チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Billboard Hot 100 5/27 見どころ 【約10年前に大活躍だったChris Brown、Justin Timberlakeの現在地】

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こんばんは。今回のテーマはこの2人!Chris BrownJustin Timberlake。今週、彼らの曲がチャートから外れたのですが、それまでその曲がどのようなチャートアクションを取ったのかということから、彼らの現在地を探ろうと思います。

 

 

89 Chris Stapleton – Either Way (New)

アルバムの「セールス」では1位だったものの、ストリーミング等を加算する「アルバムチャート」のBillboard 200では2位だったChris Stapleton。そのアルバムからはEither Wayが89位で登場。

 

64 Miley Cyrus – Malibu (New)

木曜リリースで1日集計ながらも、多くのダウンロード等でポイントを稼ぎ、64位で登場したMiley CyrusのMalibu。新登場の曲の中では一番高い順位(=Hot Shot Debut)1週間フルでポイントが入る来週は大きな上昇が見込まれます。実際、先週木曜リリースながらも90位で登場したNiall HoranのSlow Handsは今週52位まで順位を上げています。

 

56 Migos ft. Gucci Mane – Slippery (Re)

MigosとGucci ManeのSlipperyが56位で再登場。アルバムリリース時のHot 100の順位もシングルのBad And Boujee、T-Shirtに次ぐ順位と元から人気のある曲でしたが、ビデオのリリース*1が追い風になったのか、ストリーミングが全体的に伸びました。(今週ストリーミングが50位圏外から30位と上昇) まだラジオではかかっていないようで*2シングル化はまだのようですが、そのうちシングル化されるでしょうか。

 

47 Logic ft. Alessia Cara & Khalid – 1-800-273-8255 (↑)

セールスでは2位ながらもストリーミング等での数字により見事今週のアルバムチャート1位を獲得したLogicのEverybody。そのアルバムの中で最も注目を集めたのは1-800-273-8255。ストリーミング増により47位まで順位を上げました。アルバムからは他にもEverybodyが71位で再登場しました。

※ストリーミング量から推測して、もう少し多くの曲がHot 100に登場するかと思いましたが、2曲とは意外と少なかったです。とはいえ、アルバム1位は見事です!

 

38 Ed Sheeran – Castle on the Hill (↑)

約1ヶ月前に「シングル化宣言」がなされたCastle on the Hill。正直なところ「今までシングルじゃなかったのか……」といったところですが、その宣言通りここ1ヶ月で少しずつ順位が上昇し、今週は38位とトップ40に復帰。アルバムリリース週以来のトップ40。ラジオでのポイントが復調の要因。Shape of Youと共にリリースされた週は6位で登場したこの曲ですが、再びその順位に近づけるでしょうか。

※ちなみにビデオがリリースされたGalway Girlが今週94位で再登場しています。こちらもシングルという報道がされていましたが、果たして……?

 

36 Childish Gambino – Redbone (↑)

少しずつ順位を上げていたChildish GambinoのRedboneが今週36位とついにトップ40入り。彼にとって初のトップ40。23週目のトップ40と遅咲きですが、まだまだ順位を伸ばしそうな予感がします。Hip-Hop/R&B系ラジオで4位と好調。

 

29 French Montana ft. Swae Lee – Unforgettable (↑)

French MontanaとSwae LeeのUnforgettableが29位まで上昇。トップ40に突入。上昇の要因は #unforgettabledancechallenge 等によるストリーミングでの好調。既にイギリス、カナダではトップ10入りしていて、二人の本拠アメリカでもいずれはトップ10に入るか。Swae Leeによるサビパートの中毒性が高く、夏を彩るヒット曲の一つになる予感がします。

ダンスホール調でノリが良く、ポップ系のリスナーへの受けも良さそうで、ジャンルを超えたヒットになるかも。

 

1 Luis Fonsi & Daddy Yankee ft. Justin Bieber – Despacito (↑)

Justin Bieberのリミックスがリリースされて以降特大ヒットとなったDespacitoがついに1位を獲得。英語以外*3の曲が1位を獲得するのは21年ぶりかつ史上7曲目。ダウンロード、ストリーミングで1位を獲得しています。

5週連続で異なる曲が1位を獲得するなど、入れ替わりが最近ですが、このDespacitoはどこまで高い順位をキープできるでしょうか。先週1位のI’m the Oneはダウンロードとストリーミングは落としていますが、ラジオのポイントを大きく上昇させていて、1位への復帰もあるかも…?とにかく、激戦区のチャートから目が離せません。

※ちなみに同一アーティストが2週連続で異なる1位曲を”新たに”生み出すのはこれが初(Justin BieberによるI’m the One→Despacito)、またJustin Bieberの曲同士が1位で入れ替わるのはこれが2回目で、(2016年のSorry→Love Youreself)史上3人目。(1964年のThe Beatlesの異なる3曲(I Want to Hold My Hand→She Loves You→Can’t Buy Me Love)での連続1位、2004年のUsherの(Yeah!→Burn / Burn→Confession Part 2)に次ぐ)

Justin Bieberの人気は凄まじいですが、先週のI’m the Oneが5人の大所帯*4になるなど、近年は客演の人数が増加しており、前よりこの系統の記録が生まれやすくなっているため、ビートルズとの単純の比較は難しいかもしれないです。

 

× Dwayne Johnson – You’re Welcome (↓)

2020年の大統領選への立候補が報じられ、山籠もり中?の「神」ことKanye*5のライバルになるとも考えられる?ロック様ことDwayne Johnson。彼はディズニー映画Moanaで歌も担当していましたが、そのYou’re Welcomeは今週チャート圏外へ。12月頃からMoanaの曲が何かしらHot 100に入り続けていましたが、今週は0曲になり、一段落。

 

× Starley – Call On Me (↓)

StarleyのCall On Meがチャート圏外へ。Hot 100の順位には表れづらいヒットの仕方をした1曲。Ryan RibackのリミックスがSpotifyを中心にヒットし、その後ラジオでもかかるようになってHot 100にも入った、というような経緯の曲。しかしSpotifyでのピークが1月末、ラジオでのピークが4月末と離れていて、ピークが2つ出来てしまいます。その影響でロングヒットにはなるものの、それぞれのポイントが散っていて最高順位が高くはなりづらく、なんとも惜しい気がします。ラジオをチャート計算に導入しているHot 100特有の悩みです。同じようなことが、Spotifyで先にヒットしたAJRのWeakにも言えます。

 

× Future ft. Rihanna – Selfish (↓)

2月に連続でリリースしたFuture、HNDRXXがいずれもアルバムチャートで1位を獲得したFuture。それに伴い、複数曲がHot 100に登場しましたが、このRihannaとのSelfishがチャート圏外に外れたことにより、残りは現在6位のMask Offのみに。他の”Future”と”HNDRXX”の曲を今後どのようにプロモーションするのか、またはプロモーションせずにまた新しい曲をリリースするのか注目したいです。

 

× Chris Brown ft. Usher & Gucci Mane – Party (↓)

Chris BrownのPartyが20週のチャート滞在を終えてチャート圏外へ。ピークは40位ながらも50位前後にいた期間が長いため、トータルで見ればピーク20位で2016年間チャート89位となったBack to Sleepと同程度のヒット具合と思います。曲をリリースすれば安定してトップ40とヒットしているという見方も出来ますが、この順位からは、例えば2008年に年間チャートトップ10に3曲(Forever, With You, No Air)も送り込んだ時のような勢いは感じられません。

また、「ラップ曲の客演歌パート役」としても高い支持を得てきた彼ですが、近年は客演の枠にThe Weeknd、JeremihなどのChris Brownと同じ「甘い声の歌パート役」、はたまた「声出し役」としての“客演DJ Khaled”!?等、ライバルが多数台頭。

かつてのような再ヒットを狙うか、客演仕事を増やすか、それとも他のジャンルへ進むか、もしかしたら路線変更が求められる時期なのかもしれません、現在77位のPrivacy含めて今後の彼の動向に密かに注目です。

 

× Justin Timberlake – Can’t Stop the Feeling! (↓)

先週までの52週=1年のチャート滞在を終えて、チャートから外れたJustin TimberlakeのCan’t Stop the Feeling!。見事なロングヒットでした。先週39位だったのですが、「53週目以降の曲が26位以下に落ちた時はチャートから外れる」というルールにより、チャートから外れました。

1位で登場するロケットスタートだったこの曲でしたが、息の長いロングヒットとなったこの曲、今まで18曲1位でHot 100に登場した曲があるのですが、その中でもこの曲は最も長いチャートインを記録しています。(52週、今まではShake It Offの50週が最長)

1位で登場するような勢い、そして長く愛されるような定着度を併せ持ったこの曲のチャート成績から、Justin Timberlakeの健在ぶりが伺えます。

※最近、彼がかつて所属したN’Syncの代表曲It’s Gonna Be Meをもじって、5月ということでIt’s Gonna Be May というのが多少ブームになりました。このIt’s Gonna Be Meは2000年の曲で、彼の息の長さが分かります。

 

上記以外でチャートに登場/再登場した曲

99 Lil Yachty ft. Migos – Peek A Boo (Re)

98 Drake – Gyalchester (Re)

97 Midland – Drinkin’ Problem (New)

95 Big Sean – Moves (Re)

94 Ed Sheeran – Galway Girl (Re)

79 Blake Shelton – Every Time I Hear That Song (New)

71 Logic – Everybody (Re)

 

上記以外でトップ40にはじめて突入した曲

40 Shawn Mendes – There’s Nothing Holdin’ Me Back

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          DJ Khaled ft. Justin Bieber, Quavo, Chance the Rapper & Lil Wayne – I’m the One

今週最もダウンロードが上昇した曲 Harry Styles – Sign Of The Times

今週最もストリーミングが伸びた曲 Logic ft. Alessia Cara & Khalid – 1-800-273-8255

最も高い順位で新登場した曲          Miley Cyrus - Malibu

 

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲を集めました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora)

Calvin Harris ft. Khalid & Future – Rollin’ (Spotify 23位)

Play-N-Skillz ft. Frankie J, Becky G & Kap G - Si Una Vez (Shazam 28)

The Revivalists – Wish I Knew You (Shazam 35位)

Portugal. The Man – Feel It Still (Shazam 36位)

Josh Ritter – Homecoming (Shazam 43位)

Trey Songz – Nobody Else But You (Shazam 49位)

※Cheat Codes ft. Demi Lovato – No Promises (Shazam 54位)

 

注目はCalvin HarrisのRollin’。人気者Futureを客演に入れたこともあり好調。Slideを越えるかも。そしてポップ系ラジオで好調の2曲にも注目。ポップ(ラジオ)チャートでSi Una Vezは40位、No Promisesは33位。前者はネクスト・Despacitoとして期待されています。後者は近いうちにHot 100に登場しそう。

 

今週チャートから姿を消した曲

(左の数字は先週の順位 ※はリカレントルールが適用された曲)

99 Dwayne Johnson – You’re Welcome

97 Starley – Call On Me

95 Future ft. Rihanna – Selfish

93 Harry Styles – Sweet Creature

89 Kendrick Lamar – YAH.

※80 Chris Brown ft. Usher & Gucci Mane – Party

79 Kendrick Lamar ft. U2 – XXX.

76 Katy Perry ft. Migos – Bon Appétit

67 Kygo & Ellie Goulding – First Time

※※39 Justin Timberlake – Can’t Stop the Feeling! 

 

Bon Appétitは近いうちにHot 100に復帰はするでしょう……高い順位を記録するかは不明ですが……

*1:音源はアルバム全曲YouTubeにもとから上がっていますが

*2:Hip-Hop/R&B Airplayチャートで50位圏外

*3:一部Justin Bieberが英語で歌っているが、基本スペイン語なので

*4:1位の曲としては歴代最多の人数

*5:彼も2020年の大統領選の立候補を仄めかしている