チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

The 40 Best Albums of 2023

 

 こんばんは!私セレクトのベストアルバム2023を発表いたします。ランキングの前に、軽く選考基準等を説明します。

 

・2022年の2週目以降(12/9以降)から、現在に至るまでのアルバムが対象です。EPは除きます。

 

サウンド重視で音楽を聴く習慣が自分に根付いているため、選考はサウンド面に重きを置いています。

・「純粋な質」以外な面でも順位が決まる場合があります。例えば、選ぶ理由が弱い、消極的な79点のアルバムよりは、何かしらで積極的に選びたい77点の作品の方を優先的に選んでいます。(ここくらいの微妙な点数の違いは、本当に難しいですが)

 

・普段見ているAOTYというサイトの、ユーザーのコメントや評価を参照することがあります。(Critic評価は、ほとんど参考にしていない)

・「どのような作品か」「なぜ私はこの作品を選んだか」の2点を記述しています。

 

 

40 George Clanton - Ooh Rap I Ya

 Chill Waveの作品。ダンサブルで、ムードにも浸れる作品。ドラムの音が特徴的に感じ、個人的にこの点が好みでした。

 

39 Raye - My 21st Century Blues

 昨年、シングル”Escapism.”で華麗なる復活を遂げたRaye。過去にアルバムを出すことを許されず、レーベルを脱退することもあった苦労人ですが、この曲のヒットで、ついに初のスタジオアルバムのリリースが実現。

 アルバムではシングル”Escapism.”で見せたような、R&Bオルタナティブ、ポップを混ぜ合わせたような曲の数々を味わうことができます。時にはラップを披露することも。

 

38 Lil Uzi Vert - Pink Tape

 先行曲に”Just Wanna Rock”とあるように、激しさを増して帰ってきた6年ぶりのアルバム。最初の2曲、14~18曲目等、Lil Uzi Vertのボーカルと激しいサウンドがぶつかった時の爆発力は作品のハイライトと言えます。

 やや流れにムラがあるようにも思いますが、トータルでの聞き心地は上々だと思います。勢いの中心が後半にある珍しい構成(?)

 ちなみに、個人的には”CS”も”Endless Fashion”もわりと好き。後者*1に関しては、私はユーロダンスヒット曲のサンプル Apologist(弁明者/擁護者)なので。

 

37 Kordhell - Sped Up, Vol. 1

 最近(Sped Up)というバージョンをリリースするアーティストが増えています。TikTokではこの「加速バージョン」が流通することが多いので、それの対策というわけです。しかし、基本工夫なく速度を上げているだけなので、ただチープっぽくなるせいか、音源としての評判はほとんどの場合芳しくないです。

 ただ、これには多少の裏事情があると思います。第三者がSped Up音源を勝手に上げることが少なくないのです。つまり、アーティストはこれの「対策」としてSped Up版を「強いられている」ような側面もあると思うのです。

 話をアルバムに戻します。この作品は、そのSped Upをプラスに変えているという点で珍しさを感じたので、選びました。

 KordhellはTikTokで人気を博しているDrift Phonkというジャンルのプロデューサー。元々疾走感が特徴のジャンルなので、それをSped Upで強化できるのが大きいのでしょう。また作品では単に疾走感なだけでなく、細かい変化や工夫も感じました。

 

36 Aly & AJ - With Love From

 元々は”Potential Breakup Song”などのティーンポップ、ポップロックの印象が強いアーティストですが、2017年のEP以降徐々に路線を変更し、2021年のアルバムではシンセポップ~インディーポップの、新たなスタイルで傑作を作り上げました。

 今回はさらにしっとりとした、アメリカーナのスタイルに。正直申すと個人的には、前作の方がジャンル的には好みに近いのですが、それでも前作と通ずるセンスは見られて、十分に楽しむことができました。

 

35 Frost Children - SPEED RUN

 Hyperpopというと、アップテンポでギラギラしたイメージがあるかもしれませんが、この作品ではそのような曲は”SERPENT”くらいで、他はHyperpopというよりは個人的にはハウスに近い曲が並んでいる印象です。

 その彩り豊かな、エレクトロのサウンドを楽しむ作品。そして“SERPENT”も良いアクセントになっています。締めが壮大。

 

34 Jonatan Leandoer96 - Sugar World

 正体はYung Lean。ここではラップではなく、オルトポップを披露。ユーモアあふれ、キュートでいて独特なポップ空間が広がっています。

 

33 Madison Beer - Silence Between Songs

 ポップなコーラスが特徴のシンガー。その特徴を引き出すべく、前作よりポップソウルなスタイルにかじを切った印象。コーラスを響かせる曲、ムードを維持する曲とを使い分け、引き込み方が上手いと思います。

 AOTYのユーザートップレビューだと、Lana Del Reyに似ている……と書かれていますが、強いて誰かに似ている人を挙げるとすれば、Ariana Grandeかと私は思っています。

 

32 Caro♡ - wild at <3

 PC Musicからのリリース。前作で見せたようなアンビエントなスタイルに、ポップな成分を追加することで、スケールが増した印象です。ポップさのある”4ever1”、音に引き込まれる”in2u”などが印象的。

 

31 TisaKorean - Let Me Update My Status

 このアルバムを知らない人は、まずアートワークを見てみてください。そして、曲名も見てください。そうすると、何をオマージュしているかが自然に分かると思います。

 この作品は2000年代後半のラップ、特にSouljaBoy Tell’emがオマージュもと。新鮮で、ユニークなサウンドの数々を楽しむことができます。

 

30 Zach Bryan - Zach Bryan

 他のカントリーとは一線を画する作品。一線を画するどころか、もはや別ジャンルといっても良いかもしれません(オルタナティブの成分が多いと思います) ピアノを筆頭に、全体的に生音が効果的に響き渡っています。

 近年カントリーがストリーミングで躍進しているものの、個人的に心に響く作品がほとんど無かったので(すいません)、こうやって本格的な作品と出会えたことは嬉しかったです。

 

29 Amaarae - Fountain Baby

 近年メインストリームで大きな存在感を発揮するジャンル、Afrobeatsのスターの一人Amaarae。彼女の特徴は、その非常に甲高いボーカル。

 この作品では、その特徴のあるボーカルを親しみやすく仕上げて、かつバラエティも豊かという、難易度の高いミッションを達成しています。

 

28 Jane Remover - Census Designated

 前のアルバムをリリースした時の名前はdltzk。前作ではノイズポップでしたが、今作では重厚なロック音をベースとしたシューゲイズ風路線に転換。前作のようなキャッチーなシングルはありませんが、終始重厚な音に浸ることが出来る、ムードを楽しめる作品です。

 

27 Jeleel! - REAL RAW!

 Rageスタイルのアルバム。このスタイルを志すラッパーは他にもいますが、彼が特徴的なのは、その非常に甲高いボーカル。Rageの激しいサウンド、そして甲高いボーカルが合わさると、他に無い爆発力を味わうことができます。”Dive In”、”Shots”、”Ride The Wave”など、シングル系の曲ではことさらその点が際立ちます。

 

26 TURQUOISEDEATH - Se Bueno

 昨年のベストアルバムで紹介した”fool’s sanctuary”はVmrroboticとのコラボ作で、今回のアルバムがソロでは初のアルバムとなります。

 ブレイクビーツを基本スタイルとするTURQUOISEDEATHですが、今回は生音を導入することで、幅を広げて没入感を強化。シングルのような曲はありませんが、アルバム全体で世界観に浸っていくことの出来る作品です。

 

25 Ana Frango Eléctrico - Me Chama de Gato Que Eu Sou Sua

 ブラジル出身のシンガーによる、ディスコの作品。独自のキュートなボーカル、が親しみやすく仕上がっていて、最後まで良い気分で聞くことができます。英語曲とポルトガル語曲が混在しているため、それもアクセントになっています。

 このアルバムはとにかく最初の曲を聞いて欲しいかもしれないです。多分心を掴まれると思います。

 

24 Slayyyter – STARFUCKER

 濃い。この作品を一言で表すと、こうだと思います。カロリー高めのダンスポップと、ギラギラとしたボーカルの組み合わせ。これのかけ合わせによる濃さを楽しむ作品。特に7~9曲目あたりの部分が盛り上がりのピークです。

 

23 Parannoul - After The Magic

 この作品はメロディーセンスが好きです。前半は、骨太なサウンドをメロディーで包み込む展開で、一気にアルバムに入っていけます。後半は、徐々に遊び心を解放していって、アクセントを加えながら最後までアルバムのムードを楽しむことができます。

 

22 Thy Slaughter - Soft Rock

 PC Musicラストイヤーの最後にリリースされた、A. G. CookとEasyFunによるタッグ作。この作品を読み解くヒントになりそうなのは、EasyFunが今年リリースしていたEPの”Acoustic”。ここで披露した尖った音感が、このタッグ作でも踏襲されているような印象です。

 おそらくですが、曲によってA. G. Cookメインの曲(柔らかい)、そしてEasyFunメインの曲(トゲトゲ)と分けられている気がします。そのスタイルの曲が互いに来ることで、それぞれの曲の効果を高めているような印象がありました。

 

21 PinkPantheress - Heaven knows

 現代のヒットメーカー。今年はメインストリームでも絶大な結果を残し、またステップを一つ登りました。アルバムではその実力を証明するような、確かなポップスの数々が並んでいます。

 またヒット”Boy’s a Liar, Pt.2”では客演Ice Spiceがブレイクしたように、自ら歌い創るだけでなく、客演との協調も得意技。アルバムではRema、Central Cee、Kelelaと毛色の違ったゲストを取り込み、さらなるポップ開拓をする意欲が感じ取られます。

 

20 Carly Rae Jepsen - The Loveliest Time

 曲の層が厚いことで知られるシンガー。今年もB面、ではなく「2枚目のA面」のアルバムをリリースしました。

 曲のバラエティの豊かさで言えば、「1枚目のA面」である”Loneliest”以上に豊富で、多くの印象的な曲が揃っています。評価の高い”Psychedelic Switch”や、ダンスポップの先行シングル”Shy Boy”、ほか終盤に登場する”Put It To The Rest”が個人的には良かったです。

 

19 Skrillex - Quest For Fire

 Skrillexにとって9年ぶりのアルバム。そのSkrillexが持つ素質、多様な音がDJスタイルで楽しめる作品。

 客演に多くの名前が連なっていることから分かるように、曲のバラエティ自体は広いのですが、それでも全体でまとまり感じられる点が良いと思いました。曲と曲の繋がりを感じられるアルバムは好きですね。

 

18 Kali Uchis - Red Moon In Venus

 前作ではレゲトン気質でしたが、今作ではR&B気質に回帰。才能あるボーカルを存分に味わうことができます。またドラム等で速度を変える、Jazz成分等のアクセントも印象に残ります。

 チャートマニア目線では、ストリーミングで結果を残し続けている点にも拍手を送りたいです。

 

17 Poppy – Zig

 先行シングルで披露された、ハードロックスタイルの”Spit”の評判が高かったため、アルバムがそのような作風でなかったことで、世間的には「肩透かし」のような評価となったようですが、個人的には聴き応えを感じています。

 この作品では、新機軸のインダストリアルを導入。全体的に「ノイズ感」がかなり強く、音は強烈なザラザラ感があり、時にはリズムも若干狂っているように聞こえる部分も。しかしながらPoppyのボーカルがかなりポップで親しみやすいため、これらが合わさると絶妙にバランスが取れており、他にないような調和が見られた面白いと思います。

 

16 Ava Max - Diamonds & Dancefloors

 Ava Maxらしいアルバム。得意のフレッシュなダンスポップを磨き上げ、アンセムを多数揃えています。すべてシングルカットできるような風格がありますが、最大のハイライトは新鮮さのあった”Sleepwalker”でしょうか。

 ちょっと余談気味ですが、このアルバムのレビューで、有名レビュワー*2がDua Lipaと比較していて、個人的に引っかかりました。たしかに同じ「ダンスポップ」の枠組みに入るのですが、特徴は違うと思います。

 2人の「らしさ」考える良いきっかけになりそうだったので私なりに考えてみると、アップテンポで「ポップ成分」が強いのがAva Max、ややスロー気味でサウンド面がディスコに近い「ダンス成分」が強いのがDua Lipaと思いました。

 

15 felicita – Spalarkle

 PC Musicのプロデューサー。鋭く、疾走感があるインストがベース。そこに時折ボーカル曲がアクセントとして加わってきます。特にCaroline Polachekが音と重ねて歌うようにする”Spalarkle (Alys)”は、インストとの相性が良く、特に絶品です。若干7曲目は唐突でビックリしますが。

 あと、最初と最後の音が同じになっているのも好きですね。

 

14 Danny Brown & JPEGMAFIA - SCARING THE HOES

 今年AOTYでもRYMでも最も人気だった作品。サンプルが特徴的なハードコアラップで、日本からの引用も多数。「寒い夜も~」が響き渡る、坂本真綾の『約束はいらない』を引用した”Kingdom Hearts Key”が特にお気に入りです。

 サンプルという技術には夢があると個人的にずっと思っていて、このように複数の文脈が繋がっていく様は見ていて楽しいですね。

 

13 SZA – SOS

 2022年12月9日リリース。年の暮れの登場で、その年のベストアルバム選考では判断が間に合わなさそう!と感じて2023の選考に急遽回した作品。正直、去年の時点だとランク外と考えていたのですが、見事今年の選考では上位に入りました!今年に回した甲斐がありました。

 非常にプレイリストっぽい仕上がりなのですが、それ以上に曲が強力。シングルだけではなく、次第に第2のお気に入り、第3、第4と好きな曲が見つかっていきます。また、アルバム・シングルともに大ヒットを遂げ、説得力が増していった点も大きいと思います。

 

12 Panchiko - Failed at Math(s)

 2000年、2001年に出したEPが密かな名盤として語り継がれていたバンドが、長年のブランクを経て、今年ついに初のアルバムをリリース。

 この作品は、言うなれば「26分間の魔法」。再生時間が30分を割るような作品はたいてい激しい曲が多めの、嵐のような勢いのある作品が多いと思うのですが、この作品はインスト曲などもあり、しっかりと引き込むタイプ。

 一方でエネルギーを爆発させるようなアンセムもあって、変化も豊富。その物憂げで、豊かで、ローファイなサウンドの数々によって、この短さとは思えないほど、深く作品のムードに浸ることの出来る作品です。

 

11 Mitski - The Land Is Inhospitable and So Are We

 正直に話すと、最初に聞いた時、フォーク調のアルバムなのであまり自分に適性が無いのでは?と思ってしまいました。しかしそれは大いなる間違いで、すぐに魅力に気がつくことができました。

 フォーク的な温かさに加え、Mitskiの特徴的なうねるような歌唱によってダイナミズムも両立している点が革新的に感じました。温かさの代表格は、本人初のHot 100入りにもなった”My Love Mine All Mine”。そしてうねるシングルの代表格は”Star”。

 ほか、短くて少しInterludeっぽい扱い(?)ながらも、うねりで抜群の存在感を発揮する、”When Memories Snow“のアルバム内で果たす効果も大きく感じました。

 

10 Paramore - This Is Why

 ボーカルHayley Williamsのソロ作2つを挟んでリリースされた、グループ6年ぶりのアルバム。内容にもその経歴が反映されています。

 序盤では初期を彷彿とさせる歌い方をする”The News”など、激しめに入っていく一方で、後半ではソロ作を思わせるような落ち着いた作風へと徐々に変化。さらにサウンドの雰囲気は2017年の傑作”After Laughter”と通ずるものがあり、Paramoreの豊かな歴史をまるごと感じられる作品だと感じました。

 

9 100 gecs - 10,000 gecs

 この作品は、とにかくシングルパワー。100 gecsらしい激しいサウンドが続き、止まることなく猪突猛進が続いていく作品。9曲目でようやく緩やかな流れが来たと思ったら、やっぱり曲中ですぐに激しいサウンドに変化。止まることを知らない、26分。どの曲もパワーがあるので、短いながらもそのエネルギーは絶大です。

 

8 Olivia Rodrigo – GUTS

 2作目は作風を大胆に変化させる、「ディーヴァ的変遷」を勝手に予想していたのですが、今作でも前作のポップロックオマージュ路線を継続。同じ路線となると、どうしても前作との比較になり、ハードルが高くなるのでは?とも思ったのですが、そのハードルを超えてスターの貫禄を見せつけました。

 今作では全体的にブラッシュアップされており、またバランスが良くなっています。(前作はバラードの比率が少し高く感じた) そして何より、シングルの破壊力が一級品です!

 

7 Troye Sivan - Something to Give Each Other

 名シングル”Rush”を筆頭に、高品質のダンスポップが並ぶ作品。他にも”Rush”に続くヒットになった”One Of Your Girls”、ミーム曲をオシャレに仕立て上げるセンスの光る”Got Me Started”、そして最後を締めるA. G. Cookプロデュースの”How To Stay With You”など粒ぞろい。濃厚な曲が揃い、それぞれに個性も見られるため、32分という短さながらも充足感を得られます。

 

6 yeule – softscars

 様々なジャンル名が付けられる作品かと思いますが、個人的にはシューゲイズ、ローファイポップだと考えています。全体に通ずる空気感を共有しつつ、それぞれの曲に個性や幅があるため、作品としての完成度や没入感がとても高いです。ボーカルのハマり方も見事です。

 ほか最初と最後の曲が素晴らしい点も、アルバムの「聴後感」を高める要因になっています。

 

5 Hannah Diamond - Perfect Picture

 このアルバムの魅力は、なんといってもHannah Diamondのボーカル。PC Musicがこれまでに見せてきたような独特のサウンドではなく、このアルバムでは彼女のボーカルを活かす、シンプルなダンスポップで構成。このスタイルが、彼女のボーカルをより引き立てるのです。特に序盤の3曲は、強く彼女のボーカルを感じられます。

 また、全体の構成的な話をすると、先行シングルとして昨年リリースされていた”Staring At The Ceiling”が良いアクセントとなっています。

 

4 Rebecca Black - Let Her Burn

 2011年の“Friday”である意味名を馳せ、その後2021年のEPで再出発。以降徐々に評価を高め、そして今年待望の初のアルバムをリリース。

 その前EPの特徴からか、彼女はHyperpopの歌手と見なされていることもありますが、この作品は「ハイパー」の成分は少なく、エレクトロポップの表記がより正確だと思います。

 ポップ的な親しみやすさがある上に、それぞれの曲に個性や「ひねり」が効いており、聴き応えは抜群。さらに、高音ボーカルの使い方が巧みな点も特徴の一つ。

 

3 Lil Yachty - Let's Start Here.

 大胆なサイケR&Bへの変化。もちろん最初に聴いた時はビックリ。しかし、最初インパクトがあったのは、作風の変化にビックリしたからで、「猫騙し」だったのでは?と疑いながら聴き直すと、その品質の高さに再び圧倒されました。

 全体的な音の品質の高さはもちろん、アルバム内での幅の広さも聞き心地を高める重要な要素だと感じました。アルバムでは客演の名前は書いていないものの、多く参加しているサブ・ボーカリストの面々が重要な仕事を果たしていると思います。

 

2 underscores – Wallsocket

 Indie Rock~Glitchpopの作品。とにかくアンセムのパワーがすごい。種類も豊富で、アンセム祭り。アルバム開始で心をつかむ”Cops and robbers”、それに続く”Girls like us”、サビのフレーズが耳に残る”Johnny johnny johnny”、ノリノリの”Old money bitch”、様々な側面を見せる”Geez louise”と、どれもベストソング部門に選びたかったくらい。

 そしてそれらに加え、この作品は引き込むような曲も多いのが特徴的。ここでの音も多彩。このような曲がよりアンセムのパワーを高め、また作品の奥行きやダイナミックさをグッと高めています。

 

1 Caroline Polachek - Desire, I Want To Turn Into You

 私はアルバムを聴く度に感想をメモしているのですが、そこでは何となく「チェック項目」のようなものがあります。この作品がすごいのは、これらをすべて満たしていることです。

 まず、親しみやすさ。このアルバムは多くのアンセムを擁しており、◎。

 そして個性。幅広いサウンドに加え、彼女のボーカルの魅力が十二分に引き出されており、◎。

 さらに緩急。アルバムの聞き心地や、没入感を出すために個人的に必要な要素と考えているのですが、シングルの配置が完璧で、◎。

 最後に「聴後感」の高さ、最初の曲と最後の曲が関係してくるのですが、最初がボーカルでグッと心を掴まれる”Welcome To My Island”で、最後はアウトロが素晴らしい”Billions”。ここでの配置も完璧、◎。

 こうやって、考えれば考えるほど完璧なアルバムです。大傑作を生み出したCaroline Polachek、そして総合プロデューサーのDanny L Harleに大感謝です。

 

 

 書いていると、数々のアルバムの記憶が蘇ってきて楽しかったです。以上、ご高覧ありがとうございました。

 

 

~一覧表~

アーティスト アルバム名
40 George Clanton Ooh Rap I Ya
39 Raye My 21st Century Blues
38 Lil Uzi Vert Pink Tape
37 Kordhell Sped Up, Vol. 1
36 Aly & AJ With Love From
35 Frost Children SPEED RUN
34 Jonatan Leandoer96 Sugar World
33 Madison Beer Silence Between Songs
32 Caro♡ wild at <3
31 TisaKorean Let Me Update My Status
30 Zach Bryan Zach Bryan
29 Amaarae Fountain Baby
28 Jane Remover Census Designated
27 Jeleel! REAL RAW!
26 TURQUOISEDEATH Se Bueno
25 Ana Frango Eléctrico Me Chama de Gato Que Eu Sou Sua
24 Slayyyter STARFUCKER
23 Parannoul After The Magic
22 Thy Slaughter Soft Rock
21 PinkPantheress Heaven knows
20 Carly Rae Jepsen The Loveliest Time
19 Skrillex Quest For Fire
18 Kali Uchis Red Moon In Venus
17 Poppy Zig
16 Ava Max Diamonds & Dancefloors
15 felicita Spalarkle
14 Danny Brown & JPEGMAFIA SCARING THE HOES
13 SZA SOS
12 Panchiko Failed at Math(s)
11 Mitski The Land Is Inhospitable and So Are We
10 Paramore This Is Why
9 100 gecs 10,000 gecs
8 Olivia Rodrigo GUTS
7 Troye Sivan Something to Give Each Other
6 yeule softscars
5 Hannah Diamond Perfect Picture
4 Rebecca Black Let Her Burn
3 Lil Yachty Let's Start Here.
2 underscores Wallsocket
1 Caroline Polachek Desire, I Want To Turn Into You

 

 

ソング編⇩

 



 

*1:Eiffel 65の“Blue”をサンプリング

*2:このBrad Tasteという人物は、Anthony Fantano(The Needledropという有名YouTuber)と並んで、現在音楽マニアの間で影響力がある人物と見なされているようです