チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 11/18 見どころ 【古巣越えを果たしたCamila Cabello、次なる目標は……】

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Fifth Harmony時代のピーク、Work From Homeでの4位を越える2位をHavanaで今週記録したCamila Cabello。古巣を越えたCamilaですが、どこまでビッグになれるのか??ほかハロウィンのミックステープ2つ、2000年生まれのトップ10など

 

 

98 Devin Dawson – All On Me

カントリー歌手のDevin DawsonのAll On Meが98位で登場。初のHot 100です。カントリー系ラジオでの上昇によるHot 100入りです。ほか先々週にHot 100に登場したAsk Me How I KnowとYou Broke Up With Meも同じくカントリー系ラジオでの好調によりHot 100に再登場しています。

※今週はFuture・Young Thugのミックステープからの曲が5曲圏外に落ち、また70位の2曲がルールにより外れた影響もあって、Hot 100下位の「枠」がいくつか空きこの2曲を含む5曲が再登場。Becky GのMayoresと、Chris BrownのHigh End、MacklemoreのGood Old Days。

 

72 Macklemore feat. Kesha – Good Old Days

Macklemore・KeshaのGood Old Daysが72位で再登場。ラジオの上昇によりアルバムリリース時以来のHot 100に。現在ポップ系 / アダルトポップ系 / リズミック系(ポップとアーバンの中間のような局)の3系統でかかっていますが、中でもポップ系で一番人気のようです。

※音楽ジャンルで分けるとラップのMacklemoreですが、あまり Hip-Hop/R&B系=アーバン系のラジオには縁がなく、前アルバムの時期ぐらいからアーバン系ではほぼかかっていません。主戦場はポップ系ラジオ。

2013年に大ブレイクしていた時もThrift Shopがアーバン系ラジオ34位・Can’t Hold Us45位とそこまで上位には入っていませんでした。ポップ系ラジオでは両方1位になっています。ちなみになぜかThrift Shopはロック系ラジオの1系統・オルタナティブ系ラジオで14位まで到達しています。

(ラジオの参考データ) Macklemore & Ryan Lewis Chart History | Billboard

 

57 21 Savage, Offset & Metro Boomin feat. Travis Scott – Ghostface Killers

10/31のハロウィンにラッパー二人21 Savage・Offset+プロデューサーのMetro Boominのミックステープ・Without Warningが緊急リリースされました。リリースが火曜日で集計が3日分だったにも関わらず短期間で多くのストリーミングを記録し、Hot 100に4曲を送り込んでいます。94位にMy Choppa Hate N***s (21 Savageのみ)、74位にRap Saved Me (客演Quavo)、71位にRic Flair Drip (Offsetのみ)、そして57位にGhostface Killers (客演Travis Scott)。集計が短め・かつ緊急リリースでもストリーミングでHot 100にここまで入るとは、この面々の勢いを感じます。内容も充実していて(Metro Boominのビートが天才的)、音楽批評メディアPitchforkも8.0と高めの点数を付けています。*1

このミックステープは今週のアルバムチャート4位に食い込んでいます。

21 Savage / Offset / Metro Boomin: Without Warning Album Review | Pitchfork

 

51 Chris Brown feat. Yo Gotti, A Boogie Wit da Hoodie & Kodak Black – Pills And Automobiles

上記のミックステープと同じくハロウィンにリリースされたChris Brownのアルバム。こちらは緊急リリースではなく前もって告知されていた「スタジオアルバム」。彼にとって8枚目のアルバム。上記のミックステープほどではないものの、それなりのストリーミングを記録していて3曲がHot 100に。100位にHigh End (客演Future・Young Thug)、79位にQuestions、51位にこのPills And Automobilesが。上のミックステープとは違って緊急リリースではなく、ラジオで既にポイントを得ているため、Hot 100の順位は高めになっています。こちらはアルバムチャート3位です。

※アルバムの収録曲数に関わらず、1500ストリーム=1アルバムセールスとアルバムチャートで計算されるため、アルバムの曲数が多ければ多いほど現行のアルバムチャートでは有利。Chris Brownの今回のアルバムはデラックス含めて45曲(含めなくても40曲・2枚組)なので、かなり「得」しています。一時期Apple Musicの1位~5位を独占するような圧倒的なストリーミングを記録した上記のミックステープ(10曲)を僅かに上回るストリーミング(とセールス)をChris Brownのアルバムは記録しているようです。*2

 

47 Kelly Clarkson – Love So Soft

同じくアルバムリリースのKelly Clarkson。先行シングルのLove So Softが47位に上昇。ラジオに加えてアルバムリリースによってダウンロードが少し増えましたが、わずかにトップ40に届かず。ラジオの上昇も止まってきたことから、あまり伸びシロは期待できないか……アルバムチャートでもカントリー歌手Kenny Chesneyに敗れ2位に。

※Kenny Chesneyのアルバムはライブチケット付きのライブアルバムで、Kelly Clarksonにダブルスコアを付けているようです。セールス21,7000のうち19,7000はライブチケット付きのエディションのようです。ライブアルバムとしては2002年のPaul McCartney以来の規模のセールスです。アルバムにはTaylor Swift、Eric Churchなどが登場します。

また彼は今週97位にAll the Pretty Girlsという曲がランクインしていますが、この曲はそのアルバムには入っていません。

(参考記事)

 

35 Selena Gomez & Marshmello – Wolves

1週目:短期間集計 → 2週目:7日フル集計の流れで、「約束された上昇」をしたSelena GomezとMarshmelloのWolves。今週35位で、Marshmelloにとってはキャリア初のトップ40に。彼のSilenceは今週50位で依然としてトップ40に僅かに手が届きませんが……。尻すぼみに終わってしまったBad Liar・Fetishも序盤は好調だったので、最終的にヒットになるかどうか?を決めるのは序盤のペースをキープできるかにかかりそうです。少なくともチャート滞在20週は目指したいですね……

 

19 Taylor Swift - ...Ready For It?

今週34位 / 11週目と落下の止まらない”Look”に代わってシングル化された...Ready For It?が意地の上昇。今週の上昇はビデオ公開の効果が大きいでしょうか。ラジオでもそれなりのスピードで上昇していて、このまま順当に行けばリリース週以来のトップ10復帰ぐらいまでは行けるでしょうか。1位になるほどは勢いが無い気もしますが。(ストリーミングのピークはもう終わっている……)

ちなみに先週13位のGorgeousは69位へ。

※ビデオのリリースは10/26(木)、そして今週のチャート集計は10/27~11/2なので、ビデオの効果が一番大きく現れるのはおそらく今週。一応先週のチャート集計が10/20~10/26で先週のチャートにも効果は無くもないですが、メインは今週ですかね……。先週の記事で「ビデオ効果で……」と少し言及していたので、その点を少し訂正します。

 

14 Migos, Nicki Minaj & Cardi B – MotorSport

Migos・Nicki Minaj・Cardi BのMotorSportが14位で登場。彼らが得意とするストリーミングで上々の数字を記録しただけでなく、ダウンロードも5位と高水準の数字を叩き出したため、Hot 100で14位と快調なスタートを切っています。Offset + Cardi Bの婚約とほぼ同時タイミングのリリース、Hot 100でなかなか1位を取れないNicki Minaj、デビューシングルでHot 1001位を取ったCardi Bが同居していることなどから、曲以外にも注目される要素があったため、ダウンロードでも高い数字を記録したのでしょうか。

自身のシングルでは1位を取りましたが、Cardi BはNicki Minajのように客演でも今後活躍できるでしょうか。G-Eazy・A$AP RockyとのNo Limitも今週24位と好調です。

 

7 Lil Pump – Gucci Gang

ストリーミングでのグングン数字を伸ばし、ついに今週トップ10入り。Lil PumpのGucci Gangが7位に。10/23(月)にリリースされたビデオがさらなる追い風となり2週連続の大きなジャンプアップに繋がりました。ラジオ50位圏外・ダウンロード38位・ストリーミング2位とかなり偏ったポイントの取り方をしています。ストリーミングが上位にいるうちにラジオかダウンロードが上がって来られるかがカギです。

※ラジオは今週アーバン系のみで43位/1週目とまだ「かかり始め」の段階です。

Spotifyでより人気で、現在アメリカ2位のほかグローバル11位と奮闘しています。(Apple Musicではアメリカ9位、グローバルのデータは無し)

 

2 Camila Cabello feat. Young Thug – Havana

Camila CabelloのHavanaが2位まで上昇!Fifth Harmony時の最高位Work From Home(4位)を上回り「古巣越え」を達成。これでアメリカとイギリスの両方で古巣を越えたことに。(Work From Homeはアメリカ4位・イギリス2位 / Havanaはアメリカ2位・イギリス1位)

それぞれの離脱後第一弾シングル、 CamilaのCrying in the Club、Fifth HarmonyのDownはいずれも共倒れに終わってしまいましたが、このHavanaは大成功に。(Fifth Harmonyの次シングルHe Like Thatはポップ系ラジオではかかっているものの、まだHot 100には登場せず。調子も微妙?)

ソロ化以降、Sia、Pharrell Williams、Charli XCX、などの面々と曲を製作し、さらにはソロでCashmere Cat、Major Lazerなどの客演を努め、人脈も充実。さらにはワイルドスピードのサントラではスペイン語歌詞を歌い、最近のプエルトリコ支援シングルではラテン界の一員として活躍するなど「ラテン系スター」としての1面もあり、活躍の幅が広いです。この曲のHavanaも出身地キューバの地名で「ラテン」推しですかね。

このような幅広い人脈 + 支持基盤の広さ?からRihannaのような「世界代表ディーバ」になり得るポテンシャルがあるかも??まず目指すはHot 100の1位でしょうか。ラジオは引き続き急上昇しており、可能性は十分です。

ダウンロード:Havanaがリード、ラジオ:rockstarが一歩リードもHavanaが猛追(両方とも上昇中)、ストリーミング:rockstarがリード。果たして……?

 

× Justin Bieber & BloodPop – Friends

David Guettaとの2Uに引き続き、Justin BieberのFriendsは不調に終わってしまいました。(ピーク)20位 / 10週滞在と、2Uの16位 / 11週滞在をも下回る成績でした。今年は彼の新曲リリースが多すぎたせいでしょうか……実はひっそりこの曲のソングライターでもあるJulia Michaelsを新たにボーカルとして加えたリミックスバージョンをリリースしたのですが、あまり注目されずヒットには繋がりませんでしたね……

I’m the OneとDespacitoでは彼が客演に入ることで曲に対する注目度を高め、Hot 100で1位を取るような大ヒットに導いた彼ですが、後半は失速。この曲での悪い流れを今後引きずらないか心配ですが果たして……

※客演ではなく彼メインの名義で微妙なヒットになったという点がやはり少し心配ですよね……20位デビューは別に悪くないですが、「もしかしたらDespacitoの1位を止めるかも?」という期待感からの落差はありましたね……その時点で嫌な予感はしたのですが、ここまで不調とは……

 

× Travis Scott – Butterfly Effect

ここ2週特例によって粘ってチャートに残ったTravis ScottのButterfly Effectですが、今週あえなくチャート圏外へ。ラジオは今まさにピークなものの、ストリーミングのピークが約3カ月前で、そこまで伸びシロが感じられないため「もう上昇できない」と判定され圏外へ落とされたのでしょうか。

少しポイントが不足している気もしますが、この2週の粘りが生きて年間チャートにギリギリ入る可能性もわずかにあります。

※ストリーミングでまずヒット → ストリーミングである程度数字を維持しつつラジオにバトンタッチというのは、近年の理想的なシングルヒットの仕方の一つを体現している曲でもあります。ややポイントが足りず21週目以降でもチャートから外れることを免れる50位以上に入れず、チャートからは外れてしまいましたが。

 

× SZA feat. Travis Scott – Love Galore

SZAのLove Galoreが健闘し、チャートを後に。

同じ週にリリースされたKaty PerryのアルバムWitnessを同週のうちにiTunesで抜いて1位になり、さらにPitchforkからはBest New Musicを頂くなどデビューアルバムのCtrlが大きく注目されたSZA(アルバムチャートではKaty Perryに敗れ2位)。シングルでも奮闘し、このLove Galoreは32位とトップ40入りも果たしました。次シングルのThe Weekendも44位とトップ40に近づいており、さらにMaroon 5の客演をつとめたWhat Lovers Doも今週12位とトップ10に接近中です。

※唯一惜しい点を言うと、20週きっかりでチャートを後にした点ででしょうか。30位台ピークだと入る / 入らないを含めて、年間チャートで1週の差がシビアなので……

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Imagine Dragons - Thunder

今週最もダウンロードが上昇した曲 Kelly Clarkson – Love So Soft

今週最もストリーミングが伸びた曲 Selena Gomez & Mareshmello - Wolves

最も高い順位で新登場した曲          Migos, Nicki Minaj & Cardi B - MotorSport

 

 

 

今週チャートから外れた曲 (11曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Future & Young Thug – Three (🗻100位 /⏰1週)

98 Liam Payne – Bedroom Floor (🗻98位 /⏰1週)

94 Justin Bieber & BloodPop – Friends (🗻20位 /⏰10週)

92 Future – 4 Da Gang (🗻92位 /⏰1週)

79 2 Chainz feat. Ty Dolla $ign, Trey Songz & Jhene Aiko – It’s A Vibe (🗻44位 /20週)

77 Future & Young Thug – All Da Smoke (🗻77位 /⏰1週)

76 Wisin feat. Ozuna – Escapate – Conmigo (🗻63位 /20週)

68 Future – Feed Me Dope (🗻68位 /⏰1週)

62 Future & Young Thug – No Cap (🗻62位 /⏰1週)

53 Travis Scott – Butterfly Effect (🗻51位 /22週)

48 SZA feat. Travis Scott – Love Galore (🗻32位 /20週)

 

 

来週以降にHot 100に入るポテンシャルを持った曲をピックアップしました

 

Offset & Metro Boomin – Nightmare

21 Savage, Offset & Metro Boomin – Mad Stalkers

21 Savage, Offset & Metro Boomin – Disrespectful

21 Savage & Metro Boomin – Run Up the Racks

 

本文で言及したミックステープ・Without Warning。来週のHot 100ではリリース直後の最も熱を帯びる期間が集計集計されないことを差し引いても、集計が7日分フルでされることを考慮すると、曲数が伸びる可能性も。候補は上の4曲あたりでしょうか。仮にこのミックステープが金曜日リリースならば10曲以上がHot 100に入りそうな勢いがあります。

 

 

 

*1:個人的にRap Saved Meが好きです。この曲はQuavoが凄まじいです。Twitterで「この曲におけるQuavoの登場はまるでイエスの歩行のようだ」と例えている人がいて勝手に共感しました笑

*2:Chris Brownのアルバムの「総合セールス=純セールス+シングルダウンロード+ストリーミング」は6,8000、そして純セールスは2,5000。つまりダウンロード+ストリーミングは4,3000。一方Metro Boominなどのミックステープは総合5,3000、純セールス1,1000でダウンロード+ストリーミングは4,2000。なのでChris Brownのほうが少し上回っていることが分かります