こんばんは!今週はXXXTENTACIONのアルバム1位、Ariana Grande・HalseyによるHot 100の2トップ支配がテーマです。(女性による1位2位支配は昨年の9月以来、その時の2トップはTaylor SwiftとCardi B)
☆今週のHot 100 ショートハイライト
・XXXTENTACIONがアルバム1位、その収録曲のうち9曲がHot 100入り
・All I Want for Christmas Is Youが「ホリデー曲」の史上最高位を更新
・Ariana GrandeとHalseyでHot 100の2トップを支配
・今週のトップ10
―1 Ariana Grande – thank u, next ◎
△2 Halsey – Without Me ◎
―4 Marshmello & Bastille – Happier ◎
―5 Panic! At the Disco – High Hopes ◎
△6 Mariah Carey – All I Want for Christmas Is You ◎
△7 Post Malone & Swae Lee – Sunflower ◎
△8 Lil Baby & Gunna – Drip Too Hard
▽9 Kodak Black feat. Travis Scott & Offset – ZEZE
△10 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You
☆=新登場 ◇=再登場 △=上昇 ▽=下降
◎ は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す
1~100位までの順位表は↓
曲の個別解説
◇100 Travis Scott – YOSEMITE
Travis Scottの“YOSEMITE”が100位で再登場。シングル化にともない、ラジオの再生数が向上し、Hot 100に戻ってきました。客演の表記はありませんが、この曲にはGunnaとNAVが参加しています。
この曲は“Astroworld”がリリースされた時期から、”SICKO MODE”に次ぐストリーミングでの2番人気の曲としての地位を長い間キープしています。Apple MusicのThe A List:Hip-Hop、SpotifyのRapCaviarの両方で長いことリスト入りし続けています。
この曲のピーク順位はアルバムリリース時に記録した25位です。
☆96 Scotty McCreery – This Is It
カントリー歌手Scotty McCreeryの“This Is It”が96位に登場。キャリア6曲目のHot 100入りです。
先週多くランクインしていたMeek MillやLil Babyのアルバム曲が多く外れたことによって「枠」が多く空き、そこに代わる形で3曲のカントリー曲が再登場しています。
カントリー曲はラジオで安定してポイントを稼ぐので、ポイントが週ごとで大きくは変動しないです。そのことから順位も一気に変動することが少ないのですが、ストリーミングの影響で大量エントリーがあると、自身のポイントが落ちなくてもチャートから「押し出されて」しまいます。しかし、自身のポイントはあまり変わらないので次の週にそのストリーミング大量エントリーが減れば、また元の順位に戻るのです。
☆95 A Boogie Wit da Hoodie – Look Back At It
A Boogie Wit da Hoodieの“Look Back At It”が95位に登場。今週リリース予定のアルバム”Hoodie SZN”からの1曲です。
この曲はストリーミングで好調のほか、ダウンロードでも意外と高めの数字(DLが今週35位)を記録しています。
△59 Ellie Goulding & Diplo feat. Swae Lee – Close To Me
今ひそかに調子が良い曲、Ellie Gouldingの“Close To Me”。ラジオでの好調を受けて今週93位→59位と順位を大きく上げています。
Ellie Gouldingは他のイギリス人シンガーと比べて、USでのヒットが多くUSのラジオでも「馴染んだ」存在であるため、ラジオのポイントが稼ぎやすいのかもしれないです。
現在ポップ系やアダルトポップ系のラジオで人気ですが、Swae Leeの存在もプラスに働き、リズミック系ラジオなど他の系統でもヒットしそうです。
△58 Lauren Daigle – You Say
現在22週目で58位、ということで本来ならば「21週目以降の曲が51位以下に落ちた曲はチャートから外れる」というルールに基づき、Hot 100から外れているはずのLauren Daigleの“You Say”。しかし、今後の上昇を見込まれているのかチャートに残っています。
その「見込み」の根拠となっているのはラジオだと思われます。Lauren Daigleは元々クリスチャン系ラジオで人気だったアーティストで、この曲もその系統で人気だったのですが、Hot 100での活躍ぶりから他の系統へ「飛び火」。現在アダルトポップ系ラジオで上昇中(12位)です。
ビルボードの見込み通りラジオで人気を得て、Hot 100でも順位を伸ばせるでしょうか。(今のところピークは44位) 一方少しでも「上昇の見込みナシ」と判定されればHot 100から外れてしまうので、50位以上に入らない限りは常に「陥落」の危機と隣合わせです。
☆40 Gene Autry – Here Comes Santa Claus
今週もクリスマス曲がHot 100に増加。42位に“Feliz Navidad”、41位に”Sleigh Ride”、40位に“Here Comes Santa Claus”が登場(または再登場)しています。
これでHot 100におけるクリスマス曲は12曲まで増加。まだ集計期間は12/7 – 12/13で、クリスマスまでは時間がありますが……
ちなみにこの曲は1947年8月リリースで、Hot 100史上最も古い曲ではないか?との質問がされていましたが、Bing Crosbyの”White Christmas"は1947年3月リリースで、こちらのほうが古いようです。(ただしこの曲がHot 100史上何番目に古い曲か?は明言されていない)
ほか。クリスマスの一番人気曲、“All I Want for Christmas Is You”は今週6位まで浮上。これでホリデーソング(特定の日などを祝福する歌)としての歴代最高順位を更新しました。
※ホリデーソングでトップ10入りした曲
6位 Mariah Carey – All I Want for Christmas Is You (2018)
7位 Kenny G – Auld Lang Syne (=蛍の光) (2000)
7位 New Kids on the Block – This One’s For The Children (1990)
9位 Dan Fogelberg – Same Old Lang Syne (1981)
今年はクリスマス曲が好調で、ここに名を連ねるクリスマス曲もいくつかあるかもしれませんね。
☆37 XXXTENTACION – whoa (mind in awe)
XXXTENTACIONの新作“Skins”がアルバムチャートで1位を記録。2週目のMeek Millとは僅差でしたが、セールスの差で熾烈なレースを制しました
1 XXXTENTACION – Skins :計13.2万 セールス5.2万
2 Meek Mill – Championships:計12.9万 セールス1.7万
※両者ともポイントの多くをストリーミングから得ています。Meek Millのアルバムのほうの曲数が多いので、こちらのほうがストリーミングでの成績が有利になりやすいです。
(現行アルバムチャートでは、収録曲数にかかわらず一律で1250再生*1 =1アルバム売上と換算されています。つまり、アルバム曲数が多いほうが純粋に再生数が増えるため、アルバムチャートで有利になる。)
そのアルバムからは9曲がHot 100に登場。(唯一入らなかったのは31秒の”Introduction”) うち順位が最も高かったのは先行シングルの“BAD!”で33位、次いで”whoa (mind in awe)”の37位でした。
62位の“One Minute”にはKanye WestとBlink-182のドラマーTravis Barkerが参加しています。Travis Barkerは前作”?”に引き続き2作連続でXXXTENTACIONのアルバムに参加しています。
Blink-182名義では7回Hot 100にエントリーしていますが、Travis Barker名義では初のHot 100入りです。ほか彼は「スーパーグループ」+44の一員として活動していたこともあり、そのバンドでは”When Your Heart Stop Beating”がHot 100に到達していました。
▽19 Juice WRLD – Lucid Dreams
13位→19位と順位を落とすスピードがやや早い気がするJuice WRLDの“Lucid Dreams”。ラップ系統のラジオだけではなくポップ系のラジオでも人気が出たことから、Hot 100での高順位を記録しましたが、最近はポップ系ラジオでの人気が落ちてきています。
現在31週目とチャート滞在がかなり長くなってきましたが、どこまで持つでしょうか。あまりにも落ちるのが早いと2019の年間チャートに入れないかもしれないです。
△7 Post Malone & Swae Lee – Sunflower
Post MaloneとSwae Leeの“Sunflower”が7位へ浮上!ピークを更新しトップ10に舞い戻りました。この曲はスパイダーマンの新作映画サントラに収録される1曲なのですが、その映画の公開が近づいたことによる(?)ダウンロード増加が上昇の要因です。
※ビルボードは「映画公開による上昇」のように説明していますが、この映画の正式公開は12/14で、その期間が集計されるのは来週のチャートです。サウンドトラックも映画公開と同時にリリースされ、来週のアルバムチャートに登場予定です。
△2 Halsey – Without Me
Halseyの“Without Me”が2位に浮上。ラジオ、DL、ストリーミングの全てで高水準の成績を記録しています。
他の週だったら既に1位を取れるくらいの成績を記録していますが、”thank u, next”という強力なライバルがいるため、今後1位を取れるかどうかは不明です。
1位の”thank u, next”と合わせて、Hot 100の2トップが両方とも女性の曲に。これは2017年9月の、1位:Look What You Made Me Do 2位:Bodak Yellow 以来の出来事です。
▽× Cardi B feat. Kehlani – Ring
Cardi BがKehlaniを迎えたシングル“Ring”が今週チャートから外れました。ピークは28位、チャート滞在は20週でした。
Cardi Bのアルバムはリリース週に、ストリーミングやDLで高い成績を記録し、Hot 100でもかなりの存在感を示しました。この“Ring”のピーク28位はこの時に記録したものです。
リリースから数週で一旦はチャートから外れた“Ring”でしたが、シングル化、ビデオ公開などでチャートに再登場。そしてトップ40まで到達し、シングルカット後も成功を収めましたが、リリース時に記録したピークは超えられませんでした。
▽× Meek Mill – Intro
先週多く登場したMeek MillやLil Babyのアルバム曲。しかし初週と比べて再生数が落ちた影響から、その多くが今週チャート外へ。この2つのアルバムから計14曲が1週でチャートから外れました。
アルバム人気による大量Hot 100エントリー現象のうち、Apple Music、Spotifyのいずれかに人気が偏っていると、2週目に外れる曲数が多いという傾向があります。今回のMeek MillやLil BabyはApple Musicでの人気は高かったですが、Spotifyではそこまで人気がありませんでした。
Apple Music、Spotifyでどのラッパーが人気か?ということには微妙に違いがあり、その差を分析すれば何かしらの発見があるかもしれません。私の観測範囲では以下のような「印象」です。
Apple Musicではリスナーのラップ好きの「濃度」が高く、ラップらしい作品を好む傾向、一方Spotifyのリスナーはややカジュアル気味で、幅広いジャンルの曲が人気になっています(=接しやすいラップが人気?)
Apple Music人気が高い:Meek Mill、Gucci Mane、Future、Lil Baby
Spotify人気が高い :Logic、BROCKHAMPTON、Lil Peep
※数字を厳密に比較したわけではなく、普段チャートを見ている私の「印象」レベル
▽× 6ix9ine feat. Nicki Minaj & Murda Beatz – FEFE
6ix9ineがNicki Minaj、Murda Beatzを迎えた“FEFE”が今週チャートから外れました。ピーク3位、チャート滞在は20週という成績でした。
リリース直後からストリーミングでかなりの注目を集め、一時期は3位になりましたが、長持ちはせず20週でチャートから外れました。リリース時の注目度がピークになりやすい現在のストリーミングらしいヒットとも言えます。
この人気ぶりから、Nicki Minajはこの“FEFE”をアルバムに導入することでストリーミングを増やし、アルバム1位獲得を狙いましたが、それは叶いませんでした。
この曲と“You Belong With Me”のマッシュアップが9月ごろに少し話題になっていました。このマッシュアップにはNicki Minaj本人も反応しています。(※マッシュアップへのリンクは現在削除されています)
Who is responsible I- 😂😂😂😭 https://t.co/3Jh5PFyAOi
— QUEEN (@NICKIMINAJ) September 15, 2018
今週チャートから外れた曲 (18曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
98 Lil Baby – Word On The Street (🗻98位 /⏰1週)
91 Lil Baby – Global (🗻91位 /⏰1週)
89 6ix9ine feat. Bobby Shmurda – STOOPID (🗻25位 /⏰9週)
85 Meek Mill – Oodles O’ Noodles Babies (🗻85位 /⏰1週)
82 Lil Baby – Crush A Lot (🗻82位 /⏰1週)
81 Ski Mask the Slump God – Foot Fungus (🗻81位 /⏰1週)
78 Meek Mill feat. 21 Savage – Pay You Back (🗻78位 /⏰1週)
77 Meek Mill feat. Future, Roddy Ricch & Young Thug – Splash Warning (🗻77位 /⏰1週)
73 Meek Mill – Almost Slipped (🗻73位 /⏰1週)
72 Meek Mill feat. Kodak Black – Tic Tac Toe (🗻72位 /⏰1週)
70 Meek Mill – Championships (🗻70位 /⏰1週)
66 Lil Baby feat. Gunna – Ready (🗻66位 /⏰1週)
62 Lil Baby feat. Meek Mill – Time (🗻62位 /⏰1週)
61 Meek Mill – Trauma (🗻61位 /⏰1週)
58 Cardi B feat. Kehlani – Ring (🗻28位 /⏰20週)
57 Meek Mill – Respect The Game (🗻57位 /⏰1週)
55 Meek Mill – Intro (🗻55位 /⏰1週)
52 6ix9ine feat. Nicki Minaj & Murda Beatz – FEFE (🗻3位 /⏰20週)
・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品
1 XXXTENTACION – Skins
5 Gucci Mane – Evil Genius
7 John Mellencamp – Other People’s Stuff 🎫
15 Brett Young – Ticket To L.A.
62 Ice Cube – Everythangs Corrupt
69 benny blanco – FRIENDS KEEP SECRETS (EP)
86 JayDaYoungan – Forever 23
90 OST – Mary Poppins Returns
110 Van Morrison – The Prophet Speaks
128 Coldplay – Live In Buenos Aires
164 Jose Feliciano – Feliz Navidad
193 Chuck Berry – Rock ‘N’ Roll Rarities
その他
今週ラジオで好調だった曲
・Ariana Grande – thank u, next
・Halsey – Without Me
・Ellie Goulding & Diplo feat. Swae Lee – Close To Me
・Mark Ronson feat. Miley Cyrus – Nothing Breaks Like a Heart
・benny blanco, Halsey & Khalid - Eastside
※thank u, nextがかなりの規模でラジオ再生数を伸ばしています。全体的に女性シンガーの曲が多いですね
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)
*1:ストリーミング有料ユーザーの場合。無料ユーザーだと3750万=1となる。