今週は4曲もがいきなりトップ10に登場!ビルボードのHot 100は特性上、トップ10で登場することはレアなので、多くの曲が同時にいきなりトップ10に登場するのはレアであり、今週の「4曲同時トップ10デビュー」は史上最多の記録なのです!↑のAriana GrandeとJ. Coleによってこの記録は達成されました。
今週のハイライト
~今週のHot 100まとめ~
・アリアナ新曲は3位で登場/1位&2位はDrake
・J. Coleアルバム全曲がHot 100入り。”ATM"、”Kevin's Heart"、"KOD"の3曲はトップ10デビュー
・4曲が同時にトップ10圏内で初登場するのは史上初
・DJ Khaled、ビヨンセなどの”Top Off"がわずか7週でチャートから外れる
チャートで今週伸びを見せた曲たち
今週最もラジオで伸びた曲 Drake – Nice For What
今週最もダウンロードが上昇した曲 Shawn Mendes – In My Blood
今週最もストリーミングが伸びた曲 Ella Mai – Boo’d Up
最も高い順位で新登場した曲 Ariana Grande – No Tears Left To Cry
曲の個別解説
[New] 98 Rae Sremmurd feat. Travis Scott – Close
Rae SremmurdとTravis Scottの“Close”が98位で登場。この曲が収録されるアルバム”Sremmlife 3”はリリース日が不明でしたが、今週のリリースが決まったようです。
Rae Sremmurdのアルバムチャートでの最高位は4位。(前アルバムで達成)。そのピークを越え、アルバム1位を取れる可能性もありそう。
現行アルバムチャートでは「アルバムの曲数にかかわらず」 1500ストリーミング=1アルバムセールスなので、曲数が多いと考えられる“SREMM3”はストリーミングで一気にポイントを稼ぎそうです。
アルバム1位を取る上でのライバルはShinedownなどの同週リリースの作品よりは、リリースが1~2週前ながらもストリーミングの数字をキープしているPost MaloneやJ. Coleあたりか。
[New] 95 David Lee Murphy & Kenny Chesney – Everything’s Gonna Be Alright
“Everything’s Gonna Be Alright”が95位で登場。59歳のカントリーシンガー・David Lee Murphyと50歳のカントリーシンガーKenny Chesneyのベテランコンビによる1曲です。
カントリー系ラジオでの好調(今週10位)が効いてHot 100入り。カントリー系以外のラジオ系統ではほぼかかっていないようですが、カントリー系ラジオのポイントのみで、ラジオ(全体)の34位に入っています。
[New] 81 El Chombo – Damé Tu Cosita
El Chomboの“Damé Tu Cosita”が81位で登場。曲の意味は”Give Me Little”で、つまり「アソコ」をくれ、ということです。
もともとは2001年にリリースされた1曲でしたが、2017年に@artnouxというアカウント?が、「ポピー」という名の緑のキャラがこの曲に合わせて踊るという動画を上げたところ話題に。さらにYouTuberが取り上げて……など次第に人気に。
現在YouTubeで約2億4400万再生を記録しています。(ちなみに音源が上がっているのは“PPAP”と同じUltra Music。「次の動画」に”PPAP”が出てくることも。)
↑これが例の「ポピー君」
ビルボードはMusical.lyというアプリからヒットしたと分析。Musical.lyはTik Tokのようなアプリ。この二つは最近統合したらしいです。
[New] 74 Casper Magico, Nio Garcia, Darell, Nicky Jam, Ozuna & Bad Bunny – Te Boté
ラテンのヒット、“Te Boté”が74位で登場。元は最初の3人の曲でしたが、リミックスでラテンの人気者Nicky Jam、Ozuna、Bad Bunnyの3名が追加されました。
リミックスのリリース以降、ストリーミングの数字を伸ばしHot 100エントリーを成し遂げました。YouTube (今週21位)、Apple Music (70位前後)などで人気。
Bad BunnyはHot 100に初登場してから約半年で5曲目のHot 100エントリー。Ozunaも5曲目のHot 100。
[New] 72 Sugarland feat. Taylor Swift – Babe
カントリーデュオ・SugarlandがTaylor Swiftを迎えた“Babe”が72位で登場。今週のダウンロード2位。テイラー効果でダウンロードが伸びたと思われます。
テイラーが客演としてHot 100に入るのはこれで4回目。Boys Like Girls、John Mayer、B.o.Bの客演を務めました。その3曲はいずれもトップ40入りを果たしています。
Sugarlandは通算7曲でトップ40を記録している人気アクトです。
[New] 57 Khalid, Ty Dolla $ign & 6LACK – OTW
Khalid、Ty Dolla $ign、6LACKの“OTW”が57位で登場。6LACKにとっては2曲目のHot 100。前回のエントリー”Prblems”のピーク(72位)を更新しました。「ブラック」と読みます。
今週ダウンロード16位のほか、Spotify (30位前後)などで人気。
[Re] 34 Avicii – Wake Me Up
Aviciiの“Wake Me Up”が34位で再登場。突然の訃報(自殺と報じられる)によって、彼の代表曲のダウンロードとストリーミングが伸びました。この”Wake Me Up”は今週ダウンロード7位、YouTube で13位を記録しています。
アルバムチャートでは“True”が22位、”Avīci (01)“が52位、”Stories”が73位で再登場しています。EPの“Avīci (01)はリリース時よりも高い順位を記録しています。
そのEPの収録曲“Without You”は114位相当、Rita Oraとの”Lonely Together”は118位相当 *1に登場しました。(これらも当時のピークを上回っています)
他にも“Levels”など人気曲はありましたが、古い曲に制限をかける「リカレントルール」によって登場はしませんでした。(チャート21週目以降は50位以上に入る必要がある。)
☆チャートマニア的な謎
その「リカレントルール」には「21週目以降、51位以下に落ちるとチャートから外れる」と「53週目以降、26位以下に落ちるとチャートから外れる」の2種類があります。
“Wake Me Up”はヒット当時、既に53週チャートインしていて(当時は53週目以降のほうのルールは実施されていなかった)、再登場の可能性は低いのでは?と考えていました。
このことから、“Wake Me Up”の再登場は意外でした。その53週~のルールに従うと、再登場するには25位以上に入る必要があるのですが、この曲にはそのルールが適用されていません。
考えられる理由は、「過去曲の一時的なヒットはすぐにチャートから外れる見込みで、チャートへの影響は小さいから53週ルールの対象外」や「この曲がチャートインしたのは53週ルールの適用前だから」 辺りでしょうか?
ビルボードはこの再登場に対して特にルールに関する声明を出していませんが、チャートマニア的には気になる所です(笑)
(↓参考 この再登場を個別記事にするも、ルールについては触れていない)
あと、53週リカレントルールが出来た当初、過去曲の再ヒットが妨げられる点を「当時の私は」問題視していますが、過去曲に対する扱いは特例だとしたら、その問題点は解決されていますね。 *2
[New] 6 J. Cole – ATM
J.Coleのアルバムが大人気。今年一番の成績 (397000枚相当)でアルバム1位を記録しました。そのポイントの多くをストリーミングから稼いでいて、1週間のアルバムストリーミング数としては歴代で3番目に多い数字を記録しています。(約3.23億*3。1位は“More Life”の約3.85億、2位は”DAMN.”の約3.41億) ※ただしこの2つの数字は来週Post Maloneによって更新される見込みです。
純セールスも上々の数字を記録していて、Justin Timberlake(約242000)に次いで今年2番目に多い約174000セールスを記録。
その全曲がHot 100に登場。(↓の表)
位 | 曲名 | シングル |
6 | ATM | |
8 | Kevin's Heart | |
10 | KOD | |
14 | Photograph | |
15 | Motiv8 | |
20 | 1985 (Intro to the Fall Off) | |
28 | The Cut Off /ft. KiLL edward | |
30 | Brackets | |
41 | Window Pain (Outro) | |
46 | Friends / ft. KiLL edward | |
47 | Once An Addict (Interlude) | |
53 | Intro |
同一アーティストが同時に3曲をいきなりHot 100のトップ10に登場させるのは史上初とのこと。ストリーミングにおける人気アーティストの「アルバム」への注目度の高さを物語るデータだと思います。(今までは同時2曲が最多だった。DrakeとEd Sheeranが達成)
また後述の“No Tears Left To Cry”と合わせて今週は歴代で最も多い4曲が「初登場トップ10」を記録!ストリーミング時代は、新曲リリースへの注目度が高いということでしょうか!
ラジオをベースにしているHot 100は多くの曲が「だんだん伸びる」傾向にあり、いきなり高い順位でデビューするのはレアなのです。(2012年に2回あった3曲同時トップ10デビューが最多)
“Intro”など単体で聞いても「?」となりそうな曲もいくつかHot 100に入っており、ストリーミング時代は、人気アーティストはアルバム内非シングルでも強いということが分かります。
[New] 3 Ariana Grande – No Tears Left To Cry
Ariana Grandeの“No Tears Left To Cry”が3位で登場。初登場1位を望む声もありましたが *4、ストリーミングとラジオがDrakeに及ばず3位スタートに。自身最大のヒット”Problem”もスタートは3位でした。
DLは首位で、10万ダウンロードを記録*5。10万DL超えが出るのは“God’s Plan”以来約3ヶ月ぶり。iTunesで値引き(0.69$)をして、ダウンロードを伸ばそうという戦略をとっていました。
2018年にしては高水準。2018年はDL1位が5万を下回る週がいくつかあります。DL1位が5万を下回っていたのは、ビルボードがDLを集計し始めた初年度(2005年)か2018年しか無いです!つまり、今年のダウンロード量はDL解禁黎明期並に落ちているということです。(iTunes Music Store自体のリリースは2003年です)
この曲は今後1位を獲得することはできるでしょうか?リリースから時間が経ってからのチャート戦略は主に「値引き」と「リミックス」ですが、もう「値引き」は使ったので、「リミックス」をいかに上手く使うかがカギになります。
ラジオが伸び、またDrakeやPost Malone(?)のストリーミングが落ちてきたタイミングを的確に狙い、大物を招いたリミックスをリリースすれば1位も獲得できるでしょうか?
ストリーミングの数字は悪くないですが、Drakeを蹴落とすには少し足りない印象です。
[↓] × DJ Khaled feat. Jay Z, Future & B – Top Off
DJ Khaled、Jay Z、Future、“B”による”Top Off”がチャートから外れました。リリース直後は22位でしたが、そこから尻すぼみとなりわずか7週でチャートから外れました。(一応、少しだけ再登場する可能性もありますが。ただし既にラジオが下落中)
DJ Khaled+ビヨンセ夫妻の前シングル“Shining”は13週チャートに滞在していました。リズミック系ラジオで1位を獲得するなど、ラジオで好調でした。
[↓] × 6ix9ine – Billy
6ix9ineの“Billy”と”Gotti”がそれぞれHot 100から外れました。彼は“Gummo”で初登場以降、常に何かしらの曲がHot 100に入っていましたが、それも途切れました。
13歳の少女への暴行容疑によって投獄の可能性が報じられ、ラッパー引退も仄めかした6ix9ine。今後どのように活動していくでしょうか?本当に引退するのか??
5月に予定されていた来日公演はキャンセルに。
(参考)
[↓] × G-Eazy & Halsey – Him & I
Halseyの “Bad At Love”とG-Eazyとの“Him & I”が今週チャートから外れました。どちらもラジオを中心に人気を集めていましたが、そのラジオのポイントが落ちてきたため、チャートから外れました。
“Bad At Love”では自身メインの曲としては最高の5位を記録しています。(それ以外だと”Closer”で1位を記録)
“Him & I”はオーストラリア・ドイツなどでトップ10を記録したものの、アメリカではトップ10に届かず。アメリカ(とカナダ)でのチャートのピークは”No Limit”>“Him & I”ですが、ドイツ・イギリスなど他の主要国では”Him & I”>“No Limit”でした。
そんなG-Eazyの次シングルはCharlie Puthとの“Sober”。まだHot 100には登場していませんが、ラジオで着実に数字を伸ばしています。
[↓] × Post Malone – I Fall Apart
“rockstar”のヒットでPost Maloneへの注目度が向上、さらにライブ動画が話題になったことにより、大ヒット。“Stoney”からの6曲目のシングルとなった”I Fall Apart”が今週チャートから外れました。
ピーク16位・チャート滞在30週という数字は元々シングルではなかったということを考慮すると驚異的な数字です。
(おそらくは無断の)ライブ動画が宣伝になり、ストリーミングで大ヒット、という「今」を象徴するヒットだと思います。ストリーミング時代は「注目度」が重要ということを表していると思います。
(詳しくは↓の記事で)
今週チャートから外れた曲 (21曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
100 Derez Deshon – Hardaway (🗻61位 /⏰11週)
99 6ix9ine – Gotti (🗻99位 /⏰1週)
98 Scotty McCreery – Five More Minutes (🗻44位 /⏰20週)
97 SZA – Broken Clocks (🗻82位 /⏰4週)
96 Daniel Caesar feat. Kali Uchis – Got You (🗻93位 /⏰6週)
95 High Valley – She’s With Me (🗻79位 /⏰8週)
94 DJ Khaled feat. Jay Z, Future & B – Top Off (🗻22位 /⏰7週)
91 6ix9ine – Billy (🗻50位 /⏰8週)
90 Cardi B & YG – She Bad (🗻57位 /⏰2週)
89 Young Thug feat. Nicki Minaj – Anybody (🗻89位 /⏰1週)
87 Cardi B – Money Bag (🗻58位 /⏰2週)
84 Swae Lee feat. Slim Jxmmi – Guatemala (🗻84位 /⏰1週)
77 Cardi B – Get Up 10 (🗻38位 /⏰2週)
76 The Weeknd – Wasted Times (🗻27位 /⏰3週)
73 Zayn – Let Me (🗻73位 /⏰1週)
67 Cardi B feat. Chance the Rapper – Best Life (🗻39位 /⏰2週)
56 Thomas Rhett – Marry Me (🗻30位 /⏰20週)
50 Halsey – Bad At Love (🗻5位 /⏰33週)
47 G-Eazy & Halsey – Him & I (🗻14位 /⏰20週)
46 Post Malone – I Fall Apart (🗻16位 /⏰30週)
45 MAX feat. Gnash – Lights Down Low (🗻20位 /⏰28週)
来週以降の動向・プレイリスト
・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集
・Post Malone (アルバム全曲)
ストリーミングで絶大な人気を得たPost Maloneの新アルバム。1週間のストリーミング数としてはUS歴代最多のストリーミングを集める見込みです。(4億~5億ストリーミング程度)
その爆発的なストリーミングによって、アルバムのほとんどがHot 100に登場しそう。唯一入るか微妙なのはInterludeの“Jonestown”。ただしこの曲でもリリース初日はSpotifyのみでも約160万再生を記録していて、InterludeですらHot 100に入る予感。
ストリーミング時代では人気アーティストのアルバムに大きな注目が集まるので、InterludeやIntroすら他のシングルを圧倒するヒットになるケースもあります。(今週のJ. Coleもそうです)
また、アルバムリリース効果によって“Psycho”がHot 100の首位に立つ可能性も?ただし、”Psycho”はApple Musicだとアルバムの中での人気度が低い(Post Maloneのアルバム自体は大人気)で、可能性は微妙な気もします。
現在ラジオでは“Psycho”>”Nice For What”、DLでは“Nice For What”>”Psycho”。ストリーミングで“Psycho”が上回れば1位取りもありえるか?
・BTS – Let Go
Headline Planetによると、Radio Disney(ポップ系ラジオの1種)がBTSの日本語シングル“Let Go”をある程度かけたようです。
まだHot 100には程遠い再生数ですが、今後本格的にシングル化して人気になる可能性も?仮にHot 100入りすれば、史上4曲目の日本「語」曲のHot 100入りになると思います。(坂本九の“Sukiyaki”、”China Nights”、植野有砂らの“Best Friend”[日本語歌詞は一部]に次ぐ)ほかにも日本「人」によるHot 100エントリーはありますが、この3曲以外は英語で歌っています。 *6
本格的にシングル運用するならば英語歌詞に切り替えるかもしれませんがね。
.@radiodisney played BTS' Let Go 68 times this week, according to Mediabase / @BTS_twt
— Headline Planet (@headlineplanet) 2018年4月29日
※「植野有砂のHot 100エントリーはなぜ報じられなかったのか?」という記事を只今考案中です!
Kanye West - Ye vs. the People (starring T.I. as the People)
週の途中急遽リリースされたKanye Westの新曲。DLとストリーミングでそれなりの数字を記録し、来週のHot 100に登場するかも。なぜかリリース時から0.69$に値引き。
・その他の新曲情報はこちらを参照してください!
・プレイリスト
*1:母国イギリスでは、イギリス人女性歌手としては最多のトップ10(12曲)を記録しているRita Oraですが、USでのトップ10は“Black Widow”の1曲のみ。この曲のように、Hot 100にギリギリ入れないことも多く、Bubbling Under =101位~125位相当のチャートには今まで4回入っています。”R.I.P”、“Body On Me”、”Your Song”
*2:当時の私と現在の私では「チャート観」のようなものが変化したので、今では53週リカレントルールに対して別の意見を出しそう。2年くらい前は本当にチャートのことしか考えていなくて、チャートだけを見て、チャートのことを考えていましたが、その後音楽に関する知見を広げて、より多角的な視点からチャートを見るようになりました。(つもりです)その結果、いろいろなものが見えてさらにチャートへの興味が増しました。
この約2年半前の記事を見て、そのようなことをしみじみと感じました [謎の自分語り終わり]
*3:1「曲」のストリーミングを1再生とカウント。「アルバム全体」のストリーミング数とは違う
*4:例えばマネージャーが Pop Crave on Twitter: "Ariana Grande’s manager Scooter Braun liked an Instagram comment telling him to promote “No Tears Left To Cry” to #1 on Billboard Hot 100.
Will this be her first single to top the Billboard Hot 100 chart? #ArianaIsBack💧… https://t.co/ejObTgGvFi" など
*5:ちなみに↑にある“Problem”はリリース週に438000万ダウンロードを記録。隔世の感……