チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Hot 100 9/2 見どころ 【新進コンビの曲が躍進+1位争いの行方】

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今週のハイライトはMarshmello+KhalidのSilenceの躍進、そして1位最長記録に肉薄するDespacitoが今週も1位を守ったのか?です。

 

 

 

97 Maren Morris – I Could Use A Love Song (New)

昨年リリースしたアルバムHeroが好評。そしてグラミーの新人賞候補にもノミネートされたカントリーシンガーMaren MorrisのI Could Use A Love Songが97位で登場。そのアルバムHeroからMy Church、80s Mercedesに次ぐ3曲めのエントリー。今年客演で初のトップ40入りを果たしましたが(Thomas RhettとのCraving You)、自身の曲でもトップ40に到達できるでしょうか。まだトップ40が無いのは意外な気もしますが。

※今週は同じくカントリーのChris JanasonのFix A Drink、Kip MooreのMore Girls Like YouがHot 100に登場。(雑な括りですいません)

 

95 YoungBoy Never Broke Again – Untouchable (New)

NBA YoungBoy a.k.a. YoungBoy Never Broke Againとも。このUntouchableで初のHot 100入り。今週過去の銃撃事件への関与により、10年間の執行猶予と3年間の保護観察が言いわたされています。

 

92 Wiz Khalifa feat. Ty Dolla $ign – Something New (New)

Wiz KhalifaとTy Dolla $ignによるSomething Newが92位で登場。客演のTy Dolla $ignのパートのほうが多く、こちらが主役という印象があります。ZappのComputer Loveをサンプリングしています。

 

42 Marshmello feat. Khalid – Silence (New)

MarshmelloとKhalidのSilenceが大躍進。Marshmelloにとっては自己最高位となる42位でのHot 100登場。同じDJ系プロデューサー+Khalidの(Calvin Harrisの)Rollin(ピーク62位)より高い順位での登場*1に。Demi Lovato、Selena Gomezとのコラボの噂のあるMarshmelloが今後もメインストリームをかき回すでしょうか!?ここ1年前後でのシンデレラストーリーぶりが凄いです。

 

37 Logic feat. Alessia Cara & Khalid – 1-800-273-8255 (↑)

アルバムリリース時から注目を集め、ポップ系ラジオでも人気を博しているLogicの1-800-273-8255(アメリカの自殺予防ダイヤルの番号)のビデオが遂にリリース。その効果でダウンロードを伸ばしHot 100でも37位まで浮上。トップ40圏内に入りました。LogicにとってはSuicide Squadのサントラに収録された大所帯シングルSucker For Pain以来2回めのトップ40。

 

33 Bruno Mars – Versacce On The Floor (↑)

こちらも上記の1-800-273-8255と同じくビデオリリース効果による上昇。Bruno MarsのVersace On The Floorが33位とトップ40に突入。ビデオではシングル化される時に発表されたDavid Guettaのディスコ調のリメイク版ではなくオリジナルの音源が採用されています。この調子で24K Magic、That’s What I Likeに次ぐトップ10を目指したい!と言いたいところですが、既にラジオで停滞気味なのが気がかりですね。

 

29 P!nk – What About Us (↑)

事実上のリリース週。P!nkのWhat About Usが29位で登場。ダウンロードでは3位と好調(ダウンロード1位、2位は値下げした曲)、ポップ系ラジオでも順調に数字を伸ばしていおり、P!nkの息の長さ・健在ぶりが伺えます。ただ、来週以降もこの水準をキープするかというと微妙で、ダウンロードは10位前後まで落ち(2週目は反動で落ちるので仕方がないですが……)、ストリーミングでの数字も伸びてこないので、少し我慢の時期が続くかもしれません。ただラジオが順調に伸びてくればいつか持ち直すと思います。

※Shape of YouのプロデューサーのSteve Macを起用していることもあって、そのうちストリーミングでも伸びてくると思うのですが、果たして……?

 

27 Khalid – Location (↑)

Khalidが32週めで29位 → 27位と粘っています。ここ数週の粘りを支えているのはポップ系ラジオへの“飛び火”です。元々はアーバン系ラジオ(Hip-Hop / R&B系ラジオ)でピーク2位とヒットした曲で、Hot 100のピークもそのラジオでのポイントが高かった時期でした。アーバン系ラジオでは今週17位と落ちてきていますが、ポップ系ラジオでは9週めの32位という「新顔」になっています。この異ジャンルへの「飛び火」は以前からHot 100でロングヒットする際のカギとなっていて、かつてBoyz ii MenR&B → ポップ系ラジオへの「飛び火」でロングヒットを記録したと言われています。

ポップ系ラジオでかかる「だけ」で他のヒット要素が少ないと、そこまでのヒットにはなりませんが、何か(他のジャンルのラジオ、ストリーミングなど)+ポップ系ラジオと複数要素が組み合わさるとチャート上で強力な武器になります。つまり、Hot 100で上位に入るには「幅広く」受け入れられる必要があるのです。

※現在はHot 100にエントリーしたThe ChainsmokersのHonestですが、ポップ系ラジオ以外ではヒットの要素がまだ無いので、ポップ系ラジオで21位になった段階でもHot 100に入れていませんでした。

 

22 Kesha – Praying (↑)

今週アルバム1位を記録したKesha。デビュー作以来、2枚めのアルバム1位。しかしシングルチャートでは目立った動きはなく「自然増」程度の24位 → 22位に。これはアルバムリリース時によく行われる「先行シングルiTunes値引き」が無かったからだと思われます。ポップ系ラジオでは順調で、さらにストリーミングも悪くない数字なので、適切なタイミングでiTunes割引を敢行すればトップ10にいずれ入れるのではないでしょうか。

 

10 Sam Hunt – Body Like A Back Road (↑)

Sam HuntのBody Like A Back Roadがトップ10に復帰。10位前後に長く滞在し、時に「トップ10の番人」にもなっています。今週はI’m the Oneをトップ10から蹴落とす形に。このBody Like A Back Roadとは直接関係無いですが、少し前はJulia MichaelsのIssues、James ArthurのSay You Won’t Let Goが(いずれもピーク11位)、そして最近はChildish GambinoのRedbone(ピーク12位)がトップ10を目前にして涙をのんでいます。

 

2 DJ Khaled feat. Rihanna & Bryson Tiller – Wild Thoughts (→)

アーバン系 / ポップ系と複数のラジオで好調だったこともあって先週ラジオのポイントが1位になったWild Thoughts。今週こそ!との思いを胸にiTunes割引を敢行するもDespacitoにダウンロードの成績は一歩及ばず。さらに相変わらずストリーミングでも負けているのでHot 100での1位はならず。1位を取るならば今週がベストでしたがDespacit強し、という結果に。これでDespacitoは15週目の1位に。歴代単独2位の長さに。以下が今後のDespacitoの予定表です。

※複数系統のラジオで存在感を示し、かつダウンロードが伸びたタイミングで首位というのは最もよくある1位浮上パターンなのですが、原曲+リミックスの合算でポイントを取る「2段固め」をするDespacitoには及ばず……

 

来週 9/9 1位16週目? (Despacito1位の見込み ※両バージョン値引き)

ライバル1:Justin BieberのFriends(ラジオはまだまだダウンロード・ストリーミングも不足)

ライバル2:Cardi BのBodak Yellow (ラジオは急上昇中も、ダウンロードはかなり不足、ストリーミングはDespacitoを抜けるかも?)

 

来週 9/16 1位17週目? (この週は危うい?ラジオがかなり落ちてきています)

ライバル1:Taylor Swiftのシングル (ダウンロードはかなり期待できる、ラジオも1週目にしてはかなり伸びそう。あとはYouTubeなりSpotifyなり、どこまでストリーミングを開放するかも少し重要な要素かもしれません)

ライバル2:Cardi BのBodak Yellow (同上。Taylor Swiftに1位を阻まれそうなあたり、チャートアクションがAll About That Bassと似ていますね)

 

Despacitoは「夏感」が強かったせいか、夏も終わりかけてきた現在ラジオでジリジリ数字を落としつつあります。(今週5位に)この数字をどこまでカバーできるでしょうか。

 

✫年間1位争いについて

正直、3月頃に今年の年間1位はShape of Youで決定と思っていました。が、Despacitoがこうも1位に長く居座るとなると少し迷いも出てきます。例年1位滞在の長い曲よりも「時期の良い曲=ピークが3月くらいまでトータルチャート”滞在”週数が長い」曲が年間チャートでは上位に来る傾向があるので、今も変わらずShape of You!と言いたいところですが、Despacitoも実は早い時期からチャートに入っていて、実はShape of Youとチャートの滞在週数自体は同じなのです。つまりいかに上位に入っていた時にポイントを稼いだか?ということが勝負の焦点となると思います。現在トップ10の滞在週数はShape of Youが32週、Despacitoが18週と開きはあるのですがDespacitoがまだまだトップ10に居座りそうなこと、値下げダウンロードという伸びシロがまだあることなどから年間チャートの集計時にはDespacitoが1位に立つ可能性のほうが若干高いのでは?という考えに至りました。

ただ、上記の通りDespacitoはラジオで数字を落としておりShape of Youと10月あたりに順位が入れ替わるかもしれません。そうなればShape of Youが年間1位になる可能性が高くなりますし、またそうでなくとも年間チャートではHot 100の順位感覚よりも若干ラジオでヒットしたシングルが上位に来る傾向があるので、その傾向が今年もあればShape of Youが年間1位になるでしょう。

現状年間1位はDespacito 55%、Shape of You 45% と私は考えています。

 

× Fifth Harmony feat. Gucci Mane – Down (↓)

Fifth HarmonyのDownが圏外へ外れました。前回チャートから外れた時は”Jay-Zの曲が大量エントリーした”というエクスキューズがあったものの、今回は単純に調子を落としてチャートから外れています。カミラ脱退後初のシングルでしたが、両者ともに思うようにヒットせず。(Camila CabelloのCrying in the ClubとFifth HarmonyのDownは似たような成績でチャートを後に)今週アルバムがリリースされるのですが、何かそこからヒットに繋がりそうな明るい要素は見つかるでしょうか。

※一方Camilaには浮上の兆しが。Havana、OMGともにストリーミングで好調です。(特にHavana)

 

× Future feat. Nicki Minaj – You Da Baddest (↓)

Chris BrownとのPIEに続いて、HNDRXXの新しいトラックとして追加されたNicki MinajとのYou Da Baddestでしたが、あまりインパクトを残せず2週のチャート滞在でチャートを後に。ビデオまでリリースして本格的にプロモーション。そしてダウンロードでもしっかりと数字を稼いだものの、ストリーミングが持ちませんでした。先述のPIE、このYou Da Baddest、そしてアルバム”Future”のほうに入ったYGとのExtra Luvも併せて、全体的にFutureが試みた”追加トラック”の実験はインパクト薄く終わったように思います。

※Mask Offがもともとシングルでもなく、ビデオが無い状態から大ヒットしてFutureキャリア最大のヒットになったのに対し、ビデオを用意してしっかりプロモーションした曲はそこまでヒットせず……ということは今年の「ヒット」を語るうえで重要な要素なのかもしれません。

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Cardi B – Bodak Yellow

今週最もダウンロードが上昇した曲 P!nk – What About Us

今週最もストリーミングが伸びた曲 Bruno Mars – Versace On The Floor

最も高い順位で新登場した曲          Marshmello feat. Khalid – Silence

 

 

今週チャートから外れた曲 (7曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

99 Camila Cabello feat. Young Thug - Havana (🗻99位 /⏰1週)

95 Descendants 2 Cast – Chillin’ Like A Villian (🗻95位 /⏰1週)

90 Fifth Harmony feat. Gucci Mane - Down (🗻42位 /⏰9週)

87 Future feat. Nicki Minaj – You Da Baddest (🗻38位 /⏰2週)

85 China Anne McClain – What’s My Name (🗻61位 /⏰3週)

81 Camila Cabello feat. Quavo – OMG (🗻81位 /⏰1週)

44 Julia Michaels – Issues  (🗻11 /⏰29)

 

 

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲をピックアップしました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora、Apple Music、各種ラジオなど)

 

Bonnie Tyler – Total Eclipse of the Heart

Pink FloydEclipse

The Beatles – Here Comes the Sun

Creedence Clearwater Revival – Bad Moon Rising

Manfred Mann's Earth Band - Blinded By the Light

Cat Stevens – Moonshadow

Soundgarden - Black Hole Sun

Grace VanderWaal - Moonlight

日蝕を記念して、その関連曲がiTunesで急上昇。1日限定ですが、Bonnie TylerのTotal Eclipse of the HeartはDespacito(合算)の2倍程度の数字を記録していました。多分週の合計になるとDespacitoを下回るとは思いますが。とはいえ、Hot 100への再登場の可能性が高いと思います。

 

Gucci Mane feat. Migos – I Get the Bag (Spotify27位、Apple Music 3位)

今年好調な2組の新曲がストリーミングで絶好調。次のストリーミングキングはこれでしょうか!

 

Kodak Black feat. XXXTENTACION – Roll in Peace (Spotify51位、Apple Music 4位)

特異なスタイルを武器にする若手二人の1曲も好調です。この組み合わせはラップ・ファンにとって見逃せないでしょう!!!

 

Camila Cabello feat. Young Thug – Havana (Spotify 21位)

今週Hot 100に42位で登場したMarshmelloのSilenceと並んでいまSpotifyで最も勢いのある曲の一つ。今週はHot 100から落ちてしまいましたが、近いうちに復帰しそうな勢いを見せています。

*1:後述の1-800-273-8255、Locationよりは下

Julia Michaelsの【ボーカル】に再注目! 【Nervous System (EP) レビュー/感想】

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 今まで複数の記事で紹介したJulia Michaelsが初のEPを 7/28 にリリースしたので、そのレビュー / 感想をします。テーマは【ボーカル】です。

 

 

 

 Julia Michaels といえば最近はソングライトでお馴染みかと思います。今までにJustin Bieber、Selena Gomez、Ed Sheeran、Britney Spearsなど多くのビッグネームの曲に多く携わり、ポップス界に欠かせない存在となっていきました。

 先日リリースされたJustin Bieber & BloodPopの"Friends"でもソングライターを務めています。(この曲のソングライター陣はSorryからSkrillexを抜いたものです)

 

 そのようにして知名度を上げたのち、自身のシングル"Issues"をリリース。Selena Gomezがインスタでチラっと紹介したことも追い風となり見事ヒットし、「シンガー」Julia Michaelsとしてもブレイクしました。

 このEPはそのタイミングでリリースされたもので、ある種はじめての自己紹介 / 名刺のようなものだといえます。

 

 ところで、Julia Michaelsを皆さんはどのタイミングで初めて知りましたか?

 私がJulia Michaelsの名前を初めて目にしたのは2014年でした。それはCash Cashの"Surrender"という曲ででした。

 

 

 

 ポップパンクバンドから転じて*1 EDM系DJに転じたCash Cashですが、彼らの当時*2 の特徴は印象的な甘いボーカル / メロディラインだと思っています。そのメロディセンスで彼らは2014年の前半にヒットを飛ばしました。それは"Take Me Home"でした。

 

 

 このメロディセンスと、客演Bebe Rexhaの声質が融合しヒット。Hot 100でも躍進を遂げて57位まで到達。たしかに、全国区とまではいえない程度のヒットですが、DJとしては新人だった彼らとしては十分に爪痕を残したといえるでしょう。(イギリスだと一時期5位まで到達しています)

 この"Take Me Home"の続編のような形で"Surrender"はリリースされました。この"Surrender"は上記の"Take Me Home"の要素をさらに煮詰めたような曲で、メロディセンスと歌声の融合により、かなりドリーミーな1曲となっています。

 私は"Take Me Home"でBebe Rexhaの活躍に目をつけていたので、この曲のボーカリストも気になったのですが、客演の表記が書いていなくて最初は誰が歌っているのか分からない状態でした。後にやっぱり気になって様々なソースを当たってみるとJulia Michaels(当時ウィキペディアのページ無し)を発見し、その名前を頭の片隅に置いておきました。

 

 長々と説明して結局何が言いたいか?というと、私は最初に注目したのは【ボーカリストとしての】 Julia Michaelsということです。そして、私は今回のEPで彼女の歌声に再び注目しました。ここからはEPの内容に触れていきます。

  

 まず、このEPで良かった点は彼女の音楽スタイルが見て取れたということです。Issuesでは、重厚なサウンドプロダクションをせずとも、メロディとボーカルを煮詰めることのみによってヒットに繋げましたが、このEPでも中心になっていたのはサウンドプロダクションというよりもボーカルのセンスだったと思います。

 ポップスにおいて、サウンドプロダクションはヒットに繋げやすいことや、個性を出すのにもってこいの要素なので切っても切れない関係だとは思うのですが、そこではなく自分のボーカルスタイルで勝負する!という気概を感じました。重厚なサウンドプロダクションは自分がソングライトを担当する他人の曲でやれば良いということでしょうか?

 

 その「音楽スタイル」とはどういうものかというと、Julia Michaelsのハスキーな歌声とメロディの融合、ボーカル活用の方法の模索です。

 先行リリースされていた"Issues"では、ボーカルとメロディを中心に据えた現代としては珍しいタイプのポップスに挑戦。もう一つの先行シングル"Uh Huh"ではJulia Michaelsのボーカルを楽器の生音と組み合わせて”Uh Huh”とセクシーに歌い上げるスタイルを試みています。どちらも、歌の主役はボーカルにあると思いました。

 

 EPではさらなるボーカルスタイルの発掘への挑戦が見て取れました。印象的だったのは"Worst In Me"と"Pink"です。

 "Worst In Me"はJulia Michaelsの声の特徴を前面に出した、コーラス部分のメロディラインの気持ちよさがボーカルによって増幅している1曲。ある種"Issues"の続編のような曲。

 "Pink"の最大の特徴は途中の「ささやき」部分。”There's no innuendos, it's exactly what you think Believe me when I tell you that he loves the color pink” という長めのフレーズをセクシーに「ささやき」ます。多少「ささやき」を取り入れることは珍しくはない気がしますが、ここまで長く「ささやき」を曲に落とし込むのは真新しく感じました。

 

 EPからはこのような特徴的なボーカルスタイルが見て取られ、私が最初にJulia Michaelsを発見した時のような【ボーカリストとしての魅力】を再発見したような気分になりました。

 ソングライターとして大きく注目を集めるようになった彼女ですが、今後は「ソングライター」Julia Michaelsだけでなく、刺激的なボーカル実験を行う「シンガー」Julia Michaelsにも注目したいと思います!

 

✫おまけ1 ほかの媒体のレビュー

そもそもPitchforkがこのアルバムを取り上げたこと自体が意外でした。及第点の評価をしています。

 

 AOTYに投稿された、熱心なレビュー

 

✫おまけ2 Bebe Rexhaも最近EPををリリース

 ちなみに文中に登場したBebe Rexhaも最近EPをリリースしたのですが、こちらはJulia Michaelsとは真逆でEP全曲ジャンルが違うのでは?と思うほどに様々なジャンルに挑戦しています(80年代ポップス、Murda Beatzによるラップ調、ダンスホール、Florida Georgia Lineを招いてのカントリーなど) 

 ここまで幅広いジャンルをこなす器用さはすごいと思いますし、実際Florida Georgia Lineとの曲がそこそこヒットするなど調子も良いみたいで、芸達者スタイルも面白いと思いますが、私は「アーティストのカラー」を見たいと思う人間なので、何か「Bebe Rexhaはどういう音楽をしたいのか?」のようなものを見たいとも思ってしまいます。

 ポップスシンガーは「売れる」という命題もあるので、スタイル確立とのバランスの取り方が難しいですけどね……

 

 ありがとうございました。

*1:とは言っても元々エレクトロ要素は感じましたが。このポップパンクバンド → DJへの転身の先駆け的存在で、後にBreathe Carolinaも似たような道を辿ります。この流れ話は有名なONE OK ROCKは本当にアメリカで成功できるのか?という記事にも載っていました

*2:現在はトラップ系統にも手を広げ、“総合的”なプロデューサーになった印象があります。

はじめてのフジロック観戦記 【苗場ライフ編 / 準備のオススメ・音楽以外の発見・食べ物】

 

気づいたらもうサマソニになってしまったのですが、気にせず投稿します。私なりのフジロック観戦記・その2です。今回は音楽以外の面を主にフォーカスしていこうと思います。

フジロックに行ってみたいけど、実際はどうなの?」という方や、「次にフジロックへ行く時はどのような準備をすれば良いの?」という方にオススメかなと思います。

・準備関連 ・音楽以外での発見 そして最後に食事について話すという構成になっています。

 

① 準備関連

フジロックに行きたいね、と友人と前から話していたのですが本当に行くかなどはなかなか決まらず、本格的な宿取りなどにはなかなか手がつきませんでした。

しかし、その友人と話しているうちに「多分最終的にはどうせ行くでしょう!」という予感がし、その他条件で悩んでいるとそのうち宿が取れなくなってしまうのでは?ということを思い、渋谷のタイ料理店で急遽申し込みを決意。無事にチケットと宿(そういうセット)を確保しフジロック行きを決めました。ちなみにこの時は4月下旬でした。いつぐらいに宿が無くなるのかは不明ですが、行くのなら早めに決断を下せると宿など諸条件で便利だとは思いました。

 

この時に取った宿は、「フジロックまではシャトルバスで約20分、風呂あり、食事ナシ、相部屋トイレが綺麗でウォシュレット付き」でした。

個人的に密かに重要だと思ったのは後ろ二つで、相部屋とそうでないかはかなり利便性に差が出るので(宿では寝て起きるだけなのであまり気にはなりませんでしたが)選べるならここは拘りたいところです。

ウォシュレット付きトイレも密かに重要だと考えていて、会場内のトイレは並ぶ上に屋外の仮設なので、どうしても「積極的に行きたくはないトイレ」ということは否めません。(仕方がないですが……) トイレの設備について細かい条件が明示されることは無いので、綺麗なトイレを引けたのはラッキーでした。

 

このような予約、振り込みなどの事前準備を済ませて、いよいよ当日が近づいてきました。日数分の服、移動時間の暇つぶし用の本やお菓子、タオルなどの基本用品の他にいろいろな物を詰め込みました。

持っていってよかったものは7部丈のシャツです。7月下旬でかなり暑い時期ですが、1日中外にいる時間も長く時間帯によっては寒いかもしれない?という読みのもと持っていきましたが、これが大当たりでした。今年は3日間ずっと曇りか雨だったので、気温も低めだったので特に夜の時間帯は重宝しました。

そしてパスモ(チャージ済み)もあって良かったです。私は普段から買い物をほとんどパスモで済ませているのですが、フジロック内の店舗でパスモを使えるとの情報をキャッチし、意気揚々と事前にチャージしておきました。するとこれが大成功で、フジロック中の支払いをほとんどパスモで済ませていました。特に雨の時は支払いがかなり楽になったと思います。パスモ以外にも何種類かのカードが使用可能だったので、自らのお気に入りを持っていくと良いと思います。ただしナナコなど一部のカードを除いて、会場でのチャージは不可能だったと思うのでその点だけは注意です。

あとは日焼け止めです。ずっと曇っていて晴れ間はほとんど無かったのですが、それでも少し焼けたので、特に晴れた場合は必須なのだと思います。ただ、持っていったのに使うのを忘れてしまったのです………あと同じく使わなかったのですが、(頭痛薬など)もあると安心だと思います。

 

家から用意したのではなく、会場で買ったのですがイスもやはり便利でした。会場内のイスの数は限られ、さらに1日中歩き回るので疲れることは必至です。歩き疲れて肝心のライブではもうクタクタという事態は避けたいです。ですがイスがあると簡易休憩場所を自分で確保できて、場合によっては寝ることも可能です。しかし、イスはサイズが大きいのでライブ中にかさばって少し邪魔なこと、そしてモノによっては少し危険なことは注意です。ただそれらを考慮してもイスは必需品といえる気がしました。

 

最後に密かに大切だと思うのはモバイルバッテリーです。もちろんフジロック中はライブや「フェス感」を楽しむのはメインでスマホを触りまくるワケではないですが、待ち合わせには必須の道具でスマホの電池が切れていると一気に待ち合わせの難易度が上がってしまうため、念のために持っていくと良いと思います。もしくは、待ち合わせ場所を事前に決めておくのが吉だと思います。

 

逆に準備不足だと思ったのは雨対策。会場内は安全面から傘が使用禁止のため、その他のツールで雨対策をすることになります。私は100円の安いカッパを持っていき、実際雨が多く降ったこともあり何回も使いました。荷物を濡らさないなど最低限の雨対策は出来たものの、カッパのサイズが小さいこともあり、ズボンはすごく濡れて「自然派フェス」の洗礼を受けたような気分にもなりました。また靴もずぶ濡れになりました。長靴を持っていくのが正解だったようです……ですが、靴は上の布部分に水を通さなければ案外浸水しないという知識を得た2日目あたりからは、やや改善されました。ただ、長靴があればそんなことは気にしなくて良いのですが……

天気が変わりやすいので、天気予報に関係なく雨対策は重点を置くべきだと感じました。

 

あとは水筒を持っていけばよかったと思っています。フジロック内に水筒、タンブラーなど(要は再利用可能な飲み物を入れる容器)がある人を対象としたお茶の配布があるので、是非水筒を持っていって利用すべきと思いました。フジロック内は500mlのペットボトルが一律200円なので、心置きなく水分摂取したい人は特に水筒があると良いなと思います。

 

 

音楽以外での発見

もちろんフジロックの主役は音楽なのですが、長ければ4日過ごすので音楽以外の要素も楽しめれば最高だと思います。

 

フジロックは最強のフォトスポット!

スマホの台頭で写真を撮る人が増加。さらにスマホで写真機能やアプリが重視されるなど、いま写真の重要度が上がっているように思います。

フジロックがどうして最強のフォトスポットかと思ったかというと、あらゆる層の需要に対応できるからです。

最近、”インスタ映え*1 ”Facebook映え” ”Twitter映え” と題して同じテーマの3種類の写真を並べた投稿をよく見る気がします。

インスタ映え” = オシャレ・綺麗な写真 = #ファインダー越しの私

Facebook映え” = 仲間・友情を感じる写真 = #出会いに感謝

Twitter映え” = おもしろ系・哲学的な写真 = #○○と似た構図が送られてくる

 

こういうことだと思います。フジロックではその3つ全てのタイプの写真が撮れたと思います。

例えば 私が3日間で撮ったインスタ映え写真*2はこんな感じです↓

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また、Twitter映えは以下です↓

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「J2の兄貴」と呼ばれる水戸ホーリーホックが一面に。

 

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Facebook映えは、ここには載っけませんが、何を思ったかLCD Soundsystemを見た時にその場のテンションで周りにいた大学生?のような人と外国人と写真を撮りました!!!

 

 

フジロック

① 運営による手の込んだ設営が生み出したオシャレスポット 

② 人が多く存在することによる思いがけない出会い

③ 「フジロック」という文化が複数の文化を呼び込み、それと出会える

 

などの要因により、さまざまなタイプの”映え”に対応できるのではないか、と考えました。

写真は現在において需要が高いだけではなく、フジロックの思い出が写真を通して増幅し、単なる音楽フェスから「旅」へと昇華する役割を果たせるのでは?とも考えました。

 

 

✫ 他人の“装備”の観察が楽しい

上に書いた「Facebook映え」と少し被る部分もありますが、他人の観察も楽しみの一つの気がしました。「観察」といってもジロジロ見たりはしませんが。

Chance the Rapperの「3」の帽子を何回か見られたのは嬉しかったですし、その他のライブ・アーティストTシャツを着た人も多くいました。また、音楽以外のユニフォームを着ている人が多かったのも面白かったです。中でも目立っていたのはサッカー / 野球のユニフォームを着た人が多く、どのチームが多いかな?と見てみるのが楽しかったです。私の見た感じ、DeNAユニフォームが一番多かった気がします。その他、アーセナルというデカい旗を振り回している人や、そしてTwitterでも話題になったMajor Lazerでの「そば処」フラッグ(自分の近くにいました)など、“装備”の話題は多かったです。

 

もちろん、他のフェスでも”装備”は個性的で面白いとは思いますが、フジロックは何日間か山奥に閉じ込められる特性上、準備は丹念にする必要がある点、またそれによって「ヤケクソ感」が生まれる点から、独自の”装備”を見られるのではないか?という点を感じました。

 

 

3日目が終わってもまだ終わらない

3日通してずっと雨が降っていたため、ライブ以外での会場内の雰囲気はジメジメしていました。そんな中で私が一番会場の雰囲気が盛り上がっていた!と感じた瞬間は3日目ラストのMajor Lazer後です。

 

Major Lazerは3日目の実質トリで、これが終わったらもうフジロックは終わりのはずなのです。(レッドマーキーという場所でオールナイトライブがありますが) さらに3日目の最後なので人々の疲労はピークに達しているはずで、普通はすぐ宿に帰りたいと思うのでは?といったところです。

しかし、人々はビールを飲みながら笑みを浮かべ、「フジロックはまだ終わらないよ」という雰囲気が出ていました!それに応えるかのように、店もオールナイトで営業しているところも多く、「非日常感」が最も煮詰まった瞬間だったように思います。

さらに時間が経っても、日が昇るくらいまでは会場内には起きている人が多く最後の最後まで「フジロックは終わらせない!」という気概を人々から感じました。

この最終日のヤケクソ感がたまらなかったのです。

 

③ 最後に食べ物 ベスト5

 

1位 舞茸天丼 from タナカクマキチ

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2位 漬物類 from 苗場食堂

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3位 ケバブ  from 富山あおぞら屋台

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4位 舞茸照り焼きピザ from タナカクマキチ

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5位 手づかみの桃 from 東山食堂

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お店単位で言うと、舞茸料理のタナカクマキチ、苗場食堂が好きでした!

投稿遅れましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます。

*1:今だと「インスタ映え」って一番使っちゃいけない(?)言葉な気がするのですが、当時はそうでもなかった気がするので許してください💦

*2:センスは気にしないで!

8/18 リリース新曲/新作のチャート初動を観察 【Justin Bieberの新曲はHot 100の何位で登場しそう?】

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こんにちは。新曲が多くリリースされる金曜日のチャート動向を定点観察しています。今週のテーマはJustin Bieberの新曲はHot 100の何位で登場?ですが、全体的にテーマは少なめです。今週もよろしくお願いします。

 

Spotify デイリーのトップ10 (金曜日=8/18)

1 21 Savage  Bank Account
2 Justin Bieber & BloodPop Friends
3 French Montana feat. Swae Lee Unforgettable
4 Lil Uzi Vert XO TOUR Llif3
5 DJ Khaled feat. Rihanna & Bryson Tiller Wild Thoughts
6 Luis Fonsi & Daddy Yankee feat. Justin Bieber Despacito
7 Kendrick Lamar HUMBLE.
8 Cardi B Bodak Yellow
9 Demi Lovato  Sorry Not Sorry
10 J Balvin & Willy William Mi Gente

 

Spotify上位の再生数がデフレ気味なのもあって、Friendsが余裕で1位を掻っ攫っていくかと思いましたが、Bank Accountに一歩及ばず2位スタート。ただ、1位との差もあまり無く、近いうちに1位にはなりそうなので、順調なスタートとはいえるでしょう。*1

しかし、事実上のリリース週(2週間後=9/9)にHot 100で1位になるためには、この程度の数字では”ヌルい”と思います。その週の1位争い最大のライバルはDespacito*2なのですが、3つの指標で現状どのような感じなのか整理してみます。

まずはラジオ。これはDespacitoが圧倒的に有利です。8月中にラジオのポイントが全体で1位になって、そこから緩やかに数字を落としていて未だに高めの水準をキープしているので、リリースから2週でFriendsがそこまで追いつくのは無理がありそうです。

次にダウンロード。これは新しくリリースされたFriendsが圧倒的有利。と言いたいところですが、Despacitoがこの週に向けて両バージョンを値下げしていることから、二つを合算するとFriendsにそこまで劣らない、もしくは最終的には上回るかも?といった具合の高水準の数字を出していて、ダウンロードではそこまで差がつかない or もしかしたらDespacitoがダウンロードでは上回るかもというのが現状です。

最後にストリーミングです。DespacitoはSpotify / Apple Musicでは7位前後でそこまでは高くはないのですが、YouTubeでの再生回数が圧倒的なこともあって、現在ストリーミング総合1位。とはいっても、YouTube再生回数もやや落ちてきていることから、差をつけるならここだと思ったのですが上記の通りSpotifyでは微妙な水準に。Apple Musicでもまだ目立った成績が出ていないようなので、チャート集計が終わる木曜日までにストリーミングで数字を伸ばしておきたいところです。

ここまでの要素を総合すると、Friendsの事実上デビュー週、9/9の1位争いは【現状では】Despacitoが制する見込みが非常に高いといえます。Despacito視点に立つと、この週(とその前の週)を制することが出来れば、Mariah Carey & Boyz Ⅱ MenのOne Sweet Dayが持つ【歴代最長の1位滞在】という記録に並ぶので、是非とも取っておきたいでしょう。このタイミングでの両バージョンの値引きは記録を意識したものだと思います。

そして、上の表でも8位に入ってきたBodak Yellowの今後の伸び次第では、Friendsは1位をずっと取れない、のような展開もあるのかもしれません。

いずれにせよ、記録を更新できるか?ということも併せて1位争いは盛り上がると思うので、Friends、Despacito、Bodak Yellowあたりの動向には要注目です。

 

ビルボードもこのテーマについてのコラムを書いていて↓

・1位を取る可能性があるのは 9/9の週、その週に1位を取れるかの判断は難しい

・一気に数値を伸ばしづらいラジオをどこまで伸ばせるかがカギ

・いずれにせよ、同一人物による3曲連続1位*3 or 1曲の最長1位記録 など何かしらの記録が新しく生まれる可能性が高い

という要点でした。

 

② 新曲/新アルバムからのシングル Spotifyデイリー順位 (金曜日)

51 Chris Brown Questions
65 Gucci Mane feat. Migos I Get The Bag
68 Miley Cyrus Younger Now
77 Thomas Rhett Grave
122 Kodak Black feat. XXXTENTACION Roll In Peace
170 A$AP Ferg feat. Meek Mill Trap And A Dream
173 CNCO & Little Mix Reggaetón Lento (Remix)
178 A R I Z O N A feat. Kiiara Cross My Mind Pt.2
179 A$AP Ferg feat. Migos Nasty (Who Dat)
185 Zhu Dreams

 

動きが少なめです。Chris Brown、Miley Cyrusなどが新曲をリリースしそれなりの順位に。ミックステープをリリースしたKodak Black、A$AP Fergの曲が一部登場。またカントリー界の俊英Thomas Rhettの新曲Graveが77位で登場。

そして密かに注目なのは65位のGucci ManeとMigosのI Get the Bagの65位。この曲ダウンロードで好調なため、現状だとストリーミングよりもダウンロードの勢いのほうが良いということに。彼らの曲では珍しい事な気がします。でも多分そのうちストリーミングも順調に伸びてくると思いますが。来月リリースの11枚目のアルバムに収録予定。

 

iTunesップ10+新曲の順位 (金曜日)

1 Justin Bieber & BloodPop  Friends
2$ Luis Fonsi & Daddy Yankee feat. Justin Bieber Despacito (Remix)
3$ DJ Khaled feat. Rihanna & Bryson Tiller Wild Thoughts
4$ Liam Payne feat. Quavo Strip That Down
5$ Niall Horan Slow Hands
6$ Charlie Puth Attention
7$ Demi Lovato Sorry Not Sorry
8 Imagine Dragons Believer
9 Sam Hunt Body Like a Back Road
10 P!nk What About Us

 

13 Jana Kramer I've Done Love
14 Miley Cyrus Younger Now
20 Thomas Rhett Grave
22 Gucci Mane feat. Migos I Get the Bag
39 NF Green Lights
41 CNCO & Little Mix Reggaetón Lento (Remix)
49 Rachel Platten Broken Glass
62 Chris Brown Questions
79 Aly & AJ Take Me
91 Kodak Black feat. XXXTENTACION Roll in Peace

$は割引

 

Friendsが数字上は圧倒的に一位ですが、Despacitoの両バージョン合わせると僅差になるようです。この【両バージョンダウンロード】がDespacitoが強さの秘訣です。このおかげで、チャート界の常識をひっくり返してShape of Youを抜かしての年間1位が見えてきています。いわゆる「音楽のセールスが落ちている」時代に、ここまで多くのダウンロードを記録し、音楽へライトに接する層への影響力が高かったという点は賞賛すべきなのかもしれませんが、まるで2曲を併せて1曲として勝負しているある種の「チート」感があって、チャートマニア的にはこの独走は複雑な心境ですね……

ほか女優兼カントリーシンガーのJana Kramerの新曲が13位。そしてAly & AJという懐かしい名前が!!

 

iTunes アルバム順位

1 Dave East Paranoia:A Ture Story
2 Kodak Black Project Baby 2
3 A$AP Ferg Still Striving
4 Kesha Rainbow
5 Grizzly Bear Painted Ruins
6 Neck Deep The Peace and the Panic
7 Josh Abbott Band Until My Voice Goes Out
8 Brand New Science Fiction
9 Various  Vol. 2 Guardians of the Galaxy: Awesome Mix Vol. 2
10 Phora Yours Truly Forever

 

1-3位のアルバムはEP / ミックステープ的なノリの作品で、店頭でのセールスがあまり期待できないため、先週DAMN.がアルバム1位に返り咲いたようにその週リリースではない作品がアルバム1位になりそうです。

 

Apple Musicのトップ10 シングル

1 Cardi B Bodak Yellow
2 21 Savage Bank Account
3 DJ Khaled feat. Rihanna & Bryson Tiller Wild Thoughts
4 French Montana feat. Swae Lee Unforgettable
5 SZA feat. Travis Scott Love Galore
6 Yo Gotti & Mike Will Made-It feat. Nicki Minaj Rake It Up
7 Luis Fonsi & Daddy Yankee feat. Justin Bieber Despacito
8 Kodak Black feat. XXXTENTACION Roll in Peace
9 Lil Uzi Vert XO TOUR llif3
10 Kendrick Lamar HUMBLE.

 

1位がBodak Yellowになったほか、Roll in Peaceが8位で登場。アーバン系リスナーが多いApple Musicのユーザーにとっては、Kodak Black & XXXTENTACIONのタッグは見逃せないでしょう!

*1:2日目は5位まで落ちてしまっているのですが………???

*2:己に打ち克つシングルチャート

*3:連続での

Hot 100 8/26 見どころ 【Bodak Yellowの大躍進 / Drakeがついに消える】

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今週の最大のトピックはDrakeの曲が0になったこと!約8年3カ月続いた「何かしらの曲がHot 100に入り続ける」という記録が途絶えました。ほかCardi B大躍進 など。

 

 

 

95 Sofia Carson, Cameron Boyce, Booboo Stewart & Mitchell Hope – Chillin’ Like A Villian (New)

Descendants 2のサントラから3曲めの登場。Chillin’ Like A Villian。ディズニー系映画サントラの曲はやや不規則なチャートアクションを取ることがあり、他の同サントラの曲は少し前にHot 100に登場して今週は順位を落としていますが、このVillianは今週に登場。Descendants 2サントラは今週のアルバムチャートで20位。

またアルバムチャート1位はDMAN.、2位はカントリーシンガーのBrett Eldredgeが。

 

94 Jacquees – B.E.D. (New)

R&B系ラジオで好評を博していたJacqueesのB.E.D.がHot 100にエントリー。94位で登場。Apple Music、Spotifyでいずれも200位圏外なので、ストリーミングでの数字を伸ばせるかが今後の躍進のテーマだと思います。

 

84 Rae Sremmurd – Perplexing Pegasus (New)

Rae Sremmurdの片割れSwae Leeが今週3位の大ヒットUnforgettableの客演として大活躍し、さらには彼のソロアルバムの噂もあるのですが、今回リリースされたのはRae Sremmurd名義のシングル。Perplexing Pegasusが84位で登場。このアルバムはSremmLife、SremmLife2に続くSremmLife3のシングルと考えられているようです。

※ソロ客演~ソロアルバムの噂の流れで、Rae Sremmurd名義の曲が減る流れ(活動休止?)かと思っていたので、Rae Sremmurdが好きなので個人的に安心しました。

 

82 P!nk – What About Us (New)

P!nkのWhat About Usが82位で登場。今年何回かあった木曜日リリースです。ダウンロードは1日のみ集計ですがその間に圧倒的な数字を記録し、またラジオでも好調(既に今週ポップ系ラジオ34位)なので少ない期間の集計ながらもHot 100にエントリー。他の以前の木曜日リリースの曲と同様、次週は大きく順位を上げるでしょう。Shape of YouやClean Banditのプロデュースで名を挙げたSteve Macがプロデュースのこの1曲、P!nkの元からの知名度の高さとトレンドに合ったサウンドでヒットの線が強そうです。ストリーミングの数字がまだそこまで高くないので、その数字さえ上がってくればトップ10には入りそうです。

※イギリスでも圧倒的ダウンロードを記録していて、今週のシングル1位候補の一つになっています。ライバルはイギリスSpotify現1位、かつ値下げでダウンロードの数字もそれなりのDua LipaのNew Rulesです。

 

81 Camila Cabello feat. Quavo – OMG (New)

Camila Cabelloがリリースした2曲がいずれもHot 100入り。Havanaは99位、OMGは81位。2曲ともストリーミングで上昇中ですが、「プロモーショナル・シングル」という扱いなのでラジオでの数字が当面は望めず、本格的ヒットは望みづらい状況だとは思います。

※「プロモーショナル・シングル」とはシングルのような形でリリースするものの、あくまでアルバム宣伝用のシングルで、シングル単体のヒットを狙ったり、ラジオでかかったりはしないシングルのことです。

※今のところアルバムにはBenny Blanco、Pharrell、Cashmere Cat、Charli XCXとNoonie Bao、Siaなど幅広い制作陣を迎えていて、現代ポップスの縮図のようなアルバムができるかも?

 

76 Kodak Black – Patty Cake (New)

ビデオがリリースされたKodak BlackのPatty Cakeが76位で登場。アルバムPainting Picturesからは一時期6位まで到達したTunnel Visionに次ぐ2曲めのHot 100。ビデオではそのPainting Picturesのジャケにいるイラストの人?が出てきます。

 

70 Tay-K – The Race (New)

次世代YouTubeハッシュタグ系ラップのヒットシングル。Tay-KのThe Raceが70位で登場。毎度おなじみ曲に合わせたダンス動画に加えて、この曲のフリースタイルリミックス制作も話題に。Lil Yachtyがこの曲に合わせたフリースタイルをしていました。

 

40 Kane Brown feat. Lauren Alaina – What Ifs (↑)

若手カントリーシンガー二人によるWhat Ifsが40位に上昇!Kane Brownにとっては初、Lauren Alainaはアメリカンアイドルに出場した2011年以来のトップ40。サビのダブルコーラスが印象的なポップ寄りアプローチをした一曲です。カントリー系ラジオでの上昇のほか、ダウンロードが今週21位と好調がトップ40入りの要因です。カントリー界からはDustin LynchのSmall Town Boyも38位とトップ40入りを果たしています。

 

8 Cardi B – Bodak Yellow (↑)

話題のシングル。Cardi BのBodak Yellowが4週目で8位まで浮上。かなりのスピードで躍進していて、ビルボードは複数のデータでそのすごさを説明しています。女性ラッパーのトップ10エントリーは2014年のNicki MinajのAnaconda以来(客演は除く)であること、また同じくデビューシングルだったMeghan TrainorのAll About That Bassも同じく4週目でトップ10に到達したことを挙げています。

私はこのBodak YellowはAll About That Bassと似たようなチャートアクションを取るのではないかと予想しています。All About That Bassは上で述べたように4週目に8位でトップ10した後、4位、2位と順調にジャンプアップして、「いよいよ1位か?」という週にTaylor SwiftのShake It Off、そしてNicki MinajのAnacondaの衝撃的なビデオがその週にリリースされ、ポイント自体は大きく上昇しているにも関わらず、まさかの3位にランクダウン。ですが2週間後には見事1位に上昇しています。

Bodak Yellowも来週はトップ5に到達すると予測されていて、さらなる飛躍が見込まれますが、こちらにも強力なライバルが出現します。それは今週の木曜日に新曲FriendsをリリースするJustin Bieber。複数アーティストを客演の立場から1位に送り込んでいる勢いを考えると、自分自身の曲で特大ヒットになるのは間違いなく、すぐに1位となる可能性は大きいでしょう。Bodak Yellow自体の勢いは間違いがありませんが、1位を取るにはJustin Bieberの勢いが止まる瞬間を待つ必要があるかもしれません。

※この曲の勢いの良さの一番大きな要因はストリーミング(今週2位、Apple Music現1位など)ですが、他二つもダウンロード(今週15位)、ラジオ(今週36位)とそれなりの数字を記録しています。

 

6 Shawn Mendes – There’s Nothing Holdin’ Me Back (↑)

Stitchesに次いで2曲めのポップ系ラジオ1位を記録したShawn MendesのThere’s Nothing Holdin’ Me Back。Hot 100でも6位まで浮上しています。ただ、同じく男性ポップ系シンガーソングライターの*1 Charlie PuthのAttentionは今週Hot 100で5位に浮上し、抜けませんでした。ラジオではリードしているものの、ダウンロードとストリーミングの数値が少し下回っています。この2人の順位争いは密かに注目ですかね……?

 

2 DJ Khaled feat. Rihanna & Bryson Tiller – Wild Thoughts (→)

ポップ、アーバン系と幅広い系統のラジオ局でかかっていることから今週ラジオで最も支持を得る曲となったWild Thoughts。1位に接近しているのか?とも思えますが、今週はDespacitoがWild Thoughtsと比べて1.46倍のポイントを稼いでおり、大差をつけています。ビルボードはこのように大差をつけていることに加え、Wild Thoughtsはラジオ以外の数値は伸びていないことを考慮して「現状」*2では、Despacitoが有利としています。

ですが、Wild Thoughtsは今週iTunes値下げを敢行し、Despacitoのリミックスと原曲*3を合算したダウンロード並の数字まで到達しており、1位争いが熱くなってきています。ストリーミングはYouTubeでの好調があるのでDespacitoがまだリード中ではありますが、ラジオではWild Thoughtsが上回っているので勝負は分からないです。個人的には、そろそろチャートに動きが欲しいという願望も込めてWild Thoughtsが1位になると予想します。Wild Thoughtsはここで1位をとらないと、今週木曜日リリースのJustin BieberのFriendsという強力なライバルが出現するので……

 

× Drake – Passionfruit (↓)

先週Hot 100にエントリーしていたSigns、Passionfruitの2曲がHot 100から姿を消し、「2009年5月のHot 100初登場以来何らかのDrakeの曲が入り続ける」という記録が約8年3ヶ月で途切れました。Signsが予想外の不調なことが途切れた最大の原因でしょうか。仮に自身の曲がHot 100に入らずとも、以前までは客演の曲がエントリーしたことによって記録が続いていたのですが(例:2015年の半ば、Meek Mill feat. DrakeのR.I.C.O.のみで繋いでいた期間がある)、大物になりすぎたせいか、やや客演が減ったことも記録が止まった理由の一つだと思います。

今年の客演は”美しすぎるチャート滞在”を記録したGucci ManeとのBoth(ピーク41位)、Wizkidと再タッグを組んだCome Closer(ピーク100位圏外)、ストリーミングから音源が「消えた?」DJ KhaledとのTo the Max(ピーク51位)、Metro BoominとのNo Complaints(ピーク71位)の4曲、そして去年の客演数は8曲です

他にも理由を挙げると、今年に入ってからラジオではやや不調だったということ。ストリーミングでは大人気で、デビューじにはHot 100で8位だったにも関わらず息切れして最後は81位になってチャートから姿を消したかというとラジオでヒットしなかったから。客演で入ったGucci ManeとのBoth、昨年リリースされていたFake Loveはアーバン系ラジオで1位を獲得していたのですが、More Lifeで発表されたシングル群はPassionfruitの19位が最高位で、微妙。Signsに至ってはまだ50位以内にエントリーしていません。

個人的に理由の推測として浮かんだのは、曲のリリースペースが速すぎてラジオの曲が入れ替わるペースでは対応しづらいこと、またストリーミングに意識を傾けて曲をリリースしていることだと思います。ラジオはゆっくり支持を拡大し、ピーク後もゆっくりと数字を落としていくのですが、そのペースだとMore Lifeの大量の曲をカバーしきれなかったのかもしれません。またCDのリリースも難を極めて、さらにYouTubeに曲を上げないなどプロモーションの手段に偏りがある(ストリーミングでヒットするからOKということでしょうか?)ため、世間一般の曲認知度が低いことがラジオでのヒットが無い理由になるのかもしれません。

昨今「ストリーミングの人気でチャートを上昇中!」のようなケースがHot 100で多くありますが、Hot 100の集計ではストリーミングのレートが一番低いとされていて、またチャート滞在の後半はラジオの指数が重要になるので、結局総合的なヒット具合を決める指数の決めてはラジオだったりもします。*4 

 

× Jason Derulo feat. Nicki Minaj & Ty Dolla $ign – Swalla (↓)

Jason DeruloのSwallaが今週チャートから外れました。ピーク29位で滞在20週、最後の週の順位は82位と年間チャートが厳しそうな指数です。全員アメリカ人で、R&Bをベースとした曲ながらも、むしろアメリカではヒットして「いない」ような曲でした。(イギリスではピーク6位、ドイツではピーク4位など)、理由はR&B曲ながらも、アーバン系ラジオでは50位圏外とR&B系統のファンからの支持が無いことですかね……

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲          Portugal. The Man – Feel It Still

今週最もダウンロードが上昇した曲 Kesha - Praying

今週最もストリーミングが伸びた曲 Cardi B – Bodak Yellow

最も高い順位で新登場した曲          Tay-K – The Race

 

 

今週チャートから外れた曲 (8曲)

【左の数字は先週の順位、右(ピーク順位🗻/チャート滞在週数⏰)】

100 Drake – Signs (🗻36位 /⏰6週)

97 Kesha – Learn To Let Go  (🗻97位 /⏰1週)

96 Linkin Park feat. Kiiara – Heavy  (🗻45位 /⏰19週)

95 Florida Georgia Line feat. Backstreet Boys – God, Your Mama, And Me  (🗻46位 /⏰19週)

91 Enrique Iglesias feat. Sean Paul – Subeme La Radio  (🗻81位 /⏰9週)

82 Jason Derulo feat. Nicki Minaj & Ty Dolla $ign  (🗻29 /⏰20)

81 Drake – Passionfruit  (🗻8 /⏰20)

49 Ayo & Teo – Rolex  (🗻20 /⏰25)

 

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲をピックアップしました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora、Apple Music、各種ラジオなど)

 

Marshmello feat. Khalid – Silence (Spotify 19位、Apple Music 24)

昨年DJ Magのランキングで初登場28位と躍進した仮面DJはメインストリームでも絶好調。こちらも今年躍進中のKhalidとタッグを組み、ダウンロードとストリーミングで上々な数字を叩き出しています。Aloneで記録した60位を1週目から抜くかもしれません!

 

Samir Mezrahi - A a a a a Very Good Song (ダウンロード)

自動再生した時に不意に曲が流れないようにする無音の1曲。「曲」というよりは「ツール」です。Hot 100に入るほどのダウンロードは得ていませんが、Hot Digital Song(=ダウンロードのチャート)の圏内の50位に入る可能性ならあり得るでしょうか?(この1週間ダウンロード50位前後を推移しています)、そもそもビルボードがこれを「曲」としてみなすかは不明ですが。

 

 

 

*1:ライバル???

*2:その文章の投稿は月曜日

*3:原曲のほうも今週値下げ

*4:年間チャートではラジオヒットが上位に来る傾向があります