チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

The 100 Best Songs of 2022

 こんばんは!私セレクトのベストソング2022を発表いたします。ランキングの前に、軽く選考基準等を説明します。

 

 

・基本的に2022年の曲を選んでいますが、アルバムが今年だった等、今年の曲と扱っても良いと考えた場合は、対象になります。

・2022年の2週目以降(12/9以降)は、来年の選考に回しています。SZAやLittle Simzのアルバムが来年に回っています。

 

・「自分が好み」を基準で選考しています。一部の曲では「チャートマニア目線での曲の意義・影響力」も参考材料として取り扱っています。

サウンド重視で音楽を聴く習慣が自分に根付いているため、選考はサウンド面に重きを置いています。

 

・曲によってコメントが、あったり無かったりします。

・記事の末尾に、一覧表やプレイリストを付けています。

 

 

 

100 Jockstrap – Debra

 

99 Charli XCX – Yuck

 

98 Beyoncé feat. Grace Jones & Tems – MOVE

 レジェンドGrace JonesとTemsの組み合わせ。Temsは昨年から今年にかけ、2曲(”Essence”, “WAIT FOR U”)の客演でHot 100のトップ10入りを果たしており、アフロビーツ躍進に最も(と言っていいほど)貢献しています。

 

97 Let's Eat Grandma - Happy New Year

 勢いのあるアルバム前半。

 

96 Beach Bunny – Oxygen

 キュートなインディーポップ/インディーロックを届けるバンド

 

95 David Guetta & Bebe Rexha - I'm Good (Blue)

 多くの人はノベルティーソングと思っているかもしれないですし、革新的なわけでもないんですが、私はこの曲を聞くと、なんか心が踊るんです。“Blue”を引用した強いメロディーラインが私を魅了するのだと思います。

 あと、ここまで本格的なダンス曲がUSでもヒットするのは地味に久しぶりで、今後のメインストリームに影響を与える可能性もあるかもしれません!

 

94 Urias - Foi Mal

 ブラジルのシンガーUrias。私はAOTYというサイトで音楽の情報、評価などを収集しているのですが、このサイトはブラジルのユーザーが多いようで、ブラジルの音楽と出会う機会に恵まれています。

 力強いボーカルと、ムードのあるサウンドとの融合が魅力の1曲です。

 

93 Zheani - Fuck the Hollywood Cult

 甲高い特徴的なボーカル、それを迎え入れる激しいサウンド

 

92 daine - new ground

 ダンスというよりは、ロックスター路線だったEPより

 

91 Kordhell - Murder In My Mind

 TikTokでよく見られるタイプのサウンドの曲。ジャンル名は定まっていないようですが、一応”Phonk”という名前があるようです。

 Kordhellはそのジャンルを牽引する一人で、この曲はSpotifyのランキングにも食い込みました。

 メインストリームへの影響はまだ限定的ですが、Lattoが今年のアルバムの曲にこのサウンドを採用していました。今後影響力を持つことがあるのか、注目のジャンルです。

 

90 Rico Nasty - Gotsta Get Paid

 面白いサウンド

 

89 WILLOW - <maybe> it's my fault

 

88 badxyou & 8485 - Better

 後半の8485のボーカルに圧倒されました

 

87 EASYFUN - Audio

 PC Musicのプロデューサー、EASYFUNの2018年以来のシングル

 

86 death's dynamic shroud - After Third Heaven

 耽美なサウンドで注目を集めたアーティスト

 

85 Zach Bryan - Something in the Orange

 ストリーミングで今年超ロングヒットとなったカントリー/オルタナティブの曲。そのロングヒットを裏付けるような、滋味のある雰囲気、音質をまとった曲です。ちなみに、来年以降もっとチャートで伸びる可能性もあります。

 

84 Perfume - Time Warp

 日本のポップアイコン。エネルギーあふれるアンセム

 

83 Ava Max - Million Dollar Baby

 綺羅びやかなダンスポップを世に送り続けるAva Max。来年の1/27に新アルバムをリリース予定。ファンの意見を受けてアートワークを変更したそうです。(私も新しい方が好き)*1

 

82 Aly & AJ - With Love From

 前作より、しっとりとした先行シングル。この曲と同名のアルバムを来年(時期未定)にリリース予定な模様。

 

81 Parannoul & Asian Glow - The Light Side of the Eyes

 この人たちの幅の広さに魅了されました

 

80 ElyOtto - party city (When ur free)

 昨年”Sugar Crash”が大ヒットを遂げ、メインストリームに食い込んだElyOtto。このノリノリなサウンドが私は好きです。

 理由は分からないですが、なぜかApple MusicとSpotifyで曲名が違います。(”party city”がApple、後者がSpotify

 

79 Poppy - Shapes

 ヘビーなサウンドの路線が続くPoppy

 

78 Mura Masa, Lil Uzi Vert & PinkPantheress feat. Shygirl - bbycakes

 不思議な組み合わせですが、かわいい曲に良く仕上がっています

 

77 Gorillaz feat. Thundercat - Cracker Island

 興味深い先行シングルを複数出したGorillaz。来年2/24にアルバムをリリース予定。

 

76 BENEE - Make You Sick

 Greg Kurstin、Kenny Beats、Rostamと制作した今年のBENEEのEP、面白かったです。

 

75 Danny L Harle & DJ Mayhem feat. Pussy Riot - Interlocked [Lil Texas Remix]

 Lil Texas節ともいえる、ハードなサウンド

 

74 Kenny Beats - Hold My Hand

 サウンドを楽しむインストアルバム

 

73 ROSALÍA - DESPECHÁ

 奇抜なサウンドが特徴のアルバムと、ポップヒットを両立できるROSALÍAの才覚を感じます。

 

72 Arctic Monkeys - Body Paint

 美しいチャンバー。近年はSpotifyのGlobalランキングに複数曲登場するなど、過去曲の大活躍も印象的なArctic Monkeys

 

71 Hatchie - Lights On

 

70 Beyoncé - VIRGO'S GROOVE

 様々なタイプの曲を楽しめるBeyoncéのアルバム

 

69 Charli XCX - Lightning

 

68 Wet Leg - Angelica

 

67 Em Beihold - Numb Little Bug

 ストリーミングで頭角を現し、そこからラジオでヒット。そのヒット規模の割に、心なしか影が薄いような気もするのですが、良い曲だと思っています。

 

66 Perfume Genius - Photograph

 

65 Soccer Mommy - Darkness Forever

 アルバム内で変化を加え、引き込む曲

 

64 Yeat - Rich Minion

 Rageなスタイルが代名詞のYeat。今年知名度を高めた印象のあるラッパーですが、そんな彼が意外な形で注目されたのがこの曲でした。奇妙ながら、魅力のある曲に仕上がっています。

 

63 Jockstrap - Greatest Hits

 ボーカルの響き方が良いです

 

62 Pusha T feat. Labrinth & MALICE - I Pray For You

 LabrinthサウンドがPusha Tの魅力を引き出す

 

61 Alvvays - Very Online Guy

 あのアルバムの中だと、意外なチョイスと思われるかもしれませんが、個人的にはアルバムを聞く度に毎回「おっ!?」となり、振り返ってしまうような曲です。

 

60 Kendrick Lamar feat. Sampha - Fahter Time

 Samphaのボーカルが深みに誘う

 

59 Rema - Addicted

 今年“Calm Down”でブレイクしたナイジェリアのシンガー、のアルバム曲。Raveなサウンドに魅了されました。

 

58 Fivio Foreign & Queen Naija feat. Coi Leray - What's My Name

 ドリルサウンド&大胆サンプリングで、ノリのある曲を作り出すFivio Foreign。この曲で引用されているのはDestiny’s Childの”Say My Name”

 

57 Metro Boomin & A$AP Rocky feat. Takeoff - Feel The Fiyaaah

 アルバムの印象的なラスト曲

 

56 RAYE feat. 070 Shake - Escapism.

 数年間にわたりレーベルにアルバムを保留されていた経験もある苦労人のRAYE。後に独立し、再出発した彼女が今年ヒットを飛ばし、初のHot 100入りも達成。070 Shakeの魅力も引き出し、素晴らしい出来合い。

 来年2/3には、デビュー作がついに出ます。(2020年の作品はEP、またはミニアルバムという扱いらしいです)

 

55 Jane Remover - Royal Blue Walls

 昨年はdltzkという名義でした。シングルながら、アルバムのような聴き応えのある曲

 

54 Cryalot - Labyrinth

 Kero Kero Bonitoのボーカル、Sarah Bonitoのソロプロジェクト。ボーカルと、奇妙なサウンドの新たな組み合わせを模索しているようなEPでした。

 

53 TURQUOISEDEATH & vmrobotic - Mite!

 「マイト」じゃなくて、「見て」

 

52 Mitski - Love Me More

 超強力シングルがアルバムに2つも!

 

51 Bad Bunny & Bomba Estéreo – Ojitos Lindos

 ツインボーカルが印象的な曲。非シングルの扱いながら、アルバム内で人気曲の地位を確保し、しばらくチャート上位(Spotify Globalランキングなど)に残るという健闘も見せました。

 

50 Sam Smith & Kim Petras - Unholy

 メインストリームにおいては意外とも言える組み合わせの2人が、賛否両論を巻き込みながらも、曲は大ヒット。この様子が、2年前の”WAP”を思い起こさせる、と私は考えました。最初聞いた時はよく分からない曲でしたが、数回すれば馴染んできました。

 “WAP”は歌詞の面が注目を集めましたが、この曲の奇妙さはそのサウンドにあるでしょう。大ヒット曲なので、今後何かしらの形で模倣されていくと思いますが、この曲のどの要素を、どのように模倣していくかが全く想像つかないので、これからが楽しみですね。

 

49 Björk feat. Kasimyn - Fossora

 アルバムの中で最も迫力を感じる、後半に出てくる表題曲

 

48 Sky Ferreira - Don't Forget

 アルバムは出ませんでしたが、シングルは出しました。前シングルとは一転、かなりポップで開けた作風に。

 

47 Lil Yachty - Poland

 彼の登場時の不思議さがカムバック。Playboi Cartiの“Whole Lotta Red”で数曲を担当した、F1LTHYがプロデューサー

 

46 Flume feat. Caroline Polachek - Sirens

 Flume式サウンドと、Caroline Polachekのボーカルの高次元な融合

 

45 Uffie - where does the party go?

 不思議さとキュートさを併せ持つBOPを生み出すUffie

 

44 yeule - Don't Be So Hard on Your Own Beauty

 アルバムにおける、温かな側面

 

43 Beach House - Masquerade

 Chapter 3にある曲。その前の”Another Go Around”も好きです。

 

42 Elton John & Britney Spears - Hold Me Closer

 “Cold Heart”で大成功を収めた、Elton Johnの自身のヒット曲再編シリーズの続編。様々な苦労のあったBritney Spearsが久々にシングルをリリースできたことに加え、その彼女をサポートしようと、初週から高く注目されたことも嬉しかったです。

 曲の内容面でもBritney Spearsのボーカル的魅力が引き出されています。

 

41 Foxes - Forgive Yourself

 瑞々しい曲であふれるFoxesのアルバム

 

40 Lil Uzi Vert - Just Wanna Rock

 “Eternal Atake”からの幻のシングルカットのような風情のある曲で、私は好きです。

 

39 Rauw Alejandro - VERDE MENTA

 Ivy Queenの”Que Lloren”という曲がサンプリングされています。Crazy Frogと思っている人もいるらしい(?)ですが、違います。(それはそれで面白いですが)

 

38 Tove Lo - 2 Die 4

 Tove Loの新たなダンスサウンド

 

37 Hannah Diamond - Staring at the Ceilling

 暗めな雰囲気の曲は珍しい気もしますが、うまく仕上がっています。

 

36 4s4ki feat. Swervy - Freedom Kingdom

 PitchforkはEPの曲をBest Songsに選んでいましたが、今年はEPもアルバムも出しいて、どちらにも良い曲がありました。(これはアルバムの曲)

 

35 FKA twigs feat. jorja smith & unknown t - darjeeling

 ミックステープで新たなジャンルに挑戦したFKA twigs。自身のみならず、jorja smithの新たな側面も引き出しています。

 

34 Soul Glo - Gold Chain Punk (whogonbeatmyass?)

 アルバム開幕を告げる、うぉぉぉぉぉぉぉぉという曲

 

33 Himera - Umbrella

 楽しいインスト曲

 

32 Quadeca - knots

 アルバム後半部分の盛り上がりを象徴する曲

 

31 amaii - Supermarket California Roll

 ダイナミックなGlitch Pop

 

30 Yung Gravy - Betty (Get Money)

 あの”Never Gonna Give You Back”を大胆サンプリングし、輝かせ、そしてヒットに。今年のメインストリームで最も拍手を送りたいアイデアでした。

 

29 The Weeknd - Out of Time

 この曲のメロディーライン良いなと思ったら、後に日本のシンガーの亜蘭知子をサンプルしていたことを知りました。

 

28 Kilo Kish - NO APOLOGY!

 転調も良いですね

 

27 JID feat. 21 Savage & Baby Tate - Surround Sound

 各ボーカリストの魅力が引き出されています。

 

26 Denzel Curry - Walkin

 「溶ける」ような曲

 

25 NewJeans – Attention

 K-Pop界の新星。メロウな音楽スタイルで際立つ存在。K-Popはあまり入らない、Spotifyの最大手プレイリストのToday’s Top Hits”に入っていたことが、チャートマニア目線だと注目ポイントでした。

 

24 Caroline Polachek - Billions

 来年2/14に新アルバムをリリース予定。先行シングルの素晴らしさから、期待度はとてもとても高いです!

 

23 King Princess - Let Us Die

 ボーカルがすごくキマっていて、かっこいいです。

 

22 Alvvays - After The Earthquake

 アルバムのサウンドを象徴するような曲と思います。

 

21 春ねむり - パンドーラー

 サウンドの出し方が好きです。

 

20 Steve Lacy - Bad Habit

 メインストリームで抜群の存在感を発揮。この曲だけでなく、複数曲がストリーミングで「発掘」されているのが、興味深いチャートアクションでした。ポップ性と自身のスタイルの両立が巧みと感じました。

 

19 Rina Sawayama - Imagining

 不思議な雰囲気をまとった、アルバム内で際立つ曲。

 

18 Joji - Glimpse of Us

 彼のボーカル的魅力を全面に押し出した曲。この魅力が存分に伝わったのか、大きくヒットすることに成功しました。

 

17 black midi - Welcome To Hell

 アルバムのダイナミックさがよく表れている曲

 

16 d4vd - Here With Me

 “Glimpse of Us”と並び、メインストリームで見つけた曲の中で、衝撃が大きかった曲です。読みは「デイビッド」のSSW。良い意味で気怠そうなボーカルが特徴的です。

 

15 My Chemical Romance - The Foundations of Decay

 昨年のポップパンク再流行を受け、かつてのポップパンクのバンドはどうカムバックするかが、ある意味難しい状況になっているようにも思います。その高いハードルを乗り越え、新しくも従来の魅力のある曲をリリースしたMy Chemical Romance

 

14 Hyd - The Real You

 ✨SophieとA.G. Cookのプロデュース✨ ボーカルの魅力もよく出ています。

 

13 100 gecs - Doritos & Fritos

 とても楽しい曲。今年アルバムが出る、と言われて結局出なかったのですが、来年3/17についに出る予定。

 

12 Imperial April - 9:30

 スウィートなインディーポップですが、どこか不思議さもあり、その組み合わせが魅力的な曲。

 Imperial AprilはボーカルのVictoria Knopp率いる4人組のパワーポップバンドです。現在はあまり情報が無いバンドですが、これからの躍進に期待しています。*2

 

11 Bladee & Ecco2k - The Flag Is Raised

 溶ける系アンセムの新たな到達点

 

10 Rebecca Black - Look At You

 新境地を開きつつ、ここまで素晴らしい先行シングルを出してくるとは、彼女を推しまくっている私でもビックリしました。(2つ先行シングルがありますが、どちらも良いです)

 時期未定ですが、来年はアルバムも予定されているようです。

 

9 Carly Rae Jepsen & Rufus Wainwright - The Loneliest Time

 これがアルバム最後に来るの、とても良いです

 

8 ROSALÍA - HENTAI

 テーマとは裏腹の美しさ、破壊性の共存で、全く真新しい存在。ボーカルの処理も興味深いです。

 

7 Paramore - This Is Why

 Hayley Williamsのソロ活動も含め、バンドの様々な側面・魅力が詰まっており、なおかつバンガー的魅力のある曲と思います。

 

6 Hatchie - Twin

 ドリームポップの何相応しい、夢見心地になれるような曲。

 

5 Beyoncé - SUMMER RENAISSANCE

 DJアルバムの中で、最も踊れると思います。

 

4 Charli XCX feat. Rina Sawayama - Beg For You

 この曲を、とても広い場所で、とても大きな音量でかけたくありませんか?

 

3 Mitski - The Only Heartbreaker

 今年最もエネルギーのある曲

 

2 Jockstrap - Concrete Over Water

 美しさ、サウンドの刺激、ダイナミックと、私が曲に欲しい要素が詰まっています

 

1 Red Velvet - Feel My Rhythm

 ポップ音楽の持つ喜び、魅力を全面的に表現しているように感じました。

 

 

 

~プレイリスト~

Apple Musicのプレイリスト:The Best 100 Songs of 2022 by トコ on Apple Music

Spotifyのプレイリスト:The Best 100 Songs of 2022 - playlist by azumarill_a | Spotify

 

 

~一覧表~

 

100 Jockstrap Debra
99 Charli XCX Yuck
98 Beyoncé feat. Grace Jones & Tems MOVE
97 Let's Eat Grandma Happy New Year
96 Beach Bunny Oxygen
95 David Guetta & Bebe Rexha I'm Good (Blue)
94 Urias Foi Mal
93 Zheani Fuck the Hollywood Cult
92 daine new ground
91 Kordhell Murder In My Mind
90 Rico Nasty Gotsta Get Paid
89 WILLOW it's my fault
88 badxyou & 8485 Better
87 EASYFUN Audio
86 death's dynamic shroud After Third Heaven
85 Zach Bryan Something in the Orange
84 Perfume Time Warp
83 Ava Max Million Dollar Baby
82 Aly & AJ With Love From
81 Parannoul & Asian Glow The Light Side of the Eyes
80 ElyOtto party city (When ur free)
79 Poppy Shapes
78 Mura Masa, Lil Uzi Vert & PinkPantheress feat. Shygirl bbycakes
77 Gorillaz feat. Thundercat Cracker Island
76 BENEE Make You Sick
75 Danny L Harle & DJ Mayhem feat. Pussy Riot Interlocked [Lil Texas Remix]
74 Kenny Beats Hold My Hand
73 ROSALÍA DESPECHÁ
72 Arctic Monkeys Body Paint
71 Hatchie Lights On
70 Beyoncé VIRGO'S GROOVE
69 Charli XCX Lightning
68 Wet Leg Angelica
67 Em Beihold Numb Little Bug
66 Perfume Genius Photograph
65 Soccer Mommy Darkness Forever
64 Yeat Rich Minion
63 Jockstrap Greatest Hits
62 Pusha T feat. Labrinth & MALICE I Pray For You
61 Alvvays Very Online Guy
60 Kendrick Lamar feat. Sampha Fahter Time
59 Rema Addicted
58 Fivio Foreign & Queen Naija feat. Coi Leray What's My Name
57 Metro Boomin & A$AP Rocky feat. Takeoff Feel The Fiyaaah
56 RAYE feat. 070 Shake Escapism.
55 Jane Remover Royal Blue Walls
54 Cryalot Labyrinth
53 TURQUOISEDEATH & vmrobotic Mite!
52 Mitski Love Me More
51 Bad Bunny & Bomba Estéreo Ojitos Lindos
50 Sam Smith & Kim Petras Unholy
49 Björk feat. Kasimyn Fossora
48 Sky Ferreira Don't Forget
47 Lil Yachty Poland
46 Flume feat. Caroline Polachek Sirens
45 Uffie feat. NNADMÏ where does the party go?
44 yeule Don't Be So Hard on Your Own Beauty
43 Beach House Masquerade
42 Elton John & Britney Spears Hold Me Closer
41 Foxes Forgive Yourself
40 Lil Uzi Vert Just Wanna Rock
39 Rauw Alejandro VERDE MENTA
38 Tove Lo 2 Die 4
37 Hannah Diamond Staring at the Ceilling
36 4s4ki feat. Swervy Freedom Kingdom
35 FKA twigs feat. jorja smith & unknown t darjeeling
34 Soul Glo Gold Chain Punk (whogonbeatmyass?)
33 Himera Umbrella
32 Quadeca knots
31 amaii Supermarket California Roll
30 Yung Gravy Betty (Get Money)
29 The Weeknd Out of Time
28 Kilo Kish NO APOLOGY!
27 JID feat. 21 Savage & Baby Tate Surround Sound
26 Denzel Curry Walkin
25 NewJeans Attention
24 Caroline Polachek Billions
23 King Princess Let Us Die
22 Alvvays After The Earthquake
21 春ねむり パンドーラー
20 Steve Lacy Bad Habit
19 Rina Sawayama Imagining
18 Joji Glimpse of Us
17 black midi Welcome To Hell
16 d4vd Here With Me
15 My Chemical Romance The Foundations of Decay
14 Hyd The Real You
13 100 gecs Doritos & Fritos
12 Imperial April 9:30
11 Bladee & Ecco2k The Flag Is Raised
10 Rebecca Black Look At You
9 Carly Rae Jepsen & Rufus Wainwright The Loneliest Time
8 ROSALÍA HENTAI
7 Paramore This Is Why
6 Hatchie Twin
5 Beyoncé SUMMER RENAISSANCE
4 Charli XCX feat. Rina Sawayama Beg For You
3 Mitski The Only Heartbreaker
2 Jockstrap Concrete Over Water
1 Red Velvet Feel My Rhythm

 

 

アルバム編⇩

 

 

 

*1:環境次第かもしれませんが、なぜかApple Musicでプレイリストに曲を入れるとアートワークが古い方のになる、という謎仕様?

*2:私はこの曲をGlitchというプレイリストで見つけました

Billboard Year-End 2022(年間チャート)を10のポイントで見る



 こんばんは。12月初め、ビルボードから各種年間チャートが発表されました。Hot 100の年間チャートを中心に、これらを振り返っていきます。各年間チャートは以下のリンクから閲覧できます。

https://www.billboard.com/charts/year-end/ (年間チャート窓ページ)

https://www.billboard.com/charts/year-end/hot-100-songs/  (Hot 100)

https://www.billboard.com/charts/year-end/top-billboard-200-albums/ (アルバム)

https://www.billboard.com/charts/year-end/billboard-global-200/ (Global 200)

※窓ページから下に行き、Categoryを選ぶと、ジャンル別のチャートが閲覧できます

 

 表やデータを挟みつつ、文章がそこまで長くない(多分)ので、肩の力を抜いて気軽に読んでください。一方で8章、9章、10章はマニアックな内容で、少しヘビーかもしれません。

 

 また、この記事を補足するデータ表をいくつか作成したのですが、かなり幅を取るので、別の記事に分けて掲載します。(最初に上げた時から少し追加しました)

 

 ほか、今年の動向を振り返るにはこちらの記事:2022 週間USチャート トピック振り返り - チャート・マニア・ラボ もあります。

 

 2022の年間チャートの集計期間は、2021年の11/20~2022年の11/12付のチャートまでです。(=2021年の11/5~2022年の11/3までの動向が集計の対象)

 

 

 

 

1 今年の顔!年間チャートのトップ10を見る

 Year-Endチャートで最も際立つ、今年の顔とも言えるHot 100の年間チャートのトップ10をまずは見ていきます。

 

1 Glass Animals – Heat Waves

2 Harry Styles – As It Was

3 The Kid LAROI & Justin Bieber – Stay

4 Adele – Easy On Me

5 Ed Sheeran – Shivers

6 Jack Harlow – First Class

7 Latto – Big Energy

8 Justin Bieber – Ghost

9 Kodak Black – Super Gremlin

10 Elton John & Dua Lipa – Cold Heart (PNAU Remix)

 

 このリストを見て、まず思いつくのはロングヒットが非常に際立つ点です。まず年間1位の“Heat Waves”は最長Hot 100滞在記録を持っています。そして、Hot 100でのトップ2最長記録、トップ3最長記録の1位と2位は、年間2位の“Stay”と年間3位の”As It Was”によって独占されています。その他のトップ5、トップ10等でもこれらの曲はランキングに顔を出しています。

Hot 100滞在最長記録:Heat Waves(91週/最長)

トップ2滞在最長記録:As It Was(25週/最長)、Stay(21週/次点)

トップ3滞在最長記録:As It Was(29週/最長)、Stay(23/次点)

 

 年間チャートで高い順位に入るには、週間チャートでの爆発的な成績よりは、安定して積み上げがモノを言うので、このようなロングヒット関連記録を残している曲が強くなるのです。

 他の曲を見ても、”Shivers”、”Big Energy”、”Ghost”、”Cold Heart”が50週以上Hot 100に滞在しています。

 

 もう一つ思いつくのは、UK勢の充実です。1位2位をUK勢が独占(2015年のMark RonsonとEd Sheeran以来)し、さらにトップ10にはUKアーティストが合計6人(組)も*1入りました。

 またDua Lipaは3年連続でトップ10入りを達成。ちなみに彼女とタッグを組んだElton Johnは、1973年-1976年に4年連続年間トップ10の実績があります。

 

 次に、トップ10を別角度から見ていきます。今年の年間トップ10曲のラジオ、DL、ストリーミングの年間成績を見ていきます。

  R D S
1 Heat Waves 2 18 1
2 As It Was 4 8 2
3 Stay 1 50 9
4 Easy on Me 5 11 11
5 Shivers 7 5 25
6 First Class 11 17 8
7 Big Energy 6 3 55
8 Ghost 3 27 70
9 Super Gremlin 35   3
10 Cold Heart (Pnau remix) 12 1 26

※R=Radio、D=DL、S=Streaming

 

 ラジオの平均が最も高く、ストリーミングやDLの平均は低いです。DLに関しては、近年規模の小ささからチャートへの影響力は限定的なため、参考程度と捉えてOKです。注目すべきはストリーミングの低さです。これがいかに低いか、ストリーミングが本格導入されて以降の年のHot 100年間トップ10の平均の数字と比較していきます。

  R D S
2022 8.6 21.6 21
2021 6.5 17.0 6.9
2020 9.7 16.1 18.6
2019 10.7 10.9 8.3
2018 9.5 6.6 9.4
2017 18.9 10.2 11.4
2016 12.2 7.2 8.1
2015 16.0 7.9 8.2
2014 8.5 7.2 7.4

※2017、2015は年間ラジオチャート圏外の曲があり、76で仮置きして計算している(そのため、正確な数字はもっと低い)
※2022のDLも同様の曲があります

 

 なんと、ストリーミングの平均は今年がワーストです。曲個別で見ても、今年の“Ghost”は、この集計期間内に年間トップ10入りを果たした曲の中では最低のストリーミング順位(70位)を記録しています。”Big Energy”も、この曲と2020年の”The Bones”(61位)に次いで、3番目に低い数字(55位)です。つまり今年は今までで最も、ストリーミングが低くてもラジオが優秀な曲が上位に来る年と言えます。

 

 このラジオの強さは上記のロングヒットの強さと関連しています。ラジオは多くの場合、ストリーミングよりもヒットの周期が遅く、Hot 100滞在後半になるにつれてラジオのポイント比が高くなっていきます。特にアダルトポップ系と相性の良い曲はラジオで長持ちする印象があります。この系統の規模が特別大きいわけではありませんが、ここと相性が良いと、ポップ系等の他系統でも数字が安定するような現象です。

 

 つまり、今年の傾向を述べるのならば、年間チャート上位入りにはロングヒットが強く、そのロングヒットにはラジオの数字が重要なため、結果的に年間チャート上位ではラジオヒットが際立つようになる、といったところでしょうか。(2020年と似ています)

 

(プラス解説)

・グループによる年間1位は、2009年のThe Black Eyed Peasの“Boom Boom Pow”以来。2人組のデュオも含めば、2013年のMacklemore & Ryan Lewisの”Thrift Shop”以来

・UKのグループの年間1位は1983年のThe Policeの”Every Breath You Take”*2以来。これもデュオを含めると、1985年のWham!の“Careless Whisper”以来。

・Justin Bieberは2年連続でトップ10入り(2015-2016以来2度目)

・Justin Bieberは年間トップ10に複数曲を送り込む。2016年以来、自身2度目

・USでのストリーミング数は低めだった”Ghost”や”Cold Heart”ですが、ラジオ抜きでストリーミング主体のGlobal 200では上位につけており、必ずしもストリーミングでの人気が低いわけでもないです。ただ、“Big Energy”はGlobal 200でも119位です。

・”Big Energy”はラップ曲が一般的に苦手とするアダルトポップ系でも人気を得ていた点が特徴的です。このラジオの強さが、ストリーミングの弱さを補いました

 

 

2 N年連続エントリー

 

 Hot 100の年間チャートに複数年にわたり、入り続けているアーティストについてです。

 

14年連続 Drake

10年連続 Ariana Grande

8年連続 Justin Bieber

7年連続 Young Thug

6年連続 Kane Brown, Luke Combs

5年連続 Lil Baby

4年連続 Lil Nas X, Megan Thee Stallion, Gunna

3年連続 Jack Harlow, Dua Lipa, Future, Doja Cat, The Weeknd, Lil Durk, Jason Aldean, Maren Morris

 

 最長はDrake。頻繁なリリース、ヒット度から見て、彼のこの記録が途絶える様子は想像できません。”Rich Flex”のおかげで、来年の「継続」も既に内定でしょう。

 次点はAriana Grande。“Save Your Tears”が唯一のエントリー。昨年の記事で「新曲を出さないと来年は記録が持続しなさそう」と書きましたが、この曲が粘りを見せたおかげで、新曲を出さずにこの記録を持続させました。さすがに来年あたりは新曲が出るでしょうか?

 これに次ぐのはJustin Bieber。近年は大規模ヒットを継続的に出しており、それが反映されています。自身の曲だけでなく、客演でも多くのヒットを飛ばせるのが強みです。

 次に名を連ねるのはYoung Thug。5年連続で名を連ねるLil Babyなど、Young Thug門下のようなラッパー(大まかにマンブル系統)が増加しており、そのリーダーとして客演での継続的な人気があると考えています。

 以下、6年5年4年連続は、ラジオヒットの安定感があるアーティスト、または客演人気も高いYoung Thug門下生が名を連ねる印象。

 

 逆に昨年まで連続で年間チャート入をしていたものの、今年途切れたアーティストについても触れます。

 まずは昨年まで5年連続でエントリーしていたCardi B。今年は“Hot Shit”や”Rumors”など勝負シングルを複数リリースしながらも、記録が途切れてしまったため、とても悔しい結果となりました。

 そして同じく5年連続だったMaroon 5。ラジオヒットに優れる彼らですが、今年は新曲を出していないので、自然と記録も途切れてしまいました。一応、既存曲にLattoを迎えたリミックスを出していたようですが。

 

 

3 エントリーの多いアーティスト

 Hot 100年間チャートに多くの曲を送り込んだアーティストについてです。

 

7 Doja Cat, Bad Bunny

5 Morgan Wallen

3 Justin Bieber, Ed Sheeran, Dua Lipa, Future, Drake, The Weeknd

 

 年間チャートに入るには一定期間のHot 100滞在が必要で、それを達成するには基本的にはラジオでのシングルカットが必要になります。そのため、年間チャートに多くの曲を送り込むには的確なシングルカットや、客演の活用が求められます。しかし今年はこのセオリーを抜きにして、Bad Bunnyが大量エントリーを成し遂げました。

 彼はアルバム曲が複数ストリーミングで継続な人気を得て、低いラジオ成績ながら20週以上のHot 100滞在を達成。最終的に7曲が年間チャート入り。中には、全くといっていいほどラジオのポイントを得ていない曲もあります。従来のラジオ区分をものともしない、ストリーミングでの成績は目を見張るものがありました。

 

 一方で同じく7曲エントリーのDoja Catは、ラジオシングルカットの女王です。その7曲は全てラジオでトップ10入り。客演含め、関わった曲のラジオでの成功率が非常に優秀。また、ストリーミングでの人気も伴っているため、一部の曲はストリーミングとラジオのピークのズレによって、Hot 100滞在期間が長くなることも。

 次点は5曲のMorgan Wallen。シングルカットされずとも、自力でポイントを稼げるストリーミング人気に加え、昨年の謹慎が解けたため、今年はラジオからもポイントを集められるようになりました。彼はストリーミングでの人気シングルが多いため、その分カットされるシングルが「順番待ち」のようになり、ストリーミングに比べてラジオのヒットが遅いこともあります。そのため、Hot 100滞在も長くなります。

 これに次ぐJustin Bieber, Ed Sheeran, Dua Lipa, Future, Drake, The Weekndはシングルカットが上手くいっている面々といった印象。ただFutureは“PUFFIN ON ZOOTIEZ”と、ラジオ抜きで年間入りを達成した曲も擁していています。

 

 

4 ジャンル別エントリー

 どのジャンルが多いかを見ていきます。ジャンル分けは、ビルボードのHot (ジャンル名) Songsに入っているか、で判定しています。複数ジャンルに入っている場合は、ポップ扱いになります。どの曲がどのジャンルかは、補足記事に載っています。

 

 

ポップ 37 (+8)

カントリー 25 (+6)

R&B / Hip-Hop 22 (-17)

ラテン 9 (+5)

Rock / Alternative 6 (-3)

ダンス 1 (+1)

 

 昨年まで最多だったR&B / Hip-Hopはなんと17曲もが減少し、3位の22曲に。ストリーミング導入以降では最少でした。

 単なる不作とも考えられますが、ほかに理由として考えられるのはストリーミングとラジオの噛み合わなさです。年間チャートに入る曲の動きとして想定されているのは、一つのシングルが人気を得て、それが継続的な安定感を得るというものです。ラップ曲は新曲(アルバム曲も含む)への最初の注目度に優れていますが、その後に起こりやすいのは継続ではなく、また違う曲が人気を集めるという動きです。そのためポイントが分散し、リリース時の勢いの割に年間チャート相当までポイントを稼げないのです。

 また、ラジオとの噛み合わせも悪く、タイミングや選曲のズレが見られます。最近リズミック系ラジオの1位曲が何回かその週Hot 100圏外だったことは、このズレを表しているのかもしれません。

 

 カントリーは+6曲で25曲に。2位に浮上。ストリーミングへの順応に苦しみ、エントリー数が1ケタだった時代が遠い昔のように感じます。

 昨年書いた「この隆盛は続きそう、ここにMorgan Wallenが加わる」というのが実現したように思います。Morgan Wallenが4曲(うち1曲はLil Durkの客演でラップ扱い)、そしてBailey Zimmermanが2曲とストリーミングでもポイントを取れるシンガーの台頭した分だけ、昨年よりも数が伸びた印象です。

 ラップと違い、リリース時点で注目を集められるアーティストは限定的ですが、代わりにシングルの持続力に優れています。この動きが年間チャートと相性が良いです。

 

 そして最多はポップス。いわばラップのスタート時の強さ、カントリーの持続性を両立させている点がとても優秀です。ラジオが重要な近年のチャートにおいて、ラジオの規模が最も大きいポップスが強いのは納得かもしれません。ちなみにポップスのうち4曲はクリスマス曲です。

 

 ラテンは(おそらく)過去最多。Bad Bunnyが前述のように、ラジオの枠組みにとらわれない活躍を見せたため、従来の規模を大きく押し上げることに成功しました。彼の7曲以外には、Karol Gの曲が2つエントリー。いずれも、スペイン語ヴァースのみながら、英語系のラジオのランキングにも食い込んだ点が目を引きます。

 

 Rock / Alternativeは6曲。2020年途中にAlternativeを加え、対象を拡張しています。このAlternative風味のある作風自体は、ストリーミングで人気がありますが、Alternative扱いにならない場合や、他ジャンルと被って(ここでのルール上)集計に入らないような場合もあります。

 

 ダンスは“Cold Heart”のみ。EDMブームが終わって以降は、数が少ないです。ただUS外では人気のあるジャンルで、そこで規模の大きいヒットがあればUSにも流入してくるため、今後もチョロチョロとはエントリーが見られると思います。来年も、David GuettaとBebe Rexhaの”I’m Good”が既に内定でしょう。

 

 これ以外にも、今年の途中から新設されたAfrobeats Songsというチャートがあります。今年はまだフルでの集計ではないので、ジャンルを個別に扱いませんでしたが、ここに該当する曲が今年は2曲年間チャートに入りました。(”Essence”と”love nwantiti”)。

 余談ですが、アフロビーツ系アーティストのファン活動は熱心なようで、それに伴いChart Data等のアカウントでも、このジャンルを取り扱う投稿が近年増えている印象です。様々な面で要注目のジャンルです。

 

 

5 アルバムチャート

 Hot 100に続いて、USアルバムチャート(Billboard 200)の年間チャートを見ていきます。まずはトップ10から。

 

1 Bad Bunny – Un Verano Sin Ti

2 Adele – 30

3 Morgan Wallen – Dangerous: The Double Album

4 Taylor Swift – Midnights

5 Taylor Swift – Red (Taylor’s Version)

6 Soundtrack – Encanto

7 Harry Styles – Harry’s House

8 Olivia Rodrigo – Sour

9 Drake – Certified Lover Boy

10 The Weeknd – The Highlights

 

 やはりストリーミングが中心。特に継続性の面ではストリーミングがカギとなります。非シングルが複数Hot 100に長く残るなど、ストリーミングでの継続性がとても高かったBad Bunnyが年間1位に輝きました。

 非英語作品がUSで年間アルバム1位になるのは史上初のこと。近年Bad BunnyやK-PopアーティストがUSで週間アルバム1位の常連になりつつあり、非英語作品がUSアルバム上位に入ることが珍しいのを忘れかけていました。「これが史上初」と聞くとなんだか意外な気がします。

 

 Hot 100と同様に積み上げが重要ですが、一方で初週とそれ以外の週の売上が(シングルと比べると)激しいため、初週の「ブースト」次第では多少リリース時期が遅くても上位に食い込むことも可能です。

 ”Midnights”がわずか集計2週ですが、セールスで桁違いの数字を記録したこともあり、年間4位に食い込んでいます。

 ちなみに上記のトップ10のうち、5作品がセールスでもトップ10にも入っています。昨年はこれが2作品のみだったので、セールスでポイントを稼ぐアルバムが今年は相対的に多かったと言えます。

 

 このトップ10を見て、他に注目したの点が2つ。まずはMorgan Wallen。昨年もアルバム1位だった作品ですが、今年もかなり上位。調査方法が現在のSoundscanになってから(1991~)では最長の週間トップ10滞在期間を更新するなど、持続性が際立ちます。

 初週から人気が高い、曲数が多い、ヒット曲も多いなど、ロングヒットする要素には確かに恵まれているのですが、それを考慮しても、ここまで持続力があるのは少し意外に感じます。複雑なため、詳細な説明は10章に回しますが、カントリーにおける「ジャンル聞き」が関係している可能性も考えられます。

 

 もう一つの注目点はThe Weekndのベストアルバム“The Highlights”。ベストアルバムの年間トップ10入りは2008年のGarth Brooks以来。少し珍しい記録です。

 ストリーミングで過去曲が人気を得る今は、他のアーティストがベストアルバムを出しても同じように人気を得る可能性が高いです。ただし、その分自分のオリジナルアルバムの成績低下につながる(ヒット曲の再生数の管轄がベストアルバムの方に移る)ため、マイナス面もあります。ちなみに、曲が複数アルバムで重複する場合、ストリーミングのカウントは純セールスが高い方のアルバムに行きます。

 The Weekndはこの“The Highlights”にヒット曲分のストリーミングを吸い取られながらも、”Starboy”が年間チャート入りに成功しました。今年ストリーミングで人気を得た”Stargirl Interlude”は”The Highlights”の方には入っていません。

 また、今年の”Dawn FM”は”The Highlights”後にリリースされたため、吸い取られていません。

 

(プラス解説)

・Morgan Wallen、Olivia Rodrigo、Drakeの該当作品は2年連続でトップ10入り

・Taylor Swiftは5年連続でトップ10入り

・Taylor Swiftの年間トップ10にダブルは、2019年のPost Malone以来

・”Encanto”によるサウンドトラックのトップ10入りは、2018年の”Greatest Showman”以来

・年間トップ5の過半数が女性によって占められるのは2019年以来

 

 

(その他のアルバムチャートのデータ)

・年間チャートにエントリー数が多いアーティスト

8 Taylor Swift

7 Drake

4 Bad Bunny, Post Malone, Juice WRLD, Rod Wave, Kanye West, Eminem, YoungBoy Never Broke Again

3 Adele, Harry Styles, The Weeknd, Lil Durk, Lil Baby, Kendrick Lamar, Luke Combs, Billie Eilish, Tyler, The Creator,

 

 ざっくりとですが、もし次のアルバムを出した際、大きくストリーミングを稼げそうなアーティストが過去作でも強い傾向を感じます。過去作にも注目が集まる=アーティストとしてのパワー、「引き」があるということなのでしょうか。

 

・10年以上前(2013年以前)の作品 (ベストアルバムは除く)

25 Kendrick Lamar – good kid, m.A.A.d city
57 NirvanaNevermind
59 Drake – Take Care
67 Kanye West – Graduation
84 AC/DC – Back In Black
90 Kid Cudi – Man On The Moon: The End Of Day
94 Michael Jackson – Thriller
97 Kanye West – The College Dropout
102 MetallicaMetallica
103 The BeatlesAbbey Road

 

 長いのでフルリストは、データ編の記事に移しました。Hot 100とは違いリカレントが無いため、過去作品も大量にエントリーしています。近年ストリーミングでは過去曲への注目度が高まっており、そのトレンドを観察できるので、興味深いです。

 

 

6 Global 200のハイライト

 2020年途中から出来たGlobal 200チャートにも触れていきます。Global 200とHot 100の大きな違いは4つあります。

 

1:USだけではなく、全世界が対象 (チャート名の通り)

2:週間チャートも年間チャートも200位まである (チャート名の通り)

3:ラジオが集計されない (基本的にストリーミングが主役)

4:リカレントルールが無い (過去曲が強い)

 

 以下がトップ10です。

1 Harry Styles – As It Was

2 Glass Animals – Heat Waves

3 The Kid LAROI & Justin Bieber – Stay

4 Elton John & Dua Lipa – Cold Heart (PNAU Remix)

5 Ed Sheeran – Shivers

6 Adele – Easy On Me

7 GAYLE – abcdefu

8 Ed Sheeran – Bad Habits

9 Imagine Dragons & JID – Enemy

10 The Weeknd & Ariana Grande – Save Your Tears

 

 USのヒットと似ています。最上位のヒットは広い地域で共通しているのでしょうか。違いを挙げるとすれば、リカレントが無いことで、“Save Your Tears”の順位が高めな点でしょうか。”Stay”と”Save Your Tears”は2年連続でトップ10に入っています。

 そのThe Kid LAROI、Justin Bieber、The Weeknd、Ariana Grandeに加え、Dua Lipaが2年連続でトップ10入りを果たしています。

 次に、どのアーティストが多くエントリーしているかを見ます。

 

20 Bad Bunny

10 The Weeknd

7 Ed Sheeran, Doja Cat

5 Dua Lipa

4 Justin Bieber, Imagine Dragons, BTS, Olivia Rodrigo, Rauw Alejandro, Post Malone

3 Harry Styles, Lil Nas X, Billie Eilish, Coldplay, Drake, Eminem

 

 ヒットシングルだけでなく、アルバム曲や過去曲等でプラスがあるとエントリー数が増えます。アルバムが全体的に驚異的な人気を集めたBad Bunnyが大量エントリー。うち15曲が今年のアルバムからのエントリー。

 一方、次点のThe Weekndは今年のアルバムからは3曲のみでしたが、過去曲人気が高く、合計で10曲がエントリーしました。

 以下、近年のヒットが多い印象のあるアーティストが並んでいます。シングルの継続力が反映されるチャートであると伺えます。ただしEminemのエントリーは全て2000年代前半の曲です。

 

 次にHot 100年間で入らなかったものの、Global 200では入る曲を見ていきます。

15 Farruko – Pepas
16 The Weeknd – Blinding Lights
21 Billie Eilish – Happier Than Ever
24 Lost Frequencies & Calum Scott – Where Are You Now
25 Coldplay & BTS – My Universe
31 Ed Sheeran – Perfect
33 Tom Odell – Another Love
34 The Neighbourhood – Sweater Weather
35 Bizarrap & Quevedo – Bzrp Music Sessions, Vol. 52
37 Tiësto & Ava Max – The Motto

 

 惜しくも年間入りを逃したような曲も、年間入りが遠そうな曲も両方見られます。USに比べて他国での人気が高いタイプの曲も多いですが、リカレントの有無の違いも大きそうに感じます。

 続いて、Hot 100の週間チャートにすら入った経歴が無いものの、Global 200年間入りを果たした曲を見ていきます。

 

24 Lost Frequencies & Calum Scott – Where Are You Now
33 Tom Odell – Another Love
56 Elley Duhé – MIDDLE OF THE NIGHT
69 Ruth B. – Dandelions
83 Shouse – Love Tonight
123 Cris Mj – Una Noche En Medellin
127 Polima WestCoast feat. Pailita – Ultra Solo
134 Arctic Monkeys – 505
148 AC/DC – Thunderstruck
158 James Hype & Miggy Dela Rosa – Ferrari

 

 昨年と同様、ヨーロッパ圏でヒットする曲(主にダンス)と、ラテン曲がギャップになっています。また、ここでも新しい傾向として、「発掘された過去曲」が見られます。ストリーミングで人気を得たとしても、Hot 100においては下位でのエントリーが不可能なルールや、新曲以外には厳しいラジオの存在などもあり、例え「新たにヒットした過去曲」でも不利になりやすいです。ただ、今年の後半からこれは改善傾向が見られるようになりました。

 

 その他、194位にAimerの『残響散歌』がランクイン。昨年は日本語の曲が3つランクインしていたのですが、今年はこの曲のみでした。

 

 

7 US固有のヒット?

 逆に、Hot 100の年間チャートで入っていたのにGlobal 200年間に入っていなかったUS固有のヒットを探ります。

 

(↓Hot 100順位)

19 Morgan Wallen - Wasted on You
27 Morgan Wallen - You Proof
35 Walker Hayes - Fancy Like
36 Luke Combs - The Kind of Love We Make
70 Bailey Zimmerman - Rock and a Hard Place
76 Taylor Swift - All Too Well (Taylor's Version)

……を除く全てのカントリー曲(全19曲)が圏外

 

 やはりカントリー。US以外での人気が低く、そして大きなポイント源のラジオがなくなるため、最もGlobal 200で弱体化するジャンルです。

 

43 Lil Baby – In A Minute
57 Muni Long – Hrs And Hrs
81 Lil Durk feat. Morgan Wallen – Broadway Girls
83 Lil Durk feat. Gunna – What Happened To Virgil
84 Future – PUFFIN ON ZOOTIEZ

 

 同様にラップもUS以外での人気が低い場合があります。ただカントリーよりはラジオ分のマイナスの影響は少ないです。ラップの中でも、ポップから遠い曲はUS以外に広がらない印象です。ポップへの浸透度は、ラジオのオンエア以外にも、海外進出にも重要な指標なのです。

 

32 Em Beihold – Numb Little Bug
62 Wizkid feat. Justin Bieber & Tems – Essence
97 JNR CHOI & Sam Tompkins – To The Moon!

 

 ラジオで強みを発揮した曲で、ストリーミングが足りなかった曲です。”To The Moon!”はUKラッパーによる曲ながら、USのラジオで重宝され、ピーク順位もUS>UKという不思議なヒットでした。

 

その他

89 Burl Ives – A Holly Jolly Christmas

(クリスマス曲が人気なのは両方のチャートで同じですが、曲に微妙な違いがあります)

 

 

8 ラジオ、ストリーミングの低い曲

 

 この章から内容がマニアック気質になります。まずは、ラジオ、ストリーミングで週間50位以内に入らなかったものの、年間チャートまでこぎつけた曲を見ていきます。

 

・ラジオ圏外曲 (ジャンル別ラジオの順位)

20 Bad Bunny & Chencho Corleone - Me Porto Bonito (ラテン1)
24 Encanto - We Don’t Talk About Bruno (ポップ24、アダルトポップ20、アダルトコンテンポラリー17)
39 Zach Bryan - Something in the Orange (カントリー39*)
53 Encanto - Surface Pressure (なし)
69 Bad Bunny - Efecto (なし)
70 Bailey Zimmerman - Rock And a Hard Place (カントリー52*)
76 Taylor Swift - All To Well (Taylor’s Version) (アダルトポップ25)
77 Bad Bunny & Rauw Alejandro - Party (ラテン24)
78 Bad Bunny - Después de la playa (ラテン22)
81 Lil Durk feat. Morgan Wallen - Broadway Girls (なし)
84 Future - PUFFIN ON ZOOTIEZ (なし)
87 Bad Bunny & Estéreo - Ojitos Lindos (なし)
91 Russell Dickerson feat. Jake Scott - She Likes It (カントリー16)
96 EARNEST feat. Morgan Wallen - Flower Shops (カントリー18)

*集計期間後にはもっと好成績を記録

 

 ここに挙がる曲は、ラジオで不遇 or そもそもシングルではない曲ながらも、ストリーミングでの奮闘でHot 100に到達した曲です。特に“We Don’t Talk About Bruno”は不遇という言葉が似合う曲だったかもしれません。

 ラジオでのシングル化、という公認のお墨付きを得ずとも、ストリーミング中心に自力で年間チャートに到達する曲の健闘ぶりは、個人的に魅了されるチャートアクションです。

 ちなみに、“She Likes It”はStreaming Songsに入ったのが1週のみと、少し事情が違います。この曲は次の9章で主に触れます。

 

 際立つのはBad Bunny。全くラジオでオンエアされていないような曲もあり、その他の曲でも規模の小さいラテン系ラジオでしかオンエアされていないようなものも多いです。(英語系ラジオまで飛び火したのは、“Moscow Mule”(短い期間)、“Tití Me Preguntó”(主に2022年間集計終了後)くらい)英語ではないことはラジオでのオンエアにおいてはマイナスに働く場合が今でも多いようです。同じラテン曲でも、英語ヴァースが混ざっているとポップ系等のラジオでも好んでオンエアされるのですが、Bad Bunnyのアルバムにはそのような曲は無いです。

 ラジオが強いHot 100において、ラジオシングルカットの方針に振り回されずに自力でポイントを稼ぎきったBad Bunnyには盛大な拍手を送りたいです。

 

・ストリーミング圏外

82 Parmalee - Take My Name

93 Scotty McCreery - Damn Strait

97 JNR Choi & Sam Tompkins - To The Moon!

記事全体的に、年間チャートではラジオが強力!という説明が多いですが、意外と極端にストリーミングが弱い曲も少ないようです。ただ、いくつかのカントリー曲は1週だけStreaming Songs入りするという動向を見せています。たまたまなのか、何かメカニズムがあるのか気になるところです。

 

(おまけ)

年間ラジオ/ストリーミングのトップ10が、年間Hot 100で平均何位か?

2022 ラジオ:平均6.9位 ストリーミング:平均13.8位(以下同)

2021 R:7.1 S:9.6

2020 R:8.6 S:9.5

2019 R:9.2 S:12.4(外れ値の”Baby Shark”を含む)

2018 R:10.0 S:6.6

2017 R:10.8 S:7.2

 ストリーミング→ラジオへのバランス変換が見られます。

 

 

9 リカレント回避法

 Hot 100の年間チャートは、集計期間中に合計でどれだけ売れたか?を計測していると思われがちですが、これは微妙に違います。「Hot 100圏外の期間を除いた」ポイントの合計でランク付けされます。

 チャートから外されるのも、基本売上等の動向と合わせて行われ、年間チャートは「集計期間中にどれだけ売れたか?」をベースとしているのは間違いないのです。しかし、チャートから外れる/外れないの微妙な違いで、大きく年間順位が異なってくるケースがいくつか見られるのです。

 

 ここでチャートから外れるルールをおさらいします。21週目以降に51位以下、または53週目以降に26位以下に落ちると、リフレッシュを目的にチャートから外されます。これが「リカレントルール」です。また、過去曲も51位以下には登場できない仕様になっています。(ただ、「過去曲」が何を指しているかは非常に曖昧)

 

 このルールゆえ、最後の週が50位か51位かで、年間順位が変わってくるようなケースもありえるわけです。ただ、近年の年間チャートで起こっているのはそんな「時の運」のような次元の話ではないのです。

 

 このリカレントルールには抜け道が存在します。上昇の見込みがあれば、51位以下等の条件を満たしてもチャートに残留できるのです。1回外されると、復帰は明確な上昇が無い限り厳しくなるので、それを救済するための措置です。

 しかし、やはりながら(?)この「上昇」の判断も非常に曖昧です。Hot 100のポイントがマイナスでも「上昇判定」で残留することが少なくないのです。この場合、上昇の根拠はラジオの上昇にあると推測されます。

 ラジオ導入が他の国のチャートに無い特徴であるゆえか、ビルボードはラジオを重視しているように感じます。(例えば、Best Songsのチョイスなど。長いので補足に回します)*3この考え方は現在のチャートにも反映されており、ラジオでまだ上昇しているのならば、曲としての旬はまだまだ先で、チャートに残すべき、となるのだと思われます。

 しかし実際には、綺麗にラジオの上昇に合わせてHot 100のピークを伸ばしていくような曲は現在は決して多数派ではないため、不思議な曲を残留させているケースが出てきます。

 また、その「ラジオの上昇」といってもラジオ自体はマイナスでも残留している場合すらあります。「全体ではマイナスだが、特定の系統では伸びているからセーフ」という理屈のようです。

 この不思議な現象がよく起こるのはカントリー曲です。カントリーはラジオのサイクルが完結するまでのスピードが非常にゆっくりです。そして再生数が伸びているのか分かりづらい「横ばい」な時期があります。Hot 100滞在20週目でそのような状況を迎えると、だいたい上昇判定をされ、チャートに残留します。

 しかし実態は「横ばい」のため、ルールの目的で期待されているような浮上は果たせません。従来のピークを上回らない場合も多いです。

 今年この状態を経て、年間チャートに入った3曲(“She Likes It”、”Flower Shops”、“Circles Around This Town”)は、特例措置の21週以降にはピークを更新しておらず、またこの期間抜きでは年間チャートに入るポイントが足りなかった推測されます。つまり、このビルボードの不思議な判定が、曲を年間チャートに導いたと言えます。

 明確にラジオがマイナスとなれば、その際はさすがに特例の残留は終わります。しかし“She Likes It”の場合、最後の週が94位だったため、上昇判定が無くなって外れたのか、普通にポイントが100位圏外になって外れたのか不明瞭です。

 

 まとめると、リカレントルールの判断とラジオの上昇スピードの妙で、カントリー曲が年間チャートにたどり着いた、という話です。

 

 そして実は、解釈次第ではありますが、リカレントの妙を活用して年間チャート入りを果たしているジャンルがもう一つあります。それはクリスマス曲です。

 クリスマス曲は大半の時期では注目度皆無ですが、冬になると一気に注目度が増して、2ヶ月弱で一気に年間チャート相当のポイントを稼いでしまう、という猛者です。クリスマス期になると週間ポイントが50位以上相当となり、チャートに復帰できるという点が鍵になっています。

 しかし実はその裏で、どの週でも明確な上昇はなくHot 100入りこそしないものの、十分なポイントを稼ぎ、年間チャート相当の数字を記録している曲も存在します。

 クリスマス曲の稼ぎ頭はストリーミングですが、その最高位の“All I Want for Christmas Is You”がStreaming Songsで年間38位。一方で同じく過去曲の、Chris Stapletonの”Tennessee Whiskey”は同19位*4ながらも、今年は1週もHot 100入りせず、年間チャートにも入っていないのです。

 つまり同等以上のヒット度であっても、通年で安定してヒットするより、特定の時期だけヒットすると年間チャートに入れる、ということになります。年間チャートでは一般的に、ラジオ等で長い期間安定感がある曲が瞬発的なヒットよりも上位に来やすいですが、ここでは逆のような現象が起きている、とも言えそうです。

 このようなビルボードの仕様の妙で、年間チャート順位が変わり、純粋なヒット度が反映されていない場合もあるのです。

 

 

10 チャートの今後へ?

 

 ビルボードはHot 100の計算方式を調整する時があります。近年の大きなアップデートでいうと、YouTubeの非公式動画を計算から外す、抱き合わせシングル販売の制限などでしょうか。

 では、今後大きくインパクトを起こしそうな変化はなんでしょうか。それはTikTokでしょう。チャート系アカウント、Talk of The Chartsも「今後チャートに大きな変化をもたらし得るのは、TikTokまたは(かつて集計から外れた)YouTubeのユーザー動画の復活」と述べています

 もちろん、その規模からして大きな変化が起きるのは間違いないでしょうが、導入にはハードルもありそうです。まず、非公式音源の存在、複雑な合成音源、さらに曲が判別不明なもの……など、どうやったら集計を正確に行えるか、公平になるかの技術的な問題があります。さらに、ストリーミングでは一般的に再生数カウントに30秒以上必要なのに対し、TikTokで一般的な30秒未満の動画をカウントして良いのか?という問題点もあります。

 規模的には無視できない存在なのは間違いないですが、Hot 100に導入される可能性はなんともいえないところです。

 

 しかしこれ以外に、私はもう一つ注目している分野があります。それはLimited-Tier Paid Subscriptionです。RIAAアメリカレコード協会)の売上データベースには存在する区分で、全体の6.1%を占めています。(いずれも3%台のDLやCDよりは高い)

Hot 100が、これを集計区分として分離させているという話は聞いたことがないです。(そもそも、Hot 100は正式に集計方法を公開していませんが)

 このLimited-Tier Paid Subscriptionとは、有料ストリーミングながら、何かしらの制限があるもので、RIAAレポートではAmazon Music、Pandora Music Plus、フィットネス媒体が例として挙げられています。

 どのようにLimitedされているかまでの説明は見当たりませんでしたが、その分値段が安い、聞き方に制限がある(受動的になる)等の、集計比率を下げる理由はあると推測されます。このRIAAの区分に今後Hot 100が追随し、通常のストリーミングと区別して弱体化される可能性もゼロではないかも?と私は考えたのです。

 

 なぜ唐突に年間チャートの記事でこんな話を始めたかというと、ここの変更により9章で述べた問題を緩和し得る可能性があるのです。

 RIAAレポートでは例として、Amazon MusicとPandora Music Plusが挙げられていました。そしてその最初に挙げられているAmazon Musicではカントリー曲とクリスマス曲が人気なのです。(Pandoraは受動的ストリーミング扱いで、既にHot 100では低く集計されています)

 カントリー曲がラジオよりも先にHot 100でピークを迎えるのはストリーミングが理由で、かつAmazon Musicが主体と考えられるので、ここを調整することで、ラジオとピークが揃い、歪なチャートアクションを減らせる可能性があります。

 また、ストリーミングでは、バイラルする曲以外は、リリース時点から注目されるようなアーティストの曲に人気が集中するのが常です。Morgan WallenやLuke Combs等の一部を除き、リリース時点から注目を集められるカントリーシンガーは少ないですが、それでもバイラル抜きで「浮上」できるのは「ジャンルをかけて」というオーダーが入っているからでは?と推測しています。つまり「リストに入る曲」という限られた選択肢から曲が選ばれるため、人気が分散せずに、次第に人気が集まるような動きが実現可能になるということです。(一応、特別カントリー人気が高いわけではないApple Musicでもカントリーのプレイリストが上位に入る、などの根拠はゼロではないですが、まだまだ仮説の域を出ません)

 この考え方は、カントリーのリスナーが従来ラジオでしていた習慣をそのままストリーミングでも実行できて、近年カントリーのストリーミングが伸びていることの説明にもなる可能性があります。

 

 さらにこれは、アルバムチャートの項で述べたMorgan Wallenの話ともつながるかもしれません。つまりストリーミングの優秀さゆえ、ジャンルの「リスト」にも入ることが容易です。その「ジャンル再生」分が、またアルバム安定した再生として返ってくる、という仮説です。

 またこの説明、Bad Bunnyにも当てはまるかもしれません。ラテン曲の徐々に上昇するチャート動向は、カントリーと似たものを感じていて、もしかしたら似たような恩恵を得てそのうちMorgan Wallenの記録を超えるかもしれません。ただ、新アルバムが出るとそれと競合して、記録が止まってしまうかもしれませんが。

 

 2018年にクリスマス曲がHot 100で規模を拡大した時、ビルボードはHey Siriがヒットに寄与したとの記事を出していました。現在もクリスマス期は、普段のAppleSpotifyの影響力が弱まるチャートになっている印象(Hot 100でもGlobal 200でも)で、この効果も今も続いているのだと推測されます。

(仮に「(ジャンル名)をかけて/(アーティスト名)をかけて」のような使い方であるとしたら、実態は既に低く集計されているラジオ型と同じのため、そのような側面からもポイントを下げる理由になり得ます)

 

 近年クリスマス曲の規模がここまで大きいのは、普段と違う層が調査に入ってくるだと推測しています。おそらく子どもが無限に再生して、“Baby Shark”がHot 100入りするのと原理は近いのでは?と考えています。従来は集計の網に引っかからなかったような音楽消費が、消費方法や集計技術の変化によって、新たに含まれたということです。

 以前からストリーミングにいるリスナーのクリスマス曲再生数を急に大きく増やすとは考えづらいですし。

 

 9章の話をもう1回整理します。

 上昇しているか微妙な曲を残し続けているのは、違和感があります。実際にピークが更新されるケースも少ないため、検討の余地がありそうです。

 また、クリスマス曲に関しても、同じことが毎年繰り返されているので、この期間はチャートへの関心が下がってしまうでしょう*5。クリスマス曲が枠を多く占めてしまう以上、他の曲のチャンスも減ってしまいます。なんだかクリスマス期は「チャートの冬眠期」のように感じます。*6

 さらに、他の曲の上位進出/Hot 100入りが困難になることでチャートに近年関心を持つようになった熱心なスタンたち(ビルボードはこの層に向けて記事を書くことが多い印象)にとってもマイナスになっているでしょう。(もちろん、ごく一部のクリスマスで強いアーティストは例外ですが)

 これはチャートとして痛いのでは?と思いつつも、週間チャートでも年間チャートでも調整が全然入りません。*7

(ただ、個人的にはクリスマスの曲自体は、現行ヒットを上回るような良い曲もあると考えていますが)

 

 なんというか、近年のチャート(ほかビルボードの一部の動向)には個人的に違和感を覚える箇所があります。それを様々な側面から解決法を探ってみましたが、個人で得られるデータはとても少なく、どうしても推測が多い形になってしまいます。この推測の多さから、特に10章で語った内容がどこまで的を射ているのかは、微妙なところです。

 もちろんシングル抱き合わせDL等、きちんと調整を行っている部分もあるのですが、それでも残る違和感、もどかしさは多いです。このような違和感を「トリック」と捉えて、それを解き明かすのを楽しんでいるような感覚もありますが、どうなんでしょうね。

 

 チャートを見ていると、もどかしい。しかし個人で得られるデータも少ないため、それを解決する/考えるための材料も足りなくて、またこれも、もどかしい。というのが10章のまとめです。

 10章はなんだかあまり年間チャートに関係ない、私のお気持ち表明大会のようになってしまいましたが、年間チャートが、普段私がチャートに抱いている考えを吐露しようとするきっかけになった、ということでご笑納お願いします。

 

 

おまけ

2022 年間トップ10 半年前予想(Hot 100) - チャート・マニア・ラボ

 半年前予想の答え合わせです。結果は……

1 Glass Animals – Heat Waves ✔
2 The Kid LAROI & Justin Bieber – Stay
3 Harry Styles – As It Was
4 Kodak Black – Super Gremlin
5 Ed Sheeran – Shivers ✔
6 Justin Bieber – Ghost
7 Adele – Easy On Me
8 Ed Sheeran – Bad Habits ❌
9 Latto – Big Energy
10 Jack Harlow – First Class

 

……9正解、2ピタリです。近年はロングヒットが強く、半年前時点でも当てやすくなっているので、頑張ればそろそろ全正解も出せるかも???

 

・参照

https://www.billboard.com/charts/year-end/

https://www.billboard.com/charts/hot-100/ (Hot 100)

https://www.billboard.com/artist/bad-bunny/ Billboard + アーティスト名で検索すると、過去のチャート成績が閲覧できます(例としてBad Bunnyのリンクを掲載) 

Glass Animals’ ‘Heat Waves’ Top Hot 100 Song, Bad Bunny Top Artist – Billboard (年間チャート総括記事)

https://charts.spotify.com/charts/view/regional-us-daily/latest

Top 100: USA on Apple Music

https://kworb.net/

U.S. Sales Database - RIAA

 

*1:いつ以来?または初かのデータは不在。少なくとも最近でそのような年は浮かびません

*2:密かに、今年のGlobal 200で年間170位

*3:ビルボードは昨年のベストアルバム上位に”Planet Her”を選んだにも関わらず、今年のベストソングに“Woman”を選んでいます。曲としては昨年に認識しているはずなのに、今年またセレクトしているのは、ラジオでヒットしたのが今年だからです。例年このような「明確に昨年の曲ながらも、ラジオでヒットしたのは今年」の曲をいくつか選ぶ傾向があり、ここからラジオでのシングルカットこそ、曲が「リリースされた瞬間」のような考え方が垣間見えるわけです。

*4:ストリーミング以外が低いから年間チャートポイントが足りていないのではないか?と考えるかもしれませんが、ストリーミング以外の稼ぎが全く期待できないBad Bunnyのアルバム曲がStreaming Songsでこれより低い順位のため、水準的には十分だと思われる

*5:少し前の、控えめな規模のクリスマス動向の時は少し好きでした。年末にクリスマス曲がいくつか入ることで、下位の既存曲を一部押し出し、チャートをリフレッシュしながら新年に向かっていく感じが、流動システムとして面白い調整になっているな、と思っていたのです

*6:ストリーミング人気のあるアルバム曲の大量登場も同列に考えている方もいるかもしれませんが、①繰り返しでないこと、②長くは続かないこと、③多くのアーティストにチャンスがあること、④従来の枠組みを変化させるエネルギーがある 等の理由から、個人的にはむしろ好きな動向です。

*7:クリスマス曲に関しては、無料ストリーミングを集計しないのが、良い調整になるのでは?と推測しています

Billboard Year-End 2022 補足データ表

 

 ビルボードの各種年間チャートが発表されました。それに関して、私がまとめた補足データ集です。

 

※年間チャート記事(現在編集中)を補足するデータ集です。補足データが多いため、メイン記事とは個別に分けています。メイン記事より先に補足データが一通り揃ったので、メイン記事よりも先にこっちをアップした、ということです。

(12/20)アップロードされました↓

 

 

※文章で今年を振り返りたい場合、他にも↓の記事があります

2022 週間USチャート トピック振り返り - チャート・マニア・ラボ

 

 

 

 

①:年間チャートとその週間チャートでの成績

(集計期間内での成績:昨年11/20~11/12)

("昨年"は昨年の年間チャートでの順位)

(括弧内にある *の数字は1位に滞在した週数)

 

スマホでグラフ右側がうまく見られない方へ:まず枠外を右にずらし、その後グラフ内を右にずらすと見られると思います

※去年まで使っていたExcelのツールが起動しなくなったので、表が質素になりました、残念、、、

 

アーティスト 曲名 ピーク 週数 昨年
1 Glass Animals Heat Waves 1 (*5) 49 16
2 Harry Styles As It Was 1 (*15) 31  
3 The Kid LAROI & Justin Bieber Stay 2 46 12
4 Adele Easy on Me 1 (*7) 27  
5 Ed Sheeran Shivers 4 44  
6 Jack Harlow First Class 1 (*3) 28  
7 Latto Big Energy 3 49  
8 Justin Bieber Ghost 5 46  
9 Kodak Black Super Gremlin 3 42  
10 Elton John & Dua Lipa Cold Heart (Pnau remix) 7 43  
11 Future feat. Drake & Tems WAIT FOR U 1 (*2) 29  
12 Lizzo About Damn Time 1 (*1) 27  
13 Ed Sheeran Bad Habits 4 37 15
14 Lil Nas X Thats What I Want 8 38  
15 Imagine Dragons & JID Enemy 5 36  
16 Lil Nas X & Jack Harlow INDUSTRY BABY 3 27 24
17 Gayle abcdefu 3 25  
18 Doja Cat Need to Know 8 27 46
19 Morgan Wallen Wasted on You 11 32  
20 Bad Bunny & Chencho Corleone Me Porto Bonito 6 26  
21 Doja Cat Woman 7 38  
22 Bad Bunny Tití Me Preguntó 5 26  
23 Kate Bush Running Up That Hill (A Deal with God) 3 20  
24 Carolina Gaitán, Mauro Castillo, Adassa, Rhenzy Feliz, Diane Guerrero, Stephanie Beatriz & the Encanto cast We Don't Talk About Bruno 1 (*5) 20  
25 Harry Styles Late Night Talking 3 24  
26 Post Malone feat. Doja Cat I Like You (A Happier Song) 3 22  
27 Morgan Wallen You Proof 5 25  
28 Steve Lacy Bad Habit 1 (*3) 18  
29 Nicky Youre & Dazy Sunroof 4 23  
30 Post Malone & the Weeknd One Right Now 6 27  
31 Olivia Rodrigo good 4 u 13 26 5
32 Em Beihold Numb Little Bug 18 32  
33 Drake feat. 21 Savage Jimmy Cooks 1 (*1) 20  
34 Cody Johnson Til You Can't 18 32  
35 Walker Hayes Fancy Like 7 25 27
36 Luke Combs The Kind of Love We Make 8 20  
37 OneRepublic I Ain't Worried 6 21  
38 Beyoncé BREAK MY SOUL 1 (*2) 18  
39 Zach Bryan Something in the Orange 12 28  
40 The Weeknd & Ariana Grande Save Your Tears 16 22 2
41 Silk Sonic (Bruno Mars & Anderson .Paak) Smokin out the Window 5 20  
42 Dua Lipa Levitating 12 20 1
43 Lil Baby In a Minute 14 28  
44 Bad Bunny Moscow Mule 4 23  
45 Doja Cat & the Weeknd You Right 14 24 43
46 Cole Swindell She Had Me at Heads Carolina 16 23  
47 Doja Cat Vegas 10 22  
48 Gunna & Future feat. Young Thug pushin P 7 20  
49 Jordan Davis & Luke Bryan Buy Dirt 22 24  
50 SZA I Hate U 7 21  
アーティスト 曲名 ピーク 週数 昨年
51 Dove Cameron Boyfriend 16 24  
52 Joji Glimpse of Us 8 20  
53 Jessica Darrow Surface Pressure 8 19  
54 Bailey Zimmerman Fall in Love 29 27  
55 CKay love nwantiti (Ah Ah Ah) 26 22  
56 Nicki Minaj Super Freaky Girl 1 (*1) 12  
57 Muni Long Hrs and Hrs 16 20  
58 Morgan Wallen Sand in My Boots 30 25  
59 Becky G & Karol G MAMIII 15 20  
60 Drake feat. 21 Savage & Project Pat Knife Talk 23 20 86
61 Walker Hayes AA 28 24  
62 Megan Thee Stallion & Dua Lipa Sweetest Pie 15 21  
63 Karol G Provenza 25 21  
64 Wizkid feat. Tems Essence 15 17 60
65 Mariah Carey All I Want for Christmas Is You 1 (*1) 7 78
66 Camila Cabello feat. Ed Sheeran Bam Bam 21 20  
67 Tyler Hubbard 5 Foot 9 22 21  
68 Doja Cat Get Into It (Yuh) 20 24  
69 Bad Bunny Efecto 34 22  
70 Bailey Zimmerman Rock and a Hard Place 24 21  
71 Luke Combs Doin' This 26 23  
72 Adele Oh My God 5 16  
73 Neiked, Mae Muller & Polo G Better Days 23 17  
74 The Anxiety: Willow & Tyler Cole Meet Me at Our Spot 27 18  
75 Lauren Spencer-Smith Fingers Crossed 19 19  
76 Taylor Swift All Too Well (Taylor's Version) 1 (*1) 15  
77 Bad Bunny & Rauw Alejandro Party 14 20  
78 Bad Bunny Después de la Playa 6 20  
79 Chris Stapleton You Should Probably Leave 28 18  
80 Brenda Lee Rockin' Around the Christmas Tree 2 6 92
81 Lil Durk feat. Morgan Wallen Broadway Girls 14 20  
82 Parmalee Take My Name 22 20  
83 Lil Durk feat. Gunna What Happened to Virgil 22 20  
84 Future Puffin on Zootiez 4 19  
85 Kane Brown Like I Love Country Music 26 20  
86 Bobby Helms Jingle Bell Rock 3 6  
87 Bad Bunny & Bomba Estéreo Ojitos Lindos 26 20  
88 Jason Aldean Trouble with a Heartbreak 32 20  
89 Burl Ives A Holly Jolly Christmas 4 6  
90 Doja Cat feat. SZA Kiss Me More 19 13 6
91 Russell Dickerson feat. Jake Scott She Likes It 63 30  
92 Cole Swindell & Lainey Wilson Never Say Never 27 20  
93 Scotty McCreery Damn Strait 32 20  
94 Tate McRae she's all i wanna be 44 20  
95 Jon Pardi Last Night Lonely 27 20  
96 Ernest feat. Morgan Wallen Flower Shops 64 26  
97 Jnr Choi & Sam Tompkins To the Moon 38 20  
98 Sam Smith & Kim Petras Unholy 1 (*1) 6  
99 Kane Brown One Mississippi 36 18  
100 Maren Morris Circles Around This Town 52 25  
アーティスト 曲名 ピーク 週数 昨年

 

 

② ラジオ・DL・ストリーミングの年間成績

 Hot 100の年間チャート入りを果たした曲の、ラジオ、DL、ストリーミングでの年間

成績です。(R=ラジオ、D=DL、S=ストリーミング。Hot 100とは違い、順位は75位まで)

アーティスト 曲名 R D S
1 Glass Animals Heat Waves 2 18 1
2 Harry Styles As It Was 4 8 2
3 The Kid LAROI & Justin Bieber Stay 1 50 9
4 Adele Easy on Me 5 11 11
5 Ed Sheeran Shivers 7 5 25
6 Jack Harlow First Class 11 17 8
7 Latto Big Energy 6 3 55
8 Justin Bieber Ghost 3 27 70
9 Kodak Black Super Gremlin 35   3
10 Elton John & Dua Lipa Cold Heart (Pnau remix) 12 1 26
11 Future feat. Drake & Tems WAIT FOR U 25   4
12 Lizzo About Damn Time 10 2 22
13 Ed Sheeran Bad Habits 8 31 47
14 Lil Nas X Thats What I Want 9    
15 Imagine Dragons & JID Enemy 17 33 34
16 Lil Nas X & Jack Harlow Industry Baby 16 71 17
17 Gayle abcdefu 21 4 18
18 Doja Cat Need to Know 13   41
19 Morgan Wallen Wasted on You 23 21 14
20 Bad Bunny & Chencho Corleone Me Porto Bonito     5
21 Doja Cat Woman 14    
22 Bad Bunny Tití Me Preguntó     6
23 Kate Bush Running Up That Hill (A Deal with God) 28 6 20
24 Carolina Gaitán, Mauro Castillo, Adassa, Rhenzy Feliz, Diane Guerrero, Stephanie Beatriz & the Encanto cast We Don't Talk About Bruno 13 7
25 Harry Styles Late Night Talking 18   37
26 Post Malone feat. Doja Cat I Like You (A Happier Song) 20 36 30
27 Morgan Wallen You Proof 58 14 13
28 Steve Lacy Bad Habit 43   15
29 Nicky Youre & Dazy Sunroof 15 42 61
30 Post Malone & the Weeknd One Right Now 19 60  
31 Olivia Rodrigo good 4 u 22   75
32 Em Beihold Numb Little Bug 24 43  
33 Drake feat. 21 Savage Jimmy Cooks     16
34 Cody Johnson Til You Can't 41 12  
35 Walker Hayes Fancy Like 46 7 29
36 Luke Combs The Kind of Love We Make 45 28 27
37 OneRepublic I Ain't Worried 38 20 40
38 Beyoncé BREAK MY SOUL 29 15 57
39 Zach Bryan Something in the Orange   12
40 The Weeknd & Ariana Grande Save Your Tears 30   10
41 Silk Sonic (Bruno Mars & Anderson .Paak) Smokin out the Window 32 66  
42 Dua Lipa Levitating 26 40 32
43 Lil Baby In a Minute     43
44 Bad Bunny Moscow Mule     21
45 Doja Cat & the Weeknd You Right 27    
46 Cole Swindell She Had Me at Heads Carolina 48 22 56
47 Doja Cat Vegas 39 49 54
48 Gunna & Future feat. Young Thug pushin P     31
49 Jordan Davis & Luke Bryan Buy Dirt 44 29  
50 SZA I Hate U 66   51
アーティスト 曲名 R D S
51 Dove Cameron Boyfriend 31    
52 Joji Glimpse of Us     36
53 Jessica Darrow Surface Pressure   32 24
54 Bailey Zimmerman Fall in Love   38 42
55 CKay love nwantiti (Ah Ah Ah) 36    
56 Nicki Minaj Super Freaky Girl   10 48
57 Muni Long Hrs and Hrs 73   58
58 Morgan Wallen Sand in My Boots 42 46  
59 Becky G & Karol G MAMIII     64
60 Drake feat. 21 Savage & Project Pat Knife Talk     23
61 Walker Hayes AA   9  
62 Megan Thee Stallion & Dua Lipa Sweetest Pie 33    
63 Karol G Provenza     44
64 Wizkid feat. Tems Essence 34    
65 Mariah Carey All I Want for Christmas Is You 63 38
66 Camila Cabello feat. Ed Sheeran Bam Bam 51 41  
67 Tyler Hubbard 5 Foot 9 67    
68 Doja Cat Get Into It (Yuh) 37    
69 Bad Bunny Efecto     28
70 Bailey Zimmerman Rock and a Hard Place   37 33
71 Luke Combs Doin' This   51  
72 Adele Oh My God 61    
73 Neiked, Mae Muller & Polo G Better Days 52    
74 The Anxiety: Willow & Tyler Cole Meet Me at Our Spot   44  
75 Lauren Spencer-Smith Fingers Crossed      
76 Taylor Swift All Too Well (Taylor's Version) 34 66
77 Bad Bunny & Rauw Alejandro Party     39
78 Bad Bunny Después de la Playa     50
79 Chris Stapleton You Should Probably Leave 53 65  
80 Brenda Lee Rockin' Around the Christmas Tree 46
81 Lil Durk feat. Morgan Wallen Broadway Girls   52 45
82 Parmalee Take My Name 47    
83 Lil Durk feat. Gunna What Happened to Virgil    
84 Future Puffin on Zootiez     53
85 Kane Brown Like I Love Country Music 72 57  
86 Bobby Helms Jingle Bell Rock     49
87 Bad Bunny & Bomba Estéreo Ojitos Lindos     35
88 Jason Aldean Trouble with a Heartbreak 55    
89 Burl Ives A Holly Jolly Christmas     52
90 Doja Cat feat. SZA Kiss Me More 54    
91 Russell Dickerson feat. Jake Scott She Likes It      
92 Cole Swindell & Lainey Wilson Never Say Never      
93 Scotty McCreery Damn Strait 59    
94 Tate McRae she's all i wanna be      
95 Jon Pardi Last Night Lonely 56    
96 Ernest feat. Morgan Wallen Flower Shops      
97 Jnr Choi & Sam Tompkins To the Moon 60    
98 Sam Smith & Kim Petras Unholy   24 62
99 Kane Brown One Mississippi 65    
100 Maren Morris Circles Around This Town    
アーティスト 曲名 R D S

 

 

③ ラジオ・DL・ストリーミングで年間入りもHot 100年間に入らない曲

 ラジオ、DL、ストリーミングの年間チャート(75位まで)に入ったけど、Hot 100の年間チャートに入らなかった曲です。

 

ラジオ

40 Sia – Unstoppable
49 Blxst & Tyga feat. Ty Dolla $ign – Chosen
50 Dustin Lynch feat. Lauren Alaina or MacKenzie Porter – Thinking ‘Bout You
57 Sam Hunt – 23
62 Mitchell Tenpenny – Truth About You
63 Justin Moore – With A Woman You Love
64 Kelsea Ballerini feat. Kenny Chesney – Half Of My Hometown
68 Shawn Mendes – When You’re Gone
69 Jimmie Allen & Brad Paisley – Freedom Was A Highway
70 Michael Ray – Whiskey And Rain
71 Ingrid Andress & Sam Hunt – Wishful Drinking
74 Dierks Bentley, BRELAND & HARDY – Beers On Me
75 Chris Young & Mitchell Tenpenny – At The End Of A Bar

 

DL

16 Sia – Unstoppable
19 Lady Gaga – Hold My Hand
23 Elton John & Britney Spears – Hold Me Closer
25 David Guetta & Bebe Rexha – I’m Good (Blue)
26 benny blanco, BTS & Snoop Dogg – Bad Decisions
30 Charlie Puth feat. Jung Kook – Left And Right
35 Jelly Roll – Son Of A Sinner
39 Katy Nichole – In Jesus Name (God Of Possible)
45 Nicki Minaj & Lil Baby – Do We Have A Problem?
47 Coldplay & BTS – My Universe
48 BTS – Yet To Come
53 Jax – Victoria’s Secret
54 Kane Brown & Katelyn Brown – Thank God
55 John Rich – Progress
56 Tiësto & Ava Max – The Motto
58 JIN – The Astronaut
59 HARDY feat. Lainey Wilson – wait in the truck
61 Juice WRLD & SUGA – Girl Of My Dreams
62 Eminem – Lose Yourself
64 Kid Rock – We The People
67 State Of Mine & Drew Jacobs – God’s Country
68 Marshmello & Khalid – Numb
69 Russ feat. Ktlyn – HANDSOMER
70 Morgan Wallen – Don’t Think Jesus
72 Fleetwood Mac – Everywhere
73 Walker Hayes – U Gurl
74 Dr. Dre feat. Snoop Dogg – The Next Episode
75 Morgan Wallen – Thought You Should Know

 

ストリーミング

19 Chris Stapleton – Tennessee Whiskey
59 Stephanie Beatriz, Olga Merediz & Encanto Cast – The Family Madrigal
60 Nardo Wick feat. G Herbo, Lil Durk & 21 Savage – Who Want Smoke??
63 The Weeknd – Blinding Lights
65 Bad Bunny & Jhay Cortez – Tarot
67 Chris Brown – Under The Influence
68 Billie Eilish – Happier Than Ver
69 Andy Williams – It’s The Most Wonderful Time Of The Year
71 Morgan Wallen – Whiskey Glasses
72 Diane Guerrero & Stephanie Beatriz – What Else Can I Do?
73 Wham!Last Christmas
74 Post Malone & Swae Lee – Sunflower

 

 

④ 年間Hot 100入り曲のジャンル

 ジャンル分類はビルボードのHot (ジャンル名) Songsに入っているかで判断。複数ジャンルに属している場合は、ポップ扱い

 

R&B / Hip-Hop

6 Jack Harlow - First Class
7 Latto - Big Energy
9 Kodak Black - Super Gremlin
11 Future feat. Drake & Tems - WAIT FOR U
12 Lizzo - About Damn Time
16 Lil Nas X & Jack Harlow – INDUSTRY BABY
21 Doja Cat – Woman
33 Drake feat. 21 Savage - Jimmy Cooks
41 Silk Sonic (Bruno Mars & Anderson .Paak) - Smokin out the Window
43 Lil Baby - In a Minute
45 Doja Cat & The Weeknd - You Right
48 Gunna & Future feat. Young Thug - pushin P
50 SZA - I Hate U
56 Nicki Minaj - Super Freaky Girl
57 Muni Long - Hrs and Hrs
60 Drake feat. 21 Savage & Project Pat - Knife Talk
64 Wizkid feat. Tems - Essence *
68 Doja Cat - Get Into It (Yuh)
81 Lil Durk feat. Morgan Wallen - Broadway Girls
83 Lil Durk feat. Gunna - What Happened to Virgil
84 Future – PUFFIN ON ZOOTIEZ
97 Jnr Choi & Sam Tompkins - To the Moon

*今年途中に出来たAfrobeats Songsに移行(まだ1年フルの集計ではないため、今年は従来のジャンルで扱います)

 

カントリー

19 Morgan Wallen - Wasted on You
27 Morgan Wallen - You Proof
34 Cody Johnson - Til You Can't
35 Walker Hayes - Fancy Like
36 Luke Combs - The Kind of Love We Make
46 Cole Swindell - She Had Me at Heads Carolina
49 Jordan Davis & Luke Bryan - Buy Dirt
54 Bailey Zimmerman - Fall in Love
58 Morgan Wallen - Sand in My Boots
61 Walker Hayes – AA
67 Tyler Hubbard - 5 Foot 9
70 Bailey Zimmerman - Rock and a Hard Place
71 Luke Combs - Doin' This
76 Taylor Swift - All Too Well (Taylor's Version)
79 Chris Stapleton - You Should Probably Leave
82 Parmalee - Take My Name
85 Kane Brown - Like I Love Country Music
88 Jason Aldean - Trouble with a Heartbreak
91 Russell Dickerson feat. Jake Scott - She Likes It
92 Cole Swindell & Lainey Wilson - Never Say Never
93 Scotty McCreery - Damn Strait
95 Jon Pardi - Last Night Lonely
96 Ernest feat. Morgan Wallen - Flower Shops
99 Kane Brown - One Mississippi
100 Maren Morris - Circles Around This Town

 

ラテン

20 Bad Bunny & Chencho Corleone - Me Porto Bonito
22 Bad Bunny - Tití Me Preguntó
44 Bad Bunny - Moscow Mule
59 Becky G & Karol G – MAMIII
63 Karol G – Provenza
69 Bad Bunny – Efecto
77 Bad Bunny & Rauw Alejandro – Party
78 Bad Bunny - Después de la Playa
87 Bad Bunny & Bomba Estéreo - Ojitos Lindos

オルタナティブ

1 Glass Animals - Heat Waves
15 Imagine Dragons & JID – Enemy
17 Gayle – abcdefu
23 Kate Bush - Running Up That Hill (A Deal with God)
29 Nicky Youre & Dazy – Sunroof
74 The Anxiety: Willow & Tyler Cole - Meet Me at Our Spot

 

ダンス

10 Elton John & Dua Lipa - Cold Heart (Pnau remix)

 

ポップ

2 Harry Styles - As It Was
3 The Kid LAROI & Justin Bieber – Stay
4 Adele - Easy on Me
5 Ed Sheeran – Shivers
8 Justin Bieber – Ghost
13 Ed Sheeran - Bad Habits
14 Lil Nas X - Thats What I Want
18 Doja Cat - Need to Know
24 Carolina Gaitán, Mauro Castillo, Adassa, Rhenzy Feliz, Diane Guerrero, Stephanie Beatriz & the Encanto cast - We Don't Talk About Bruno
25 Harry Styles - Late Night Talking
26 Post Malone feat. Doja Cat - I Like You (A Happier Song)
28 Steve Lacy - Bad Habit (R&B/Hip-Hop + Alternative
30 Post Malone & the Weeknd - One Right Now
31 Olivia Rodrigo - good 4 u
32 Em Beihold - Numb Little Bug
37 OneRepublic - I Ain't Worried
38 Beyoncé - BREAK MY SOUL (R&B/Hip-Hop + ダンス)
39 Zach Bryan - Something in the Orange (カントリー + Alternative
40 The Weeknd & Ariana Grande - Save Your Tears
42 Dua Lipa – Levitating
47 Doja Cat – Vegas
51 Dove Cameron – Boyfriend
52 Joji - Glimpse of Us
53 Jessica Darrow - Surface Pressure
55 CKay - love nwantiti (Ah Ah Ah)*
62 Megan Thee Stallion & Dua Lipa - Sweetest Pie
65 Mariah Carey - All I Want for Christmas Is You
66 Camila Cabello feat. Ed Sheeran - Bam Bam
72 Adele - Oh My God
73 Neiked, Mae Muller & Polo G - Better Days
75 Lauren Spencer-Smith - Fingers Crossed
80 Brenda Lee - Rockin' Around the Christmas Tree
86 Bobby Helms - Jingle Bell Rock
89 Burl Ives - A Holly Jolly Christmas
90 Doja Cat feat. SZA - Kiss Me More
94 Tate McRae - she's all i wanna be
98 Sam Smith & Kim Petras - Unholy

 

*今年途中に出来たAfrobeats Songsに移行(まだ1年フルの集計ではないため、今年は従来のジャンルで扱います)

 

 

⑤ Billboard 200 関連データ

 USアルバム年間チャートに関するデータ

 

Hot 100年間チャートへのエントリー無し作品で、上位のもの

3 Morgan Wallen – Dangerous: The Double Album
4 Taylor Swift – Midnights
16 Lil Baby – My Turn
17 Kendrick Lamar – Mr. Morale & The Big Steppers
18 The Weeknd – Dawn FM
19 Summer Walker – Still Over It
20 Post Malone – Hollywood’s Bleeding
22 Luke Combs – What You See Is What You Get
23 Billie Eilish – Happier Than Ever
24 Juice WRLD – Fighting Demons
25 Kendrick Lamar – good kid, m.A.A.d city

 

3年以上前(=2019年以前) 上位作品

22 Luke Combs – What You See Is What You Get
25 Kendrick Lamar – good kid, m.A.A.d city
29 Juice WRLD – Goodbye & Good Riddance
30 Fleetwood Mac – Rumours
31 Queen – Greatest Hits
32 Luke Combs – This One’s For You
33 Harry Styles – Fine Line
35 Morgan Wallen – If I Know Me
40 Elton John – Diamonds
45 Eminem – Curtain Call: The Hits
47 Chris Stapleton – Traveller
49 Taylor Swift – Lover
50 SZA - Ctrl

 

10年以上前(=2012年以前)の作品 (ベスト版は除く)

25 Kendrick Lamar – good kid, m.A.A.d city
57 NirvanaNevermind
59 Drake – Take Care
67 Kanye West – Graduation
84 AC/DC – Back In Black
90 Kid Cudi – Man On The Moon: The End Of Day
94 Michael Jackson – Thriller
97 Kanye West – The College Dropout
102 MetallicaMetallica
103 The BeatlesAbbey Road
115 Kanye West – My Beautiful Dark Twisted Fantasy
116 Lana Del Rey – Born To Die
133 Michael Bublé – Christmas
134 Frank Ocean – Channel Orange
135 Dr. DreDr. Dre—2001
148 Katy PerryTeenage Dream
157 50 Cent – Get Rich Or Die Tryin’
158 Lady Gaga – The Fame
164 Adele – 21
165 Eminem – The Eminem Show
173 Vince Guaraldi Trio – A Charlie Brown Christmas
176 Mariah Carey – Merry Christmas
179 Nat King Cole – The Christmas Song
187 Kate Bush – Hounds Of Love

 

 

⑥ Global 200の過去曲

 

2019年以前 上位

18 Kate Bush – Running Up That Hill
31 Ed Sheeran – Perfect
33 Tom Odell – Another Love
34 The Neighbourhood – Sweater Weather
45 Imagine Dragons – Believer
46 Harry Styles – Watermelon Sugar
47 Post Malone & Swae Lee – Sunflower
48 Ed Sheeran – Shape Of You
52 Pinkfong – Baby Shark
53 Tones And I – Dance Monkey

 

(2012年以前)

18 Kate Bush – Running Up That Hill
33 Tom Odell – Another Love
34 The Neighbourhood – Sweater Weather
63 Eminem – Without Me
74 Coldplay – Yellow
75 QueenBohemian Rhapsody
79 Coolio feat. L.V. – Gangsta’s Paradise
86 NirvanaSmells Like Teen Spirit
88 Mariah Carey – All I Want For Christmas Is You
101 Fleetwood Mac – Dreams
114 Guns N’ Roses – Sweet Child O’ Mine
117 Eminem – The Real Slim Shady
118 The Killers – Mr. Brightside
120 Eminem – Lose Yourself
131 50 Cent – In Da Club
132 EaglesHotel California
134 Arctic Monkeys – 505
138 Wham!Last Christmas
139 a-ha – Take On Me
143 Journey – Don’t Stop Believin’
148 AC/DC – Thunderstruck
155 Brenda Lee – Rockin’ Around The Christmas Tree
167 Bobby Helms – Jingle Bell Rock
170 The Police – Every Breath You Take
197 Michael Jackson – Billie Jean
199 Michael Bublé – It’s Beginning To Look A Lot Like Christmas

 

⑦ Hot 100 vs Spotify / Apple Music

 USのSpotifyApple Musicランキングで上位ながら、Hot 100年間チャートに入らなかった曲です。

※昨年と同じ方式ならば、Apple MusicはHot 100よりも集計期間が3週分早い

Spotifyの集計期間は不明(だがApple MusicよりHot 100に近そう)

 

Spotify

9 The Neighbourhood – Sweater Weather
10 Steve Lacy – Dark Red
14 J. Cole – No Role Modelz
20 Arctic Monkeys – 505
21 The Walters – I Love You So
26 The Weeknd – Die For You
29 Baby Keem & Kendrick Lamar – family ties
42 Tyler, The Creator feat. Kali Uchis – See You Again
43 Olivia Rodrigo – traitor
44 Frank Ocean – Lost
45 Drake feat. Lil Baby – Wants and Needs
50 Kanye West - Heartless

 

Apple

20 Lil Baby – Freestyle
21 Nardo Wick feat. G Herbo, Lil Durk & 21 Savage – Who Want Smoke??
23 Rod Wave – By Your Side
24 Drake feat. Lil Baby – Wants and Needs
25 Drake feat. Future & Young Thug – Way 2 Sexy
28 Drake feat. Lil Baby – Girls Want Girls
29 Nardo Wick feat. Future & Lil Baby – Me or Sum
32 Pop Smoke feat. Lil Baby & DaBaby – For The Night
34 J. Cole – No Role Modelz
35 The Weeknd – Die For You
37 Gunna feat. Drake – P power
39 Lil Durk – AHHH HA
40 Morgan Wallen – Whiskey Glasses
41 Polo G – Martin & Gina
42 J. Cole feat. Miguel – Power Trip
43 Chris Brown – Under The Influence
44 Summer Walker & SZA – No Love
45 Morgan Wallen – Chasin’ You
46 Lil Baby – Right On
49 Drake – Best I Ever Had
50 A Boogie wit da Hoodie feat. Kodak Black - Drowning

 

 

⑧ Global 200 vs Spotify / Apple Music

 GlobalのSpotifyApple Musicで上位ながら、Global 200で圏外の曲

 

Spotify

圏外なし 順位の低い曲を挙げると

 

(40)The Walters – I Love You So:147位

(39)Cris Mj – Una Noche en Medellín:123位

(47)Stephen Sanchez – Until I Found You:122位

(38)Manuel Turizo – La Bachata:90位

(41)Jaymes Young – Infinity:84位

※(Spotify年間順位)アーティスト - 曲名:Global 200年間順位

 

Apple

16 優里 – ベテルギウス
19 Lil Baby – In A Minute
21 マカロニえんぴつ – なんでもないよ、
22 Saucy Dog – シンデレラボーイ
28 Muni Long – Hrs & Hrs
30 Tani Yuki – W / X / Y
33 Lil Durk feat. Morgan Wallen – Broadway Girls
34 Drake feat. Future & Young Thug – Way 2 Sexy
36 優里 – ドライフラワー
39 Lil Durk feat. Gunna – What Happened To Virgil
41 Drake feat. Lil Baby – Girls Want Girls
42 Future – PUFFIN ON ZOOTIEZ
43 Drake feat. Lil Baby – Wants And Needs
44 Lil Baby – Freestyle
46 Pop Smoke feat. Lil Baby & DaBaby – For The Night

(USのラップリスナーや日本のリスナーがApple Music固有の層であることが伺えるデータ)

 

 

⑨ 年間ラジオ成績比較

 ラジオ全体=Radio Songsと、主要系統の年間トップ10の比較(あまりクロスオーバーしないカントリー系は除く)

 

 

 

参考

https://www.billboard.com/charts/year-end/ (ビルボード各種Year-End)

Top Tracks of 2022 | Spotify Playlist (Spotify Global年間)

Top Tracks of 2022 USA | Spotify Playlist (Spotify US年間)

Top Songs of 2022: Global on Apple Music (Apple Music Global年間)

Top Songs of 2022: USA on Apple Music (Apple Music US年間)

 

2022 週間USチャート トピック振り返り

  

 ご無沙汰しております。そろそろチャートの総決算、ビルボード年間チャートが発表される時期が近づいてきました(12月の最初の週あたりに来ると思います)

 今回の記事では、その年間チャートの発表に先立ち、期間中の週間USチャートで起こった印象的な出来事をピックアップし、今年を振り返っていきたいと思います。いわば、毎週投稿している「今週のHot 100動向メモ」のまとめ版のような記事です。

 

※集計期間は昨年11/13~今年11/12の週と推測されています

※特に断りが無ければ、この記事での数字は、基本的にその週のUSでの数字を指しています

※😎がつく項目はマニアックな内容です。必ずしも重要ではないですが、私の琴線に触れた、という動向が多いです。

※この記事でのアルバム「売上」とは、基本的にストリーミング、純セールス、シングルDLの合算値のことを指しています。

 

 

◇◇(2021年)◇◇

 

 

11/13 ハロウィン

 クリスマスほどの規模にはなりませんが、毎年ハロウィンでも関連曲がストリーミングで浮上します。例年では”Thriller”のみが再登場するのですが、この年は規模が大きく、他に3曲が再登場しました。その“Thriller”もストリーミング以降では最高の19位に入っています。

 

 

11/20 Summer Walker 😎

 16.6万の売上でSummer Walkerが初のアルバム1位を獲得。Interludeのような曲を除き、全ての曲がHot 100入り。(”All Full-Length Tracks on Hot 100”のような言い方をします。Full-Length TracksとはInterludeやIntro/Outro、Skit等以外の曲の総称です。)

 この要因となったのはApple Musicでの人気。Apple MusicはSpotifyと比較すると、Mainstream R&B/Hip-Hop系アーティスト(=アーバン/クロスオーバー成分の低いR&Bラップ系アーティスト)の人気が高く、さらにアルバムの人気が非常に高い傾向にあります。

 クロスオーバーのヒットが少なく、メインストリーム目線からすると意外なラッパーやR&BシンガーがHot 100に大量に曲を送り込んでいる場合、それはApple Musicでの人気に基づいていることがほとんどです。

 他の多くの国では、SpotifyAppleも人気の傾向に大きな差はありませんが、USでは初期のラッパーのアルバム独占先行配信(DrakeやTravis Scott)の影響なのか、2つで違いがハッキリ見られます。

 

 

11/27 Taylor Swift + Silk Sonic + クリスマス開幕

 

1:Taylor Swift

 60.5万と、超高水準の成績でTaylor SwiftのRed (Taylor’s Version)がアルバム1位獲得。セールス36.9万、ストリーミング22.7で万枚相当と、どちらも優秀な数字です。26曲がHot 100入り

 そしてシングルでも”All Too Well”の再録版が首位獲得。アルバムには2種類の音源があり、合算でカウント。このうち長い方の10 Minutes Versionが高い人気を得ており、Hot 100史上最も長い首位曲となりました。

 その後もストリーミングで安定した人気を得ていましたが、ラジオシングルには別の曲が選ばれていました。尺が長過ぎることが問題だったのか、それとも再録ではなく新しい曲をシングルにすべきと考えたのか、これをシングルにしなかった判断理由は気になりますね。

 

2:Silk Sonic

 Silk Sonic=Bruno MarsとAnderson .Paak新作が売上10.4万を記録するも、アルバム2位。Bruno Marsは不思議と超強力なアルバムと競合することが多く、実は今まで初週にアルバム1位を獲得したことがありません。(セカンドのみ違う週に1位になった)

 

3:クリスマス開幕

 ”All I Want for Christmas Is You”がHot 100に再登場(36位)。クリスマス開始。前の年と同時期(11月の最終週)での復帰です。

 ここから少しずつ勢力を伸ばしていき、既存の曲を追い落としていきます。

 

 

12/4 Adele

 Adeleがキャリア3枚目のアルバム1位獲得。売上は今年最大の83.9万。セールス(69.2万)が占める割合が大きいですが、ストリーミングでも人気を集め、全曲がHot 100入りしています。

 そして、このアルバムに合わせて“Easy On Me”がHot 100で首位に復帰。この週、ストリーミングとラジオで同時に首位に経っており、この「両取り」は2017年の”Despacito”以来の記録となりました。

 近年はストリーミングとラジオのピークがズレることが多いことで、この記録がなかなか達成されなかったのだと推測されます。ただし、最近はズレが緩和されてきたのか、2022の6/4には”As It Was”もこれを達成しています

 

 

◇◇(2022年)◇◇

 

 

1/1 クリスマス最盛期

(紛らわしいですが、クリスマスが実際にあったのは2021年、チャート日付は2022年)

 

 毎年ストリーミング中心に盛り上がりを見せるクリスマス曲。これらのチャートでのピーク順位を左右するのが、チャートの集計期間です。クリスマス曲はハロウィン後に徐々に勢力を伸ばし、12月にもなるとかなりの規模になります。そして最も盛り上がる24日と25日ですが、26日以降は急速に勢力を落とします。このことから、最もクリスマス曲が有利になる集計期間は「24日と25日を含み、なるべく26日以降を含まない」で、最強は12/19~12/25です。

 この年の集計期間は12/17~12/23と12/24~12/30。強力な24日と25日が同じ週にいるものの、それ以外の日の弱体化が激しいため、クリスマス曲最盛期は12/17~12/23の方でした。(それがこの1/1付のチャート)

 1つ前の年のデータと比較してみます。(年はクリスマス時点でのもの)

 

2020年:集計12/18~12/24
トップ10:9曲 トップ50:33曲 トップ100:39曲

 

2021年:集計12/17~12/23
トップ10:8曲 トップ50:32曲 トップ100:37曲

 

 昨年と比べて超強力な12/24を失ったものの、規模をかなり維持しています。ちなみに過去のクリスマス曲は50位以上にしか復帰できませんが、新しいクリスマス曲はそれ以下にも登場できます。(クリスマス特需を狙うリリースが近年多いです)

 

 

1/15 Encanto + Elton John + クリスマス後 + 2014年の曲

 

1:Encanto

 ディズニー映画“Encanto”のサントラがアルバム1位を獲得。ストリーミング人気により、今後合計で9週にわたり1位を獲得します。また、多くの曲が継続的にHot 100入りをしています。

 

2:Elton John

 Elton Johnが久々のトップ10入りを達成。Dua Lipaとの“Cold Heart (PNAU Remix)”が7位浮上。1998年以来、計28曲目のトップ10。歴代7位タイ、かつUK出身者???では最多のトップ10曲数。

 Elton Johnの過去ヒットをアレンジして、それを自分と他人でデュエットした曲。彼はこのフォーマットを再活用し、後に他の後輩アーティストも手助けをします。

 

3:クリスマス後 😎

 近年クリスマス曲の勢力があまりにも大きくて、莫大な数の曲をリカレント(古い曲を取り除くルール)に追い込んでしまうので、2年前から救済ルールが開始。クリスマス期間に外れた曲は、クリスマス後に50位以上相当のポイントがあれば復帰できるようになりました。

 これまでは「直後」の週のみだったのですが、今年は2週に分かれて復活が行われました。全盛期直後の週で復帰した曲が3曲のみと少なかったため、もう少し復活させても良いと判断されたのでしょうか。この週は”Levitating”など8曲が再登場し、合計で11曲がクリスマス後の復帰を果たしました。

 毎年ラジオ(主にポップ、アダルトポップ系)では、年末にその年のヒットが再浮上するため、印象よりも高い順位で復活することもあります。

 

4:2014年の曲 😎

 2014年にリリースされたThe Waltersの“I Love You So”がHot 100入り。ストリーミングでは近年過去曲人気が高く、このようにHot 100相当までポイントを伸ばすようなことも少なくないです。

 従来ビルボードは、過去曲を一度リカレントした曲と同じ扱いにしており、51位以下では登場(再登場)できなかったですが、この基準を今年は徐々にゆるやかにしており、下位での過去曲登場が盛んでした。

 この”I Love You So”やThe Weekndの“Die For You”など、ラジオでのシングルカット等の明確な再登場の根拠がある場合もありますが、そうではない場合(Lil Babyの”Freestyle”など)もあります。また、「過去曲」の過去がいつまでを指すかも不明で、基準は不透明な部分が多いです。

 

 

1/22 Gunna vs The Weeknd

 GunnaがThe Weekndを抑え、アルバム1位獲得。Gunnaは15.03万、The Weekndは14.8万の売上を記録。Summer Walkerの項で述べた、Apple Musicでの強さが明暗を分けた印象です。(GunnaはAppleで強かった)

 Gunnaのアルバム1位は全くサプライズではありませんが、やはりインパクトがあるのはThe Weekndがアルバム1位にならなかったこと。前作はシングルもアルバムも無双状態だっただけに、これは驚きでした。

 しかもストリーミングでは複数過去曲が人気を得ており、中にはHot 100に返り咲く(2016年リリースの”Die For You”)曲もあるなど、彼に対する注目度は依然高いので、余計このアルバムの数字が意外に思えます。このことを本人も最近ネタにし始めた模様。(The Weeknd on Twitter: "https://t.co/U42rGaHTQs" / Twitter など。他にもこの話題を最近は連投しているようです。もしかすると、これきっかけで話題になって再浮上のチャンスも???)

 

 

2/5 We Don’t Talk About Bruno

 今年前半の主役トピック。映画“Encanto”より、“We Don’t Talk About Bruno”がHot 100で首位に立つ。高いストリーミング人気を誇り、その後5週にわたり首位に立つものの、ラジオでほとんどオンエアされなかったため、ピーク後は急速に順位を落としていきました。このため、年間チャートでもトップ10に入らないと思われます。

 ラジオでオンエアされないのも多少違和感はありましたが、Spotifyの最大手プレイリストToday’s Top Hitsにも入らなかったのはさらに意外でした。ストリーミング人気は抜群だったのに、なぜここまで不遇だったのか気になりますね。映画要素の強い曲は、一般曲よりもプロモーションの優先度が低いということでしょうか?

 

 

2/19 進撃の巨人 + Justin Bieber

 

1:進撃の巨人

 『進撃の巨人』の主題歌、SiMの“The Rumbling”がBubbling Underの5位(=Hot 100の105位相当)に登場。日本拠点のバンドとしては異例の躍進を遂げました。(歌詞は英語)ここまでヒットするということは、USでもこのアニメに対する注目度がとても高いのでしょう。

 また、Bubbling Underにこそ入りませんでしたが、『チェンソーマン』の主題歌だった米津玄師の“KICK BACK”も今年USで一定の存在感を見せていました(Spotify USでのランク入りなど)。日本のアーティストが音楽で海外を目指す上で、既に世界的に存在感を示すアニメの文脈が大きな手助けになるのは間違いないでしょう。

 

2:Ghost 😎

 Justin Bieberのシングルカット”Ghost”がトップ10に到達した、という一見変哲も無いチャートアクションですが、近年はストリーミングによる初週からロケットスタート/不規則な伸び、が多かったため、この「大物がシングルカットで後から浮上する」というアクションが逆に新鮮で意外に感じました。

 

 

3/12 Glass Animals

 “Heat Waves”が滞在59週目でHot 100首位を獲得。これまでで最も遅い首位獲得。従来の記録を大幅に更新しています。

 これまでの同記録は”All I Want for Christmas Is You”の35週。これを特殊な「例外」とみなすならば”Macarena”の33週でした。

 

 

4/16~4/23 連続特大ヒット

 4/16に”As It Was”が、4/23には”First Class”がいずれも高水準の成績でHot 100首位デビュー。チャートを盛り上げました。”As It Was”のストリーミングが4380万、”First Class”は5460万再生。

 その後2曲とも1位争いを演じたのですが、継続性には違いが出ました。“As It Was”は現在も(超強力なアルバムがいなければ)トップ10圏内の一方、”First Class”はチャートから外れてしまっています。

 純粋な持続性の違いもありますが、またジャンルの違いも理由の一つとして挙げられます。Hot 100でロングヒットするか否かはラジオに依る部分が大きいですが、そのラジオでロングヒットする曲はたいていアダルトポップ系統での人気が高いため、この系統と相性が悪いラップはロングヒットになりづらい、というわけです。

 

 

4/23 アルバム1位低い 😎

 上記の2曲がシングルチャートを盛り上げる一方、4/23付のアルバムチャート首位(Lil Durkの”7220”)の売上が4.7万と低い数字に。アルバム首位が5万を下回るのは、2019年2月以来のことでした。

 この後もこの傾向が続き、次の2週もアルバム首位売上は5万枚台に留まりますが、5/14以降は多くの大型アルバムがリリースされ、アルバム1位の数字は高水準に戻っていきます。

 

 

5/14~ 大型アルバムラッシュ

 5/14から4週連続で大型アルバムがチャートに登場。いずれも基本的には全曲がHot 100入り。

 

5/14:Future

 売上22.0万。2015年のDrakeとのタッグ作を除くと、自己最高成績。うち4曲がトップ10入り。そして”WAIT FOR U”がHot 100首位獲得。自身メインの曲では初の首位。

 

5/21:Bad Bunny

 売上27.4万。自己最多かつ、(当時)今年最多の数字。リカレント済みの“Callaita”*1を除き、全曲がHot 100入り。4曲がトップ10に。継続性が極めて高く、アルバム1位週数が後に今年最長の11週まで到達します。

 

5/28:Kendrick Lamar

 売上29.55万。先週更新された今年最多記録を塗り替える。4曲がトップ10入り。

 

6/4Harry Styles

 売上52.15万で、またまた今年最多の数字を更新。セールスが33.0万で、この数字が上記3枚との違いとなっています。特にヴァイナルの売上が18.2万、1991年以降*2では最多と目を引きます。このアルバムもまた、4曲がトップ10入り

 

 

5/14  Levitating / Save Your Tears外れる

 アルバム曲がHot 100に大量登場すると、一方で多くの既存曲がチャートから押し出されます。5/14には、77週滞在の”Levitating”、69週滞在の”Save Your Tears”がチャートを後にしました。

 前者は(当時)歴代4位の滞在の長さで、女性アーティストの曲では最長(現在も)です。この週はこの2曲以外にも、滞在40週超えの曲がさらに3曲外れたため、ずいぶん新陳代謝が進んだ週でした。

 

 

6/11 Kate Bush

 ドラマ“Stranger Things”の新作に採用された効果もあり、Kate Bushの”Running Up That Hill”がHot 100に再登場。リリース当時(1985年)の順位を大幅に更新する、8位で再登場した後、しばらくトップ10に残りました。

 何かのきっかけで注目を集める → 過去曲がストリーミング人気を得るという流れは時折見かけますが、この曲が珍しかったのはラジオでもオンエアされたことだと思います。このことは、再登場後しばらくトップ10に残るうえで大きな手助けとなりました。

 ほか、今年はMetallicaの“Master of Puppets”(同じく”Stranger Things”)や、Nirvanaの”Something in the Way”(”Batman”)といった過去曲が、映像作品の効果でHot 100に登場しています。この2曲は「再登場」ではなく「登場」なのが興味深いです。つまり、リリース当初はHot 100入りしなかったものの、今年の再注目で初めてHot 100入りを果たしたということです。

 

 

6/18 アルバム新ルール? 😎

 Post Malone新作が、リリース5週目のBad Bunnyの“Un Verano Sin Tu”に敗れてアルバム2位に。売上は前者が12.1万、後者が13.7万。

 これも驚きでしたが、私が注目したのはPost Maloneの“One Right Now”が再登場したことです。有力アーティストの場合、アルバムのリリースで曲への注目度が一気に増します。そのため、その週では既存曲も多くの場合、50位以上相当のポイントを稼いでいると思われます。しかし従来は、アルバム週に50位以上のポイントを稼いだとしても、1回リカレントで外れた曲はHot 100に再登場しない決まりでした。例外はピークを更新した場合のみです。

 しかしこの曲はリカレント済/ピークを更新しないながらも、再登場を果たしました。最初はミスなのか、偶然なのか、判別がつかなかったですが、似たようなケース(8/27のMegan Thee Stallionの“Sweetest Pie”)がもう1度確認されたため、新ルールなのだろう、と判断しました。

 

 

6/25 Joji

 日本出身で、現在はUS拠点に活動するシンガーJojiの新曲“Glimpse of Us”が10位に登場。彼にとって初のトップ10に。次週にはさらに勢力を伸ばし、8位まで到達します。

 彼はもともと“SLOW DANCING IN THE DARK”がSpotify USのランキングに1485日(歴代8位)*3も滞在するなど、根強い人気はありましたが、ボーカルの魅力を強く押し出した今回の新曲で、新たな層からも人気を得たような印象です。

 この週はBTSが高い売上(31.4万)でアルバム1位だったため、アジア勢の躍進を強く感じる週でした。

 

 

7/2 Drake

 Drakeの新作。売上20.4万。“Intro”を除く全曲がHot 100入り。同時に”Jimmy Cooks”がHot 100首位を獲得。大ヒットではありますが、Drake水準からすると、やや控えめな数字にも感じます。

 ちなみに、前の項で述べた“Glimpse of Us”はこの週がピークだったため、Drakeのアルバムがこの週でなければもう少し順位が高かったかも?

 

 

7/30 Lizzo

 Lizzoの“About Damn Time”がHot 100で首位獲得。彼女は”Truth Hurts”に次ぐ、2曲目の首位。この2曲は、最初ストリーミングで浮上のきっかけを掴んだ後、その後ラジオで安定感を発揮する、とヒットの過程が似ています。

 

 

8/13 Beyoncé

 Beyoncéがソロでは7枚目のアルバム1位を獲得!売上は今年2番目(当時)の33.2万。セールスの割合が高め(19.0万)ですが、ストリーミングも優秀で全曲がHot 100入り。

 また、シングルの“BREAK MY SOUL”も今週に首位獲得。ソロでは8曲目の首位。ストリーミングのピークが来ることも多いアルバム週に、ラジオの好調がタイミング的にうまく融合し、鬼に金棒状態でした。

 

 

8/27 Nicki Minaj

 Nicki Minajの“Super Freaky Girl”がHot 100首位を獲得。熱きファンダムの力もあり、DLが今年最多(当時)の8.9万を記録。首位獲得を大きくサポートしました。

 一般的には「初のソロ首位」と言われていますが、どちらかというと「初の自身の曲での首位」といった印象を個人的に抱いています。これまでの首位はDoja Catとの”Say So”と6ix9ineの”TROLLZ”。前者はNicki Minajが客演扱いで、後者は両方メイン扱いながら、6ix9ineのアルバム向け曲だったことなこともあり、こちらも客演「感」はありました。

 熱きファンダムによるDLが首位獲得の大きな手助けにはなりましたが、その後もラジオやストリーミングでの好調を維持し、現在合計11週でトップ10入りしています。

 

 

9/10 Elton John & Britney

 Elton JohnBritney Spearsによる“Hold Me Closer”が6位に登場。ピーク順位だけなら“Cold Heart”より高いです。Elton Johnは成功を収めたその前シングルと同じく、過去曲をアレンジする手法を採用。ボーカリストBritney Spearsを迎え、再びトップ10入りを果たしました。

 Elton Johnの連続復活も目を引きますが、やはりこの曲で注目を集めたのはBritney Spears。アルバムが2016年から途絶えている彼女にとっては久々のリリース。そして後見人の問題から、彼女をサポートしようとの動きがあったことが注目を集めた要因だったと考えられます。

 

 

9/24 Ed Sheeranロングヒット 😎

 Ed Sheeranの“Shivers”がピーク4位、滞在52週の末にチャートを後に。彼が52週以上のHot 100滞在の末にチャートから外れるのはこれで合計5曲目(今年2曲目)。

 純粋な知名度によるヒットの安定感に加え、ロングヒット因子となりやすいアダルトポップ系ラジオとの相性がすこぶる良いので、ロングヒットを連発できます。

 

 

10/1 BLACKPINK

 BLACKPINKがキャリア初のアルバム1位獲得。売上は10.2万。うち6.5万はCDセールスから。ガールズグループとしても久々のアルバム1位で、2008年のDanity Kane以来。

 今年はK-PopグループのUSアルバムチャートでの躍進が数多く見られました。昨年4枚だったアルバムトップ10が、今年は14枚まで増加しました(11月現在)

 

4/2 Stray Kids:1位
5/28 TXT:4位
6/18 Seventeen:7位
6/25 BTS:1位
7/9 NAYEON:7位
7/23 aespa:3位
7/30 ITZY:8位
8/6 Seventeen:4位
8/13 ATEEZ:3位
8/13 ENHYPEN:6位
9/10 TWICE:3位
10/1 BLACKPINK:1位
10/1 NCT 127:3位
10/22 Stray Kids:1位

 

 

10/8 Steve Lacy + Bad Bunny

 

1:Steve Lacy

 “Bad Habit”が首位獲得。ストリーミングで勢力を伸ばし、それにラジオが追随しての首位獲得。Steve Lacyはこの曲が初のHot 100入りだっただけに、唐突なヒットにも思えますが、前年から既に予兆が見られていました。

 2021年後半、彼の2017年の“Dark Red”がストリーミングのランキングに登場。中位まで順位を伸ばし、長い期間にわたりランキングに居座りました。”Bad Habit“はその流れを経てリリースされたこともあり、リリース時点から注目度が高かったのです。その勢いのままストリーミングがぐんぐん伸び、最終的にはHot 100首位まで到達しました。

 その後、この曲だけでなく今年リリースの非シングル曲“Static”や、再び上昇気流に乗った前述の”Dark Red”もHot 100入りに成功。この複数曲の自発的なヒットは、単発ではない、アーティストとしての注目度向上を感じさせます。

 

2:Bad Bunny 😎

 Bad Bunnyの複数のアルバム曲が滞在21週目を迎え、リカレントルールによってチャートを後に。中にはラジオオンエア皆無で20週を「完走」した曲もあり(”Tarot”や”Ojitos Lindos”。”Party”もオンエアがかなり少ない)、多くの曲が安定的なストリーミング人気を得ていたことが分かります。

 このような複数曲の持続的なストリーミング人気が、そのままアルバムチャートでの複数週1位にも繋がっているのでしょう。

 

 

10/29 Sam Smith & Kim Petras + Glass Animals

 

1 Sam Smith & Kim Petras

 Sam SmithとKim Petrasの“Unholy”が首位獲得。初週の勢いを維持/加速させての首位獲得に。Sam Smithはノンバイナリー、Kim Petrasはトランスジェンダーを公表しているアーティストとしては(共に)初のHot 100首位獲得で、この点がやはり印象深いです。

 近年特大ヒットを飛ばしているわけでもない2人が、リリースからロケットスタートを切ったのはTikTok等で事前に知名度を高めていたからです。この流れは、昨年のPolo Gの“Rapstar”やLil Tjayの”Calling My Phone”等でもあった流れのようで、定番になっていくかもしれません。

 (😎な補足 その過去の“Rapstar”や”Calling My Phone”はリリース時点ではストリーミングの大手ヒット系プレイリストに入りませんでしたが、“Unholy”に関してはSpotifyApple、両方のヒット系プレイリストの上位に入っていました。情報収集力が高まったのか、それとも曲への事前期待度が莫大だったのか、事前にもうヒットの確信を持たれていたようです。)

 

2:Glass Animals

 Glass Animalsの”Heat Waves”がピーク1位、滞在91週の成績でチャートを後に。Hot 100最長滞在記録を塗り替えた翌週にチャートを去りました。外れた理由はLil Babyのアルバム曲が上位に多く登場し、順位が押し下げられたからです。前に最長記録を持っていた“Blinding Lights”も最後チャートを外れたのも、アルバム曲大量登場(Kanye West)が理由でした。

 最初のヒットの流れが一段落(この時点でそこそこ滞在週数がある)した後、TikTok等の手助けもあり、ストリーミングで浮上。その動きにラジオも呼応し、2回目のサイクルを迎えたことが超ロングヒットの理由です。この流れは“Levitating”と非常に似ています。(昨年も”Levitating”関連でよく説明しましたが、クロスオーバー以外でラジオが2回目の上昇をする動きが革命的です。)

 ちなみに、この急浮上で2回目のサイクルが始まった週は“Blinding Lights”が外れた週と同じだったりします。

 

 

11/5 Taylor Swift

 Taylor Swift新作が157.8万と、驚異的な売上でアルバム1位を獲得。2015年のAdeleの”25”後では最多の数字。

 うちセールスが114万と多くを占めていますが、ストリーミングも優秀で歴代3位の約5.5億再生を記録。枚数に換算すると41.9万枚相当。この数字は、Drake以外では最多の数字のため、女性アーティストとして、また非ラップ作品としては歴代最多のストリーミング数になっています。

 

 そのストリーミング数により、シングルチャートでもトップ10独占という史上初の快挙を成し遂げました。また、トップ10が女性アーティストによって独占されるのも史上初です。

 現在のストリーミングにおけるアルバムというイベントの強大さ、そしてアルバムを巨大なイベント化させるTaylor Swiftのアーティストパワーの強さ、この2つが合わさったことによる新記録であるように感じました。

 昨年のDrakeも、実はこのトップ10独占記録をニアミス(9/10曲)しています。実は、この時の方がストリーミングの数値は少しだけ高いです。それにも関わらず、Drakeがニアミスになって今回のTaylor Swiftがトップ10独占を達成したかというと、その他の曲の強さが関係しています。

 今回のTaylorの時のヒット“Unholy”は、昨年のDrakeの時のヒット”Stay”ほど強力ではなかった、というわけです。

 

 

11/12 Rihanna

 RihannaがBlack Panther映画向けのシングルをリリース。他人の客演(に近い形)ものを除くと、2016年以来のリリース。この長い期間の「空白」の分、それだけ期待度も限りなく高まっていましたが、Hot 100首位獲得ならず。若干肩透かしだったかもしれません。

 この週Hot 100首位だったのは、先週アルバムと共にリリースされたTaylor Swiftの“Anti-Hero”。アルバムの勢いを体現するように、ストリーミング数で優位に立ち、Hot 100首位の座を守りました。

 しかしラジオオンエア数では、後からリリースされたにも関わらず“Lift Me Up”が上回りました。広い系統で大きくサポートを受け、初週からラジオ6位に登場。それだけ期待されていたということでしょうか。

 

 

11/19 Drake & 21 Savage vs Taylor Swift

ビルボードは集計期間を事前には明かしておらず、この週が2022年の年間チャートに含まれる可能性もあるので、この週についても取り扱います)

 

 Drakeが21 Savageとのタッグ作“Her Loss”をリリース。しっかりアルバム1位を獲得。売上40.4万、かつストリーミング約5.14億(歴代4位)と、今年前半の“Honestly, Nevermind”よりも優れた数字を残すことに成功。そして全曲が30位以上、トップ10には8曲とHot 100でも十二分に存在感を発揮しました。

 このスケールのアルバムならば、大抵Hot 100でも同時に首位を獲得するのですが、これに関しては達成できず。アルバムの一番人気“Rich Flex”も、十分な成績を確保していたのですが、それ以上に”Anti-Hero”が破格の数字を叩き出し、同首位を守ったのです。

 この週に合わせ、Taylorは複数のリミックスをリリース。それが呼び水となり、32.7万と莫大な数のDLを記録。これは2017年の“Look What You Made Me Do”後では最多の数字。

 普段Hot 100ではDLはその規模の小ささからあまり影響を持ちませんが、ポイント換算効率は高いため、いざ大規模な数字が出ると多少のストリーミングの差を捻り潰すことが可能になるのです。

 

 

 

・おまけ:毎月のトップ10表

※赤囲み=新登場 水色囲み=浮上での新規トップ10入り

※白背景黒字の曲=期間内のトップ10入りが1週のみの曲

 



◇◇参考◇◇

Chart Beat:毎週のHot 100/Billboard 200トップ10解説記事

Chart Historyビルボード内の、各アーティストのChart Historyのページ(アーティスト名 + Billboardと打てば出てくる。リンク先は例の一つ)

Today's Top Hits | Spotify Playlist

Today’s Hits on Apple Music

https://kworb.net/spotify/country/us_daily_totals.html

https://charts.spotify.com/charts/view/regional-us-daily/latest

 

 

 

*1:配置もボーナストラックのように感じる

*2:調査が現行体制の時代がこの年から

*3:11/23日現在

2022 年間トップ10 半年前予想(Hot 100)

 

 今年も、ビルボードの年間チャートの集計の折り返し地点(とされる)時期が来たので、Hot 100の年間トップ10予想をしようと思います。お手柔らかに……

(5/14付のチャートまででの予想。現在○○週という説明も、この週の時点での数字を指しています。)

 

 最初にドドンと予想を掲示し、次に近年の傾向の解説、そしてなぜこのような予想に至ったかの説明をします。

 

 

 

・年間チャート トップ10予想

1 Glass Animals – Heat Waves

2 The Kid LAROI & Justin Bieber – Stay

3 Harry Styles – As It Was

4 Kodak Black – Super Gremlin

5 Ed Sheeran – Shivers

6 Justin Bieber – Ghost

7 Adele – Easy On Me

8 Ed Sheeran – Bad Habits

9 Latto – Big Energy

10 Jack Harlow – First Class

 

 

 

 

・近年の傾向

 

 以前から、週間チャートでの順位の感覚以上に、ラジオでロングヒットの曲が年間チャートで順位が高くなる傾向は見られました。近年のチャートでは、週間チャートですらラジオのロングヒット影響が色濃く見られるようになったので、年間チャートでのラジオの影響力はより増しています。 

 ラジオは急に不規則な動きをすることが少なく、安定性があるため、後半戦のポイントにも目処を立てやすいです。またラジオの占める割合が大きいということは、積み上げが重要になってくるので、後半戦での急な逆転の難易度は上がります。未リリース曲や、まだヒットしていない曲をあまり考慮する必要性は低下します。

 

 しかし、「ランダム」な要素も存在します。超ビッグなアーティストのアルバムリリースです。これがあると、Hot 100上位に多くの曲が登場し、チャート残留におけるハードルが上がるため、本来よりもチャート滞在週数が大幅に短くなる可能性もあるのです。年間チャートでは、チャート滞在期間「のみ」が集計対象のため、いつまで残るか外れるかは非常に重要な要素となります。

(補足:21週目以降に51位以下、または53週目以降に26位以下でチャートから外れる。上昇中の曲は除外)

 

 この超ビッグなアルバムによる「押し出し」がいつに来るか、何回来るか、によって年間チャートの順位が大きく左右されてしまいます。ちょうど今、予想を行っているこのタイミングで、大量にそのようなアルバムがリリースされたため、「この曲はこのアルバムラッシュの波に耐えられるのか……」というシビアな判断を迫られています。ここで押し出されるか否かによって、後半戦で稼げるであろうポイントが大きく変わってきます。

 

 あとマイナーですが、ラジオにも不確定要素はあります。クロスオーバーや、ストリーミング起因による「2段階成長」です。

 ラジオは基本的に、次第に伸び、次第に落ち……と山なりなグラフを描くようにして再生数が推移します。これがラジオの予測しやすさに繋がっているのですが、クロスオーバー・ストリーミング起因の浮上、のいずれかが到来すると、ピークが2回訪れる不規則な「2段階成長」になります。このパターンは、もうラジオ再生が落ちていくだろうな……という予想を翻した動きをする点で「不確定」なのです。

 

 後者のストリーミング起因の再浮上、というのは昨年から見られるようになったパターンで、ストリーミングの複雑な動きに対応しようという、ラジオ側の新しい行動です。”Levitating”や”Heat Waves”がこれに当てはまります。

 

 

・年間トップ10 説明

 

1 Glass Animals – Heat Waves

 前半戦での積み重ねも大きく、現在の順位も高め。さらに今後の安定性もかなり高そう。基本的にはこれが年間1位でしょう。不安要素は既に滞在が52週を超えており、誰がいつアルバムを出すか次第ではチャートから弾き出され、ライバルに滞在週数で大きく不利を取る可能性です。

 

2 The Kid LAROI & Justin Bieber - Stay

 この曲も積み重ね、安定性ともに非情に高く、“Heat Waves”がいなければ余裕の年間1位だったと思います。上で述べたように、逆転のシナリオがあるとすれば、滞在週数で大幅に有利を取る場合。こちらはまだ滞在が52週に達していないため、26位以下に落ちてもチャート残留可能。

 

3 Harry Styles – As It Was

 年間チャートでは通年活躍する曲が上位に入りやすいため、リリース時期も重要な要素です。その点、この曲はチャートに登場したのが4月と若干遅いですが、まだ間に合います。昨年5月に登場した”good 4 u”が年間5位に入っており、イメージ的にはそれに近いチャートアクションになるのでは、と考えています。

 1位と2位のポイントは格別に高いですが、3位以下は混戦。リリース時期的には不利ながらも、そこを出し抜いての3位と予想しました。

 

4 Kodak Black – Super Gremlin

 前半に大きくポイントを稼いだ曲の一つ。上位候補では珍しい、ラジオよりもストリーミングで強さを発揮している曲。しかし実はラジオも優秀で、アーバン系統で11週も1位を獲得。この系統のロングヒットといえばR&B曲が多いため、ラップ曲がこのような動きを見せるのはやや珍しいかも。

 この曲がライバルと比べて地味ながらも優秀な点は、滞在が26週目のこと。53週目以降はHot 100に残留するハードルが大きく上がるため、52週ちょうどで外れる曲が多いです。他のライバルは滞在が30週を超えた曲が多く、53週目以降はいつ外れるか分からず、最後の数週を逃す可能性が大きいです。一方でこの曲は、年間チャート集計の最後まで残留ラインが51位以下なので、滞在のハードルが低くなっています。

 前半のリード、そして現在の滞在週数を見て4位と予想。唯一の気がかりは、ロングヒット因子になりやすいポップ~アダルトポップ系でのポイントを稼げない点だけは気がかりでしょうか。

 

5 Ed Sheeran – Shivers

 やはりラジオに優れているEd Sheeran。シングルは2つとも安定感があり、長いこと上位に残っています。現在先にリリースされた“Bad Habits”が“Shivers”の順位を逆転しましたが、年間チャートでは”Shivers”の方に分がありそう。こちらの方が序盤のポイントが高く、そして滞在週数もこっちの方が長くなりそうだからです。(”Shivers”は34週、”Bad Habits”は45週)

 

6 Justin Bieber – Ghost

 特別勢いがあったシングルではないですが、地道にラジオを稼いでおり、トップ10の有力候補に。ラジオでのピークは徐々に過ぎていますが、それでも数字に安定感があるのは大きなプラス要素。

 さらに、彼の次シングル“Honest”の調子が微妙そうなのも、この曲にとってはプラスに働きそう。同一アーティストのラジオのオンエアには限りがあるため、次シングルがヒットすると前のシングルが割を食うこともあります。そのため、自身の次シングルがある意味ライバルとなることもあるのですが、彼の次シングル、”Honest”はそこまで影響力を持たなさそうです。

 最初の直感ではもう少し順位が低そうに感じたのですが、消去法で気づいたら順位が上がっていました。

 

7 Adele – Easy On Me

 “Heat Waves”・”Stay“と並んで前半戦でポイントを稼いだ曲で、最初は3位予想にしていました。

 しかし冒頭で述べたここ数週のアルバムラッシュの影響をモロに受けてしまいそう。この期間に外れる可能性があり、一気に予想順位が落ちました。

 

 しかし外れていなかったとしても、実は後半のポイントにやや不安がありました。一般的な曲の場合、ポップ→アダルトポップとオンエアのタイミングに時間差があり、その「ゆっくりとした浸透」によってロングヒットが生まれていきます。

 それがAdeleの曲の場合、このような浸透が遅いアダルトポップ/アダルトコンテンポラリーのような系統でも認知される特大スターのため、ヒットに時間差が生まれません。それにより、ラジオが伸びるタイミングも落ちるタイミングも揃ってしまい、意外とロングヒットにはなりづらいのです。ピークがそれぞれの系統で揃う分、ピーク時の山の高さはすごいですが。(Adeleの知名度に加え、彼女のスタイルがアダルトポップ系統に合うことも関係しているのかも?)

 

8 Ed Sheeran – Bad Habits

 粘りを発揮しているシングル。既に滞在が40週を超えており、早期にチャートから外れる危険性もありますが、順位がまだ高いため、なんとか粘り続けるかも。イメージ的には2020年の“Someone You Loved”に近いチャートアクションで年間トップ10に届くと読みました。(昨年のヒットで、期間中のピーク順位はあまり高くないものの、ラジオの安定感があり、11-20位あたりで粘り続けて年間10位)

 

9 Latto – Big Energy

 クロスオーバーでラジオヒットを達成し、年間チャート上位候補に名乗り。ラップ曲ですがラジオの方が得意な曲です。そのため、ラジオの動向に左右されそう。

 この曲のようなオンエア系統の広さは、ロングヒットにつながりやすいです。さらに、ラップ曲の鬼門とも言えるアダルトポップ系統でも奮闘しそうな気配があり、これが後半戦の伸びしろ&安定性に繋がりそう。

 ラジオで強い曲が年間チャートでも強い、という傾向を踏まえて年間トップ10入りと予想。

 

10 Jack Harlow – First Class

 リリースは遅めでしたが、”As It Was”と同様にハイペースでポイントを稼いでいる曲。ストリーミングの優秀さに加え、ラジオでも予想以上の活躍を見せているため、後半の継続的な活躍に期待が持てそう。候補は他にもありましたが、最終的にこの曲が年間トップ10に滑り込むと考えました。

 

 

・その他の候補

 

Elton John & Dua Lipa – Cold Heart (Pnau Remix)

 最後まで候補として考えていた曲。ピーク7位・トップ10滞在6週と捉えると微妙に感じますが、トップ10陥落後の安定感がかなり高く、長い期間をかけてじわじわ稼ぐとも考えられます。

 しかし既に滞在が35週で、少なくとも52週のタイミングでは外れてしまいそう。そうなると、最後の数週はポイントが0になってしまうため、やはりそこがネックになると感じました。

 

・Imagine Dragons & JID – Enemy

 最後まで迷っていた曲その2。現在ラジオ1位で、今がピーク。ラジオでのロングヒット実績が豊富にあるImagine Dragonsの曲だけに、後半戦の安定感にも期待が持てそう。というのが当初の読みだったのですが、どうもここ数日の下落幅が気になり、惜しくもトップ10圏外に。チャートアクションが似ている“Big Energy”をわずかに下回るようなイメージです。

 

・GAYLE – abcdefu

 前半戦にポイント的には上位の有力候補で、途中まではラジオも良さそうですが、ここ数週でラジオの雲行きが怪しくなってきていて、後半戦の稼ぎが不十分でトップ10に届かないと読みました。”Easy On Me”と同様に、ここ数週のアルバムラッシュでチャートから押し出される可能性もあります。

 

※ここまでで紹介した13曲がおそらくトップ10の有力な候補です。以下はサプライズ候補、または年間上位に入りそうで実は遠い曲などです。

 

 

・Encanto Cast – We Don’t Talk About Bruno

 現時点でこの曲が年間トップ10絶望的、と分かった方は年間チャート予想への理解度が高いです。この曲が週間のトップ10を外れたあたりで、年間トップ10は無理そうだな~と考えた方は年間チャート予想の上級者ですね。

 たしかにピーク時の勢いはあったものの、下落が速すぎて年間チャートでは低くなる典型パターンです。

 これには、ストリーミングでの大ヒットの割にラジオでガン無視されたという背景があります。ロングヒットで重要なラジオを(ほぼ)完全に取り上げられてしまっては、どうしようもありません。

 この曲はラジオだけでなく、ストリーミングの大手プレイリストでも扱いが悪く、不思議でした。他の曲との相違点は何か?ヒット曲とは何か?ということを考えさせられる、かなり異質な不遇ぶりでした。

 

・Lil Nas X – THATS WHAT I WANT

 ピークは低いものの、アダルトポップ系で1位を獲得するなど、後半戦で粘る可能性もあるか……?と少し考えていましたが、この記事を出す直前くらいからラジオが大きくマイナスに転じ始めました。

 

・Muni Long – Hrs And Hrs

 ラジオでサプライズを起こす候補を挙げるとすれば、この曲でしょうか。前半戦はストリーミングやR&B関連のラジオでポイントを稼いでいた曲ですが、ここ最近はポップ系ラジオでもオンエアされる動きが。このクロスオーバーを成功させれば、チャート滞在も伸びて、ポイントの積み上げも高くなりそう。

 何かしらの系統のラジオが伸びていれば、チャート残留or復帰も可能なので、仮に一回51位以下に落ちたとしても心配はいりません。

 ただ、仮にクロスオーバーを成功させたとしても、ピークが不十分そうなので、トップ10の候補として計算するのはさすがに厳しいでしょう。

 

・Lizzo – About Damn Time

 元から得意のラジオに加え、ストリーミングも突如覚醒し、後半戦の有力なヒット候補に。バランスよくポイントを積み上げていきそうで、サプライズ年間トップ10入りの候補になり得る存在。ただ、さすがにスタートが遅いような

 

・Future feat. Tems & Drake – WAIT FOR U

 ストリーミングで人気を得て、ロケットスタート。ただ未だにポップ系ラジオではオンエアされていないことなどから、年間トップ10に逆転で食い込むほどのポイントは見込むのは少し難しいと考えています。

 

・Kendrick Lamar – N95(など)

 アルバム全体のストリーミングは凄そうですが、何か特定のシングルが際立つような作品ではなさそう。また、どの曲がシングルかまだ決まっていないようで、その分ラジオの上昇も遅れてしまいます。このような要素を踏まえると、リリース時期の不利を覆して年間トップ10入りするシナリオは考えづらいです。

 

・Morgan Wallen - ???

 まだ新アルバムのリリース日すら決まっていませんが、彼は最近シングルを多くリリースしており、そろそろ新作を出す可能性も?

 アルバムが出た暁には、膨大なストリーミングが予想されます。さらに、素早くシングル指定を行い、かつカントリー系だけでなくポップ系も席巻するようなことがあれば、ほんのわずかに可能性も……?

 とはいえ、出来るだけアルバムをリリースした上で、さらに細かい複数の条件を満たさなくてはならないため、さすがに可能性はほとんど無いでしょう。

 

 むしろこのアルバムで注目したいのは、既存曲を追い出す効果のほう。彼は前アルバムの曲数がとても多く、新作でもそれを踏襲したとすれば、その分チャートでの「押し出し」効果も大きくなります。

 リリース時期、またアルバムの規模によっては、年間チャート上位候補曲を押し出し、一波乱を巻き起こす存在になるかも……?まあ、まだアルバムがリリースされるか自体も不明ですがね。

 

 

参照

・予想時点でのHot 100:https://www.billboard.com/charts/hot-100/2022-05-14/

・ラジオの細かい動きなど①:https://kworb.net/radio/

・ラジオの細かい動きなど②:https://hitsdailydouble.com/mediabase_building_charts

・Hot 100ポイント予想:https://twitter.com/talkofthecharts / https://twitter.com/lippredicts など (ポイントの試算等で参照)

 

(ちなみにこの企画は2017年から開始。これまでのトップ10平均一致数は7.8曲。平均順位ピタリ数は2.4曲です。果たして今年は……??)

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