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Hot 100 5/26 見どころ 【好調のラテン界隈!今週もUSトップ40に突入!+カントリー界の王子】

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 今週はラテン の活躍が際立っています!先週ミームの”Dame Tu Cosita"がUSトップ40入りを果たしたのに続き、今週もラテン曲が新たに(ヒットの基準とされる)トップ40に入りました!ラテン界隈からは続々とスターが誕生しており、いま注目の業界ですね! ↑はその”Te Bote”に参加した6人。 *1

 今週はほかカントリー界の王子・Drakeが来週成し遂げそうな記録 など

 

~今週のHot 100ハイライト~

・“This Is America”が首位をキープ。上位はあまり動かず1位~6位が先週と同じ

・サウンドクラウド発のラッパーJuice WRLDが初のHot 100入り。“Lucid Dreams”と”All Girls Are the Same”の2曲。

・Lil Baby & Drakeの“Yes Indeed”3日分の集計ながらも49位デビュー

・Playboi Cartiがアルバム3位& “Shoota”がシングル46位

・現在YouTube再生世界1位!ラテンヒット“Te Bote”がUSトップ40入り

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲           Post Malone feat. Ty Dolla $ign - Psycho

今週最もダウンロードが上昇した曲 Kane Brown – Heaven

今週最もストリーミングが伸びた曲 Childish Gambino – This Is America

最も高い順位で新登場した曲           Playboi Carti feat. Lil Uzi Vert - Shoota

 

 

曲の個別解説

[New] 91 Lil Skies – Lust

 19歳のラッパーLil Skiesが3曲目のHot 100。“Lust”が91位で登場。YouTubeでのビデオリリース以降注目を集め、浮上。YouTube(今週31位)、サウンドクラウド(今週5位)などで人気。Apple MusicやSpotifyでも中位にランクイン。

 ラジオではようやく“Red Roses”(この曲はHot 100では今週87位・19週目)がかかり始めた段階ですが、ストリーミングでは一個次のシングルの人気が出始めています。この「サイクルのズレ」がHot 100でうまく行かない要因になるケースも時折あります。

 

[New] 77 Reik feat. Ozuna & Wisin – Me Niego

 Reikの“Me Niego”が77位で登場。Reikにとっては初のHot 100に。今週ラテン系ラジオの1位ほか、YouTubeでUS35位。世界全体のYouTubeランキングでは、今週6位。

 

[New] 74 Juice WRLD – Lucid Dreams

 シカゴ出身のラッパーが初のHot 100デビュー。“All Girls Are the Same”が92位、”Lucid Dreams”が74位でそれぞれ登場。

 この“Lucid Dreams”は2017年半ばのリリース以降、サウンドクラウドで人気に。その人気を受けて、この曲と”All Girls Are the Same”が正式にリリースされSpotifyApple Musicで「開放」。そこからさらに人気が上昇し、2曲がHot 100にエントリーしました。特にSpotifyでは人気で、現在Spotifyのトップ10に接近中。

 “Lucid Dreams”はStingの”Shape of My Heart”をサンプリング。哀愁のあるメロディラインが特徴です。

 ちなみにLucid Dreamとは明晰夢という意味。明晰夢とはそれを夢と認識しながら見る夢のことです。

 

[↓] 51 Post Malone feat. Nicki Minaj – Ball For Me

 Post Maloneが今週もアルバム1位をキープ。純粋なセールスは18000枚(今週5位)ながらも、ストリーミングでの人気によって大きくポイントを稼いでいます。純粋に人気なだけではなく、曲数が多いことも集計でプラスに働いています。(アルバムの収録曲数に関わらず 1500ストリーミング=1アルバムセールスとカウントされるため)

 リリースから3週目にあたる今週も、アルバム18曲のうちまだ13曲がHot 100に残っています。“Better Now”は非シングルですが、今週もトップ40圏内に残っています(26位)

 どの曲もストリーミング大人気で、アルバムからのシングル候補は豊富にありますが、“Ball For Me”が最近シングルに決定したそう。これに対応し、SpotifyのプレイリストRapCaviarは”Ball For Me”を同リストに追加しました。シングルを決めると、純粋にラジオのポイントを稼げるだけでなく、「ストリーミングでどの曲を聞けば良いのか?」が統一できるため、シングルチャートに良い影響が出るかもしれません。 *2

 彼の現行シングル“Psycho”はラジオで好調。今週ラジオの伸び幅が最も大きい曲になりました。ラジオで上位の曲が現在横ばいor下落中なので、ラジオの1位をもしかしたら狙えるかも?(現在のラジオ1位はZeddの”The Middle”。しかし指数は低め)

 

 ちなみに今週のアルバム2位はP!nk。チケット付きCDをリリースし、大きくセールスを伸ばしました。しかしわずかにPost Maloneに及ばず。(Post Maloneは14.7万枚相当、P!nkは13.9万枚相当)

 

[New] 50 Selena Gomez – Back To You

 Selena Gomezの“Back To You”が50位で登場。DLが今週6位。自身が監修?するドラマ”13 Reasons Why”のサントラからの1曲。

 ポップ系を中心にラジオで好調。今週ポップ系ラジオで35→24位とジャンプアップ。

 また同サントラに採用される16歳のソングライターBillie EilishとKhalidの“Lovely”が浮上中。今週120位相当。

 

[New] 49 Lil Baby & Drake – Yes Indeed

 火曜日のリリースで集計は3日分ながらも、49位に食い込んだLil BabyとDrakeの“Yes Indeed”。ストリーミングで大人気。Apple Musicではリリース後すぐに首位に立っています。

 来週は集計がフルの7日分になり、またLil Babyのアルバムリリースがチャートに反映されることから、大きな上昇が見込まれます。Hot 100でトップ10入りする可能性が高いと思います。来週はトップ10にDrakeの曲がたくさん並ぶかも?(“Walk It Talk It”の項に詳しく書いています)

 Lil Babyのアルバムからも何曲かHot 100エントリーするかもしれません。(“Life Goes On”が有力な候補) また、ストリーミングの人気によってアルバムチャートでも上位に入りそう。(Post MaloneとBTSに次ぐ3位?)

 

[New] 46 Playboi Carti feat. Lil Uzi Vert – Shoota

 Playboi Cartiが初のスタジオアルバム“Die Lit”をリリース。今週アルバムチャートの3位に入っています。純粋なセールスは5000枚(今週31位)ながらも、ストリーミングの人気(ストリーミングのみでアルバム55000枚セールス相当の成績を記録)によって3位に食い込みました。

 アルバムからは1曲がHot 100に。Lil Uzi Vertとの“Shoota”が46位で登場。

 Hot 100入りは惜しくも逃しましたが、Travis Scottとの”Love Hurts”が115位相当、Nicki Minajとの“Poke It Out”が113位相当にランクインしました。

 

[↑] 39 Calvin Harris & Dua Lipa – One Kiss

 Calvin HarrisとDua Lipaの“One Kiss”が39位へ浮上。トップ40入りを果たしました。Dua Lipaにとって”New Rules“に次いで2曲目のUSトップ40。”IDGAF”はまだトップ40には到達していません。(今週59位) 一方Calvin Harrisは14曲目のトップ40に。(トップ40はヒットの基準とされている)

 ラジオではポップ~リズミックと幅広い系統でかかり、またストリーミングも悪くない数字を記録していて、ポイントのバランスが良い印象。まだまだ伸びそうです。

 

[↑] 38 Casper Magico, Nio Garcia, Darell, Nicky Jam, Ozuna & Bad Bunny – Te Bote

 ラテンの飛躍。Casper Magicoらの“Te Bote”が38位へ浮上。トップ40に入りました。Bad Bunny以外は全員はじめてのUSトップ40。他にもJ Balvin とNicky Jamの”X”が今週41位、Daddy Yankeeの“Dura”が今週43位など他のラテン曲もUSトップ40を伺っています。

 実はYouTubeでは“This Is America”を差し置いて、今週世界合算再生数1位を記録(US限定だと8位。USのYouTube1位は”This Is America”)またApple MusicやSpotifyでも50位前後に入っており、人気。ラテン系ラジオでは13位。おそらくポイントのほとんどをストリーミングから稼いでいるでしょう。

 ラテン系はリミックスなどで客演を多く配置し、スターが新たなスターを紹介し……という好循環が続いているように思います。この曲はもともとCasper Magico、Nio Garcia、Darellの3名による曲でしたが、Nicky Jam・Ozuna・Bad Bunnyとラテン系の大物が加わり、ヒットとなりました。

 

[↑] 36 Taylor Swift – Delicate

 Taylor Swiftの“Delicate”が36位浮上。トップ40入りを果たしています。アルバム”Reputation”からのシングルは「リリース時に大きく注目→尻すぼみ」に終わることが多かったですが、このシングルは逆にじわじわ上昇しています。この調子を維持したいですね。

 今週ラジオを24位→20位と伸ばしています。

 これでTaylor Swiftにとって56曲目のトップ40に。歴代で5番目に多いトップ40で、女性としては最多。(1位はElvis Presleyの80曲、2位はDrakeの72曲)

 

[↑] 35 Luke Combs – One Number Away

 Luke Combsの“One Number Away”が35位へ浮上。キャリア3曲目のトップ40入りを達成。

 昨年の“Hurricane”以降全てのシングルがトップ40入りと好調をキープしています。

 Luke Combsは見た目に貫禄?はありますが、昨年デビューアルバムをリリースしたばかりの新人です。

 

[↑] 15 Kane Brown – Heaven

 Kane Brownの“Heaven”が15位へと浮上。カントリー系ラジオで首位に立っていることに加えて、今週DLが伸びた(14位→4位)ことが好調の要因。”What Ifs”(ピーク26位)を超える自己最高位を記録しています。

 ただしラジオは既に下り坂になりつつある点から、今週(または来週)あたりがピークになりそう。Hot 100での15位はカントリー歌手としてはかなり優秀な成績だと思います。

 カントリー曲はストリーミングを苦手としがちですが、この“Heaven”はApple MusicでもSpotifyでもそれなりに上位に入っています(60位~80位程度)

 Camila Cabelloの“Never Be the Same”リミックスに参加し、この曲のトップ10入りにも寄与したKane Brown。この”Heaven”などヒットを飛ばしているだけでなく、本人も「既存のカントリーの枠にとらわれない活躍をしたい」と示唆していることから、今後ポップ系シングルの客演として重宝されるかも?

(Kane Brownのインタビュー)

 

 

[↑] 12 Migos feat. Drake – Walk It Talk It

 Migosの“Walk It Talk It”が12位へ浮上。シングル化されて以降、Hip-Hop / R&B系やリズミック系など、ラジオで好調。ストリーミングもYouTube7位など好調をキープ。再びトップ10入りを狙います。

 仮にこれが来週トップ10に入ることができれば、Drakeは大記録の達成を狙えます。Drakeは既存の“Nice For What”、”God’s Plan”、“Look Alive”に加え来週はLil Babyとの”Yes Indeed”がトップ10入り有力で、これらが来週全てトップ10入りを果たせば史上4人(組)目となる「トップ10に同時4曲ランクイン」という記録を達成します。

 それだけでも十分凄い記録なのですが、この4曲に加え仮に“Walk It Talk It”も来週トップ10に入ることが出来れば、「トップ10に同時5曲ランクイン」というThe Beatlesしか歴代で達成していない記録を樹立できます!

 ただライバルも多いので、来週のトップ10復帰の可能性は微妙か。

 今週17位→11位と順位を伸ばしたElla Maiの“Boo’d Up”やラジオが好調の”Whatever It Takes”(今週14位)がトップ10エントリーの競合か。

 

 

今週チャートから外れた曲 (9曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

98 YoungBoy Never Broke Again - Preach (🗻98位 /⏰1週)

96 Cardi B feat. SZA – I Do (🗻23位 /⏰5週)

95 Mason Ramsey – Famous (🗻62位 /⏰2週)

94 YoungBoy Never Broke Again – Diamond Teeth Samurai (🗻59位 /⏰5週)

93 Post Malone – Blame It On Me (🗻47位 /⏰2週)

89 Post Malone – Otherside (🗻46位 /⏰2週)

84 Nicki Minaj – Barbie Tingz (🗻25位 /⏰4週)

81 Cardi B feat. 21 Savage – Bartier Cardi (🗻14位 /20週)

65 Shawn Mendes feat. Khalid – Youth (🗻65位 /⏰1週)

 

 

来週以降の動向 ・プレイリスト

 

・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集

 

・Lil Baby feat. Gunna & Lil Uzi Vert – Life Goes On

・Gunna feat. Lil Baby – Sold Out Dates

 来週Hot 100に入るかもしれない?Lil Baby & Gunnaコンビの2曲。前者はLil Babyのアルバムの2番人気、後者は今週102位相当と既にHot 100に接近中。

 どちらかが来週Hot 100に入ればGunnaは初のHot 100。Gunnaは……

 

・Britton Buchanan – Where You Come From

・Brynn Cartelli – Walk My Way

 The Voiceのパフォーマンスを受けてDLが浮上した曲。ただしThe Voiceの曲はストリーミングで開放されておらず、ポイントをDLのみで稼ぐ必要があり、Hot 100エントリーへのハードルがいつも高いです。

 この2曲は週間2位~5位相当のDLを稼いでいますが、それでもHot 100にエントリーするかは微妙な水準。

 

BTS – FAKE LOVE

 リリース後24時間でYouTube約3590万再生(全世界)を記録。これは“Look What You Made Me Do”と”Gentleman”(Psy)に次ぐ3番目の成績。

 USではどこまでの数字を記録しているか不明ですが、このYouTubeやDLのポイントが活きて、Hot 100では40-15位で登場しそうです。アルバムチャートではPost Maloneとの熾烈な1位争いを展開中。

 

 

・その他の新曲情報はこちらを参照してください!

 

 

・プレイリスト

 

 

 

*1:画像は http://frecuenciario.com.ar/?articulos_seccion_1566/id_1021/te-bote-remix より

*2:各ストリーミングサービスによる、「どちらが先にシングルをプレイリストに取り込めるか?」という争いに密かに注目しています