今週の最大のトピックはHalseyの”Without Me"が首位を奪取した点ですかね!それ以外では、先週まで大量にエントリーしていたクリスマス曲が全てチャートから外れ、多くの曲が入れ替わった点ですかね! ↑は今週新登場した「児童向けビデオ」として作成されながらも、最終的には音楽としてもヒットした”Baby Shark"
☆今週のHot 100 ショートハイライト
・Halseyの“Without Me”が首位浮上!”Closer”に次ぐ自身2曲目の1位シングル。2010年代において、Hot 100首位を複数曲獲得した9人目の女性シンガーに
・先週までのクリスマス曲が全てHot 100から外れ、チャートに大きな変化が。子供用ビデオの“Baby Shark”やZara Larssonなどが新登場
・アルバム1位は引き続き21 Savage
・今週のトップ10
1月15日 | Radio | Download | Streaming | ||||
△ | ◎ | 1 | Halsey | Without Me | 3 | 2 | 4 |
▽ | 2 | Ariana Grande | thank u, next | 5 | 4 | 3 | |
△ | ◎ | 3 | Post Malone & Swae Lee | Sunflower | 14 | 1 | 2 |
▽ | 4 | Travis Scott | SICKO MODE | 9 | 9 | 1 | |
△ | ◎ | 5 | Panic! At the Disco | High Hopes | 1 | 3 | 22 |
△ | 6 | Marshmello & Bastille | Happier | 2 | 5 | 12 | |
△ | ◎ | 7 | Maroon 5 feat. Cardi B | Girls Like You | 6 | 16 | 14 |
△ | 8 | Lil Baby & Gunna | Drip Too Hard | 29 | 31 | 6 | |
△ | 9 | Kodak Black feat. Travis Scott & Offset | ZEZE | 19 | 35 | 8 | |
△ | ◎ | 10 | Post Malone | Better Now | 10 | 11 | 18 |
☆=新登場 ◇=再登場 △=上昇 ▽=下降
◎ は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す
1~100位までの順位表は↓
曲の個別解説
☆100 Billie Eilish – idontwannabeyouanymore
ストリーミングでじわじわ注目を集め、過去曲も一部Hot 100に登場していたBillie Eilish。クリスマス曲の大量登場でその流れは一時中断していましたが、今週そのクリスマス曲が全て外れたことによって再浮上。
2017年にリリースのEP"dont smile at me"の曲、”idontwannabeyouanymore”が100位で登場。ほか彼女は”Ocean Eyes”が99位、“Lovely”が73位、”when the party’s over”が68位と合わせて4曲がHot 100に入っています。
ほかHot 100には入っていませんが、”you should see me in a crown”がオルタナティブロック系のラジオで8位と好調です。(この曲が現状でBillie Eilish唯一のラジオヒット)
☆95 benny blanco & Juice WRLD feat. Brendon Urie – Roses
名裏方benny blancoがJuice WRLD、そしてPanic! At the DiscoのBrendon Urieを招集した“Roses”が95位に登場。Benny blancoにとって”Eastside”に次いで2曲目のHot 100エントリー。この曲はSpotifyで好調。
これでJuice WRLDは3週連続でHot 100に何らかの曲が新登場したことに。(先々週はKodak Black、先週はA Boogie wit da Hoodieの客演で。3週前の新登場は無かったが、4週前はSki Mask the Slump Godの客演でHot 100に登場していた。つまり、客演に引っ張りだこということです)
☆93 Bad Bunny – Solo de Mí
クリスマスイブ頃にアルバムをリリースしたBad Bunny。そのアルバムからの“Solo de Mí”が93位に登場しました。先行シングルの“Mia”も今週20位に上昇しています。
先週のチャートでは週の途中のリリースで、7日分フルで集計されていませんでしたが、今週は7日分の集計。その効果によってアルバムチャートで29位→11位と上昇しました。
今週のアルバムチャート1位は引き続き21 Savage。ただし2位のA Boogie wit da Hoodieとの差は先週と比べて縮まりました。
次の週のチャートでも目立ったリリースが無いので、ストリーミングで好調のA Boogie wit da Hoodieがアルバム1位になる可能性も。
目立ったリリースが無い週は、ストリーミングで人気を得ているアルバムが順位を再び上げる傾向にあります。ストリーミングで人気の作品は1週目に再生して終わり、とはならず2週目以降の減少がゆるやかです。(参考:BROCKHAMPTON、アルバム1位から3週後に圏外へ? アルバム1位の「その後」 - チャート・マニア・ラボ (CML))
☆87 Loud Luxury feat. Brando – Body
昨年ヨーロッパを中心に旋風を巻き起こしたLoud Luxuryの“Body”がついにアメリカ上陸。87位で新登場を果たしました。
彼らの地元、カナダでは年間チャートの5位にランクイン!そのほかドイツで年間20位、イギリスで年間33位など大きな結果を残しています。
Spotifyでのピークは少し前でしたが、ポップ系ラジオで最近再生数が増えてきて、このタイミングでのHot 100入りを果たしました。
☆86 Zara Larsson – Ruin My Life
2016年にヨーロッパを中心に大ブレイクを果たしたZara Larssonが久々のHot 100入り。“Ruin My Life”が86位に登場。”Never Forget You”、“Lush Life”、”Ain’t My Fault”に次ぐ4曲目のHot 100エントリーです。
“Body”と同じく、この曲はSpotifyとポップ系ラジオで人気。
☆83 Carrie Underwood – Love Wins
カントリー曲は多くの場合ラジオがポイント源です。そしてそのラジオの再生数は山なりに規則正しく上昇していくので、他の曲の動向にかかわらずカントリー曲自体のポイントはあまり変化しないことが多いです。
そのため、普段はあまり順位が大きくは動かないのですが、他の曲で特殊な動きがあると順位を大きく下げる場合があります。先週までのクリスマス曲大量登場はその「特殊な動き」にあたり、その影響でカントリー曲は多く順位を下げていたのですが、クリスマス曲がいなくなったことにより、多くのクリスマス曲が「開放」されました。
今週のHot 100では9曲のカントリー曲が登場、または再登場を果たしています。その中で順位が最も高かったのは69位に再登場したChris Stapletonの“Millionaire”です。
☆82 Lukas Graham – Love Someone
こちらも久々の登場。2016年“7 Years”が世界的なヒットとなった、デンマークのグループLukas Grahamの”Love Someone”が82位に登場しています。彼らにとって3曲目のHot 100エントリーです。(あと一つは“Mama Said”)
この曲は主にアダルトポップ系ラジオで人気。主にゆったりとした曲、またはギターサウンドを好むこの系統に彼らはかなりフィットしていますね。
今週は新登場の曲が多いですが、再登場の曲もかなり多い(14曲)です。Silk CityとDua Lipaの“Electricity”は再登場と同時にピークを更新しています(62位)
△40 Dean Lewis – Be Alright
クリスマス曲が去った影響で、ヒットの基準とされるトップ40入りを果たした曲も今週は多かったです。
昨年半ばに母国オーストラリアでブレイクしたDean Lewisの“Be Alright”がアメリカでも40位まで浮上。トップ40ヒットとなりました。
ゆったりとした曲調が支持され、ポップやアダルトポップ系などのラジオで人気を得ています。ほかSpotifyでも人気。
△37 Jimmie Allen – Best Shot
“Love Wins”の項目でクリスマス曲が去った影響でカントリー曲が多く新登場・再登場を果たしたと説明しましたが、それと同じ理由によって既存のカントリー曲も多く順位を上げました。
その中でもJimmie Allenの“Best Shot”、Mitchell Tenpennyの”Drunk Me”がそれぞれ新たにトップ40入りを果たしています。彼らは2人ともキャリア初のトップ40シングルです。
その他、Luke Combsの“She Got the Best of Me”が31位、Dan + Shayの”Speechless”が24位などかなり高い順位まで到達しています。
△34 Lauren Daigle – You Say
Lauren Daigleの“You Say”が34位まで浮上。「ヒットの見込みがある」ということで、先週まで特例でチャートに残っていたこの曲でしたが、その見込み通り浮上し、トップ40まで到達しました。
もともとクリスチャン系ラジオで人気だったLauren Daigleでしたが、DL人気によってHot 100に初登場を果たすと、他のリスナーからの注目度も向上。最近はアダルトポップ系のラジオなどでも人気を得ています。
△33 Ellie Goulding & Diplo feat. Swae Lee – Close To Me
Ellie Gouldingの“Close To Me”が33位へ浮上。彼女にとって7曲目のUSトップ40。UKの歌手としてはかなりの数字だと思います。
Ellie Gouldingの曲がUSでもヒットするのはラジオでの支持が強いからだと思います。イギリスでヒットしなかった曲でも、アメリカのラジオではヒットするようなケースもあり、USでブレイクするきっかけとなった“Lights”や”Something in the Way You Move”などはイギリスよりもアメリカのチャートでの順位が高いです。
Jess GlynneやRita Oraなどはイギリスでヒットを連発してもなかなかアメリカのラジオにかからない(この2人のUSでのトップ40ヒットは1曲だけ)ので、イギリスの女性シンガーでアメリカでの人気を確立しているのは珍しいと思います。(Ellie Goulding以外でここまでヒットが多いのはAdeleくらい)
☆32 Pinkfong – Baby Shark
YouTubeで21億再生など人気を博し、話題になっていた「子供向けビデオ」として作成された“Baby Shark”がついにHot 100登場。32位と高い順位で登場しました。”PPAP”や“Dame Tu Cosita”の系譜を次ぐヒット曲です。
ちなみに21億再生は現在歴代で26番目に多い再生数です。「元祖・YouTubeナンバーワン」Justin Bieberの“Baby”の再生数を既に抜かしています。
今週イギリスのシングルチャートで6位に入ったこともあり、個人的に「そろそろアメリカでもBubbling Underくらいに入るかなー」と考えていたのですが、まさかこんなに高い順位で登場するとは予想外でした。
この珍しいチャート動向を、ビルボードは個別の記事にしています。
記事には、この曲を作ったPinkfongは韓国の教育系企業であること、2016年リリースだったこと、再生数の73%はビデオによるもの、TikTokがヒットの一因であることなどが書かれています。
また「この曲は2016年リリースで古いのでルールによって50位以上にしか登場しない」とされているのが意外でした。リリースから少し経過しているのは確かですが、ヒットしてピークを迎えているのは今なので、「今の曲」として扱っても良さそうと個人的には感じますが。
ビルボードは以前にも、この曲の解説記事をリリースしたことがあり、その記事では「子供のキャンプファイヤーでよく用いられたりしていて、絶対1回は聞いたことがあるはずだ」と書いてあります。日本の幼稚園や小学校でも使われているのですかね???私は聞いたことがないですが……
ちなみにこの“Baby Shark”、YouTubeのSongチャートでは、「曲」として見なされていないせいか、チャートにランクインしていません。(YouTubeでは児童系のコンテンツがヒット曲並に影響力を持つケースがあります。”Baby Shark”は児童系としてくくられているのかも)
△1 Halsey – Without Me
Ariana Grandeとのレースを制してHalseyの“Without Me”が首位浮上!Halseyは“Closer”に次いで自身2曲目のHot 100首位獲得に成功。これで2010年代に複数曲でHot 100首位を記録した9人目の女性アーティストになりました。
Rihanna 9曲
Katy Perry 8曲
Taylor Swift 5曲
Adele 4曲
Cardi B、Kesha 3曲
P!nk、Britney Spears*1、Halsey 2曲
Rihannaは全体でも今Decadeの1位曲数が最多です。男性で一番多いのはBruno Marsの7曲です。Drakeは6曲。
この曲はJustin Timberlakeの1位曲“Cry Me A River”を引用しており、引用元と同じ1位獲得に成功した、とビルボードは解説記事に書いています。(Halseyの以前の1位、”Closer”もThe Frayの“Over My Head”を「後付け」サンプリングしていた)
来週以降は”thank u, next”そして、映画公開以降、好調をキープするスパイダーマンの主題歌“Sunflower”らと首位の座を争います。
※ちなみにEminemの“Without Me”はピーク2位でした
今週チャートから外れた曲 (28曲)
【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】
95 21 Savage - asmr (🗻95位 /⏰1週)
93 21 Savage – gun smoke (🗻93位 /⏰1週)
88 21 Savage – out for the night (🗻88位 /⏰1週)
86 21 Savage (feat. Offset) – 1.5 (🗻86位 /⏰1週)
70 21 Savage – Break Da Law (🗻70位 /⏰1週)
55 Lauren Daigle – The Christmas Song (🗻55位 /⏰2週)
53 Katy Perry – Cozy Little Christmas (🗻53位 /⏰2週)
49 Frank Sinatra – Jingle Bells (🗻49位 /⏰1週)
45 Chuck Berry – Run Rudolph Run (🗻45位 /⏰4週)
44 Kelly Clarkson – Underneath The Tree (🗻44位 /⏰4週)
43 Darlene Love – Christmas (Baby Please Come Home) (🗻43位 /⏰2週)
42 John & Yoko … – Happy Xmas (War Is Over) (🗻42位 /⏰2週)
40 Elvis Presley – Blue Christmas (🗻40位 /⏰1週)
35 Perry Como – It’s Begininng To Look A Lot Like Christmas (🗻35位 /⏰2週)
34 Bing Crosby – White Christmas (🗻12位 /⏰15週)
32 Perry Como – Home For the Holidays (🗻32位 /⏰2週)
29 Jose Feliciano – Feliz Navidad (🗻29位 /⏰5週)
28 Gene Autry – Here Comes Santa Claus (🗻28位 /⏰3週)
26 The Ronettes – Sleigh Ride (🗻26位 /⏰3週)
25 Wham! – Last Christmas (🗻25位 /⏰9週)
20 Dean Martin – Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow (🗻20位 /⏰4週)
16 Gene Autry – Rudolph The Red-Nosed Reindeer (🗻16位 /⏰4週)
13 Andy Williams – It’s the Most Wonderful Time of the Year (🗻10位 /⏰10週)
11 Nat King Cole – The Christmas Song (🗻11位 /⏰17週)
10 Burl Ives – A Holly Jolly Christmas (🗻10位 /⏰10週)
9 Brenda Lee – Rockin’ Around the Christmas Tree (🗻9位 /⏰27週)
8 Bobby Helms – Jingle Bell Rock (🗻8位 /⏰25週)
3 Mariah Carey – All I Want for Christmas Is You (🗻3位 /⏰30週)
(↑9位から圏外に落ちた2015年の“You Might Be Dead Tomorrow”の記録を塗り替えて、最も高い順位でチャートから外れた曲に)
・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品
175 Palisades – Erase the Pain
年始年末はアルバムリリースが少ないと知っていましたが、まさかこんなに少ないとは……
その他
・ラジオで好調だった曲
・Dustin Lynch – Good Girl
・Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You
・Taylor Swift – Delicate
・Bebe Rexha & Florida Georgia Line – Meant to Be
・Ed Sheeran – Perfect
先週に引き続き、2018年にラジオでヒットした曲のリバイバルが盛んでした。それ以外では“Good Girl”などカントリー曲の伸びが際立ちました
・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲
・Future – Crushed Up
・Chris Brown – Undecided
この週もリリースが少なく、Hot 100に入りそうな新曲候補はこの程度です。
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)