今週目立ったのはKanye West!アルバム1位を獲得し、収録曲が全てHot 100のトップ40入りを果たし、シングルとアルバムの両方で存在感を示しました。
そのカニエに負けない輝きを見せたのは、カニエの前アルバム”The Life Of Pablo"の”Fade"で客演した(feat.表記はされていないけれど)二人、Post MaloneとTy Dolla $ign。この2人の”Psycho"は今週Hot 100の首位に躍り出ました! ↑の画像はその”Psycho"のビデオより。
ほかGorillazやWeezerが久々のHot 100入りを果たすなど、なかなかおもしろい週だと思います!
☆今週のHot 100ハイライト
・Post Maloneの“Psycho”がついに1位浮上
・カニエがアルバム1位+アルバム全曲がシングルトップ40に。“Yikes”は8位
・Weezerが“Africa”のカバーで9年ぶりにHot 100登場
・Gorillazが新曲で12年ぶりにHot 100登場
・Maroon 5の“Girls Like You”が4位に浮上
・Juice WRLD勢い止まらず。“Lucid Dreams”が9位に
チャートで今週伸びを見せた曲たち
今週最もラジオで伸びた曲 ※未発表 (多分Psycho か I Like It )
今週最もダウンロードが上昇した曲 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You
今週最もストリーミングが伸びた曲 Juice WRLD - Lucid Dreams
最も高い順位で新登場した曲 Kanye West - Yikes
曲の個別解説
☆99 Becky G & Natti Natasha – Sin Pijama
ラテン女子Becky GとNatti Natashaによる“Sin Pijama”*1が99位で登場。ドミニカ共和国出身のNatti Natashaは”Criminal”に次いで2曲目のHot 100入りに。Beckyは通算5曲目のHot 100入り。(ラテン路線になってからは2回目)
YouTubeやラテン系ラジオなどで人気の1曲。USでのYouTube再生数ランクは、今週57位ですが、世界合計ではラテン圏の人気によって今週6位にランクインしています!
☆96 5 Seconds of Summer – Youngblood
5 Seconds of Summerの“Youngblood”が96位で登場。地元オーストラリアで現在3週連続1位と勢いのある曲です。ポップ路線だった前シングル”Want You Back”よりはロック回帰しています。
彼らはリリース初週にDLを大量に記録して中位に登場→だんだん落ちる、というチャートアクションをよく取っていましたが、この曲は逆に「じわじわ上昇」してのチャート入りに。ポイント源は主にSpotify(今週32位)や、ポップ系ラジオ(今週37位)など。
Spotifyは他のストリーミングに比べて海外のヒットへの反応が早い傾向があります。(ちなみにApple Musicでは125位くらい)
☆89 Weezer – Africa
Weezerが9年ぶりにHot 100登場!Totoの“Africa”カバーが89位で登場しました。DLでの好調(今週5位)によってHot 100入りを果たしました。
このカバーはファンの依頼?によって実現したもの。お願いしたファンのメッセージ(Twitterのリプライ)がそのままシングルジャケになっています。
Weezerのボーカル、Rivers Cuomoは今週Hot 100で2度目の1位を獲得したPost Maloneのことが好きな模様。彼は以前、Post Maloneの“White Iverson”と”Congratulations”をカバー。「コラボしたい」ということも公言しています。
ちなみにそのRivers Cuomoにはもう一つHot 100に近づいているヒットがあります。アメリカのポップロック系バンドAJRの客演を務めた“Sober Up”が今週108位相当にランクイン。こちらの動向にも注目です!
☆85 Gorillaz feat. George Benson – Humility
こちらも久々の登場。Gorillazが新曲“Humility”が85位で登場しました!”Dare”以来12年ぶりのHot 100入りに。 客演のギタリスト、George Bensonにとっては33年ぶりのHot 100に!
DLは今週51位以下で、ほかラジオやSpotify(今週180位)などでも目立った数字を記録していませんでしたが、それでもHot 100に入ることができたのはYouTubeで好調だったからです!YouTubeで今週US21位の再生数を記録しました!
ビーチが多く映るビデオで、その爽快感が人気の理由の一つだったりするのでしょうか。
☆81 Luke Combs – Must’ve Never Met You
Luke Combsが昨年のアルバム“This One’s For You”のデラックス版をリリース。アルバムチャートで4位へと浮上しました。(デラックス版とオリジナルは同じアルバムとして集計されている)
デラックス版で新たに追加された曲がいくつかHot 100に登場。DLで良い数字(7位)を記録した“Must’ve Never Met You”が81位、そして既にリリースされていた”Beautiful Crazy”が77位で再登場しました。
☆55 Florida Georgia Line – Simple
Florida Georgia Lineの新曲“Simple”が55位で登場。DLで高い数字(今週3位)を記録しています。また、Spotifyで週間74位とカントリー系ミュージシャンとしては高めの成績を記録しています。
ちなみに彼らとBebe Rexhaの“Meant to Be”は今週12位とトップ10から落ちてしまいました。(とはいってもロングヒットで、17週もトップ10に滞在していました。)
▽54 Dua Lipa – IDGAF
チャート滞在21週目を迎えたDua Lipaの“IDGAF”。このタイミングで51位以下なので、本来はルール上チャートから外されてしまうのですが、「まだ伸びシロがある」と判定されチャートに残っています。「伸びシロ」があると判定されたのはラジオでまだ伸びているからだと思います。 ※”New Rules”も遅咲き&ロングヒットなので期待は持てるかも
現状のピークは49位と低空飛行ながらも、中位にいた期間が長いのであと2~3週間程度Hot 100に残れば年間チャートにも入るのではないでしょうか!
△9 Juice WRLD – Lucid Dreams
Juice WRLDの“Lucid Dreams”が9位にまで浮上!ついにトップ10入りを果たしました。ストリーミングで好調のほか、DLからも少しポイントを得ています(今週48位)
この曲、もともとサウンドクラウドで先にリリースされていましたが、少し前まで「正式」なリリースがされていなかったため、SpotifyやApple Musicで聴くことができませんでした。
それから少しして、サウンドクラウドで人気になったタイミングで「正式」なリリースがされ、Apple MusicやSpotifyで聞けるようになると、両方のサービスで大人気に。そしてHot 100でもトップ10入りを果たしたのです。
サウンドクラウドでのリリースと、「正式」リリースの期間がズレた結果、サウンドクラウドの「助走」が生きて他のストリーミングでも大人気になったという図式が読み取れます。この「サウンドクラウドずらし」を仮に戦略的に行ったらうまくヒットするのでしょうか?このような成功事例が増えたら意図的にサウンドクラウドで「助走」を狙うアーティストも増えるかも……?
ちなみに昨年のヒット、Lil Uzi Vertの“XO TOUR Llif3”も似たような手法を取っています。(多分たまたまですが)サウンドクラウドのリリースから約1ヶ月後にSpotifyやApple Musicで「開放」されたらしいです。
☆8 Kanye West – Yikes
Kanye Westの”ye”がアルバム1位に!これで“Late Registration”以降8連続でのアルバム1位獲得に。(Jay-Zとの”Watch the Throne”を含む) ※ちなみにデビュー作“The College Dropout”のみアルバム1位を獲得できなかった(2位)
8連続でのUSアルバム1位獲得は歴代最長タイ。他The Beatles、Eminem(現在も続いている)も8作連続でUSアルバム1位を獲得しています。
総合で約208,000ユニットを売り上げての(うち純セールスが約8,5000)アルバム1位に。現行アルバムチャートではアルバムの曲数に関わらず一律1500ストリーム=1アルバム売上と換算するため、アルバム曲数が7曲と少ない”ye”はストリーミングの換算で不利ですが、それでも歴代で7番目に多いストリーム数(約1億8000万、週あたり)を記録したようです!
「1曲平均のストリーム数」という観点ではJ. Coleの“KOD”(1曲平均2690万)に次いで2番目に多いようです。(”ye”は1曲平均2570万)
それが反映される形で、全7曲がHot 100のトップ40に入りました!ちなみにアルバム全曲がHot 100のトップ40に入ったアルバムはJ. Coleの“4 Your Eyez Only”以来です。(さっきの記録もJ. Coleでしたがアルバムが違います)
一番高い順位で登場したのは“Yikes”で8位。ストリーミングの一番人気は”All Mine”だったのですが、“Yikes”のほうがDLが多かったので、こちらの順位が上になりました。
※アルバム2位はおなじみPost Malone。そしてアルバム3位にはチケット付きCDで数字を伸ばしたスウェーデンのメタルバンド・Ghostがランクインしています。
△4 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You
Maroon 5の“Girls Like You”が急浮上。4位に浮上しました。アルバム”V”より後にリリースしたシングルでは初のトップ5です。(“Don’t Wanna Know”は最高6位、”What Lovers Do”は最高9位でした)*2
DL(今週1位)とYouTube(今週4位)で高水準の成績を記録し、上位に入りました。
現在ポップ系などのラジオで急浮上中、Spotifyでトップ10入り、Apple MusicでもヒップホップとR&B以外の曲では最高位*3になるなど、他の媒体でも注目を集めていて、これから夏にかけてチャート上位に入り続けるかもしれません。
この曲が注目を集めたことによりアルバムにも注目が。“Red Pill Blues”がアルバムチャートで11位に浮上しました。
△1 Post Malone feat. Ty Dolla $ign – Psycho
Post Maloneの“Psycho”がついに1位浮上!2位で初登場して以降、ずっと上位につけていましたが、登場15週目でようやく1位になりました。Post Maloneにとっては2曲目、Ty Dolla $ignにとっては初の1位。
ここ最近、1位はずっと「初登場から1位だった曲」でしたが、久々の「上昇する1位」に。(“Havana”以来)
ポップ系ラジオで1位を取るなど、ラジオが全体的に好調。さらにそこに加えてiTunes割引によるDL増加がHot 100首位取りの要因と思います。リリース以来ストリーミングもずっと好調ですが、今週はカニエのアルバム曲が多くのストリーミングを記録した結果、“Psycho”は今週ストリーミング10位となり、ファレルの”Happy”以来Hot 100首位の曲としてはストリーミングの「順位」が最も低い曲となりました。(ただし純粋なストリーミング「再生数」は年々伸びているので、他のHot 100の首位曲と比べても別に見劣りしないと思います)
この“Psycho”、ポップ系ラジオでは今週首位に立ちましたが、R&B / Hip-Hop系ラジオでのピークは14位。最近Post Maloneはヒップホップ系ラジオよりもポップ系ラジオで人気が出てきた印象があります。次シングル”Better Now”もヒップホップ系ラジオよりも先にポップ系ラジオで登場しています。
▽× Kendrick Lamar & SZA – All The Stars
映画“Black Panther”のサントラに収録された、“All the Stars”、”King’s Dead”の2曲が今週チャートから外れました。いずれもリリース時から注目され、チャート上位には入りましたが、長期のヒットとはなりませんでした。(“All the Stars”は滞在21週、”King’s Dead”は20週)
同じくこのサントラに収録されている”Pray For Me"も今週29位→44位、と下降中。
ちなみに“King’s Dead”に参加しているFutureは、先週まで2015年4月以降166週連続で何かしらの曲がHot 100に入っていたのですが、今週この曲が外れたことによってその記録が途切れました。ちなみにこの166週連続Hot 100入りは歴代で5番目に長い記録。
1位:Drake 431週
2位:Lil Wayne 326週
3位:Rihanna 216週
4位:Nicki Minaj 207週
5位:Future 166週
この記録をまず見つけたのはTwitterの @Chartdata さん。それをComplexが記事にしました。(この時点では @Chartdataのリンクが掲載されている) Complexは@Chartdata だけでなく、@Popcrave など他の「ファンアカウント」をニュースのソースとして積極的に使用する傾向があります。 (@Chartdata はメディアにも採用される情報ソースとして人気なだけではなく、わりとポップファンの交流場のような役目も果たしている点が面白い)
ビルボード公式もこの件についてまとめていますが、@Chartdata への言及はありません。 (ただし以前、ビルボードのスタッフが@Chartdata に「あなたは誰!?」とリプライを送ったことはある)
▽× Offset & Metro Boomin – Ric Flair Drip
OffsetとMetro Boominのロングヒット、“Ric Flair Drip”が今週チャートから外れました。(ピーク13位、チャート滞在31週)
この曲はハロウィンにリリースされた2人と21 Savageによるジョイントアルバム“Without Warning”からのシングル。アルバムのリリース当初はOffset, 21 SavageとMetro Boomin、そしてTravis Scottを迎えた”Ghostface Killers”が一番人気でしたが、次第に”Ric Flair Drip”がSpotifyやApple Musicのストリーミングで上位に定着。
その人気を受けてこの“Ric Flair Drip”をシングル化。ビデオがリリースされたタイミングでYouTubeの再生数が伸びてHot 100の順位も上がりました。
ラジオからのポイントは最初から最後まであまり無かった*4ものの、十分な成功を掴んだ1曲でした。
今週チャートから外れた曲 (16曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
100 Pusha T – The Game We Play (🗻100位 /⏰1週)
99 XXXTENTACION – Moonlight (🗻35位 /⏰9週)
98 Panic! At the Disco – High Hopes (🗻98位 /⏰1週)
97 Post Malone feat. Swae Lee – Spoil My Night (🗻15位 /⏰5週)
95 Logic & Marshmello – Everyday (🗻29位 /⏰13週)
92 Luke Bryan – Most People Are Good (🗻43位 /⏰18週)
81 Darius Rucker – For The First Time (🗻58位 /⏰10週)
80 Jennifer Lopez feat. DJ Khaled & Cardi B – Dinero (🗻80位 /⏰1週)
76 Shawn Mendes feat. Khalid – Youth (🗻65位 /⏰2週)
75 Pusha T feat. Kanye West – What Would Meek Do? (🗻75位 /⏰1週)
73 Pusha T – If You Know You Know (🗻72位 /⏰1週)
68 Jay Rock, Kendrick Lamar, Future & James Blake – King’s Dead (🗻21位 /⏰20週)
65 Pusha T – Innfrared (🗻65位 /⏰1週)
63 A$AP Rocky feat. Moby – A$AP Forever (🗻63位 /⏰2週)
44 Offset & Metro Boomin – Ric Flair Drip (🗻13位 /⏰31週)
41 Kendrick Lamar & SZA – All The Stars (🗻7位 /⏰21週)
Pusha Tのアルバム曲は今週、全て圏外に。
来週以降の動向・プレイリストなど
・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲を特集
・Nicki Minaj feat. Lil Wayne – Rich Sex
月曜日リリース。DLとストリーミングの両方で注目を浴びています。次のHot 100では集計が4日分ですが、十分な人気を得ているので登場しそうです。
・KIDS SEE GHOSTS – Reborn
リリース以降じわじわと人気が上昇。”ye”と同じく全曲がHot 100に登場しそうです。一番人気は“Reborn”。
ストリーミングでポイントを多く稼いでいますが、同じ週にリリースされたDave Matthews Bandのアルバムがかなり売れているようなので、アルバム1位の可能性は低そうです。
・その他の新曲情報はこちらを参照してください!
・プレイリスト
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)