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音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

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ようこそ!音楽チャートの世界へ!

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みなさん。こんにちは。知っている方も初めての方も、こんにちは!

はじめましてトコトコと申します!

(ちなみにアンダーバー_は5個)

 

音楽チャート、またポップ音楽について考察していきたい、自称チャート研究者によるブログです。

 

音楽チャート、ポップ音楽のなるべくディープな世界について書いていきたいです。

 

未来のチャート少年がニヤっとできる記事と、新たな音楽の楽しみを提案するような記事、議論のタネになるような記事を作ることを目指しています!!

 

※できるだけミスの無いよう努めていますが、もしミスを発見したらご一報頂けると幸いです。 

 

 

・おすすめ記事20選

 ※画面右(パソコン)や画面下(スマホ)にある「人気記事」の項目もぜひ参考にしてください!

 

 ・Noteで連載もやっています!

 

・記事のアーカイブ

 

 

Billboard(US) 動向 5月号 【活発な月。"Save Your Tears"、"good 4 u"、J. Coleなど】

 

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 今月も先月に引き続き、動きが激しく賑やかな月だったのではないでしょうか!

 

 

1:首位推移

 

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1週目:Polo G – RAPSTAR

 4月ラストの週から継続での1位。それまでは目まぐるしく首位が入れ替わっており、同一曲が連続して1位をキープするのは3/6→3/13以来(”drivers license”)でした。

 ストリーミングでは高い人気を誇りますが、ラジオの伸びがそれと比べると遅いです。

 

2週目 / 3週目:The Weeknd & Ariana Grande – Save Your Tears

 2週目にAriana Grandeリミックス効果で首位獲得!両者ともに6曲目のHot 100首位。DLがその週1位、ストリーミングとラジオも同週2位とすべての指標で好成績。

 この曲はラジオでヒットしており、Hot 100におけるポイントの「基盤」がしっかりしていたため、少しプラスがあれば首位を獲得できる状況でした。そこにリミックスが加わり首位獲得、という流れです。昨年からの鉄板の戦略。

 セールスやリミックスでブーストをかけて首位を狙うタイミングは、初週かラジオが強くなった時が多いです。両方ともセールス以外のポイントがある程度「計算できる」というのが鍵です。

 ちなみにラジオが集計に入らないRolling Stoneチャートでは首位を獲得していません(2位)

 

4週目:Bruno Mars & Anderson. Paak – Leave The Door Open

 ラジオの強さもあり、Hot 100首位復帰。累計2週目の1位に。この週は“Levitating”に分があると考えられていましたが、不発でした。

 

(2位) Dua Lipa feat. DaBaby – Levitating

 全指標で好調を維持していることもあり、1位獲得の可能性も噂されましたが2位。一応ピーク更新に成功しています。この週以降は強力なライバルが続々と登場するので、取るならこの週だったのかもしれません。

 この週はHot 100の発表が遅れていました。その理由をビルボードは、「データの異常への対処」としています。1位と予想されていた“Levitating”が2位だったことと、もしかしたら関係しているかもしれません???

 ちなみにDua Lipaは以下のようなツイートをしており、Dua Lipa陣営にも1位獲得が間近という自覚があったようですが、実現ならず。

 その1位獲得間近、という根拠が内部データに基づくものなのか、それともTalk of the Chartsなど一般のファンが行っている予想なのかは個人的に気になりますね。

 仮に後者ならば、一般ファンによるチャート分析が公式にも影響を及ぼし、価値を認められているということになります。Stan以外のファンダムが、影響を持つという点で少し珍しい気もします

 

 ちなみにこの曲は1回トップ10を後にし、ピークが終わったかと思われていましたが、グラミーの週でトップ10に復帰。これはグラミー限定の現象かと思いきや、その後も好調を維持。5月の1週目にはついに元のピークと同じ順位まで到達。

 TikTokで「一人会話」を演出する曲として有効利用*1されたことなどもあり、ストリーミングが再上昇していました。

 当初、ラジオは既に下降線だったのですが、このヒットを受けてラジオまでもが再浮上を果たしています。これは非常にレアな現象で、Mediabaseというラジオ系チャートでは、再浮上した曲は復帰できるという新ルールが作られました。そしてこの曲が同チャートに復帰しています。

 ラジオが落ちたタイミングにTikTokでヒットし、そこからストリーミングで返り咲きというパターンは過去にEllie GouldingとJuice WRLDの“Hate Me”がありましたが、その時はラジオの返り咲きは見られませんでした。

 その時はラジオが本格的に落ちた後のヒットでしたが、今回は「落ちかけ」くらいのタイミングでヒットしたことがラジオ再浮上の手助けになりましたかね。このケースのように、ストリーミングの動きに柔軟にラジオも対応できるようになると良いですね。

 

5週目:Olivia Rodrigo – good 4 u

 “drivers license”のヒットが全く偶然ではないことを証明し続けるOlivia Rodrigo。リリース以降再生数がみるみる伸び、ストリーミングでJ. Coleに負けない数字を叩き出して2曲目のHot 100首位獲得に成功。来週のチャートではデビュー作の動向が反映されます

 この曲はポップパンク系の作風で、特に似ているとされているParamoreの“Misery Business”は、この曲の効果なのかUSのSpotifyランキング下位に登場しています。(初登場)

 ちなみに今年にかけて過去曲の再生はSpotifyで盛んなようで、去年の同時期と今年の同時期の過去曲(5年以上前)のランキング入り数を比較すると、明確な違いがあります。さらには現代ポップアクトへの影響力も語られるParamore(およびHayley Williams)の曲なので、再注目を浴びやすい条件は揃っていたように思います。

 

・年初~20週目までの、USのSpotify週間チャートにおける5年以上前*2のランキング曲数(週平均)

2021:26.45曲 

2020:2.05曲

 

 

2:トップ10の曲

 

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・The Kid LAROI & Miley Cyrus – WITHOUT YOU

 Miley Cyrusリミックス効果でトップ10入り。LAROIは2曲目のトップ10(1曲目は客演で参加したJuice WRLDのアルバム曲)、Mileyは10曲目のトップ10

 The Kid LAROIは「ラッパー」と分類されることの多いアーティストですが、ポップやアダルトポップ系、そしてオルタナティブ系ラジオでの順位が高めです。(リズミック系でもオンエアはされているが順位が高くない)

 昨年の”Mood”と並び、オルタナティブ系でのオンエアが意外に感じる曲の一つです。

 

・Billie Eilish – Your Power

 Billie Eilish新曲がトップ10スタート。特にYouTubeSpotifyで人気。5曲目のトップ10を記録しています。そこまでキャッチーではない曲調、そしてラジオのサポートもゆるやかなことから、あまりヒットには期待していないシングルという可能性もあります。

 

・Doja Cat feat. SZA – Kiss Me More

 7位で登場以降、トップ10に残り続ける安定性の高さ。ラジオ、ストリーミングともに優秀で今後も期待ができそうです。5位まで到達し、SZAはKendrick Lamarとの“All the Stars”で記録したキャリアハイを更新しています。

 

 

3:今月のアルバムチャート

 

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1週目:Young Stoner Life - Slime Language 2

 Young Thug率いるYoung Stoner Lifeのコンピレーションがアルバム1位を獲得。11.3万の売上のほとんどがストリーミングから。7曲がHot 100入り。最高位はDrakeを迎えた“Solid”(12位)。次点はTikTokで人気の”Ski”で18位

 媒体によってはYoung Thug & Gunna両者のアルバムと表記されていることもありますが、ビルボードのクレジットはYoung Thugだけで、Gunnaのチャートヒストリーにはこの作品は載っていません。

 このアルバムの客演のうち、Yung Kayo、YTB Trench、Yak Gottiが初のHot 100入りだと思われます。ビルボード公式が運営するTwitterBillboard Chartsでは普段初のHot 100エントリーを果たしたアーティストには、その旨がツイートされるのですが、この作品に関しては、アルバムからのHot 100は以下の通りです、という記述のみで誰が初のHot 100入りかは明言されていません。(ですが過去のリリースのデータ等を参照するに、初のHot 100だと思われます)

 

2週目 / 4週目:Moneybagg Yo - A Gangsta’s Pain

 11.0万の売上で初のアルバム1位を獲得のMoneybagg Yo。9曲がHot 100入り。うち2曲がトップ40圏内。人気はかなりApple Musicに偏っています

 目立ったリリースが無かった今月4週目にもアルバム1位の座を獲得。リリース以降、TikTokで“Wockesha”が人気を得て、ストリーミングでも浮上しています。

 

3週目:DJ Khaled - Khaled Khaled

 9.4万の売上でアルバム1位獲得(3枚目の1位) 7曲がHot 100入り。客演が豪華で、シングル候補っぽい曲は多いですが、Lil BabyとLil Durk(とTay Keith)が参加の“EVERY CHANCE I GET”がシングルに決まっています。

 

5週目:J. Cole – The-Off Season

 6枚目のアルバム1位を獲得。28.2万の売上はTaylor Swift(29.1万)に次ぐ今年2番目の数字。ストリーミング人気がずば抜けて高く、収録曲がすべてトップ40入り。うち4曲はトップ10圏内。この週に2位だった、21 SavageとMorrayを迎えた”m y . l i f e”がシングルとして運用される模様。

 J. Coleは2016年の”4 Your Eyez Only”に次ぐ、全曲トップ40達成。2018年の前作もトップ40に入らなかったのはInterludeやIntro等が中心(14曲中10曲がトップ40に)で、アルバムのパワーが毎回凄まじいのが分かります。

 2016年当初、彼はトップ10曲が無かったにも関わらず、アルバム曲で全曲トップ40入りと初のトップ10を記録。その時の衝撃は大きく、「アルバムによるHot 100支配」の幕開けを予想させる出来事でした。それ以前にもDrake等がアルバム曲を多くHot 100入りさせたことがありましたが、彼らは大規模なシングルヒットが多かったため、その延長線上のような感覚がありました。しかし一方でJ. Coleは、それまでトップ10ヒットが無かったという点がポイントです。

 

その他:Nicki Minaj – Beam Up Scotty

 2009年のミックステープが再リリースされ、ストリーミングのプラットフォームに登場。8.0万の売上で、アルバムチャートでは2位。Hot 100には4曲が登場。“Seeing Green”はこの週DL1位で、Hot 100で12位と好成績。

 

 

4:各系統のラジオ首位を見る

 

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・Justin Bieber feat. Daniel Caesar & Giveon – Peaches

 “Leave the Door Open”並に広い系統でオンエアされる曲。今月リズミック系とポップ系で1位獲得。ラジオ、Hot 100の両方でそのSilk Sonicを追いかけます。

 

・Lil Tjay & 6LACK – Calling My Phone

 ストリーミングでロケットスタートを切った後は、11位~20位帯に位置してきた曲。今月リズミック系で1位を獲得するなど、ラジオでピークを迎えつつあり、逆に考えるとこれが終わるとHot 100での順位も落ちていきそうです。

 

・Yung Bleu feat. Drake – You’re Mines Still

 RMSでは今月初頭まで1位を獲得していましたが、今月の5週目にHot 100から姿を消してしまいました。ラジオヒットになったのは、客演のDrakeの効果が大きいでしょうが、今後Yung Bleuは単独でどこまで活躍できるでしょうか。彼は最近、後述の“Track Star”のリミックスに参加したようです。

 

・Mooski – Track Star

 ストリーミングでド派手にヒットしているわけではないですが、ラジオで地味に勢力を拡大している曲。今後はポップ系でもオンエアされるようで、さらなるラジオヒットを目指します。

 

 

5:年間チャートのトップ10予想

 

 ここ数年、5月頃に年間チャート半年前予想を行ってきた私ですが、今年は単独記事でではなく、ここでひっそりと予想します。Talk of the Chartsがまとめた、これまでの推定ポイントの集計表を参照すると分かりやすいと思います:https://www.talkofthecharts.org/hot-100/year-end

 

 2020年以降、YouTubeのポイントの順次カットなどもあり、ストリーミングによる独走/短期間での逆転が難しくなりました。そのことから、ラジオの力を借りつつ、長い期間で満遍なくポイントを集めることが年間チャートで上位入りするうえで重要になります。

 

 予想:

1 Levitating

2 Mood

3 Blinding Lights

4 drivers license 

5 Peaches

6 Save Your Tears

7 Leave the Door Open

8 Butter

9 Forever After All

10 good 4 u

 

 

1:Dua Lipa feat. DaBaby – Levitating

 上記項目で書いた通り、今月週間の1位を取り逃した“Levitating”ですが、「年間」の1位獲得レースでは最有力候補かと考えています。集計の初期からしっかりとポイントを稼いでいる上に、現在も異例のラジオ再浮上によってまだ伸びる余地があることから、集計期間の終盤までしっかりとポイントを稼ぎ続けそうと予想。年間1位予想としました。

 ちなみに週間の1位にならずも、年間1位を獲得したケースは過去にも3回あります。(1965年、2000年、2001年)

 

2 24kGoldn feat. iann dior – Mood

 集計序盤から上位を走り、最も安定してポイントを稼いできた曲。現在滞在は41週目で、順位ももうあまり高くないため、52週のタイミングでチャートを後にするでしょう。そうなると終盤の数週はポイントがゼロになってしまいますが、前半の貯金が大きく年間2位と考えました。(※チャート圏外の期間は年間チャートにおける集計ポイントがゼロになる)

 

3 The Weeknd – Blinding Lights

 26位以下ならば外れる、という高いハードルを乗り越え、チャートに残留し続ける“Blinding Lights”(クリスマス期を除く)。J. Coleのアルバム曲大量登場、という厳しい状況をも乗り越え、粘っています。次の週のOlivia Rodrigoのアルバム週も乗り切れば、また安全圏に戻るでしょうか。(仮にこの週で外れると、一気に予想順位が落ちる)

 比較的ポイントは安定しているため、一気にポイントが落ちることは考えづらいですが、次に何かしらのアルバム曲大量登場が来たら、危ないかもしれません。

 集計の終盤には、さすがに外れてしまいそう。その期間の分はマイナスになりますが、それまでの蓄積が大きく、かなり上位だと考え3位。

 

4 Olivia Rodrigo – drivers license

 年の序盤に登場+大ヒットで、一見すると年間1位の最有力候補にも思えますが、既にトップ10から外れ下降線に入っているため、このくらいと予想。アルバムの週で一旦持ち直すとは思いますが、集計の最後までは残留しないような気がします。

 年の序盤にはリリースされましたが、年間チャートの集計が11月半ばに始まる都合上、最初の数週でポイントが無い点も少し痛いです。

 

5 Justin Bieber feat. Daniel Caesar & Giveon – Peaches

 かかっているラジオの系統が広い上、ロングヒット向きの落ち着いた曲調を持っている点から、終盤までポイントが安定しそうと読んで5位に。リリース時期が少し遅いため、終盤までポイントを稼ぎ続けないと上位入りは厳しいですが、それを成し遂げそうな気はします。

 

6 The Weeknd (&Ariana Grande) – Save Your Tears

 序盤から地道にポイントを稼ぎ、Ariana Grandeリミックスで週間の1位を獲得。そこまで大規模なヒットにはならない気がしますが、長い期間ポイントを安定して稼いでおり、上位の有力候補でしょう。

 

7 Bruno Mars & Anderson. Paak (Silk Sonic) – Leave the Door Open

 リリース時期もヒットの仕方も“Peaches”と近いです。しかし、Bruno Marsの楽曲は一定の時期からラジオがガクッと急落することもあり、今後その現象が発生するとなると、年間トップ10入りが厳しくなる可能性も考えられます。それが無ければ、安定したラジオで年間上位は確実

 

8 BTS – Butter

 ストリーミングが制限され、週間チャートで他の曲に大差をつけて後半に大逆転、というシナリオが難しいという説明を上に記しましたが、その唯一の例外となりうるのはBTSです。セールスは現状、制限がかかっていないため、これを活用すれば天井知らずの成績を記録することが可能です。

 一般的なアーティストの場合、セールスにブーストがかかるのは、特定の週で1位を狙いに行く場合です。短い期間でしか数字が増えないため、年間のスケールで見るとセールスの影響力は限定的なのですが、BTSは長くに渡り「買い支える」ことが可能なファンダムが存在しているため、年間チャートのスケールで見ても、高い効果を発揮するポテンシャルがあるのです。(“Dynamite”はDLチャートで最長1位滞在の記録を持っている)

 この“Butter”はラジオやストリーミングでも好調なスタートを切っており、そこに他を圧倒するセールスが加われば、年間で見ても上位の成績を記録するかもしれません。現在のセールスの「比重の重さ」を考えると、年間1位も決して不可能ではありません。

 ただし、ビルボードは以前セールスに関するルールを仄めかしたことがあり、これが適用されてしまうと、セールスが生命線の一気に窮地に陥ります。

 これらを踏まえると、年間1位の可能性も、年間100位圏外の可能性もある先が読めない1曲です。どこまで気合を入れて「売るか」、またルールがどうなるかに左右されます。現状はルールが変更されていない以上、そのままだと仮置し、トップ10圏内予想に。

 ちなみに“Dynamite”は9月に初めてHot 100入りし、年間38位でした。この”Butter”がチャートに登場するのは6月です。

 

9 Luke Combs – Forever After All

 少し挑戦的な予想。リリース後、しばらくラジオでカットされていませんでしたが、ストリーミング(パンドラ等)で奮闘し、下位ながらもHot 100に残り地道にポイントを稼いでいました。そして最近ようやくシングルカットされ、ラジオを得て順位を上げてきた、という流れです。

 このままカントリー系ラジオの再生が減れば、すぐにHot 100から外れてしまいますが、この曲はポップ系ラジオへのクロスオーバーが期待できると思います。この曲はAriana Grandeの”positions”と同じ週のリリースながらも、同等の初週の成績を記録するという経歴の持ち主で、そのポテンシャルを考えるとポップ系ラジオでもヒットする素質は十分だと思います。

 仮にポップ系のクロスオーバーを成功させれば、現在の20位前後の順位を保ったまま、集計の終盤まで進むと思うので、その成績ならば年間トップ10入りも可能です。初週2位だったこと以外は、“The Bones”に近いチャートアクションです。(実現すれば)

 

10 Olivia Rodrigo – good 4 u

 “drivers license”をも上回る勢いでストリーミングを稼いでいる、今年後半の主役候補。勢いがどこまで続くかは分かりませんが、ストリーミングの現在の強さを見る限り、リリース時期の遅さを覆し、ギリギリで年間トップ10に届くと考えました。

 

 

(その他の候補)

? Doja Cat feat. SZA – Kiss Me More

 リリース以降の安定感が高い曲。ストリーミングもラジオも優秀なため、このペースを持続できればトップ10に手が届くか?

 ただDoja Catは昨年、“Say So”がかなりの規模のヒットに見えて、トップ10を逃してしまった経歴があります。この時は持続性に課題があったので、今回もそれが続くと厳しいかも。ラジオがどこで落ち始めるかが注目ポイントか。

 

? Lil Nas X – MONTERO

 既に順位を落としているため、厳しいか?と思いきや、予想外にラジオを伸ばし始めたため、素質はあるかも。ただ、リリース時期が遅めであることを考えると基本的には厳しそう。

 

? The Kid LAROI (& Miley Cyrus) – WITHOUT YOU

 序盤から安定してポイントを稼いでいるため、もしかしたら枠ですが、既にラジオがマイナスに転じそうなので、さすがに厳しいか。オルタナティブ系でオンエアされるなど、ラジオの幅広さは魅力ですが。

 

 

6:TikTok関連

 

・Bella Poarch – Build A Bitch

 個人的には一大イベントだった、この曲のHot 100エントリー。有名TikTokerによるシングルで、他の同業者Dixie D’AmelioやAddison Raeが出来なかったHot 100入りを達成しました。この曲は本格的にヒット街道に乗っており、以降も安定してHot 100に残りそうです。

 TikTokerたちは昨年前半頃から知名度を獲得しているように感じたので、TikTokerによるシングルが今月Hot 100に初登場!というのは、個人的には意外と遅かったような気もします。

 

 この曲のヒットの要因は、とにかく耳に残りやすい点だと思います。私も少ない聴取回数でこの曲のメロディーが頭に流れ始めました。この点が他の同業者の曲よりも優れているように思いました。

 この曲のソングライトにはSub Urbanやsalem ileseなどが参加しています。前者は”Cradels”が、後者は”mad at disney”がTikTok内で流行したことがあります。

 ちなみに外部からソングライターを招くのは他の有名TikTokerの曲も同じで、Addison Raeの“Obsessed”には著名なBenny Blancoが参加しています。またDixie D’Amelioの”FUCKBOY”にも、Hot 100でトップ10の経歴があるOlivia O’Brienが参加しています。(gnashとの”i hate u, i love u”)

 

(その他のTikTok関連曲)

・Cico P – Tampa

 Hot 100の下位に登場。TikTok発ラップ、最新版です。

 

・Tion Wayne & Russ Millions feat.(7人のラッパー)- Body

 UKのラップながらも、Hot 100入りに接近中。昨年同様にTikTokでヒットし、Hot 100入りした“Don’t Rush”とは違い、ストリーミング主体のヒット。珍しいUKラッパーのHot 100入りが期待されましたが、ピークがJ. Cole / Olivia Rodrigoのアルバム曲大量登場週とかぶり、結局Hot 100に入らないかも?

 

・Starboi3 feat. Doja Cat – Dick

 Hot 100に接近中。TikTokヒットの多いDoja Catの最新ヒット。ストリーミングで一定のヒットになっていますが、プレイリストやラジオでのサポートはまだありません。やはり、「直球すぎる」曲名はプロモーションの足かせとなってしまうのでしょうか?

 

 

7:外れた曲(とその魅力)

 

 個人的な話をすると、Hot 100から外れるところが一番チャートで興味のある所かもしれません。古い曲が去り、新陳代謝が徐々に進んでいく点が、チャートのダイナミズムや循環、息吹を感じ、惹かれるんですよね。

 まあ、個人的な「フェチ」は置いといても、曲が最終的にどういう成績を残したのか?は重要な項目なので、曲が外れた瞬間を丁寧に観察することは大切だと考えています。(あまり触れられませんが)今月外れた曲のうち、一部を解説します。

 

(5/8に外れた曲)

 

× Chris Stapleton – Starting Over

 ストリーミングのピークは1月、ラジオは4月とピークが分かれていたため、滞在が34週まで伸びました。成績:(🗻25位 /⏰34週)

 

・Megan Thee Stallion feat. DaBaby – Cry Baby

 🗻28位、⏰20週で外れる。前シングルの“Body”と同様、TikTok起因でストリーミングの注目 → ラジオでも人気に、で一定の成績を残す流れ。両方とも20週で終わっているので、後半は少し失速しています。ただ、この短い滞在は、ラジオがストリーミングの動きに付いていっているということでもあります。

 

・All Time Low feat. Demi Lovato & blackbear – Monsters

 オルタナティブ系ラジオで大ヒットを遂げ、ポップ系にも進出。予想外の12年ぶりHot 100入りを成し遂げたAll Time Low。最終的に (🗻55位 /⏰17週)という成績でチャートを後に。

客演のblackbearは今年Machine Gun Kellyとの“my ex’s best friend”でもオルタナティブ系1位を獲得しています。

 ただしこの曲は、別の点でも予想外でした。この“Monsters”はラジオで大ヒットの一方で、SpotifyAppleで奮わず。代わりにこれらの媒体で人気だったのは、TikTokで注目された2008年の”Dear, Maria Count Me In”でした。ヒットの経路が複雑化した今っぽい現象で見ていて面白かったです。

 

(5/15に外れた曲)

 

× Pop Smoke feat. Lil Baby & DaBaby – For The Night

 🗻6位、⏰43週の成績で外れる。リリース直後の7月、そしてラジオが伸びてきた11月と、2回にわたりピークが来ていました。その結果、43週ととても長い滞在を達成。

 

× Taylor Swift – willow

 🗻1位、⏰20週で外れる。”cardigan”とは違い、滞在が20週まで届きました

 

× H.E.R. – Damage

 🗻44位、⏰20週で外れる。中下位ながらも20週まで滞在、というのはラジオが安定しているH.E.R.にありがちなチャートアクションです。

 

× Justin Bieber - Anyone

 🗻6位、⏰17週。トップ10でスタートするも、滞在20週未満で外れる

 

 

Ava Max – My Head & My Heart

 シングルカット直後からラジオでオンエアされ、期待されていた曲ですが、過去2シングルのようなヒットにはならず。成績: (🗻45位 /⏰12週)

 

 

(5/22)

× Chris Brown & Young Thug – Go Crazy

 52週の滞在の末、大往生を遂げる。複数系統のラジオで人気を得て、そのピーク時期が分散したことによりロングヒットとなりました。Chris Brownが参加したR&B系の曲がラジオでロングヒットというのは2019年の“No Guidance”と共通しており、新たなヒットのパターン誕生でしょうか

 

(5/29に外れた曲)

 この週はJ. Coleアルバム曲大量登場の効果もあり、10もの曲がリカレントによってチャートを後にしました。

 アルバム曲が大量登場するようになってからでは、2018の2/10(Migosアルバム効果)、7/14(Drakeアルバム効果)での8曲が最多だったようです。上位に多くの曲が一気に登場するのが、ストリーミング時代固有の現象ということを踏まえると、正式には確認できませんがリカレントで外れる曲が最も多かった週かもしれません。

 

× Billie Eilish – Therefore I Am

 (🗻2位 /⏰27週)と、「可もなく不可もなし」な成績でチャートを後に。実質リリース週に2位だった以外は、トップ10圏外でした。ただラジオでも人気を得て、滞在はそれなりに長くなりました。

 

× Bad Bunny & Jhay Cortez – DÁKITI

 🗻5位、⏰28週の成績で外れる。スペイン語ヴァースのみで構成された曲ですが、リズミック系3位など、ラジオでも奮闘していた点が印象的。

 かつてDrakeと組んだ“MÍA”(🗻5位、⏰27週)でも似たような成績を記録したBad Bunnyですが、当時はDrakeの効果でヒットしていた印象がありました。しかし現在は、彼が牽引する側に周り、英語圏リスナーもある程度巻き込みつつヒットを生み出すことに成功しています。

 

× Tate McRae – you broke me first

 🗻17位、⏰38週の成績で外れる。トップ10には届きませんでしたが、滞在はかなり長かったです。ストリーミング→ラジオとじわじわ移行してのヒットに。

 現在Regard、Troye Sivanと組んだ”You”が新たにポップ系ラジオ等でオンエアされています。

 

× Ariana Grande - positions

 通常の週ならばまだ外れなさそうな、先週37位の”positions”と同36位の”34+35”が外れてしまったAriana Grandeは少し運が悪かったですね。

 ちなみに”34+35”は、外れる一つ前の週にDoja CatとMegan Thee Stallionのクレジットが復活しました。リミックスの方が過半数を占めたと判断されたのでしょうか。

 

× SZA – Good Days

 ストリーミングで先行し、後からラジオでオンエアされるも、ピーク時の期待ほどはヒットせず……といった曲。ストリーミングでは最高2位でしたが、ラジオでは50位圏内に入っていません。

 ちなみに最終週は54位だったので、この曲に関しては大量登場とは関係の無いリカレントになります。成績:(🗻9位 /⏰20週)

 

 

その他:短評

 

・Dua Lipa – We’re Good (今月1週目にトップ40入り)

 “Levitating”と並行して運用されているシングルが、ラジオを伸ばし、滞在10週目でトップ40に到達。

 

・Glass Animals – Heat Waves (1週目にトップ40入り)

 14週目でトップ40入り。ラジオのほか、Spotifyでも上位

 

 

・Ariana Grande – pov (1週目にチャート再登場)

 シングルカットにより、ラジオで浮上しHot 100に再登場。アルバムのリリース直後とは違い、現在ストリーミングでは現在ほとんど圏外です。

 一見正解そうに見えて不正解なシングルカットかもしれません。ストリーミングではすでに一通りシングルとしての役目を果たしているので、今頃シングルカットです!と言われても、今更!?となって注目されづらいかもしれません。

 “Watermelon Sugar”は似たような運用方でヒットしましたが、それは当時リリースが少なかったことも関係しているのかもしれません。

 

・Gera MX & Christian Nodal – Botella Tras Botella (2週目に60位)

 メキシコ出身のラッパーとシンガーのタッグ。ともに初のHot 100。とくにYouTubeで上位

 ビルボードが運営するTwitterBillboard Chartsではこの曲がregional Mexicanというジャンルで初のHot 100入りとしています。簡単に訳すと「メキシコ式カントリー」となると思います

 

 

・Trippie Redd & Playboi Carti – Miss the Rage (今月4週目に11位)

 J. Cole新曲と並んでストリーミングで注目を集めた1曲。Trippie Reddにとってはキャリアハイの順位

 両者ともTikTokでの人気があるアーティストで、この曲もイントロがTikTokで注目されたことがヒットの要因の一つとされています。

 Trippie Reddはアルバムをリリースすれば、1位候補になる人気アーティストですが、意外とシングルヒットは少なく、自身の曲で滞在が最も長いのは“Dark Night Dummo”と”Death”の7週です。客演だとXXXTENTACIONの”Fuck Love”で21週まで到達したことがあります。

 

Coldplay – Higher Power (4週目に53位)

 Coldplay新曲。前アルバムの先行曲ではHot 100入りを逃しましたが、今回の曲ではそれを達成

 

・Don Toliver – What You Need (4週目に82位)

・Internet Money, Don Toliver & Lil Uzi Vert feat. Gunna – His & Hers (5週目に63位)

 昨年躍進したDon Toliverが2つの曲をリリース。後者は昨年のヒット“Lemonade”からNAVを抜いてLil Uzi Vertを加えた布陣

 

 

・Migos – Straightenin (5週目に38位)

 昨年のシングルではトップ40入り出来なかったMigosがそのリベンジを達成。昨年はそのように苦戦続きだったため、少し意外なチャートアクションでした。ただ、今後この調子が続くかは不明。

 

・Drake – What’s Next (5週目に62位)

 早々と“Wants And Needs”にシングルをバトンタッチしたこともあり、こちらの”What’s Next”は急落中。11週目で62位と、滞在が20週まで行くか怪しいです。

 

 

今月のデータ

 

主な外れた曲

5/1

16 DMX – Ruff Ryders’ Anthem (🗻16位 /⏰5週)

40 DMX – Party Up (Up In Here)  (🗻27位 /⏰22週)

46 DMX – X Gon’ Give It To Ya (🗻46位 /⏰17週)

52 Taylor Swift – Love Story (Taylor’s Version)  (🗻11位 /⏰2週)

100 Lil Baby feat. EST Gee – Real As It Gets (🗻34位 /⏰6週)

 

5/8

45 Chris Stapleton – Starting Over (🗻25位 /⏰34週) 🔃

55 Megan Thee Stallion feat. DaBaby – Cry Baby (🗻28位 /⏰20週) 🔃

85 Dustin Lynch – Mommas’s House (🗻59位 /⏰15週)

90 Taylor Swift – Mr. Perfectly Fine (Taylor’s Version) (From The Vault)  (🗻30位 /⏰3週)

95 VEDO – You Got It (🗻75位 /⏰16週)

98 All Time Low feat. Demi Lovato & blackbear - Monsters (🗻55位 /⏰17週)

 

5/15

45 Pop Smoke feat. Lil Baby & DaBaby – For The Night (🗻6位 /⏰43)🔃

61 Taylor Swift - willow (🗻1 /⏰20週)🔃

62 H.E.R. - Damage (🗻44位 /⏰20週)🔃

87 Justin Bieber - Anyone (🗻6位 /⏰17週)

88 Ava Max – My Head & My Heart (🗻45位 /⏰12週)

92 DaBaby - Masterpiece (🗻55位 /⏰14週)

93 Florida Georgia Line – Long Live (🗻45位 /⏰17週)

98 Morgan Wallen – Wasted On You (🗻9位 /⏰16週)

 

5/22

28 Chris Brown & Young Thug – Go Crazy (🗻3位 /⏰52)🔃

30 DJ Khaled feat. Nas, JAY-Z & James Fauntleroy (⏰1週)

78 Tenille Arts – Somebody Like That (🗻50位 /⏰16週)

 

5/29

36 Ariana Grande feat. Doja Cat & Megan Thee Stallion – 34+35 (🗻2位 /⏰28週)🔃

37 Ariana Grande - positions (🗻1 /⏰29週)🔃

39 Tate McRae – you broke me first (🗻17位 /⏰38週)🔃

43 Bad Bunny & Jhay Cortez - DÁKITI (🗻5位 /⏰28週)🔃

44 Yung Bleu feat. Drake – You’re Mines Still (🗻18位 /⏰23週)🔃

45 Billie Eilish – Therefore I Am (🗻2位 /⏰27週)🔃

46 Thomas Rhett – What’s Your Country Song (🗻29位 /⏰21週)🔃

54 SZA – Good Days (🗻9位 /⏰20週)🔃

62 Parmalee & Blanco Brown – Just The Way (🗻31位 /⏰20週)🔃

77 Luke Bryan – Down To One (🗻36位 /⏰20週)🔃

97 Rod Wave feat. Polo G - Richer (🗻22位 /⏰7週)

 

アルバムチャートのキリ番

5/1

1周年:Whitney Houston – I Will Always Love You: The Best Of Whitney Houston (184位)

200週目:Imagine Dragons – Evolve (141位)

200週目:Blake Shelton – Reloaded: 20 #1 Hits (185位)

300週目:twenty one pilots – Blurryface (143位)

 

5/8

1周年:Sam Hunt – SOUTHSIDE (99位)

1周年:Drake – Dark Lane Demo Tapes (120位)

250週目:The Beach Boys – Sounds Of Summer: The Very Best Of The Beach Boys (144位)

 

5/15

1周年:Lil Durk – Just Cause Y’all Wanted 2 (92位)

 

5/22

1周年:Polo G – The GOAT (22位)

1周年:Future – High Off Life (122位)

100週目:Polo G – Die A Legend (102位)

150週目:Drake – Scorpion (43位)

 

5/29

1周年:Gunna – WUNNA (115位)

 

Hot 100 デビュー

Young Thug feat. Lil Uzi Vert & Yung Kayo – Proud Of You (🗻59位、⏰1週)

Young Thug & Gunna feat. Lil Baby & YTB Trench – Paid The Fine (🗻77位、⏰1週)

Young Thug & Gunna feat. Yak Gotti & Lil Duke – Slatty (🗻99位、⏰1週)

Ryan Hurd & Maren Morris – Chasing After You (🗻87位、⏰4週、継続中)

Gera Mx & Christian Nodal – Botella Tras Botella (🗻60位、⏰3週)

Cico P – Tampa (🗻91位、⏰2週)

Bella Poarch – Build a Bitch (🗻58位、⏰1週、継続中)

Lainey Wilson – Things A Man Oughta Know (🗻94位、⏰1週、継続中)

 

 

・各指標1位

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・Rolling Stone Chartsのトップ10

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(最終週での、圧巻のJ. Coleの強さ)

 

Spotifyチャート(US)のトップ10

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※Rolling Stone Charts、Spotifyチャートの日付はHot 100準拠

 

・リンク / 参照

 

・Hot 100:The Hot 100 Chart | Billboard

Billboard 200:Billboard 200 Chart | Billboard

・ChartBeatの記事:Chart Beat | Billboard

・Kworb(ラジオ等):https://kworb.net/

Spotify Charts:Spotify Charts

Apple Music Top 100 (US):Top 100: USA on Apple Music

YouTube楽曲ランキング(US):YouTube music charts

・Tokboard:Tokboard - Top TikTok Songs This Week (←今月更新が止まっている期間があった)

Spotify - Today's Top Hits:Today's Top Hits | Spotify Playlist

Apple Music - Today's Hits:Today’s Hits on Apple Music 

・Genius(曲の情報等):Genius | Song Lyrics & Knowledge

 

 

(過去の月へのリンク)

 

4月号:Billboard(US) 動向 4月号 【週替りの1位:Justin Bieber→Lil Nas X→Silk Sonic→Polo G】 - チャート・マニア・ラボ

1 毎週交代!シングル首位
2 トップ10
3 新作が増加、アルバムチャート
4 ラジオ動向
5 BTSの「バトンタッチ」?

 

3月号:Billboard(US) 動向 3月号 【月の後半に動いたHot 100上位】 - チャート・マニア・ラボ

1 後半に動いたHot 100上位 / 複数の首位候補
2 動かないアルバムチャート
3 グラミーはどうだった?
4 トップ10周り
5 Kali Uchis大躍進、今月のTikTok 関係
6 Hot 100デビューを果たしたアーティスト
7 1年滞在の曲2つなど。今月のリカレントたち

 

2月号:Billboard(US) 動向 2月号 【シングル/アルバム1位が不動の月】 - チャート・マニア・ラボ

1 シングル/アルバム1位が不動
2 ハーフタイムショー
3 その他のトップ10
4 Hot 100に初登場 or 2~3曲目のアーティスト
5 正統派 Hip-Hop / R&B

 

1月号:Billboard 動向・1月号(2021) 【予想外の1位独走など】 - チャート・マニア・ラボ

1 予想を超える1位:"drivers license"
2 期待通りの1位:Morgan Wallen
3 期待ほどではない(?)1位
4 超圧倒的だったクリスマス曲、去る
5 クリスマス後の特別復活ルール
6 その他のトップ10 + 今後

*1:ちなみにこの流行で該当する箇所がDua Lipaパートなので、DaBabyリミックスの音源でもオリジナル音源でも可。この影響で、Spotify Globalチャートなど、オリジナルの音源が浮上していた媒体もあります

*2:週や月まではカウントせず、2021年では一律2016年以前リリースの曲、2020年では2015年以前、として集計しています

Billboard(US) 動向 4月号 【週替りの1位:Justin Bieber→Lil Nas X→Silk Sonic→Polo G】

 

f:id:djk2:20210427053407p:plain こんばんは!今月はHot 100もBillboard 200も新規の1位が続々と生まれ、彩り豊かな月となりました!

 

 

 

1 毎週交代!シングル首位

 

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 こうして月を通して、毎週Hot 100首位が交代するのは昨年12月以来です。昨年は12月のほか、5月も毎週首位が交代していました。

 

 

・Justin Bieber feat. Daniel Caesar & Giveon – Peaches

 Justin Bieberの新作がアルバム単位でストリーミング上で人気を獲得。その中で最も注目を集めた“Peaches”がHot 100でも首位を獲得しました。Bieberは7曲目、客演陣は初。ほかラジオやセールス面でも好成績。

 他にもシングル候補が多く、この曲が注目されたのは意外と感じるかもしれませんが、リリース時から有力プレイリストにも入っており、最初からシングル想定の曲だったようです。Apple MusicのToday’s Hitsでは最初からプレイリストの先頭に配置されていました。SpotifyのToday’s Top Hitsでも、彼の曲の中では3番手の配置でしたが、リスト入りはしっかりとしていました(一番手はKhalidとの“As I Am”)

 そのためか、ストリーミング人気と一致したラジオでのシングルカットが即座に行えたのだと思います。

 

 そのアルバムは15.4万の売上で1位に。うち11.9万枚(相当)はストリーミングから来ています。既にリカレントで外れていた“Holy”と”Lonely”、そしてInterlude以外の曲がすべてHot 100入りしました。

 ”Purpose”の時は1つのボートラ除く全曲が、“Changes”の時は6曲がHot 100入りしていました。前回の“Changes”のHot 100エントリー数から、彼はキャリアの曲がり角にいるのかな?という気もしましたが、今回のアルバムでしっかりと巻き返すことに成功した印象です。

 今回のアルバムに客演で参加したBEAM、Dominic Fike、Burna Boyは初のHot 100入りを記録。

 Dominic FikeはUS出身のインディーポップ系シンガーで、2019年に”3 Nights”がヒット。UKとオーストラリアで3位など、US以外では注目を集めていた曲なのですが、Hot 100には登場しませんでした。

 Burna Boyはナイジェリア出身のラッパー。近年は有名アーティストとのコラボが増加中で、UKでは3曲のトップ10(うち1曲は首位)の実績があります。

 BEAMはこの2人と比べるとまだ実績が少ないですが、Justin Bieberが今月半ばにリリースしたEP、“Freedom”にも参加しています。

 

 2週目にはデラックス版を追加でリリース。Lil Uzi Vert、DaBabyなど豪華ゲストが参加していましたが、あまり注目を集めず。そこからの新規Hot 100エントリーは0曲で、アルバムチャートでもRod Waveに1位の座を譲りました。しかし特に新規要素は無かった3週目に1位に復帰しています。

 

 

・Lil Nas X – MONTERO

 次に1位を獲得したのはLil Nas X。リリース初日の時点でもトップ10クラスの成績で、好調な滑り出しを切ったこの曲ですが、週の後半にさらに注目度が向上。DLやストリーミングでの上昇が見られ、見事1位の座を射止めました。

 YouTube(公式ビデオ)ではこの週に2800万もの再生数を記録。2位が670万、3位が638万、ということを念頭に入れると独走ぶりが分かります。*1ただし“Old Town Road”の時と比べると、かなりYouTube関連の数字のレートがHot 100では下げられているので、1位獲得への寄与度はそこまで高くないと思われます。しかし、それだけ話題を呼んだということを証明していると思います。

 ほかSpotifyでも週間1位に。(USでは初週から、グローバルでは2週目から)Apple Musicでは週の後半にトップ10に入るくらいの成績でした。DLもBTSに次ぐ2位と好調。一方ラジオはほぼ無し。

 この曲は事前からある程度の認知度があったことで、リリース直後のバズにつながったと言われています。実際私もリリース前から、曲の一部や曲名(”MONTERO”ではなく“Call Me By Your Name”のほう)をちらほら耳にしていました。

 

 Lil Nas Xは登場以降、曲をプロモーションする巧みさが際立っています。Complexは” Lil Nas X Is Even Better at the Internet Than We Thought”というタイトルの記事で、彼のことを称賛しつつ、この曲のヒットの経緯を説明しています。この記事で印象的だった部分を引用して紹介します。

 

「Lil Nas Xは、2021年現在のファンが“ただ“音楽を聞きたいわけではないということを誰よりも理解している。ファンは関与し、解釈し、そして自分なりの何かを想像したいと考えている」

 

「もちろん、ソーシャルメディア重視のアーティストにも欠点はあります。誰もが安直なギミックが音楽それ自体を上回ることを望んでおらず、私たちは6ix9ineのようなインターネットトロールという“ダークサイド”も見てきました。しかしながら、Lil Nas Xの”Montero”は重要な政治的メッセージを伝えながら、ビデオの芸術性をマーケティングに落とし込むことが出来ているので、魅力的なのです」

 

 私はよくブログで「曲をヒットさせるには、アーティスト自体への期待度/注目度/評価が重要」との旨の記述をよくしますが、彼はそれをよく満たしていると考えています。それだけに、前シングル“HOLIDAY”の成績=ピーク37位/滞在12週は、少し不本意な数字に感じていました。(ピークがクリスマスと被っているため、時期が違えばもう少し良い順位を記録していたとは思いますが)

 それだけに、今回のヒットは私の考えていた通りの評価がチャートに表れていて嬉しいですね。正直1位まで獲得するとは思っていませんでしたが!(トップ10くらいかな?と考えていました)

 

おまけ:ファンによる「Lil Nas Xを構成する要素」の動画(を紹介するLil Nas X)

→ https://vt.tiktok.com/ZSJSRn76A/

曰く、”Strange”、”Good Representation of LGBTQ Community”、”Gay”の要素が強いらしいです

 

 

・Bruno Mars & Anderson. Paak – Leave the Door Open

 この週は目立った新リリースが無かったため、既に1位を獲得した曲を中心とした首位レースとも考えられていました。しかしその週をうまく活用し、1位を獲得したのは”Leave the Door Open”でした。この週にCDをリリースするなどし、セールス戦略を展開。その結果セールスが138%増加となり、それが効いて1位を獲得することに成功しました。もちろんセールスだけでなく、リリースから継続して高いラジオ/ストリーミングの貢献度も大きいです。

 昨年からセールス戦略を打ち出して1位を獲得するパターンがいくつか見られますが、その中でも初週勝負型と、元来のヒットに上乗せ型の2パターンがあると感じます。今回の“Leave the Door Open”は上乗せ型で、昨年だと”Say So”、”Savage”、”Watermelon Sugar”、”Savage Love”がこれです。

 

 

Polo G – RAPSTAR

 リリース前から大きく期待されるような曲は無かった4月の4週目ですが、Polo Gの“RAPSTAR”が想像以上の人気を得て、Hot 100首位デビューに成功しました。5360万再生は、”drivers license”の1週目、2週目に次いで今年3番目に高い数字でした。初週からAppleSpotifyYouTubeで1位に立っています。同様に初週からストリーミングで高い人気を得たLil Nas Xの”MONTERO”と比較すると、Apple Music人気に優れています。

 彼はキャリア初の1位獲得に。これまではトップ10も、客演を務めたJuice WRLDのアルバム曲(“Hate the Other Side”)のみでした。自身の曲での最高位は”Pop Out”での11位。2019年に彼がブレイクしたきっかけとなったと曲です。

 

 彼は昨年のアルバムの時点でも飛躍の兆しを見せていました。Futureと被ったことによりアルバムチャートでは2位だったものの、ファン層がかぶるであろう競合がいながらも、9曲がHot 100入りと好成績を残していました。

 そのアルバムは現在も人気が持続しており、今月もアルバムチャート28→30→21位と推移。さらに次の週は、新シングルの影響が出て19位まで浮上しています。これらはリリース週に1位を争ったFuture(今月80位程度)のアルバムよりも高い順位です。

 また、その昨年のアルバムに収録された“Martin & Gina”はこの曲に引っ張られる形でストリーミングで再浮上中。まだ滞在が19週なので、Hot 100再登場の可能性も??

 

 

2 トップ10

 

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 続いてその他のトップ10について見ていきましょう。

 

・Dua Lipa feat. DaBaby – Levitating

 グラミーの週に浮上して以降、再びトップ10に定着。ラジオのピークは過ぎましたが、代わりにストリーミングが好調を維持しており、これが巻き返しの要因となっているようです。

 先月の記事で言及するのを忘れてしまったのですが、グラミーの週にはリリースから50週目にしてアルバムチャートのピークを更新していました。(従来4位→3位) ただし売上自体はリリース週の方が高かったです。

 

Olivia Rodrigo – deja vu

 大ヒットの次シングルもトップ10から登場と、上々の滑り出しに。新規アーティストが大ヒットを飛ばした場合、その次が出ずに苦労することも多いですが、そうはならず新曲もこの順位で登場したということは、それだけ彼女がアーティストとして期待されているということなのでしょうか。来月リリースのアルバムがどこまで伸びるか、要注目です。(実際に反映されるのは6月付のチャート)

 

・Masked Wolf – Astronaut In The Ocean

 オーストラリアのラッパーによる曲がトップ10まで到達。ラジオ、DL、ストリーミングで満遍なく人気。Amazon MusicやPandoraでは1位に到達しています。

 ダンサブルなラップ、ヨーロッパ圏で先にヒット、TikTokがヒットの一因……など、昨年の“Roses”を彷彿とさせる部分が多いです。ヒットの規模もそれと同じくらいになるのではないでしょうか。

 

・Doja Cat feat. SZA – Kiss Me More

 Doja CatとSZAのコラボレーションが注目を集め、トップ10スタートを切りました。Doja Catは3曲目、SZAは4曲目のトップ10で、ブラックパンサーのサントラの”All The Stars”と並んでキャリアハイの順位です。

 ラジオ / ストリーミングの両方が継続的な好成績を収めているため、今後も期待が持てそうな1曲。

 

・The Weeknd – Blinding Lights

 4月ラストの週にトップ10を後に。それまでのトップ10滞在は57週にもわたります。数々のロングヒット記録を塗り替えたこの曲を象徴する記録の一つに。2番目の記録が39週、3番目の記録が33週と考えると、いかに破格の数字かが分かります。

 

57週 The Weeknd – Blinding Lights (2020-21)
39週 Post Malone – Circles (2019-20)
33週 Ed Sheeran – Shape of You (2017)
33週 Maroon 5 feat. Cardi B – Girls Like You (2018-19)
33週 Post Malone & Swae Lee – Sunflower (2018-19)

(このように、ストリーミング時代によく更新される記録です)

 

 次に目指すのはトータルのHot 100滞在週数でしょうか。2015年末から、53週目以降は26位に落ちると外れるというルールが実行されたことから、この記録を達成する難易度が上昇しましたが、どこまで記録を伸ばせるでしょうか。

 

87週 Imagine Dragons – Radioactive (2012-14)
79週 Awolnation – Sail (2011-12 / 13-14)
76週 Jason Mraz – I’m Yours (2008-09)
71週 The Weeknd – Blinding Lights (2019-)

 

 

3 新作が増加、アルバムチャート

 

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・Rod Wave - SoulFly

 Rod Waveが初のアルバム1位を獲得。売上は13万で、14の収録曲がHot 100入り。リリース週に8曲がHot 100入りした前作以上に飛躍を遂げました。ただし現状Apple / Spotifyでの人気に差があり、クロスオーバーという点ではまだまだかもしれません。もちろんアルバム1位なので、コアなラップリスナーには人気ということですが。

 

Demi Lovato - Dancing With the Devil: The Art of Starting Over

 3週目のJustin Bieberに1000枚差の僅差で破れ、アルバム2位に。売上7.4万のうち、セールスが3.8万、ストリーミングが3.3万(残りシングルDL)と均等に数字を獲得。セールスに関しては、CDの販売も行っていたようです。

 

Lil Tjay - Destined 2 Win

 2月に6LACKとの“Calling My Phone”がロケットスタートを切ったLil Tjay。その動向から、アルバムもかなりヒットするかな?とも思っていましたが、アルバムチャート5位(売上6.2万)とそこそこの成績に留まりました。シングルは際立っていましたが、アルバム曲がストリーミングのトップ10に多数登場、とはならなかったです。

 

Taylor Swift - Fearless (Taylor's Version)

 “Fearless”の再録バージョンが29.1万の売上でアルバム1位に。キャリア9枚目の1位。(デビュー作だけアルバム1位ではない) 特殊な形態でのリリースでしたが、他に大差をつけてのアルバム1位に。

 29.1万の売上のうち、17.9万をセールスが占めていますが、ストリーミングでも人気で8曲がHot 100入り。これでHot 100エントリー数を136まで伸ばし、女性アーティスト最多Hot 100エントリー数の座を維持しています。

 

231曲 Drake
207曲 Glee Cast
170曲 Lil Wayne
136曲 Taylor Swift
122曲 Future
114曲 Nicki Minaj

 

 

4 ラジオ動向

 

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RMS = Mainstream R&B / Hip-Hop

 

 各ラジオ系統でどの曲が1位になっているか?ということについて取り上げていきます。上記の5つが規模の大きいメジャーな系統です。大まかなイメージとしては、ポップ>カントリー>アダルトポップ=リズミック=RMSの順番に大きいです。Radio Songsとはラジオ全体での再生数を測るチャートです。このラジオ動向をもとに、いくつかの曲について見ていきましょう。

 

・drivers license (Olivia Rodrigo)

 4/17付のランキングまで5週間ラジオ再生数が1位に。ポップ系とアダルトポップ系で1位を獲得しています。現在は”deja vu”という有力な次シングルが登場したため、ラジオ・ストリーミングともにそちらへシフトしており、それに伴いdriversの方は徐々に順位を落としそうです。

 

・Leave the Door Open (Bruno Mars & Anderson. Paak)

 ポップ、アダルトポップ、リズミック、RMSと広い系統でオンエアされていることもあり、4/24付のランキングでラジオ1位を獲得。Bruno Marsにとっては9曲目のラジオ1位で、これはHot 100首位曲数(8つ)よりも多い数字です。(ラジオ1位曲のうち、”Finesse”だけHot 100首位を獲得できなかった)

 前述のように、このラジオでの好調、ストリーミングとセールス戦略を合わせてHot 100首位を獲得することに成功しました。まだラジオでの伸びしろがあるため、しばらくはHot 100上位に残るでしょう。競合が少ない週が来れば、また1位獲得のチャンスもあるかも?

 

・Therefore I Am (Billie Eilish)

 “bad guy”に次いで2曲目のポップ系首位。ただしここをピークに、ラジオ再生数は落ち始めており、Hot 100での浮上はもう望めなさそうです。長い間11位~20位のゾーンに留まっていましたが、結局トップ10に入っていたのはリリース直後の週だけでした。(ただ上位には長く残っているので、総合ヒット度はそれなりに高い)

 

・Save Your Tears (The Weeknd)

 ポップ系で1位を獲得。ほかアダルトポップ系でも浮上中。このラジオが高まってきたタイミングでAriana Grandeリミックスがリリースされる予定。額面通りにヒットすれば、元々の高いヒット度も合わさって、Hot 100首位が獲得できそうです。

 ちなみにリズミック系ではすでにピークを終えて、下降中です。

 

・The Good Ones (Gabby Barrett)

 昨年“I Hope”が特大ロングヒットになったGabby Barrett。その時のようなポップ系への飛び火はまだしていませんが、カントリー系ラジオではしっかり1位を獲得(2週) AppleSpotify等では存在感がやはり薄めですが、AmazonやPandora等のストリーミング、ほかDLが高いこともあって、Hot 100では19位まで到達しました。

 

・willow (Taylor Swift)

 “folklore”からはラジオ1位が出ませんでしたが、”evermore”からは”willow”がアダルトポップ系1位を獲得。ただポップ系ではオンエアが終わりに近づいており、今後の浮上は望めないでしょう。

 

・Best Friend (Saweetie feat. Doja Cat)

 リズミック系で1位を獲得。Saweetieはこの系統を得意としており、”My Type”、”Back to the Streets”に次いで3曲目の1位。一方、彼女はRMSで1位を獲得したことがありません。客演のDoja Catも3曲目のRMS1位(”34+35”を含むならば*2、もう一つは“Say So”)

 この曲はHot 100で17位まで到達し、”Tap In”で記録したキャリアハイ(20位)を更新しています。

 

・You're Mines Still (Yung Bleu feat. Drake)

 客演Drakeのアシストもあって、ラジオ人気を得たYung Bleuの曲。先月のRMSに続き、今月リズミック系で1位を獲得。

 

・What’s Next (Drake)

 順当にラジオを伸ばし、まずはリズミック系で首位獲得。ただし“Wants And Needs”が既にシングルカットされる動きがあり、早いタイミングでシングルが交代するかもしれません。

 

・On Me (Lil Baby)

 RMS系統を得意とするLil Baby。この系統5曲目の1位。ちなみにリズミックの方では1位は3曲。自身のシングルの多さに加え、客演の活躍もあり、約3年間で29曲のシングルがRMSチャートにエントリーしています。

 

・What You Know Bout Love (Pop Smoke)

 1月にリズミック系で1位を獲得した後、今月はRMS系でも1位を獲得。基本的に他系統に飛び火しないカントリーを除くと、主要5系統の中で最も珍しい組み合わせはRMSとアダルトポップなのですが、この曲はそれを達成しています。(アダルトポップ系で38位)

 

・Cry Baby (Megan Thee Stallion feat. DaBaby)

 ラジオを順調に伸ばし、“Body”に次いで2連続でこの系統で1位に。Megan Thee Stallionにとっては3曲目、DaBabyにとっては6曲目のこの系統1位。

 ちなみに今年に入ってから、11曲がRMSで1位に。これは上記5系統の中では、カントリーと並んで最多タイ。元々はここまで入れ替わりが激しい系統ではありませんが、ここ数ヶ月限定の現象なのか、それともこのような方針へ今後変化していくのでしょうか?

 ただしこのRMSとAdult R&Bという系統が合算されたチャート、Hot R&B / Hip-Hop Airplayでは今月逆の現象が起きました。Chris BrownとYoung Thugの“Go Crazy”が29週で1位を記録し、この系統の最長記録を更新。ちなみに従来の記録もChris Brown(とDrake)による”No Guidance”(27週)でした。

 

 

5 BTSの「バトンタッチ」?

 

 BTSの日本語シングル、”Film Out”が81位でHot 100入り。日本市場向けの曲ではありますが、ファンの熱心さがセールスに現れ、Hot 100にも入ったということに。BTSによる日本語シングルのエントリーは今回が初です。ソングライトにはBTSのメンバーのほか、日本のバンドBack Numberのメンバーも参加しています。

 

 日本語のシングルはHot 100で珍しいです。これまで日本人によるHot 100エントリーは過去に何回かありましたが、英語詞の曲が多く、日本語詞がメインという曲はあまりありませんでした。今回の“Film Out”は坂本九の2つの曲に次いで、おそらく3曲目?の日本語シングルHot 100エントリーかと思います。

 

以下の2曲は日本語も英語もある曲です

2018年 Sofi Tukker feat. Nervo, The Knocks & 植野有砂 – Best Friend
2019年 宇多田ヒカル & Skrillex - Face My Fears

 

 “Best Friend”は、当の植野有砂は日本語で歌っているものの、その他のメンバーは英語です。

 “Face My Fears”は解釈が難しいです。iTunesのアルバムチャートで上位だった作品が、Hot 100に登場するという、不思議な経緯でのヒットだったので、日本語版も英語版も両方ヒットに寄与したとも考えられますが、英語版の効果が大きいと考えるのが自然な流れでしょうか。(ストリーミング等でも目立った数字が無く、入るならアルバムチャートと思っていたことも含め、かなり意外なHot 100入りだった記憶 )

 

 この”Film Out”が登場した週には同時に“Dynamite”がHot 100を後にしました。ピーク1位、滞在32週という成績。22週目には40位台に落ちて、その時点でラジオのポイントが大きく減少していたので、そろそろ外れるかな?と思っていたのですが、そこから粘って滞在を32まで伸ばしていました。

 Digital Songsで1位に返り咲くなど、DLが伸びたので、ファンたちが滞在期間を伸ばすためにセールスで支えたのではないか、と推測しています。(滞在の終盤は、おそらくDL以外のポイントは低めだった)iTunesどではさほど上位に入っていなかったので、他の媒体でセールスを伸ばしたのだと考えられます。

 そのような形でHot 100に粘りの残留を果たしてきましたが、4/10付のチャートで、Digital Songs最長1位(18週)、またK-Pop史上最長のHot 100滞在(”Gangnam Style”を上回る)と複数の記録を達成し、次の週にチャートを後にしました。この週ちょうど“Film Out”がリリースされていたので、まさにバトンタッチといった感覚でしょうか。

 

 

6 その他の短評

 

Maroon 5 & Megan Thee Stallion – Beautiful Mistakes

 登場してからどんどん順位を伸ばしていく、というメジャーなリリースにしては珍しいチャートアクションを見せる1曲。メジャーなリリースの場合、初週にまず大きく注目されるので、高い順位に登場 → 一旦順位を落とす → そこから伸るか反るか という過程で順位が動いていくことが多いですが、この曲は初週の注目度が鈍かったです。初週の順位が悪い場合、短命で終わってしまうケースが多いのですが、この曲はその方向に行かず、順調にヒット。ラジオだけでなくストリーミングの数字も改善傾向に。

 この曲はポップ&アダルトポップ系でのオンエアがメインで、Megan Thee Stallionの元のファン層とはあまり被っていません。

 

・Megan Thee Stallion – Body

 ピークがクリスマスと被った関係でトップ10入りを逃した1曲。リリース直後にTikTokで人気を得て、ストリーミングが急上昇。そのタイミングで、仮にクリスマス曲抜きならばトップ10、という順位まで到達。ただしクリスマスが終わる前にストリーミングが落ち始め、後にラジオでのサポートも得ましたが、タイミングがうまく噛み合わずにトップ10にはどの期間でも到達しませんでした。滞在の最後の方は下位で過ごし、20週の滞在でチャートを後に。

 

・Coi Leray & Pooh Shiesty – Big Purr

 2シングル連続でTikTok人気を得たCoi Leray。AppleYouTubeで人気を集めています。下位ながらも、Spotifyのランキングにも登場しています。(客演以外では初)

 

・Erica Banks – Buss It

 Nellyの“Hot In Herre”使いの、キャッチーな1曲。TikTokで人気を得てHot 100に登場したのち、Travis Scottリミックスをリリースして本格的な飛躍を狙いましたが、あまり注目されず。ラジオではそれなりに人気でしたが、ピーク49位、滞在13週の成績でHot 100から外れました。

 

・24kGoldn feat. iann dior – Mood

 合計で31週もトップ10に残るなど、特大ヒットとなっている”Mood”。その24kGoldnがデビュー作をリリースしましたが、アルバムチャートでは22位。この曲以外はHot 100に入らないなど、あまり存在感を発揮できませんでした。

 

DMX – Ruff Ryders’ Anthem

 訃報のあったラッパーの過去曲が注目を集め、3曲(16位、40位、46位)がHot 100入り。またベスト盤がアルバムチャート2位に浮上しています。彼の従来のキャリアハイは1998年に記録された17位だったため、このタイミングでそれを更新したということになります。

 

・Duncan Laurence – Arcade

 おそらくTikTokが起因で、2019年のシングルながらも、今年に入ってからストリーミングで注目を集めた曲。この「ストリーミングで再発掘」タイプのヒットにしては珍しく、時間差なくラジオでのオンエアも得ています。FLETCHERを迎えたバージョンもラジオではかかっているようです。

 この曲は2019年当初もSpotifyのToday’s Top Hits入りを果たしましたが、注目は長く続かなかったのでおよそ3週で外されていました。ただ今年の再注目を受けて、再びリストに復帰しています。

 彼はオランダ出身のシンガーで、2019年のユーロビジョンの優勝者。ユーロビジョンとは主にヨーロッパ圏を対象とする歌のコンテストです。このユーロビジョンの曲がHot 100入りを果たすのは珍しく、ChartData曰く1996年以来のことだそうです。(Gina Gの”Ooh Aah… Just a Little Bit”、ピーク12位)

 

・Kevin Gates – Big Gangsta

 少し前にTikTokで頭角を現し、以降ストリーミングを継続的に伸ばしてHot 100入り。AppleSpotifyYouTubeのいずれでも人気。元は2019年にリリースされた曲でした。

 

・CJ – Whoopty

 2月にトップ10に到達した曲でしたが、そこからストリーミングもラジオも急落下して、今月Hot 100から外れました。ピークは10位で滞在は22週。このような上昇してトップ10に到達するタイプの曲(リリース当初からトップ10ではない、ということ)がここまで一気に落ちるのは珍しい気がします。ラジオだけでなく、ストリーミングまでも一気に勢力を失うのが少し興味深いです。

 

・Doja Cat – Streets

 自身の新シングルの存在によって、こちらのラジオでのオンエアは終了してしまう見込み。リズミック系で31位に到達したのみと、ストリーミングに似合わないラジオ実績でした。ビデオも人気を得るなど、ストリーミングでは好成績だったので、ラジオがもう少し多ければトップ10にも届いたかもしれませんね

 

・Ritt Momney – Put Your Records On

 TikTokで発掘されてからのストリーミングでの人気、そこから少し遅れてのラジオ上昇と2段階でピークを迎えるタイプの曲。そのラジオの再生が落ちてきたため、Hot 100を後に。ピークは30位、滞在は25週という結果に。ピークが割れているため、ピーク順位の割に滞在が長めになっています。

 

・VEDO – You Got It

 ピーク75位、滞在15週で外れる。Erica Banksの”Buss It”と似たタイプのヒット。TikTokで人気を得てから、ラジオでもそれなりにオンエアを得たため、下位中心の滞在ながらもそれなりに長い滞在になりました。

 

 

今月のデータ

 

主に外れた曲

 

4/3

50 BRS Kash – Throat Baby (Go Baby)  (🗻24位 /⏰22週)🔃

96 Lil Durk & King Von – Still Trappin’  (🗻53位 /⏰12週)

97 Lil Durk feat. Lil Baby – Finesse Out The Gang Way (🗻39位 /⏰7週)

 

4/10

47 Luke Combs – Better Together (🗻15位 /⏰25週)🔃

49 Niko Moon – Good Time (🗻20位 /⏰25週)🔃

96 Morgan Wallen – Sand In My Boots (🗻32位 /⏰11週)

99 Future & Lil Uzi Vert – Drankin N Smokin (🗻31位 /⏰10週)

100 Darius Rucker – Beer And Sunshine (🗻42位 /⏰15週)

 

4/17

30 BTS - Dynamite (🗻1 /⏰32週)🔃

 

4/24

43 Ritt Momney – Put Your Records On (🗻30位 /⏰25週)🔃

48 CJ – Whoopty (🗻10位 /⏰22週) 🔃

70 Drake feat. Rick Ross – Lemon Pepper Freestyle (🗻3位 /⏰5週)

84 Megan Thee Stallion - Body (🗻12位 /⏰20週)🔃

87 VEDO – You Got It (🗻75位 /⏰15週)

94 Future & Lil Uzi Vert – Drankin N Smokin (🗻31位 /⏰11週)

98 Black Eyed Peas & Shakira – GIRL LIKE ME (🗻67位 /⏰13週)

99 Erica Banks – Buss It (🗻47位 /⏰13週)

 

 

・ アルバムチャート キリ番

 

4/3

200週目:Bon Jovi – Greatest Hits: The Ultimate Collection (153位)

250週目:Linkin Park – [Hybrid Theory] (164位)

600週目:MetallicaMetallica (101位)

 

4/10

1周年:Dua Lipa – Future Nostalgia (9位)

1周年:Rod Wave – Pray 4 Love (39位)

1周年:DaBaby – BLAME IT ON BABY (49位)

150週目:Juice WRLD – Goodbye & Good Riddance (32位)

200週目:Luke Combs – This One’s For You (34位)

350週目:Michael Jackson – The Essential Michael Jackson (93位)

 

4/17

200週目:SZA – Ctrl (54位)

 

4/24

1周年:DaBaby – BLAME IT ON BABY (52位)

100週目:Lewis Capaldi – Divinely Uninspired To A Hellish Extent (66位)

300週目:Zac Brown Band – Greatest Hits So Far... (122位)

 

 

・今月Hot 100デビューアーティスト

Justin Bieber feat. Dominic Fike – Die For You (🗻81位 /⏰1週)

Justin Bieber feat. BEAM – Love You Different (🗻84位 /⏰1週)

Justin Bieber feat. Burna Boy – Loved By You (🗻87位 /⏰1週)

Duncan Laurence – Arcade (🗻100位 /⏰1週)

 

 

・各指標1位

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・Rolling Stone Chartsのトップ10

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 個人的なポイントは、Olivia Rodrigoの"deja vu"が2週目もトップ10に残ったことですかね。

 

Spotifyチャート(US)のトップ10

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 奮闘していた"telepatía"の勢いが止まってきています……

 

 

リンク / 参照

 

・Hot 100:The Hot 100 Chart | Billboard

Billboard 200:Billboard 200 Chart | Billboard

・ChartBeatの記事:Chart Beat | Billboard

・Kworb(ラジオ等):https://kworb.net/

Spotify Charts:Spotify Charts

Apple Music Top 100 (US):Top 100: USA on Apple Music

YouTube楽曲ランキング(US):YouTube music charts

・Tokboard:Tokboard - Top TikTok Songs This Week (←今月更新が止まっている期間があった)

Spotify - Today's Top Hits:Today's Top Hits | Spotify Playlist

Apple Music - Today's Hits:Today’s Hits on Apple Music (※基本的にUSと日本で選曲は同じですが、リストが51曲以上になると、日本版では51番目以降の曲がカットされます。PCからリンクを踏むとUS版のページに飛ぶと思います)

 

 

(過去の月へのリンク)

 

3月号:Billboard(US) 動向 3月号 【月の後半に動いたHot 100上位】 - チャート・マニア・ラボ

1 後半に動いたHot 100上位 / 複数の首位候補
2 動かないアルバムチャート
3 グラミーはどうだった?
4 トップ10周り
5 Kali Uchis大躍進、今月のTikTok関係
6 Hot 100デビューを果たしたアーティスト
7 1年滞在の曲2つなど。今月のリカレントたち

 

2月号:Billboard(US) 動向 2月号 【シングル/アルバム1位が不動の月】 - チャート・マニア・ラボ

1 シングル/アルバム1位が不動
2 ハーフタイムショー
3 その他のトップ10
4 Hot 100に初登場 or 2~3曲目のアーティスト
5 正統派 Hip-Hop / R&B

 

1月号:Billboard 動向・1月号(2021) 【予想外の1位独走など】 - チャート・マニア・ラボ

1 予想を超える1位:"drivers license"
2 期待通りの1位:Morgan Wallen
3 期待ほどではない(?)1位
4 超圧倒的だったクリスマス曲、去る
5 クリスマス後の特別復活ルール
6 その他のトップ10 + 今後

 

 

*1:ビルボードは現在、公式のビデオのみをチャートに集計。しかしYouTubeチャートに表示される数字が額面通り集計されているわけではないようです。非ログインユーザーの再生数を抜かれていると考えられています。

*2:ビルボードのChart Historyにはこの曲が載っていませんが、リズミック系統で伸びを見せたのがDoja Cat参加のリミックスのリリース後なので、彼女もクレジットされるべきと判断しました

Billboard(US) 動向 3月号 【月の後半に動いたHot 100上位】

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 こんばんは!

 

目次:

 

 

 

1 後半に動いたHot 100上位 / 複数の首位候補

 

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 先月は”drivers license”が全ての週を制し、動きが無かったHot 100の\。しかし今月の後半、上位が激しく動きました。

 3/20にチャートを席巻したのはDrake。リリースした3曲が、そのまま1位2位3位に収まり、トップ3を独占。The Beatles、Ariana Grandeに次ぐ史上3回目の快挙を成し遂げました。Drakeにとって43-45曲目のトップ10で、首位は8曲目です。

 この3曲は“Scary Hours 2”というEPのような形式でリリースされており、それらがアルバムのような熱量で受容され、3曲全てが圧倒的な再生数を叩き出したことが大きかったと考えています。(ストリーミングではアルバムが強い)

 とはいえこの3曲はシングル扱いで、アルバムチャートには登場していません。仮にアルバム扱いならば、アルバムチャート首位獲得相当の成績を収めています。(Rolling Stone Charts等に記載されている3曲の数字を合算すると、この週のアルバム1位を上回ります)

 この3曲のうち“What’s Next”がラジオシングルで、今後は主にこの曲がHot 100で上位に残りそうです。ただ”Wants and Needs”も非シングルながらストリーミングでの調子が良いため、この曲にも期待がかかります。

 

 同週にこの3曲に次ぐ4位に登場したのはBruno MarsとAnderson .Paakによるユニット、Silk Sonicの”Leave the Door Open”。前者は17曲目の、後者は初のトップ10。Anderson. PaakはHot 100エントリー自体もまだ2曲目です(1曲目は客演を務めた、昨年のEminemのアルバム曲)

 DL、ストリーミング、ラジオ全てで優秀な成績。特にラジオはリリースから即座に大きな上昇を見せています。Bruno Marsはポップ、アダルトポップ、リズミック、RMS(Mainstream R&B/Hip-Hop)と広い系統でオンエアされるのが強み。リズミック&アダルトポップの組み合わせも珍しいのに、RMSまでカバーできるタレントは他にあまり浮かびません。(RMSでのオンエアが本格的に始まるのは来月からですが)

 リリース直後の注目度が大きすぎる反動で、2週目は大きくポイントが減少するのが近年の一般的なチャートアクションですが、この曲は2週目にHot 100首位獲得のチャンスがありました。引き続きのラジオの大幅な上昇に加え、グラミーでパフォーマンスを行い、注目度も向上。DrakeのEP3曲が初週よりは大きく数字を落としたこともあり、首位の有力候補の1つでした。

 しかし“Leave the Door Open”との僅差の争いを制し、Hot 100首位を獲得したのはCardi Bの”Up”でした。Cardi Bにとって5曲目の首位に。

 リリース以降ストリーミングの調子をあまり落とさなかったこと、こちらもラジオの調子が良かったこと(この週リズミック/RMSの2系統で首位)。この従来の2点の好調に加えて、この週DLが伸びた(+96%)ことも、僅差を制する上では効いたかと思います。この曲もグラミーでパフォーマンスを行ったため、その恩恵もあったでしょう。

 ちなみにこの次の週、“Up”はUSのSpotifyでの週間再生数のピークを更新しています。グラミーでのパフォーマンスやHot 100首位獲得のニュースもプラスに働いたのでしょうか。有名アーティストの曲は、ストリーミングでリリース初日にピークが来ることが多いので、このような追い上げ型は珍しいです。

 来月以降は”Leave the Door Open”、”Up”の2曲に加え、新たにリリースされたJustin Bieberの”Peaches”、この3曲で首位争いが繰り広げられるでしょう。

 

 

2 動かないアルバムチャート

 

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 一方、アルバムチャートは1位が変わらず。Morgan Wallenが10週まで、その1位滞在を伸ばしています。先月はまだ売上が10万を超えていて、新規アルバムの1位チャレンジを阻んでいるという印象がありましたが、今月は売上も下がってきていて、競合がいなかった点が1位キープの要因として強いかと思います。

 とはいえ、ストリーミングでここまで安定した強さを維持しているのは見事でしょう。複数の曲がストリーミング内でシングルとして成立したこと、曲数の多さなどが強さの理由と思われます。

 

 数少ない新たな動きだったのはAriana GrandeとGiveon。Ariana Grandeはデラックス版をリリース。5曲を新たに追加したものの、そこまでストリーミングが伸びず2位止まりに。デラックス版で大きく伸びるのは、Apple Musicでの人気が高いタイプのアーティストに限られているような気もします。(正統系のラッパーなど)

 Giveonは昨年のEP2つを合体したコンピレーションをリリース。アルバムチャート5位に入りました。

 この2つにしても、正式な新作ではないので、本当にリリースが少い月だったことが伺えます。

 

(参考:先月のアルバムチャート)

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  The Weekndのベスト盤や、Foo Fightersの新譜は今月のリリースならアルバム1位を獲得していたかもしれません。

 

 

(以下長尺のアルバムに関する余談)

 今のリスナーが、どこまで真面目にアルバムという単位で音楽を聞くかは不明ですが、仮に真面目に最後まで聞くとすれば、長尺アルバムは2つの恩恵を受けると思います。まずは単純に曲数の多さの分だけ再生数が伸びる点。再生数を伸ばすために、ストリーミング以降で長尺の作品が増えた、という問題はストリーミング初期から指摘されています。

 もう一つ、私が最近感じたのはリコメンドで有利になるという点です。私はそこまでMorgan Wallenを好んで聞いているわけではない(流行っているから、勉強として少し聞こうぐらいの感覚、Nワードの一件の前に)ですが、ちょいちょいApple Musicの個人用リコメンドプレイリストに登場してきます。

 この理由を考えたところ、再生時間が長め=この人はMorgan Wallenが好き、と判断された可能性が浮かびました。今回のMorgan Wallenの作品は1時間37分で、30分くらいのアルバムの3周に相当します。「流し」で聞いたとしても、聴取時間では上位に行きやすいすいのです。個人用プレイリストの選曲アルゴリズムは、詳しくは分かりませんが、再生時間がマイナスに働くことはまずないでしょう。

 

(ただ、これは私のApple Musicの使い方も関係するのかもしれないです。私は「ラブ」も「これと似たおすすめを減らす」も、ライブラリ追加も全くしていないので、再生時間しかアルゴリズム的な判断材料が無いです。これを積極的にする人はこの限りではないのかもしれません。この機能が一般的にどれくらい使われているか、は分かりませんが)

 

 

3 グラミーはどうだった?

 

 昨年は主要4部門を独占したBillie Eilishの楽曲が浮上。それがきっかけでラジオも上向くなど、継続的な向上が見られました。(その曲が今年のRecord of the Yearを受賞した”everything i wanted”) ほかパフォーマンスされた曲が4つHot 100入りしましたが、それらは全て1週or2週でチャートから外れてしまいました。

昨年:Hot 100・Billboard 200まとめ 2月号 【アルバム激戦区・不動のシングル上位など】 - チャート・マニア・ラボ

 

 今年は新規登場が無かったものの、上位には影響を及ぼしました。パフォーマンスが行われた”Up”はグラミー後に一定のストリーミング/iTunesの伸びが見られたので、僅差の首位レースを制する要因の1つになったかと思われます。また、同じくパフォーマンスされたDua Lipaの“Levitating”はセールス/ストリーミングが増加。トップ10に返り咲きました。

 昨年グラミー効果でHot 100入りした曲がすぐに外れたように、新たにヒットを作り出すような影響力はグラミーには望みづらいです。しかし依然広い層にアピールできる貴重なイベントではあるので、既存の曲を上向かせるプロモーションの場、とくに僅差を制する必要がある時には有効な方法だと思います。

 ただグラミーはそんな単純な場所ではなく、アーティスト側の思い通りにプロモーションを出来るとも限りませんが。(あとタイミングの問題もあります)

 

 次に実際に受賞した曲に目を向けます。今年のRecord / Song of the YearはHot 100でのピークが低いことが特徴です。Songを受賞したH.E.R.の”I Can’t Breathe”はHot 100に入ってもいない曲です。Record / Song受賞曲でHot 100入りもしていないのは、2009年の”Please Read the Letter”以来です。(Robert PlantAlison Kraussによる / Record受賞)

 またSongの”everything i wanted”の8位ピークも順位が低い部類に入る曲で、そのHot 100に入らなかった2曲以外では、その2009年以降では最もピークが低い曲です。ただし、2008年以前だと8位より低いRecord / Song受賞曲は多く見られます。

 

 

4 トップ10周り

 

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Chris Brown & Young Thug - Go Crazy

 ちょうどラジオで1位だったタイミングでFuture, Lil Durk, Mulattoのリミックスをリリース。この効果で3位とピークを更新しました。(リミックス勢はクレジットされず)

 42週目でピークを更新するというかなり遅咲きの曲。しかし月の後半になるとラジオが減少し、トップ10を後にしました。

 

・Doja Cat – Streets

 ビデオが注目を集め、16位まで浮上。ただしラジオのサポートが現在手薄なため、トップ10は近いようで遠いかもしれません。

 

Olivia Rodorigo - drivers license

 ラジオで1位を獲得。ただしその週に新曲が大量リリースされたため、5位に順位を下げました。今月上位に登場した“Up”、”Leave the Door Open”のほか、来月はJustin Bieberの“Peaches”という新たな競合も登場するため、今後1位に復帰するかは微妙なところです。

 

 

5 Kali Uchis大躍進、今月のTikTok関係

 

 TikTokに関連しそうな曲では、“Astronaut In The Ocean”、”telepatía”、”No More Parties”の3曲が今月トップ40入り。それぞれのヒット経路は様々。

 “Astronaut~”は、TikTokから直接ヒットしたというよりは、まずヨーロッパ圏(ドイツなど)で先に火がついた曲が、TikTokの力を借りつつUSでもヒットしたような印象。このヨーロッパ圏でのヒットの効果もあり、ラジオのオンエアも順調に伸びています。来月にはトップ10に届くかもしれません。

 ”telepatía”はTikTokによって「発掘」されたシングルと思います。発掘以降順調にストリーミングを伸ばしていったものの、既にかなり上位のため、これ以上伸ばすのは難しい気がします。またラジオのサポートが遅いため、現状でこれ以上順位を伸ばすのは難しそうです。TikTokストリーミングで伸びたものの、ラジオのサポートが遅いという点で、Doja Catの“Streets”と似ています。

 “No More Parties”は一般的なTikTokヒットとは違い、Apple MusicとYouTubeに人気が偏っており、Spotifyでは圏外です。Lil Durkのリミックス追加によって大きく順位を伸ばしました。

 Mooskiの“Track Star”にも似たような傾向が見られます。(Spotifyで圏外ではないですが、100位以下)

 

 来月以降、TikTok関連曲でヒットが期待されるのはBeach Bunnyの“Cloud 9”。現在Spotifyを中心に数字を伸ばしていて、このペースが続けばHot 100にも手が届きそう。

 

 

TikTok関連の余談×2)

 

・SugarCrash!の謎

 TikTokの人気曲を計測するサイト、Tokboardでは1位まで浮上。さらにはSpotifyのGlobalランキングでは53位まで到達するなど、TikTok内外でヒットになっているElyOttoの“SugarCrash!”。USのSpotifyでも51位につけるなどし、Bubbling Underまで到達しました。

 しかしこの曲には謎の点が1つあり、それはSpotifyでの成績の割に一向に最大手プレイリストToday’s Top Hitsに入らないことです。

 

 Today’s Top Hitsはその名の通り、ヒット曲全般を扱うプレイリストです。50曲の編成なので、Global50位以上の曲が主にリスト入りの対象と自然に考えられますが、一定期間経った曲は上位でも外されるので、このリスト入りするためのボーダーラインは50位よりもかなり低いです。

 また、過去曲以外にもこのような場合にはリストに入りません。

1:アルバム曲(=アルバムの4番手以下)の場合

2:英語曲ではない場合 (入らない訳わけではないが、基準が厳しくなる)

3:アーティストの素行に問題がある場合(レアケース)

 

 この“SugarCrash!”は53位と順位的にも十分で、かつ1-3にも当てはまりません。リスト入りは時間の問題!と思っていたのですが、まだ入りません。

 入らない理由として思い当たるとすれば、その作風です。この曲はHyperpopというジャンル(大まかに説明すると”未来志向のポップス”)なのですが、その作風は現行メインストリームの一員としては相応しくない、離れすぎていると考えられた可能性があります。 

 また昨年も、Indian Style Remixのミームで知られるDripReportによる”Skechers”がリスト入りしないという似たようなケースがありました。一方で、順位的には足りなさそうな特定のシンガーの曲が、複数回に渡ってリスト入りするようなこともあります。(このタイプのシンガーは、SpotifyだけではなくAppleのリストにも入ることが多い)

 ラジオよりはジャンルの壁が下がったプレイリストですが、それでも「これはメインストリーム向き」「これは不向き」といった、暗黙の了解、基準があるのでは?と感じました。

 

 ちなみに同じくHyperpopとしてカウントされているCharli XCX(とKim Petras、Jay Park)の“Unlock It”もTokboardで1位まで到達し、同ランキングの1位&2位をHyperpopが占めている期間もありました。”Unlock It”はメジャーなランキングには今のところ入っておらず、具体的なヒットはまだ観察されていません。

 

(こうやってヒット系プレイリストを観察していると、自分ならこの選曲をする、という考えが色々湧いくるので、作った私作成のヒット系プレイリスト →トコの「トコ Today's Hits」をApple Musicで

 

 

・日本関連のコンテンツ?

 ストリーミングやDLでは圏外で、Hot 100に接近しているわけではないですが、TikTok内で日本関連のコンテンツの英語圏での躍進が今月見られました。

 最も際立ったのはLizz Robinett(日本だと核のリズという名前)による「恋愛サーキュレーション」の英語カバー。この曲はアニメ「化物語」のOPで、オリジナルは声優の花澤香菜によって歌われています。この音源はTokboardで11位まで一時期浮上しています。オリジナルの曲はもともと、英語圏でも「人気のミーム曲」として受容されていて、一部では根強い人気があった曲なのだと思います。その人気が今回花開いたということでしょうか。

 もう一つここ数日で大きな浮上を見せているのは桃黒亭一門(ももいろクローバーZの別名義)による「ニッポン笑顔百景」です。こちらは主にコスプレイヤーの間で人気が出ています。(日本関連のコンテンツが海外圏に広がる時、コスプレイヤーを中心に人気になるというのはパターンの1つです)

 日本関連のコンテンツを積極起用する有名TikTokerのBella Poarch(最多Like動画記録の保持者)もこの「ニッポン笑顔百景」を使用していました。「恋愛サーキュレーション」は今回人気が出た英語版ではなく、日本語版(だけどオリジナルではなくカバー)を以前使っていたことがあります。ほか以前に楽天パンダのCMを踊っていたこともあります。

 

 

6 Hot 100デビューを果たしたアーティスト

 

Clinton Kane – Chicken Tendies (🗻88位 /⏰1週)

Mooski – Track Star (🗻55位 /⏰4週)  ※継続中

Lil Baby feat. EST Gee – Real As It Gets (🗻34位 /⏰2週)  ※継続中

ROSÉ – On The Ground  (🗻70位 /⏰1週) ※継続中/ソロ名義として初

NF feat. Hospin - LOST  (🗻79位 /⏰1週) ※継続中

Machine Gun Kelly feat. CORPSE – DAYWALKER!   (🗻88位 /⏰1週) ※継続中

 

 太字のほうが初登場アーティストです。(客演等で複数アクト名義の場合) 後ろ3つは最後の週に登場したので、継続中という表記にしましたが、おそらく次の週には外れるでしょう。

 ROSÉはBLACKPINKのソロプロジェクト、第二弾。2018年の第一弾、JENNIEの“SOLO”はBubbling Underにも届きませんでしたが、今回は見事Hot 100入り。それぞれの曲やメンバーの違いというよりは、この約2年半でBLACKPINKがグループとして、勢力を伸ばしたことが大きいでしょう。

 

 

7 1年滞在の曲2つなど。今月のリカレントたち

 

 今月、計11曲がリカレントルールによってチャートを去りました。うち2曲が53週目/26位以下のルールによって外れています。Drake等の上位デビューが多かった3/20の週は、一挙に6曲がリカレントで外れています。(詳しいデータは下の「主なデータ」欄にあります) そのうちのいくつかをこの章で紹介します。

 

・Lewis Capaldi – Before You Go (🗻9 /52)

 2曲のHot 100エントリーが、両方とも滞在52週に到達する、ロングヒットのエキスパートLewis Capaldi。アダルトポップ系ラジオに適した作風を持ち、ラジオでのオンエアがかなり長いことが特徴。ストリーミングも弱くはないです。

 

・Gabby Barrett feat. Charlie Puth – I Hope (🗻3 /62)

 ゆったりとしたラジオの系統移行(カントリー → ポップ)が功を奏し、46週目でピークを更新していた遅咲きの曲。この曲もアダルトポップ系に適した作風で、ピーク後のラジオ減少もゆるやかでした。2015年に新リカレント(53週/26位)が適用されてからは、”Blinding Lights”に次いで2番目に滞在が長いです。

 

・AJR – Bang!  (🗻8 /35)

 ピークに到達するまでは遅かったですが、その後はラジオが急落して、下降が思いの外早かった曲です。

 

・Internet Money & Gunna feat. Don Toliver & NAV - Lemonade (🗻6 /29)

 ポップさも兼ね備えたラップ曲。全員US外でのヒットはこれまで少なかったですが、この曲はUK1位、ドイツ2位などUS外でも大ヒットでした。

 

・Drake feat. Lil Durk – Laugh Now Cry Later (🗻2 /29)

 自身がトップ3を独占した週に外れる。ピークが高く、上位にいた期間も長いものの、トータルの滞在週数があまり長くないのはDrakeっぽいチャートアクションです。

 

・Justin Bieber & benny blanco - Lonely (🗻12 /20)

・Justin Bieber feat. Chance the Rapper - Holy (🗻3 /25)

 4月の1週目にアルバムのリリースがチャートに反映されるJustin Bieber。しかしその前に先行シングルが2つチャートから外れてしまいました。近年のヒットシングルは滞在が長めなので、アルバム前に2つもシングルがリカレントしているのは、なんだか懐かしい感じがします。

 

Harry Styles - Golden (🗻57位 /20)

 20週滞在と、シングルとして一定の存在感は示したものの、ピークは57位で前2つのシングルほどにはならなかったです。

 

・Jack Harlow – Tyler Herro (🗻34 /20)

 ブレイク後の次シングル。下位の滞在が長かったものの、20週まで到達。さすがに前シングル”WHATS POPPIN”ほどのヒットを望むのは難しいので、20週まで到達するだけでも健闘だと思います。

 

 

8 短評

 

・SpotemGottem feat. Pooh Shiesty Or DaBaby – Beat Box

 アーティストに優しい表記をしている曲。リミックスが存在しても、原曲を上回ってメインにならない限り、ビルボードのクレジットに載らないのが定番。ほかリミックスがリリースされた週だけはクレジットされても、次の週にはすぐクレジットが外される、ストリーミング媒体ではリミックスが上でもラジオ等の関係かリミックスが認識されない、などリミックスで活躍した人の名義がイマイチ反映されていないことが多いです。

 しかしこの“Beat Box”では複数のリミックスが “Or”の表記で両方掲載される、というリミックスならびにアーティストに優しい表記になっています。

 この曲自体は一時期15位と、その多くのリミックスの恩恵を受けて好調です。

 

・Juice WRLD, Clever & Post Malone – Life’s A Mess II

 この曲は昨年のJuice WRLD & Halseyの“Life’s A Mess”のリミックスに相当する曲なのですが、新たに”II”と銘打ってリリースしたことからか、別の曲としてチャート入りしました。リミックスに関する名義は時と場合によってさまざまな扱いが見られます。

 

・Pop Smoke feat. A Boogie Wit da Hoodie – Hello

 Pop Smokeの新たなシングルカット。ストリーミングでもある程度調子をキープしているところに、ラジオ再生が加わりHot 100入り。

 彼は昨年のアルバム曲のうち、オリジナル版に入っていた曲は全てリリース週にHot 100入りしたのですが、デラックス版の曲は当時入らず(Juice WRLDのアルバムとバッティングしたため) この“Hello”はデラックス版の曲で、シングルカットのタイミングで初めてHot 100に入りました。

 

Tiesto – The Business

 イギリスとドイツで3位など、ヨーロッパ圏でヒットしているダンス曲。この手の曲はUSにあまり縁が無い印象なので、現在の69位でも健闘の部類だと思います。

 

・CJ – Whoopty

 まだHot 100には残っていますが、下落のスピードがものすごく早い曲。20週くらいの滞在で外れそうです。ラジオ&ストリーミングを両立する曲としては珍しい下落だと感じます。

 

・Machine Gun Kelly & blackbear – my ex’s best friend

 滞在が20週を超えてからもラジオの粘りによって、Hot 100ピークを更新していた曲。そのポップパンク的な作風が認められ、Alternative系ラジオで1位を獲得しています。

 

・Shawn Mendes & Justin Bieber – Monster

 滞在は14週に終わる。最初の週は8位だったものの、長続きはせず。キャリア初期は30週を超えるようなロングヒットのシングルが多かったですが、直近の”Wonder”と”Monster”はいずれも20週未満の滞在に終わってしまいました。

 初めてHot 100首位の獲得に成功した”Señorita”が良くも悪くもキャリアの変換点になった印象です。

 

・Ed Sheeran – Afterglow

 彼が本来持っていたアコースティック系のサウンドを試みたシングルも、20週に満たない滞在でHot 100を後にしました。

 直近のアルバムでは“Sing”、”Shape of You”、“I Don’t Care”とアップテンポなシングルを先行曲として持ってくることが多いので、そのような傾向を踏まえると、この曲はアルバム宣伝用の曲ではなく、彼の作風を取り戻す等の、ヒット以外の意図のあった曲なのではないかと私は考えています。

 

Maroon 5 & Megan Thee Stallion – Beautiful Mistakes

 ストリーミングの反応がイマイチだったものの、ラジオに安定感があり、Hot 100中位デビュー。その後ラジオが順調なうえ、Spotifyでの数字が改善してきたため、2週目に順位を上げるという珍しいチャートアクションに。今後もまだ伸びそうです。

 

・Selena Gomez & Rauw Alejandro – Baila Conmigo

 自身のルーツも意識した、スペイン語EPという意欲的な試みも、アルバムチャート22位、Hot 100入りは1曲のみと、大きなインパクトは残せませんでした。

 

・Luke Combs – Forever After All

 ストリーミングでの人気もあり、リリース週に2位を記録していた曲。その後もPandoraで1位など、ストリーミングの数字で粘りチャートに残っていましたが、このタイミングでようやくラジオでシングルカット。21週目、かつ51位以下ながらもHot 100に残っているのは、そのラジオの伸びが理由です。

 

・Lil Durk – Hellcats & Trackhawks

 昨年2つアルバムをリリース。今年1月末にはそのデラックス版もリリースしているLil Durkですが、今月は自身のレーベルOnly the Familyの作品もリリース。多作です。

 

 

主なデータ

 

・外れた曲

 

3/6

11 Taylor Swift – Love Story (Taylor’s Version)  (⏰1週)

33 Lewis Capaldi – Before You Go (🗻9位 /⏰52)

77 The Kid LAROI – SO DONE (🗻59位 /⏰15週)

83 Kenny Chesney – Happy Does (🗻47位 /⏰14週)

89 Chris Lane – Big, Big Plans (🗻42位 /⏰20週)

92 Karol G - BICHOTA (🗻72位 /⏰12週) ※

97 Saweetie feat. Jhené Aiko – Back To The Streets (🗻58位 /⏰13週)

98 Juice WRLD & Young Thug – Bad Boy (🗻22位 /⏰5週)

 

3/13

94 Ed Sheeran - Afterglow (🗻29位 /⏰10週)

98 Shawn Mendes & Justin Bieber - Monster (🗻8位 /⏰14位)

 

3/20

24 Gabby Barrett feat. Charlie Puth – I Hope (🗻3位 /⏰62)

35 AJR – Bang!  (🗻8位 /⏰35週)

38 Internet Money & Gunna feat. Don Toliver & NAV - Lemonade (🗻6位 /⏰29週)

41 Justin Bieber & benny blanco - Lonely (🗻12位 /⏰20週)

47 Drake feat. Lil Durk – Laugh Now Cry Later (🗻2位 /⏰29週)

89 Kelsea Ballerini – Hole In The Bottle (🗻39位 /⏰20週)

100 Karol G – BICHOTA (🗻72位 /⏰13週)

 

3/27

49 Justin Bieber feat. Chance the Rapper - Holy (🗻3位 /⏰25週)

65 Harry Styles - Golden (🗻57位 /⏰20週)

93 DDG – Moonwalking in Calabasas (🗻81位 /⏰11週)

94 Jack Harlow – Tyler Herro (🗻34位 /⏰20週)

95 Morgan Wallen – Somebody’s Problem (🗻25位 /⏰13週)

96 Morgan Wallen – Cover Me Up (🗻52位 /⏰10週)

 

 

・アルバムチャート キリ番

 

3/6

1周年:Lil Baby – My Turn (10位)

1周年:Bad Bunny – YHLQMDLG (31位)

1周年:A Boogie Wit da Hoodie – Artist 2.0 (184位)

1周年:Jason Aldean – 9 (193位)

100週目:Billie Eilish – WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? (28位)

250週目:Drake – Views (108位)

 

3/13

1周年:Lil Uzi Vert – Eternal Atake (32位)

1周年:Jhené Aiko – Chilombo (55位)

100週目:Khalid – Free Spirit (117位)

200週目:Hozier – Hozier (144位)

 

3/20

150週目:Post Malone – beerbongs & Bentleys (41位)

200週目:Drake – More Life (120位)

400週目:Tom Petty And The Heartbreakers – Greatest Hits (83位)

 

3/27

1周年:The Weeknd – After Hours (4位)

100週目:Lizzo – Cuz I Love You (115位)

350週目:The Rolling Stones – Hot Rocks 1964-1971 (168位)

 

 

各指標の1位

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 それぞれで人気曲が異なります。

 

 

Rolling Stone Chartsのトップ10

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 こちらでは"Back in Blood"と"telepatía"がトップ10に入っています。

 

Spotifyチャートのトップ10

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◇各週の動向メモ◇

 

3/6

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3/13

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3/20

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3/27

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・リンク / 参照

 

・Hot 100:The Hot 100 Chart | Billboard

Billboard 200:Billboard 200 Chart | Billboard

・ChartBeatの記事:Chart Beat | Billboard

・Kworb(ラジオ等):https://kworb.net/

Spotify Charts:Spotify Charts

Apple Music Top 100 (US):Top 100: USA on Apple Music

YouTube楽曲ランキング(US):YouTube music charts

・Tokboard:Tokboard - Top TikTok Songs This Week

Spotify - Today's Top Hits:Today's Top Hits | Spotify Playlist

 

 

(過去の月へのリンク)

2月号:Billboard(US) 動向 2月号 【シングル/アルバム1位が不動の月】 - チャート・マニア・ラボ

1 シングル/アルバム1位が不動
2 ハーフタイムショー
3 その他のトップ10
4 Hot 100に初登場 or 2~3曲目のアーティスト
5 正統派 Hip-Hop / R&B

 

1月号:Billboard 動向・1月号(2021) 【予想外の1位独走など】 - チャート・マニア・ラボ

1 予想を超える1位:"drivers license"
2 期待通りの1位:Morgan Wallen
3 期待ほどではない(?)1位
4 超圧倒的だったクリスマス曲、去る
5 クリスマス後の特別復活ルール
6 その他のトップ10 + 今後

 

 

 

Billboard(US) 動向 2月号 【シングル/アルバム1位が不動の月】

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 こんばんは。2月のHot 100 / Billboard 200の動向を観察していきます。イベントの多い先月とは違い、シングル/アルバム1位に変化がないなど、動きの少ない月でした。

 

目次:

 

 

1 シングル/アルバム1位が不動

 

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 共に1位が変わらず、”drivers license”とMorgan Wallenが独占。月を通して、シングル1位が変わらないのは昨年の7月以来(”ROCKSTAR”)、アルバム1位が変わらないのは昨年4月以来(The Weeknd)です。レア度が高いのはアルバムの方で、その一つ前の事例は2016年6月のDrake - ”Views”まで遡ります。シングル/アルバムの両方が月を通して変わらないのもその時以来です。

 “drivers license”はストリーミングが徐々に減少するものの、ラジオの急上昇でそれをカバー。トータルでは少しずつポイントを落としているものの、1位をキープするには十分な成績を維持しています。”34+35”や”Up”、”Blinding Lights”など複数の曲が1位に迫りましたが、そのチャレンジにことごとく勝ってきました。

 ビルボードでは先週比ポイントが上昇した曲にはAwardsの欄に”Gain in Performance”という表記がされます。(◎か☆が付いている曲です) 逆に無ければポイントはマイナスということなのですが、何かしらのジャンルで伸び幅が最大の場合は、ポイントに関わらずGain in Performanceと表記されます。”drivers license”はここ数週続けて「ラジオの伸び幅最大」を記録しているため、ずっとGain in Performanceという扱いになっています。ただしストリーミング等の数字を見ると、ポイント自体は若干減少していると推測されます。

 

 そしてアルバム1位のMorgan Wallen。Nワードを発したことにより、ラジオやプレイリストでのサポートが終了。リスナーからも「キャンセル」されてしまう可能性がありましたが、この1件の直後はむしろ売上がアップしました。

 この1件の動きが大きく反映された2/13付のチャートでは総合売上が14%アップ(14.9万枚)。ストリーミングは3%のみの上昇ですが、セールスは102%、シングルDLは67%と著しく上昇。ファンが彼をサポートするために行動したことが伺えます。

 続く2/20付けチャートでは、セールスがさらに向上し、売上も微増の15万枚まで到達しました。この2週に関して、「伸びた理由」を説明するとセールスになりますが、この2週でも引き続き総合売上の2/3以上はストリーミングが占めているので、「売れている要因」はストリーミングということになります。

 ちなみにこの週は前アルバムの”If I Know Me”も10位に浮上。それまでのピークを更新し、滞在124週目にして初のトップ10入りを果たしました。

 2/27になるとアルバムのセールスが落ち着き、売上は まで減少。初めて10万を割りました。しかし競合となるようなアルバムが存在しないため、1位はキープしています。(3月もしばらくそうかも)

 

 

2 ハーフタイムショー

 

 今年のハーフタイムショーは一定のチャート効果を発揮。2/20付のHot 100では”Save Your Tears”は8位→4位に、”Blinding Lights”は3位キープですが著しい上昇を見せました。その他ベスト盤の”The Highlights”がアルバムチャート2位に登場。

 ベスト盤とオリジナル作品の曲は一部重複していますが、そのような場合は実セールスが高い方にストリーミング(とシングルDL)がカウントされます。この週最も売上が高かったThe Weekndの作品は”The Highlights”なので、該当シングルはすべてこちらに集計。稼ぎ頭のシングルをある意味「奪われた」”After Hours”は?位から37位に順位を落としています。次の週にはセールスが”After Hours” > “The Highlights”となり、元のような順位に戻っています。

 ちなみに昨年のハーフタイムショーはYouTubeでの再生数が過去最大を記録するなど、かなり評判が良かったですが、チャート効果でいうと存在感希薄でした。Hot 100への関連曲の登場はゼロ。アルバムチャートでも関連作品が50位以内にも入っていませんでした。ShakiraJennifer Lopezの現行ヒットが少なかったことが理由に挙げられそうです。(このことからチャート効果と評判/注目度がイコールではないことが伺えます)

 

 

3 その他のトップ10

 

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 ・Dua Lipa feat. DaBaby - Levitating

 ラジオとストリーミングを両立したヒットで、かつての“New Rules”=6位を上回り、5位まで到達。ピーク順位で見るとキャリア2番目のヒットに。さらなる浮上なるか?と思いましたが、月末あたりからラジオがマイナスに転じ始めたので、これ以上の上昇は難しいでしょう。

 

・Ariana Grande - 34+35

 先月のリミックスに引き続き、ビデオ効果で再び2位に浮上。どこかで1位を取る算段だったのかもしれませんが、”drivers license”の壁は高かったです。ちなみにリミックスをリリースした週以外は、オリジナルの方がメインと見なされ、リミックス勢(Doja CatとMegan Thee Stallion)はクレジットされず。とはいえ個々のChart Historyにはクレジットは残ります。

 

・CJ - Whoopty

 ストリーミングで芽が出たドリル曲。ラジオも素早く追随し、見事トップ10に。1週でトップ10を後にしましたが、現在もラジオがまだ伸びているのでトップ10復帰の芽もあります。

 この曲のヒットによって、昨年のPop Smokeでも見られたドリル・ムーブメントがさらに強化されたような印象です。TikTokではこの曲に絡めたUS Drill vs. 他の国のDrillの比較動画が登場し、各種ドリルリミックス(”Just Dance”や”Smells Like Teen Spirit”)なども流通しました。(ただ不安定なプラットフォームの宿命なのか、何個か動画が消えているような気もします)

個人的なお気に入り: https://vt.tiktok.com/ZSJRQePFC/

 

TikTokはそれぞれに合わせたFor Your Pageの機能が充実しており、そこがメインで使われているようです。しかし「それぞれに合わせた」ものなので、自分のFYPに出てくるコンテンツが全国区ではない可能性もあります。個人的にはこのDrill Songs比較シリーズ、めちゃくちゃ見かけた印象なのですが、どこまでの規模なのか全体像を把握することは難しいです。ただDrill Remixの2曲に関してはある程度の規模をTokboard等で確認しています)

 

・Cardi B - UP

 Cardi B新曲。“WAP”の再現を狙いましたが、2位スタートに。ストリーミング、セールス共に”WAP”の半分以下でした。(もちろん”WAP“が比較対象としては異例なのですが)

 セールスはこの週で最多の3.7万。うち0.3万はCDから計上されています。

 ストリーミングは3120万。ビルボードのStreaming Songsでは首位を獲得しましたが、Spotifyでは週間5位、YouTube週間2位、Apple Musicでも週の半分くらいは2位(残り半分は1位)になるなど、必ずしも覇権を握っていたわけではないです。

 初週1位を逃したとはいえ、このような初週ブーストを狙うタイプの曲としては2週目以降の下降が最小限なのは朗報です。2週目も5位をキープし、各指標で上位に残っています。

 

・Pop Smoke - What You Know Bout Love

 TikTok→ストリーミング→ラジオの順で人気に。そのラジオが伸びてきて、23週目にしてトップ10入り。ストリーミング→ラジオへと人気がスライドする曲は、ピークが分かれてしまう故にあまり順位が伸びないことも多いですが、この曲はトップ10に届きました。

 

・Lil Tjay feat. 6LACK - Calling My Phone

 リリースと共に、ストリーミングで予想外の注目を集め、見事上位デビュー。両者にとって初のトップ10となりました。6LACKはトップ40も初。一方Lil TjayはPolo Gとの“Pop Out”で11位まで到達した経験があります。

 このような2人が予想外の大ヒットを遂げた要因としてビルボードが指摘するのは、TikTokにあったスニペット。(=曲の一部の切り取り)正式リリース前にこれが流通したことにより、リスナーに浸透して期待度が高まっていたということです。これはMorgan Wallenの”7 Summers”でも指摘されていたことです。

 この2曲はいずれもTikTok内で覇権クラスのヒットというわけではないのですが、リスナーにうまく届けば規模はあまり関係ないのかもしれません。先述のようにTikTokはおすすめ機能(For Your Page)に力が注がれており、規模が大きくない動画でもFYPに一定数現れます。

 ちなみにビルボードは6LACKを客演表記にしていますが、多くの他媒体ではLil Tjay & 6LACKの表記になっています。

 

・Billie Eilish - Therefore I Am

 今月トップ10には入っていませんが、そのうち復帰しそう(リリース週は2位だった)な曲です。初週のようなストリーミングはもう無いですが、代わりにラジオで浮上中。オルタナティブ系ラジオでは自身4曲目の1位を達成しています。

 

 

4 Hot 100に初登場 or 2~3曲目のアーティスト

 

・Giveon

 今月面白い登場の仕方をしたシンガー。2/3曲目のHot 100入りを果たしました。昨年Drakeのミックステープに収録された“Chicago Freestyle”で初のHot 100入りを達成。この作品には多くの豪華ゲストが参加していましたが、それらの曲を上回り、アルバム曲の中では最大のヒットになっていました。(12週滞在、シングルの”Toosie Slide”に次ぐ成績)

 そのDrakeのミックステープよりも前に、彼はEPをリリースしていたのですが、そこに収録されているシングルが今になって注目されはじめました。2/27付のHot 100で、ストリーミングヒットの“HEARTBREAK ANNIVERSARY”、そしてラジオシングルの”LIKE I WANT YOU“が同時に登場しました。

 ちなみに前者は”Anniversary”の名をなぞるかのように、リリースからほぼ1周年のタイミングでHot 100入りを果たしています。後者はアダルトR&Bという系統での人気に加え、“Anniversary”人気に引っ張られたストリーミングの浮上も生きてのHot 100入りだと思われます。

 このような過去曲の急な浮上は、おそらくTikTokの影響もあるとは思うのですが、彼に対しては以前からプレイリストのサポートも充実していました。

 SpotifyではGlobal / USランキングに入る前から最大手プレイリストToday’s Top Hitsに。このリストに入って以降、大きな躍進を果たしました。Apple Musicでは、この曲がプレイリスト入りしたのはヒットしてからでしたが、12月末に彼のクリスマス曲がToday’s Hits(US版)に入るということがありました。特別クリスマス曲の中でも目立つセールスだったわけではないので、彼に期待してのプレイリスト入りだったと思われます。

 ちなみにAppleiTunesではGIVĒONという表記で、SpotifyではGiveonです。ビルボードは技術的な問題なのか、発音記号を表記しないので、Giveonです。

 

・Brent Faiyz & DJ Dahi feat. Tyler, the Creator - Gravity

 Brent FaiyazはGoldlinkの客演を務めた“Crew”以来2曲目のHot 100。DJ Dahiは自身の名義では初のHot 100に。(名前が表に出ない裏方としては数曲のHot 100入り歴があります) Tylerは13曲目のHot 100。

 この曲はTikTokでも注目されていますが、曲のヒットよりも少し後に注目されたような気もするので、因果関係は不明。1週でチャートから外れてしまいましたが、今後TikTokで勢力を伸ばせば、再登場の可能性もあるかも?

 

・Masked Wolf - Astronaut In The Ocean

 オーストラリア出身ラッパーの曲がグローバルヒットに。おそらくTikTokから恩恵を受けてのヒット。現在世界的に急浮上中で、今後の順位上昇が大いに期待されます。

 どちらかというとポップラップという曲調で、オンエアされるラジオはおそらくポップやリズミック系で、RMSビルボードでのMainstream R&B/Hip-Hop Airplay)ではかからないタイプの曲だと思います。

 

・Coi Leray – No More Parties

 フィメールラッパーが初のHot 100入り。主にApple MusicやYouTubeで人気の曲。オリジナルだけではなく、Lil Durkリミックスも注目を集めており、今後飛躍するかも。ただしSpotifyでは両バージョンとも圏外です。(この曲はTikTokでヒットしたのような記述もありますが、仮にそうだったとしても、TikTokの影響がより出やすいSpotifyでは圏外のため、一般的にイメージされるようなTikTokヒットとは少し違うかと思います)

 ちなみに日本のApple Musicでカタカナ表記だったため、自分が知らないだけで有名な人なのかな?と思ったのですが、英語版のWikipediaもまだ無かったです。Trippie Reddの元カノらしいです。

 

・Morray - Quicksand

 彼は初のHot 100入り。どちらかというとラジオヒットタイプの曲。

 

・YBN Nahmir feat. 21 Savage - Opp Stoppa

 YBN Nahmirは2017年の”Rubbin Off The Paint”、2018年の”1942”(メインはG-Eazy)以来、3曲目のHot 100入りです。TikTokでも注目されていたので、その影響もあるのかもしれません。

 

・Tom McDonald - Fake Woke

 Tom McDonaldは初のHot 100入り。DLがその週の1位。しかし他の媒体ではYouTubeくらいでしか注目されなかったので、DLが1位でもHot 100では96位という結果に。

 

 このように今月はTikTok系のヒットが多く見られました。来月最大の注目株はKali Uchisの“telepatía”。Doja Catの”Streets”のような勢いでストリーミングを浮上中。

 

 

5 正統派 Hip-Hop / R&B

 

 ラップと一口に言っても、その中で受容のされ方に多少の違いが見られます。今回紹介するのは他のジャンルからの影響が薄いラップ、またはR&B曲についてです。このようなタイプの曲はApple MusicやYouTubeで人気を得るものの、Spotifyでの影が薄い傾向にあります。ほかラジオではRMS(=Mainstream R&B/Hip-Hop)系統で主にかかり、次いでリズミック、ポップにはほぼかかりません。

 このような曲はクロスオーバー的な人気を得る見込みは薄いですが、熱心なラップリスナーに支えられており、根強い人気があります。またアルバム人気の高いApple Musicでの人気が高いことにより、アルバムリリース時にはHot 100大量登場することが多いです。(アルバム志向の強いリスナーがApple Musicに集まっているのか、それともApple Musicがシステム的にアルバム志向なのか、どっちが先かは分かりません。ただ、Apple MusicはSpotifyと比べてリコメンドが控えめなので、システム的にアルバム志向になりやすいというのは納得できます)

 

・BRS Kash - Throat Baby

 AppleYouTubeRMS系ラジオで人気。DaBabyとCity Girlsのリミックスという強力な援護もあり、トップ40入り。一方Spotifyでは100位に入らず。典型的なこのジャンルのヒットになっている印象です。

 

・Pooh Shiesty feat. Lil Durk - Back in Blood

 AppleYouTube中心に頭角を表す。今月は新ミックステープをリリースし、Apple Musicでは大人気。アルバムチャートでは4位に入り、3曲がHot 100入りを果たしました。その週にシングルの“Back In Blood”は17位まで到達しています。(次の週は16位とさらに浮上)

 Spotifyではアルバム単位の人気を得ることはなかったのですが、“Back In Blood”単体では人気を得ました。直近のデータだとトップ10まで到達しています。

 

・Lil Durk

 昨年末にリリースした“The Voice”のデラックス版を今月リリース。オリジナルと同様にApple Musicで人気を集めました。このデラックス版リリースの週では、オリジナル版リリースの週の売上を上回ることに成功しています。

 

・Moneybagg Yo - Time Today

 Apple Musicで人気。どの媒体でもそこまで派手な順位ではなかったので、Hot 100登場順位が高め(37位)で少し意外でした。

 

・Megan Thee Stallion – Body / Cry Baby

 元来はこのジャンルのラッパーだったMegan Thee Stallionですが、既にこの枠を超えた大スターに。2019年の”Hot Girl Summer”あたりからポップへのクロスオーバーを意識しはじめ、現在では3曲がポップ系ラジオチャート入りを果たしています。(”Savage”, ”Hot Girl Summer”, ”Body”)

 直近のシングルだった。“Body”はリズミックとRMSで1位に。ポップ系でも20位に入りました。月末からシングルが“Cry Baby”に切り替わり、”Body”は大きくラジオを落としています。

 

 

6 短評

 

・Sabrina Carpenter – Skin

 “drivers license”へのアンサーとされる曲。その効果もあり、46位でHot 100入り。Sabrina CarpenterはこれまでBubbling Under止まりの曲が2つあって、Hot 100に到達したことが無かったので、念願のHot 100入りと言えるでしょう。

 しかし本格的にはヒットせず、3週でHot 100を後にしています。ラジオのオンエアも多少はあるので、まだ復活の可能性もありますが。

 

・Cardi B feat. Megan Thee Stallion – WAP

 ピーク1位、しかし滞在は23週と短めの期間で外れました。ミームも含めた特大ヒットからの短めの滞在というチャートアクションは、Drakeの“In My Feelings”に通じるものを感じます。

 リリース初週における記録を更新するなど、ストリーミングでは特大ヒットでしたが、ラジオが週間最高19位止まりだったことが滞在の短い理由でしょうか。上記のMegan Thee Stallionの項目にあるように、ポップ系ラジオチャートにはエントリーしていません。歌詞の内容的には致し方ないのでしょうか?その歌詞がヒットの要因でもあるので、この曲のラジオの少なさとストリーミングでのヒットはトレードオフ関係なのかもしれません。

 

・Jawsh 685 & Jason Derulo - Savage Love (Laxed – Siren Beat)

 ピーク1位、滞在31週の成績で外れました。TikTokで名を馳せたJason Deruloが同サービス内で人気のインスト曲にボーカルを乗せ、ヒットに。さらに上位に入った所でBTSリミックスを追加し、セールス効果で1位を獲得するという、現代音楽マーケティングの教科書のような1曲でした。

 この曲は本来無いはずの31週目の滞在がありました。2/6付の週、51位ながらもビルボードのミスによってチャートに残っていましたが、2/13に正式に外れました。元来は50位以上だったところ、ポイントの修正が入り51位に落ちたものの、反映が間に合わずに残留のようなことだと思われます。

 2013年の8/31付けHot 100で、51位/29週目の”I Love It”が残留していたのも同様の理由かと思われます。

 

・Ava Max - My Head & My Heart / Kings & Queens

 Ava Maxの新シングル。過去の彼女のシングルでは、ヨーロッパのヒットから遅れてUSラジオのオンエアが始まる、のようなパターンでしたが、今回のシングルではタイムラグなくUSラジオでのオンエアが始まりました。2連続ラジオヒットで信頼を掴んだということでしょうか。

 この新曲が伸びた代わりに、前のシングル“Kings & Queens”のラジオが落ち、Hot 100から外れました。ピーク13位、滞在27週でした。

 

・Lil Nas X - HOLIDAY / Blanco Brown

 “HOLIDAY”がピーク37位、滞在12週で外れました。クリスマス曲と被ってしまったこと、また2020年初頭に大きく削減された公式ビデオ以外でのYouTubeポイントで数字を稼いでいた可能性の2つを考慮すると、時期が違えばもう少し良い成績を期待できるポテンシャルのある曲だと考えています。

 ちなみに彼の影響を受け、カントリー&ラップのスタイルでヒットを飛ばしたBlanco BrownはLil Nas Xとは違ってカントリー系ラジオに定着。Parmaleeとの”Just The Way”が今月トップ40入りを果たしています。

 

・Jack Harlow - WHATS POPPIN

 ピーク2位、滞在51週の特大ヒットでチャートを去りました。原曲→リミックスへの切り替えが非常にうまくいったことで、ロングヒットとなりました。(リミックス効果で2位まで到達したのは21週目) 51週の滞在はラップとしてかなり長い部類です。

 

・Taylor Swift – Love Story (Taylor’s Version)

 過去ヒットの再録音源ながらも、DL&ストリーミングで人気を集めて11位に登場。彼女のアーティストとしての注目度の高さが垣間見えました。元曲は既にリカレントで外れた曲ですが、再録音源は別物として滞在1週目からカウントされています。

 ちなみに“Love Story”は昨年Discolinesという非公式リミックスがTikTok内で大流行していました。この効果で、少しだけSpotifyランキング下位に登場していました。そのヒットがこの曲の人気に影響を及ぼしているかは不明ですが。

 

・Dua Lipa - We’re Good

 2/27に49位に登場。Future Nostalgiaのデラックス版からの新曲。リリースと共にラジオで多くオンエアされており、”Don’t Start Now”、”Break My Heart”、”Levitating”に次ぐ4連続のラジオヒットを目指します。

 

・DaBaby feat. Roddy Ricch - ROCKSTAR

 ピーク1位、滞在42週の成績で外れる。DaBabyの初の1位で、ポップ系やUS外などの従来にないフィールドでも注目を集めることに成功しました。例えばUKでは、それまで彼自身の曲ではトップ40も無かったですが、この曲で一気に1位獲得を果たしました。

 USでは2019年にブレイクしたDaBabyですが、その他の地域ではこの曲の存在により2020年にブレイクしたと言えそうです。彼もタイプ的には正統派ラッパー寄りで、曲によっては人気がAppleYouTubeに偏っていることもあります。

 

・Ritt Momney - Put Your Records On

 Corinne Bailey Raeのカバー。元々TikTokで人気を集め、ストリーミングで人気になっていた曲。Spotifyでのピークは10月~11月でしたが、ラジオでは今がまさに旬。Hot 100でもトップ40入りをこのタイミングで果たしています。

 

・Miley Cyrus feat. Dua Lipa - Prisoner

 ピーク54位、滞在12週の成績でチャートを後に。先月の“Midnight Sky”で久々(2014年初頭以来)に滞在20以上の「完走」を達成しましたが、この曲は滞在12週に終わりました。ラジオのサポートが終わってしまったことが下落の要因です。ピークが思いっきりクリスマスと重なってしまったため、そうでなければピークはトップ40に入っていたと思います。

 

・SZA feat. Ty Dolla $ign - Hit Different

 ピーク29位、滞在20週で外れる。リリース直後以外は、長く下位にいた曲ですが、ラジオでの粘りもあり滞在20週の「完走」を果たしています。この曲の存在があってなのか、ストリーミングでの人気シングル“Good Days”のラジオオンエアがやや遅れました。

 

 

 データ等

 

主に外れた曲

 

2/6

38 Dan + Shay – I Should Probably Go To Bed  (🗻28位 /⏰24週)

50 Cardi B feat. Megan Thee Stallion - WAP (🗻1 /⏰24週)

56 Russell Dickerson – Love You Like I Used To (🗻31位 /⏰20週)

 

2/13

51 Jawsh 685 & Jason Derulo – Savage Love (Laxed – Siren Beat)  (🗻1 /⏰31週)

83 SZA feat. Ty Dolla $ign – Hit Different (🗻29位 /⏰20週)

93 Lady A – Champagne Night (🗻33位 /⏰14週)

94 Future & Lil Uzi Vert – Drankin N Smokin (🗻31位 /⏰4週) ※

98 YoungBoy Never Broke Again – Kacey Talk (🗻50位 /⏰16週)

※のちに再登場

 

2/20

35 Morgan Wallen – 7 Summers (🗻6位 /⏰24週)

38 Morgan Wallen – More Than My Hometown (🗻15位 /⏰32週)

49 Jack Harlow feat. DaBaby, Tory Lanez & Lil Wayne – WHATS POPPIN (🗻2位 /⏰51)

59 Sam Smith - Diamonds (🗻39位 /⏰20週)

80 Lil Nas X - HOLIDAY (🗻37位 /⏰12週)

100 21 Savage & Metro Boomin feat. Drake – Mr. Right Now (🗻10位 /⏰18週)

 

2/27

48 Ava Max – Kings & Queens (🗻13位 /⏰27週)

49 DaBaby feat. Roddy Ricch - ROCKSTAR (🗻1 /⏰42)

98 Miley Cyrus feat. Dua Lipa – Prisoner (🗻54位 /⏰12週)

 

 

アルバムキリ番

 

2/6

1周年:Mac Miller – Circles (97位)

150週目:XXXTENTACION - ? (54位)

150週目:Foo Fighters – Greatest Hits (132位)

 

2/13

1周年:Pop Smoke – Meet The Woo, V.2 (83位)

100週目:Juice WRLD – Death Race For Love (29位)

500週目:Adele – 21 (173位)

 

2/20

200週目:Kendrick Lamar – DAMN. (69位)

400週目:The BeatlesAbbey Road (116位)

450週目:AC/DC – Back In Black (76位)

 

2/27

1周年:BTS – MAP OF THE SOUL:7 (108位)

150週目:Cardi B – Invasion Of Privacy (100位)

 

 

各指標の1位

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 "drivers license"一色とまではいかず

 

・Rolling Stone Chartsのトップ10

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 ラジオが減少したぶん、Hot 100では一部の曲が順位を落としたMorgan Wallenの曲ですが、ラジオの影響が無いこちらでは上位に。

 

今月のSpotify(US)トップ10

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※日付はHot 100準拠。新コーナーです。

 

 

◇各週の動向まとめ◇

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・リンク

・Hot 100:The Hot 100 Chart | Billboard

Billboard 200:Billboard 200 Chart | Billboard

・ChartBeatの記事:Chart Beat | Billboard *1

・Kworb(ラジオ等):https://kworb.net/

Spotify Charts:Spotify Charts

・Tokboard:Tokboard - Top TikTok Songs This Week *2

 

 

1月号:Billboard 動向・1月号(2021) 【予想外の1位独走など】 - チャート・マニア・ラボ

1 予想を超える1位:"drivers license"
2 期待通りの1位:Morgan Wallen
3 期待ほどではない(?)1位
4 超圧倒的だったクリスマス曲、去る
5 クリスマス後の特別復活ルール
6 その他のトップ10 + 今後
7 短評

 

 

*1:従来なら当月くらいは遡って記事閲覧できたのですが、Paywallが激しくなって直近の週しか見られなくなりました。このペースで行くと直近の週も見られなくなりそうで、恐怖です。

*2:更新再開!