こんばんは!今週のトピックは”SICKO MODE"の1位奪取!この1位はTravis Scott、そして今年のトレンドを作り上げたプロデューサー、Tay Keithにとって初の1位となりました👏
☆今週のHot 100 ショートハイライト
・SICKO MODEがHot 100首位奪取!SkrillexリミックスによるDL増加が首位浮上を手助け
・集計は11月ですが、クリスマス曲が6曲も再登場。先週再登場の“All I Want for Christmas Is You”は14位に浮上
・アルバム1位はTravis Scott、2位は週の途中にリリースした6ix9ine
・今週のトップ10
△1 Travis Scott – SICKO MODE ◎
▽2 Ariana Grande – thank u, next ◎
―3 Marshmello & Bastille – Happier
―4 Halsey – Without Me ◎
△5 Panic! At the Disco – High Hopes ◎
△6 Sheck Wes – Mo Bamba
△7 Kodak Black feat. Travis Scott & Offset – ZEZE ◎
△8 Lil Baby & Gunna – Drip Too Hard
▽9 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You
▽10 Juice WRLD – Lucid Dreams
☆=新登場 ◇=再登場 △=上昇 ▽=下降
◎ は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す
1~100位までの順位表は↓
曲の個別解説
☆90 Jacquees – You
Jacqueesの“You”が90位に登場。彼にとって4回目のHot 100入り。JacqueesとBirdmanのジョイント“Lost At Sea 2”からの1曲。ですがこの曲はJacqueesのソロ。
主にYouTube、R&B / Hip-Hopやリズミックなどのラジオで人気です。
☆69 Billie Eilish – come out and play
Billie Eilishの新曲”come out and play”が69位に登場。ほかの楽曲と同様、DLとストリーミングでポイントを稼いでのHot 100登場です。
Billie Eilishはまだラジオではそこまでかかっておらず、ラジオ系統のチャートへの登場歴は”you should see me in a crown”がオルタナティブロック系ラジオに登場したくらいです。(10位まで到達、ただしオルタナティブロック系ラジオはそこまで規模の大きい系統ではない)
先週からHot 100に入っていた3曲は今週もチャートに残り、彼女の曲は計4曲が今週Hot 100にエントリーしています。
☆58 6ix9ine feat. Nicki Minaj & Kanye West – MAMA
6ix9ineが11/27~11/28頃(火曜~水曜頃)にアルバムをリリース。本来ならば11/23にリリースされる予定でしたが、逮捕騒動で遅延していました。
火曜日~水曜頃リリースなので、今週のチャートでは3日弱程度分しか集計されていませんが、短い期間で多くのストリーミングを集めアルバムチャート2位など存在感を示しました。
Hot 100にはアルバムから計7曲がエントリー。先行リリースの“FEFE”が36位、”Stoopid”が61位に浮上、そして“BEBE”が86位で再登場。ほか”MAMA”、“KIKA”、”TIC TOC”、“WAKA”の4曲がHot 100に登場しています。
“MAMA”は客演がKanye West、Nicki Minajと豪華なことも注目を集め、一時期iTunes首位などDLでも高い数字を記録しました(今週DL13位) プロデューサーは”FEFE”と同じMurda Beatzです。
今週集計が短かったので、7日分フルに集計される来週は伸びる!と思いきや、11/30もアルバムラッシュだったことから、11/30日以降はそれらのアルバムに押される形で6ix9ineのアルバム曲はストリーミング数をやや落としてしまいました。来週の数字がどうなるかは読めません。
▽37 Drake – In My Feelings
今週のチャートが発表された数時間後、2018年間チャートもついに発表されました。1位は“God’s Plan”、2位は”Perfect”。詳しくはこのページにあります。
夏場に10週連続1位を取るなど大ヒットだったDrakeの“In My Feelings”も年間チャートで9位と好成績を記録しました。現在はこの曲37位(22週目)なのですが、11週間前はHot 100首位だったことを考えると、ヒット後が順位を落とすスピードが早いような。
チャンレンジの効果も合わさり、一時期は高いストリーミングを記録しHot 100の首位を独走していた“In My Feelings”でしたが、意外と長持ちはしなかったようです。「瞬間最大風速が高い」ことと「曲が長持ちする」ことはイコールではないようですね。
これはストリーミングの特徴なのかもしれません。ラジオは曲が浸透するまでに時間がかかりますが、その後再生数が減るのもゆっくりで、ラジオで人気を得ることができれば自然と曲は長持ちになります。
一方、ストリーミングは人々の興味をすぐに再生数に変える瞬発力がある一方、ほかの新しいムーブメントも次々と登場するため、長持ちするかどうかは時と場合に依存するのです。
この“In My Feelings”はラジオでの人気もある程度(最高3位)ありましたが、やはり真骨頂はストリーミングの高さ。そこが落ちてしまった以上、Hot 100の順位も落ちたということでしょうか。
△32 lovelytheband – Broken
上の項目で説明した“In My Feelings”は年間チャートで好成績を記録しましたが、一方で年間チャートに惜しくも入れなかった曲がいくつも存在しています。
lovelythebandの“Broken”、Bebe Rexhaの“I’m A Mess”、Juice WRLDの”All Girls Are the Same”、Nicki Minajの“Chun-Li”、The Cartersの”APESHIT”、Panic! At the Discoの“High Hopes”、Sheck Wesの”Mo Bamba”などは惜しくも年間チャートに入って「いません」。
特に惜しかったのは“Broken”。この曲は年の境目でのヒットだったということで、ポイントが2つの年に分かれてしまい、ヒット度の割にはどちらの年の年間チャートにも入れない、ということになってしまう可能性が。現在ラジオを中心に人気ですが、これをどこまで保てるでしょうか。
◇21 Andy Williams – It’s The Most Wonderful Time Of The Year
今週のチャートの集計期間は11/23~11/29。つまりクリスマスの約1ヶ月前なのですが、既にチャートはクリスマスモードに突入。
なんと今週はクリスマス曲が6曲もHot 100に再登場。ルール上、クリスマス曲は50位以上にランクインしないとチャートに入れないのですが、その高いハードルをクリアしての登場です。うち“It’s the Most Wonderful Time of The Year”と“A Holly Jolly Christmas”の2曲はなんと11月の段階でピークを更新してしまいました!
また、先週Hot 100に再登場した“All I Want for Christmas Is You”は29位→14位と順位を大きく上げました。
なぜここまで早いタイミングでクリスマス曲が大量登場したのか?昨年の現時点のチャートと比較してみます。(2017/12/16付けチャート、1週ずれているのは2018年からチャートの日付のカウントを変更したから *1)
それぞれの日付での、クリスマス曲の順位を抜き出すと……
ラジオ
2018:41,45,47,48,49
2017:47
ダウンロード
2018:9,42,44
2017:19,37
ストリーミング
2018:8,9,15,16,32,33,36,45,49
2017:16,50
一番去年と今年で違うのはストリーミングなので、今年のクリスマス曲躍進の理由はストリーミングにあると見て良さそうです。他の指標も若干今年のほうが高いですが。
※以下チャートオタクの戯言
でも本当にストリーミング高い?というのが私の感想です。たしかに“All I Want for Christmas Is You”はどのストリーミングサービスでも好成績で、それなりの再生数を記録していそうですが、他の曲は本当?といった感じです。
メジャーなサービスのうち、Apple Music・YouTubeでトップ100に入っているクリスマス曲は“All I Want for Christmas Is You”のみ。ラジオ型ストリーミングのPandoraは1曲もクリスマス曲がトップ100に入っていません。
残るSpotifyはたしかにある程度クリスマス曲がランクインしているものの、べらぼうに好成績を収めているわけではありません。(上から13位、27位、29位、33位 ここで人気な曲とビルボードのストリーミングチャートで人気な曲が一致しないのも謎)
もしかしたら他のサービスで局地的な人気が出ているかもしれないのでなんとも言えませんが、個人的には疑問も残る今年のクリスマス曲躍進です。
△7 Kodak Black feat. Travis Scott & Offset – ZEZE
Kodak Black、Travis Scott、Offsetの“ZEZE”が今週7位。ビデオ公開によって少しストリーミングが上向き 順位を一つ上げました。
ラジオも順調に伸びて、ビデオ公開もしましたが、それでも登場週のピーク(2位)を今後超えるかは微妙です。アメリカのストリーミング環境ではリリースされたての曲に注目が集まる傾向があり、そのリリース時の注目を今後超えるにはポップ系ラジオの飛び火など、何かしらのプラスアルファが必要そうです。
ラップリスナーはリリースされたての曲への食付きが良く、(リリース自体が「ニュース」になっている?) 逆にポップリスナーは曲をゆっくりと消費するという傾向が近年のストリーミングチャートから読み取れます。
“SICKO MODE”がついに1位浮上。アルバムリリース時に4位に登場して以降、常に上位をキープしていましたが、今週1位にたどり着きました。
”thank u, next”が強いのでこの曲の1位は難しそうだな、と思っていたのでこの1位奪取は意外でした。この1位奪取をAriana Grandeも祝福しています。
so fucking dope. congratulations! 🖤
— Ariana Grande (@ArianaGrande) December 3, 2018
Travis Scottにとっては初。今年のトレンドを作り上げたこの曲のプロデューサー、Tay KeithもはじめてのHot 100首位。
リリース以降ラジオでの再生数増、ビデオのリリースなどによって常に人気だったこの曲ですが、今週首位浮上の手助けになったのはSkrillexのリミックスです。11/28にリリースされたこのリミックスによってDLが少し上向いたことが大きかったです。
しかし、来週は”thank u, next”が1位復帰見込みです。11/30に公開されたビデオが凄まじい再生数を記録。リリース後24時間で歴代最多の約5000万再生を記録するなどリリースから間もない現時点で既に1.16億再生を突破。このビデオでの再生数によってポイントが上向くので、1位への返り咲きが有力では、と読んでいます。ビデオとの相乗効果でSpotifyの再生数も少し伸びています。
(アメリカのSpotifyで、ビデオ以降全ての日で200万再生以上を記録。先週は200万再生を超えた日は無かった)
※ビデオでは ft. Drakeと表記されていますが、ビルボードでは客演表記されておらず、Travis Scottのソロ曲として扱われています。(仮にDrakeを客演として見なすのなら、Drakeは今年30週目のHot 100首位ということになります)
▽× Lil Wayne feat. Kendrick Lamar – Mona Lisa
登場時は2位だったLil Wayneの“Mona Lisa”ですが、チャート滞在わずか8週でチャート圏外に落ちてしまいました。ほか6位デビューだったEminemの”Lucky You”も12週の滞在で今週チャート圏外に落ちています。どちらもストリーミングで人気にも関わらず、シングルに指定されず、ラジオのポイントを得られなかったことが一因だと思います。
Lil Wayneがアルバムをリリースした時、ストリーミングの大人気によってHot 100に収録曲が大量登場。うち4曲がトップ10に入るなど活躍。2位に“Mona Lisa”が、5位に”Don’t Cry”が入ったことからビルボードはこれを「史上初のダブル・トップ5“デビュー”」と評しましたが、そのトップ5デビューした曲はいずれもチャート滞在10週未満で姿を消してしまいました。
このようにデビュー時の圧倒的な成績と最終的な成績が釣り合わないケースが昨今のストリーミング強しの環境では多いので、「その後どうなったのか?」のチェックは大切ですね……
(マニアックな記事 ↓)
▽× Queen – Bohemian Rhapsody
映画の効果で少し前にHot 100に舞い戻った“Bohemian Rhapsody”。しかし今週チャートから外れました。33位で再登場、その後40位→50位と、3週間の「復活」でした。
映画の効果はストリーミングやDLでの増加に表れました。Spotifyの世界ランキングでは一時10位まで到達。若者のユーザーが多い=クイーン世代ではない人が多いストリーミングでも人気を得たということは、「映画によって新たな層にもリーチした」という可能性があると思います。
ストリーミングでは、古い曲も現在売り出し中の曲と同じようにアクセスできるので、このような「かつての有名アーティストの伝記的映画」とストリーミングの相性はすこぶる良いように思います。
昔の曲は時代的には「古い」ですが、若い世代は「昔」を知らないことも多く、知らなければ「古い」ものでも「新しく」感じる可能性があり、その点をうまく活かせると新たなヒットの方程式が生まれるのかもしれません。
チャートに登場したのは3週間のみでしたが、今後ほかのアーティストも参考にできるストリーミングの新しいヒットの仕方で、非常に興味深いチャートアクションでした。
▽× XXXTENTACION – SAD!
XXXTENTACIONの“SAD!”が今週チャートから外れました。ピークは1位、滞在は38週でした。アルバムリリースのタイミングに7位、そして急逝時に1位と、ピークが2つあることからロングヒットになりました。ラジオのポイントがあまり無いことから、上位にいる期間は短かったですが、中位帯でよく粘っていました。
XXXTENTACIONは年間チャートに“SAD!”が17位、”Moonlight”が84位、“changes”が97位にエントリーしました。
この3曲の共通点は……「ラジオのポイントが週間50位以内に入っていない」ということです。”changes”に至っては、ジャンル別のラジオチャート(R&B / Hip-Hop Airplay、Rhythmic Songsなど)にも入っておらず、ラジオのポイントがほぼ無かったようです。(昨年の”Look At Me”も同じ)
▽× Post Malone feat. Ty Dolla $ign – Psycho
Post Maloneの“Psycho”が今週チャートから外れました。ピークは1位、チャート滞在は39週でした。そのロングヒットぶりから年間チャートでも6位と好位置に入りました。
この曲はストリーミングだけでなく、ラジオでも人気だったのですが、興味深かったのは人気が出た系統です。この曲はR&B / Hip-Hop系ラジオでは最高14位でしたが、ポップ系ラジオでは1位になったのです。(ほかリズミック系でも1位)
Post Maloneの曲は「キャッチー」と評されることがありますが、その「キャッチー」なPost Malone像を確立したのはこの曲かもしれません。(”rockstar”はポップ系ラジオよりもR&B / Hip-Hop系ラジオで人気だった)
Post Maloneはこの曲以外にも”rockstar”=5位、”Better Now”=13位、“I Fall Apart”=39位が年間チャート入り。アルバムも今年リリースの”Beerbongs & Bentleys”年間3位に入っただけでなく、2016年末にリリースの”Stoney”も年間8位に入りました。
Drakeと並ぶ今年の主役の1人といえるでしょう。
※“Congratulations”が年間10位だった昨年に引き続き、Post Maloneは2年連続で年間チャートのトップ10にランクイン。その他でこれを成し遂げたのはEd Sheeran(Shape of You→Perfect)
▽× Lauv – I Like Me Better
Lauvの“I Like Me Better”が今週チャートから外れました。ピークは27位、チャート滞在は41位でした。このピークとしては異例のロングヒットだと思います。
このロングヒットを支えたのはラジオでの長いヒットです。特にアダルトポップ系ラジオでは長持ちで、チャートから外れた今週もこの系統では7位に入っています。
Spotifyではラジオでかかるようになる前からこの曲は人気でしたが、そのラジオ人気に引っ張られる形でピークが過ぎてからも再生数をキープしました。
そのロングヒットぶりから、週間のピークは27位ながらも年間チャートでは35位にランクインしています。
Lauvは新シングルとしてJulia Michaelsとの”There’s No Way”をリリースし、今週ポップ系ラジオの39位に入っています。
今週チャートから外れた曲 (13曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
100 AJR – Burn the House Down (🗻100位 /⏰1週)
96 Chris Stapleton – Millionaire (🗻96位 /⏰2週)
95 Erich Church – Desperate Man (🗻68位 /⏰15週)
94 Silk City & Dua Lipa – Electricity (🗻94位 /⏰5週)
92 City Girls feat. Cardi B – Twerk (🗻92位 /⏰1週)
91 Lil Wayne feat. Kendrick Lamar – Mona Lisa (🗻2位 /⏰8週)
89 Eminem feat. Joyner Lucas – Lucky You (🗻6位 /⏰12週)
86 Quavo – WORKINME (🗻52位 /⏰15週)
81 Kodak Black – Take One (🗻81位 /⏰1週)
50 Queen – Bohemian Rhapsody (🗻2位 /⏰44週)
46 XXXTENTACION – Sad! (🗻1位 /⏰38週)
45 Post Malone feat. Ty Dolla $ign – Psycho (🗻1位 /⏰39週)
44 Lauv – I Like Me Better (🗻27位 /⏰41週)
・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品
2 6ix9ine – DUMMY BOY
34 Key Glock - Glockoma
41 J.I.D - Dicaprio 2
79 Rita Ora - Phoenix
118 The Best Of Brenda Lee
186 Now That's What I Call Merry Christmas
来週以降の動向など
・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲
・Meek Mill feat. Drake – Going Bad
・Lil Baby – Pure Cocaine
・Ski Mask the Slump God feat. Juice WRLD – Nuketown
この週はストリーミングでの人気作品が多数。中でもMeek Millは特に人気で、アルバムチャートでも1位を獲得見込みです。 Meek Millは10曲程度、Lil Babyは4曲程度Hot 100に登場するかも。Ski Mask the Slump Godも“Nuketown”が登場するかも
どちらにせよ来週はストリーミングの隆盛によって入れ替わりの多いHot 100になる予感です。
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)