チャート・マニア・ラボ

音楽チャート・ポップス研究者(自称) ポップス音楽と食べることが好きなオタク

Billboard Hot 100 4/8 【DrakeのMore Life週の見どころ】

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今週はDrakeのMore Lifeがチャートに反映され、Hot 100にはDrakeの曲が多く登場しました。なんと24曲。そんな週の見どころを説明します。More Lifeに多く登場するイギリス人アーティスト等を絡めながら紐解いていこうと思います。写真はMore Lifeに登場するイギリス人グライムアーティスト、Skepta。

 

 

(N) 98 Jason Derulo ft. Nicki Minaj & Ty Dolla $ign – Swalla

Jason DeruloのSwallaが98位で登場。ビデオリリースのタイミングでのチャート登場。ダンサブルなノリが特徴の1曲。2015年のWant You to Want Meよりも2014年のWiggleっぽい曲です。昨年のシングルは奮わなかったJason Derulo、この曲でリベンジなるか。

 

(N) 97 Rick Ross ft. Young Thug & Wale – Trap Trap Trap

今週アルバムが3位で登場したRick Ross。その中で注目を集めたのはYoung Thug、Waleを客演に迎えたTrap Trap Trap。97位。

 

(N) 88 Machine Gun Kelly ft. Hailee Steinfeld – At My Best

Machine Gun KellyがHailee Steinfeldと組んだAt My Bestが88位で登場。昨年の終盤からCamila Cabello(元Fifth Harmony)、Little Mixそして今回のHailee Steinfeldと彼はポップス系アクトと組むことが増えました。しかし新曲はQuavo、Ty Dolla $ignと組むようです。ポップスのリスナー、ヒップホップのリスナー両方の心を掴めるか。

 

(↓) 84 Nicki Minaj, Drake & Lil Wayne – No Frauds

先週14位だったNicki MinajのNo Fraudsが今週は84位までランクダウン。ダウンロードが減り、そしてラジオ/ストリーミングも伸びなかったのがランクダウンの要因。Drakeはディス曲Back to Backがヒットし最終的には年間チャートにも入りましたが、それの再来にはならなさそうか…

 

(N) 76 Drake – Skepta Interlude

DrakeのMore Lifeの曲の全てがHot 100に登場。その中で(22曲中)2番目に順位が低かったのはSkepta Interludeで76位。タイトルどおりイギリスのグライムアーティストのSkeptaが担当する曲です。母国イギリスでは全体で9番目に人気で、ややアメリカとイギリスのギャップを感じるチャート成績に。

※北米のR&B/Hip Hop系統アルバムの、イギリスのアーティストが担当する曲、ということでBeyonce ft. James BlakeのForwardを連想しました。この曲もHot 100ではアルバムの中で1番低い成績でしたが、今回のSkepta Interludeとは違いイギリスでも同様にアルバムの中で1番チャート順位が低かったです。

 

(↓) 75 Ariana Grande ft. Future – Everyday

Ariana GrandeとFutureのEverydayが75位に順位を落としています。今年異なるタイトルでの2週連続アルバム1位と勢いにのるFutureが客演ですが、さすがにアルバムからの4曲目のシングルとなると注目度が落ちてくるか。例えばJustin BieberのPurposeも、1曲目~3曲目のシングルは全て1位でしたが、4曲目のCompanyは53位ピークでしたし……

 

(N) 40 Drake ft. Giggs – No Long Talk

DrakeがイギリスのラッパーGiggsを迎えたNo Long Talkが40位で登場。イギリス人ラッパーがHot 100のトップ40に登場するのは2012年のMadonna feat. Nicki Minaj, M.I.A.のGive Me All Your Luvin' (10位)以来。イギリスのラッパーはアメリカのリスナーからは「フロウのノリが合わない」ということで評判は微妙らしいですが、イギリス人ヒップホップ系アクトも多く登場した(Giggs, 前述のSkepta、そしてJorja Smith)More Lifeをきっかけにイギリス人ラッパーがアメリカで存在感を今後発揮できるのか注目です。

 

(N) 9 Drake ft. Quavo & Travis Scott – Portland

DrakeのPortlandが9位で登場。客演のTravis Scottは初のトップ10。昨年アルバム1位と存在感を高めている彼ですが、意外にもトップ40もまだこれで2曲目(Antidote=16位に次ぐ)。More Lifeの出世頭Passionfruitと比べると、アメリカでの人気が際立つ感があります。プレイリストの中で最もダウンロードされた曲ですが、ダウンロード数は全体で20位。このプレイリストはストリーミング数が爆発的に稼いでいますが、ダウンロードは少なめなことが伺えます。

 

(N) 8 Drake – Passionfruit

DrakeのMore Lifeの全曲(22曲)+客演の2曲の計24曲が今週Hot 100にエントリーし、自身の記録を塗り替え(Viewsリリース時の20曲)同一アーティストによる最多Hot 100エントリーの記録を更新。その中のトップがPassionfruitの8位。今年Ed Sheeranが初めて達成した「同一アーティストによる複数トップ10デビュー」の2つ目の事例に。ストリーミングの普及による曲が世間に浸透する速度が上がったことを示唆するデータだと思います。

 

(↓) × Bebe Rexha – I Got You

自身がメインの曲では初のHot 100入りをI Got Youで成し遂げたBebe Rexhaでしたが、43位ピーク/11週滞在という成績でチャートから姿を消しました。Me, Myself & I(ピーク7位)、Hey Mama(ピーク8位)、In the Name of Love(ピーク24位)ほどまでは行かず。

 

(↓) × Little Big Town – Better Man

Taylor Swiftがソングライトに参加したことでも話題になったLittle Big TownのBetter Manが今週チャート外へ。ピークは34位と、カントリー曲だと比較的上位ですが、「テイラー特需」とまでは行かず。

 

(↓) × Twenty One Pilots – Heathens

一時期は2位まで到達したTwenty One PilotsのHeathensがチャート外へ。昨年だけでStressed Out、Ride、Heathensと3曲のトップ10を記録した彼ら。バンドとしては2010年代のトップ10曲数がMaroon 5に次ぐ多さに。今後も引き続き昨年のような存在感を発揮できるか注目です。

 

(↓) × Rae Sremmurd ft. Gucci Mane – Black Beatles

マネキンチャレンジで脚光を浴びたBlack Beatlesがついにチャート圏外へ。インターネットのミームで流行、そしてストリーミングが伸びてチャート上位へ。さらにラジオでもかかり始め、さまざまな領域のリスナーに広まっていき定着する。このような新しいヒットの形を生み出した1曲としてチャートの歴史上重要な1曲なのかもしれません。

 (N)=new (↑)=順位上昇 (↓)=順位下降またはチャート外へ (R)=再登場

 

 

チャートで今週伸びを見せた曲たち

今週最もラジオで伸びた曲           Bruno Mars – That’s What I Like

今週最もダウンロードが上昇した曲 Zedd & Alessia Cara - Stay

今週最もストリーミングが伸びた曲 Drake – Fake Love

最も高い順位で新登場した曲          Drake – Passionfruit

 

 

今週チャートから姿を消した曲

(左の数字は先週の順位 ※はリカレントルールが適用された曲)

 

100 Martin Garrix & Dua Lipa – Scared to Be Lonely

99 Migos ft. Gucci Mane – Slippery

98 Nicky Jam – El Amante

97 Shakira ft. Maluma - Chantaje

96 Future ft. The Weeknd – Comin Out Strong

95 6LACK – Prblms

94 Ed Sheeran – Happier

93 2 Chainz & Quavo & Gucci Mane - Drank

92 Dwayne Johnson – You’re Welcome

91 Kelshea Ballerini – Yeah Boy

90 PnB Rock - Selfish

89 Brad Paisely – Today

88 Dierks Bentley – Black

86 Chris Young ft. Vince Gill – Sober Saturday Night

85 Ed Sheeran – Dive

82 Bebe Rexha – I Got You

78 Lorde – Liability

72 Frank Ocean - Chanel

71 Nicki Minaj & Lil Wayne – Changed It

※62 Little Big Town – Better Man

61 Nicki Minaj – Regret In Your Tears

※49 Amine – Caroline

※45 Twenty One Pilots – Heathens

※40 Rae Sremmurd ft. Gucci Mane – Black Beatles

 

 

近いうちのヒットが期待されるシングルたち

Hot 100以外の場所で好調なものの、Hot 100にエントリーしていない曲を集めました。

(調査対象:Spotifyデイリー、Shazam、Pandora)

 

Lil Uzi Vert – XO TOUR Llif3 (Spotify 17位)

Kendrick Lamar – The Heart Part 4 (Spotify 18位)

Michael Kiwanuka – Cold Little Heart (Shazam 37位)

Sabrina Carpenter – Thumbs (Pandora 44位)

Rag'n'Bone Man - Human (Shazam 23位)

 

Kendrick LamarのThe Heart Part 4が、現在チャートを牛耳るDrakeにどこまで対抗できるかに注目です。他に来週Hot 100に登場しそうなのはZaynのStill Got Time。Passionfruitとも比較されるダンスホール系統の曲。また、Iggy AzaleaのMo Bounceも登場するなら来週ですが、注目度が低いようで100位圏内相当のポイントを稼いでいない可能性も………?