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TikTok Top Tracks(仮) 6月

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 私が考えたTikTok Top Tracks(仮)の6月ランキングまとめです。どういう考え方で作成したランキングかは↓の記事をご覧ください。

 

 

(凡例)

・緑背景はマッシュアップでのみ使用された曲

・太字はその人のパートが主に使用されていたことを指す

・順位がピンクになっている曲は先月に引き続きランクインしたもの

・ここで表示するのは40位まで

・「先月数」は先月の「使用回数」

 

※調査対象:Charli D'Amelio, Addison Rae, Chase Hudson, Dixie D'Amelio, Avani Gregg, Josh Richards, Payton Moormeier, Tony Lopez, jxdn, Nessa Barrett, Zoe LaVerne, Mads Lewis 

 

アーティスト 曲名 使用回数 使用人数 先月回数
1 Offset feat. Playboi Cart 100 Racks 15 8 -
2 Travis Scott &Young Thug OUT WEST 14 8 10
3 Monte Booker & Smino Kolors 13 7 7
3 YFN Lucci Wet 13 7 -
5 Russ WHAT THEY WANT 13 6 -
6 KyleYouMadeThat All About Cake 11 4 -
7 Puri x Jhorrmountain x Adje Coño 10 2 9
8 Pitbull Hotel Room Service 9 6 -
8 Chris Brown Take You Down 9 6 -
10 KingMostWanted High Power 8 8 3
11 J. Cole Work Out 8 3 12
11 Ir Sais Dream Girl 8 3 4
13 Dixie D'Amelio Be Happy 8 2 -
14 Aminé Reel It In 7 3 3
15 Bazzi Fantasy 7 2 2
15 Nfasis Tra Tra 7 2 -
17 Lil Darkie HAHA 6 5 -
18 Megan Thee Stallion Savage 6 4 12
18 Playboi Carti feat. Lil Uzi Vert Shoota 6 4 1
18 Ski Mask the Slump God Unbothered 6 4 -
18 Hott Headzz Boss 6 4 -
18 Travis Scott & Young Thug feat. Quavo pick up the phone 6 4 -
23 DaBaby feat. Quavo PICK UP 5 5 -
24 Fetty Wap feat. Remy Boyz Zoowop 5 4 3
24 Young Fanatic Shh 5 4 1
26 jxdn So What 5 3 -
26 Megan Thee Stallion Captain Hook 5 3 3
26 Playboi Carti Molly 5 3 -
26 Beat King feat. Queendome Come Then Leave 5 3 -
30 Ayo Eisha & GuttaKay Eisha No! 5 2 -
30 Hip Hop Harry Go Go Go, Who's Next 5 2 1
30 Doja Cat Freak 5 2 2
30 jxdn Angels And Demons 5 2 4
34 Tay-K I <3 My Choppa 4 4 2
34 Migos feat. Lil Uzi Vert Bad And Boujee 4 4 -
34 2KBABY Old Streets 4 4 -
34 Mulatto Bitch from da Souf 4 4 1
38 Lil Uzi Vert New Patek 4 3 2
38 Doja Cat Cyber Sex 4 3 10
38 Macklemore & Ryan Lewis feat. Mary Lambert Same Love 4 3 -
38 6ix9ine GOOBA 4 3 6

 

 先月に続き、今月も全体的に投稿数が少なかったです。BLMのムーブメントを受けて、6月の序盤(1-7日くらいまで)に投稿を控えていた人も多かったことが理由の一つかもしれません。

 また、アメリカでは依然として感染症の患者が多いですが、TikToker同士がコラボする動画が今月は多く見られるようになりました。

 TikTokerが一同に介するような大きなイベントの開催は難しいかもしれませんが、来月以降はこのようなコラボ等を介して、活況を取り戻すかもしれません。

 

 

~補足~

 

1位:Quality Control & Offset feat. Playboi Carti – 100 Racks

 表では簡易表記にしましたが、正式なアーティスト表記は↑です。使われるヴァースはPlayboi Cartiの部分で、彼の人気に依る部分が大きいと思います。

 彼は先月の”Flatbed Freestyle”(先月2位、16回使用)に続く上位のランクイン。今月は他にも”Shoota”、”Molly”と複数曲がランクインしており、彼の高い人気が伺えます。

 “Molly”はまだ正式にリリースされていない曲です。

 

2位:JACKBOYS & Travis Scott feat. Young Thug – OUT WEST

 同様に表では簡易表記ですが、正式な表記は↑になります。ただヴァースの分量的にはYoung Thugの方が多い曲です。

 この曲は1月頃からTikTokで人気がある曲ですが、ここまで人気が長く続くという点が面白いですね。TikTokでは過去のブームのリバイバルも意外と見られる気がします。

 

3位 Monte Booker & Smino – Kolors

 先月に引き続きランクイン。Monte Bookerの魔術的なビートをSminoが乗りこなします。

 

3位 YFN Lucci – Wet

 今年の2月頃にリリースされた曲。現在Apple MusicやYouTubeでもヒットの兆しを見せており、彼はTikTokきっかけに久々のヒットを飛ばすかも。

 

5位 Russ – WHAT THEY WANT

 以前からストリーミングで根強い人気を誇る1曲がTikTokでも人気に。

 

6位 KyleYouMadeThat – All About Cake

 “All About Cake Cake…”という彼のラップパートがループした後、Rihannaの”Birhtday Cake”のサンプリングパートに移行します。

 

7位 Puri, Sneakbo & Lisa Mercedez feat. Jhorrmountain & Adje – Coño

 プールに入る系統の男子TikTokerに主に人気がある印象の曲です。今月は”Work Out”、”Dream Girl”、”Tra Tra”とのマッシュアップでの使用が多かったです。

 Jason Deruloがこの曲にボーカルを載せたバージョンを7月にリリースしています。“Savage Love”とは違いスニペットを事前に公開するなどのプロモーションを行っていないせいか、まださほどヒットしていません。ただし、”Savage Love”も初動は鈍かったので、今後伸びていく可能性も……?

 ちなみに”Coño”は英語で言うところの”Pussy”なので、”C**o”と表記されていることがあります。

 

8位 Pitbull – Hotel Room Service

 3月頃にも人気があった1曲です。Make・Some・Noise・ヒーーー!の部分がTikTokと親和性があります。

 

8位 Chris Brown – Take You Down

 ピッチをかなり高くした、”Female Version”と称されるバージョンが流行しました。

 

10位 KingMostWanted – High Power

 The Notorious B.I.G.の”Hypnotize”をサンプリングした1曲。使用回数では10位ですが、使用人数では1位タイです。

 

13位 Dixie D’Amelio – Be Happy

 有名TikTokerのデビュー曲。使用回数の内訳は当人Dixieが6回、妹のCharli D’Amelioが2回と、現状では内輪に留まっています。この姉妹以外の使用回数を増やすことが来月以降の課題かもしれません。

 

26位 jxdn – So What

30位 jxdn – Angels And Demons

 同じくTikTokerによってリリースされた曲。jxdn当人、そして今月彼と撮影を行ったJosh Richardsによって使用されています。”Angels And Demons”の使用回数はjxdn当人よりもJosh Richardsの方が多かったです。

 “So What”はまだ正式にリリースされていない曲です。

 

18位 Megan Thee Stallion – Savage

 3月に調査を開始して以来、唯一全ての月でランクインした曲です。大きなムーブメントが無くとも、地道に使い続けられています。

 

30位 Doja Cat – Freak

 3月以降、”Like That”→”Say So”→”Cyber Sex”と一番人気の曲が変化してきたDoja Cat。今月最も人気だったのは”Freak”。SoundCloudで公開されていたもので、正式にはリリースされていない曲です。

 

38位 Lil Uzi Vert – New Patek

 先月まで3ヶ月連続でランクインしていた”Myron”はランク外でしたが、今月も複数の関連曲がランクイン。自身の”New Patek”ほか、客演の”Bad And Boujee”や”Shoota”も彼のヴァース部分が使用されていました。(”Shoota”は両者のヴァースが使われていますが、Lil Uzi Vertのヴァースに登場する”Bestie”というワードをテーマにした動画が多かったです)

 

38位 Mulatto – Bitch From Da Souf

 このTikTok調査をはじめて感じたのは、ここでの女性ラッパーの人気の高さです。女性のラップとダンスの親和性があるのでしょうか?

 既にスターとなったMegan Thee Stallionをはじめ、現在ラジオでも人気を得はじめたMulatto、Queendome Come、Ayo Eishaなど複数がランクイン。近年Hot 100等で見られる女性ラッパーの大躍進は、TikTokもある程度関係しているかもしれません。

 

38位 Macklemore & Ryan Lewis feat. Mary Lambert - Same Love

 BLMに関する動画のBGMとして使用された曲。「誰に対しても平等な愛を」というメッセージ自体は、BLMの趣旨から外れていないとは思いますが、BLMがテーマながらもMacklemoreの曲なのか……とは個人的に感じました。

 

(その他ランクインしなかったものの、興味深い投稿)

 

Maybelline

 Maybe It’s Maybellineという曲に乗せて、Maybellineの商品を宣伝する直球の広告です。AvaniとMads Lewisが起用されています。前後の投稿と♡の数が同等以上で、普通に好意的に受け止められている印象です。

 

・Triviaroyale

 Addison RaeやDixie D’Amelioが宣伝していたゲーム。クイズのアプリなのですが、アバター作成に関する機能を推しているようです。これも同様に♡の数が他の投稿と同じくらいに付いています。

 

 

 

おまけ① 日本に関連する曲……

 

・Englewood – Crystal Dolphin (使用回数:2回 / 人数:1人)

 先月人気だった曲。日本のシンガー、濱田金吾の『街のドルフィン』をアレンジした1曲です。今月はこれだけでした。

 

 

おまけ② Hot 100上位曲の使用回数

 6月付のHot 100でトップ10に入った曲の、今月の使用回数です。

 

・6回 Savage

・1回 Say So, TROLLZ

・0回 その他の曲

 

……少ないですね

 

 

おまけ③ 2大巨頭エディション

 

    回数 全体(位)
KyleYouMadeThat All About Cake 5 6
Doja Cat Freak 5 30
Travis Scott & Young Thug OUT WEST 4 2
YFN Lucci Wet 4 3
RUSS WHAT THEY WANT 4 5
Offset feat. Playboi Carti 100 Racks 3 1
Monte Booker & Smino Kolors 3 3
Chris Brown Take You Down 3 8
Ski Mask the Slump God Unbothered 3 18
Beatking feat. Queendome Come Then Leave 3 26
6ix9ine GOOBA 3 38

  両者とも投稿数が少なめなため、データとしては微妙な気もしますが、一応ランキング上位はそれなりにカバーしているようです。2人が”GOOBA”を使用したのは意外でした。(女性に対する素行が問題視されているアーティストなので)

 

 

 

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【ネクストOld Town Road?の”The Git Up”について / バズ曲の3段階進化】 - チャート・マニア・ラボ

 

 

The Real TikTok Challenge? Turning Influencer Status Into Hitmaker Clout | Billboard

 

 Charli D’AmelioとAddison Raeという2大スターの出自に触れながら、TikTokを取り巻く状況を丁寧に説明する、「TikTokの教科書」的な記事です。かなり文章長めです。

(ちなみにデザインが凝っているせいか、記事が重くてロードに時間がかかる気もします。)

 

 

先月の記事5月 TikTok Top Tracks(仮) - チャート・マニア・ラボ

 

 

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