チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Billboard Hot 100 5/6 見どころ 【シングルチャートでのDrake 対 Kendrick Lamar】

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今週はKendrick LamarのアルバムDAMN.がDrakeのMore Lifeを上回る成績でアルバム1位を獲得したことが話題となりました。そこで、今週はDrake 対 Kendrick Lamarという点に着目してHot 100を説明していきます。

 

 

99 Lord Huron – The Night We Met (New)

インディー・フォーク系バンドのLord HuronのThe Night We Metが99位で登場。現在Hot 100に三曲しかないロック系の曲のうちの一つ。残り2つはImagine DragonsのBeliever、Linkin ParkのHeavy。

 

87 Logic ft. Damian Lemar Hudson – Black Spiderman (New)

LogicのBlack Spidermanが87位で登場。今年リリースのアルバムEverybodyからの1曲。2週前に登場したEverybodyに引き続きのHot 100エントリーでアルバムへの注目度の高さが伺えます。Suicide Squadのサントラ収録のSucker For Pain(彼と他多数と組んだ)で知名度を上げたということでしょうか。Sucker For Pain以前のHot 100エントリーは1曲だけでした。

 

78 Lil Yachty ft. Migos – Peek A Boo (New)

Lil YachtyとMigosによるPeek A Booが78位で登場。MigosのメンバーQuavoはLil Yachtyの昨年のミックステープのMinesotaにも登場していて再びタッグということに。5月末にリリース予定のLil Yachtyのデビューアルバムからの1曲。客演を務めたBroccoliでD.R.A.M.を、iSpyではKyleをトップ10に導いたLil Yachtyが自身の曲でどのような活躍を見せるかがとても楽しみです!アルバムにはDiplo、YG、Kamaiyaha等が登場します。

 

76 G-Eazy & Kehlani – Good Life (New)

今週アルバム10位のワイルドスピードのサントラからの1曲、Good Lifeが76位で登場。See You Againを擁してシングル、アルバム共に1位を獲得した同シリーズの前作のサントラと比べるとチャート成績は小粒。同サントラにはMigos、Lil Yachty、Lil Uzi Vert、Travis Scottなど今勢いのある面々が多く並んでいます。

ちなみに日本では映画のCMが多く放送している影響なのか、サントラも結構人気のようで、リリース以降Apple Musicの日本のランキングで常に同週リリースのKendrick LamarのDAMN.を上回っているほか、Good Lifeがシングル5位につけています。

 

39 Lady GagaThe Cure (New)

Lady Gaga がコーチェラの舞台で披露したThe Cureが39位で登場。昨年のアルバムJoanneで従来のエレクトロポップ路線から変換し、ロックサウンドを取り入れた彼女でしたが、このThe Cureは従来のエレクトロポップの要素が強いです。

 

38 Katy Perry ft. Skip Marley – Chained to the Rhythm (↓)

Katy PerryのChained to the Rhythmが今週38位。2週連続で10近く順位を落としていて、正念場。先週女性がトップ10に不在という現象が発生しましたが、その原因の一つにこのChained to the Rhythmの不調が挙げられていました。

際立つのはラジオでの苦戦。デビュー以降シングルがほとんどラジオトップ5以上を記録していましたが、アルバムPRISM後期から失速。その不調を引きずる形で今回のChained to the Rhythmもラジオ9位ピークと不本意な成績に。このまま落ちていくのか……

 

33 Kendrick Lamar ft. U2 – XXX. (New)

今年1番のセールスを記録したアルバム、Kendrick LamarのDAMN.からは全14曲がHot 100に。その中でもU2が客演のXXX.ほか9曲がヒットの基準とされるトップ40で登場。J.Coleの4 Your Eyez Onlyでの10曲に次いで2番目に多くのトップ40を一つのアルバムを輩出しています。

ライバル?とも言われるDrakeのMore Lifeのシングル成績*1と比較してみます。

トップ40の曲数。これは同じ9曲。ですが、アルバムの全シングルのHot 100の平均順位を比較すると45.5位(More Life)と32.6位(DAMN.)と開きがあります。アルバムセールスだけでなく、シングルのヒット度から見てもKendrickに分がありますね。

ちなみにアルバムのシングル平均32.6位はJ.Coleの4 Your Eyez Only (平均21.4位)、BeyoncéのLemonade(平均32位)に次ぐ3番目の好成績です。

参照↓

 

9 Luis Fonsi & Daddy Yankee ft. Justin Bieber – Despacito (↑)

Luis FonsiとDaddy YankeeのDespacitoがJustin Bieberを迎えた新しいバージョンをリリース。それが強力な追い風となってダウンロードとストリーミングが大幅に上昇。一気にトップ10まで上昇。スペイン語の曲*2としてはMacarena以来21年ぶりのトップ10。現在2017年にリリースされたビデオの中で最も再生(既に10億越え)されるなど、リミックス以前から好調。強力な助っ人を得てさらなる高みへ?数週間後の1位の可能性も十分ありえるでしょう。

 

7 Zedd & Alessia Cara – Stay (↑)

値下げが功を奏し、ダウンロードが今週1位となったZeddとAlessia CaraのStay。ラジオストリーミングでの好調も合わせてHot 100で7位まで上昇しました。両者にとって3曲目のトップ10、そしてZeddメインの曲としてはClarity(ピーク8位)を越えて自己最高*3です。また、この曲のソングライターのNoonie Baoにとっては初のトップ10です。そもそもこの曲が彼女にとって初のHot 100でしたが*4

 

4 Kendrick Lamar – DNA. (New)

ビデオもリリースされたKendrick LamarのDNA.が4位で登場。これで彼にとってHUMBLE.に次いで2曲目のトップ5圏内でデビューした曲に。ちなみにDrakeはシングルがトップ5圏内で登場したことがありません。(Passionfruitの8位が一番高い順位でのデビュー)最初の週からいきなりこの順位でデビューということは、現在のKendrickの注目度の高さが分かります。

 

1 Kendrick Lamar – HUMBLE. (↑)

アルバムリリースによって元から高かった注目度がさらに上昇し、1位を獲得したKendrick LamarのHUMBLE.この曲のトラックメイカーMike Will Made-ItにとってはBlack Beatlesに次ぐ2曲目の1位。ダウンロード10位、ラジオ47位と1位の曲としては低い水準ながらも、ストリーミングが圧倒的な支持(歴代2位の成績)により見事1位に。音楽マニアの熱量がダウンロード、ラジオの低さをカバーし1位に押し上げた、という形か。

ちなみに1位を初めて獲得する際はダウンロードが鍵となっていて、1位を初めて獲得する際はだいたいダウンロードが1位~2位となっています。このHUMBLE.の初めての1位の週のダウンロード10位というのはストリーミング導入以降、異常に低い数値と言えます。*5ただ、それを補うだけのストリーミングを記録したというのは、リスナーの心を揺り動かす素晴らしいアルバムだったという証拠でもあるでしょう。

 

ただ来週は1位から陥落する可能性が高そう、ラジオで多くのオーディエンスに加えリミックス版のリリースによるダウンロードの上昇が見込まれるBruno MarsのThat’s What I Likeが1位有力です。一応HUMBLE.、Shape of You、Despacito辺りの1位も無くはないです。

 

× Drake – Teenage Fever (↓)

Kendrick Lamarのアルバム全曲登場の影響で多くの曲がチャート圏外へ。DrakeのMore Lifeの曲も多く落ちていて、Jeniffer Lopezのデビュー曲をサンプリングしたTeenage Feverなど4曲が圏外へ。現在Hot 100に残っているのはGyalchester (92位)、Portland (60位)、Passionfruit (27位)の3曲に。ただKendrick自身が客演のDon’t Wanna Knowも圏外に落ちてしまいました。

今週のKendrickのHot 100のエントリー数は15曲(アルバム14曲+Goosebumps)。DrakeはMore Lifeリリース時にはアルバム22曲+客演2曲の計24曲(歴代最多)をHot 100にエントリーさせていて、この記録ではDrakeに軍配が上がります。

 

× The Chainsmokers – The One (↓)

Paris、Something Just Like Thisの先行シングル2曲はいずれもトップ10に到達するなど好調で、同一アーティストによる連続トップ10記録(現在51週、Drakeと同率2位で歴代1位はKaty Perryの69週)を伸ばしつつあるThe Chainsmokersですが、意外とアルバムからのシングルは不調。一番人気だったThe Oneもすぐにチャートから姿を消してしまいました。彼らが次に打つ手とは……?

 

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲を集めました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora)

 

Ocean Park Standoff – Good News (Shazam 6位)

Portugal. The Man – Feel It Still (Shazam 27位)

Blackbear – do re mi (Spotify 30位)

Lecrae ft. Ty Dolla $ign – Blessings (Shazam 31位)

Wisin ft. Ozuna – Escápate Conmigo (Shazam 35位)

Trey Songz – Nobody Else But You (Shazam 36位)

Shawn Mendes – There’s Nothing Holding Me Back (Spotify 37位)

Cheat Codes ft. Demi Lovato (Shazam 40位)

Play-N-Skillz ft. Frankie J, Becky G & Kap G - Si Una Vez (Shazam 41位)

Stargate ft. Sia & P!nk – Waterfall (Pandora 47位)

Gold Link – Crew (Shazam 48位)

Wizkid ft. Drake – Come Closer (Shazam 49位)

 

Shazamで6位と高い支持を得ているGood Newsはアダルトコンテンポラリー系のラジオで好評なよう。この好調がいつHot 100に表れるか。もう一つの注目点はCheat Codes。昨年SexやLet Me Hold You、Shed A Lightがヨーロッパを中心にヒットしましたが、母国アメリカでは100位圏内に登場できず。ですがDemi Lovatoと組んだ新曲はポップ系ラジオで好調なようで、近いうちにHot 100に入りそう。Spotify66位のPretty Girl(Cheat Codes X Cade Remix)と合わせて注目です。

 

今週チャートから姿を消した曲

(左の数字は先週の順位 ※はリカレントルールが適用された曲)

 

100 Cole Swindell – Flatliner

99 Darius Rucker – If I Told You

98 Alessia Cara – How Far I’ll Go

97 Enrique Iglesias ft. Descemer Bueno, Zion & Lennox – Subeme La Radio

95 Zayn ft. PARTYNEXTDOOR – Still Got Time

93 Dwayne Johnson – You’re Welcome

92 Kenny Chesney – Bar at the End of the World

91 Drake – Teenage Fever

90 Michael Ray – Think A Little Less

88 6LACK – Prblms

84 Drake – Blem

83 Future – Draco

78 The Chainsmokers – The One

77 Lauren Alaina – Road Less Traveled

72 Drake – Free Smoke

※70 Train – Play That Song

※46 Maroon 5 ft. Kendrick Lamar – Don’t Wanna Know

※39 The Weeknd ft. Daft Punk – Starboy

※38 Drake – Fake Love

*1:両アルバムとも全曲Hot 100に

*2:Justin Bieberの英語パートがありますが、スペイン語曲とビルボードが扱っているので、ここでもスペイン語曲とします

*3:客演のBreak Freeはピーク4位

*4:彼女はAviciiとNicky RomeroのI Could Be the Oneでボーカルを務めていましたが、それは100位手前まで来ましたがHot 100エントリーならず

*5:それまではJohn LegendのAll of Me1位最初の週のダウンロード4位が一番低い数字です。ただ初めの週に限らなければ、RihannaのWorkの第9週目の1位(ダウンロード13位)など1位ながらももっと低いダウンロード順位という場合もあります

「33年ぶり」アメリカのシングルトップ10に女性が不在! そのポイントをピックアップ 【女性がいないのは一時的?】

www.billboard.com

Billboardにこのような記事が昨日アップロードされました。

今週のHot 100のトップ10には女性がおらず、これは33年ぶりというニュース。

毎週Hot 100を観測している私ですが、これには全く気づくことができず、もっと精進しなくてはいけないと思った次第でございます。

今回はその元記事を参照しながら、この現象の意味する所は何か。ポイントを拾って説明します。

 

今週のHot 100のトップ10を振り返りましょう。

1, "Shape of You," Ed Sheeran
2, "That's What I Like," Bruno Mars
3, "Humble.," Kendrick Lamar
4, "Sign of the Times," Harry Styles
5, "Something Just Like This," The Chainsmokers & Coldplay
6, "iSpy," KYLE feat. Lil Yachty
7, "Mask Off," Future
8, "XO TOUR Llif3," Lil Uzi Vert
9, "Body Like a Back Road," Sam Hunt
10, "Paris," The Chainsmokers

The ChainsmokersのParisではボーカルをEmily Warrenが担当しているのですが、客演表記されていないので対象外です。ちなみに最近リリースされたアルバムではEmily WarrenはDon't SayとMy Typeで客演表記されています。この違いは何でしょうか笑

 

このように女性がいないのは33年ぶり、1984年2月11日付けのHot 100以来ということで、かなり珍しい記録だということが分かります。

記事では1990年に女性の「ソロ」がいないという点でニアミスの事例も取り上げていますが、女性三人組がその時には入っていて、その意味でソロかどうかはあまり論点でない気がするので重要度は低いと思います。ただ、男性+女性のグループ*1だと意味合いは変わると思います。

 

ちなみに女性がトップ10を全て独占したという事例はどうやら無いようです。以下の記事でトップ5を女性が独占した事例を紹介しているのですが、いずれの週でも6位が男性で、トップ10を独占したことが無いということが分かります。

 

これはつまり男性の隆盛、または女性の不人気を物語るデータなのか?という疑問が湧くかもしれませんが、そんなことはないようです。それを裏付けるデータをビルボードは3つ提示しています。

 

1 大物のリリースが少ない

Adele、Sia、Ariana Grande、Rihannaなどの昨年または一昨年の末あたりにアルバムをリリースした大物女性シンガーがアルバムからのシングルをほぼ出し終えたこと。

いくら大物といえどアルバムからのシングルも4曲目くらいになると勢いが衰えていくことは避けられず、Adeleの4曲目のシングルWater Under the Bridgeはラジオ以外の指標が伸びずにピーク26位。Ariana Grandeは近年ますます存在感を高めるFutureと組んだEverydayをアルバム4曲目のシングルとしてリリースするも、57位止まりに。Siaのアルバム4曲目シングルMove Your BodyはHot 100に入ることができませんでした。RihannaのLove on the Brainはアルバム4曲目のシングルながらもトップ10に入ることができたのですが、ビデオをリリースしなかったせいかトップ10滞在が5週と短めでした。*2

これは女性に限ったことではなく、Justin BieberのPurposeでもWhat Do You Mean、Sorry、Love Yourselfと3連続1位の後のCompanyはわずか53位止まりでした。

記事ではKaty PerryのChained to the Rhythmの不調も一因と指摘しています。ピークは4位ですが、2週しかトップ10にいません。最近iTunesで値下げもしたのですが、それでも13位と奮わず*3………↓参考

 

 

2 11位~14位は全員女性

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今週の11位~14位です!これら全曲に女性の名前があるのです。11位のIt Ain't MeではSelena Gomez、12位にはJulia Michaels、13位のRockabyeではAnne-Marie、またはClean Banditの一員Grace Chatto、14位のStayではAlessia Caraと並んでいます。Rockabyeは既にトップ10に入っていますし、残り3曲も上り調子で、今後トップ10に入る可能性が十分といえそうです。

 

3 2010年代全体ではかなり女性が増えている

2つのデータで2010年代に女性のHot 100上位進出が増えていることが分かります。まず、トップ10内での女性比率。2010年代の1位曲の女性の割合は46%。1960年代や1970年代の22%と比べるとずいぶん上昇しています。実は1990年代の49%よりは下がっているのですが、46%が半分に近い割合と考えると特に男女比に違和感を感じるレベルではないでしょう。

もう一つは、女性が連続でHot 100の1位をキープし続けた記録が2010年代に生まれていること。2011年のBorn This Way、E.T.、S&M、Rolling in the Deepと、2015年のShake It Off、All About That Bass、Blank Spaceでいずれも19週連続で女性がHot 100を支配しました。2011年のほうは客演もカウントするとなんと45週もHot 100の首位に立っていたということになるようです。

つまり、近年は女性の支配力がむしろ上がっていることが分かります。

 

1-3のデータから今週女性がトップ10から消えたのは、女性の勢いが衰退しているというよりもタイミングの妙が主な要因ということが分かります。  Katy PerryのChained to the Rhythmを除いては……

 

しかしビルボードはもしかしたら今後は男性が支配的なチャートになるかも?という可能性も指摘しています。それはヒップホップの躍進。今年Black BeatlesやBad and Boujeeがストリーミングでの爆発的な人気により1位を獲得したことが記憶に新しいですが、ヒップホップは伝統的に男性がかなり支配的ということ。その傾向は近年強まっているという分析もあり、Pithcforkは今のラップクイーンがNick Minajしかいないと指摘しています。

今後女性のトップ10はどうなる?今後の見どころは?

この状況は続くのでしょうか?

私はあまり続かないと思います。まず上で述べたように11位~14位の曲のトップ10入りの可能性が高いこと、そしてKendrick LamarのアルバムのLOYALTY.(客演がRihanna)にもトップ10入りの可能性があるので、この状況が長く続くことはないでしょう。

33年前のトップ10に女性が0人になった時も、次の週にすぐ他の女性アーティストの曲がトップ10入りしました。

 

しかしヒップホップの隆盛、そして女性MCの躍進が無い状況が続くと、もしかしたらまた似たような状況が生まれ、長続きするかもしれません。

新しい着眼点が増えて、これからもますますHot 100から目が離せませんね!!!

あとChained to the Rhythmが今後どうなるかも気になります、今週は29位とかなり順位を落としていますが……ちなみにNMEはこのChained to the Rhythmを2017年のベストソングの一つに選んでいます。ヒット度のわりに意外と評論家受けは良いのですかね……?

djk2.hatenablog.com

4/25追記 この次の週、ZeddとAlessia CaraのStayがトップ10入りし、トップ10に女性が再び戻ってきました!

 

*1:特に紅一点

*2:昨年のWorkはトップ10滞在18週、Needed Meはトップ10滞在16週でした。Needed Meはトップ5に入らなかった曲の中で最長のトップ10滞在を記録しています

*3:値下げをした「わりに」13位というのが気になります

NMEによる今のところの2017お気に入りポップスは? 【全曲リスト付き】

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NMEが先日2017今のところベストソング57を発表しました。以下がそのリストです (数字は順位ではなく、通し番号のようなものです)

 

  1. Lorde – ‘Green Light’
  2. Father John Misty – ‘Pure Comedy’
  3. The xx – ‘Dangerous
  4. Sälen – ‘Heartbreak Diet’
  5. Kehlani – ‘Undercover
  6. Young Fathers – ‘Only God Knows’
  7. RAC – ‘This Song (ft. Rostam)’
  8. Run The Jewels – ‘Down’
  9. Syd – ‘Nothin to Somethin’
  10. MUNA – ‘So Special’
  11. Methyl Ethel – ‘No 28’
  12. Wiley – ‘Speakerbox’
  13. Goldfrapp – ‘Anymore’
  14. Katy Perry – ‘Chained To The Rhythm’
  15. Marika Hackman – ‘Boyfriend’
  16. Sigrid – ‘Don’t Kill My Vibe’
  17. Ryan Adams – ‘Prisoner’
  18. Liv Dawson – ‘Searching’
  19. Simon Doom – ‘I Feel Unloved
  20. Confidence Man – ‘Boyfriend (Repeat)’
  21. The Shins – ‘Cherry Hearts’
  22. Superorganism – ‘Something For Your M.I.N.D.’
  23. Stormzy – ‘Cold’
  24. Kendrick Lamar – ‘HUMBLE.’
  25. Calvin Harris – ‘Slide (feat. Frank Ocean & Migos)’
  26. Pale Waves – ‘There’s A Honey
  27. Laura Marling – ‘Nothing Not Nearly’
  28. Fleet Foxes – ‘Third of May / Odaigahara’
  29. Alt-J – ‘3WW’
  30. Temples – ‘Roman God-Like Man’
  31. Jaded – ‘In The Morning’
  32. QTY – ‘Dress/Undress’
  33. Zara Larsson – ‘TG4M’
  34. Shame – ‘Tasteless’
  35. Frank Ocean – ‘Chanel
  36. Yaeji – ‘Noonside’
  37. Drake – ‘Passionfruit’
  38. Perfume Genius – ‘Slip Away’
  39. Pond – ‘The Weather’
  40. Mac DeMarco – ‘My Old Man’
  41. Sampha – ‘(No One Knows Me) Like The Piano’
  42. Maggie Rogers – ‘On + Off’
  43. Loyle Carner – ‘Stars & Shards’
  44. Future Islands – ‘Ran’
  45. Gorillaz – ‘We Got The Power (feat. Jehnny Beth)’
  46. Thundercat – ‘Walk On By (feat. Kendrick Lamar)’
  47. The Moonlandingz – ‘Black Hanz’
  48. The Black Angels – ‘Currency’
  49. Vince Staples – ‘BagBak’
  50. Jay Som – ‘Baybee’
  51. Charli XCX – ‘Babygirl (feat. Uffie)’
  52. Jorja Smith – ‘Beautiful Little Fools’
  53. Steve Lacy – ‘Dark Red’
  54. Little Cub – ‘Too Much Love’
  55. HMLTD – ‘To The Door’
  56. Hoops – ‘Rules’
  57. Superfood – ‘Double Dutch’
  58. Nick Hakim – ‘Green Twins’

 

元記事はこちら (※ページがかなり重く、スマホでは開けないかも……!)

www.nme.com

 

同時にアルバムのリストも発表しているので、そちらも(※こっちのページは重くないです)

www.nme.com

 

ポップスに関する論が意外と少なく思っていて、今年は重点的にポップスに関する論を考えようと思っていて、何曲かポップスが入っているこのリストについて触れようと思いました。このリストから今年のポップスで評判の良いのはどの曲だ?ということを振り返ろうと考えました。

 

ポップスとは何?という問いは意外と難しくて、それだけでも1冊の本が書けそうな気配がありますが(書きたい*1)、今回の記事では ①聞きやすい馴染みやすい ②ポップス系のラジオに混ざっても違和感が無い という定義で考えていきます。

それで、その定義に当てはまると思ったのは上のリストで太字にした曲です。分類的には曖昧で、The xxのDangerousやGoldfrappのAnymore辺りも入れても良かったかもしれません。

ちなみにこのリストの曲だと私はDangerous、Only God Knowsあたりが好きです。

では、それぞれがどのような曲なのかを、元記事のひとくちメモと合わせながら説明していきます。

 

Lorde – Green Light

“Lorde’s first taste of second album ‘Melodrama’ was this flawless breakup banger, written with fun.’s Jack Antonoff.”

 

PitchforkもBest New Track認定したLordeの1曲。この曲を契機に6月リリース予定のアルバムへの期待感が高まったように思います。2013年のブレイク以降、注目を浴び続けると同時に重圧もあると思いますが、それを跳ね返して新しい姿をアルバムで見せられるかに注目です。

 

Sälen – ‘Heartbreak Diet’

“Following the disarmingly odd likes of ‘Copper Kiss’ and ‘Diseasey’, the lyrics on ‘Heartbreak Diet’ are possibly the best yet from this minimalist London trio. “I am done with sticky people,” it goes. “They’re too hard to pick out of my teeth.”

 

実際ヒットチャートに躍り出てはいない曲ですが、ポップラジオで人気が出そうなポテンシャルを感じたました。無邪気なポップス。ビデオは血糊系のグロさがありますが、

 

Kehlani – ‘Undercover

This early cut from the precocious R&B star’s debut album ‘SweetSexySavage’ is deceptively simple, but it’ll burrow deep into your brain.

 

Kehlaniはジャンルで分類するならR&Bですが、ポップスのリスナーにも響きそうと考え、今回はポップスとしました。ワイルドスピードのサントラからのGood Life(G-Eazyとの曲)はかなりポップスで、今年はKehlaniのポップス侵攻が進むかもしれませんね!

 

Katy Perry – ‘Chained To The Rhythm’

On this song Perry takes jabs at blissful ignorance via the metaphor of pop, which we can’t help feel is sort of shooting herself in the foot. But as the first example of her self-described “purposeful pop” it’s not a bad start – mainly thanks to it also being a massive tune.

 

この記事を書こうと思ったきっかけその①です。この曲を選んでいるのは正直意外でした。NMEは「メタファーが潜んだポップで、それに完全に同意とまではいかないが、それでもリスナーを満足させるだけのポップス曲としての強さがある」と評しているようですね(かなり意訳しています)

しかしその意向はヒットチャートでは従来と比べるとそこまで振るわず、現在アメリカでもイギリスでも順位を落としつつあります。このままいくと、最初の注目度の割には尻すぼみになってしまった昨年のMeghan TrainorのNOのようになりそうです。

他の媒体はこの曲をどのように評価しているかは分かりませんが、もしかしたら年末になったら2015年のCarly Rae Jepsenのように「ポップチャートでは奮わないものの批評家には評判の高いポップス歌手」になったりするのですかね。ヒット度、評判ともに今後の動向に注目です。

 

Sigrid – ‘Don’t Kill My Vibe’

Few have made an entrance quite like Norwegian 20-year-old Sigrid this year. This is the kind of pop debut that only comes around every so often – thanks in no small part to its enormous ‘fuck-off’ of a chorus.

 

曲のリリースはこのDon’t Kill My Vibeだけながらも、その1曲で大きな注目を集めているノルウェーの20歳のSigrid。NMEが”Fuck-Off of a Chorus”と評したサビコーラスの壮大なスケール感が魅惑的です。近年はエレクトロサウンドを下敷きにしたポップスが多いと感じていますが、この曲はどちらかというとロック風サウンドが下敷きになっています。LordeのGreen LightやHarry StylesのSign of the Times辺りが好きな人には向いている曲かな、と思います。まだヒットチャートには出てきていませんが、今年後半の台風の目にもなりそうなポテンシャルを感じる曲です。

 

Calvin Harris – ‘Slide (feat. Frank Ocean & Migos)’

“All my songs in 2017 have been sonically designed to make you feel fucking incredible,” Calvin Harris wrote before releasing this Frank Ocean/Migos collab. This one’s not far off.

 

Calvin Harrisの「ポップス界、EDM界に革命を起こしてやるぜ」という気概を感じる一曲。このSlideの次のシングルHeatstrokeでもYoung Thugなどを起用したように、今まで無かったような人同士を組み合わせせる実験を高いレベルでこなしているように思います。曲単位ではPitchforkもBest New Trackにも認定されましたが、このEDMという批評家からは遠い世界のスターが、アルバムで科学実験を成功させるかに注目が集まります。

 

Zara Larsson – ‘TG4M’

From the Swedish popstar’s international debut ‘So Good’, this mid-tempo balladbanger deals with self-destructiveness and low self esteem: “You’re too good for me / but I want you anyway.”

 

この記事を書こうと思ったきっかけその② アルバムでの高評価(4/5点)に引き続きベストソングにもピックアップ*2と、NMEのZara Larsson推しの姿勢が伺えます。私はアルバムの新規曲の中ではOnly Youを推している(参考↓)のですが、NMEはTG4Mなのですね。ミッドテンポなエレクトロポップで、全体的な浮遊感が心地よいですね。密かにアメリカとイギリスのSpotifyでシングルのSymphonyに次ぐ2番人気(アルバムの新規曲で)になっていて、今後のヒットにも期待ですね。

 

 Drake – ‘Passionfruit’

Every time Drake produces a sadbanger of this quality, it just proves that Sad Drake is the best kind of Drake.

 

One Danceに次ぐDrakeのダンスホール系ポップスチューンのPassionfruit。Drakeこそが現在のポップスの王で、流行の先端はここにあるということを証明している曲かなと感じます。

 

Charli XCX – ‘Babygirl (feat. Uffie)’

This glossy, funny highlight from Charli’s mixtape ‘Number 1 Angel’ practically winks at the listener. ‘Babygirl’ is cutesy and ironic, taking suggestive pop lyrics to the extreme.

 

NMEにとってCharli XCXはイギリス代表の一人のようなものだと思います。2016のNME AwardsではAdeleを差し置いてBest Solo British Artistに選ばれています。今回のミックステープもBest Albumのほうにも名を連ねており、「90年代を彷彿とさせる力強く興味深いポップアルバム」と賞賛しています。同時にMØとの3 AMをNMEは賞賛していて、この2曲がアルバムの主役ということなのでしょう。実験的な要素もあったミックステープですが、この2曲は正統派ですよね。

 

(参考)

 いかがでしたでしょうか。(だいたい)4月までのポップスではこれらの曲の評判が良いのですね。ポップスに批評家の目線が入ることは少ないと思ったので今回はこのように取り上げてみました。ちょっと意外な選曲もありましたが……!

あとNMEはEd Sheeranのアルバムを好意的に捉えていたのに(4/5点)、一曲も入れていなかったです。イギリスのみならずポップスの主役は彼なので、これは意外ですかね。

 

 

プレイリストも作りました。今回はSpotifyもあります。

*1:気力「だけ」はある

*2:歌詞に出てくるPick up the Phoneの部分とかけている()

Billboard Hot 100 4/29 【5アルバムが1位も今週初のトップ10?】

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こんばんは。今週はコーチェラでも活躍したFutureがMask Offで初のトップ10を記録!(客演以外)ほかLil Uzi VertのXO TOUR Llif3まトップ10入りとラッパーたちの躍進が際立ちますね。

また、The ChainsmokersがEDM系DJでは初のアルバム一位を記録!しかしシングルは新規曲がHot 100 に入ることはありませんでした…これは少し意外。一番人気のBreak Up Every Night、客演がFlorida Georgia Lineでダウンロードが期待できそうなLast Day Alive辺りがHot 100 に入ると思ったのですが……

 

99 Darius Rucker – If I Told You

カントリー曲の多くはラジオでの支持が高く、Hot 100での順位はラジオでのプレイ具合と一致する場合が多いです。今週はラジオで上昇中のカントリー曲いくつかがHot 100に。2013年にWagon WheelのカバーがヒットしたDarius RuckerのIf I Told Youが99位で登場。他にもCole SwindleのFlatlinerが100位、Kenny ChesneyのBar at the End of the Worldが92位で登場しています。

※カントリー曲の多くはチャートアクションが似ています。少しずつ順位を伸ばしていって、そして40位前後くらいをピークにだんだん順位を落としていく山なり型です。しかしカントリー好き以外にもヒットした場合は違うチャートアクションをとります。(例:現在のSam HuntのBody Like A Back Road)

 

97 AJR – Weak

USのインディー・ポップバンドAJRのWeakが97位で登場。2013年のI’m Ready以来4年ぶりのHot 100。この曲Spotifyでのピークは約2ヶ月前でしたが、最近ラジオでかかり始めたこともあって今週ようやくHot 100登場となりました。聴く媒体によってピークがずれる現象とは興味深いです。

※ピークが約2ヶ月前とはいえ再生数が落ちるスピードはゆるやかで、現在の再生数はピークの3分の2程度です。

 

89 Flo Rida, 99 Percent – Cake

Flo RidaのCakeが89位で登場。昨年年間14位とヒットしたMy Houseの路線を引き継ぐ曲で、ラップではなくポップス曲。(実際ビルボードもヒップホップに分類していない)This Is A Challengeという○○チャレンジで使われた曲のコンピレーションアルバムに収録されていますが、メインのポイント源はおそらくポップ系ラジオ*1

 

79 YFN Lucci ft. PnB Rock – Everyday We Lit

YFN LucciとPnB RockのEveryday We Litが79位で登場。両者にとって2曲目のHot 100。若手のヒップホップ系アーティストの2人によるノリのよい曲、という点で先週Hot 100に登場したA Boogie Wit da HoodieとKodak BlackのDrowningとの共通点を感じました。

 

74 French Montana ft. Swae Lee – Unforgettable

French MontanaのUnforgettableが74位で登場。客演のSwae LeeはRae Sremmurdの片割れ。彼はデュオで活躍する一方、単独でFormationのソングライトに参加するなどソロでの活動も行っていましたが、Swae Lee名義でのHot 100はこれが初*2。ソロアルバムの話もあるようで、今後彼がどのような活動をしていくかに期待です。

 

57 Ed Sheeran – Castle on the Hill

先週信じられない?ニュースが。Ed SheeranがCastle on the Hillを次のシングルにする!と。いや今までシングルじゃなかったのか……と思いますが…とはいえその宣言どおりラジオが伸び始めているようで(ラジオのプレイ数が圏外→50位に上昇)、Hot 100でも順位を上げています。今まではShape of Youの影に隠れていましたが、再浮上なるか…?

 

50 Halsey – Now or Never

HalseyのNow or Neverが50位で登場。最初の週からファーストアルバムのシングルNew Americanaのピーク(60位)を越えていて、Justin BieberのThe FeelingやCloserでの客演を経て知名度が向上しているのを感じます。この曲のソングライトにはCashmere Cat、Benny Blanco、Brittany Hazzardという今をときめく面々が参加。

 

12 Julia Michaels – Issues

Julia MichaelsのIssuesが値下げ効果でダウンロードを伸ばしてトップ10手前の12位まで浮上。来週はダウンロードが反動で落ちて多少順位を落とすかもしれませんが、ラジオやストリーミングは上り調子なようで、この調子をキープできればいずれはトップ10に手が届くか…!

 

8 Lil Uzi Vert – XO TOUR Llif 3

Lil Uzi VertのXO TOUR Llif 3が8位に浮上。Lil Uzi VertにとってBad and Boujeeに次いで2曲目のトップ10(=客演以外では初のトップ10)。ミームがヒットの要因ともいわれるこの曲ですが、○○チャレンジのようなまとまった名前はないようで、むしろ曲名がわかりづらい…?(#XOTOURLLIF のタグが約500件。一方今週7位のFutureの#Maskoff のタグは約50000件。)L”I”FE ではなくL”L”IFなのがポイントです。

 

7 Future – Mask Off

先日のコーチェラでも大きな存在感を示したFutureのMask Offが7位まで上昇。客演以外では(Lil Wayneの2013年のLove Meが9位)彼にとって初のトップ10。すでにアルバムでは5つの1位を獲得していることを考えると少し意外ですかね。ビデオをリリースしたDraco、Supper Trapper、Use Meよりもビデオの無いMask Offが圧倒的にヒットしているのは、売り出したい曲?と実際にヒットする曲が違うという点で2017年らしい現象として興味深いですね。

 

4 Harry Styles – Sign of the Times

Harry Stylesの5分半越えの壮大なSign of the Timesが4位で登場。元One Directionのメンバーのソロデビュー曲の最初の週の順位としてはZaynのPillowtalk(1位)に次ぐ順位。(ちなみにLouis TomlinsonのJust Hold Onは52位スタート、Niall HoranのThis Townは62位スタート)来月にはアルバムをリリース予定なようで、動向が注目されています。

 

× Lady Gaga – Million Reasons

ハーフタイムショーの効果でダウンロードを多く記録し、一時期は4位だったLady GagaのMillion Reasonsが今週チャート圏外へ。20〜30位くらいに滞在した期間が長く中規模ヒットといったところ。Perfect Illusionよりはヒットしましたが、従来の規模を考えるとやや物足りなさも…

 

× Machine Gun Kelly X Camila Cabello – Bad Things

Camila CabelloのFifth Harmony脱退後の初ソロ曲として注目されたBad Thingsがチャート圏外へ。ワイルドスピードシリーズのサントラに収録される、J BalvinとPitbullとのHey Maではスペイン語も器用に使いこなしたCamilaですが、今後どのような路線を歩むのでしょうか……?客演曲は多いですが彼女メインの曲はまだ無いですね。

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲を集めました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora)

 

Kendrick Lamar – DNA. (Spotify 2位)

Kendrick Lamar – ELEMENT. (Spotify 3位)

Kendrick Lamar ft. Rihanna – LOYALTY. (Spotify 4位)

Kendrick Lamar ft. Zacari – LOVE. (Spotify 5位)

Kendrick Lamar ft. U2 – XXX. (Spotify 7位)

Kendrick Lamar ft. YAH. (Spotify 8位)

Kendrick Lamar – FEEL. (Spotify 10位)

Kendrick Lamar – PRIDE. (Spotify 11位)

Kendrick Lamar – LUST. (Spotify 12位)

Lord Huron - The Night We Met (Shazam 15位)

Kendrick Lamar – FEAR. (Spotify 17位)

Kendrick Lamar – GOD. (Spotify 18位)

Kendrick Lamar – DUCKWORTH. (Spotify 19位)

Kendrick Lamar – BLOOD. (Spotify 20位)

Play-N-Skillz ft. Frankie J, Becky G & Kap G - Si Una Vez (Shazam 47位)

Stargate ft. P!nk & Sia – Waterfall (Pandora 38位)

The Revivalists - Wish I Knew You (Shazam 49位)

Kehlani & G-Eazy – Good Life (Shazam 28位)

 

Kendrick LamarのDAMN.が圧倒的なストリーミングを記録。Spotifyの一日のストリーム数を更新。全シングルがHot 100 に登場するのではないでしょうか。DNA.あたりはトップ10に入りそうですかね。

あとは、Kehlani、G-Eazyの「サマソニコンビ」のGood Lifeも来週Hot 100 に登場しそう。

 

 

今週チャートから姿を消した曲

(左の数字は先週の順位 ※はリカレントルールが適用された曲)

 

100 Rag’n’Bone Man – Human

96 Calvin Harris ft. Young Thug, Pharrell Williams & Ariana Grande

93 Kodak Black ft. Future – Conscience

89 Drake ft. 2 Chainz & Young Thug – Sacrifices

85 Kendrick Lamar – The Heart Part 4

75 Miranda Lambert – Tin Man

70 Tim McGraw & Faith Hill – Speak to A Girl

59 Logic – Everybody

※50 Machine Gun Kelly X Camila Cabello – Bad Things

※47 Adele – Water Under the Bridge

※41 Lady Gaga – Million Reasons

 

*1:多くのチャレンジ曲はストリーミングのポイントが高く、それと対比してということです

*2:Hot 100に入ったWiz KhalifaとのBurn SlowもSwae Lee表記になっていることがありますが、ビルボードはRae Sremmurd表記なので、そちらを参照しています

謎に包まれたチャートDance / Club Songs とは? 【Katy Perryが強い?】

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今週、Katy PerryのChained to the RhythmがDance / Club Songsチャートで1位を獲得しました。17曲目の快挙。かつ17曲連続での1位。

 え?17曲?

よく考えると多すぎると思いませんか?Katy Perryの曲で客演を含めてシングル化されたのは23曲。つまり7割以上のシングルが1位を取っているか、または非シングルも1位を取っている、ということになります。しかもDanceと銘打ったチャートでなぜそんなDJでもないKaty Perryの曲が1位を連発しているのか。謎はますます深まるばかりです。

今回はそんな謎に包まれたチャート、Dance / Club Songsについて書いていきます。

 

・Dance / Club チャートとは?

www.billboard.com

ビルボードの説明にはこうあります。

 

“This week's most popular songs played in dance clubs, compiled from reports from a national sample of club DJs.”

今週最もクラブでかけられた曲を、クラブDJのレポートからサンプルして集めている。

 

その名の通り、クラブでどういう曲がかかっているかを集計しているチャートなのです。名前を変えつつ、1974年から存在しているチャートのようで、現存するDance系チャートでは最古のチャートです。

チャートとしてはややマイナーで、今年に入ってからBillboard公式Twitterが言及した回数は12回で、週あたり1回を下回っています。チャートマニアでもあまりチェックしないチャートなのでは、と個人的に思っています。

 

・”Katy Perry” “17”曲 1位の謎に迫る

ではこのチャートの謎に迫っていきます。なぜKaty Perryがこのチャートで強いのか。そしてなぜ17曲も1位を取っているのか。

近年のチャートの傾向を見てみましょう。以下が2016年以降にこのチャートで1位を取った曲です。

太字は注目ポイントです。

 

2016年

   

1月2日

Lucas Nord featuring Tove Lo

"Run On Love"

1月9日

Justin Bieber

"Sorry"

1月16日

Dimitri Vegas & Like Mike featuring Ne-Yo

"Higher Place"

1月23日

Lady Gaga

"Til It Happens to You"

1月30日

Robin S. and DJ Escape

"Shout It Out Loud"

2月6日

Disclosure featuring Lorde

"Magnets"

2月13日

Freischwimmer

"California Dreamin'"

2月20日

Mylène Farmer and Sting

"Stolen Car"

2月27日

Nathan Sykes featuring Ariana Grande

"Over and Over Again"

3月5日

99 Souls featuring Destiny's Child and Brandy

"The Girl Is Mine"

3月12日

Dave Audé featuring Andy Bell

"True Original"

3月19日

Coldplay

"Adventure of a Lifetime"

3月26日

Adele

"When We Were Young"

4月2日

Shawn Hook

"Sound of Your Heart"

4月9日

Jonas Blue featuring Dakota

"Fast Car"

4月16日

Troye Sivan

"Youth"

4月23日

Rihanna featuring Drake

"Work"

4月30日

Pet Shop Boys

"The Pop Kids"

5月7日

StoneBridge featuring Elsa Li Jones

"If You Like It"

5月14日

Empire of the Sun

"Walking on a Dream"

5月21日

WTS featuring Gia

"One Night"

5月28日

Sheila Gordhan

"Smile"

6月4日

Tony Moran featuring Jason Walker

"So Happy"

6月11日

Dillon Francis and Kygo featuring James Hersey

"Coming Over"

6月18日

Xenia Ghali

"Under These Lights"

6月25日

Sia featuring Sean Paul

"Cheap Thrills"

7月2日

Alex Newell, Jess Glynne and DJ Cassidy with Nile Rodgers

"Kill the Lights"

7月9日

Calvin Harris featuring Rihanna

"This Is What You Came For

7月16日

7月23日

Justin Timberlake

"Can't Stop the Feeling!"

7月30日

Rosabel featuring Jeanie Tracy

"Livin' for Your Love (Your Love)"

8月6日

Rihanna

"Kiss It Better"

8月13日

Erika Jayne

"How Many Fucks"

8月20日

Rihanna

"Needed Me"

8月27日

Joe Bermudez featuring Louise Carver

"Sunrise"

9月3日

Zayn

"Like I Would"

9月10日

JX Riders featuring Skylar Stecker

"Sweet Dreams"

9月17日

Enrique Iglesias featuring Wisin

"Duele el Corazón"

9月24日

Major Lazer featuring Justin Bieber and MØ

"Cold Water"

10月1日

Disclosure

"Boss"

10月8日

Britney Spears featuring G-Eazy

"Make Me..."

10月15日

Alicia Keys

"In Common"

10月22日

Katy Perry

"Rise"

10月29日

StoneBridge featuring Therese

"Put 'Em High (2016)"

11月5日

Betty Who

"I Love You Always Forever"

11月12日

Christina Aguilera featuring Nile Rodgers

"Telepathy"

11月19日

Jonas Blue featuring JP Cooper

"Perfect Strangers"

11月26日

Crystal Waters featuring Sted-E and Hybrid Heights

"Believe"

12月3日

Nervo featuring The Child of Lov

"People Grinnin'"

12月10日

Martin Garrix and Bebe Rexha

"In the Name of Love"

12月17日

Tony Moran featuring Jason Walker

"Say Yes"

12月24日

R3hab

"Icarus"

12月31日

Ralphi Rosario featuring Aneeta Beat

"Button Pusha"

     
     

2017年

   

1月7日

Lodato featuring Joseph Duveen

"Older"

1月14日

Dua Lipa

"Blow Your Mind (Mwah)"

1月21日

Rihanna

"Love on the Brain"

1月28日

Ono

"Hell in Paradise 2016"

2月4日

Vassy

"Nothing to Lose"

2月11日

Sia

"Move Your Body"

2月18日

J Sutta

"Distortion"

2月25日

Luciana and Dave Audé

"Yeah Yeah 2017"

3月4日

LeAnn Rimes

"Long Live Love"

3月11日

Britney Spears featuring Tinashe

"Slumber Party"

3月18日

Ed Sheeran

"Shape of You"

3月25日

4月1日

Bebe Rexha

"I Got You"

4月8日

Rihanna

"Sex with Me"

4月15日

Tony Moran and Dani Toro featuring Zhana Roiya

"Lick Me Up"

4月22日

Katy Perry featuring Skip Marley

"Chained to the Rhythm"

 

 

まず、この表をパッと見て曲数が多すぎる!と思いませんか?

そうです、このチャートはなぜかほとんど毎週1位が入れ替わるのです。2週以上連続で1位をキープする曲は年に1回出るか出ないか程度です。上の表ではThis Is What You Came For、Shape of You以外は全て1週で1位から陥落しています。この1位がほぼ毎週入れ替わる=1位になれる曲が多いチャートアクションKaty Perry17曲1位を生み出す要因なのです。他のチャートと比較すると、2016年にHot 100で1位になったのは11曲。そしてこのDance / Clubチャートでは51曲。年に約5倍の1位曲が誕生しているのです。

 

たしかに、このペースで1位が出るなら17曲もありえるかもしれないです。しかし、なぜDance / ClubチャートにKaty Perry?明るいポップ系が多く踊りやすいかも、とはいえDance系のチャートにKaty Perryは違和感がある気が……。表の曲をもう一回見てみましょう。

 

Katy PerryだけではなくSia、RihannaBritney Spearsなどの女性シンガーが複数エントリー。このチャートはDanceとは銘打っていますが、女性シンガーが強めなチャートといえそうです。実際、このチャートで多くの1位を記録したアーティストの上位5名は全員女性シンガーなのです。(1位Madonna、2位Rihanna、3位Beyoncé、4位Janet Jackson、5位Mariah CareyKaty Perry

また女性シンガーだけでなく、このチャートで結果を残していているDJたちもいて、昨年唯一の2週連続1位を記録していたCalvin HarrisのThis Is What You Came Forは年間1位を記録しています。他にも表にはDisclosure、Jonas BlueなどのDJ/プロデューサーもあります。しかし案外DJが全員強いわけではなく、The Chainsmokers、DJ Snakeはまだ1回も1位を取っていません。

じゃあ、女性シンガー最強チャート?とも言い切れず、Taylor Swift、Meghan Trainor辺りはまだ1位を取っていません。

このチャートでは○○のジャンルが強い!というは無く、様々なジャンルが入れ混ざった多種多様なラインナップになっています。共通点をあえて言うならば、少しメロディアスな曲が多いでしょうか。

 

・どうしてこんなチャートになっている?

しかし、なぜこのような掴みどころのないチャートになっているのでしょうか。クラブで1番かかる曲がキレイに1週ごとに交代するのはなんだか少し不気味さも感じます。DJたちはトレンドに敏感で流行は逃さないということでしょうか。別の似た系統のチャートと比較してみましょう。

今回比較するのは1001 TracklistというDJセットリストを掲載するサイトのランキングです。

www.1001tracklists.com

このチャートを見ると、キレイに1週ごとに交代するということもなく、またランクインしている曲もほとんどDJ/プロデューサーたちの曲で、こちらの方が「DJのかける曲」を表すチャートと言われてしっくり来る気もします。このデータからは別に多くのDJは1週間ごとに曲を変えるという行動をするわけではないことがわかります。

 

1週間で1位がキレイに交代していくとはこのDance / Clubチャート特有のものだと分かります。では、なぜこのように1位が毎週交代していくのかを推測してみます。

もう1回このチャートの説明を振り返ります。

 

“This week's most popular songs played in dance clubs, compiled from reports from a national sample of club DJs.”

今週最もクラブでかけられた曲を、クラブDJのレポートからサンプルして集めている。

 

この文面のDance Clubs、Reportsという点に注目します。

 

① Dance Clubsとは……?

Dance / Clubsがどういう場所が案外変な場所なのかも……?DJがノれる曲をかけて客を躍らせるというイメージが私の中にありますが、UltraなどのDJとはかなり違った環境なのかもしれません。私自身アメリカに行ったことがないので、アメリカの多くのクラブでは本当にこのチャートを意識してDJが曲をかけている可能性がある……?

まあ、①は妄想みたいなもんです………

 

② Reports……?

個人的な本題はこちらです。Reportsというに注目です。レポートとは文字通りレポートでしょう。DJが自分のかけた曲を報告する、というスタイルを取っているのでしょう。ただ実はこの点、他のチャートと比べると異質なのです。

現存するチャートの多くはニールセンという調査会社が収集したデータをもとに作成されています。ストリーミングは各サービスからデータを収集している、と説明されています。他のチャートができるだけ科学的にデータを集めるアプローチをするなか、このDance / Clubは人のレポートという地道で素朴な作戦に出ているのです。その点で異質なのです。

 

実はこのレポートでチャートを作るという文化、昔はHot 100でも行われていたようで、昔はCDショップからのレポートを元にチャートを作っていたようです。しかしCDショッピが売り上げをそのまま正確に報告しない可能性もあり、人気を正確に反映していない、とされて1990年代初頭に調査方法を変えたようです。調査方法を変更してからNWAのアルバムが2位と躍進しましたが、NWAの関係者によると「前からそんぐらい売れてたわ!」ということらしく*1、どうなのでしょうかね。

 

つまり何が言いたいかというと、このチャートの調査法によって毎週1位が交代するという現象が発生している可能性があるということです。他にも、一部からサンプルして全体を推測する?という方法もこれの一因かもしれませんね。

自分が感じた違和感に対して、自分はこう考えました。

 

・まとめ

このチャートを深く見ると、これが何のシーンを表しているかは正直によく分からないと思いました。ほかのチャートと比べてローカルなチャートだと思われます。ゆえにチャートの中で重要度は高くないということは言えると思います。

 

しかしこのチャートには魅力がない?ということではないです。去年のこのチャートの年間トップ10を確認します。

1 Calvin Harris ft. Rihanna – This Is What You Came For

2 Justin Bieber – Sorry

3 Alicia Keys – In Common

4 Sia ft. Sean Paul – Cheap Thrills

5 Dillon Francis & Kygo ft. James Hersey – Coming Over

6 WTS ft. Gia – One Night

7 Dave Aude ft. Andy Bell – True Original

8 Lady Gaga – Til It Happens to You

9 Justin Timberlake – Can’t Stop the Feeling!

10 Coldplay – Adventure of a Lifetime

 

これらの曲を全て知っている方はいらっしゃいますか?おそらく6位と7位が分からない方が多いと思います(このチャートを毎週チェックしている人以外は……)、上で述べたようにTaylor SwiftやThe Chainsmokersがなぜか上位に入りづらい一方で、このDance / Clubのチャートで実績を重ねているアーティストが多くいるのです。

7位のDave Audeはこのチャートで実績を重ねている人の代表例で、ほかのチャートにはあまり登場しない一方でここでは14曲もの1位を獲得するなどこのチャートでは無双しています。他にもオノ・ヨーコがリミックスを中心に多数の1位を獲得していて(13曲)、全米を対象としているチャートでは珍しく日本人も登場しています(他の日本人も登場したことがあると聞いたことがありますが、データは見つかりませんでした)

個性的な面子が多く登場するので、もしかしたら思いがけない面子を発見できるかも!という可能性もあるのです!

 

まとめると……

・良くも悪くも他のチャートとは一線を画している

・それ故に個性的な面子や並びが見られるチャートになっている

・珍しいアーティストを発掘できるかも…?

 

 

もし興味を持ったらぜひDance / Club チャートをチェックしてみてください!

 

*1:詳しくは S.クレイグ ワトキンス (著), 菊池 淳子 (翻訳) 『ヒップホップはアメリカを変えたのか』の48ページに書いてあります