チャートのチャート研究ラボ

音楽チャート・ポップス等の動向・文化について頑張って研究しています!議論のネタになるような変わった視点からの記事を目指しています。

ビルボード年間チャート 入門 ~年間チャートの罠~

1 年間チャート とは?

年間チャートとは、1年分のチャートをまとめたチャートのことで、英語表記だとYear-End Chartとなります。今回はビルボードの年間チャートについて説明してきます。

それぞれの年の年間チャートはここから見ることができます。

Charts - Year End | Billboard

 

 

どうやって年間チャートの集計を行っているかというと、それは単純明快、毎週のポイントの合計です!なんでそんな当たり前のことを言っているかというと、昔は違ったからです。

1991年以降から現在までは、ニールセンという調査会社が毎週のセールス、ラジオ、ストリーミングのデータを調査し、それをビルボードがまとめてポイント化しHot 100(=シングルチャート)を毎週作成しています。そのポイントを毎週分足し算して年間チャートにまとめるという、明確のロジックです。

しかし、それまでは違いました。週ごとのセールス等の合計ではなく、順位の合計でした。

具体的に言うと、100位=1ポイント、99位=2ポイント、98位=3ポイント………1位=100ポイント というのを合計したものを年間順位として計上していました。ポイント制よりも明快で見ると分かりやすいといえば分かりやすいかもしれません。

しかし、このように順位の合計で年間チャートを計るには問題点もありました。週の1位によって誤差が生じうるからです。

例えばAdeleのHelloの最初の週のように圧倒的な1位が生まれることがあります。その週の2位はJustin BieberのSorryでした。Sorryは普通の週なら1位を取れる並のポイントを稼いでいたと考えられています。しかし順位は2位なので、従来の順位の合計制だとリリース時期の塩梅で年間順位に影響が出てしまう、ということに成りうるのです。

(似たようなケースに、2014年のShake It OffとAnacondaがあります。この2曲はその前の週の1位のMagic!のRudeを大きく上回っていたと考えられています)

と、小難しい説明になってしまいましたが、まとめると

年間チャートは週ごとのチャートのまとめ

それぞれの週のポイントの合計で年間チャートは集計している

 

という感じですかね、次に年間チャートののようなものを紹介していきます。

 

2 年間チャートの罠 ~年の始まりはいつ?~

みなさんは「年間」というといつからいつまでを想像しますか?

おそらく1月~12月という回答が多いでしょう。そうだと思います。故に年間チャートも1月~12月を集計しているのだろう、と思う方が多いと思います。

そこに年間チャートの罠が潜んでいます。

 

実は年間チャートの集計期間は前年11月3週目~11月2週目 を対象としています!!!

なぜそんな中途半端な所からスタートしているのでしょうか。詳しく説明していきます。

まず、ビルボードは年間チャートを年内に発表しています。年を跨いでから発表するよりも年末に発表すれば「今年のまとめ感」を出せるからでしょうか。

そのことから年の終わりよりも少し早めに年間チャートの集計を終えなければいけないことが分かりますね。そういった理由から11月で年間チャートの集計を締め切っているのです。しかし、11月?さっき言った期間と微妙にずれていますよね。どうして?

 

それはビルボード音楽雑誌であることが関係しているのだと思われます。みなさん雑誌の表紙を思い浮かべてみてください。雑誌って○月号がやたらと進んでいませんか?まだ12月なのに1月号だったり2月号だったりしますよね。ビルボードもそのような感じで、先の日付でチャートを出します。

具体的には、チャートを公開した来週の土曜日付けにしています。ほとんどのチャートが前の週の金曜~木曜のサイクルで回っているので、つまり………

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となるのです。今年でいうと、チャート11月までなので、2016集計の最終チャートは11/26日。そのチャートを公開するのは11/15。その集計は11/4→11/10。

こういった理由から11月3週目~11月2週目という集計期間になっているのです。11月の2週目で締め切りとあって、年の暮れにヒットした曲はビルボードの年間チャートでは不利になりがちです。

※Radioは集計が少しずれる(月曜から日曜のサイクル)ですが、ダウンロードやストリーミングほどリリース後瞬く間にポイントを稼ぐものではないので、集計は基本的に、金曜→木曜のサイクルと考えれば大丈夫です。

 

3 年間チャートの罠 ~スルメとガム~

じわじわハマる曲=スルメ曲、聞いてすぐにハマる曲=ガム曲、とか言ったりしますが、年間チャートではどちらが有利だと思いますか?

 

それは、スルメ曲です!スルメ曲、つまりロングヒットの曲のほうがかなり優位といえます。なぜかというと、①チャート圏外の時は年間チャートの集計対象外 ②リカレントルールというものが存在する。という根拠に基づきます。いきなり難しい単語が飛び交っていますね……

まず①から。こちらは単純明快。チャートに入っていない週でも全くダウンロードが無い、ストリーミングで聴かれていないということは無いのですが、そのような微々たるポイントは年間チャートの集計には無視されてしまいます。

そして②です。「リカレントルール」とは簡単に言えば、調子の落ちてきた少し前のヒット曲をチャートから外して、新しい曲の枠を確保しようというルールのことです。

例外も多々ありますが、基本的には21週目以降の曲が51位以下に落ちたらチャートから姿を消してしまうのです。すると、下の図のような現象が発生します。

 

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スルメ曲はゆっくりチャートを登り、リカレントルール適用までが長いですが、ガム曲はすぐハマるので、そのぶんチャートを上昇するのも早いですが、リカレント適用までが短いので、チャート滞在が短くなってしまいます。

その結果、瞬間的にピークが高くてもヒット期間が短ければ、年間チャートでは順位が低めになることが発生します。

今年の例で言うと、The ChainsmokersのDon’t Let Me DownもMeghan TrainorのNOはいずれもピーク3位ですが、それぞれのチャート滞在は39週、20週と2倍近い差が。

その結果Don’t Let Me Downは年間チャートではトップ10圏内、NOは50位前後ではないかと予想しています。どこまで差がつくかは不明ですが、チャート滞在期間によって大きく差がつく例の一つとなるでしょう。

 

このような、2つの罠により、1位を取ったのに年間チャートに入らない、また逆に週間チャートでトップ10に入っていないのに年間チャートでトップ10に入った曲も過去にはあります。

 

そんな感じで単に毎週のチャートをまとめた年間チャートは意外と奥が深かったりするのです!!!

年間チャートは毎年12月中旬あたり(おそらく2週目のチャート発表日)今年は12/6に公表されると思います!  発表されず、ただ近いうちには発表されるはず…

チャート界の一大イベント、年間チャートをみなさんも一緒に楽しみませんか!

 

 

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