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Billboard Year-End 2023記事 ②アルバム/Global 200編

 

 こんばんは。年間チャートまとめ記事をゆっくりと書き進めています。今年の記事は3回に分けての更新になっています。今回は②Global 200/アルバム編です。

 Year-End各種データは、以下のリンクから確認できます。今年の集計期間は2022年11/19付~2023年10/21付チャートまでです。(2022年11/4~2023年10/12の動向が対象)

https://www.billboard.com/charts/year-end/

Billboard 200 Albums – Billboard

Billboard Global 200 – Billboard

 

①Hot 100編、補足記事は既に書いているので、宜しければそちらもお願いします。

 

 

 

 

1 アルバムチャート

 

 USのアルバムチャート、Billboard 200の年間チャートを見ていきます。まずはそのトップ10から。

 

1 Morgan Wallen – One Thing At A Time

2 Taylor Swift – Midnights

3 SZA – SOS

4 Drake & 21 Savage – Her Loss

5 Morgan Wallen – Dangerous: The Double Album

6 Metro Boomin – Heroes & Villains

7 Bad Bunny – Un Verano Sin Ti

8 Zach Bryan – American Heartbreak

9 Taylor Swift – Lover

10 Travis Scott – UTOPIA

 

 まずはアルバム年間チャートで見られる基礎的な特性の説明から。Hot 100の年間チャート同様に、アルバムチャートもいかに積み上げられるかが重要です。言い換えると、いかにストリーミング人気が長く続くかがポイントになってきます。またHot 100とは違いリカレントルールが無く、粘りが効きやすいという側面もあります。

 ただ一方で、Hot 100よりも短期間での一発逆転の可能性があります。Hot 100の1位と2位の差は、2倍以上開くことすらレアですが、アルバムチャートだとそのくらいの差は普通です。大物アーティストの場合は10倍以上の差がつくこともあります。初週の注目度が飛び抜けて高く、そしてセールスで桁違いの数字を記録することが可能なのが理由です。

 

 そして今年のアルバムチャートに目を向けると、やはり継続性の高い作品の上位入りが目立ちました。昨年に続けてトップ10入りした作品が3つあり、また8つの作品が昨年までにリリースされていたものです。一方でTravis Scottの”UTOPIA”は集計期間後半のリリースながら、トップ10に食い込んでいます。

 

 今年個人で最も際立ったのはMorgan Wallen。年間1位を獲得し、2021年の”Dangerous”も年間5位に食い込んでいます。

 Morgan Wallenのチャート上の特性といえば、ロングヒットの鬼であること。”Dangerous”はアルバムチャートのトップ10滞在がニールセン以降(1991年~)では最長です。

 そのロングヒットの鬼が新作でも、継続性はそのまま規模をさらに伸ばし、合計16週で1位を獲得。やや遅めのリリースでも年間アルバムチャート1位を獲得しました。(集計期間の最初の1/3程度が経過した後のリリース)

 

 もう一人、ダブルを達成したのはTaylor Swift。直近の新作”Midnights”、そして2019年の”Lover”がエントリー。”Cruel Summer”のヒットも手伝い、トップ10に。

 数々の再録アルバムが人気を得ているように、Taylor Swiftは過去曲への注目度も高いです。そして多くの過去作が年間チャート上位に入っています。このアルバムも、“Cruel Summer”の「効果」で浮上したというよりは、ベーシックな過去作人気に、”Cruel Summer”のヒットのぶん「上乗せ」があるとの見方もできるかもしれません。

 

 以下、シングル人気の高いアルバムを中心に上位が占めています。初週から人気の作品が多いですが、Zach Bryanの”American Heartbreak”だけ登場順位が5位で粘りが際立つ作品です。この作品の粘りが、今年のアルバムのヒットに繋がりました。

 

補足メモ

・カントリー作品の年間1位は2021、カントリーが2つなのもその時以来

・カントリーは年間アルバム上位常連で、ストリーミングでラップが席巻していた時期以外は、だいたいトップ10にいます

・Morgan Wallen、Taylor Swiftと年間トップ10ダブル達成者が2人いますが、これはレアな記録。そもそもダブルが近年では、2019年や2018年Post Maloneくらい。そして複数者がダブル達成となると、Justin BieberとTaylor Swiftが達成した2010年まで遡ります。

 

・今年の年間チャートに、エントリー枚数が多いアーティスト

10 Taylor Swift

9 Drake

5 Post Malone

4 The Weeknd, Luke Combs, Rod Wave

3 Morgan Wallen, 21 Savage, Metro Boomin, Kendrick Lamar, Juice WRLD, Tyler, The Creator, Ed Sheeran, Lil Uzi Vert

 

 ストリーミングで強いアーティストが上位に入っています。特に上2人はさすがの強さ。

 最近は過去曲でもラジオで扱われる場合もあり、単なる過去作人気の指標ではなく、新ヒット曲予備軍のリストとして捉えることもできるかもしれません。例えばKendrick Lamarの”Money Trees”など?

 3枚エントリーと奮闘したTyler, The Creatorは今年“See You Again”がHot 100入りするなど、シングルでも活躍を見せていました。

 

(人気の過去作品)

※これ以降の順位は補足編に載っています(ここに全部載せると長すぎるので)

① 3年以上前

9 Taylor Swift – Lover
12 Taylor Swift – folklore
16 Taylor Swift – 1989
18 Elton John – Diamonds
21 Taylor Swift – reputation

 

② 10年以上前(ベスト盤は除く)

25 Fleetwood Mac – Rumours
30 Kendrick Lamar – good kid, m.A.A.d city
42 Drake – Take Care
48 Lana Del Rey – Born To Die
58 Kanye West – Graduation

 

③ 20年以上前(ベスト盤は除く)

25 Fleetwood Mac - Rumours
59 Michael Jackson - Thriller
125 Metallica - Metallica
126 Nirvana - Nevermind
139 50 Cent – Get Rich Or Die Tryin’

 

2 Global 200

 

 Global 200について。まずはこのチャートの特徴について述べます。

 

1:USだけではなく、全世界が対象 (チャート名の通り)

2:週間チャートも年間チャートも200位まである (チャート名の通り)

3:ラジオが集計されない (基本的にストリーミングが中心)

4:リカレントルールが無い (過去曲が強い)

 

 次に今年のトップ10に目を向けます。

1 Miley Cyrus – Flowers

2 Rema & Selena Gomez – Calm Down

3 SZA – Kill Bill

4 Taylor Swift – Anti-Hero

5 The Weeknd & Ariana Grande – Die For You

6 Harry Styles – As It Was

7 Sam Smith & Kim Petras – Unholy

8 David Guetta & Bebe Rexha – I’m Good (Blue)

9 Metro Boomin, The Weeknd & 21 Savage – Creepin’

10 Morgan Wallen – Last Night

 

 グローバルとはいえ、Hot 100と面子はかなり似ています。今年は7曲、昨年は6曲、一昨年は7曲がHot 100の年間トップ10と一致数は毎年多いです。USも集計に含まれるだけでなく、USでヒットするような曲は他の地域でも影響力があるということなのでしょう。

 順位も似たようなものが多いですが、Hot 100で首位だった”Last Night”はこちらで10位とやや控えめになります。Global Excl. USでは160位と、US外ではあまりヒットしていません。

 ほか、”As It Was”もHot 100の順位と少しギャップがありますが、これはリカレント無しの恩恵を受けたものです。(Hot 100は過去曲を制限するリカレントルールがあり、古い曲は一定期間で外れます。そしてチャートから外れると、いくらヒットしていても年間チャートの集計ポイントは0になります)

 

 個人に目を向けると、The Weekndは2曲が入り、通算年間トップ10入り数が歴代最多の5に到達。歴代といっても、2021年からですが。さらにThe Weekndは3年連続での年間トップ10入りも達成しています。Ariana Grandeも同様の記録を達成していますが、これらは全てThe Weekndとのコラボ曲によるものです。

 

※通算年間トップ10回数

5 The Weeknd

3 Ariana Grande,

2 Harry Styles, Ed Sheeran, Dua Lipa, Olivia Rodrigo, The Kid LAROI, Justin Bieber

1 Miley Cyrus, Rema, Selena Gomez, SZA, Taylor Swift, Sam Smith, Kim Petras, David Guetta, Bebe Rexha, Metro Boomin, 21 Savage, Morgan Wallen, Glass Animals, Elton John, Adele, GAYLE, Imagine Dragons, JID, BTS, Bad Bunny, Jhay Cortez, Lil Nas X, 24kGoldn, iann dior

(As It Was, Save Your Tears, Stayは2年連続での年間トップ10入り)

 

 

・今年の年間チャートに、エントリー曲数の多いアーティスト

10 Taylor Swift, Peso Pluma

9 Bad Bunny

6 The Weeknd, Karol G, Grupo Frontera

5 Ed Sheeran, NewJeans, Feid

4 Metro Boomin, Morgan Wallen, Drake, Imagine Dragons, Fuerza Regida,

3 SZA, Ariana Grande, Harry Styles, 21 Savage, Shakira, Bizarrap, Ice Spice, Dua Lipa, Post Malone, Coldplay, Future, Billie Eilish, Natanael Cano, Junior H,

 

 最多の一角はTaylor Swift。アルバムの章で過去曲の発掘が熱心と説明しましたが、リカレントルール=過去曲の制限が無いGlobal 200ではその熱心さがチャートに反映されます。”Midnights”、”folklore”、”Lover”、”Reputation”、”1989”と5種類のアルバムの曲が年間チャート入りを達成しています。

 彼女は後発ながら、Spotifyで(リード曲)の再生数が最多になるなど、現在のストリーミング王者と言える存在です。過去曲もそこに大きく寄与しているでしょう。

 

 もうひとりの最多はPeso Pluma。Taylorとは違い、現行曲のみでのエントリー。今年彼を中心に巻き起こった、Regional Mexicanブームの効果が大きいでしょう。彼以外にもGrupo Fronteraが6曲、Fuerza Regidaが4曲、Natanael CanoとJunior Hが3曲入りを達成。コラボ曲も多いので、多少被りもありますが。

 このジャンルはUSでの人気も高いですが、やはりラテン圏も集計に入ってくるとさらに強くなるのでしょう。また、ラテン曲はラジオが弱い傾向にあるので、Global 200ではラジオが集計されない点も追い風かもしれません。

 

 次点の9曲はBad Bunny。昨年(20曲)ほどではないですが、それでも勢力をキープしています。とはいえ、エントリーしている曲の多くが昨年のアルバムの曲ですが……

 

 その次は6曲。The WeekndはTaylorのように過去曲人気の高さが効いています。最新作”Dawn FM”からの曲は無いですが、2020年、2016年のアルバムから2曲ずつエントリー。今年リバイバルした“Die For You”(5位)の印象が強いですが、”Save Your Tears”が15位、”Blinding Lights”が29位、”Starboy”が36位と、他の曲も順位が高いです。

 

 同じく6曲のKarol G。派手にヒットしたのは“TQG”のみですが、細かいヒットを重ねて、下位を中心に多くのエントリーを記録しました。ラテン圏での人気が確かなのでしょう。

 

 これより下位で注目したアーティストは2組。まずは5曲をエントリーさせたNewJeans。何曲かが週間のHot 100入りは達成したとはいえ、どの曲も滞在期間は10週未満かつトップ40外と、本格ヒットとはなりませんでしたが、対象をグローバルに広げるとその人気度が分かります。ラテンの曲と同様に、ラジオが集計に無い点もプラスに働いているといえます。

 

 もう1組はColdplay。新曲を出していないものの、過去曲3つがエントリー。2000年の”Yellow”、2008年の”Viva La Vida”、2017年の”Something Just Like This”と年代もバラバラ。過去曲も等しく聞かれる現代において、この過去曲の強さもアーティスト力を測る重要な指標の1つかもしれません。

 

(人気の過去曲)

※これ以降の順位は、補足編に載っています

① 3年以上前の曲

5 The Weeknd & Ariana Grande – Die For You
15 The Weeknd & Ariana Grande – Save Your Tears
16 Tom Odell – Another Love
24 Chris Brown – Under The Influence
27 Taylor Swift – Cruel Summer

 

② 10年以上前の曲

16 Tom Odell – Another Love
33 Miguel – Sure Thing
45 The Neighbourhood – Sweater Weather
48 Eminem – Mockingbird
56 Arctic Monkeys – I Wanna Be Yours

 

③ 20年以上前の曲

70 Coldplay – Yellow
83 Eminem – Without Me
94 Tears For Fears – Everybody Wants To Rule The World
95 Mariah Carey – All I Want for Christmas Is You
109 a-ha – Take On Me

 

 最後に、日本語の曲について。今年は3曲がエントリーしました。Exclでも同様に3曲。ほか、英語歌詞ですが日本出身のJojiもランクインしています。

 

(これまでの日本語曲エントリー)

2023:アイドル(42位)、KICK BACK(149位)、Subtitle(195位)

2022:残響散歌(194位)

2021:夜に駆ける(55位)、モンスター(141位)、ドライフラワー(183位)

唯一の複数回エントリー達成者がYOASOBI。

 

おまけ:Spotifyを活用した「グローバル度」推測

※これらの曲は登場以降、Spotify日本チャートに全ての日入っているので、そこでの再生数を合計し、全世界の総再生数で割れば、国内と国外の比率が分かります。

ただし、日本では他のサービスも勢力がかなりあり、純粋な国内・国外比率とはかなり違う点に留意しておいてください。Spotifyだと日本の勢力がかなり弱いため、国内比率がかなり低く出ます。あくまで、この曲は海外で比較的強めなのかな?の参考材料程度です。

 

曲、国内再生、全体再生、国内比率

アイドル 100,841,568  250,239,697   40.3%

KICK BACK  85,807,955  299,149,344 28.7%

Subtitle  120,491,774  133,652,251 90.2%

(12/8まで)

 

 

3 US固有 vs Global固有?

 

 Hot 100とGlobal 200の年間チャートを見比べて、それぞれに固有なヒットを探していきます。

 まずはGlobal 200に入ってHot 100に入らなかった曲から。そのような曲を上位から抜き出すと以下のようになります。

 

14 OneRepublic – I Ain’t Worried
15 The Weeknd & Ariana Grande – Save Your Tears
16 Tom Odell – Another Love
19 Manuel Turizo – La Bachata
29 The Weeknd – Blinding Lights
30 Glass Animals – Heat Waves
32 Bad Bunny & Chencho Corleone – Me Porto Bonito
35 Dua Lipa – Levitating
36 The Weeknd feat. Daft Punk – Starboy
37 The Kid LAROI & Justin Bieber – Stay

 

 ほとんどがUSでヒット済の曲です。しかしHot 100の年間チャートに入らないのはリカレントルールがあるからです。このルールの存在の巨大な影響が浮き彫りとなります。チャート上位には入らずとも、長い期間安定している過去曲はこれほどに強いのです。

 Hot 100では安定している過去曲がリカレントで阻まれる一方で、特定の期間だけ急浮上するクリスマス曲はHot 100ならびに年間チャート入りが可能になっています。ただ、トータルで見ると一般的な過去曲>>クリスマス曲であることがGlobal 200の年間チャート順位からは分かります

 

 次に、リカレントルールの影響が薄い/無い曲だけを抜き出し、US/Globalの違いにフォーカスします。

 

16 Tom Odell – Another Love
19 Manuel Turizo – La Bachata*1
40 Bizarrap & Quevedo – Bzrp Music Sessions, Vol. 52
41 NewJeans – OMG
42 YOASOBI – アイドル
51 Libianca – People
52 NewJeans – Ditto
53 Yandel & Feid – Yandel 150
54 Ozuna feat. Feid – Hey Mor
56 Arctic Monkeys – I Wanna Be Yours

※これ以降の順位は、補足編に載っています

 

 ラテン、そしてNewJeansにYOASOBIとアジア圏の曲も浮上していきます。そしてここでもいくつか過去の曲が出てきます。”Another Love”や”I Wanna Be Yours”がこれに当てはまりますが、Hot 100入り歴が無くリカレントの影響は薄いと考えられます*2

 

 さらに、週間のHot 100入りすら果たしていない曲のみ抜き出すと以下のようになります。

16 Tom Odell – Another Lov
42 YOASOBI – アイドル
56 Arctic Monkeys – I Wanna Be Yours
98 Dave & Central Cee – Sprinter
114 Feid - Feliz Cumpleanos Ferxxo
135 Calvin Harris & Ellie Goulding – Miracle
136 Ruth B. – Dandelions
147 NewJeans – Hype Boy
149 米津玄師 – KICK BACK
152 IVE – I AM

 

 ここまで絞ると、数が減ってきます。過去曲パターン、地域差パターンの両方が見られます。UKで強かった“Sprinter”や“Miracle”がHot 100に入らず。

 

~~~~

 今度は逆に、Hot 100の年間チャートで入っていたのにGlobal 200年間に入っていなかったUS固有のヒットを探ります。

 

1 Morgan Wallen – Last Night
8 Luke Combs – Fast Car
12 Morgan Wallen – You Proof
13 Zach Bryan – Something in the Orange
16 Bailey Zimmerman – Rock and a Hard Place
19 Morgan Wallen – Thinkin’ Bout Me

……以外のカントリー曲全て=24曲

 

 USとUS外で人気が最も違うジャンル、カントリー。そのためここまで違いが出ます。一方で、ラジオが集計に無い点がネックになる、と以前指摘していた点はストリーミング人気の向上で克服しています。

 

69 Ice Spice & Nicki Minaj – Princess Diana
70 Glorilla & Cardi B – Tomorrow 2
79 Nicki Minaj – Super Freaky Girl
88 Kaliii – Area Codes
94 Young Nudy feat. 21 Savage – Peaches & Eggplants
97 Travis Scott feat. Drake – MELTDOWN
98 Latto feat. Cardi B – Put It on da Floor Again

 カントリーほど極端ではないですが、これもUS人気が際立つジャンル、ラップ。特にラップ系のラジオで人気を博した曲はこのパターンにハマりやすいかも。

 

75 Post Malone feat. Doja Cat – I Like You (A Happier Song)
77 SZA – Nobody Gets Me
 “I Like You”はラジオが無い影響か。“Nobody Gets Me”はラジオで特別人気だったわけでもないので、理由はハッキリとはしませんが、”Kill Bill”の影に隠れしまったのでしょうか?

 

80 Noah Kahan – Dial Drunk

 カントリーほどではないですが、オルタナティブ曲もUSとそれ以外で人気度に差があるようです。

 

71 Burl Ives – A Holly Jolly Christmas

 クリスマスの人気曲に微妙な違いが。逆にUS人気が相対的に低いのは“Last Christmas”ですかね。

 

 

*1:Hot 100でもリカレントに到達したものの、その影響よりも地域差の影響が大きいと判断

*2:Hot 100は過去曲を制限している場合もありますが、近年もHot 100入り歴の無い曲なら過去曲でも一般曲と同じようにエントリーさせる傾向がある

Billboard Year-End 2023記事 ①Hot 100編

 

 こんばんは。先日、ビルボードから各種年間チャートの発表がありました。これに合わせて、例年のように振り返りの記事を作成していきます。今回は文章を①Hot 100編、②アルバム、Global 200編、③マニア編の3つに分割して記事にしています。(全部一緒だと長過ぎる気がしたので)

 今回はその①、Hot 100編です。Year-End各種データは、以下のリンクから確認できます。今年の集計期間は2022年11/19付~2023年10/21付チャートまでです。(2022年11/4~2023年10/12の動向が対象)

https://www.billboard.com/charts/year-end/

https://www.billboard.com/charts/year-end/hot-100-songs/

 

 また、記事の補足のためにデータをいくつかまとめたため、そちらも参照してください。(記事が別なのは表サイズが大きいため)

 

 

 

 

1 今年の顔・Hot 100の年間トップ10を見る

 

 Year-Endチャートで最も際立つ、今年の顔とも言えるHot 100年間チャートのトップ10をまずは見ていきます。

 

1 Morgan Wallen – Last Night

2 Miley Cyrus – Flowers

3 SZA – Kill Bill

4 Taylor Swift – Anti-Hero

5 Metro Boomin, The Weeknd & 21 Savage – Creepin’

6 Rema & Selena Gomez – Calm Down

7 The Weeknd & Ariana Grande – Die For You

8 Luke Combs – Fast Car

9 SZA – Snooze

10 David Guetta feat. Bebe Rexha – I’m Good (Blue)

 

 まずは年間チャートにおける鉄則から説明していきます。年間チャートでは、いかに毎週のポイントを「積み上げる」かが重要になってくるので、毎年上位はいつもロングヒット曲が中心に並びます。もちろん今年もこの傾向は見られ、上記の曲の大半は昨年からHot 100入りしている曲ばかりです。そうでない曲(”Flowers”・“Last Night”・”Fast Car”)も集計期間の前半には登場しています。

 次に、今年の年間チャートに見られる特徴をいくつか説明していきます。まずはカントリーの強さです。

 1位の”Last Night”がその象徴です。年間チャート基準だとやや遅めの登場ながら、週間チャートでは歴代2位タイの16週1位など、絶大な強さを発揮。見事逆転での年間1位獲得に。年間2位の”Flowers”も登場時から年間1位有力のペースだったのですが、その強力なライバルを出し抜くことに成功しました。カントリー曲が年間1位を獲得するのは、2000年のFaith Hillの”Breathe”以来です。

 この曲に加え、8位には”Fast Car”もランクイン。カントリー曲がダブルで年間入りするのも、同じく2000年以来。(この年のもう一つのカントリー曲はLonestarの”Amazed”)

 ともに現在最も重要な指標であるストリーミングで強かったことが最大のヒットの要因です。かつてカントリーは一般的にストリーミングを苦手としているジャンルでしたが、現在では逆に強みになっており、環境の変化を感じます。

 

 そして、もう一つ特徴として挙げたいのは女性アーティストが多い点です。年間首位こそ譲りましたが、2位3位4位はMiley Cyrus、SZA、Taylor Swiftと並び、ポップ界では女性のヒットが強かった1年だったと思います。他にもSelena Gomez、Ariana Grande、SZA(2曲目)、Bebe Rexhaが入り、合計でのべ7人の女性アーティストが年間トップ10入り。これは2011年以来の多さです。*1

 ちなみにこの年はKaty Perry2曲(”Firework”と”ET”)、Adele(”Rolling in the Deep”)、Nicki Minaj(”Super Bass”)、客演でChristina Aguilera(”Moves Like Jagger”)、Lauren Bennett(”Party Rock Anthem”)、Nayer(”Give Me Everything”)が入っています。

 

 最後にアーティスト単位に目を向けていきます。The WeekndとSZAがダブルでのトップ10入りを達成。ともにベースはR&Bアーティストながら、ポップ方面でも高い人気を得て、曲がロングヒットとなり成功を収めたという共通点があります。昔から、時間差で複数系統ラジオ人気を得る(クロスオーバー)曲は、ロングヒットとなり年間チャートでは強いです。

 ちなみにThe Weekndが年間トップ10でダブルするのは2021年、2015年に次いで3回目です。

 

(今年トップ10入りアーティスト 通算年間トップ10回数)

7 The Weeknd※

4 Ariana Grande

3 SZA, Taylor Swift

2 21 Savage, Bebe Rexha

1 Morgan Wallen, Miley Cyrus, Metro Boomin, Selena Gomez, Luke Combs

※”Blinding Lights”が2回年間トップ10入りしているため、曲数だと6

 

 

~年間トップ10に関する、補足メモ~

・2年連続トップ10入りのアーティストがいないのは2015→2016以来

・その一つ前は2005→2006(別名義も含めるなら、2012→2013のFun.→Nate Ruess)

・Metro Boominが自身の名義では初のトップ10入り。プロデューサー(ボーカリスト or バンドではない)の年間トップ10は2019の”Happier”のMarshmello以来

・ラップのプロデューサーとしては2013年のRyan Lewis以来

・”Last Night”と”Fast Car”は演者がソングライトやプロデュースの製作に関与せず。演者全員が製作に関与していない年間トップ10は、2016年のJustin Bieberの”Love Yourself”以来(製作はEd Sheeranとbenny blanco)

・↑のような曲が2つあるのは2012年以来(The Wanted、One Direction)

・ダブルで年間トップ10に入るアーティストが複数いるのは2021(The WeekndとOlivia Rodrigo)、2018(DrakeとCardi B)など。そこそこ多い記録。

 

(おまけ)

・トップ10のストリーミング、ラジオ、DLの年間順位

S=ストリーミング、R=ラジオ、D=DL

  S R D
1 Last Night 1 9 6
2 Flowers 4 1 3
3 Kill Bill 2 6 52
4 Anti-Hero 5 3 1
5 Creepin' 16 2 68
6 Calm Down 11 4 9
7 Die for You 15 5 -
8 Fast Car 7 11 7
9 Snooze 8 13 -
10 I'm Good (Blue) 62 7 15

※ラジオの平均6.1は、ストリーミング導入以降で最も低い数字。つまりラジオとHot 100の上位が最も似ているということです。ただし、年間1位の”Last Night”はラジオの数字が控えめで、ストリーミング以降の年間1位でこれより低いのは“Old Town Road”くらいです。

 

・Global 200、Global Excl. USでの年間順位

    Glo Excl
1 Last  Night 10 160
2 Flowers 1 1
3 Kill Bill 3 7
4 Anti-Hero 4 8
5 Creepin' 9 15
6 Calm Down 2 2
7 Die for You 5 4
8 Fast Car 58 -
9 Snooze 31 119
10 I'm Good 8 5

 

 

2 N年連続エントリー

 

 Hot 100の年間チャートに複数年にわたり、入り続けているアーティストについてです。

 

15年連続 Drake

11年連続 Ariana Grande

7年連続 Kane Brown, Luke Combs

5年連続 Gunna

4年連続 Dua Lipa, Future, Doja Cat, The Weeknd, Lil Durk, Jason Aldean, Mariah Carey

3年連続 SZA, Taylor Swift, 21 Savage, Olivia Rodrigo, Bad Bunny, Lainey Wilson, Brenda Lee, Tyler Hubbard*, Ed Sheeran, Tems

*Florida Georgia Line名義含む

 

 最長はDrake。単純なヒット度の高さだけでなく、客演も含めたリリースの多さでこの記録のトップを毎年走り続けています。ヒット度が落ちるのが先か、リリースペースを落とすのが先か。記録が止まる時、焦点になるのはここでしょう。

 

 次点はAriana Grande。2020年を最後に、自身のメインシングルのリリースは無いのにも関わらず、粘りを発揮して連続記録は途絶えず。昨年は”Save Your Tears”、今年は”Die For You”と2年連続でThe Weekndのリミックスへの参加のみでランクイン。記録をつないでいます。

 リミックスを出した週、リミックス>オリジナルにならないとクレジットは掲載されないため、連続でクレジットが載っているのはそれだけAriana Grande人気が健在とも言えます。

 来年以降は新曲が出るのか、それとも記録が途切れるのか。もしくは再び他人の曲のリミックスに参戦して記録が続くことはあるのでしょうか?

 

 この2人に続くのはカントリー歌手の2人。Kane BrownとLuke Combs。カントリーはリリース間隔やラジオでのカット等、シングルの運用全般が上手い印象があります。そして一度上位に入れば、大きく順位を落とさない傾向も見られます。

 それゆえ、アーティスト自体に一定以上の人気があれば、大ヒットが出なくてもシングルを継続的にリリースさえすればカントリー歌手はこの記録が伸びていくかもしれません。ジャンル全体が近年Hot 100で好調なのも見逃せません。

 この2人以外にもJason Aldean、Tyler Hubbard、Lainey Wilsonが上記のリストに名を連ねています。

 

 次はGunna。関連のあるYoung ThugとLil Babyはこの記録が今年途切れましたが、彼はトップ10ヒットを出して記録を維持しました。ただ、最近客演等のコラボが減っており、これが来年以降の記録維持に影響を持つ可能性があります。

 

 それ以外で目立つのは、クリスマス曲だけで記録を伸ばすMariah CareyとBrenda Lee。そして北米以外拠点ながらも記録を伸ばすDua Lipa、Ed Sheeran、Bad Bunny、Temsでしょうか。特にTemsはアフロビーツのジャンル自体が伸びており、そこへの貢献度という点で注目かもしれません。

 

 最後に、昨年まで長くこの記録が続いていたものの、今年途切れたアーティストについてです。

8年連続 Justin Bieber
7年連続 Young Thug
5年連続 Lil Baby
4年連続 Lil Nas X, Megan Thee Stallion
3年連続 Jack Harlow, Maren Morris

 

 アルバム”Purpose”での華麗な復活以降、Hot 100年間チャートに入り続けていたJustin Bieberが今年脱落。彼は自身のリリースが今年無い一方で、ヒット曲(SZAの”Snooze”)のリミックスに参加したという点がAriana Grandeと共通。ただし違うのは、リミックスがオリジナルを上回らず、クレジットに載らなかったこと。記録が続く、続かないでも、こうして差が紙一重の場合もあるのです。

 そして先に述べたYoung ThugとLil Baby。2人ともアルバムからの勝負曲はあったのですが、あまり長持ちしなかったため、年間チャート入りはならず。ラップ曲は多くの場合リリース週の注目度の高さが持続せず、年間チャート入りにおいてはこの点がネックになりやすいですね。

 

 

3 エントリーの多いアーティスト

 

 Hot 100年間チャートに多くの曲を送り込んだアーティストについてです。

 

8 Morgan Wallen

5 Drake

4 Taylor Swift, Peso Pluma, SZA, 21 Savage

3 Luke Combs, Ice Spice, Nicki Minaj, Lainey Wilson, Post Malone

 

 この記録で強いのはアルバムで無双していたアーティスト。近年はアルバムが強いことが一番ヒット曲を生み出す要因かもしれません。同時に曲をヒットさせられる点が強いです。この手のヒットで、非シングルが年間チャート入りすることも。

 今年この枠で数を稼いだのはMorgan Wallen。アルバムの大ヒットで複数シングルが同時にチャート上位に集い、そこからも持続力があり多くの曲が年間チャート入り。このうち、”I Wrote The Book”、”Ain’t That Some”は非シングル(=ほぼストリーミングのみ)でした。

 これは昨年のBad Bunnyと似ています。彼もアルバムが大ヒットし、非シングル含む複数曲が多く年間チャート入りしていました。

 カントリーもラテンも、多くの曲がチャート登場後も順位を持続する傾向があり、これも関連性があるかもしれません。

 

 もう1つ、この記録で上位に入るのは単純にヒットが多いアーティスト。客演も活用できると尚良しです。次点はDrake。近年のヒット帝王で、客演も多いので、この記録でも当然強いです。2010年以降、どの年も少なくとも3曲は年間チャートに入り続けています。最多だったのは2016年と2018年の8曲。両方ともアルバム大ヒットでシングルが大量に入っていました。

 

 以下、ヒットが多いアーティストが続いていきます。Taylor SwiftとSZAは年間トップ10曲もあり、かつ複数曲でHot 100首位を獲得しているため、今年活躍していた印象が強いです。

 21 Savageは全曲がコラボ。2曲は他のアーティストのアルバムからの曲。残り2曲もDrakeとのジョイント作からの曲。他の同業者からの厚い信頼が感じられます。

 もう1人、Peso Plumaはやや毛色が違います。ラジオ的にはクロスオーバーしておらず、ストリーミングの粘りで数を伸ばしたと思います。タイプ的にはアルバムタイプと近いのですが、これらの4曲はどれもアルバムが異なります。今年大ブレイクしたアーティストでありジャンルなので、アルバムというよりは、アーティストの曲全体で需要が高まり、結果的に複数曲が人気を得たみたいなことでしょうか。

 

 

4 ジャンル別エントリー

 

 どのジャンルが多いかを見ていきます。ジャンル分けは、ビルボードのHot (ジャンル名) Songsに入っているか、で判定しています。

 昨年までは、複数ジャンルに入っている場合はポップ扱いにしていました。これは、複数ジャンルにまたがるヒット曲は多くの場合、ポップ系ラジオのヒットに収束されていくと考えていたからです。ダンス+何かがこのパターンに入りやすいです。

 しかし、近年のZach Bryanなど、そうでないパターンも増えてきました。そのため今年は複数ジャンルの場合はポップではなく、それぞれのジャンルで0.5曲カウントにしました。

 ほか、昨年と比べると今年のチャートではAfrobeatsというジャンルが増えています。議論は今年バージョンで主に進めていきますが、昨年までと同じ基準で揃えたバージョンの表を章の最後に掲載しておきます。

 

(今年バージョン)

 

R&B/Hip-Hop 30.5
カントリー 28.5
ポップ 24 (クリスマス5)
ラテン 8.5
オルタナティブ 6
ダンス 1.5
アフロビーツ 1

 

 昨年は3位だったR&B/Hip-Hopが1位に返り咲き。大幅な変化はありませんが、SZAやIce Spice等、クロスオーバー的な活躍をした曲の存在が効いたかもしれません。ラップはすぐに順位を落としてしまいがちで、R&Bはやや規模不足と考えると、このようなポップ方面へのクロスオーバーはここの数を増やす上で重要だと思います。

 

 とはいえ僅差で、どのジャンルが1位というよりは3ジャンルが並んでいる印象の方が強いです。もっと言うなら、カントリーの強さが際立っています。

 カントリーは近年ストリーミングを克服し、むしろ強みにしつつあります。今年の年間チャート入りした曲を見ると、ストリーミング年間順位>ラジオ年間順位になっているカントリー曲は多いです。例えば”Last Night”はストリーミングが1位、ラジオが9位。”Fast Car”はスト7位、ラジ11位でした。ラジオでオンエアされる前に、ストリーミング人気だけで長い期間チャートで粘っている曲も見られます。

 近年のHot 100ポイントの比率で大きいのはストリーミングなので、これが近年のカントリー躍進に繋がっています。

 今年はそこに加え、Morgan Wallen個人の大活躍もプラスに働いたでしょう。来年以降、ジャンル全体の躍進が続くか、さらなるスターが誕生すれば、1位に立つことも見えてくるでしょう。

 

 続いてはポップ。ここでポップとは、どのジャンルチャートにも入っていないものを指しています。この手の曲は軒並みポップ系ラジオで人気を得ているからです。

 数を増やすには基本的にストリーミングで強力なヒットが出るかが重要ですが、他にもポップ系ラジオで純粋なポップ曲が多いかという視点もあります。

 ポイント比率ではストリーミングが高いとはいえ、ロングヒットの因子になりやすいのはラジオの方で、そこで強めなポップ曲はその点年間チャートで有利なのですが、ロングヒットが昨年ほどは多くなかったことが少し数を減らした要因かもしれません。

 ちなみにここにはクリスマス曲も含まれています。今年も5曲入っています。年々勢いが伸びているため、ここがポップの伸びしろかもしれません。ただ集計で別ジャンルで捉えた方が良いかもしれませんが。

 

 この3強に次ぐのがラテン。記録的な多さ(9曲)だった昨年に近い数字を今年も記録しました。純粋にヒット規模が伸びていること以外に、カントリーのように1つの曲が長持ちする点が特徴的です。ずっとHot 100の下半分にいるのに、気づいたら滞在が20週近くになっているラテン曲は少なくないです。近年のBad Bunny、今年はPeso Plumaと有力な個も増えてきています。

 

 次いでオルタナティブ。このジャンルはストリーミングで「発掘」される傾向のあるジャンルです。登場時から有力なのではなく、徐々に勢力を拡大してチャートをじわじわ登ってくる曲が多い印象です。また複数ジャンルにまたがる曲が多く、今年は4曲がそうです。

 

 最後にダンス、今年新設されたアフロビーツと続いていきます。アフロビーツは直近でも勢いを感じるジャンルなので、翌年以降期待できるかもしれません。

 

 

(昨年までバージョンの表)

 

 

 

*1:歴代最多ではない、少なくとも1999年の方が多い。ここが歴代最多かは不明

Billboard Year-End 2023記事 補足データ表

 11/22未明頃、ビルボードの各種年間チャートが発表されました。今年は集計期間が少し短く(10/21付まで)、それに応じて発表も少し早くなったようです。他の媒体の年間ランキングに遅れずに発表したかったのでしょうか??

https://www.billboard.com/charts/year-end/

 

 この記事は今後出す年間チャート記事(現在編集中)を補足するデータ集です。補足データが多いため、メイン記事とは個別に分けています。メイン記事より先に補足データが一通り揃ったので、メイン記事よりも先にこっちをアップしました。

 

※今年はHot 100編、アルバム&Global 200編、マニア編と、長くなりすぎないように記事を3分割する予定です。

 

 

 

①:年間チャートとその週間チャートでの成績

 

(集計期間内での成績:昨年11/19~10/20)

("昨年"は昨年の年間チャートでの順位)

スマホでグラフ右側がうまく見られない方へ:まず枠外を右にずらし、その後グラフ内を右にずらすと見られると思います

 

 

アーティスト 曲名 ピーク 週数 昨年
1 Morgan Wallen Last Night 1 37  
2 Miley Cyrus Flowers 1 39  
3 SZA Kill Bill 1 44  
4 Taylor Swift Anti-Hero 1 49  
5 Metro Boomin, the Weeknd & 21 Savage Creepin' 3 45  
6 Rema & Selena Gomez Calm Down 3 48  
7 The Weeknd & Ariana Grande Die for You 1 38  
8 Luke Combs Fast Car 2 29  
9 SZA Snooze 2 44  
10 David Guetta & Bebe Rexha I'm Good (Blue) 4 38  
11 Sam Smith & Kim Petras Unholy 2 29 98
12 Morgan Wallen You Proof 8 37 27
13 Zach Bryan Something in the Orange 10 38 39
14 Drake & 21 Savage Rich Flex 2 28  
15 Harry Styles As It Was 5 30 2
16 Bailey Zimmerman Rock and a Hard Place 10 33 70
17 Chris Brown Under the Influence 12 33  
18 Taylor Swift Cruel Summer 3 21  
19 Morgan Wallen Thinkin' Bout Me 9 32  
20 PinkPantheress & Ice Spice Boy's a liar Pt. 2 3 22  
21 Toosii Favorite Song 5 27  
22 Morgan Wallen Thought You Should Know 7 32  
23 Kane Brown & Katelyn Brown Thank God 13 34  
24 Miguel Sure Thing 11 29  
25 Lil Durk feat. J. Cole All My Life 2 22  
26 Eslabon Armado & Peso Pluma Ella Baila Sola 4 23  
27 Taylor Swift feat. Ice Spice Karma 2 28  
28 Lil Uzi Vert Just Wanna Rock 10 29  
29 Beyoncé CUFF IT 6 23  
30 Olivia Rodrigo vampire 1 15  
31 Gunna fukumean 4 17  
32 Taylor Swift Lavender Haze 2 27  
33 Coi Leray Players 9 26  
34 Jelly Roll Need a Favor 14 28  
35 Dua Lipa Dance the Night 6 20  
36 Luke Combs Love You Anyway 15 33  
37 Morgan Wallen One Thing at a Time 10 30  
38 Metro Boomin, Future & Chris Brown Superhero (Heroes & Villains) 8 24  
39 Steve Lacy Bad Habit 4 17 28
40 Yng Lvcas & Peso Pluma La Bebé 11 23  
41 JVKE golden hour 10 23  
42 Bailey Zimmerman Religiously 13 23  
43 Drake & 21 Savage Spin Bout U 5 29  
44 Fifty Fifty Cupid 17 25  
45 Drake Search & Rescue 2 20  
46 Nicki Minaj & Ice Spice with Aqua Barbie World 7 16  
47 Jordan Davis Next Thing You Know 23 31  
48 Raye feat. 070 Shake Escapism. 22 23  
49 Grupo Frontera & Bad Bunny un x100to 5 20  
50 Stephen Sanchez Until I Found You 23 23  
アーティスト 曲名 ピーク 週数 昨年
51 SZA Shirt 11 22  
52 Doja Cat Paint the Town Red 1 10  
53 Meghan Trainor Made You Look 11 21  
54 Hardy feat. Lainey Wilson wait in the Truck 23 25  
55 Mariah Carey All I Want for Christmas Is You 1 7 65
56 Morgan Wallen Everything I Love 14 33  
57 Post Malone Chemical 13 20  
58 Lainey Wilson Heart Like a Truck 29 23  
59 Luke Combs Going, Going, Gone 23 22  
60 Brenda Lee Rockin' Around the Christmas Tree 2 7 80
61 Tyler Hubbard Dancin' in the Country 23 23  
62 David Kushner Daylight 33 26  
63 Rihanna Lift Me Up 8 19  
64 Ed Sheeran Eyes Closed 19 20  
65 Karol G & Shakira TQG 7 20  
66 Jason Aldean Try That in a Small Town 1 13  
67 Megan Moroney Tennessee Orange 30 28  
68 Bobby Helms Jingle Bell Rock 3 7 86
69 Ice Spice & Nicki Minaj Princess Diana 4 20  
70 GloRilla & Cardi B Tomorrow 2 21 16  
71 Burl Ives A Holly Jolly Christmas 5 6 89
72 Bad Bunny WHERE SHE GOES 8 19  
73 Fuerza Regida & Grupo Frontera Bebe Dame 25 20  
74 Zach Bryan feat. Kacey Musgraves I Remember Everything 1 7  
75 Post Malone feat. Doja Cat I Like You (A Happier Song) 16 14 26
76 Doechii feat. Kodak Black What It Is (Block Boy) 29 23  
77 SZA Nobody Gets Me 10 17  
78 Oliver Anthony Music Rich Men North of Richmond 1 9  
79 Nicki Minaj Super Freaky Girl 11 13 56
80 Noah Kahan & Post Malone Dial Drunk 25 17  
81 Billie Eilish What Was I Made For? 14 13  
82 Jungkook feat. Latto Seven 1 13  
83 Future feat. Drake & Tems WAIT FOR U 26 14 11
84 Wham! Last Christmas 4 6  
85 Parker McCollum Handle on You 30 20  
86 Peso Pluma Por Las Noches 28 20  
87 Old Dominion Memory Lane 27 20  
88 Kaliii Area Codes 33 18  
89 Kane Brown Bury Me in Georgia 34 19  
90 Peso Pluma & Natanael Cano PRC 33 20  
91 Jordan Davis What My World Spins Around 40 16  
92 Morgan Wallen Ain't That Some 11 20  
93 Corey Kent Wild as Her 40 20  
94 Young Nudy feat. 21 Savage Peaches & Eggplants 33 19  
95 Morgan Wallen I Wrote the Book 18 19  
96 Bizarrap & Shakira Bzrp Music Sessions, Vol. 53 9 15  
97 Travis Scott feat. Drake MELTDOWN 3 11  
98 Latto feat. Cardi B Put It on da Floor Again 13 16  
99 Lady Gaga Bloody Mary 41 18  
100 Lainey Wilson Watermelon Moonshine 21 16  
アーティスト 曲名 ピーク 週数 昨年

 

 

② ストリーミング・ラジオ・DLの年間成績

Hot 100の年間チャート入りを果たした曲の、ストリーミング・ラジオ・DLでの年間

成績です。(S=ストリーミング、R=ラジオ、D=DL。Hot 100とは違い、順位は75位まで)

※昨年までの記事とは、SRDの順番が違うので昨年までの読者の方は一応気をつけてください

 

アーティスト 曲名 S R D
1 Morgan Wallen Last Night 1 9 6
2 Miley Cyrus Flowers 4 1 3
3 SZA Kill Bill 2 6 52
4 Taylor Swift Anti-Hero 5 3 1
5 Metro Boomin, the Weeknd & 21 Savage Creepin' 16 2 68
6 Rema & Selena Gomez Calm Down 11 4 9
7 The Weeknd & Ariana Grande Die for You 15 5 -
8 Luke Combs Fast Car 7 11 7
9 SZA Snooze 8 13 -
10 David Guetta & Bebe Rexha I'm Good (Blue) 62 7 15
11 Sam Smith & Kim Petras Unholy 24 8 12
12 Morgan Wallen You Proof 6 25 60
13 Zach Bryan Something in the Orange 3 - 13
14 Drake & 21 Savage Rich Flex 10 37 -
15 Harry Styles As It Was 27 10 64
16 Bailey Zimmerman Rock and a Hard Place 12 33 37
17 Chris Brown Under the Influence 47 12 -
18 Taylor Swift Cruel Summer 23 17 28
19 Morgan Wallen Thinkin' Bout Me 13 - 22
20 PinkPantheress & Ice Spice Boy's a liar Pt. 2 18 34 -
21 Toosii Favorite Song 17 41 44
22 Morgan Wallen Thought You Should Know 21 24 19
23 Kane Brown & Katelyn Brown Thank God 68 16 18
24 Miguel Sure Thing 29 18 -
25 Lil Durk feat. J. Cole All My Life 25 21 63
26 Eslabon Armado & Peso Pluma Ella Baila Sola 9 - -
27 Taylor Swift feat. Ice Spice Karma 48 15 40
28 Lil Uzi Vert Just Wanna Rock 20 42 -
29 Beyoncé CUFF IT - 14 10
30 Olivia Rodrigo vampire 30 28 46
31 Gunna fukumean 19 - -
32 Taylor Swift Lavender Haze 46 26 -
33 Coi Leray Players 63 19 25
34 Jelly Roll Need a Favor 65 22 11
35 Dua Lipa Dance the Night 55 20 26
36 Luke Combs Love You Anyway 73 50 53
37 Morgan Wallen One Thing at a Time 32 - 56
38 Metro Boomin, Future & Chris Brown Superhero (Heroes & Villains) 22 - -
39 Steve Lacy Bad Habit 39 27 -
40 Yng Lvcas & Peso Pluma La Bebé 26 - -
41 JVKE golden hour 28 - 71
42 Bailey Zimmerman Religiously 33 70 54
43 Drake & 21 Savage Spin Bout U - - -
44 Fifty Fifty Cupid 42 68 -
45 Drake Search & Rescue 31 - -
46 Nicki Minaj & Ice Spice with Aqua Barbie World 41 38 27
47 Jordan Davis Next Thing You Know - 44 -
48 Raye feat. 070 Shake Escapism. - 39 -
49 Grupo Frontera & Bad Bunny un x100to 34 - -
50 Stephen Sanchez Until I Found You - 30 61
アーティスト 曲名 S R D
51 SZA Shirt 52 56 -
52 Doja Cat Paint the Town Red 38 58 35
53 Meghan Trainor Made You Look - 31 21
54 Hardy feat. Lainey Wilson wait in the Truck - 62 17
55 Mariah Carey All I Want for Christmas Is You 35 - 42
56 Morgan Wallen Everything I Love - - -
57 Post Malone Chemical - 40 58
58 Lainey Wilson Heart Like a Truck - 52 14
59 Luke Combs Going, Going, Gone - 43 -
60 Brenda Lee Rockin' Around the Christmas Tree 36 - -
61 Tyler Hubbard Dancin' in the Country - 36 67
62 David Kushner Daylight - - -
63 Rihanna Lift Me Up - 46 20
64 Ed Sheeran Eyes Closed - 23 34
65 Karol G & Shakira TQG 56 - -
66 Jason Aldean Try That in a Small Town - - 2
67 Megan Moroney Tennessee Orange - - -
68 Bobby Helms Jingle Bell Rock 40 - -
69 Ice Spice & Nicki Minaj Princess Diana - - 24
70 GloRilla & Cardi B Tomorrow 2 - 51 -
71 Burl Ives A Holly Jolly Christmas 44 - -
72 Bad Bunny WHERE SHE GOES 64 - -
73 Fuerza Regida & Grupo Frontera Bebe Dame 61 - -
74 Zach Bryan feat. Kacey Musgraves I Remember Everything 43 - 50
75 Post Malone feat. Doja Cat I Like You (A Happier Song) - 29 -
76 Doechii feat. Kodak Black What It Is (Block Boy) - 35 -
77 SZA Nobody Gets Me - - -
78 Oliver Anthony Music Rich Men North of Richmond 53 - 4
79 Nicki Minaj Super Freaky Girl - 32 -
80 Noah Kahan & Post Malone Dial Drunk 58 - -
81 Billie Eilish What Was I Made For? 51 - 48
82 Jungkook feat. Latto Seven - - 8
83 Future feat. Drake & Tems WAIT FOR U 45 72 -
84 Wham! Last Christmas 49 - -
85 Parker McCollum Handle on You - 54 -
86 Peso Pluma Por Las Noches 70 - -
87 Old Dominion Memory Lane - - -
88 Kaliii Area Codes - - -
89 Kane Brown Bury Me in Georgia - 57 65
90 Peso Pluma & Natanael Cano PRC - - -
91 Jordan Davis What My World Spins Around - 53 -
92 Morgan Wallen Ain't That Some - - -
93 Corey Kent Wild as Her - 67 -
94 Young Nudy feat. 21 Savage Peaches & Eggplants - - -
95 Morgan Wallen I Wrote the Book - - -
96 Bizarrap & Shakira Bzrp Music Sessions, Vol. 53 - - -
97 Travis Scott feat. Drake MELTDOWN 57 - -
98 Latto feat. Cardi B Put It on da Floor Again - - -
99 Lady Gaga Bloody Mary - 47 -
100 Lainey Wilson Watermelon Moonshine - - 36
アーティスト 曲名 S R D

 

 

③ 特定の指標で好成績だが、Hot 100年間入りしなかった曲

 ストリーミング、ラジオ、DLの年間チャート(75位まで)に入ったけど、Hot 100の年間チャートに入らなかった曲です。

 

・ストリーミング

14 Morgan Wallen – Wasted On You
37 Luke Combs – The Kind Of Love We Make
50 Chris Stapleton – Tennessee Whiskey
54 Peso Pluma, Gabito Ballesteros & Junior H – LADY GAGA
59 Andy Williams – It’s The Most Wonderful Time Of The Year
60 Travis Scott – I KNOW?
66 SZA – Low
67 Olivia Rodrigo – bad idea right?
69 Kelly Clarkson – Underneath The Tree
71 Nat King Cole – The Christmas Song
72 Ariana Grande – Santa Tell Me
74 Peso Pluma & Natanael Cano – PRC
75 The RonettesSleigh Ride

 

・ラジオ

45 Sia – Unstoppable
48 Lizzo – About Damn Time
49 Jax – Victoria’s Secret
55 Lewis Capaldi – Forget Me
59 Dierks Bentley – Gold
60 Nicky Youre & dazy – Sunroof
61 Nate Smith – Whiskey On You
63 Cole Swindell – She Had Me At Heads Carolina
64 Doja Cat – Vegs
65 Justin Moore & Priscilla Block – You, Me & Whiskey
66 Jon Pardi – Your Heart Or Mine
69 Lil Nas X – Star Walkin’
71 Elton John & Britney Spears – Hold Me Closer
73 Jason Aldean – That’s What Tequila Does
74 Thomas Rhett – Angels Don’t Always Have Wings
75 Parmalee – Girl In Mine

 

・ダウンロード

5 Jimin – Like Crazy
16 Jelly Roll – Son Of A Sinner
29 Jimin – Set Me Free, Pt.2
30 Sia – Unstoppable
31 Jung Kook & Jack Harlow – 3D
32 Lauren Daigle – Thank God I Do
33 OneRepublic – I Ain’t Worried
38 Nicki Minaj – Red Ruby Da Sleeze
39 Oliver Anthony Music – I Want To Go Home
41 Donald J. Trump & J6 Prison Choir – Justice For All
43 Chris Stapleton – White Horse
45 P!nk – Trustfall
47 Paul Russell – Lil Boo Thang
49 j-hope & J. Cole – On The Street
51 Miley Cyrus – Used To Be Young
55 Oliver Anthony Music – Aint Gotta Dollar
57 Morgan Wallen – Wasted On You
59 Teddy Swims – Lose Control
62 BTS – Take Two
66 RM & Youjeen – Wild Flower
69 Fall Out Boy – We Didn’t Start The Fire
70 Tom MacDonald & Adam Calhoun – American Flags
72 Agust D – Haegeum
73 Cardi B & Megan Thee Stallion – Bongs
74 Linkin Park – Lost
75 James Blunt - Monsters

 

 

④ 年間Hot 100入り曲のジャンル

 ジャンル分類はビルボードのHot (ジャンル名) Songsに入っているかで判断。斜線と下線で表記されている曲は、複数ジャンルに入る曲

 

・カントリー

1 Morgan Wallen - Last Night
8 Luke Combs - Fast Car
12 Morgan Wallen - You Proof
13 Zach Bryan - Something in the Orange
16 Bailey Zimmerman - Rock and a Hard Place
19 Morgan Wallen - Thinkin' Bout Me
22 Morgan Wallen - Thought You Should Know
23 Kane Brown & Katelyn Brown - Thank God
34 Jelly Roll - Need a Favor
36 Luke Combs - Love You Anyway
37 Morgan Wallen - One Thing at a Time
42 Bailey Zimmerman – Religiously
47 Jordan Davis - Next Thing You Know
54 Hardy feat. Lainey Wilson - wait in the Truck
56 Morgan Wallen - Everything I Love
58 Lainey Wilson - Heart Like a Truck
59 Luke Combs - Going, Going, Gone
61 Tyler Hubbard - Dancin' in the Country
66 Jason Aldean - Try That in a Small Town
67 Megan Moroney - Tennessee Orange
74 Zach Bryan feat. Kacey Musgraves - I Remember Everything
78 Oliver Anthony Music - Rich Men North of Richmond
85 Parker McCollum - Handle on You
87 Old Dominion - Memory Lane
89 Kane Brown - Bury Me in Georgia
91 Jordan Davis - What My World Spins Around
92 Morgan Wallen - Ain't That Some
93 Corey Kent - Wild as Her
95 Morgan Wallen - I Wrote the Book
100 Lainey Wilson - Watermelon Moonshine

 

R&B / Hip-Hop

3 SZA - Kill Bill
5 Metro Boomin, the Weeknd & 21 Savage - Creepin'
7 The Weeknd & Ariana Grande - Die for You
9 SZA – Snooze
14 Drake & 21 Savage - Rich Flex
17 Chris Brown - Under the Influence
21 Toosii - Favorite Song
24 Miguel - Sure Thing
25 Lil Durk feat. J. Cole - All My Life
28 Lil Uzi Vert - Just Wanna Rock
29 Beyoncé - CUFF IT
31 Gunna – fukumean
33 Coi Leray – Players
38 Metro Boomin, Future & Chris Brown - Superhero (Heroes & Villains)
39 Steve Lacy - Bad Habit
43 Drake & 21 Savage - Spin Bout U
45 Drake - Search & Rescue
46 Nicki Minaj & Ice Spice with Aqua - Barbie World
51 SZA – Shirt
52 Doja Cat - Paint the Town Red
63 Rihanna - Lift Me Up
69 Ice Spice & Nicki Minaj - Princess Diana
70 GloRilla & Cardi B - Tomorrow 2
76 Doechii feat. Kodak Black - What It Is (Block Boy)
77 SZA - Nobody Gets Me
79 Nicki Minaj - Super Freaky Girl
83 Future feat. Drake & Tems - WAIT FOR U*1
88 Kaliii - Area Codes
94 Young Nudy feat. 21 Savage - Peaches & Eggplants
97 Travis Scott feat. Drake – MELTDOWN
98 Latto feat. Cardi B - Put It on da Floor Again

 

 

・ラテン

26 Eslabon Armado & Peso Pluma - Ella Baila Sola
40 Yng Lvcas & Peso Pluma - La Bebé
49 Grupo Frontera & Bad Bunny - un x100to
65 Karol G & Shakira – TQG
72 Bad Bunny - WHERE SHE GOES
73 Fuerza Regida & Grupo Frontera - Bebe Dame
86 Peso Pluma - Por Las Noches
90 Peso Pluma & Natanael Cano – PRC
96 Bizarrap & Shakira - Bzrp Music Sessions, Vol. 53

 

・ダンス

10 David Guetta & Bebe Rexha - I'm Good (Blue)
96 Bizarrap & Shakira - Bzrp Music Sessions, Vol. 53

 

オルタナティブ

13 Zach Bryan - Something in the Orange
34 Jelly Roll - Need a Favor
39 Steve Lacy - Bad Habit
50 Stephen Sanchez - Until I Found You
62 David Kushner – Daylight
74 Zach Bryan feat. Kacey Musgraves - I Remember Everything
80 Noah Kahan & Post Malone - Dial Drunk
81 Billie Eilish - What Was I Made For

 

・アフロビーツ

6 Rema & Selena Gomez - Calm Down

 

・ポップ

2 Miley Cyrus – Flowers
4 Taylor Swift - Anti-Hero
11 Sam Smith & Kim Petras – Unholy
15 Harry Styles - As It Was
18 Taylor Swift - Cruel Summer
20 PinkPantheress & Ice Spice - Boy's a liar Pt. 2
27 Taylor Swift feat. Ice Spice – Karma
30 Olivia Rodrigo – vampire
32 Taylor Swift - Lavender Haze
35 Dua Lipa - Dance the Night
41 JVKE - golden hour
44 Fifty Fifty – Cupid
48 Raye feat. 070 Shake - Escapism.
53 Meghan Trainor - Made You Look
55 Mariah Carey - All I Want for Christmas Is You
57 Post Malone – Chemical
60 Brenda Lee - Rockin' Around the Christmas Tree
64 Ed Sheeran - Eyes Closed
68 Bobby Helms - Jingle Bell Rock
71 Burl Ives - A Holly Jolly Christmas
75 Post Malone feat. Doja Cat - I Like You (A Happier Song)
82 Jungkook feat. Latto – Seven
84 Wham! - Last Christmas
99 Lady Gaga - Bloody Mary

 

 

⑤ Billboard 200 関連データ

 USアルバム年間チャートに関するデータ

 

Hot 100年間チャートへのエントリー無し作品で、上位のもの

5 Morgan Wallen – Dangerous: The Double Album
7 Bad Bunny – Un Verano Sin Ti
11 Taylor Swift – Speak Now (Taylor’s Version)
12 Taylor Swift – folklore
13 Lil Baby – It’s Only Me
16 Taylor Swift – 1989
17 Taylor Swift – Red (Taylor’s Version)
18 Elton John – Diamonds
21 Taylor Swift – reputation
24 Lil Baby – My Turn
25 Fleetwood Mac - Rumors

 

3年以上前(=2020年以前) 上位作品

9 Taylor Swift – Lover
12 Taylor Swift – folklore
16 Taylor Swift – 1989
18 Elton John – Diamonds
21 Taylor Swift – reputation
23 The Weeknd – Starboy
24 Lil Baby – My Turn
25 Fleetwood Mac – Rumours
28 SZA – Ctrl
29 Taylor Swift – evermore
30 Kendrick Lamar – good kid, m.A.A.d city
31 Luke Combs – This One’s For You
33 Queen – Greatest Hits
34 Morgan Wallen – If I Know Me
35 Post Malone – Hollywood’s Bleeding
36 Eminem – Curtain Call: The Hits
39 Creedence Clearwater Revival - Chronicle: The 20 Greatest Hits
40 Juice WRLD – Goodbye & Good Riddance

 

10年以上前(=2013年以前)の作品 (ベスト版は除く)

25 Fleetwood Mac – Rumours
30 Kendrick Lamar – good kid, m.A.A.d city
42 Drake – Take Care
48 Lana Del Rey – Born To Die
58 Kanye West – Graduation
59 Michael Jackson – Thriller
78 Arctic Monkeys – AM
89 Bruno Mars – Doo-Wops & Hooligans
111 Lady Gaga – The Fame
115 Taylor Swift – Speak Now
125 MetallicaMetallica
126 NirvanaNevermind
128 Katy PerryTeenage Dream
137 Frank Ocean – Channel Orange
139 50 Cent – Get Rich Or Die Tryin’
140 AC/DC – Back In Black
143 Kid Cudi – Man On The Moon: The End Of Day
153 Drake – Nothing Was The Same
154 Michael Bublé – Christmas
163 Adele – 21
171 Miguel – All I Want Is You
172 Linkin Park – Meteora
175 Kanye West – My Beautiful Dark Twisted Fantasy
179 Nat King Cole – The Christmas Song
181 Usher – Confessions
183 Linkin Park – [Hybrid Theory]
184 Vince Guaraldi Trio – A Charlie Brown Christmas
186 Mariah Carey – Merry Christmas
191 Dr. Dre - Dr. Dre -- 2001
194 Lil Wayne – The Carter III
200 Various Artists – A Christmas Gift For You From Phil Spector


⑥ Global 200 年間チャート入りの過去曲

 

2020年以前(3年以上前)の曲で上位

5 The Weeknd & Ariana Grande – Die For You
15 The Weeknd & Ariana Grande – Save Your Tears
16 Tom Odell – Another Love
24 Chris Brown – Under The Influence
27 Taylor Swift – Cruel Summer
29 The Weeknd – Blinding Lights
30 Glass Animals – Heat Waves
33 Miguel – Sure Thing
35 Dua Lipa – Levitating
36 The Weeknd feat. Daft Punk – Starboy
38 Ed Sheeran – Perfect
45 The Neighbourhood – Sweater Weather
47 Post Malone & Swae Lee – Sunflower
48 Eminem – Mockingbird
49 Lewis Capaldi – Someone You Loved

 

2013年以前(=10年以上前)の曲で上位

16 Tom Odell – Another Love
33 Miguel – Sure Thing
45 The Neighbourhood – Sweater Weather
48 Eminem – Mockingbird
56 Arctic Monkeys – I Wanna Be Yours
64 Coldplay – Viva La Vida
70 Coldplay – Yellow
77 Lana Del Rey – Summertime Sadness*2
83 Eminem – Without Me
94 Tears For Fears – Everybody Wants To Rule The World
95 Mariah Carey – All I Want for Christmas Is You
96 OneRepublic – Counting Stars
101 Vance Joy – Riptide
104 Hozier – Take Me To Church
109 a-ha – Take On Me
118 Coolio feat. L.V. – Gangsta’s Paradise
119 Guns N’ Roses – Sweet Child O’ Mine
122 Bruno Mars – When I Was Your Man
129 Wham!Last Christmas
130 Adele – Set Fire To The Rain
138 Macklemore & Ryan Lewis feat. Ray Delton – Can’t Hold Us
146 Brenda Lee – Rockin’ Around The Christmas Tree
155 The Police – Every Breath You Take
157 Fleetwood Mac – Dreams
165 Bobby Helms – Jingle Bell Rock
166 Kendrick Lamar feat. Jay Rock – Money Trees
167 Lady GagaBloody Mary
169 NirvanaSmells Like Teen Spirit
176 Radiohead – Creep
194 Ariana Grande – Santa Tell Me

 

 

⑦ Global 200 vs Hot 100

 

Hot 100年間に入らなくて、Global 200年間に入る曲(上位)

14 OneRepublic – I Ain’t Worried
15 The Weeknd & Ariana Grande – Save Your Tears
16 Tom Odell – Another Love
19 Manuel Turizo – La Bachata
29 The Weeknd – Blinding Lights
30 Glass Animals – Heat Waves
32 Bad Bunny & Chencho Corleone – Me Porto Bonito
35 Dua Lipa – Levitating
36 The Weeknd feat. Daft Punk – Starboy
37 The Kid LAROI & Justin Bieber – Stay
38 Ed Sheeran – Perfect
39 Elton John & Dua Lipa – Cold Heart (PNAU Remix)
40 Bizarrap & Quevedo – Bzrp Music Sessions, Vol. 52

 

・リカレントルールの影響以外で、Global 200年間のみだった曲

16 Tom Odell – Another Love
19 Manuel Turizo – La Bachata *3
40 Bizarrap & Quevedo – Bzrp Music Sessions, Vol. 52
41 NewJeans – OMG
42 YOASOBI – アイドル
51 Libianca – People
52 NewJeans – Ditto
53 Yandel & Feid – Yandel 150
54 Ozuna feat. Feid – Hey Mor
56 Arctic Monkeys – I Wanna Be Yours
61 Jimin – Like Crazy
68 Feid & Young Miko – Classy 101
73 Rosa Linn – Snap
76 Myke Towers – LALA
86 Arcangel & Bad Bunny – La Jumpa
92 ROSALÍA & Rauw Alejandro – Beso
97 Oliver Tree & Robin Shulz – Miss You
98 Dave & Central Cee – Sprinter
99 Junior H & Peso Pluma – El Azul
100 d4vd – Here With Me

 

 

⑧ 年間ラジオ成績比較

ラジオ全体=Radio Songsと、主要系統の年間トップ10の比較

 

 

*1:ジャンルチャートではリカレントで外れて、年間チャートに入っていないものの、昨年もこのジャンルなので、R&B/Hip-Hopとしてカウント

*2:ビルボードはEDMリミックスの方を提示していますが、原曲の方が明確に優勢だと思います。ビルボードは1回シングルとして見なすと、その時のクレジットを変更しない気がします??

*3:リカレントの影響もあるが、地域差の影響の方が大きいと推定

プレイリスト観察:Today’s Top Hitsを見る 2022

 

 近年、面白さを見出しているプレイリスト観察です。Spotify最大のプレイリスト、Today’s Top Hitsを1年間通して観察してきたので、そのデータ等を軽く紹介しようと思います。

(2023年に記事を書いていますが、この記事での今年=2022年とします)

 

↓Today's Top Hits

 

 

1 登録人数

(1/20時点)

・Today’s Top Hits:3275万

・Global Top 50:1712万

・RapCaviar:1496万

・Viva Latino:1313万

・Rock Classics:1121万

Baila Reggaeton:1074万

・All Out 2000s:1050万

・Songs to Sing in the Car:1019万

・All Out 80s:997万

Beast Mode:958万

 

 これらが人気のプレイリストです。Today’s Top Hitsの登録人数は前回比で、+7.8%(+238万)の伸びでした。去年の+11.2%には劣るものの、堅調に規模を拡大している印象です。

 ほか、上記でよく伸びたのは、Viva Latino(+14.0%)、Rock Classics(+13.2%)

 

 

2 曲数

 50曲を保ち続け、何か入れる時は何かを外します。亡くなったアーティストへの敬意を示して51枠目を用意するなど、稀に変化する時もありますが、基本的には常に50曲で固定されています。

 今年の週当たりの入れ替わりは3.0曲でした。昨年は3.6曲、2020年は4.4曲、2019年は6.0曲だったので、固定化がかなり進んでいることがわかります。

 ここまで堅実な選曲ゆえ、このリストに入っていることが一種のヒットの証明にもなるかもしれません。

 

 

3 入っていた曲

 プレイリストの名前通り、基本的に現行ヒット曲が入っているのですが、純粋にランキングの上位がそのまま入るわけではありません。以下のような場合、ランキング上位でもリストから外されてしまいます。

 

・ピークが既に過ぎ去ったと判断された場合

・同一アーティストの曲の中で、相対的に優先度の低い曲 (主にアルバム曲)

・英語曲でない場合 (リスト入りはするが、基準が英語曲より厳しい)

・リリースが古い曲 (リスト入りすることもあるが、同様に基準が厳しい)

・その他(素行など) (レアケース)

 

 おそらくポップ系ラジオをベースにしたような選曲をしているので、英語曲のポップ~ラップを中心とした編成になっています。それが世界的に最も流通し、汎用性のある音楽フォーマットなのでしょうか。この軸から大きく離れていると、グローバルランキングの上位でもリストに入らないような曲もあります。

 また、今年は○○がUSラジオでシングルカットされました、とのアナウンスを経てプレイリスト入りするようなケースもあり、USラジオとの関係性が強くなった印象です。

 

以下が2022年内に、最も長くリストに入っていた曲です

アーティスト - 曲名 週数
1 The Kid LAROI & Justin Bieber - Stay 52
2 Doja Cat - Woman 44
3 Justin Bieber - Ghost 41
4 Harry Styles - As It Was 40
5 Glass Animals - Heat Waves 38
6 Ed Sheeran - Shivers 37
6 Lil Nas X - THATS WHAT I WANT 37
8 Camila Cabello feat. Ed Sheeran - Bam Bam 36
8 Dove Cameron - Boyfriend 36
8 Lost Frequencies & Calum Scott - Where Are You Now 36
11 Lizzo - About Damn Time 35
12 Elton John & Dua Lipa - Cold Heart (PNAU Remix) 34
13 Future feat. Drake & Tems - WAIT FOR U 33
14 Harry Styles - Late Night Talking 33
15 Stephen Sanchez - Until I Found You 32
15 Charlie Puth - Light Switch 32
17 Post Malone & Doja Cat - I Like You (A Happier Song) 31
18 Doja Cat - Vegas 30
18 OneRepublic - I Ain't Worried 30
20 Elly Duhé - MIDDLE OF THE NIGHT 29
21 Tate McRae - she's all i wanna be 28
22 Charlie Puth feat. Jung Kook - Left and Right 27.5
23 Jack Harlow - First Class 27
23 Megan Thee Stallion & Dua Lipa - Sweetest Pie 27
23 Imagine Dragons - Bones 27
26 Steve Lacy - Bad Habit 26
27 Bizarrap & Quevedo - Quevedo: Bzrp Music Sessions, Vol. 52 25
27 Rosa Linn - SNAP 25
27 Tiësto & Ava Max - The Motto 25
30 Ckay - love nwantiti (ah ah ah) 24.5
31 Nicky Youre & dazy - Sunroof 24
31 Lil Nas X feat. Jack Harlow - INDUSTRY BABY 24
33 ROSALÍA - DESPECHÁ 23
33 Adele - Easy On Me 23
33 Imagine Dragons & JID - Enemy 23
33 Billie Eilish - Happier Than Ever 23
37 GAYLE - abcdefu 22.5
38 James Young - Infinity 22
38 Coldplay & BTS - My Universe 22
38 Ed Sheeran - Bad Habits 22
41 Joji - Glimpse of Us 21.5
42 Marshmello & Khalid - Numb 21
42 Nicki Minaj - Super Freaky Girl 21
42 Post Malone & The Weeknd - One Right Now 21
42 Olivia Rodrigo - good 4 u 21
46 Central Cee - Doja 20
46 Manuel Turizo - La Bachata 20
46 Doja Cat - Need To Know 20
49 Rema & Selena Gomez - Calm Down 19
49 KAROL G - PROVENZA 19
49 Latto - Big Energy 19
49 Farruko - Pepas 19

 

※プレイリストは金曜日に本格的に更新されます(サムネ変更など)。そのタイミングを1週間の切り替わるタイミングとし、それ以外の曜日にリスト入りを果たした場合、曜日に関わらず0.5週とカウントしています。

※原曲/リミックスは同一曲としてカウントし、入っているのが長かったバージョンを表に記しています。

※2022年内での週数なので、前年や翌年にさらに長くリスト入りしている曲もあります。

 

~メモ~

・30週以上の曲数は2019年以降、2→8→10→19と推移。また20週以上の曲は11→34→37→48と推移。ここでも流動性の低さがわかります。

 

・Hot 100に入らないのは、”Where Are You Now”と”Doja”の2曲。昨年はこの曲数が6曲でした。(より堅実な選曲ということでしょうか?)

 

 

4 アーティストランク

・そのアーティストの全ての曲の合計週数をカウント。客演曲は0.5週とカウント

・客演等の表記はSpotifyのものを参照。ところどころビルボードと違う部分があります。(ビルボードではメイン扱いだが、Spotifyでは客演扱い等の場合も)

 

アーティスト(曲数) 合計週数
1 Doja Cat (6) Woman, I Like You (A Happier Song), Vegas, Need To Know, Kiss Me More, Freaky Deaky 134
2 Justin Bieber (3) Stay, Ghost, Honest 98
3 Ed Sheeran (7) Shivers, Bam Bam*, Bad Habits, Peru, The Joker And The Queen, Celstial, Sigue 90
4 Lil Nas X (5) THAT'S WHAT I WANT, INDUSTRY BABY, Star Walkin', Late To Da Party, MONTERO (Call Me By Your Name) 82
5 Harry Styles (2) As It Was, Late Night Talking 73
6 Dua Lipa (3) Cold Heart, Sweetst Pie, Potion 72
7 Post Malone (3) I Like You (A Happier Song), One Right Now, Cooped Up 66
8 The Kid LAROI (2) Stay, Thousand Miles 66
9 Charlie Puth (2) Light Switch, Left And Right 59.5
10 Bad Bunny (6) Me Porto Bonito, Titi Me Preguntó, Ojitos Lindos, Moscow Mule, La Jumpa, X Última Vez 54
11 Jack Harlow (4) First Class, INDUSTRY BABY*, Nail Tech, Dua Lipa 54
12 Imagine Dragons (2) Bones, Enemy 50
13 Elton John (2) Cold Heart, Hold Me Closer 49
14 The Weeknd (7) One Right Now, Sacrifice, Creepin', Out Of Time, LA FAMA, Nothing Is Lost, I Heard You're Married 47
15 Lizzo (2) About Damn Time, 2 Be Loved (Am I Ready) 45
16 Adele (3) Easy On Me, Oh My God, Can I Get It 43
16 Future (3) WAIT FOR U, pushin P, BEAUTIFUL* 43
18 Drake (8) WAIT FOR U, Rich Flex, Massive, Jimmy Cooks. STAYING ALIVE*, P power*, Falling Back, Pussy & Millions 41.5
19 Beyoncé (4) CUFF IT, BREAK MY SOUL, ALIEN SUPERSTAR, SUMMER RENNAISANCE 40.5
20 BTS (4) My Univers, Bad Decisions, Dreamers, Yet To Come 40
21 Camila Cabello (2) Bam Bam, psychofreak 40
22 Glass Animals (1) Heat Waves 38
23 Karol G (2) PROVENZA, MAMIII 36.5
24 Dove Cameron (1) Boyfriend 36
24 Lost Frequencies (1) Where Are You Now 36
24 Calum Scott (1) Where Are You Now 36

*=客演の曲

(ポイントが多い順位並んでいます)

 

(参考:2020年~のアーティストランク)

  2020 2021 2022
1 Justin Bieber Justin Bieber Doja Cat
2 Dua Lipa Doja Cat Justin Bieber
3 The Weeknd Dua Lipa Ed Sheeran
4 DaBaby Olivia Rodrigo Lil Nas X
5 Ariana Grande Lil Nas X Harry Styles
6 Roddy Ricch The Weeknd Dua Lipa
7 Juice WRLD Ariana Grande Post Malone
8 Harry Styles The Kid LAROI The Kid LAROI
9 Drake Billie Eilish Charlie Puth
10 Bad Bunny Ed Sheeran Bad Bunny
11 Doja Cat Glass Animals Jack Harlow
12 Marshmello SZA Imagine Dragons
13 Pop Smoke BTS Elton John
14 Jason Derulo Silk Sonic The Weeknd
15 Jack Harlow Giveon Lizzo
16 SAINTt JHN Måneskin Adele
17 Selena Gomez Tiësto Future
18 Ava Max Travis Scott Drake
19 Conan Gray Megan Thee Stallion BTS
20 Halsey Bad Bunny Beyoncé

 昨年までの比較。Doja CatがJustin Bieberの連覇をストップしました。この2人と、Dua Lipa、Bad Bunny、Jack Harlow、The Weekndがここ3年連続で上記リストに入っています。

 

 

5 面白い動向

 続いて、「なぜこの曲が入らない?」「ナイスな抜擢」など、興味深かった動向を見ていきます。

 

・Encanto - We Don’t Talk About Bruno

 ストリーミングでの大繁盛とは裏腹に、ラジオではほとんどオンエアされていなかった曲。その判断に追随するかのように、Today’s Top Hitsには入りませんでした。

 かつての”Let It Go”もラジオでほとんどオンエアされていなかったようで、ラジオ目線では、ディズニー曲は普通の曲とは一線を画する、別ジャンル扱いなのでしょうか?

 ラジオではともかくプレイリストでも同様に、過去曲でもなく、特にマイナス面も無い大ヒット曲を拾わなかったのは、意外に思いました。

 

・Taylor Swift - All Too Well (10 Minutes Version)

 同様にストリーミング人気の割にほとんどラジオでオンエアされなかった曲。しかし"Bruno"とは違い、この曲に関してはToday’s Top Hits入りを果たしました。(期間は長くはありませんでしたが)

 

Kate Bush - Running Up That Hill

 ドラマ”Stranger Things”の影響を受け、一気にランキングを駆け上がってSpotify Global Chartのトップ10に到達するも、すぐにはリスト入りはせず。しかしUSラジオでのシングルカットが決まると、この曲もリスト入りを果たしました。

 いくらヒットしていても、“Today”ではないからリスト入りしない → シングルカットされたことで“Today”である認定を得たからリスト入り、という流れでしょうか。

 この動向を見て、リストに入れる判断がラジオの動きとリンクしていることを感じました。

 

・Latto - Big Energy

 1回もGlobal Chart(200位まで)に登場しなかったにも関わらず、19週にわたりリスト入り。その理由として考えられるのは、USラジオでの高い人気でしょう。

 

Chris Brown - Under The Influence / The Weeknd - Die For You

 分かりやすいきっかけがあっても無くても、近年のストリーミングでは過去曲の浮上が盛んです。上記の曲はいずれも上位に入り、ラジオでもシングルカットされたという共通点があるのですが、なぜか前者はリスト入りし、後者はリスト入りしない、という扱いの違いがありました。

 一応、”Under The Influence”の方が、Spotify Global Chartでの順位が少し高いのですが、これが扱いを分ける理由なのかは不明です。”Die For You”も十分な順位まで来ていました。(ちなみにHot 100だと”Die For You”の方が高い)

 

・BLACKPINK - Shut Down

 英語ヴァースの比率もリスト入りを左右する重要な要素です。以前と変わらぬヒットを遂げたBLACKPINKの”Shut Down”は、英語ヴァース比率が以前よりも高かったため、長めにリストに残りました。

 

・NewJeans - Attention

 K-Pop曲はGlobal Chartで存在感を発揮することはあれど、やはりほとんど非英語曲ということもあり、2強(BTSとBLACKPINK)関連以外はめったにリスト入りしません。しかしその傾向を打ち破ったのは新人のNewJeans。

 英語ヴァース中心だったこともあってか、”Attention”がリストに入りました。ただ、Global Chartでの順位がそこまで高いわけではなく、さらにラジオでの実績があるような曲ではなかったため、かなり「抜擢感」がありました。

 しかし、グループの次なるシングル”Ditto”や”OMG”がさらなるヒットを遂げ、この時の見る目が素晴らしかったことを証明しました(”Ditto”もリスト入りしています)。

 超がつくほど慎重で、めぼしい動きが少ない最近のToday’s Top Hitsでは珍しい、特筆すべき動きだったかもしれません。

 

 かつては逆にこのリストは、「なんでこれを入れるの?」という曲が多く、それが新たなヒットを生み出すようなイメージで特徴的でした。2019年に始まったこの記事も、もともとは「リストで抜擢される(推される)曲にある特徴を探し出そう」という意図でスタートしました。

 ただ現在の選曲だと「Global Top 50のプレイリストで良くない?」「他でも見つかりそうな曲」といった感じで、徐々に独自性を失っている?とも考えられます。

 

 

6 比較対象

 

 私はこのSpotifyのToday’s Top Hitsへの理解を深めるために、比較対象としてApple Musicのプレイリストも観察しています。AppleにもToday’s Hitsという人気プレイリストがあり、そのUS版もかねてより観察しています。(Spotifyと違い、国によって選曲が異なります。最もメジャーなUS版を見ています)

Today’s Hits on Apple Music

 

 以前は曲数が多く、70曲を超えている時もあったのですが、2020年半ばから50曲に固定。これでSpotifyのToday’s Top Hitsと比較がしやすくなりました。

 もちろんUS版なので、選曲にUS/Globalの地域差のような違いも見られますが、基本的にはコンセプトが同じで、比較対象(ある種のライバル?)として優れていると思います。

 

 さて、近年のApple MusicのUS版Today’s Hitsの特徴としては、ダイナミックな選曲が挙げられると思います。Spotifyの方は今年週あたりの曲入れ替わり数が3.0曲でしたが、こちらは4.3曲入れ替わっています。

 感覚的に、曲数が50になってからも、曲数が多かった時代の流動性をキープしているような印象です。

 その「流動性」を具体的に言うと、まずは既存曲を外す早さです。例えばThe Kid LAROIとJustin Bieberの”Stay”はSpotifyの方だと2023年に入ってようやく外れましたが、Appleの方では2022年の5月に既に外れています。その差は8ヶ月です。Appleの方が基本的にピークを終えた曲を見切るのが早いです。

 そしてもう一つ挙げられるのは選曲の広さです。かつてSpotifyのToday’s Top Hitsが行っていたような、まだ上昇前の曲の抜擢も多く、拾うジャンルも広いです。USでは基本あまり人気の無いダンス系のヒットに積極的なため、US版ながらもグローバル感もあります。

 また、今回記事で話題に挙げた過去曲のヒットも取り扱っており、ラジオでのカット前の”Running Up That Hill”、そして”Under The Influence”も”Die For You”も両方こちらには入っています。上昇すれば正当に扱われることが多く、ほか”We Don’t Talk About Bruno”、さらにはクリスマス曲もリスト入りを果たしています。(ただ逆に”All Too Well”の10分版はAppleの方には入っておらず、常にそうとは限らない)

 

 過去曲に関しては最近さらなる工夫を加えており、2023年に入ってから日替わりで様々な過去曲が入るようになりました。多くの曲は実際に今再注目をされているような曲ではなく、むしろプレイリストから新たな過去曲ヒットを生み出そう、という意図を感じます。日替わりでチェンジしていくのは、かなり大胆な気はしますが。

 ちなみに、確認できた中では、2021年の”drivers license”が「過去曲枠」の中で最も新しかったです。

 総じて、きちんとヒット系プレイリストに必要な曲をそろえつつ、独自の選曲や方針を見ることが出来るため、こちらの方が見応えは抜群ですね。

 

 

 他に、Apple Musicトゥデイズヒッツ洋楽というプレイリストも観察しています。このプレイリストはApple Musicローンチ以来、長きにわたり人気です。

Today’s Hits: International on Apple Music

 

 このリストは、日本のスタッフが曲を選んでいると思われます。他の国ではToday’s Hitsを、それぞれ国ごとのスタッフが選んでいるようなのですが、日本では現在Today’s HitsはUS版の選曲をそのまま採用しており、他国のToday’s Hitsで行っているようなことを代わりにトゥデイズヒッツ洋楽でやっている模様です。

 このリストのポイントは、説明文にもある通り、主に新曲からチョイスしている点です。つまり、ヒット曲の何割かを占める「上昇してくる曲」をあまり把握していないため、選曲の候補がどうしても減ってしまいます。このリストの週あたりの入れ替わり数は1.6曲にとどまっています。

 また主にリリース前の事前情報からリストに入れるか否かを判断しないといけないため、「鉄板」と考えられるアーティストの曲が多くなる点も特徴です。*1

 他に、日本向けのプレイリストという点から、日本のみでヒットしている非日本語曲も取り扱われる点も特徴です。あまり例は多くないですが。

 このように独自路線が見られますが、以前と比べると方針に少しずつ変化が見られ、他のメジャーなヒット系プレイリストに近い選曲にはなってきています。上昇系の曲も、USのToday’s Hitsで最上位(サムネ)に配置されるような曲ならば認識するようになってきました。

 比較対象としては、ちょっと他のリストと方針が遠いとは思いますが、独自性が強く、見ていて面白いのは事実ですね。

 

 

7 私のプレイリスト

 

 この記事で見てきたように、プレイリストごとに特色があることが伺えます。それぞれの「ヒットとは何か?」という問に対する考え方のようなものが垣間見られて、意外と奥が深いです。

 そういうのを見ていると、自分の考えを反映させたヒット系プレイリストを作りたくなったので、↓のプレイリストを2019年頃からやっています。

 

 変な表現ですが、他のリストと擬似的な勝負?をしているみたいで面白い作業です。

 Today’s Top Hitsの選曲をベースとしつつも、それよりも少し広い視点で候補曲を探し、ヒットと探索のバランスを考えています。

 「私がもし同様のプレイリストの担当を任されたらどうするか?」というコンセプトなので、個人的な趣味はあまり反映されていません。

 

 

 

参考・関連

Spotify on Spotify

Spotify Charts - Spotify Charts are made by fans

https://kworb.net/radio/

 

プレイリスト観察:Today’s Top Hitsを見る 2021 - チャート・マニア・ラボ

プレイリスト観察:Today’s Top Hitsを見る 2020 - チャート・マニア・ラボ

Today’s Top Hitsを5つのポイントで見る - チャート・マニア・ラボ

 

 

*1:時折、この並びになぜこの人が!?というケースもある

The 40 Best Albums of 2022

 

 こんばんは!私セレクトのベストアルバム2022を発表いたします。ランキングの前に、軽く選考基準等を説明します。

 

・2022年の2週目以降(12/9以降)は、来年の選考に回しています。SZAやLittle Simzのアルバムが来年に回っています。

・「自分が好み」を基準で選考しています。一部では「チャートマニア目線での曲の意義・影響力」も参考材料として取り扱っています。

サウンド重視で音楽を聴く習慣が自分に根付いているため、選考はサウンド面に重きを置いています。

 

・「どのような作品か」よりも「なぜ私はこの作品を選んだか」の記述が多いと思います。

・デラックス版、ボーナストラック等は、今回は基本的にアルバムの判断材料には含まれていません(個人的には「アルバムとは別にリリースされたシングル」のように捉えていることが多いです)

・普段見ているAOTYというサイトの情報を一部で参照しています。(主にユーザーが編集している部分)

 

 

 

40 Wet Leg – Wet Leg

 アルバム、というよりは優秀な新人が現れた!という作品かもしれません。インディーロックを早口で歌い上げ、ポップに仕上げる瑞々しいセンスが最大の武器。アンセムや、面白い曲を多数擁しています。

 

 

39 Fivio Foreign – B.I.B.L.E.

 昨年私はLady Gagaの”Just Dance”のDrillリミックス(ストリーミングには無い)にハマっていました。この曲でポップ+ドリルの破壊力を知ったのですが、それが体現されているのが、この作品です。Ellie Gouldingの”Lights”、Destiny’s Childの”Say My Name”など、多くのヒット曲をサンプリングに起用。さらに”So Sick”を引用した”Love Songs”ではNe-Yo本人が歌唱しています。

 ポップ+ドリルというノレる音楽を組み合わせ、とにかく「パーティー」のような作品に仕上がっています。

 

 

38 Soccer Mommy – Sometimes, Forever

 今年に入って、自分は意外とシューゲイズやドリームポップ適正が高いんじゃないか?と考え始め、この系統の作品を今年は以前よりも積極的に聞こうと試みました。この作品もその一つです。

 スイートなボーカルという魅力に加え、変化のある曲も多く揃っており、そこが面白く感じました。

 

 

37 Pusha T – It’s Almost Dry

 彼のクールなラップスタイルと、質の高いプロダクションの融合を楽しむ作品。曲にバラエティを持たせながら、均一性も感じました。

 客演には大御所や、そして新顔もバランスよく取り込んでいます。”Hear Me Cleary”に参加しているNigoTeriyaki Boyzの、DJ/デザイナーです。

 

 

36 TURQUOISEDEATH & vmrrobot – Fool’s Sanctuary

 イギリスのプロデューサー、スペインのプロデューサーによるコラボ作。前半はvmrrobot、後半はTURQUOISEDEATHが担当しています。

 雰囲気に浸っていくようなドラムンベース・ブレイクビートで、アートワークにあるように、電子世界に飛び込んでいくような作品です。

 そこに加えて、面白いのはアニメ?と思しき音声を差し込み、それでアクセントを付けている点です。ボーカルのように使う場面も、スキットのように使う場面もあります。

 

 

35 Denzel Curry – Melt My Eyez See Your Future

 日本語をよくシングルのアートワークに採用し、「(目が)溶ける」とよく書いてありますが、その「溶ける」の印象が強い作品。その象徴が”Walkin”で、これが好みの曲でした。

 R&Bとラップの両側面を楽しめる作品で、完成度の高さを感じました。

 

 

34 amaii – I’ve Seen Better Days

 刺激のある音が展開される、Glitch PopまたはNoise Popの作品。音に合成感があり、Sound Collageというジャンル名もあるようです。

 面白いサウンド、彩り豊かな曲が魅力の作品で、これがノンストップで続いていきます。最後の”Supermarket California Roll”に一番迫力を感じました。

 

 

33 Beach House – Once Twice Melody

 この作品も、シューゲイズやドリームポップを聞いてみようという試みで好きになった作品。

 アルバム名の通り、メロディーのある荘厳な曲を楽しめる作品。Chapterに分けてEPとして数ヶ月ごとにリリースしていき、それを今年に4つまとめて「アルバム」として発表。この経緯もあり、分けて聞くのか、まとめて聞くのか、どちらが正解かよく分かりませんが、どのパートにも美しい曲が詰まっているのは間違いないです。

 あとチャートマニア目線だと、過去曲の”Space Song”が近年ストリーミングのランキングに登場/定着しており、その動向を興味深く感じていました。これもバンドに親近感を持った理由かもしれません。

 

 

32 King Princess – Hold On Baby

 Aaron DessnerやMark Ronson等を迎えたセカンドアルバム。ボーカルの活かし方、音の響き方が良かったです。全体を通してドラムの響きが印象的でした。

 特に最後の曲の“Let Us Die”はボーカルがとてもキマっていて、かっこいいです。

 

 

31 Metro Boomin – HEROES & VILLAINS

 プレイリストではなくアルバムを作ることのできるラップ系プロデューサー。持ち味のダークな雰囲気は健在で、その没入感が魅力。

 客演で起用している面々が以前とやや異なり、そこが変化点と言えそうです。今作ではR&Bシンガーが増加し、深み、ムードを演出します。もちろん、21 SavageやTravis Scottなどのレギュラー陣も活躍しています。ほかMetro Boominアルバム初登場で、複数曲に登場するDon Toliverも存在感を発揮。

 

 

30 Steve Lacy – Gemini Rights

 ”Bad Habit”のヒットが強く印象に残っているかもしれませんが、アルバム曲の”Static”も自発的に人気を得始めるなど、シングルだけでなくアルバムやアーティスト自体に対する注目度も高いSteve Lacy。

 近年オルタナティブ成分をもつ曲が、ストリーミングで積極的に発掘され、ロングヒットになっている印象があります。そんなオルタナティブさとポップさが、今作ではうまく融合していて、ある種メインストリームの教科書的存在にもなり得る存在だとも思いました。

 

 

29 Rauw Alejandro - SATURNO

 レゲトンのアーティストとしてヒットを飛ばすRauw Alejandroですが、アルバムではダンスの成分が非常に強いです。前作からこの姿勢は一貫しており、アーティストとしての信念を感じます。

 今作では細かいつなぎの意識、Interlude等も意識され、アルバム通して踊らせる工夫を感じます。13曲目~15曲目の「ダンス加速ゾーン」はなかなか迫力があります。

 

 

28 Yeule – Glitch Princess

 シンガポール出身のシンガー。主にアンビエントポップ風情の作品ですが、豊かな側面を持ち、アグレッシブな電子音や、温かな“Don’t Be So Hard on Your Own Beauty”なども良かったです。

 多くの曲を自身でプロデュースしていますが、一部の曲ではDanny L Harleなどが参加。また客演としては日本のTohjiが参加。アルバムの雰囲気を引き継ぎつつ、存在感を発揮することを両立させ、作品に華を添えています。

 

 

27 Tove Lo – Dirt Femme

 3年ぶりのアルバムリリース、そしてレーベルも変わったという「心機一転感」が作風にも反映されています。

 新路線はきらびやかなダンスポップで、先行シングルを聞いたときも、アルバムを聞いた時も確かな新鮮さを感じました。”2 Die 4”やSG Lewisとの2曲が印象に残りました。

 

 

26 Björk - Fossora

 レジェンドの5年ぶりの作品。サウンド面の鋭さ、全体での没入感の高さが特徴的です。個人的に好きなのがアートワークで、アルバムの内容とよくマッチしていると感じました。まさしく、アートワークの世界に入っていくような作品です。

 

 

25 The Weeknd – Dawn FM

 ラジオをテーマとした作品。このコンセプトやシンセ成分、まとまりが好きです。ここは変化球で、少しチャート的な話をしてみます。

 今作は売上的には悪くなかったですが、Gunnaに敗れてアルバム1位獲得ならず。さらにアルバムのシングルはどれも長持ちせず、前作“After Hours”のようなロングヒットが出ませんでした。The Weeknd比で、うまく行っていない印象がありました。

 しかし、The Weekndはストリーミングで今年過去曲人気が高まりました。中でも”Starboy”に入っていた“Die For You”はシングルカットまでされています。過去曲がここまでアクセスされるということは、(新作は苦戦したかもしれませんが)別にアーティストに対する熱心さは衰えていないと考えました*1

 また、その浮上した過去曲の中には、何個も当時はヒットしていない曲も含まれるので、The Weeknd自体の人気が衰えなければ、将来的に“Dawn FM”のシングルの「ターン」がやってくるかもしれません。

 

 

24 Soul Glo – Diaspora Problems

 大大大大迫力。ハードロックに、叫ぶようなラップの組み合わせで、アルバム全体でエネルギーが溢れかえっています。ただし、それ一辺倒ではなく、サウンド面の工夫や、他のラッパーを招く等で、所々で変化も見られます。

 迫力を象徴する”Gold Chain Punk (whogonbeatmyass?)”や、客演のMother Maryroseが際立つ”Driponomics”が良かったです。

 

 

23 Uffie – Sunshine Factory

 なんと12年ぶりのアルバム。かつてEd Banger Recordsに所属していた経歴もあるシンガー。ダンスポップ/ダンスパンクの作品。ポップ性が抜群です。

 ある種のザラザラさのあるプロダクションと声質が合わさり、独自の不思議でキュートな空間を演出しています。

 

 

22 Foxes – The Kick

 彼女も6年ぶりのアルバムで、間が空いています。従来から得意としていた、瑞々しいポップに磨きがかかった作品。

 サウンド面にこだわりを感じ、好ダンスポップの数々を味わえます。メインの弾けるような曲に加えて、間に入るバラードも良い味を出しています

 

 

21 FKA twigs - CAPRISONGS

 FKA twigsによるミックステープ。おそらくミックステープというのがポイントで、今までにないような試みを大胆に行っているのが、特徴かと思います。その多くがうまく仕上がっており、彼女の多芸ぶりを感じます。

 自身やjorja smithのラップ適正を見出す”darjeeling”や、Shygirlと組んだダンスホールな”Papi Bones”が印象的です。

 

 

20 Rina Sawayama – Hold The Girl

 力強いシングルの数々を楽しむ作品。BOPが流れるように続く作品で、特に前半の2曲目~4曲目の場所がパワフル。全体的に正統派ポップアルバムに近い出来に感じますが、個人的に一番好みだったのは”Imagining”という変化球。

 

 

19 Perfume Genius – Ugly Season

 アンビエントな作風。全体的に音が少なめながらも、効果的に美声は響き、引き算の美学のようなものを感じた作品でした。

 なんというか、私が普段聞くような作品とクッション/シングル比が逆なイメージで、それだけ私にとっては珍しい構成だったのですが、それでも魅了されるような、美しさを感じました。

 

 

18 4s4ki – Killer In Neverland

 日本語のアルバム。読みはアサキ。刺激のある音の強力なバンガーが魅力的。昨年のアルバムが私の中でインパクトを残しましたが、今作でも良いものを見せてもらいました。

 バンガーを多数擁していることに加え、バラードやダークな曲なども。さらに以前より電子感を強めたサイケなトラックが新鮮でした。

 

 

17 JID – The Forever Story

 AOTYやRYMのユーザー評価では、今年最高のラップアルバムと名高い作品。JIDのラップスキルに加え、アンセム系の楽曲、引き込まれるようなメロウな曲をそれぞれ複数擁し、構成的なバランスにも魅力に感じました。特に6-8の流れが好きです。

 

 

16 Kenny Beats - LOUIE

 アイデアに拍手。ラップのプロデューサーなので、多くのラッパーを迎えて色んなラップ曲を作るかな?と最初は思うのですが、その予想を完全に裏切られます。

 その正体はオシャレなInstrumental Hip-Hop。Lo-Fi Hip-Hopとも言えるかもしれません。インスト中心で巧みに構成され、その流れを楽しむことができます。少しボーカルの差し込みもあり、JPEGMAFIAやVince Stapleが参加しています。

 基本ムードに浸るような作品ですが、シングルのような迫力のある曲や、ヒップホップのビーツのおかげで「ノレる」場面もあり、様々な楽しみ方ができます。

 

 

15 Quadeca – I Didn’t Mean To Haunt You

 いびつさ、美しさ、刺激のあるサウンドを持つ、一体感・没入感が素晴らしい作品。荘厳な曲が多く、そこが最大の魅力ではありますが、その流れから登場する”Knots”の迫力もまた魅力の一つです。様々なジャンル名が付いている作品ですが、個人的にはオルタナティブR&Bが一番しっくり来ますかね。

 

 

14 black midi – Hellfire

 Jazz的要素のある音の素晴らしさ、迫力のあるラップ、そして何と言ってもダイナミックさ。このジャンル(Avant Prog)にはもともと明るくない私ですが、そんな私にも伝わる名作感、完成度、スケール感がありました。

 

 

13 Himera – Sharing Secrets

 バブルガムベースで、インスト中心の作品。アートワークにあるような、おもちゃのような遊び心のあるサウンドで溢れています。迫力、そして温かみの両方を感じることができます。

 インスト曲が多いですが、ボーカリストを3曲で起用。PC Musicの名ボーカリストHannah Diamond、前述のTohji、そしてGolinの3名が参加。Golinは現在オランダ等で活動しているようですが、出身は日本で、他の曲も多くの場合日本語で歌唱するシンガーです。

 

 

12 Kilo Kish – AMERICAN GURL

 パワーのあるエレクトロポップが駆け抜けていく作品。この曲のパワーと、サウンド面の刺激を楽しみました。これに加え、ダークな雰囲気感も混ざっているのも特徴かと思います。

 ボーカルの表現力があり、コントロールが絶妙な部分、そしてラップとボーカルの使い分けにも魅了されました。

 ほかInterlude的にゲームっぽい音を使っている点も好みでした。

 

 

11 Carly Rae Jepsen – The Loneliest Time

 おそらく今作の特徴となるのは、かなりの曲の幅広さ。新たなトライを試みながらも、まとまりが良いと個人的には感じました。配置の美学と言いますか、曲同士がうまく相互に作用しているように思いました。

 序盤は勢いよく入り、”Sideways”や”So Nice”でリズムチェンジ。このようにして緩急をつけ、最後には極上の表題曲が。アルバムの最後の曲に重要度を見出している私にとっては、好みの終わり方でした。デラックス版の曲も良かったですが、これがラストの方が個人的には良いですね。

 まとまっているかどうかは、人によって意見が分かれるかもしれないですが、こんなに広いタイプの曲を仕上げられる彼女のスキルは間違いないと思います。

 

 

10 Bladee & Ecco2k – Crest

 ともにスウェーデン出身で、Drain Gangというコレクティブに所属。ふにゃふにゃしたラッパーを持ち味としています。その独自のスタイルのポテンシャルが大きく開いた印象のある作品です。

 魅力に感じたのはサウンド面。2人のボーカルを活かすプロダクションにかなり磨きがかかった印象で、温かくも、不思議な空間を存分に味わえます。

 

 

9 春ねむり - 春火燎原

 日本語のアルバム。今作ではポエットに加え、ラップ、スクリーモ、J-Pop等の広いジャンルに挑戦し、それを歌い上げています。単純な技量だけでなく、迫力や引き込む力のある、唯一無二のボーカリストであると感じました。

 バンガーを多くそろえていて、ジャンルは広いですが、全体でテーマは一貫しています。Interlude好きな私を魅了する美しいメロディーのInterludeも好きです。

 

 

8 Hyd – CLEARING

 PC Musicからのリリース。元QTのシンガー、初のアルバムです。制作陣にDanny L Harle、A.G. Cook、EasyFun、Caroline Polachekなど、素晴らしい面々が。しかし私が最も嬉しかったのはSophieが5曲で携わっていることでしょうか。Sophieの新たな曲を聞けることに感謝です。

 声質を活かすため、温かいサウンドが多いです。そして”Chlorophyll”や”Bright Light”のラストなど、遊び心も交えてあり、このバランスがとても好みでした。

 

 

7 Alvvays – Blue Rev

 ここまでで、自分の「シューゲイズ開眼」について書いてきましたが、これに関してはシューゲイズ開眼前の自分でもハマりそうな作品です。

 ノイズポップを基調としており、そこにシューゲイズの要素が散りばめられているような作品。魅力的な音とメロディーで奏でられる、パンチのある曲の数々が矢継ぎ早にやって来ます。それに加え、”Very Online Guy”のような変わった曲も所々に入っている点も、私を魅了しました。

 

 

6 Mitski – Laurel Hell

 曲のパワーが特徴的な作品。特に6-7の“The Only Heartbreaker”、”Love Me More”と、共に今年屈指のパワーアンセムを続けて並べている部分はかなりの迫力があります。これ以外にシューゲイズの”Working For Knife”や、最後を綺麗に締める”That’s Our Lamp”などが好きです。

(今更ですが、今作だけでなく前作も素晴らしいと思っていて、前作を2018年のベストに入れていないことを悔いています)

 

 

5 ROSALÍA – MOTOMAMI

 ヒットも多く飛ばすようになったROSALÍAですが、今作も冒険心は忘れずに、聞いたことのないようなサウンドが多く並にます。しかしただ奇妙というわけでなく、曲の展開、アルバムの前後関係等でバランスが取れているという不思議な魅力を感じました。

 また、サウンド面にこだわりを感じ、音がかすれているような演出も好みでした。ほかバラード曲の使い方が巧みだと感じました。

 

 

4 Charli XCX – CRASH

 彼女は近年、鋭く、未来的なサウンドの代表格のアーティストとして扱われてきました。ただ、次第に評価を確立したこともあって、この路線を離れることこそが、今は新しく、未来を切り開く活動になるのでは?と考えたのか、違う作風を選択しました。*2

 どちらかといえば正統派なダンスポップの作品。これまでと少し違う作風ですが、どの曲にも素晴らしいクオリティーがあり、ソングライトの才覚に魅了されました。人によって様々なお気に入り曲がありそうなアルバムとも思いました。

 既存のジャンルを離れて新たなチャレンジをした上で、この出来とは、やはり偉大だなと感じました。

 

 

3 Hatchie – Giving The World Away

 ここまでシューゲイズやドリームポップに開眼した、という話を何回かしましたが、そのきかっけは、もともと好きだったこのアーティストだと思います。Hatchieが好きならば、もっと他の似たアーティストも聞いてみようと。

 こうして私の中で期待の高いアーティストなのですが、その期待をも上回る素晴らしい体験ができたアルバムでした。

 前作のようなドリームポップを、ダイナミックさ、アンセムのパワーの面でスケールアップしたような作品。特に前半は、強い曲が多くて、極上のテンションになります。

 

 

2 Jockstrap – I Love Jennifer B

 刺激のあるサウンド、美しいメロディーという私が好む要素が両方とも、存分に楽しめる作品。伸びのあるボーカルが、その美しいメロディーを支えています。単体でも完結するような、年間クラスの曲を複数擁しながらも、通しでの感触も素晴らしいです。

 最初は「面白い作品」くらいに考えていましたが、かなりポップで、次第に好みど真ん中であることに気がつきました。

 

 

1 Beyoncé – RENAISSANCE

 4位~2位の作品も、1位にしたかったくらいお気に入りだったのですが、1位は圧倒的でした。ひれ伏すしかない完璧な出来です。

 クラブの熱量を伝える、DJスタイルのアルバム。アルバムを通して極上の音が鳴っており、なおかつバラエティにも富んでいます。その幅広さを支える、Beyoncéのボーカル的な技量も魅力の一つでしょう。つなぎも充実しており、どの瞬間においても圧倒され続けるアルバムです。

 ほか、遊び心が散りばめてられ、完璧でありながら、個人それぞれの好みに突き刺さるようなポイントもありそうなのも、また魅力の一つだと個人的には考えています。「みんなのお気に入り」であり、また「私のお気に入り」にもなれる作品なのではないか、と私は勝手に思いました。

 

 

 

~一覧表~

 

40 Wet Leg Wet Leg
39 Fivio Foreign B.I.B.L.E.
38 Soccer Mommy Sometimes, Forever
37 Pusha T It's Almost Dry
36 TURQUOISEDEATH & vmrrobot Fool's Sanctuary
35 Denzel Curry Melt My Eyez See Your Future
34 Amaii I've Seen Better Days
33 Beach House Once Twice Melody
32 King Princess Hold On Baby
31 Metro Boomin HEROES & VILLAINS
30 Steve Lacy Gemini Rights
29 Rauw Alejandro SATURNO
28 Yeule Glitch Princess
27 Tove Lo Dirt Femme
26 Björk Fossora
25 The Weeknd Dawn FM
24 Soul Glo Diaspora Problems
23 Uffie Sunshine Factory
22 Foxes The Kick
21 FKA twigs CAPRISONGS
20 Rina Sawayama Hold The Girl
19 Perfume Genius Ugly Season
18 4s4ki Killer In Neverland
17 JID The Forever Story
16 Kenny Beats LOUIE
15 Quadeca I Didn't Mean To Haunt You
14 black midi Hellfire
13 Himera Sharing Secrets
12 Kilo Kish AMERICAN GURL
11 Carly Rae Jepsen The Loneliest Time
10 Bladee & Ecco2k Crest
9 春ねむり 春火燎原
8 Hyd CLEARING
7 Alvvays Blue Rev
6 Mitski Laurel Hell
5 ROSALÍA MOTOMAMI
4 Charli XCX CRASH
3 Hatchie Giving The World Away
2 Jockstrap I Love Jennifer B
1 Beyoncé RENAISSANCE

 

 

ソング編⇩

 

 

 

*1:逆に新作が売れたとしても、アーティストに対する熱が落ちてしまうようなものは、過去曲含めて総合力で勝負するストリーミングで避けるべきなのだと考えています

*2:これと結びつくかは分かりませんが、2021年に言っていた「inauthentic is the new authentic」というツイートが好きです。つまり逆に元々inauthenticだった従来の(いわゆる)Hyperpopが普通(authentic)になってしまったのではないか、ということです