こんばんは!🥄
◇今週のHot 100 ハイライト◇
・Taylor Swiftの"You Need To Calm Down"が2位に登場。"Old Town Road"の牙城は崩せず
・Drakeの"Money in the Grave"が7位に登場。"Omertà"は35位
・Jojiの新曲"Sanctuary"が80位に登場。2回目のHot 100入り
・Madonnaがアルバム1位。バンドルで数字を稼ぐ
・今週のトップ10
6月29日 | R | D | S | ||||
- | 1 | Lil Nas X feat. Billy Ray Cyrus | Old Town Road 🚩 | 3 | 2 | 1 | |
☆ | ◎ | 2 | Taylor Swift | You Need To Calm Down | 50 | 1 | 3 |
▽ | ◎ | 3 | Billie Eilish | bad guy | 9 | 4 | 2 |
▽ | ◎ | 4 | Khalid | Talk | 1 | 16 | 9 |
▽ | ◎ | 5 | Ed Sheeran & Justin Bieber | I Don't Care | 4 | 3 | 10 |
- | 6 | Jonas Brothers | Sucker | 2 | 10 | 20 | |
☆ | ◎ | 7 | Drake feat. Rick Ross | Money in the Grave 🍎✅ | - | 9 | 4 |
▽ | 8 | Post Malone | Wow. | 6 | 21 | 13 | |
▽ | ◎ | 9 | DaBaby | Suge | 16 | - | 6 |
▽ | ◎ | 10 | Chris Brown feat. Drake | No Guidance | - | 19 | 5 |
R=Radio、D=Download、S=Streaming
🍎=Apple Musicで1位、✅=Spotifyで1位、🚩=YouTubeで1位
◎ は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す
緑背景はその指標がトップ10内で最高、赤背景は最低
1~100位までの順位表は↓
曲の個別解説
☆100 Justin Moore – The Ones That Didn’t Make It Back Home
今週カントリー系ラジオ13位に入ったJustin Mooreのシングルが100位でHot 100位にエントリー。
ここ数週カントリー曲は上位での奮闘が光ります。今週Lee Briceの“Rumor”が36位→25位と大きく上昇。 (この曲はYouTubeで50位)
☆97 Ali Gatie – It’s You
カナダ出身のシンガー、Ali GatieのR&B調の“It’s You”が97位に登場。初のHot 100です。主にストリーミングで好調。Apple・Spotify・YouTubeの全てでトップ100圏内に入っています。
今週に入ってからもストリーミングでの伸びは続き、来週以降Hot 100での浮上に期待が持てます。US以外の国のストリーミングでも急浮上中です。
アーティスト本人がTikTokに投稿。ミームらしい動きはなく純粋に歌っているだけですが!アーティスト側が投稿することもあるんですね。
◇95 NAV feat. Meek Mill – Tap
NavがMeek Millを迎えた“Tap”が95位に再登場。アルバム週以来のHot 100復帰に。シングル化に伴う再浮上です。
リリース以降Apple Musicでは長く上位をキープ。それに加えここ最近はSpotifyやリズミック系ラジオで浮上しています。
☆92 Marshmello feat. A Day To Remember – Rescue Me
MarshmelloがA Day To Rememberを迎えた“Rescue Me”が92位に登場。ポップパンク系バンドA Day To Rememberは初のHot 100入り。従来のMarshmelloのシリーズよりもロック成分が強めです。
この曲は今週DLが12位。Spotifyでは135位と他のMarshmelloのシングルと比べると若干低めの順位です。
◇89 Travis Scott – WAKE UP
シングルカットされたTravis Scottの“WAKE UP”が89位に再登場。Feat.の表記はありませんがThe Weekndがボーカルを担当しています。
シングル化に伴うラジオの伸びが再登場の要因。リズミックで4位に入ったほか、ポップ系やアーバン系でもオンエアされています。
リリース時にストリーミングで爆発的な人気になったアルバムの、時間が経ってからカットされるシングルはリリース時ほどストリーミングが伸びない傾向にあります。この“WAKE UP”もApple、Spotify、YouTube全てで圏外です。
☆80 Joji – Sanctuary
Jojiの“Sanctuary”が80位に登場!2回目のHot 100入りを達成しています。日本人で他に複数曲Hot 100入りしているのは坂本九とオノ・ヨーコです。
歴代の日本人Hot 100入り
(🗻ピーク順位・⏰チャート滞在週数)
1963年 坂本九 – Sukiyaki (🗻1位・⏰14週)
1963年 坂本九 – China Nights (🗻58位・⏰3週)
1979年 ピンクレディー – Kiss in the Dark (🗻37位・⏰11週)
1980年 YMO – Computer Game Theme from The Circus (🗻60位・⏰9週)
1981年 横倉裕 feat. Patti Austin – Love Light (🗻81位・⏰3週)
1981年 オノ・ヨーコ – Walking On Thin Ice (🗻58位・⏰10週)
1990年 松田聖子 feat. Donnie Wahlberg – The Right Combination (🗻54位・⏰13週)
2016年 ピコ太郎 – PPAP (🗻77位・⏰4週)
2018年 Sofi Tukker feat. Nervo, The Knocks & 植野有砂 – Best Friend (🗻81位・⏰5週)
2018年 John & Yoko/The Plastic Ono Band With The Harlem Community Choir - Happy Xmas (War Is Over) (🗻42位・⏰2週)
2019年 宇多田ヒカル & Skrillex - Face My Fears (🗻98位・⏰1週)
2019年 Joji – SLOW DANCING IN THE DARK (🗻96位・⏰1週)
2019年 Joji – Sanctuary (🗻80位・⏰1週)
“Sanctuary”はが人気だったのはSpotify(19位)とYouTube(40位)です。Apple Musicでも200位圏内には入っています。キャリアを通してSpotifyでの人気が高めです。
今週のアルバムチャートでは、新シングルの効果なのか前アルバム"BALLADS 1"が184位→124位と順位を伸ばしています。
Jojiは”SLOW DANCING IN THE DARK”、”Yeah Right”、”Will He”の3曲がSpotifyで1億再生超え。88risingの一員として参加した“Midsummer Madness”もそろそろ1億再生に到達します。
Spotifyで1億再生超えを記録している日本人は、Joji以外だと”Happy Xmas”でのOno Yokoくらいです (ほかTeriyaki Boyzや植野有砂は5000万再生は超えている)
☆75 Dreamville feat. J.I.D, Bas, J. Cole, EARTHGANG & Young Nudy – Down Bad
J. Cole率いるレーベルDreamville名義での1曲がHot 100に登場。J. Cole以外はHot 100初登場です。(Young NudyだけはDreamville所属ではない)
この曲は特にApple Musicで人気。リリース時にはトップ10にも入っていました。次に人気があったのはSpotifyです。YouTubeでは圏外。
△14 Lizzo – Truth Hurts
今週2曲がトップ10に新登場した影響で、代わりに”Dancing With A Stranger”と“Sunflower”がトップ10から外れています。前者はラジオ再生数の減少が顕著なので再浮上は厳しそうですが、後者はポイントの減少がゆるやかなので今後トップ10に再浮上する可能性もあります。 “Sunflower”は28週もトップ10に滞在していました。
今後新規でトップ10に入りそうなのはLizzoの“Truth Hurts”です。ストリーミングでの好成績をキープしたまま、ラジオの再生数を伸ばして14位まで浮上してきています。
ほかラジオが伸びてきたShawn Mendesの“If I Can’t Have You”も今後トップ10に復帰するかもしれません。次の週のチャートでは新シングル”Senorita”もトップ10入り濃厚です。
☆7 Drake feat. Rick Ross – Money in the Grave
Drakeが地元トロントのNBAチーム、Raptorsの初タイトルを祝福したシングル2曲をリリース。Rick Rossとの“Money in the Grave”が7位に、Omertàが35位に登場しています。
これでDrakeはトップ10曲数でThe Beatlesを抜かしました。しかしDrakeは客演の数が多いので、単純な比較は難しいですが (詳しくは先週の記事に書いています:Hot 100 6/22 見どころ 【Jonas Brothers、バンドルの力を借りつつ圧倒的なアルバム1位 】 - チャート・マニア・ラボ)
Rick Rossは2回目のトップ10入り。前のトップ10もDrakeとタッグを組んでいました。(DJ Khaled feat. Drake, Lil Wayne & Rick Ross名義の“I’m on One” ピーク10位)
昨年のシングルが軒並み1位になっていたことを考慮すると、7位デビューは物足りない成績という捉え方もできますが、スタジオアルバム用のシングルだった昨年の曲とは立ち位置が違うと思うのでこんなものだと思います。
(ミックステープ“More Life”からのシングルも1位に到達していなかった)
☆2 Taylor Swift – You Need To Calm Down
Taylor Swiftの“You Need To Calm Down”が2位に登場しています。またも”Old Town Road”の牙城は崩せず。DLでは今週1位だったものの、ストリーミングは3位でした。週半ばにリリースされたビデオの効果で初日の予想よりは高い順位に入りましたが、1位には届かず。
🐴 @LilNasX is unstoppable. pic.twitter.com/8TYTHbKibA
— Complex Music (@ComplexMusic) June 25, 2019
DLやストリーミングは“ME!”の初週よりも低かったです。しかし真価が問われるのは2週目以降な気がします。”ME!”はポイントを落とすまでのスピードが早かったので、“Calm”がこの調子をある程度保つことができれば最終的には”ME!”を上回るヒットになります。
“ME!”はわずか4週しかトップ10に残らなかったので、これを上回るのがとりあえずの目標ですね。
×× Billie Eilish – bury a friend
Billie Eilishの”bury a friend”がチャートから外れました。ピーク14位、チャート滞在は20週でした。
この曲はBillie Eilish初のトップ40でした。過去シングルがストリーミングでじわじわ人気を伸ばしていたシンガーに対する熱量が一気に爆発し、彼女の人気ぶりがチャートに反映されたシングルだったと思います。
主にストリーミングで人気だった曲で、大きくラジオにかかることは無かったです。しかし唯一オルタナティブ系ラジオではオンエアされ、この系統で1位にもなっています。
×× Lil Baby – Close Friends
特殊なチャートアクションを見せていたLil Babyの“Close Friends”がHot 100から外れました。ピークは28位、チャート滞在33週でした。
Lil Baby & Gunnaのミックステープからのシングルで、次第に“Drip Too Hard”に次ぐ2番人気シングルの座を確保。ストリーミングでの人気からHot 100下位に長く滞在していました。
そしてチャート「満期」にあたる20週目が近づき始めた頃合からラジオでのオンエアを開始。21週目を迎えた時点では51位以下に位置しており、本来ならばチャートから外されてしまう順位だったのですが、ラジオが伸びていることから特例が適用されてチャートに残留。最終的には再びチャートの上半分まで順位を戻すことに成功しました。
ストリーミングでのロングヒット、絶妙なタイミングでのシングルカットが演出したチャート長期滞在です。
Lil Babyが客演を務めていたYo Gottiの“Put a Date On It”も滞在20週目を迎えて今週チャートから外れています。Spotifyでは長く圏外*2ながらも、YouTubeでは長くトップ10に入るなどポイントの取り方に偏りがありました。
×× Luke Combs – Beautiful Crazy
Luke Combsの“Beautiful Crazy”が今週チャートから外れました。ピークは21位、チャート滞在31週でした。カントリー曲としてはかなりの成績だと思います。
カントリー曲はラジオの再生とHot 100の順位が比例しやすいので、ラジオの再生が減少すると規則正しくHot 100の順位を落としていきます。カントリー系ラジオはシングルのサイクルがやや早いため、カントリー曲のチャート滞在そこまで長くありません。(ストリーミングに押され気味の近年は特に)
昨年のHot 100でチャートから外れたカントリー曲の最終的な成績を見ていきます。ストリーミングで人気だった“Heaven”、ポップ系ラジオに飛び火した”Meant to Be”・“Tequila”の3曲以外は全て21週以下の滞在に終わっています。
これに対し“Beautiful Crazy”はストリーミングが伸び、ラジオ以外のプラスαを得たことにより長くチャートに残ることに成功しました。
彼以外にも、最近のカントリー曲は一部ストリーミングで人気を得ることに成功しており、カントリー曲のチャートアクションが今後多様化していくかもしれません。
今週チャートから外れた曲 (11曲)
【先週の順位、アーティスト名、曲名、🗻ピーク順位、⏰チャート滞在週数】
99 Future – Government Official (🗻99位 /⏰1週)
98 Future – XanaX Damage (🗻98位 /⏰1週)
92 Ozuna – Amor Genuino (🗻92位 /⏰1週)
88 Cody Johnson – On My Way To You (🗻78位 /⏰16週)
87 Future – Please Tell Me (🗻87位 /⏰1週)
83 Avicii – Heaven (🗻83位 /⏰1週)
79 Yo Gotti feat. Lil Baby – Put A Date On It (🗻46位 /⏰20週)
62 Luke Combs – Even Though I’m Leaving (🗻62位 /⏰1週)
58 Billie Eilish – bury a friend (🗻14位 /⏰20週)
48 Lil Baby – Close Friends (🗻28位 /⏰33週)
45 Luke Combs – Beautiful Crazy (🗻21位 /⏰31週)
・アルバムチャート(Billboard 200)に新登場した作品
1 Madonna – Madame X 🎫
2 Bruce Springsteen ー Western Stars 🎫
5 Bastille – Doom Days 🎫
26 Lil Keed – Long Live Mexico
39 Baroness – Gold & Grey
77 Goldlink – Diaspora
122 Hillsong Worship – The Peace Project
125 X Ambassadors – Orion
151 Lukas Nelson & Promise Of The Real – Turn Off The News, Build A Garden
158 Dave Matthew’s Band – Rhino’s Choice
※アルバム1位はMadonna。主にツアーチケットのバンドルによるセールスでポイントを稼いでいます。USでのストリーミングは奮いませんでしたが、Anitta(ブラジルの大スター*3)がアルバムに参加している影響で、ブラジルではストリーミングで一定の人気を得ました。
◇アルバムチャート長期滞在
1周年:Dan + Shay – Dan + Shay (今週29位)
1周年:Panic! At the Disco – Pray For The Wicked (今週33位)
1周年:Bebe Rexha – Expectations (今週165位)
200週目:The Beatles – White Album (今週198位)
昨年の今頃リリースされたアルバムが3つ滞在1周年をストレートで迎えました。これらのアルバムはリリース以降、圏外に落ちていないということになります。
いずれも複数のヒットシングルを出したことが有用に働いています。Bebe Rexhaは“Meant To Be”のパーセンテージが大きいと思いますが、意外と”I’m A Mess”も健闘しています(Spotifyでは2.84億再生まで到達。“Meant”は7.24億再生)
その他
・今週ラジオで伸びた曲
☆Taylor Swift – You Need To Calm Down
・Khalid – Talk
・Billie Eilish – bad guy
・Thomas Rhett – Look What God Gave Her
・DaBaby – Suge
・来週以降Hot 100に入るかもしれない?曲
・Y2K & bbno$ - Lalala
Apple Music & Spotifyのランキングを急速に駆け上がっている1曲。来週のHot 100には入りそう。新たなスター候補
・Shawn Mendes & Camila Cabello – Señorita
・Lil Nas X – Panini
トップ10デビューの可能性。今週に引き続き上位デビューの曲によってトップ10のリフレッシュが進む予感。
・Hot 100圏外の曲のうち各サービスで最も人気のあった曲
🍎 Meghan Thee Stallion feat. DaBaby – Cash S**t (今週17位程度)
✅ Martin Garrix feat. Macklemore & Patrick Stump – Summer Days (今週37位)
🚩 YoungBoy Never Broke Again – 4 Sons of A King (今週13位)
※Apple Musicは週の最終日の順位を週間の“参考順位”としています(Apple Musicには週間チャートが無い)
YoungBoy Never Broke AgainはYouTubeでの人気がかなり際立ちます。何回もYouTubeのアーティストランキングでは1位になっていますが、他の媒体であまり人気が出ないためYouTubeでかなり高い成績が出てもHot 100に入らないことがよくあります。
曲のリリースが多く、人気シングルが媒体によってズレていることもチャートにあまり入れない理由の一つです。(現在Apple・Spotifyでの一番人気は”Slime Belief"だが、この曲はYouTubeでは圏外)
関連 / 参考記事
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説(記事を書くうえで参考にしています)
・ビルボードスタッフが議論するシリーズ
今週のテーマは……Taylor Swiftの新シングルについてです。
① 最終的によりヒットになるのは“ME!”か”You Need To Calm Down”か?
② 2シングル連続2位。私たちはTaylorの影響力を過小評価しているか?
③ 去年1位デビューを繰り返したDrakeの新曲が7位デビューだったことは驚きか?
④ プライド・マンスにリリースされたこの曲は新たなゲイ・アンセムになりうるか?
⑤ 多数の大物の1位を阻んだ“Old Town Road”はいつまで1位の座を守るか?
②における「私たち」はチャートのことを指しているような印象があります。何かチャートの限界性まで考えたやや哲学的な質問なように思いました。
⑤は先週ようやく1億再生を割って少し勢いが落ち着いてきた“Old Town Road”について。しかしまだまだ異次元の再生数ではあるので、やはりRihanna・Adeleの新曲がこの曲を止める有用な手段と考えているようです。