昨年、"Despacito"で大成功を収めたDaddy Yankeeの新曲"Dura"がYouTubeで急速に再生回数を伸ばしています!このまま行けば2年連続でYouTubeで「最も再生された男」になるかもしれません!ほかImagine Dragons、ドイツのチャート、プロデューサーFrank Dukesについてなど。
93 Brett Eldredge – The Long Way
カントリー系ラジオで上昇中、Brett Eldredgeの”The Long Way”が93位で登場。先週はMigosの大量エントリーによってHot 100のボーダーラインが上がっていたと考えられますが、今週はそれが解消され下位に動きがありました。*1
同じくカントリー系ラジオで好調なEaston Corbinの”A Girl Like You”が98位、Jordan Davisの”Singles You Up”が94位で登場しています。また、Pilesの”Rock”が99位、Natti Natasha とOzuna の “Criminal”が95位に再登場しています。
92 Jacquees & Dej Loaf – At The Club
JacqueesとDej Loafの”At the Club”が92位で登場。B.E.D.に次いで2回目のHot 100エントリーです。ポイント源は主にラジオでHip-Hop / R&B系ラジオで16位、リズミック系ラジオで19位など。
ラジオで人気の一方、ストリーミングはSpotifyの200位圏内にエントリー歴なしなど、それほど。一応Apple Musicの下位には登場しているみたいですが。
90 Derez De’Shon – Hardaway
アトランタ出身のラッパー、Derez De’Shonの “Hardaway”が90位に登場。初のHot 100入りを達成しています。
新しいラッパーのHot 100エントリー=ストリーミングという印象が近年はかなり強いですが、この曲はそこまでではなくApple Music・Spotifyの両方で現在200位圏外。
代わりにラジオが好調で、Hip-Hop / R&B系ラジオ23位、ラジオをベースにストリーミングPandoraで62位など。ほかWSHHにアップロードされたYouTubeのビデオも約1ヶ月で1200万再生とそこそこ数字を稼いでいます。
87 Imagine Dragons – Whatever It Takes
Imagine Dragonsの新シングル、”Whatever It Takes”が87位で再登場しています。Alternativeラジオで7位をはじめとしてロック系では既に大きく上昇中していて、さらにポップ系ラジオにも今週登場 するなど着々とラジオを伸ばしています。
この曲のビデオリリースは昨年の10月だったのですが、ドイツではこの時点で人気となり 2017の年間チャート95位に滑り込みました。(週のピークは7位)
ドイツの年間チャートにはBeliever、Thunderと合わせてImagine Dragonsの曲が3曲入っており、かなり人気を博していると思われます (アメリカの年間チャートではBelieverとThunderの2曲)
ドイツのシングルチャートの特徴としては、ストリーミングの比率がアメリカよりも高いことも働いて、ヒップホップがかなり人気です。昨年の年間チャートではRaf Camora、Bonez MCというドイツ人ラッパーが年間チャートに最多タイの4曲を送り込んでいます(Ed Sheeranと並んで)
ほかはポップスが中心ですが、ロックやEDMもそれなりに人気。Axwell ∧ Ingrossoの”More Than You Know”が昨年週の1位まで上り詰め、また2016年にはAlan Walkerの”Faded”が「年間」1位でした。
また、昨年の年間チャートのうち、約 1/4がドイツ語曲で、そのうちの多くがヒップホップでした(ポップスはほぼ英語曲など輸入が多いです)
音楽市場が世界で4番目に大きい *2ドイツのシングルチャートは、なかなか刺激的で面白いので個人的にオススメのチャートです。
81 Daddy Yankee – Dura
Daddy Yankeeの”Dura”が81位で登場。曲の最初に“Me Gusta Mi Reggae”(=レゲエが好き)と言っているように、レゲエポップ調のノリやすい1曲です。
主なポイント源はYouTubeで、2018年にリリースされたミュージックビデオの中で、2番目に再生数が多い約1億6500万再生を現時点で記録しています。ちなみに1番は”Finesse “(約2億 2600万)、3番目はOzunaとRomeo Santosの”El Farsante” (1億3200万) です。後者は今週Hot 100で急浮上しています。(おそらくYouTube効果)
“Finesse”よりも”Dura”の方が後にリリースされたのですが、再生数が増えるペースは”Finesse”を大きく上回っており、そのうち”Dura”は2018年リリースされたミュージックビデオの中で最も再生された曲になるかも。Daddy Yankeeは昨年の”Despacito”も年間で最も再生された曲になっており(それどころか歴代トップの再生数を記録)、それに続いて2年連続のYouTube王になるかもしれません。
昨年リリースされたビデオの、再生数トップ10のうち7曲がスペイン語曲など、YouTubeはスペイン語曲の独壇場と言えるかもしれません。(参考↓)
Most Viewed Videos of 2017 - YouTube
73 Justin Timberlake – Man of the Woods
Justin Timberlakeのアルバムが今週アルバムチャート1位を記録。純セールス約24万に加えてストリーミングでもそこそこの数字を稼いで、余裕の一位です。
ヴァイナルもそれなりの数字 (15000枚)を記録し、現在の集計方法になった1991年以降では、ソロシンガーとしてAdeleとJack Whiteに次いで歴代3番目に多い数字だそうです。
そのアルバムからは”Man of the Woods”が73位で登場。そして”Supplies”が100位で再登場*3。”Filthy”もスーパーボウルの効果で34位に再浮上しています。先週9位で登場したChris Stapletonとの”Say Something”は順位こそ 17位へ落としていますが*4、ストリーミング・ラジオの数値が上昇しており今後の期待が多少持てそうです。
また、Alicia Keysとの”Morning Light”はHot 100に入れませんでしたが、114位(相当)にはエントリーしています。
56 Carrie Underwood feat. Ludacris – The Champion
スーパーボウルの恩恵を最も受けた曲?、Carrie UnderwoodとLudacrisの”The Champion”が56位で再登場しています。スーパーボウル放映前にビデオがCMで公開され、ダウンロードが4位に再浮上しました。
ほかスーパーボウル関連でダウンロードが上昇したのは、
・パフォーマンスされた”Can’t Stop the Feeling!” → ダウンロード 14位 (Hot 100圏外 *5 )
・CMでビデオが公開された、Iggy Azalea feat. Quavo – “Savior” → ダウンロード 20位 (Hot 100には入れず、107位相当でした) など
テレビ局の平昌オリンピックのテーマソングにもなっているので、今後Hot 100に残るかもしれないです。ただしラジオではあまりかかっていないようです。ストリーミングでもあまり人気が無いようです。
グラミーに引き続き、スーパーボウルでもパフォーマンスされていない「場外」曲が人気を博しました。
39 YoungBoy Never Broke Again – Outside Today
YoungBoy Never Broke Againの”Outside Today”が39位に浮上。彼にとって初のトップ40に。ストリーミングが今週13位と人気の一方で、ラジオではまだかかっていないようです。(現在1つ前のシングルNo Smokeがラジオでかかっているようなので)
サウンドクラウド 13位、Apple Music 27位、Spotify 161位とサービスごとによって
人気が割れています。先鋭的な音楽が人気を集める傾向にあるサウンドクラウドで人気ということは、まだ「局地的」なのでしょうか。ユーザーが多く、リスナーのジャンルもバラけているSpotifyで上位に入ると「全国区」になるような気がします。
YoungBoy Never Broke Againは現在”Solar Eclipse”も106位(相当)に。また、現在ラジオでかかっている”No Smoke”は今週76位です。
29 Bazzi – Mine
今年の新スター候補筆頭、Bazziの”Mine”が29位とトップ40に突入しています。この勢いだと、まだまだ上昇しそうです。特にストリーミングが上昇中。ダウンロードはは横ばいです。ラジオは今週リズミック系ラジオで37位など少しずつ登場しています。
この曲は各所で話題になっており、テイラーの公式「お気に入りリスト」にも名を連ねています(しかもプレイリストの先頭に)
さらに、BTSがこの曲をTwitterで紹介し、約24万リツイートを記録しています。(BTS
のファンはSNSで熱心な活動を行っています)
if koya makes music and release a single the cover definitely gotta be.. pic.twitter.com/CPEOwA8URp
— 방탄소년단 (@BTS_twt) 2018年2月7日
9 Bebe Rexha & Florida Georgia Line – Meant To Be
Bebe RexhaとFlorida Georgia Lineの”Meant To Be”が今週9位に浮上しています。ラジオ で15位、ダウンロード は8位、ストリーミング 17位と3種目バランス良くポイントを稼いでいます。さらに今週の半ばにはiTunesで1位まで到達したので、来週はそのダウンロード増によって順位をさらに上げるかもしれません。
Bebe Rexhaにとっては”Hey Mama”、”Me, Myself & I”に次いで3曲目のトップ10に。「自分が主役」の曲では初のトップ10 です。(残り2曲は客演のような扱いなので)
Florida Georgia Lineにとっては2曲目のトップ10で、前回の”Cruise”でNellyと組んでトップ10入りしたことに引き続き、異ジャンルとのコラボでトップ10入りを達成しています。
カントリーとポップの要素が混ぜ合わさったこの曲は、オーストラリアでもかなり人気になっています(最高2位まで到達)
8 Migos – Stir Fry
Migosの”Stir Fry”が8位へ浮上。Migos名義では3曲目のトップ10、Quavoは7曲目のトップ10に。(他のメンバーはMigos名義以外のトップ10無し) ストリーミングが今週最も上昇した曲に。
ストリーミングが上昇したのは、ビデオが先々週の日曜日にリリースされたほかSpotifyなどでアルバム後も数字を落としていないことが大きいと思います。
“Culture Ⅱ”から先週Hot 100に登場した13曲のうち、今週は6曲がチャートに残っています。 (14位 “MotorSport”、48位”Walk It Talk It”、50位”Narcos”、72位”Notice Me”、89位”BBO”) ”Stir Fry”は今週に順位を上げましたが、他の曲は先週とくらべて順位を落としています。アルバムリリース週は、「新アルバム」として大きく注目を集め、アルバムが全体的に再生されますが、2週目以降は他の新アルバムとの競合もあるので、非シングルは「プレイリストに入れるかどうか」が重要といえそうです。
7 The Weeknd & Kendrick Lamar – Pray For Me
The WeekndとKendrick Lamarの”Pray For Me”がいきなり7位で登場。The Weekndは7曲目、Kendrick Lamarは6曲目のトップ10になりました。ダウンロード2位、ストリーミング16位、ラジオ35位と複数の媒体で人気を得ています。2週目のラジオ35位は順調なスタートいえます。
規模の大きいポップ系ラジオでは20位、ほかリズミック系ラジオ*6では17位と順調に数字を伸ばしていますが、Hip-Hop / R&B系ラジオでは今週37位→41位と少し調子を落としており、この系統とはそこまで相性が良くないのかもしれません。
また、”Black Panther”収録曲のうち、この”Pray For Me”はSpotifyでは2番人気ですが、Apple Musicでは7番人気に。ヒップホップ系のリスナーにはそこまでハマらない1曲なのかもしれません。
※ラジオで今後も伸びていきそうですが、伸びが早すぎてI’m the Oneのようなパターン(一気にヒットするも、20週程度でチャートから外れてしまう)になる可能性も。
※この”Pray For Me”のプロデューサーはFrank Dukesで、彼は今週4位の”Havana”や、今週トップ10入りしたBebe Rexhaの直近のEP、”All Your Fault Pt.2”収録の”Comfortable”のプロデューサーを務めています。ポップス~R&B/ヒップホップなど幅広い系統でプロデュースを担当する彼の名前を今年は多く見る予感がします。
この”Pray For Me”は彼にとって6曲目のトップ10に。以下がFrank Dukesの過去のトップ10シングルです。
Rihanna – Needed Me (7位)
Drake – Fake Love (8位)
Post Malone feat. Quavo – Congratulations (8位)
Future – Mask Off (5位)
Camila Cabello feat. Young Thug – Havana (1位)
× Imagine Dragons – Believer
Imagine DragonsのBelieverが今週チャートを後に。ピーク4位 / 52週という優秀な成績を記録していました。53週目以降は25位以上に入らないとチャートに残れないので、先週がラストとなりました。昨年の年間チャートでは9位に入るなど大成功でした。セカンドアルバムからのヒットシングルは少なかったですが、サードアルバムで見事に巻き返しました。
Imagine Dragonsはロングヒットを得意とする傾向にあり、この曲のほか2曲が過去に52週以上チャート滞在した経験を持ち、初めて「1年越え」を3曲で実現したアーティストに。(↓参考) ちなみにそのうちの1曲Radioactiveは歴代最長の87週滞在を記録。
ロングヒットは各ラジオ系統の「ズレ」によって生じています。例えば”Believer”はオルタナティブ系ラジオで4/1にピークを迎えましたが、ポップ系ラジオでのピークは 8/19と少しブランクが空いているのです。オルタナティブ系ラジオでじわじわ人気を得た後、ポップス系ラジオでも数字を伸ばし、「2段階成長」しているのです。”Radioactive”、”Demons”も似たような理屈でロングヒットになりました。現在Hot 100に残っている”Thunder”も41週目で11位と、「1年越え」の期待大です。
同じ週にアルバムをリリースしたDJ Khaledに対して曲数で不利を取り、ストリーミングで逆転*7される格好でアルバム1位を取り逃した”Evolve”でしたが、シングルの成功からこのアルバムで彼らはキャリアを再び前進させたと言えます。現代では稀少なメインストリームで人気のロックバンドとして定着したと思います。
チャートで今週伸びを見せた曲たち
今週最もラジオで伸びた曲 Drake – God’s Plan
今週最もダウンロードが上昇した曲 Justin Timberlake – Filthy
今週最もストリーミングが伸びた曲 Ozuna & Romeo Santos – El Farsante
最も高い順位で新登場した曲 The Weeknd & Kendrick Lamar – Pray For Me
今週チャートから外れた曲 (13曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
98 BTS feat. Desiigner – MIC Drop (🗻28位 /⏰10週)
97 Sofi Tukker feat. NERVO, The Knocks & Alisa Ueno (🗻81位 /⏰5週)
96 Migos feat. Gucci Mane – CC (🗻96位 /⏰1週)
91 YBN Nahmir – Rubbin Off The Paint (🗻46位 /⏰13週)
89 Eric Church – Round Here Buzz (🗻56位 /⏰19週)
87 Migos – Emoji A Chain (🗻87位 /⏰1週)
85 Migos – Auto Pilot (🗻85位 /⏰1週)
83 Migos – Higher We Go (Intro) (🗻85位 /⏰1週)
73 Migos – Gang Gang (🗻73位 /⏰1週)
64 Migos feat. Travis Scott, Ty Dolla $ign & Big Sean – White Sand (🗻64位 /⏰1週)
53 Migos – Supastars (🗻53位 /⏰1週)
49 Lil Uzi Vert feat. Nicki Minaj – The Way Life Goes (🗻24位 /⏰23週)
29 Imagine Dragons – Believer (🗻4位 /⏰52週)
YBN Nahmir – Bounce Out With That
今週”Rubbin Off the Paint”はチャートから外れてしまいましたが、代わりにこの曲が上昇中。各ストリーミングで数字を伸ばしています。今週既に116位(相当)にランクイン。
BlocBoy JB feat. Drake – Look Alive
ダウンロード / ストリーミングの両方でかなりの数字を叩き出しているので、来週のHot 100で上位デビューしそうです。
ScHoolboy Q, 2 Chainz & Saudi – X
SOB X RBE – Paramedic!
Khalid & Swae Lee – The Ways
Kendrick Lamar & Travis Scott – Big Shot
来週アルバム1位見込みの”Black Panther”から数曲がHot 100入りしそうです。特に登場しそうなのはこの上記4曲だと思います。既発の”All the Stars”や”King’s Dead”も上昇すると思います。Saudi、SOB X RBEなどHot 100初登場を果たすアーティストも何人かいそうです。
・プレイリスト
・半年前の記事
"Feel It Still"が躍進しはじめます。(ちなみにこの曲、直近のイギリスのシングルチャートでトップ10入りを果たしています)
・1年前の記事
"Culture"リリースの週
*1:ポイント源がラジオに偏っているカントリーは、突発的な増減が少なく他の曲と比べた相対的な順位になりやすい
*2:1位アメリカ、2位日本、3位イギリス、Spotifyでもなかなか規模が大きい(日本は音楽市場の大きさの割にSpotifyでの影響力がかなり低い) 参考↓
*4:ダウンロードが初週に偏るので、2週目に順位を落とすのはチャートシステム上仕方がない
*5:Hot 100に再登場するには25位以上に入る必要がある
*6:ヒップホップとポップの中間のような系統
*7:Imagine Dragonsもストリーミングが苦手という訳ではなく、”Evolve”の曲はSpotifyのランキングに全曲が登場。ロックアルバムとしては2017年唯一の偉業