チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 1/27 見どころ 【Dua LipaがUSトップ10 / カミラのシングル&アルバム両取り】

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 今週はDua Lipa、Camila Cabelloと女性シンガー2人が活躍。前者はイギリスの女性シンガーとしては珍しいUSトップ10を記録、後者はシングルとアルバムの両方で1位を獲得しています。

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 また、The Cranberriesのボーカルが亡くなったことを受けて、何曲かがダウンロードを伸ばしていましたが、Hot 100には1曲も入りませんでした。

 

 

98 Enrique Iglesias feat. Bad Bunny – El Baño [New]

 スペイン出身のシンガーEnrique IglesiasがBad Bunnyを迎えたEl Bañoが98位で登場。既にラテン系ラジオでは8位まで到達しており、ラジオで人気のようです。

客演のBad Bunnyは昨年、ラテン系の楽曲で多く客演を担当。今週Hot 100に入っているMayores (93位)、Krippy Kush(95位)のほか、J Balvin、Prince RoyceのSensualidadも115位(相当)にランクイン。今年も多く名前を見かけそうです。もしかしたら英語圏のラッパーとの絡みも多くなるかもしれません。

ちなみにEl Bañoは「お風呂」または「バスルーム」の意味で、時と場合によっては「トイレ」のニュアンスが出るようです。

 

92 Dua Lipa – IDGAF [New]

 Dua LipaのIDGAFがビデオリリース効果*2により、92位で登場。New Rulesのビデオに対する評価が高かった流れから、これもなかなか凝ったビデオになっています。彼女のデビューアルバムからは7曲目のシングルに当たるこのシングルですが、まだラジオではかかっていないようでヒットになるにはまだ少し時間がかかるかも(New Rulesがまだシングルとしてバリバリ活躍中のため) 母国イギリスでは既に14位まで上昇しています。

 この曲はイギリスのシンガー/プロデューサーMNEKがソングライトに携わっています。彼はBeyoncéのアルバムにも関わった経験を持ち、イギリスではLittle MixのTouch、Jax JonesのYou Don’t Know、StormzyのBlinded By Your Grace Pt.2など多くのUKトップ10に関与しています。アメリカでもZara LarssonのNever Forget Youを13位に導き、成功を収めています。

 

91 Jay Rock, Kendrick Lamar, Future & James Blake – King’s Dead [New]

 映画ブラックパンサーのサントラからの1曲。Jay RockらのKing’s Deadが91位で登場。先週Hot 100に登場したAll the Starsに続くリリースです。ヒップホップグループBlack Hippy、レーベルTDEなどでKendrick Lamarと関わりの深いJay Rockは初のHot 100に。

イギリス人シンガーのJames BlakeはKendrick LamarのELEMENT.に関与しており、今回は再タッグということに。彼はBeyoncéのForwardにも関与するなど、USヒップホップ/R&B界隈でも近年活躍しています。

 

80 Troye Sivan – My My My! [New]

 オーストラリアのシンガーTroye SivanのMy My My!が80位で登場。Happy Little Pill (92位)、Youth (23位)、Martin GarrixとのThere For You (94位)に次ぐ4曲目のHot 100入りです。

 チャートの集計が始まる金曜日よりも少し前のリリースで、リリース後数時間のポイントが先週に回ったためか、思ったよりは少し低い順位での登場に。今後はラジオでのポイントを活かしての上昇が期待されます。セクシーな一面もあるビデオにも注目です。Lordeはこのビデオを”Spicy”と評しています。

 

 

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https://twitter.com/lorde/status/951994023253745664ps://twitter.com/lo
https://twitter.com/lorde/status/951994023253745664rde/status/951994023253745664

 

71 YoungBoy Never Broke Again – Outside Today [New]

 ルイジアナのラッパー、YoungBoy Never Broke AgainのOutside Todayが71位で登場。このシングルはアルバムUntil Death Call My Nameに収録されると考えられているようです。Apple Musicでは14位、Soundcloudでは9位と好調な一方、Spotifyでは200位圏外とストリーミングサービスによって人気が分かれています。

 

64 6ix9ine, Fetty Wap & A Boogie Wit da Hoodie – KEKE [New]

 昨年末から勢いよくチャートを駆け上がり、一気に注目を集めている6ix9ine。Fetty Wap、A Boogie Wit da Hoodieと組んだKEKEが64位で登場。彼の人気が高いSoundCloudでは現在1位を獲得。それだけでなくApple Musicで8位、Spotify56位と他のサービスでの人気も上昇中。勢いが増してきているように思います。この曲は日曜日リリースで、今週の集計は5日分だったため、7日集計の来週のチャートではさらに順位を上げる可能性も。

 またFetty WapはFifth Harmonyの客演を務めた2016年のAll In My Head以来の久々のHot 100に。

 

47 Carrie Underwood feat. Ludacris – The Champion [New]

 Carrie UnderwoodのThe Championが47位で登場。今週3番目に多いダウンロード数により、高い順位でのHot 100登場を達成しています。Carrie Underwoodのパワフルな歌声が炸裂するかなりポップな1曲で、カントリー系ラジオでどのような評価を受けるのかが気がかりです。また、このシングルが次のアルバムからのシングルなのか、またそもそもシングルなのか(ラジオにかかるのか?)もまだ不明みたいです。

※テレビ局のスーパーボウル冬季オリンピックのテーマみたいです

 ほか今週はカントリーデュオ、Dan+ShayのTequilaも84位で登場。

 

36 Kodak Black feat. XXXTentacion – Roll in Peace [↑]

 ビデオリリースの効果で少し順位を上げたKodak BlackのRoll in Peace。トップ40入りを成し遂げています。Kodak BlackもXXXTentacionもこれで3曲目のトップ40です。 (Tunnel Vision, Drowning / Look At Me!, Jocelyn Flores) 既に22週目のチャート滞在ですが、Hip-Hop / R&B系ラジオで上昇中 (今週42位 → 38位)なので、もう少し伸びシロがあるかも。

 また、幅広い系統のラジオでかかっているN*E*R*DとRihannaのLemonも今週40位とトップ40入りを達成。N*E*R*Dは初のトップ40に。

 

18 Taylor Swift feat. Ed Sheeran & Future – End Game [↑]

 こちらもビデオリリースによる上昇。Taylor SwiftらのEnd Gameが36位 → 18位と上昇。ビデオの効果がHot 100でも表れたと言えますが、Taylor Swiftがこの水準で満足できるか?という気もします。ビデオのリリースによって一気に1位を獲得したBad Bloodほどまでは行かずとも、トップ10には入りたかったのでは?とも思います。

 Hot 100の順位を上げるためのプロモーション戦略は主に3つあると思います。その3つはビデオ、ラジオ、iTunes割引です。このEnd Gameはビデオをリリースし、またラジオでは停滞中なので、残る手段はiTunes割引のみに。一見ビデオのリリースで勢いづいたようにも見えますが、チャンスだった今週トップ10に入れなかったことにより、トップ10入りに黄色信号が灯ったように思います。

 

8 Dua Lipa – New Rules [↑]

 好調をキープしていたDua LipaのNew Rulesが遂にトップ10入り!2010年代では5人目のイギリス人女性シンガーのトップ10入りです(客演は除く) 

 

Adele (Rolling in the Deep, Someone Like You, Set Fire to the Rain, Skyfall, Hello, Send My Love)

Jessie J (Domino, Bang Bang)

Ellie Goulding (Lights, Love Me Like You Do)

Charli XCX (Boom Clap)

Dua Lipa (New Rules)

 

客演

Lauren Bennett (Party Rock Anthem)

Lily Allen (5 O'clock)

M.I.A. (Give Me All Your Luvin')

Florence Welch (Sweet Nothing)

Charli XCX (I Love It, Fancy)

Foxes (Clarity)

Rita Ora (Black Widow)

Jess Glynne (Rather Be)

Kyla (One Dance)

Anne-Marie (Rockabye)

 

 このNew Rulesはビデオが人気を博し、Spotifyなどでも人気を得ていた1曲で、昨年の夏頃ピークを迎えていました。母国イギリスでは昨年8月に1位を獲得しています。アメリカでもSpotifyではその時期にそこそこ人気があったのですが、ラジオでかかっておらずポイントが足りずにHot 100に入れず。このように、ストリーミングのピークとラジオのピークがズレるとポイントが分散してしまい、Hot 100で思うような成績が出ないこともありますが、New Rulesはストリーミングの数字をキープしつつラジオで上昇することに成功。今週ラジオ4位にまで浮上しています。

 さらに、この曲のヒットにより彼女のデビューアルバムが注目を集めています。リリース時はアルバムチャートで86位でしたが、今週はアルバムチャート32位にまで上昇。ピークを更新しています。

 

1 Camila Cabello feat. Young Thug – Havana [↑]

 Camila CabelloのHavanaがついに1位に浮上!アルバムリリースの効果でダウンロードとストリーミングが伸びたことが大きかったです。歴代で7番目*3に長い23週目での1位獲得を達成した遅咲きシングルです。最初は正式なシングルではなかったのですが、ストリーミングでの人気を受けてシングル化(ラジオでかける)してみたところ、見事1位を獲得しました。

アルバムもThe Greatest Showmanとのレースを制して見事1位を獲得しています。セールスではCamila Cabelloの方が下だったのですが、ストリーミングやシングルセールスで逆転しました。ストリーミングの面では女性シンガーとしては珍しく、Spotifyのランキングにアルバム全曲が入っていたことが印象的でした。

シングル / アルバムの1位を同時に獲得したのは昨年のKendrick Lamar以来、女性では2016年のRihanna以来です。また昨年のZaynと同じように、グループ時代は成し遂げられなかったHot 100の1位を、脱退してソロになって初めて成し遂げました。またFifth Harmonyはアルバム1位をまだだ取っていないので、Camila Cabelloにとってはアルバム1位も初です。*4

 また、同様に次シングルのNever Be The Sameも30位まで浮上しています。ほかConsequencesが119位相当、Real Friendsが106位相当にランクインしました。

詳しい記録についてはビルボードが記事にしています↓


  この曲はCamila Cabello、Young Thugにとって初の1位なだけではなく、この曲のソングライターの多くも初の1位。Frank Dukes、Starrah、Andrew Watt、Brian Leeは過去に複数曲のトップ10を記録していたものの、今回のHavanaまでは1位がありませんでした。ほかのソングライター、Ali Tamposi、アディショナルボーカルも担当しているPharrellは過去に1位歴あり。

 ただし、アルバム効果が無くなる来週は1位から落ちてしまう見込み。元々1位だったPerfect、もしくは後述のDrake のGod’s Planあたりが候補と思われています。

 

× Bruno Mars – That’s What I Like [↓]

 1位も獲得したBruno MarsのThat’s What I Likeが1年(52週)の滞在の末、遂にチャートから外れました。ロングヒットの理由はラジオでの活躍。以前まではポップ系ラジオで主に活躍していたBruno Marsでしたが、アルバム24K Magic以降はR&B系のラジオにも進出。このThat’s What I Likeでは見事Hip-Hop / R&B系ラジオの1位を獲得。より幅広いリスナーに受け入れられたという意味で、この曲は彼のキャリアで重要な一曲であると言えそうです。

 

× Luis Fonsi & Daddy Yankee feat. Justin Bieber – Despacito [↓]

 That’s What I Likeと同じく、Despacitoも1年のチャート滞在の末、チャートから外れました。昨年の大ヒットが2つ今週大往生を遂げています。ちなみにShape of Youは54週目にして21位と粘りを見せています。

 上のThat’s What I Likeはラジオの粘りでロングヒットを実現しましたが、このDespacitoは2曲の連携を活かしてのロングヒットだったと思います。この曲はJustin Bieberリミックスがリリースされてヒットしたことが広く知られていますが、実はリミックスのリリース以前からピーク49位 / 13週、さらにこの時点で既にShape of Youよりも多くYouTubeで再生されるなど、かなりヒットしていました。そこにJustin Bieberのリミックスが加わり、「力のある曲が2曲をまとめて1曲として扱う」ような状態が出来上がりました。特にダウンロード、ストリーミングは原曲 / リミックスとダブルで加算されるため抜群の成績を誇っていました。(ラジオは原曲のほうがそこまでかかっていないのでダブルとまでは言えない)

 かつてリミックスといえば、原曲かリミックスかのどちらかが際立ち、両立することは少なかったように思いますが、ストリーミングのプレイリストの発展の影響かDespacitoは両立に大きく成功しました。今後も原曲 / リミックスの両立が相次ぐようなら、このDespacitoはその初の事例として今後も記憶されていくでしょう。

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Bruno Mars & Cardi B – Finesse

今週最もダウンロードが上昇した曲 Camila Cabello feat. Young Thug – Havana

今週最もストリーミングが伸びた曲 Camila Cabello feat. Young Thug – Havana

最も高い順位で新登場した曲          Carrie Underwood feat. Ludacris – The Champion

 

 

今週チャートから外れた曲 (8曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Yo Gotti – Juice (🗻90位 /⏰6週)

97 Machine Gun Kelly, X Ambassadors & Bebe Rexha – Home (🗻90位 /⏰5週)

93 Niall Horan – Too Much To Ask (🗻66位 /⏰12週)

92 Clean Bandit feat. Julia Michaels – I Miss You (🗻92位 /⏰1週)

82 Liam Payne & Rita Ora – For You (🗻82位 /⏰1週)

56 Maren Morris – I Could Use A Love Song (🗻56位 /21週)

38 Bruno Mars – That’s What I Like (🗻1位 /52週)

34 Luis Fonsi & Daddy Yankee feat. Justin Bieber – Despacito (🗻1位 /52週)

 

 

来週以降にHot 100に入るポテンシャルを持った曲をピックアップしました

 

Drake – God’s Plan

土曜日に急遽リリースされたビッグな1曲。今週のHavanaを持ってしても抜けなかったPerfectを上回りそうなダウンロードと、アメリカでのSpotifyでの1日の再生数記録を更新するような大量のストリーミングを記録。一気に来週のHot 100の1位候補に浮上しています。不安材料はラジオのポイントがあまり期待できないこと(リリースから間もないこと、一番規模の大きいポップ系ラジオとは相性が悪そうなこと)、集計が6日分なことでしょうか。

 

Zedd & Maren Morris – The Middle

 Zeddが意外なゲストを迎えたThe Middle。こちらは火曜日リリース。つまり来週は3日分の集計なのですが、集計の短さを翻せるほどのダウンロードは記録していません。Hot 100に入るのは再来週と思われます。ちなみに粘りを見せていたMaren MorrisのI Could Use A Love Songでしたが、今週チャートから外れてしまいました。

 

 今週のプレイリスト

 

 

✫半年前のHot 100


✫1年前のHot 100

 

 

*1:サムネイル画像をチョイスするのが密かに楽しいのですが、2択で困った時は2ショットを探しています。Camila Cabelloは何か2ショットが多いのでサムネイル選びで助かっています

*2:今週のYouTubeビデオ世界ランキング20位に入っています

*3:タイ

*4:アルバムでは1位を獲得していたOne Directionと比較して、ということです。