こんばんは。”bad guy”がついに“Old Town Road”を止めました！ ↑は首位獲りの要因の１つになったカセットシングルです
◇今週のHot 100 ハイライト◇
・”bad guy”が１位奪取。先週まで累計９週間２位でしたが、ついに首位に。
・“Old Town Road”は３位へ。19週にわたる１位滞在が終わる
・Megan Thee Stallionの“Hot Girl Summer”が11位に登場
・Slipknotが３回目のアルバム１位。Hot 100エントリーが無いアーティストでは最多タイ
・“Shallow”が45週の滞在の末にHot 100から外れる
・今週のトップ10
| 8月24日 | R | D | S | ||||
| △ | ◎ | 1 | Billie Eilish | bad guy | 6 | 6 | 3 |
| △ | ◎ | 2 | Shawn Mendes & Camila Cabello | Señorita | 3 | 4 | 4 |
| ▽ | 3 | Lil Nas X feat. Billy Ray Cyrus | Old Town Road 🚩 | 28 | 1 | 1 | |
| - | ◎ | 4 | Lizzo | Truth Hurts | 4 | 5 | 7 |
| - | 5 | Khalid | Talk | 1 | 21 | 15 | |
| - | 6 | Chris Brown feat. Drake | No Guidance 🍎 | 11 | 15 | 5 | |
| - | 7 | Ed Sheeran & Justin Bieber | I Don't Care | 2 | 10 | 17 | |
| △ | ◎ | 8 | Lil Tecca | Ransom ✅ | - | - | 2 |
| - | ◎ | 9 | Post Malone feat. Young Thug | Goodbyes | 10 | 11 | 10 |
| - | ◎ | 10 | Shawn Mendes | If I Can't Have You | 5 | 34 | 27 |
R＝Radio、D＝Download、S＝Streaming
🍎＝Apple Musicで１位、✅＝Spotifyで１位、🚩＝YouTubeで１位
◎ は先週と比べて曲のポイントが伸びていることを指す
緑背景はその指標がトップ10内で最高、赤背景は最低
１～100位までの順位表は↓
曲の個別解説
☆93 DaBaby feat. Offset – Baby Sitter
DaBabyの“Baby Sitter”がHot 100に登場。”Suge”でのブレイクに伴い注目され、以前からBubbling Under（＝101～125位相当）に入っていた曲が今週ついにHot 100入りです。
ストリーミングでのピークは過ぎたものの、シングルカットされてラジオでのオンエアが増えた（アーバン系22位）ことによるジャンプアップです。
☆92 Lil Tjay – F.N
Polo Gの“Pop Out”の客演として注目を集めたLil Tjayのアルバム表題曲”F.N”が92位に登場。３曲目のHot 100エントリーです。アルバムチャートでは38位でした。
シングルの“F.N”はApple Musicで30位程度、YouTubeで53位、Spotifyで159位にランクイン。Apple & Spotifyの主要ラッププレイリストには “LANDSWITCH”という曲が最初入っていましたが、最終的に人気を得たのはこちらの”F.N”で、２週目にプレイリストの曲もこちらに切り替わりました。
☆90 Runaway June – Buy My Own Drinks
カントリー系ラジオ14位の“Buy My Own Drinks”がHot 100の90位に登場。Runaway JuneはHot 100初登場のカントリー女子グループです。
今週のカントリー系ラジオではDan + Shayの“All To Myself”が１位になっています。Hot 100では31位です。
☆86 Wale feat. Jeremih – On Chill
WaleとJeremihの“On Chill”が86位に登場。Jeremihが美声を響かせるR&B成分の強い１曲です。
アーバン系ラジオで14位、Apple Musicで70位程度にランクイン。Spotifyでは圏外です。R&B色のある曲はアーバン系 / Apple Musicで人気になりやすいです。
・ラップ系統ラジオ、アーバン＆リズミックの違いのイメージ
アーバン＝ R&Bも多くかかる ポップ寄りのラップが少ない Apple Musicに近い
リズミック＝ R&Bはやや少なめ ポップ寄りの曲もよくかかる Spotifyに近い
☆84 Cameron Biyce, Dave Cameron, Sofia Carson, China Anne McClain, Booboo Stewart, Thomas Doherty & Dylan Playfair – Night Falls
映画“Descendants 3”の収録曲がさらにHot 100に登場。”Night Falls”が84位に。全員過去にHot 100登場歴あり。先週登場した“Queen of Mean”は67位→49位に上昇しました。
稼ぎ頭と思われるYouTubeでは再生数がマイナスになっていますが Hot 100ではなぜか順位を上げています。一応、Amazon Musicでそれなりに上位つけています。
☆81 Katy Perry – Small Talk
Katy Perryの新曲“Small Talk”が81位スタート。わずか１週でチャートから外れてしまったZeddとの”365”に似たスロースタートになってしまいました。
”Never Really Over”は初週DL３位でしたが、この曲はDL は24位。比較的得意なDLの数字を伸ばすことができず。また、苦手なストリーミングもSpotifyでは31位と健闘しましたが、AppleとYouTubeでは圏外でした。
この曲へとシングルが切り替わったため、代わりに”Never Really Over”のラジオ再生数が急落。NROはそれなりに上手くいっていたため、もう少しこちらのシングルで粘るべきだったようにも感じます。
☆64 Trippie Redd feat. Lil Baby & Lil Duke – Mac 10
Trippie Reddの２枚目のスタジオアルバム“!”がストリーミングで人気を集めてアルバムチャート３位にランクイン。総合売上5.1万、うち純セールス0.7万です。
Hot 100には収録曲２つが登場。先行シングルでビデオもある“Mac 10”が64位、”Snake Skin”が87位に登場しました。”Mac 10"に参加したLil DukeはHot 100デビュー。
これらの曲はApple Music、Spotifyの両方でトップ50圏内に入っていました。（両方でバランスよく人気）
△59 Rick Ross feat. Drake – Gold Roses
アルバム２位にランクインしたのはRick Ross。こちらもストリーミングを中心に人気を集めています。総合売上は8.0万で、純セールスは2.5万でした。
ストリーミングの数字はTrippie Reddを上回っていますが、Hot 100に登場したのは既存シングルの“Gold Roses”のみでした。101～125位相当の曲を扱うBubbling Underには７曲がランクインしています。
今週のアルバムチャートで１位だったのはSlipknot。総合売上は11.8万、純セールスは10.2万です。チケットバンドル戦略でセールスの数字を稼いでいます。
Hot 100エントリー歴が無いアーティストでは最多タイの３枚目のアルバム１位です。（Vampire Weekendと並ぶ）
△34 Lil Baby & DaBaby – Baby
DaBabyが関わる２つの曲がトップ40入り。Quality Controlのコンピレーションからの“Baby”が34位、Megan Thee Stallionとの”Cash S**t”が39位に入りました。
前者はストリーミング、特にApple Musicで好調。来週はコンピレーションのリリースがチャートに反映され、少し順位が伸びるかもしれません。ラジオにはまだかかっていません。
後者は“Hot Girl Summer”リリースの効果で若干ストリーミングが浮上。Apple Musicではトップ10まで到達。アーバン系などのラジオでも好調です。（アーバン系：９位 リズミック系：31位）
△24 Polo G feat. Lil Tjay – Pop Out
“Pop Out”が滞在21週目で再び上昇気流に？ストリーミングでのピークは既に過ぎていますが、このタイミングでリズミック＆アーバン系のラジオで浮上。ラジオ総合38位にランクインし、Hot 100順位を少しずつ上げています。この曲のピークはPolo Gがアルバムをリリースした週に記録した11位です。
新人のストリーミング発の曲はラジオでのオンエアまで時間がかかるケースがあります。ストリーミングとラジオのピークがズレるため、Hot 100でのピーク順位があまり高くならないというジレンマがある一方、裏を返せばロングヒットにもなりやすいという見方もできます。
☆11 Megan Thee Stallion feat. Nicki Minaj & Ty Dolla $ign – Hot Girl Summer
Megan Thee Stallionの新曲“Hot Girl Summer”が絶好調。先週までのキャリア最高位は41位でしたが、それを大きく上回る11位に新登場しました。
DLは３位、YouTube10位、Spotify８位、Apple Music３位と各媒体でかなりの好成績。 リズミック系で29位、アーバン系で20位と初週からラジオでのオンエアも充実しています。初日は２位と差をつけてのiTunes１位、かつApple１位だったのでトップ10に届きそうな雰囲気もありましたが、週の後半は若干下降。ビデオリリース等での再ジャンプアップに期待です。
Rolling Stone Chartsでは首位に。このチャートはHot 100よりもDLの比率が高い都合上、かなりその週の新曲が強い傾向にありますね。
この曲はCity Girlsの“Act Up”が冒頭に挿入されています。同じ女性ラッパー同士であるCity GirlsとMegan Thee StallionはQuality Controlのコンピレーションでも共演を果たしています。
※ゴチャゴチャした冒頭から、突然Ty Dolla $ignの美声が登場する流れが素晴らしいと思います。
△１ Billie Eilish – bad guy
ついにHot 100の首位が交代！19週にわたる“Old Town Road”のHot 100支配を止めたのは”bad guy”でした。Lil Nas XもBillie Eilishの１位を祝福しています。
congratulations to billie eilish!! u deserve this!!
— nope (@LilNasX) August 19, 2019
累計９週２位に滞在した末の１位獲得、と「粘りの１位」でした。１位を獲得する以前に記録した２位滞在が最長でした。
９週：Billie Eilish – bad guy
８週：Justin Bieber – Sorry
８週：Outkast feat. Sleepy Brown – I Like the Way You Move
※「２位滞在が長い曲」とは少し違います。Foreignerの“Waiting for Girl Like You”とMissy Elliottの”Work It”は10週２位に滞在しましたが、１位になれず。
この曲が１位を獲得できたのは、“Old Town Road”が数字を落としてきたこと、そしてこの曲自体も少し伸びたことにあります。”bad guy”もしばらくマイナスだったのでここに来て巻き返したのは少し意外でした。
伸びの要因の１つとして挙げられるのは、公式サイトで販売されたカセットシングルです。この効果でセールスが11%増になりました。
ほかビルボードは集計最終日にリリースされたVertical Video（スマホ向け縦ビデオ）が上昇の要因としていますが、このビデオの再生数がそこまで多くなく、また今週この曲のYouTube再生数は-10.6%とあるので、これに関しては微妙です。
先週まで伸びていたラジオは今週からマイナスに(-3%)。ただし先週ピークとラジオのピークが遅めに来ていること自体は「粘りの１位」にプラスに働いたと思います。ラジオのオンエアタイミングが普通の曲だったら、９週の２位の中盤のうちにラジオがマイナスになり始めるように思います。”Pop Out”の項目で説明したような形で、Billie Eilishもラジオにかかり始めるタイミングが遅めでした。
現在新世代の旗頭的存在となりつつあるBillie Eilish。この”bad guy”は史上初の21世紀生まれシンガーによる１位シングルとなりました。
（いわゆるZ世代*1のHot 100首位獲得者）
2001年：Billie Eilish
1999年：Lil Nas X
1998年：XXXTENTACION
1997年：Camila Cabello、Desiigner
1996年：Lorde
1995年：Post Malone
近いうちにShawn Mendes（1998年生まれ）もこのリストに加わるかも？ちなみにこの１つ上の1994年生まれの首位獲得者はJustin Bieber、Halsey、Lil Uzi Vert、Bad Bunny、Takeoff（Migos)とかなり数が多いです。
他にもこの曲は、「オルタナティブ系で首位を獲得した」という点でも物珍しいです。オルタナティブ系ラジオ＆Hot 100の両方で首位になるのはLordeの“Royals”以来６年ぶりの出来事です。2010年代にこの２系統を両取りした曲は４つあるのですが、いずれも女性シンガーが参加した曲です。
2012 Gotye feat. Kimbra – Somebody That I Used To Know
2012 Fun. feat. Janelle Monáe – We Are Young
2013 Lorde – Royals
2019 Billie Eilish – bad guy
現在はオルタナティブ系ラジオ１位を他の曲に譲っています。現在ポップ系ラジオでは１位。
×× Lady Gaga & Bradley Cooper – Shallow
Lady Gagaの“Shallow”がチャートから外れました。滞在45週とLady Gagaキャリア2番目に長い数字を叩き出しました。（”Just Dance”の49週が最長）
映画のリリース時から大きく注目を集めて高いDLを記録。そこから若干勢いを落としましたが、オスカーでの受賞によって再注目。その週に大きくDLを集めHot 100の首位まで上り詰めました。その後はラジオの数字も伸び始めロングヒットとなりました。
６週前には既に49位でしたがポイントが安定していたこと、それに収録曲が大量登場するような大型アルバムが無かったことなどにより50位付近で粘りを発揮しチャートに残り続けていました。
この曲はLady Gagaにとっては珍しくアダルト○○系のラジオで躍進。アダルト２系統で２位まで到達しています。（いずれもLady Gagaにとって最高位*2）リスナー層を拡大しつつロングヒットを達成し、ここ数年の停滞した流れを払拭することに成功しました。
今週までは40週越えのような曲が50位付近で長く残り続ける傾向がありましたが、次週はYoung Thug、その次の週はTaylor Swiftのアルバム収録曲が多くHot 100に入りそうなのでリフレッシュが進みそうです。“Shallow”と同じく45位付近を長くさまよっていた”Going Bad”や“Better”あたりが来週にも外れそう。
今週チャートから外れた曲 (12曲)
【先週の順位、アーティスト名、曲名、🗻ピーク順位、⏰チャート滞在週数】
100 Beyoncé – Before I Let Go (🗻65位 /⏰16週)
95 Drake – Days in the East (🗻95位 /⏰1週)
93 Tool – Fear Inoculum (🗻93位 /⏰1週)
88 Ed Sheeran & Travis Scott – Antisocial (🗻37位 /⏰4週)
85 Drake – Club Paradise (🗻85位 /⏰1週)
80 Chance the Rapper feat. MadeinTYO & DaBaby – Hot Shower (🗻58位 /⏰2週)
68 Drake – Dreams Money Can Buy (🗻68位 /⏰1週)
61 Drake – The Motion (🗻61位 /⏰1週)
60 Drake – How Bout Now (🗻60位 /⏰1週)
58 Drake – Trust Issues (🗻58位 /⏰1週)
49 Lady Gaga & Bradley Cooper – Shallow (🗻1位 /⏰45週)
48 YK Osiris – Worth It (🗻48位 /⏰25週)
・アルバムチャート（Billboard 200）に新登場した作品
１ Slipknot – We Are Not Your Kind 🎫
２ Rick Ross – Port of Miami 2
３ Trippie Redd – !
20 Bazzi – Soul Searching
26 Bon Iver – i, i
38 Lil Tjay – F.N
46 Ugly God – Bumps & Bruises
48 Blueface – Dirt Bag
56 Social House – Everything Changed... (EP)
97 Tori Kelly – Inspired By True Events
116 The Dirty Heads – Super Moon
◇アルバムチャート長期滞在
１周年：Ariana Grande – Sweetener （今週89位）
１周年：Kacey Musgraves – Golden Hour （今週128位）
昨年高い評判を得ていた２つのアルバムが１周年。Ariana Grandeはストレートでの１周年、Kacey Musgravesはグラミーでの再浮上（この週にチャート再登場）を経ての１周年です。
・今週ラジオで伸びた曲
☆Ariana Grande & Social House – Boyfriend
・Megan Thee Stallion feat. Nicki Minaj & Ty Dolla $ign – Hot Girl Summer
・Shawn Mendes & Camila Cabello – Señorita
・Polo G feat. Lil Tjay – Pop Out
・Lewis Capaldi – Someone You Loved
・来週以降Hot 100に入るかもしれない？曲
・Young Thug feat. Gunna – Hot
週の後半に入った現在でもApple Musicのトップ10のうち７つを占領、とYoung Thugのデビュー「スタジオアルバム」がストリーミングで絶好調。かなりの曲数がHot 100に登場する予感です。（10曲程度？）
Appleでの１番人気はGunnaを迎えた“Hot”。ただビデオがリリースされたのは“Surf”。この曲もGunnaが客演。（Spotifyでは"Bad Bad Bad"が人気）
・Hot 100圏外の曲のうち各サービスで最も人気のあった曲
🍎 Rick Ross feat. Summer Walker – Summer Reign （今週26位程度）
✅ Lil Tecca – Love Me （今週24位）
🚩 PnB Rock feat. XXXTENTACION – MIDDLE CHILD （今週28位）
※Apple Musicは週の最終日の順位を週間の“参考順位”としています（Apple Musicには週間チャートが無い）
Lil Teccaの“Ransom”はどの媒体でも人気がありますが、次のシングルは媒体によって割れています。Apple Musicは”Did It Again”推し、Spotifyは“Love Me”推しです。ビデオは両方ともあり、YouTubeで上位につけているのは”Did It Again”のほうです。
XXXTENTACION関連はビデオが出たときにYouTubeをかなり伸ばす傾向があります。
関連 / 参考記事
・ビルボードによる今週のHot 100 / アルバムチャート解説（記事を書くうえで参考にしています）
・ビルボードスタッフが議論するシリーズ
今週のテーマは”bad guy”の１位奪取についてです。
① “bad guy”の首位獲得に満足していますか？
② “bad guy”がここまで粘れた理由は何だと思いますか？
③ １週の１位、10週の２位はどちらが偉大？
④ “Old Town Road”がまだ１位ではない時空はどれくらい昔に感じますか？
⑤ 今後15年で“Old Town Road”の記録を破る曲は現れるか？
