チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

各国のSpotify週間1位の推移 / 比較 2018

 

 2018年の各国のSpotify(再生数)首位の推移を表にしてまとめました。Spotifyには週間のチャートがあるので、それの1位を参考にしています。その1位を3つのテーマで国を分類して、それらを表にしています。

(週間1位は↓のリンクから確認できます)

 

 

 その曲をイメージした色をそれぞれの曲につけています。同じ色の場所は、同じ曲が他の国でも1位になっているということです。色を付けていない曲は、「その同じ語圏特有のヒット」=ローカルヒットです。

 横幅の都合上、表を画像にして貼り付けたのですが、小さくて見づらいかもしれないので、スワイプ等して閲覧お願いします💦

 

※表のスペースの都合上、客演等の表記は簡素化しました

 

 

・テーマ1:主要国

 音楽市場の規模が大きく、Spotifyでも再生数が多いアメリカ・イギリス・ドイツに加え「第3の英語圏」であるオーストラリアを比較しました。日本も音楽市場の規模が大きいですが、Spotifyの再生規模は大きくないので、テーマ2,3に回しました。

 

※グローバルは全世界のSpotifyユーザーの再生数を合計したものです。(どのテーマでも参考として表の一番左に置いておきます)

 

・1-6月

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・7月ー12月

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  ここで表記したすべての国で、半分以上の週でラップが1位に。特にアメリカではラップ人気が際立ち、”Call Out My Name"(1週)と”thank u, next"(6週)以外はすべてラップで、強さが際立っています。

 アメリカ、イギリス、オーストラリアは同じ英語圏ということがあって、それなりに似たような曲がヒットしていますが、ドイツはかなり地元ヒットが多いです。表のうち、色のついていない曲は全てドイツ語ラップで、アメリカと同じく「地元のラップ」がヒットしているということが分かります。

 ドイツで首位を獲得している”In My Mind"はリトアニア人プロデューサーDynoroの楽曲、Ramzはイギリス人ラッパーです。ドイツもアメリカ並にラップの首位滞在が長いです。

 

 ・テーマ2:アジア

 次のテーマはアジアです。日本は英米よりもご近所のアジアのほうが音楽の嗜好傾向が近いのでは?と考えてアジアの各国と並べて表にしてみました。取り上げたフィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポールは日本と同等以上のSpotify再生数がある国々です (参考:Spotifyのランキング滞在「日数」から各国のアンセムを調査! (2018続編 / アジアも調査) - チャート・マニア・ラボ (CML)

 

・1月ー6月

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 ・7月ー12月

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 テーマ1とは打って変わって、ラップが減少。アジアでの1位のうち、ラップ曲は”All the Stars”、”Freaky Friday"、”In My Feelings"くらいです。

 どこの国も英語圏のポップスに加え、そしてK-Popや地元アクトがヒットしている、という点は共通しています。比率は国によって少し違いますが。ただし日本とその他の国で明確に違う点があります。それは曲のリリース年です。

 他の国では2018年にリリースされた曲が多くの週で1位を獲得しているのですが、日本では2017年以前の曲が半分の週で1位になっています。

 

Shape of You(13週)、Havana(1週)、打上花火(7週)=2017年、Wake Me Up(1週)=2013年、HANABI(3週)=2008年、All I Want for Christmas Is You(1週)=1994年  =合わせて26週

 

 クリスマス期における”All I Want for Christmas Is You"再浮上は他の国でも見られた現象ですが、それ以外でもここまで過去曲が1位を獲得し続けるのは珍しいと感じました。”Shape of You"はたしかに世界的に人気でロングヒットにもなりましたが、Spotifyでここまで1位に滞在し続けているのは日本ぐらいのようです。

 ”Shape of You"がSpotifyのランキング首位に立っていた期間は、他の国では長くても4ヶ月程度なのですが、日本では合計1年以上(427日)も首位に立っていました。

 年の後半ではあいみょんなどが台頭し、やや傾向は変わってきましたが、「過去曲が根強くヒットする」ということは、日本の特徴ではないか?と感じました。

 

・テーマ3:独自のヒットが見られる?国

 次に英語曲の流入が少ない国を観察しようと考えました。ここでは再生数がイギリス並(かそれ以上)にあって、母語の曲が中心に流行するブラジル、メキシコを扱います。日本も過半数がローカルヒットだったので、この項目に入れました。

 

・1-6月

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 ・7月ー12月

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 ※ラテン曲はアメリカなどでもヒットするので色をつけています

 

 ブラジル、メキシコいずれもそれぞれの母語の曲が全ての週で1位を獲得しています。(メキシコ1位の”Taki Taki"は英語ヴァースも多いですが) 英語のヒットがあまり流入しない国も多い、ということを表しています。 

 なかでもブラジルは英語曲の流入がかなり少なく、”In My Feelings"の5位が英語圏ヒットの中で最高位だったようです。(※この曲は日本では3位、メキシコでは2位まで到達しています)

 

 

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 データなどの参考:Kwrob