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Hot 100 6/2 見どころ 【BTSがアルバム1位の偉業!シングルでもトップ10! / イギリス出身Ella Maiの躍進】

 

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 今週のチャートではアメリカ国外のアーティストの活躍が際立ちました!まずはBTS!アルバム1位を獲得する快挙に加え、シングルチャートでもトップ10入りとアルバム・シングルの両方で存在感を示しました!

 そしてイギリス人R&BシンガーのElla Mai。今週”Boo'd Up"がトップ10入りを果たしました! ほか中国出身のKris Wuも初のHot 100入りを達成。

 (ちなみに今週は祝日によってHot 100などチャートの発表が一日遅かった)

 

~今週USチャートのハイライト~

BTS、アルバム1位・そして“FAKE LOVE”がシングル10位で登場! アルバム・シングルの両方で大健闘です

・Lil BabyとDrakeの“Yes Indeed”が6位へ浮上。アルバム3位、他にも2曲がHot 100入り

・元EXOで中国出身のKris Wu、“Like That ” (73位)で初のHot 100入りを達成

Justin Timberlakeの“Say Something”わずか16週でチャートから外れる

・イギリス出身のR&Bシンガー、Ella Maiの”Boo'd Up"がトップ10入り!

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲           Post Malone feat. Ty Dolla $ign - Psycho

今週最もダウンロードが上昇した曲 Camila Cabello feat. Young Thug - Havana

今週最もストリーミングが伸びた曲 Lil Baby & Drake – Yes Indeed

最も高い順位で新登場した曲           BTS – FAKE LOVE

 

 

曲の個別解説

[New] 99 Backstreet Boys – Don’t Go Breaking My Heart

 Backstreet Boysの“Don’t Go Breaking My Heart”が99位で登場。彼らの曲がHot 100に登場するのは2007年の”Inconsolable“以来。(客演としては2017年にFlorida Georgia Lineとの”God, Your Mama, And Me”でもHot 100に入った)

 主にラジオで好調。特にアダルトポップ系では人気(今週20位)。AfrojackやKygo、Marshmelloの曲でボーカルを務めたWrabelがこの曲のソングライトに参加。

 

[New] 98 Sam Hunt – Downtown’s Dead

 Sam Huntの“Downtown’s Dead”が98位で登場。カントリー系ラジオやDLで主にポイントを稼いでいます。

 前シングル“Body Like A Back Road”はポップ系リスナーにも飛び火し、Spotifyなどストリーミングでも人気が出ましたが、まだこの曲にそのような動きは見られません。(まだストリーミングで人気にはなっていない)

 

[New] 86 NAV feat. Travis Scott – Champion

 カナダ出身のNAVのデビューアルバムが計36000ユニットを売り上げ、アルバムチャートの8位で登場。うち純セールスは4000で、残りはほぼストリーミングで稼いでいます。

 そのアルバムから、Travis Scottとの“Champion”が86位で登場。

 NAVは過去に、Lil Uzi Vertとの”Wanted You”でHot 100入りの経験あり。(以前Travis Scottと組んだ“Beibes in the Trap”もHot 100に入ったが、そのアルバムでTravis Scottは客演を表記していなかったので、ビルボードのデータではNAVのHot 100エントリーとしてはカウントされていない)

 NAVは地元カナダでの人気が高く、今まで計10曲がCanadian Hot 100にエントリーしています。このアルバムからは“Champion”のほかQuavoとの”Faith”もシングルチャートに入りました。

 

[New] 84 Diplo, French Montana & Lil Pump feat. Zhavia Ward – Welcome To The Party

 Diploらの“Welcome To The Party”が84位で登場。“Deadpool 2”という映画のサントラからのシングル。脇を固めるのはFrench Montana、Lil Pumpの2名のラッパーと、オーディション番組”Four”のファイナリスト*1のZhavia Ward。

 オーディション番組“Four”は2018年にスタート。ジャッジはDJ KhaledやMeghan Trainorが務めています。司会はFergie

 DJ+ラッパーの組み合わせ、映画のサントラに入る夏のパーティーアンセムという点でSkrillexとRick RossのPurple Lamborghiniを彷彿とさせます。

 

[New] 83 Pharrell Williams & Camila Cabello – Sangria Wine

 ファレルとCamila Cabelloの“Sangria Wine”が83位で登場。”Havana”で組んだ2人が再タッグ。DLやストリーミングで少しずつポイントを稼いでいます。

 感覚的にはN.E.R.D.の音にCamilaを招いた、ような1曲。

 

[New] 73 Kris Wu – Like That

 Kris Wuの“Like That”が73位で登場。DL(今週11位)に加えてYouTubeのビデオのポイントが多少乗ってHot 100に入りました。

今週はほぼ全期間iTunesシングルで1位だったものの、DLは今週11位という査定に。(割引していたから?)

Kris Wu初のHot 100入り。そして彼のInstagramの文言から、中国人初のHot 100エントリーであることも推察されます。 *2

 

 いずれにせよ、快挙であることには変わりありません!

 

[New] 68 Kevin Gates – Change Lanes

 Kevin Gatesが3曲入り「シングル」、“Chained to the City”をリリース。そのうち“Change Lanes”が68位で、”Let It Sing”が82位で登場。もう一つの“Vouch”は105位。

 以前のYoung Thugと同様、「シングル」と名乗っているため、アルバムチャートにはカウントされず。(前アルバムの“Isalah”は今週191位)

 

[↑] 36 Khalid & Normani – Love Lies

 KhalidとNormaniの“Love Lies”が36位へと上昇。リリース以来中位に長くいましたが、ついにトップ40入り。Fifth HarmonyメンバーのソロではCamilaに次いで2人目のトップ40達成者に。ラジオが伸びてきたことが大きいです。

 そのCamilaとNormaniは先週のBillboard Music Awardsで顔を合わせ、一緒に写真を撮っていました!CamilaがFifth Harmonyの離脱を表明して以降、メンバーと公の場で会うのは初だったようです。

  

 オーストラリアでもKhalidはかなり人気で、この“Love Lies”は一時期3位まで到達しました。彼はUSで”1-800-273-8255”しかトップ10を記録していませんが、オーストラリアでは”1-800~”のほか、”Young Dumb & Broke”、Marshmelloとの“Silence”と”Love Lies”の計4曲でトップ10入り。また最近の“Lovely”や”OTW”でもUSよりも高い順位をオーストラリアで記録しています。(ちなみにオーストラリアのお隣、ニュージーランドではもっと人気のよう)

 ほかオーストラリアはR&B/ヒップホップとポップスを良い塩梅で混ぜた曲が人気で、“Psycho”が1位に到達、”I Fall Apart”が2位に到達……など一部USのアーティストがUSよりも高い順位をオーストラリアで記録しています。

 

[↑] 35 Juice WRLD – Lucid Dreams

 Juice WRLDの“Lucid Dreams”が急上昇。今週74位→35位に。もう一つの彼のヒット、”All Girls Are The Same”も92位→53位と上昇しています。

 彼は先週の水曜日に初のアルバムもリリース。集計は2日でしたが、アルバムチャートの15位で登場しました。

 “Lucid Dreams”は既にSpotifyApple Musicでトップ10入り。ほかSoundcloud1位、YouTube11位など他のストリーミング媒体でも絶好調で、今後台風の目になりそうです。

 (彼はSoundCloudでブレイク。少し先のヒットをチャートから見つけるならば、SoundCloudのランキングを見ると良いかも)

 

[New] 10 BTS – Fake Love

 「ワールドアルバム」では初、つまりアジア圏では初のアルバム1位に引き続き*3、シングルでも快挙を達成しました!“FAKE LOVE”が10位で登場しました!主なパート*4が英語「ではない」曲としては史上17曲目のUSトップ10を成し遂げました! ↓参考

  17曲のうち、スペイン語が6曲、ドイツ語が3曲、韓国語が3曲、イタリア語が2曲、フランス語が2曲*5、日本語が1曲。

 K-Popとしては史上9曲目のHot 100入りに。PSYの“Gangnam Style”以降は毎年1曲ずつ何かしらのK-Pop曲がHot 100に入っています (↓図) *6

 

アーティスト 曲名 ピーク位
2009 Wonder Girls Nobody 76
2012 PSY Gangnam Style 2
2013 PSY Gentleman 5
2014 PSY feat. Snoop Dogg Hangover 26
2015 PSY feat. CL Daddy 97
2016 CL Lifted 94
2017 BTS DNA 67
2017 BTS feat. Desiigner MIC Drop 28
2018 BTS FAKE LOVE 10

 

 この“FAKE LOVE”はDLが今週1位*7ということに加え、YouTubeでの好調 (リリース1日で全世界再生が約3300万。歴代で3番目の多さ *8 USのみの再生数は今週6位)が加味され、Hot 100のトップ10に食い込みました。

 この“FAKE LOVE”は現在ラジオでの支持が拡大中。今後シングルとしてどこまで活躍できるか?注目です。

 

※関連記事↓

 

[↑] 8 Ella Mai – Boo’d Up

 Ella Maiの“Boo’d Up”が好調をキープ。”Boo’d Up”が8位とトップ10入りを果たしました!Hip-Hop/R&B系ラジオやストリーミングで好調。それに伴いダウンロードも上昇しています。親しみやすいR&Bバンガーで、ポップ系ラジオでも人気がでるかも。

 ストリーミングは主にYouTubeApple Musicで人気。YouTubeでは今週2位。Spotifyではまだ100位前後。

 DJ Mustardに招かれたアメリカにやって来たElla Mai。現在拠点はアメリカにあるようですが、出身はイギリス。イギリス人女性シンガーのUSトップ10はやや珍しく、2010年代では6*9人がUSトップ10に入っています。(客演を除く) ↓参考 イギリス人女性シンガーの、2010年代のUSトップ10入り

 

Adele (Rolling in the Deep, Someone Like You, Set Fire to the Rain, Skyfall, Hello, Send My Love)

Jessie J (Domino, Bang Bang)

Ellie Goulding (Lights, Love Me Like You Do)

Charli XCX (Boom Clap) ※客演でも2曲トップ10入り*10

Dua Lipa (New Rules)

Ella Mai (Boo’d Up)

※La Roux (Bulletproof)

 

客演

Lauren Bennett (Party Rock Anthem)

Lily Allen (5 O'clock)

M.I.A. (Give Me All Your Luvin')

Florence Welch (Sweet Nothing)

Charli XCX (I Love It, Fancy)

Foxes (Clarity)

Rita Ora (Black Widow)

Jess Glynne (Rather Be)

Kyla (One Dance)

Anne-Marie (Rockabye)

 

※La Rouxは当時プロデューサーとシンガーの2人組だったので、「女性シンガー」の範疇に入るのかは微妙?

 

[↑] 6 Lil Baby & Drake – Yes Indeed

 Lil BabyとDrakeの“Yes Indeed”が6位へと急浮上。先週は集計3日分でしたが、今週は7日分フルカウントとなり、順位が上がりました。 *11

 Lil Babyは初のトップ10、Drakeにとっては26曲目のトップ10に。

 Lil Babyはこのタイミングでデビューアルバムもリリース。セールスは少ないですが、ストリーミングだけで65000枚相当のポイントを稼ぎ、アルバムチャートの3位に食い込みました。

 アルバムからは他に2曲がHot 100にエントリー。Southside(人名)がプロデュースした“Southside”(曲名)が79位、Lil Uzi Vert、Gunnaを迎えた”Life Goes On“が80位で登場。

 Gunnaは初のHot 100入り。ストリーミングで人気の“Drip Season 3”はアルバムチャートで55位まで到達した。彼はYoung Thugのレーベルと契約している。

 

[↓] × Justin Timberlake feat. Chris Stapleton – Say Something

 Justin Timberlakeの“Say Something”がチャートから外れました。チャート滞在はわずか16週という結果に。

 DLを中心に人気を集めて、登場した時は9位と絶好調だったこの曲。しかし後は続かず、アルバムが不評&注目度が低かったこともあり、この曲への人々の興味が低下。結局頼みの綱のラジオもあまり伸びず、尻すぼみに終わってしまいました。(一応、年間チャート100位以内に入りそうな成績は残しました。ただし年間80位~100位程度だと思われます。)

 「ルーツへの回帰」をテーマに今回のアルバムではカントリーの導入を試みたJustin Timberlakeでしたが、アルバム・シングルともに不調だったことは否めませんかね……

 

※Justin Timbelakeのアルバム“Man of the Woods”は少し前まで「1週間の売り上げが今年最大のアルバム」でしたが、J. ColeとPost Maloneに抜かれてしまいました。一方、ストリーミング等を抜いた「純粋な」セールスではまだ今年最大。

 

 

今週チャートから外れた曲 (11曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Justin Timberlake feat. Chris Stapleton – Say Something (🗻9位 /⏰16週)

99 Luke Combs – Beautiful Crazy (🗻58位 /⏰2週)

98 Post Malone – 92 Explorer (🗻40位 /⏰3週)

97 Post Malone – Takin’ Shots (🗻29位 /⏰3週)

95 Carrie Underwood – Cry Pretty (🗻48位 /⏰3週)

93 Post Malone feat. G-Eazy & YG – Same Bitches (🗻20位 /⏰3週)

90 Post Malone – Zack And Codeine (🗻23位 /⏰3週)

89 Post Malone – Over Now (🗻24位 /⏰3週)

83 Jordan Davis – Singles You Up (🗻50位 /⏰15週)

77 Reik feat. Ozuna & Wisin – Me Niego (🗻77位 /⏰1週)

44 Migos – Stir Fry  (🗻8位 /⏰21週)

 

 

来週以降の動向・プレイリスト

 

・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集

 

・Post Malone のPsycho 対 Drake の Nice For What

 新曲では無いですが、来週の見どころの一つ。“Psycho”はラジオやストリーミングで好調、それに加えてiTunes割引を敢行。アルバムリリース時に取りそこねたHot 100の1位の座を再び狙います。果たして……

 

・Shawn Mendes – In My Blood

 これも新曲ではないですが、チャート動向に注目。アルバムリリース+iTunes割引でDLが急浮上。ラジオとの上昇も合わせて来週トップ10に達する可能性も。

 

・6ix9ine feat. DJ Spinking - TATI

 日曜日にリリースされ、ストリーミングで人気に。来週のHot 100で登場するでしょう。

 

Weezer – Africa

 WeezerTotoの“Africa”をカバー。週の後半にリリースされiTunesシングル首位に立ちましたが、集計期間が短いので、来週のHot 100入りは厳しいですかね。その次の週のHot 100入りの可能性ならあるかも。

 ちなみにTotoの“Africa”はSpotifyで今も人気の1曲。USのSpotifyランキングでは150-200位くらい、UKの同ランキングでは100位辺りをキープしています。

 

 

・その他の新曲情報はこちらを参照してください!

 

  

・プレイリスト

 

 

 

*1:3位に相当

*2:73位が中国人にとっての最高位と言うメディアが多いので、74位~100位に別の中国人Hot 100エントリーがあった可能性も否定できないが……

*3:参考 BTS’ ‘Love Yourself: Tear’ Becomes First K-Pop Album to Hit No. 1 on Billboard 200 Chart | Billboard

*4:「主なパート」というのは、メインのアーティストが英語かどうか、で判別されていると思います。例えば今年トップ10入りしたCardi Bの”I Like It”は半分以上のパートがスペイン語ですが、メインのCardi Bが英語で歌っているため、この「非英語曲」にカウントされていません

*5:うち1曲がラテン語と混ぜて歌っている

*6:熱心なK-Popファンが各シングルチャートに入った曲一覧のさらに詳しいまとめをウィキペディアに作っています List of K-pop songs on the Billboard charts - Wikipedia

*7:売上は28,000。週1位のDL数としてはかなり少ない

*8:テイラーの”Look”、PSYの“Gentleman”に次ぐ

*9:後述のLa Rouxをカウントすると7

*10:ソングライトでも1曲トップ10入り

*11:今週のサムネ画像候補として作成した クソコラ画像です 

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