チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

4/20 新曲/新リリースの初動を観察 【J. Coleの圧倒的ストリーミング / アリアナ新曲は何位スタートか?】

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  今週活躍が際立ったのはJ. Cole。アルバムがえげつない規模でストリーミングされています。SpotifyでもApple Musicでも無双しています。ほか注目のAriana Grandeの新曲は果たして1位を獲得することが出来るのか?などを分析していきます。

 

Spotify デイリーのアメリカトップ10 (金曜日)

1 J. Cole KOD 4,233,070
2 J. Cole Photograph 3,561,388
3 J. Cole ATM 3,408,026
4 J. Cole Motiv8 3,357,778
5 J. Cole Kevin's Heart 3,200,312
6 J. Cole feat. kiLL edward The Cut Off 3,059,136
7 J. Cole 1985 (Intro to "The Fall Off") 2,886,877
8 Drake  Nice For What 2,812,306
9 J. Cole BRACKETS 2,775,277
10 J. Cole Intro 2,519,357

※赤字は新曲、数字は一日の再生数

 

 J. Coleのアルバムから9曲がSpotifyトップ10入り!Drakeの”Nice For What"以外は全部J. ColeがSpotifyトップ10を占めています。ここまでSpotifyの上位を占めたのは”More Life"と”DAMN."くらいですね。J. Coleは前アルバム”4 Your Eyez Only"が全曲Hot 100のトップ40入り(ヒットの基準とされる)しましたが、今回のアルバムでもアルバム曲がHot 100の高い順位に食い込みそうです。

 

② 新曲/新アルバム アメリSpotifyデイリー順位

 

・J. Cole - KOD 圏内:12/12曲

11 J. Cole feat. kiLL edward FRIENDS
12 J. Cole Once and Addict - Interlude
13 J. Cole Window Pain - Outro

  8位の”Nice For What"を除いては、J. Coleのアルバム曲すべてが他のいかなる曲よりも高いストリーム数を記録。圧倒的な成績でSpotifyを制覇しています。

 前回のアルバムに引き続き、J. Coleはアルバムでストリーミングを制しました(↓図は全開のアルバムリリース時のSpotifyの順位表)

※この表にはストリーミング数は載っていませんが、1位の”Deja Vu"が250万ストリーム程度だったようです。(つまり今回のほうが規模が大きい)

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・Avicii関連

45 Avicii Levels
46 Avicii Wake Me Up
53 Avicii feat. Sandro Cavazza Without You
62 Avicii Waiting For Love
68 Avicii feat. Rita Ora Lonely Together
69 Avicii Hey Brother
160 Avicii The Nights

 Aviciiの訃報を受け、代表曲がSpotifyで上昇。”Levels"や”Wake Me Up"が人気。この2曲はiTunesでも上位につけています。

 ただしHot 100への再登場の可能性は低いかと思います。なぜかというと”Wake Me Up"はチャートに53週滞在しており、再登場するには25位以上にランクインする必要があるからです。(53週目以降の曲が26位以下に落ちるとチャートから外れるというルールがある。*1

 また昨年のLinkin Parkの時と比較すると、Hot 100の34位で再登場した”Numb"はSpotifyのデイリー最高13位まで到達していたので、それよりもSpotify順位の低い”Wake Me Up"は望みが薄いような気がします。

 ダウンロードの規模は大差なさそうですが、①25位以上に入る必要がある、②ストリーミング数がLinkin Parkと比べて少なめ の2点で”Wake Me Up"のHot 100再登場の可能性は低いと思います。

(参考 7/21リリースの新曲などの動向 【Linkin Parkの曲がSpotify200位圏内に28曲登場 +4つの注目アルバム】 - チャート・マニア・ラボ (CML)

 

↑ と、思っていたのですが、結局は「53週目以降の曲は26位以下に落ちた時はチャートから外れる」というルールがこの曲には適用されず、”Wake Me Up"は34位でHot 100に舞い戻りました。ビルボードなりの追悼、ということですかね。

 

・新曲群

15 Ariana Grande No Tears Left To Cry
30 Khalid, 6LACK & Ty Dolla $ign OTW
43 The Chainsmokers Somebody
54 Billie Eilish & Khalid lovely
61 Liam Payne & J Balvin Familiar
64 Rae Sremmurd feat. Travis Scott CLOSE
89 Wiz Khalifa 420 Freestyle
128 Sugarland feat. Taylor Swift Babe
129 Anne-Marie 2002
141 G Herbo feat. Lil Uzi Vert Who Run It (Remix)
188 Burns Hands On Me
192 Russ Basement

  注目のAriana Grande、”No Tears Left To Cry"はSpotify17位スタート。Spotify17位というと微妙に思えますが、J. Coleアルバムなどで上位が激戦区になっているだけで、再生数は約170万と上々の数字を確保しています。

 ”Nice For What"、”God's Plan"と比べるとややストリーミング数で劣りますが、ダウンロードでは大差をつけています。では、アリアナ新曲はHot 100で何位スタートになるでしょうか?

 「トップ10デビューは確実だけど、良くても3位」 

ツイッターのPop CraveにHot 100予想を提供するドイツのSimon Falk氏の見解。ストリーミングが足らず、”God's Plan"と”Nice For What"は抜かせないということでしょうか。しかし個人的な見解を言うと「1位デビューを諦めるのはまだ早い!」です。

 1位デビューの芽は潰えていない、と私は考えています。

 それは意外とApple Musicで奮闘していること。この予想の後、Apple Musicのランキングが更新されました。トップ10はじめ上位はJ. Coleが独占していますが、"Nice For What"が13位、”God's Plan"が15位に対して、”No Tears Left To Cry"は17位!そこまで差をつけられずに食い下がっているのです。正直Apple Musicではストリーミング数で大敗を喫すると思っていたのでこれは意外です。この程度のストリーミング差ならダウンロードの圧倒で埋められるかもしれない?そう思えてくるのです。

 他に重要だと思うのはラジオです。”Nice For What"はリズミック・アーバンなどのラジオで好調で、ラジオのポイントもかなり稼いでいるので、このポイントでも差を詰める or むしろ追い抜かすぐらいしないと、”No Teares~”はHot 100の順位争いで負けてしまうでしょう。

  たしかにポジティブな要素はいくつかありますが、正直週の後半になるとDrakeとアリアナでストリーミングに大差がつく予感しかしないので、まあやっぱり結局は3位(以下)デビューの線が基本的には強いですね。ただしストリーミングで今後も食い下がれば可能性は0では無いです。ストリーミングを要観察です。

(後日追加) まあ、こうやって小難しいことを細かく考えていましたが、結局”no tears left to cry"は3位デビューでした。

 

 ほか今週はKhalidが活躍。Ty Dolla $ign、6LACKと組んだR&B系統の”OTW"と、16歳のシンガーBillie Eilishと組んだ”Lovely"が注目されています。Khalidは幅広いジャンルのアーティストと組んで「ヒット請負人」のようになっていますね。今年も大活躍でしょうか!

 ほかトレンドど真ん中を行くLiam Payne、Rae SremmurdとTravis Scottの注目コラボ、今話題の”Who Run It"にLil Uzi Vertが参加など。テイラーが客演で参加したカントリー曲は注目度が低め。

 The Chainsmokersの”Somebody”はEP形式でリリースされている模様で、このタイミングで"Everybody Hates Me"と”Sick Boy"のストリーミングが上昇しました。

 イギリス人ポップシンガーはかなりアメリカで不遇の傾向があるので、Anne-Marieの"2002"は健闘していると言えますかね。

 

③  iTunesアメリカ 新曲の順位など

1 $ Ariana Grande No Tears Left to Cry
2 Sugarland feat. Taylor Swift Babe
3 Bebe Rexha & Florida Georgia Line Meant to Be
4 Drake Nice For What
5 Carrie Underwood Cry Pretty
6 Avicii  Wake Me Up
7 J.Cole KOD
8 Imagine Dragons Whatever It Takes
9 Khalid, 6LACK & Ty Dolla $ign OTW
10 Jason Aldean You Make It Easy

 $は割引

 

 割引効果もあってAriana Grandeの新曲がiTunes首位を独走。Hot 100の高い順位でスタートするには、この差をできるだけキープしたいですね。

 2位はTaylor Swiftが客演に入ったカントリー曲、Avicii追悼の”Wake Me Up"が6位。

 

23 J. Cole Photograph
36 J. Cole Kevin's Heart
39 J. Cole ATM
47 J. Cole 1985 (Intro to "The Fall Off")
55 J. Cole Window Pain (Outro)
73 J. Cole Motiv8
83 J. Cole feat. kiLL edward The Cut Off

 iTunesでトップ10に入った”KOD"以外にも複数アルバム曲がiTunesランキングに入っています。先々週のCardi Bほどではないですが、今週のJ. Coleはダウンロードでもそれなりの数字を記録しています。

 

21 Avicii Levels
35 Avicii Hey Brother

 ”Wake Me Up"以外ではこの2曲が人気。いずれもラジオ等で人気を得て、チャート滞在が20週まで行った 曲です。(つまりHot 100に再登場するには50位以上に入る必要がある)

 

・新曲群

13 The Chainsmokers & Drew Love Somebody
19 Liam Payne & J Balvin Familiar
24 Billie Ellish & Khalid lovely
41 Jackson Wang Dawn of Us
50 Anne-Marie 2002
60 Prince Nothing Compares 2 U
67 Becky G & Natti Natasha Sin Pijama
91 Why Don't We Trust Fund Baby (Acoustic)
92 Jack & Jack Stay With Me
99 Brothers Osborne Shoot Me Straight

 91位の”Trust Fund Baby"はEd Sheeranがソングライトした1曲。聞けば「あ、これEd Sheeranだな」ってすぐに思います。現在Bubbling Under (101位 - 125位相当)にいますが、今後Hot 100には入られるでしょうか。

 

④  iTunes アルバム順位 (アメリカ)

1 J. Cole KOD
2 A Perfect Circle Eat the Elephant
3 サントラ The Greatest Showman
4 Upchurch Creeker
5 Cardi B Invasion of Privacy
6 Brothers Osborne Port Saint Joe
7 Jason Aldean Rearview Town
8 Lord Huron Vide Noir
9 Bishop Briggs Church of Scars
10 Sleep The Sciences

 ストリーミングもセールスも良い数字を残しているJ. Coleが余裕のアルバム1位でしょう。 iTunesアルバム2位のA Perfect Circleはメタル系のバンド。

 

⑤ ラジオの近況

※数字は現在推定ラジオ順位

↑↓の数でどれくらい上がっているのか?下がっているのか?を表す

 

・上り調子

6 Camila Cabello Never Be the Same ↑↑↑↑
31 Drake  Nice For What ↑↑↑
13 Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho ↑↑↑
140 Charlie Puth feat. Kehlani Done For Me ↑↑
21 Brett Eldredge The Long Way ↑↑
19 BlocBoy JB feat. Drake Look Alive ↑↑
61 Kendrick Lamar feat. Zacari LOVE. ↑↑
22 Shawn Mendes In My Blood ↑↑
3 Drake  God's Plan ↑↑
115 J Balbin & Nicky Jam X ↑↑

 ”Never Be The Same"がここ数週調子が良いですね。ポップ系ラジオで1位まで到達しそう。新シングルが登場しましたが、”God’s Plan"はまだ伸びているのですね。

 

・下り調子

4 Bruno Mars & Cardi B Finesse ↓↓↓↓↓↓↓
25 Jordan Davis Singles You Up ↓↓↓↓↓↓
10 MAX Lights Down Low ↓↓↓↓
145 Lee Brice Boy ↓↓↓
5 Ed Sheeran Perfect ↓↓↓
27 Migos Stir Fry ↓↓
123 Childish Gambino Redbone ↓↓
16 Kendrick Lamar & SZA All the Stars ↓↓
29 Justin Timberlake feat. Chris Stapleton Say Something ↓↓
44 Charlie Puth How Long

  ”Finesse"は先週に引き続きラジオのポイントを落としています。”24K Magic"や”That's What I Like"のようなロングヒットにはならないでしょうか。

 Migosの”Stir Fry"が意外と早く調子を落とし始めました。”Walk It Talk It"にバトンタッチでしょうか。

 

・今週ラジオでかかり始めた曲

ポップ系

46 Drake Nice For What
47 Zayn Let Me
49 Big Boi feat. Lunchmoney Lewis All Night
50 Eminem feat. Kehlani Nowhere Fast

 Zaynの新曲、Eminemの新シングルが登場。”All Night"は日本でも一部で人気だった(日本のApple Music で最高5位くらいまで到達*2)、iPhone XのCMで使われた曲です。(動物の顔文字が歌うCM)

 

アダルトポップ系

47 5 Seconds of Summer Want You Back
48 George Ezra Paradise
49 Calvin Harris & Dua Lipa One Kiss
50 Kendrick Lamar & SZA All the Stars

 ポップ系からの飛び火が多いです。”Paradise"はアダルトポップ系と相性の良いサウンドの1曲。(ギター系)彼の母国イギリスのシングルチャートでは2位まで到達した曲です。

 

リズミック系

33 Nicki Minaj Chun-Li
40 Miguel feat. J.Cole & Salaam Remi Come Through And Chill
43 Diplo & Lil Xan Color Blind
49 Daniel Caesar feat. Kali Uchis Get You
50 Hoodcelebrityy Walking Trophy

 Nicki Minajのシングルは”Chun-Li"がメインになりそうです。Miguelは今週大活躍のJ. Coleを客演に迎えた”Come Through And Chill"をシングルカット。

 ほかDiploとLil Xanのシングル、アダルトR&B系ラジオから飛び火した”Get You"などが登場。

 

アーバン系

38 Nicki Minaj Chun-Li
45 XXXTENTACION Sad!
47 Cardi B feat. Migos Drip
48 Miguel feat. J.Cole & Salaam Remi Come Through And Chill
49 BlocBoy JB Shoot

 Nicki Minaj、Miguelがリズミック系と同じ動きを見せています。ほかBlocBoy JBの”Look Alive"より前にリリースされたシングルなどが登場。

ビルボードの言う”Hip-Hop / R&B Airplay"はアーバン系ラジオ+アダルトR&B系ラジオを合算したチャートです。アーバン系の規模のほうが大きいので、メインはこちらです。

 

⑥ 各種トップ10

Apple Music

1 Drake  Nice For What
2 J. Cole KOD
3 J. Cole Photograph
4 J. Cole Intro
5 J. Cole ATM
6 J. Cole feat. kiLL edward The Cut Off
7 J. Cole Motiv8
8 J. Cole Kevin's Heart
9 Cardi B, Bad Bunny & J Balvin I Like It
10 Drake  God's Plan

 Spotify同様J. Coleが上位を支配。(こっちで載せているのは土曜日時点のデータ)

 

・パンドラ

1 Post Malone feat. Ty Dolla $ign Psycho
2 Drake God's Plan
3 BlocBoy JB feat. Drake Look Alive
4 Bazzi Mine
5 Migos Stir Fry
6 Drake Nice For What
7 Zedd, Maren Morris & Grey The Middle
8 Kendrick Lamar & SZA All The Stars
9 Jason Aldean You Make It Easy
10 Normani & Khalid Love Lies

 ”Love Lies"が浮上。ほか”Psycho"が1位に。

 

・サウンドクラウド (先週)

1 Rich the Kid Plug Walk
2 Famous Dex Japan
3 YoungBoy Never Broke Again Through the Storm
4 Juice WRLD lucid dreams
5 BlocBoy JB feat. Drake Look Alive
6 YBN Nahmir Bounce Out With That
7 Lil Pump ESSKEETIT
8 Juice WRLD All Girls Are The Same
9 6ix9ine Billy
10 Lil Dicky feat. Chris Brown Freaky Friday

 サウンドクラウドの調査を再開しました。やはり他のストリーミングとは一味違う曲がヒット。Juice WRLDは他ではあまり見かけないですね。

 先週のランキングなのでJ. Coleがいないですが、サウンドクラウドではそこまで上位にはいらない予感がします。(サウンドクラウドではシングル聴きで、ノリの良さが肝心??のような傾向を感じる)

 

・Album Of The Year / Most Popular

1 J.Cole KOD ☆
2 Kimbra Primal Heart ☆
3 Ariana Grande No Tears Left to Cry (シングル)
4 Saba Care for Me ✫
5 Father John Misty God's Favorite Customer (未リリース)
6 Tinashe Joyride
7 Princess Nokia A Girl Cried Red 
8 Kali Uchis Isolation ✫
9 Lord Huron Vide Noir
10 Rival Sonsoles Persona ☆

  今週のアルバムではJ. Cole・Kimbraの注目度が高いです。現時点ではどちらのアルバムも評価が高めです。

 Ariana Grande、Father John Mistyはシングルのリリースのみで注目を集めています。(Father John Mistyはシングルを2つリリースしただけですが、6月リリース予定のアルバムに既に評価がついている)

 

⑦ 個人的・今週のお気に入り7曲

 「今週」と題していますが、新曲でない曲が混ざるケースもあると思います。

・J. Cole - Motiv8

・Kimbra - Recovery

・Ariana Grande - No Tears Left To Cry

・Rae Sremmurd feat. Travis Scott - CLOSE

・Khalid, 6LACK & Ty Dolla $ign - OTW

 ・Lykki Li - deep end (スウェーデン / オルタナティブ

・Fijimacuntosh - Did You Leave Something Behind (アメリカ / ラップ)

 

*1:"Wake Me Up"がチャートに登場していた2014年の時点ではこのルールが無かった

*2:ただしアメリカのApple Musicで上位に入った形跡はない