /⏰21週)

49 The Chainsmokers & Coldplay – Something Just Like This (🗻3位 /39週)

48 Lil Uzi Vert – XO TOUR Llif3 (🗻7位 /34週)

43 Kane Brown feat. Lauren Alaina – What Ifs (🗻26位 /⏰23週)

 

 

来週以降にHot 100に入るポテンシャルを持った曲をピックアップしました

 

Kodak Black feat. Lil Wayne - Codeine Dreaming

Roll in Peace、Transportin’などが収録されたミックステープBaby Project 2に追加された曲が好調。Apple Musicではトップ10に入っているのでストリーミングのポイントで来週はHot 100入りですかね。

 

Chloe Kohanski - Total Eclipse of the Heart

Addison Agen - A Case of You

The Voiceでパフォーマンスを行った数名がiTunes上位に。ただしストリーミングで解禁されていないため、ポイントがダウンロードでしか期待できず、そのダウンロードも週半ばリリースなのでやや厳しいかも。

 

Jane Zhang - 808 (Jack Novak Remix)

Jane Zhang - Work for It

Kris Wu - B.M.

中国のスター、Jane ZhangとKris Wuが瞬間的にアメリカのiTunes トップ10に登場。すぐに落ちてしまったため、Hot 100に入るようなことはなさそうです。

Kris Wu(元EXOで中国出身)は前回のDeserveは104位相当にランクインしましたが、今回はそこまで行けなさそうです。

 

 

*1:Gangsta =41位、Good Life=59位と映画のサントラ収録曲でそこそこ上位につけたことはありますが、映画のタイミングで「のみ」急浮上するので、あまり本格的なヒットとはいえず……自身のDistractionとCRZYは両方85位ピークです。

*2:アルバムで多くのポップ系シンガーを迎えただけでなく、Little Mixの客演にも登場

*3:MuseのMadnessを抜いての