チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Billboard 動向・8月号 【圧巻の"WAP"、アルバムはTaylor Swift】

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 こんばんは!今月のHot 100を10のポイントで見ていく記事です。今月のシングルチャートでは"WAP"が、アルバムチャートではTaylor Swiftが際立ちました。

 

 

 

1 販売戦略は健在?セールス急増で複数曲が1位の栄冠

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 今月は”cardigan”、”Watermelon Sugar”、”WAP”と多くの新規1位が誕生。いずれもは何らかの販売戦略を使用しており、「セールスにブーストをかけて特定の週にHot 100首位を狙い撃つ」という戦略の流行を感じます。

 先月号でも伝えたとおり、この戦略は今月の途中に制限がかかりました。シングルで主に用いられていた物理媒体(CDやヴァイナル)とDLを抱き合わせる手法に制限がかかります。仮に実物の発送がしばらく後だったとしても、抱き合わせのDLの方が集計に入るため、狙った週のチャートにその効果を反映させることが容易でした。しかしこの制限以降は「実物が発送されたタイミング」でチャートに反映されることになります。

 

詳しくは:バンドル等を制限するルール変更のまとめ・所感など - チャート・マニア・ラボ

 

 この制限がかかったのが8/7以降で、”Watermelon Sugar”はこの戦略が利用できるラストの週にこの戦略を実行し、1位を獲得することに成功しました。(この週の集計は7/31-8/6)

 ただこの週以降もセールスにブーストをかける戦略は健在。次の”WAP”もCDやヴァイナルを売りさばき、今年最大のセールスを記録することに成功しました。もちろん発送で問題が無ければ狙った週にセールスが集計されるため、今後もこの戦略が衰えることは無いのかもしれません。

 さらにこの“WAP”はどうやら抱き合わせDLからもポイントを得ているようです。この曲は8/7リリースで、ルール上DLの制限がかかるはずですが、物理媒体+DLの抱き合わせが販売されていたプレリリース期間はまだ制限の対象外だったため、その分のDLは通ったという理屈のようです。

 普通に発送できればこの戦略は健在なうえ、このような抜け道も存在するため、この戦略は以降も見られそうです。注目は9月最初の週に反映されるBTSの“Dynamite”

 

 

2 圧倒的な”WAP”、しばらくチャートの主役に?

 “WAP”は戦略によるセールスだけではなく、ストリーミングも圧巻。こちらも今年最大の数字を記録しました。

セールス:12.5万 ストリーミング:9300万

 

 ストリーミングはAriana Grandeの”thank u, next”の9380万再生に次いで女性の曲では歴代2位の数字。2020年からはルール変更により、YouTubeの再生数のカウントが大きく削られたため、仮に同じ基準で比べたとしたら、こちらに軍配が上がりそうです。“WAP”はミーム的な評価にも優れているため、2019年以前のカウント方法なら1億超えを達成していそうです。

 ストリーミング、そしてミーム面まで優秀な“WAP”は今後しばらく1位に居座り続けそうです。(ただし販売戦略を使い、セールスを桁違いに稼げれば出し抜くことも可能)

 “WAP”はリリースされた週にApple Music、SpotifyYouTubeで1位を獲得。この3つだけでなく、新曲への反応が鈍いPandoraやAmazon Musicでも1位に立つなど破格の注目度を誇ります。さらにはTikTokでも即座に注目を集めました。(Tiktometer調べで2週目の時点で1位に)

 

 

3 カントリーがダブルでトップ10? 今月の新規トップ10

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 今月は新規トップ10が多く生まれました。(14曲)

POPSTAR, GREECE, Go Crazy, cardigan, the 1, exile, Savage Love, my future, WAP, Smile, Before You Go, Laugh Now Cry Later, 7 Summers, I Hope

 

 この中でも印象的だったのはカントリー曲の2つ、”7 Summers”と”I Hope”です。カントリー曲が同時に2つ以上トップ10入りするのはTaylor Swiftの”We Are Never~”と”Red”が入った2012年10月20日以来と思われます。

 

 それぞれのヒットの要因を見ていきます。”I Hope”の強さの源はラジオです。カントリー系ラジオで人気を得た後に、ポップ系やアダルトポップ系ラジオでのオンエアを開始、ここでもじわじわと人気を獲得し、ついにトップ10まで到達しました。34週目でのトップ10入りは歴代3番目に遅いです。それだけラジオで長く粘りを発揮していたということです。ほかストリーミングでも一定の数字を記録しています。

 このような遅さは少し異質に思いますが、カントリー系→ポップ系ラジオへのクロスオーバーは年1くらいのペースでは存在するので、そこまで珍しいものでは無い気がします。それをデビュー曲で達成した、という点は少し驚きですが。

 もう一つの”7 Summers”はやや異質に感じます。リリース初日にSpotifyAppleの両方で3位に入るなど、ストリーミングでのロケットスタートを実現。カントリー曲はストリーミングでも、ラジオと波長を合わせつつ遅れて浮上という傾向があるので、このようにリリース直後から注目を集めるのは珍しいです。他のジャンルなら別に珍しいことではないですが。

 そのロケットスタートを下支えしたのはTikTokのようです。TikTokでこの曲のデモバージョンがスニペットで事前にリリース(なぜかThomas Rhettのアカウントから投稿されている)、これが話題を呼びました。(リリース直後にはデモ版/正式版の比較が議論されていたようで、パッと見デモ版を支持する人が多かったので、その音源の好評さがヒットに繋がったと考えられる)

 TikTok内で大流行!というほどの規模では拡散していないですが、それぐらいの規模でも曲をヒットさせるには十分だったようです。*1Morgan Wallenは以前から、カントリー曲があまりヒットしないApple / Spotifyでも複数曲がランクインするなど、アーティストとしての注目度がかなりありました。そんなカントリーでは珍しい人気と戦略がこの曲のトップ10デビューの理由でしょう。

 まとめると、8年ぶりのダブルカントリー曲トップ10は、従来から見られるラジオのクロスオーバーという「伝統」、そして珍しい戦略と珍しい人気という「革新」の2つの融合によって達成されたのかなと考えました。

 

 

~その他の注目トップ10~

 

・DJ Khaled feat. Drake – POPSTAR / GREECE

 この曲でトップ10曲を2つ加えたDrakeは、Madonnaを上回りトップ10曲数が単独で最多になりました(この時点で計40曲)

 

・Jawsh 685 & Jason Derulo – Savage Love

 TikTokで名を挙げ、ラジオもセールスもストリーミングも全面的に伸ばしてトップ10入りを達成。ちなみにAmazon Musicでの順位が比較的高め。Amazon Musicはラジオで人気の曲が上位に来る(主にポップやカントリー系)傾向が強いですが、それに次ぐ「隠れ傾向」で、TikTok系の曲もそれなりに強いです。

 

・Lewis Capaldi – Before You Go

 28週目と遅めのタイミングでトップ10入り。ラジオの支持が固く、2曲のHot 100エントリーがいずれもトップ10まで到達。回転速度が遅いアダルトポップ系統と、彼の作風がよくマッチしており、「粘りのチャート動向」の実現に繋がっています。

 

・Drake feat. Lil Durk – Laugh Now Cry Later

 “Toosie Slide”よりも高いストリーミングでスタートし、自身は快調なスタートを切るものの、”WAP”が好調すぎるため2位止まりに。自身は好調なものの、競合の壁が高く1位を獲得できない”Life Is Good”の二の舞になる可能性が。

 

 

何曲目のトップ10?

POPSTAR / GREECE:DJ Khaledは5,6曲目、Drakeは39,40曲目

Go Crazy:Chris Brownは16曲目、Young Thugは3曲目(客演以外では初)

cardigan, the 1, exile:Taylor Swiftは26~28曲目、Bon Iverは初

Savage Love:Jawsh 685は初、Jason Deruloは7曲目(5年ぶり)

my future:Billie Eilishの3曲目

WAP:Cardi Bは8曲目、Megan Thee Stallionは2曲目

Smile:Juice WRLDは9曲目、The Weekndは11曲目

Before You Go:Lewis Capaldiの2曲目

Laugh Now Cry Later:Drakeは41曲目、Lil Durkは初

7 Summers:Morgan Wallenの初トップ10

I Hope:Gabby Barrettの初トップ10

 

 

4 今後のトップ10候補

 来月以降トップ10に届きそうな曲を予想していきます。まずは24kGoldnとiann diorによる”Mood”。現在ストリーミングで人気急上昇中。ラジオでのオンエアも開始したため、この調子を持続すれば9月中にもトップ10に到達しそう。TikTokでの人気もあります。

 他はラジオで好調かつ、Post Malone + DaBaby + Jack Harlowという強力なリミックスをリリースした”Tap In”にも可能性がありそうです。

 

 他にPop Smokeの”Mood Swings”も好調ですが、彼は他にも人気曲が多く「どれをシングルカットするか」の作業が難しく、それぞれの楽曲で人気が分散しそうです。現在シングルになっている”The Woo”はストリーミングでは3番人気です。さらに、”Hello”もTikTokで人気を得たため、今後浮上するかもしれません。

 Dua Lipaの”Break My Heart”も13位とトップ10に近い位置にいますが、ラジオでの伸びしろがもうほとんど無いため、これ以上順位を伸ばすのは難しそうです。

 意外な所を挙げるとしたらDJ KhaledとDrakeの”GREECE”。直近の週で60位と微妙ですが、非シングルながらもストリーミングではシングルの”POPSTAR”と互角と、The Weekndの”Heartless”と”Blinding Lights”と似たような状況になっており、今後もしかしたら注目を集めるかもしれません。この”GREECE”自体、The Weekndみたいな作風ですし(……?) ただペース的に9月中にトップ10に入ることは無いでしょうね。

 

 

5 “Blinding Lights”がラジオの記録を更新

 先程挙がった”Blinding Lights”ですが、今月快挙を達成。ラジオチャート開始以降(1984年~)、最も長く1位に滞在した曲となりました。現在もライバルらしいライバルが不在のため、今後さらに記録を伸ばしそうです。

 

20週:The Weeknd – Blinding Lights

18週:Goo Goo Dolls – Iris

16週:No Doubt – Don’t Speak

16週:Mariah Carey – We Belong Together

16週:Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You

 

 人気持続を支えたのはポップ系とアダルトポップ系での人気です。直近の週でポップ系3位、アダルトポップ系では1位。このアダルトポップ系での1位獲得彼にとって初。これらに加え、The Weekndが従来から得意にしていたリズミック系などからの再生もゼロでは無いので、これもプラスに働いているでしょう。(ピークは2位、現在はリカレントされた)

 このアダルトポップ系は回転率がやや低いため、ラジオでのロングヒットには重要な指標になります。その系統を新しく制覇できたことは、ラジオの記録更新に大きく寄与したでしょう。

 

 

6 Taylor Swiftのサプライズリリースが4週連続1位

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 今月アルバムチャートを支配したのはTaylor Swift。リリース週に今年最大のセールス(84.6万)を記録した後、4週にわたり1位を記録しました。2週目以降はストリーミングでJuice WRLDやPop Smokeを下回っていますが、セールス分の効果でこれらを上回っています。3週目にはCD発売、4週目にはマーチなど追加での販売戦略も行っています。

 

 このアルバムでは多くの記録を達成。詳しくは↓の記事に書きましたが、それらの記録のうち重要なのは以下の2つだと思います。

・7つのアルバムで週間セールスが50万超え、単独の史上最多

・Hot 100エントリー数が女性最多に(113曲)

 

関連:Folklore関連の記録 ショートまとめ - チャート・マニア・ラボ

 

 リリース週にトップ10入りした3曲はそれぞれ直近の週で、”cardigan”が33位、”the 1”が67位、”exile”が82位と既に調子を落としていますが、この作品はあまりシングルで売り出すような作風では無い以上、このアルバムの記録が色褪せることは無いと思います。強いて言うならば、ラジオシングルの”cardigan”は今後もう少し粘れると良いですが。

 

 

7 アルバム曲の管理

 このようなアルバム曲が大量登場した作品が、その後どのくらいHot 100に残るのかを見ていきます。調べるのは先月~今月にかけてHot 100大量エントリーしたPop SmokeとJuice WRLDとTaylor Swiftです。

 

  8月1日 8月8日 8月15日 8月22日 8月29日
Pop Smoke 6* 5 5 5 5
Juice WRLD 16 7 7 7** 6
Taylor Swift - 16 10 3 3

*この週デラックス版をリリース

**The Weekndとのシングル”Smile”がアルバムに新規追加された

 

 Pop SmokeはJuice WRLDのアルバムがリリースされた週に、そしてJuice WRLDはTaylor Swiftのアルバムがリリースされた週に、多くの曲が押し出されてエントリー数が減少しています。しかしそれ以降は、Pop Smoke / Juice WRLDの粘りが光ります。

 両者ともラジオでオンエアされている曲は少ないです。Pop Smokeは”The Woo”が、Juice WRLDは”Come & Go”と”Wishing Well”がシングルに指定されています。しかしそれぞれストリーミング内ではシングル並の定評を得ている曲が多く、アルバム以降もHot 100に残る水準の再生数を記録し続けています。Pop SmokeはTikTokでの強さも際立ち、”Mood Swings”はアルバムリリース以降にピークを更新することに成功しています。

 ラジオでは同一アーティストの曲を一気に何曲もかけられませんが、ストリーミングでは複数曲が同時に人気をキープすることが可能のようです。逆にラジオで行われるような、シングルカットなどの「号令」と共に過去シングルが再浮上する、ような動きはストリーミングではそれまで見られません。「号令」ではなく「偶然」をきっかけに過去シングルが再浮上することはよくありますが。

 

 

8 今月のTikTok

 今月TikTokの影響でHot 100にエントリーしたと考えられる曲です。

 

95位:Mulatto – B*tch From da Souf (Meter6月:87位)

71位:Money Man feat. Lil Baby – 24 (Meter7月:82位)

61位:Conan Gray – Heather 

26位:24kGoldn feat. iann dior – Mood

ほか既存のPop Smoke feat. Lil Tjay – Mood SwingsもTikTokの効果で浮上を果たしました。(Meter8月:3位 ※現時点)

※Tiktometerとは人気の使用曲を測るサイト:https://tiktometer.com/

 

 ヒットの要因は様々。”B*tch From da Souf”はラジオの浮上、”24”はLil BabyのリミックスがHot 100入りの要因。”Heather”と”Mood”はストリーミングでの好調がヒットの理由ですが、TikTokで人気を本格的に得る前から人気が高かったので、TikTok「発」ではなくTikTok「経由」くらいの印象です。

 というのも、”Heather”はブレイク以前からSpotifyAppleのプレイリストに登録されていて、”Mood”はリリース時から快調なスタートを切っていました。それ故、TikTok無しでもそれなりにはヒットするのでは?と感じるのです。このことから「発」ではなく「経由」のヒット、と考えました。ちなみに”Mood”は既にそこそこ注目を受けていたアーティストが、TikTokの力を借りつつ浮上していく様が“Blueberry Faygo”を彷彿とさせます。

 

 今月もう一つ注目したいのはチャートから外れたTikTok曲たち。“Sunday Best”は(🗻19位 /⏰21週)という成績、”Supalonely”は(🗻39位 /⏰22週)という成績でチャートを後にしました。どちらも健闘を果たし、十分な成果を残したと思うのですが、気になるのは「その後」です。

 この2組はTikTokに「特化」することなく、自身の音楽スタイルを通してブレイクすることに成功しています。この2組を見て、これを機にアーティストとしての評価を確立し、今後も安定した人気を得るのでは?とも思ったのですが、その後のリリースでHot 100入りせず。これは”death bed”のPowfuも同様です。Hot 100にエントリーしないどころか、Spotifyでも週間200位以内に入らないなど、かなり「次の一手」に苦労している印象です。Surfacesは大御所Elton Johnを迎えた曲をリリースしましたが、リリース初日にUSのSpotify 79位に入って以降、ランキング入りしていません。

 この手のアーティストで、唯一Trevor Danielはチャート再登場を達成。Selena Gomezという強力な相方を得て”Past Life”がHot 100入りを果たしました。しかし現在はラジオが既に下降線で、本格的なヒットにはならないことが確定的です。

 

 

9 Hot 100デビューを飾ったアーティストたち

 今月9人のアーティストがHot 100デビューを果たしました。

Topic, A7S(Breaking Me)

Paker McCollum(カントリー曲)

iann dior(Mood)

Jameson Rodgers(カントリー曲)

Brray, Juanka(La Jeepeta)

Mulatto(B*tch from da Souf)

Conan Gray(Heather)

Money Man(24)

 

 この中で今後注目を集めそうなのはiann diorとConan Gray。彼らは以前からSpotify / Apple Musicのヒット系プレイリストで見かけることが多く、かなり業界からの期待度を感じるアーティストです。

 iann diorは”Sick And Tired”と“Prospect”で、Conan Grayは”Maniac”でBubbling Under入りの経歴があります。

 Mulattoは新鋭の女性ラッパー。TikTokはかなりの頻度で女性ラッパーが発掘されており、音楽的な親和性があるのかもしれません。今月注目を集めたのはPpcocaineというラッパーです。

 

 

10 その他の曲短評(など)

 

・6ix9ine – GOOBA

 わずか4週で外れた”TROLLZ”ほどではないですが、こちらも10週と短い滞在でHot 100を後に。その素行からラジオでオンエアされなかったことが痛かったです。

 

Travis Scott & Kid Cudi – THE SCOTTS

 圧倒的なストリーミング、そして高いセールスによって初週1位を獲得。しかしその後が続かず滞在13週でチャートを後に。この曲もストリーミング人気のわりにラジオであまりかからなかったことがHot 100で順位を保てなかった要因です。この2人は6ix9ineのように素行を問題視されているわけではないですが、なぜかそこまでラジオでオンエアされませんでした。Travis Scottはストリーミングの人気と比較すると、ラジオ再生に恵まれない傾向があります。

 

・A$AP Ferg feat. Nicki Miaj & MadeinTYO – Move Ya Hips

 高いセールスにより初週19位に登場。A$AP FergとMadeinTYOにとってはキャリア最高位。ただし2週目には99位まで順位を落とし、Hot 100における落下幅の最大記録を更新してしましました。次週には圏外へ落ちました。初週ファンの力で注目を集めるものの、初週に力が寄りすぎるせいかその反動で順位を落とす、Nicki Minaj関連曲らしいチャート動向となりました。

 

-80位(19→99):A$AP Ferg feat. Nicki Minaj & MadeinTYO – Move Ya Hips

-79位(17→96):Javier Colon – Stitch by Stitch

-78位(21→99):Jordan Smith – Somebody to Love

-77位(16→93):5 Seconds of SummerAmnesia

-75位(17→92):Justin Bieber – Die In Your Arms

 

※ただし、これらよりも高い順位からHot 100圏外に落ちた曲も多く、そちらの方が初週からのポイントの落下幅は大きいです。

 

・NLE Choppa feat. Roddy Ricch – Walk Em Down

 (🗻38位 /⏰20週)でチャートから外れました。ストリーミング等での安定した人気により長く中位に残りました。ちょうど21週目のタイミングとバッティングしたことにより、アルバムリリースの週にチャートから外れるという珍しい動きを見せました。

 

・Young T & Bugsey feat. Headie One – Don’t Rush

 TikTokでブレイクしDLが浮上。それがきっかけでラジオでも人気に。RMS*2で11位、リズミックで5位、ポップ系で30位まで到達しました。しかしHot 100では珍しいイギリスのラッパーであること、そしてTikTok曲としては珍しくUSのSpotify / Appleで200位以内に入らないとい2点で異質なヒットでした。(🗻56位 /⏰14週)でチャートから外れました。

 今月、Headie OneはDrakeと組んだ”Only You Freestyle”でBubbling Under入りを果たしています。

 

・Migos feat. YoungBoy Never Broke Again – Need It

 (🗻62位 /⏰12週)の成績でチャートから外れる。あまりうまくいっていないように思えますが、Migosの最近の曲はHot 100に入らない、または1週で滞在するかぐらいの成績に終わっていたので、相対的にはうまくいったほうです。

 

・Ava Max – Kings & Queens

 Ava Maxは2回目のHot 100エントリー。ラジオでの浮上に加えて、SaweetieとLauvによるリミックスの追加が効き、Hot 100入りを果たしました。Lauvがラップをしているのが意外でした。

 

・Logic – Perfect

 彼の「ヒップホップ引退」アルバムは22.1万を売り上げたものの、Taylor Swiftのリリースと被ってしまったため、アルバム1位獲得ならず。20万超えの売上ながらもアルバム1位にならないのはHalseyに次いで、今年2回目の事例です。(2018年、2019年にはそういう事例は無かったです)

 そのアルバムからの唯一のHot 100エントリーが95位の”Perfect”。ストリーミングの数字は悪くなかったですが、飛び抜けて注目を集めた楽曲はありませんでした。

 

 

今月のデータ

 

・主に外れた曲

※(ピークが10位以上 or 滞在が10週以上)

 

8/1

95 Thomas Rhett feat. Jon Pardi – Beer Can’t Fix (🗻36位 /⏰18週)

96 Kenny Chesney – Here And Now (🗻38位 /⏰15週)

100 6ix9ine - GOOBA (🗻3位 /⏰10週)

 

8/8

40 Surfaces – Sunday Best (🗻19位 /⏰21週)

74 Travis Scott & Kid Cudi – THE SCOTTS (🗻1位 /⏰13週)

82 Don Toliver – After Party (🗻57位 /⏰14週)

88 Luke Combs feat. Eric Church – Does To Me (🗻20位 /⏰19週)

93 Drake feat. Giveon – Chicago Freestyle (🗻14位 /⏰12週)

 

8/15

なし

 

8/22

48 Trevor Daniel - Falling (🗻17位 /⏰38週)

59 NLE Choppa feat. Roddy Ricch – Walk Em Down (🗻38位 /⏰20週)

 

8/29

43 Sam Hunt – Hard To Forget (🗻26位 /⏰20週)

51 BENEE feat. Gus Dapperton - Supalonely (🗻39位 /⏰22週)

71 LOCASH – One Big Country Song (🗻50位 /⏰11週)

85 Young T & Bugsey feat. Headie One – Don’t Rush (🗻56位 /⏰14週)

96 Migos feat. YoungBoy Never Broke Again – Need It (🗻62位 /⏰12週)

97 Juice WRLD & Halsey – Life’s A Mess (🗻9位 /⏰6週)

 

 

アルバムチャートのキリ番

 

8/1

1周年:NF – The Search (107位)

100週目:Mac Miller – Swimming (162位)

500週目:Guns N’ Roses – Greatest Hits (98位)

 

8/8

150週目:George Strait – 50 Number Ones (187位)

250週目:Red Hot Chili Peppers – Greatest Hits (147位)

 

8/15

100週目:Lauren Daigle – Look Up Child (142位)

 

8/22

1周年:Young Thug – So Much Fun (82位)

1周年:Quality Control – Control the Streets, Volume 2 (149位)

 

8/29

1周年:Taylor Swift – Love (42位)

150週目:NF – Perception (184位)

400週目:Queen – Greatest Hits (29位)

 

 

・各週の上位デビュー

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◇は再登場

 

 

・各週で順位をよく上げた曲

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・各指標の1位

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"WAP"リリース週、圧倒的。

 

・Rolling Stone Chartsのトップ10

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Pop Smokeの曲が再浮上を果たす。

 

 

・各週の動向まとめ表

 

8/1

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8/8

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8/15

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8/22

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8/29

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参考 / 関連リンク

 

各週のHot 100

8/1:https://www.billboard.com/charts/hot-100/2020-08-01

8/8:https://www.billboard.com/charts/hot-100/2020-08-08

8/15:https://www.billboard.com/charts/hot-100/2020-08-15

8/22:https://www.billboard.com/charts/hot-100/2020-08-22

8/29:https://www.billboard.com/charts/hot-100/2020-08-29

 

参照

Chart Beatの記事:Chart Beat | Billboard

Kworb(ラジオやiTunes):https://kworb.net/

HitsDailyDouble:https://hitsdailydouble.com/mediabase_building_charts

Spotify Charts:Spotify Charts

Tiktometer:https://tiktometer.com/

 

 

過去の月の記事

 

7月Billboard 動向・7月号 【Pop SmokeとJuice WRLDの活躍 販売戦略のその後……】 - チャート・マニア・ラボ

 

6月Billboard動向・6月号 【コラボ曲の首位が相次ぐ / アルバムチャートはリリース減少?】 - チャート・マニア・ラボ

 

5月5月まとめ 【首位が全て異なる月 / 販売戦略が躍動】 - チャート・マニア・ラボ

 

4月Hot 100 / Billboard 200まとめ 4月号 【The Weekndがアルバム4タテなど無双】 - チャート・マニア・ラボ

 

3月Hot 100・Billboard 200まとめ 3月号 【Lil Uzi Vert・Bad Buny・Lil Baby・BTSなど…アルバム大盛況】 - チャート・マニア・ラボ

 

2月Hot 100・Billboard 200まとめ 2月号 【アルバム激戦区・不動のシングル上位など】 - チャート・マニア・ラボ

 

1月Hot 100 2020年1月まとめ 【激動の1ヶ月、Roddy Ricch大活躍など】 - チャート・マニア・ラボ

 

 

 

 

 

 

*1:Like数や再生数の情報を鑑みるに、規模はそこまで大きくなさそうです。実際Tiktometerの月間100位以内には入っていません。しかしあまり規模的に大きくなくとも、外部では大ヒットということはよくあります

*2:旧アーバン